こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。
2019.12.23 お車でのご来館
記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
2019年もあと1週間と少しとなりました。記念館は、今週金曜日の27日を年内の最終開館日として、28日から来月1日までお休みをいただきます。お正月は1月2日10時よりお客様をお迎えしますので、皆さま、ぜひお正月のお出かけ先に記念館にお立ち寄りください!
さて記念館にご来館くださるお客様は公共の交通機関、タクシー、自転車、徒歩、車などいろいろな方法でお越しくださいますが、実は記念館は幹線道路・国道33号線沿いではあるものの、少しだけ奥に入っているためか、初めてお車で来られた方から「ちょっと迷ってしまいました」などとうかがうことがあります。
本日は、お車で来られる場合について少し補足させていただきますね。
松山自動車道から、また、逆の松山市内方面から来られる方も、まずは「天山橋(あまやまばし)交差点」に向かっていただくのが分かりやすいです。
松山自動車道からは、松山インターチェンジを降りられたあと国道33号線を松山市内に向かって直進していただき、「天山橋」という橋のすぐ手前にある「天山橋交差点」で信号を右に入っていただくと、川の向こうに黒い記念館の建物が見えます。あとは川沿いに、その建物に向かって車を走らせていただくと記念館に到着いたします!
天山橋の上からみた記念館
※車の中からの撮影ではありませんので位置的に少しずれがあります。
松山市内方面からお越しの場合も、この「天山橋交差点」で左折していただければ、松山自動車道から来られる方と同じく川向こうに黒い建物が見えるようになります。
なお、松山市内からの場合は、この交差点の手前にもう一本左に入る道があって、こんな看板があります。
この道を入っていただくと記念館の敷地のすぐ前に出ますので、事前に地図などで確認されたり道に慣れた方が同乗されていたりすると、こちらから来られる方もいらっしゃいます。
ただ、この道は信号がなく、お散歩中の方などの歩行者や自転車の方も多いので、走行時はどうぞご注意くださいね。記念館ホームページにある「入場料・アクセス」のページもぜひご覧いただき、安全運転でお越しください!
最後になりましたが、本年も伊丹十三記念館をご愛顧いただき、誠にありがとうございました。スタッフ一同、心より感謝申し上げます。
2020年も、引き続きよろしくお願いいたします!!
スタッフ:山岡
2019.12.16 師走の伊丹十三記念館に届いた心温まるクリスマスプレゼント
いよいよ今年も残すところあと僅かとなりました。
12月ということで慌ただしい毎日を過ごしていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。伊丹十三記念館も例外ではなく、新しい年を迎える準備や年末の諸々の作業で忙しい日々が続いています。
そんな師走の記念館にホッと一息、心温まる嬉しい贈り物が届きました!
宮本館長から記念館スタッフにクリスマスプレゼントのシュトーレンです!
シュトーレンとはドイツ発祥のクリスマス時期に食べるパン菓子です。
切ると洋酒やドライフルーツやナッツのいい匂いがしました。
スタッフみんなで美味しく頂きました。
宮本館長からは毎年この時期にスタッフにクリスマスプレゼントが届きます。
大人になるとクリスマスプレゼントってなかなか貰う機会が少ないかと思いますが、やっぱり嬉しいものです。身に沁みます。
(館長、毎年お心遣い本当にありがとうございます。)
皆様も素敵なクリスマスをお過ごしください。
<年末年始 休館・開館日のお知らせ>
2019年12月28日(土)~2020年1月1日(水)は休館いたします。
2020年1月2日(木)3日(金)は開館時間を10時~17時(最終入館16時30分)とし、1月4日(土)より通常開館いたします。
スタッフ:川又
2019.12.09 好き嫌い
伊丹さんのエッセイ集『女たちよ!』の中に、食べものの好き嫌いについてふれた、こんな一節があります。
" なにしろ好き嫌いがないのです。今にして思えば、子供の頃はまだ嫌いなものがあった。たとえば私は冬瓜が嫌いだった。それから胡瓜の吸い物が嫌いだった。小学校の時、同級生の家で初めてそういうものを食べて、なんともまずいものだと思った。温い胡瓜なんぞ言語道断だと思った。
ところが、ですね、三十過ぎて京都へいってそういうものを食べてみると、これがうまいんだからいやになっちゃうよ。いよいよ私には偏食の才能が欠落していることが明白になってきたのであります。
そういうわけで「今夜なにを食べましょうか」というような話から「あなたは食べ物じゃなにが一番お好きなの?」なんて聞かれると、これは実に困る。困ったあげくに、あれは高校生時分だったかな、「おいしいもの」という答えを捻出した。こいつは便利だったね。「なにが一番食べたい?」「おいしいもの」間然するところがない。
しかしこの方法にも欠点があったのですね。こういう返事をすると、相手がいかにも困った顔をすることに最近気がついたのである。だから、この頃ではこの返事も使い辛くなってしまった。"
「なにがお好き?」『女たちよ!』(1968年)より
『女たちよ!』は記念館オンラインショップでもお買い求めいただけます。
はじめてこのエッセイを読んだとき、「わかる!」と膝をうちました。
子どもの頃から〈嫌い〉と言い切れるほど苦手な食材がなかった私は、「一番好きな食べものは?」と問われるたびに、場に応じて何かしら答えつつも、心の中では「おいしいもの!」とおもっていました。どんな食材でも、必ずおいしい食べ方があるはずだと考えてしまう、食いしん坊な子どもだったんですね。
唯一、パクチーだけは苦手かもしれないと長年感じているのですが、「おいしいパクチー料理にまだ出会っていないだけかもしれない」などと、諦めきれずにいます。
そんなわけで、「好きな食べものは?」の問いにどう答えるのがベストなのか、今もときおり考えてしまいます。本音は、「おいしいもの!」なのですけれど。
伊丹エッセイを読んでいると、食・料理について、魅力的な文章がたびたび登場します。中でも、同じ『女たちよ!』収録の「スパゲッティのおいしい召し上り方」は、スパゲッティの理想の茹で加減〈アル・デンテ〉を紹介した文章として、よく知られていますよね。ほかにも忘れがたいエッセイはいろいろありますが、伊丹十三記念館の常設展「七 料理通」のコーナーには、実際に伊丹さんが使用していた調理器具や食器などを展示しており、間近にご覧いただけます。
常設展示室『七 料理通』コーナー
エッセイと同様に、こちらのコーナーでも伊丹さんの食・料理へのこだわりをたっぷり感じていただけますので、ぜひご覧くださいませ。
<年末年始 休館・開館日のお知らせ>
2019年12月28日(土)~2020年1月1日(水)は休館いたします。
2020年1月2日(木)3日(金)は開館時間を10時~17時(最終入館16時30分)とし、1月4日(土)より通常開館いたします。
スタッフ : 淺野
2019.12.02 飛行機の窓の外の風景
記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
中庭の桂もほとんど落葉し、冬のたたずまいになってきました。
吹く風も冷たくなり冷え込んでまいりましたので、体調など崩されませんようご自愛くださいね。
さてここ記念館でお客様をお迎えしていますと、伊丹さんのエッセイを読まれた方から「書かれていたことを試してみました」「影響を受けました」というお話をよくうかがいます。
先日もそんなお客様がお越しくださいました。
ふだん飛行機で全国各地を移動しておられるそうですが、伊丹さんのエッセイにあった一節をきかっけに「移動手段として利用するだけだった飛行機が、乗ることを楽しみに思えるようになった」のだとか。
その方が読まれたというのがこちら。著書『日本世間噺大系』にある「走る男」からの引用です。
実際のところ、私だって、正直いって窓際に坐りたいと思う。確かに窓際の席というものは魅力であります。特に、晴れている日に窓際の席から下界を見下ろす愉快などというものは何物にも替え難いとすら私は思う。知っている町や村を高い所から矯めつ眇めつする楽しみは言を俟たず、未だ訪れぬ山川は見知らぬものとして無限の興趣を誘う。洵に一木一草が私の目を捕らえて離さぬといって過言ではない。(中略)
窓際の席について更に一言するなら、私は相当の活字中毒であるが、窓際の席にある限り、およそ書物を必要とせぬ。窓外の風景が書物に百倍する楽しみを与えてくれるからである。
「走る男」『日本世間噺大系』(新潮文庫)
この文章を読んでから「こんな乗り方もあるのか」と飛行機の窓から見える風景を楽しむようになり、今はそれを撮影するのが趣味になっているそうです。何枚か見せてくださった写真には、飛行機の窓から見えたというきれいな青い空や雲海、山や川、夜景などが写っていて、ここで実際にご覧いただけないのが残念なくらい見ごたえがありました!
これから年末年始にかけて、帰省や旅行で飛行機を利用するという方もいらっしゃると思います。機内での過ごし方はいろいろだと思いますが、もし窓際の席に座られた際は、伊丹さんや上述のお客様のように飛行機からならではの風景を楽しんでみるのはいかがでしょうか。
スタッフ:山岡
2019.11.25 「十三」%割引券
先週、毎年松山市内で行われている「東京ヤクルトスワローズ」の秋季キャンプを見学してきました。
地元で開催されているプロ野球チームのキャンプということで前々から気にはなっていたものの、なかなか足を運ぶ機会がなかったのですが今回やっと訪れる事ができました。
というのも、先日記念館に熱心なヤクルトスワローズファンのお客様方がご来館下さり、「せっかく松山に住んでるんだからぜひ行ってみて!」とお勧め頂いたことがきっかけです。
そのお客様方はスワローズ秋季キャンプを見学するために、はるばる関東地方から毎年松山に来られているそうなのですが、キャンプの見学とあわせて記念館へも来館されるのが恒例となっているということで、今年もキャンプのご見学のあと記念館へご来館下さったのです。
こちらをご覧下さい。
これはカフェのご飲食代から伊丹十三にちなんで13%を割引するという割引券です。カフェをご利用された方でご希望の方にお渡ししています。
1年間有効です。
この画像の割引券はそのお客様方に昨年お渡ししたものなのですが、この度の松山ご訪問の際にしっかりとご持参下さり、お会計の際にお出し下さいました。
なんと有効期限の前日でした。
もちろん今年も同様に割引券をお渡しさせて頂きました。
きっと来年も今回お渡しした割引券をお持ちになって、キャンプご見学のあとご来館下さるはずです。
来シーズンのスワローズの活躍と合わせて今から期待しています。
皆様もカフェをご利用の際には是非「十三」%割引券をお持ち帰り頂き、1年以内の再度のご来館にチャレンジしてみてくださいませ。
スタッフ川又
2019.11.18 池内岳彦(23歳)の11月
企画展「おじさんのススメ シェアの達人・伊丹十三から若い人たちへ」に、こんな資料をお出ししています。
『知性』という雑誌の1956年11月号です。今からちょうど63年前のものですね。
それで、目次ページをこのように広げて展示することで何をご覧いただきたいのかと言いますと、若かりし頃の伊丹十三の仕事なのです。
何が、って......ええと、いえいえ、この雑誌に執筆していた、というようなことではなくて、この目次そのものと申しますか、デザインがそうなのです。ええ、伊丹さん、デザイナーだったんです。
初めてのエッセイ集『ヨーロッパ退屈日記』(1965年)が新装版で出たときのあとがきには作家の山口瞳さん(1926-95)のお世話で出版できた経緯が書かれていて、山口さんと知り合ったきっかけである『知性』について、こんな一節があります。
当時山口さんは河出書房から出ていた「知性」という雑誌の編集部に勤めるサラリーマンであった。そうして私は駆け出しの商業デザイナーであった。いや、デザイナーなどという言葉は当時はなかった。われわれは版下屋とか書き文字屋とか図案家などと呼ばれる冴えない種類の人間であった。つまり、私は山口さんにとっては出入りの職人であったのである。(中略)
職人であった私に与えられる仕事は、主に、車内吊りのポスターと、目次のデザインであった。ジェームズ・ディーンや石原慎太郎の年であった。
伊丹十三『ヨーロッパ退屈日記』(新装版、1974年・文藝春秋)
「B6判のためのあとがき」より
ご来館の際は、この目次の左下の部分をよーくご覧いただきたいのですが、「目次 池内岳彦」とあって、戸籍上の本名の「義弘」のほうでなく、「岳彦」の名で仕事していたことが分かります。
※注:伊丹さんが「伊丹一三」になったのは1960年の俳優デビュー時で、67年に「十三」に改名。
このクレジットのある『知性』を図書館で探して数えてみましたら、1956年の8月から12月までの5号に池内岳彦の名が掲載されていました。(まさに、『理由なき反抗』『ジャイアンツ』の日本公開年で、『太陽の季節』『狂った果実』の刊行年ですね。)
季節感のあるモチーフを版画風に描いたカット、書き文字と活字を案配した目次から、23歳の岳彦青年がコリコリと仕事に打ち込んでいたことを想像していただけると思います。
常設展のほうには、後年(俳優になってから)手がけたブックデザインやイラスト原画、それから、高校時代のクラス誌で担当した目次なども展示しています。
伊丹十三が造形表現を得意としていたことにビックリなさるお客様もたくさんいらっしゃいますが、展示室ではいろいろな種類・年代のものを見比べていただけるので、まずは順路のとおりにご覧いただいて、それから年代順にたどりなおしてみる、というのも面白いかもしれません。
行ったり来たりも再入場も大歓迎の記念館でございます。ぜひ、ゆっくりとお楽しみください。
父・伊丹万作を紹介するコーナーの「手作り芭蕉かるた」は
冬の句のものに入れ替えました。
皆様お風邪などお召しになりませんよう!
学芸員:中野
2019.11.11 映画『お葬式』をより楽しむ
「この日、この時間に合わせて来館しました」という嬉しいお言葉もいただく「毎月十三日の十三時は記念館で伊丹十三の映画を観よう!」。
明後日の「十三」日は、伊丹十三の初映画監督作品である映画『お葬式』(1984年11月公開)を上映いたします。
上映は常設展示室にある42インチのモニターで、ベンチに座って気楽にご鑑賞いただくスタイル。追加料金はなしで通常入館料(大人お一人800円、高大学生お一人500円)でご覧いただけます。観たことがないという方はもちろん、観たことがある方も、当日はぜひ他の展示と合わせてお楽しみください!
また、『お葬式』の上映をより深く楽しみたいなぁ、という方におすすめなのが、映画『お葬式』パンフレットのスクラップブックと、書籍『映画「お葬式」シナリオつき絵コンテノート』です。
お気に入りの映画があると、パンフレットを読んでその映画についてもっと知りたい、もっと楽しみたいと思うことがありますよね。『お葬式』をご覧になって(もちろん観る前でも!)そんなふうに思われるお客様にお読みいただけるよう、企画展示室にはその日上映する映画のパンフレットのスクラップブックをご用意しています。
映画を観る前、もしくは観た後など、お好きなタイミングで読んでみてください。
そして『映画「お葬式」シナリオつき絵コンテノート』は、映画撮影にあたって伊丹さんが描いた膨大な絵コンテをシナリオとともに収録した1冊です。絵コンテは300枚以上ですから、文庫サイズながらも読み応えのある分厚さになっています!印象に残ったシーンやお気に入りのシーンを、映像とはまた違った視点で楽しむことができますので、こちらもおすすめですよ。
ご興味のある方はぜひどうぞ!
スタッフ:山岡
2019.11.04 伊丹さんのイラストと実物を見比べてみると...
伊丹さんは身の回りのものをよく描き、そのイラストを自身のエッセイの挿絵にすることも多かったようですが、それらの品々のいくつかは実際に記念館内に展示されています。
こちらをご覧下さい。
このイラストは伊丹さんのエッセイ「ヨーロッパ退屈日記」の挿絵なのでご存知の方も多いかもしれませんね。
これは伊丹さんの愛用していた「レモン搾り器」を描いたものなのですが、このイラストの元となったレモン搾り器は記念館の常設展示室に展示されています。
こちらです。
ちなみにちょっと気になって画像を拡大して観察してみたところ、羽根の右側の鱗みたいな部分と羽根の左側の線の部分ですが、イラストと実物を比較して、数や配置がほぼ同じでした。
誰に答え合わせをされるものでもないと言うのに、細かい部分も適当に描いたりしないのですね。
このレモン搾り器の他にも「あのエッセイのあの挿絵」の元となった伊丹さんの愛用品を記念館にはいくつか展示してあります。
ご来館の際には探して、イラストと実物を見比べてみて下さいね。
スタッフ:川又
2019.10.28 自然食と『タンポポ』
先日お米をいただきました。刈りたて精米したての新米です。
炊きあがりのツヤ、湯気の甘い香り、ひと粒ひと粒の弾力に、感謝と喜びで胸がいっぱいになりました。秋ですねぇ。(もちろんお腹もいっぱいになりました。白いごはん大好きです!)
よほどのマチナカ以外では、住宅街でも
田んぼがそこここにある松山です。
ラーメンを中心とするさまざまな食べ物と、食欲に駆られて生きる人々が続々と登場する映画『タンポポ』(1985年)は、皆様それぞれに好きなシーン、エピソードがおありのようで
「チャーハンのシーンは強烈」
「分かる、カマンベールは押したくなる」
「いやいや、インパクトで生卵のシーンにまさるものなし」
「やっぱりオムライスでしょ」
「鴨南~天ぷら蕎麦~おしるこ~」
「腸詰めになったヤマイモにわさび醤油、食べてみたいよね」
などなど、いろんな方々のお気に入りポイントを伺うのも楽しい作品です。
私はと申しますと、根っから白飯党でございますので、タンポポさんの朝食を「たまらん」場面として挙げさせていただきたいと思います。
おひつからお茶碗へよそわれるごはん、感じよく煮崩れた豆腐のお味噌汁、卵黄とともにかきまぜられる納豆、ぬか床から引っぱり出されたばかりのニンジンとキュウリ。
ゴローさんは焼き海苔にご飯とほぐしたアジの干物をのせ、手巻きにしてパクリ。ターボーも不器用に真似てモグモグ――
自分も画面の中に入っていって、その場に加わりたくなる食卓だなぁと、いつ見ても思います。
そうだ、今日は干物を買って帰ることにいたしましょう。
ところで、『タンポポ』を作った頃の伊丹十三は、実は、美食とは距離をおき、自然食の生活を送っていました。
子育てのために1970年代半ばから取り組むようになり、ごはんは玄米、肉は控えて蛋白質は魚と大豆、白く精製された食品はダメ、砂糖も白いのはダメ、小麦粉もダメ、牛乳ではなく豆乳を、という徹底ぶりだったそうです。
【収蔵庫より】伊丹家で使われていた圧力鍋。
玄米もこの鍋で炊かれたことでしょう。
質素な食生活をストイックに続けていたからこそ、世の中をあらためて見渡してみたときに、食べ物(殊にラーメン)に夢中になる人間たちのこと、人々を夢中にさせる食べ物のことが興味深く感じられて『タンポポ』という作品が発想されたのでしょうね。
この伊丹家の自然食ライフは、ほどなくして終わりを迎えることになったそうなのですが......少し意外でちょっと笑える経緯があったようです。
詳しくは『伊丹十三選集』第3巻(岩波書店)の巻末解説でご次男・万平さんがユーモアを込めて回想してくださっていますので、ぜひお読みくださいませ。
学芸員:中野
2019.10.21 体を温める飲み物
朝晩は寒いくらいに冷え込むようになってきました。体を温める飲み物や食べ物がほしくなる季節ですね。
体を温める食材といえば生姜がよく知られています。
ここ記念館のカフェ・タンポポでも、記念館オリジナルの生姜シロップを使ったホットメニュー――しょうが湯(と十三饅頭のセット)、ソイジンジャー、しょうが紅茶――は、飲むと体がぽかぽかすると、寒い季節には特にご好評をいただいています。
本日はもう一つ、その生姜メニュー以外の"体を温める"飲み物として、「タンポポコーヒー」をご紹介します。
「どんな飲み物ですか?」とお客様からご質問をいただくことの多い「タンポポコーヒー」は、タンポポの根っこから作られている飲み物です。
可愛らしい花を咲かせるタンポポですが、地面の中では意外と(?)たくましく、ごぼうのようなしっかりとした根を張っていて、これを干して乾燥させ、焙煎して作られるのがタンポポコーヒーです。見た目はコーヒーそのものですが、香ばしいお茶のような味がします。
ノンカフェインのため妊婦さんなどカフェインを控えている方にも安心して飲んでいただけますが、加えて "体を温める" 働きもあるそうなんです!
食べ物や飲み物について、体を温めるものを「陽性食品」、体を冷やすものを「陰性食品」とする分類の仕方があって、タンポポコーヒーは「陽性食品」にあたるのだとか。体が冷えがちなこれからの季節にぴったりの飲み物です。
ご来館の際はぜひお試しくださいませ。
タンポポコーヒー
スタッフ:山岡
2019.10.14 伊丹十三の住まい
雑誌『メンズプレシャス』2019秋号で、またまた伊丹十三をご紹介いただいています。
ファッション&ライフスタイル特集「紳士の食卓または食いしん坊の美学」のインタビューに宮本館長が登場して、伊丹さんの食の選び方を振り返っているのですが、「食べ物の話なのに、住まいや庭へのこだわりぶりにも話題が広がるところが伊丹さんらしいなあ」と面白く読みました。館長、貴重なお話ありがとうございました!
皆様も、書店で見かけたらぜひお手に取ってみてくださいね。
「で、伊丹さんはどんな家に住んでたの? 知りたいな見てみたいな~」という方もいらっしゃることでしょう。そんな方には、まず、監督デビュー作の『お葬式』(1984年)をご覧いただくことをお勧めいたします。
湯河原の家が撮影のメイン・ロケーションになっていますから、映画の中に伊丹十三が暮らした空間がたっぷり収められています。
(※来月の「十三日の十三時」は『お葬式』でございます。11月13日(水)13時、お待ちしております!)
それから、記念館にお越しいただきました際には、展示しているCM映像もよーーくご覧ください。伊丹十三が手がけたテレビコマーシャルには、湯河原の家で撮影されたものが実はたくさんあるのです。
現在の企画展でご紹介している一六タルトCM(字幕付き)からいくつか例を挙げますと――
成績篇(書斎)
手洗い篇(書斎)
※成績篇と逆のアングルですね
「タルトひと切れ」(2階の一室)
「どないしたんぞ」(庭)
――というように、伊丹十三は、自身の作品、表現活動のために自邸をたびたび使っているわけですが、ひっくり返して考えてみると、自分の好きな物に囲まれる空間を築いてそこに身を置くこと、そういう人物でいること自体が、伊丹さんにとっては表現だったのでしょう。
西友、ナショナル冷蔵庫、味の素マヨネーズのCMにも湯河原の家で撮影されたものが数々ありまして、記念館限定販売のDVD『13の顔を持つ男』でもご覧いただけます。
住まいの様子がここまで多くの映像で残っている人って、他にはなかなかいない気がします。そんなところも含めて、記念館と伊丹十三の作品いろいろ、お楽しみくださいませ!
学芸員:中野
2019.10.07 10月のお知らせ
記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
日中はまだ蒸し暑さを感じますが、朝晩は冷え込んできました。体調を崩されませんようお気を付けくださいね。
さて記念館から二つ、10月のお知らせです。
■十三日十三時の伊丹映画上映!
ご存知の方も多いと思いますが、記念館では、常設展示室に入ってすぐ左手にある42インチサイズのモニターで、「十三」日の「十三」時から、伊丹監督映画作品を1本ずつ上映しています。
今月「十三」日は『マルタイの女』(1997年)です!
展示を見終わったお客様から「伊丹映画を観たくなりました」というお声をよくいただきますが、時間を合わせてお越しいただけるようでしたら、このときばかりは展示をご覧になったその場所で伊丹映画を楽しめてしまいます!
また、今月は日曜日ですので、「行きたいけど平日は時間的にちょっと無理...」という方も、この機会にぜひご来館くださいませ。
当日ご来館のお客様には、
その日に上映する作品のオリジナルミニ解説をプレゼントしております
■10月22日(火)は開館し、翌日23日(水)は休館いたします
記念館は通常「火曜日を休館日」とさせていただいていますが、「即位礼正殿の儀」が行われる2019年10月22日(火)は休日(祝日扱い)となるため、記念館は開館いたします。そして翌日23日(水)を休館させていただきますので、ご来館を予定してくださっている方、もしくはこれから予定を立てられる方は何卒ご注意くださいね。
10月22日(火)... 開館
10月23日(水)... 休館
※22日の開館時間は通常どおり10時~18時(最終入館受付は17時30分まで)です。
記念館の開館カレンダー(すぐ下の画像)は記念館トップページ画面下にあります。今の時点で2020年1月までの開館スケジュールをご確認いただけます。
暑さも和らぎお出かけもしやすくなりましたので、皆さまどうぞ記念館に足をお運びくださいませ。
スタッフ:山岡
2019.09.30 鉛筆派のシャープ・ペンシル
前回、「伊丹十三は鉛筆派」というお話をいたしました。
が、実はですね、1980年代中頃からはシャープ・ペンシルも愛用していまして、たとえば――
≪常設展示室より≫監督第2作『タンポポ』
(1985年)のポスター複製パネル
このポスターのイラストの部分、伊丹さんがシャープ・ペンシルで描いたものなんだそうです。
≪カフェ・タンポポに原画を展示しています≫
伊丹さんがこれを描いているところに居合わせたという
玉置泰館長代行(伊丹プロダクション社長)から聞きました。
記念館では、伊丹十三が愛用したモンブランの「PIX 75」と「1686」を所蔵しています。
シャープ・ペンシルといっても、一般的なものに比べると倍ぐらい太い芯を入れるタイプなので、鉛筆派の伊丹さんにピッタリの書き味だったのでしょうね。
≪収蔵庫より≫並んだペンの一番手前が「PIX 75」、その奥が「1686」です。
(※収蔵庫ツアーは事前応募制で毎年5月に開催しております)
ちょっと前、『マルサの女2』(1988年)のメイキングビデオ『「マルサの女2」をマルサする』を観ていて、「おっ!」となりました。PIX75を使っているところが写っていたのです。
『「マルサの女2」をマルサする』(1988年 / 制作=テレビマンユニオン、
伊丹プロダクション / 構成・演出=周防正行)より。
シナリオをコリコリと手直ししているところです。
伊丹映画の制作現場に密着取材したメイキングは『タンポポ』から『大病人』まで6本作られていて、「あ、コレ、記念館の収蔵品だ」「実際に愛用していた様子がこんなふうに映像に残ってたんだ」というシーンにしばしば出くわします。
もともとは、映画作りの裏側を楽しく知ることができるドキュメンタリーとして作られたものなのですが、今あらためて観てみると「その時その時の伊丹十三の姿を捉えたアルバムのような側面もあるなぁ」と感じます。
近年、伊丹さんの独特のお洒落に注目してくださる方が増えつつあるようなので、そんな方々にも伊丹映画のメイキングをお勧めしたいと思います。きっと、たくさんの嬉しい発見があることでしょう!
いろいろな方にいろいろにお楽しみいただけるメイキング映像は、「伊丹十三FILM COLLECTION Blu-ray BOXⅡ」の特典ディスクに一挙収録されています。
皆様、ぜひご覧くださいませ。
「伊丹十三FILM COLLECTION Blu-ray BOXⅡ」(写真右)の特典ディスク
【伊丹十三映画ができるまで】には、メイキング6作品のほか
『静かな生活』『スーパーの女』『マルタイの女』の
撮影現場の様子やインタビューも収録されています!
学芸員:中野
2019.09.23 愛媛みかんジュース
記念館のカフェ・タンポポのドリンクメニューに、愛媛みかんジュースがあります。
「愛媛みかん(温州みかん)」「清見タンゴール」「デコタンゴール」の3品種をご用意しておりまして、3種すべてをおたのしみいただける、愛媛みかんジュース 飲み比べセットもあります。
愛媛みかんジュース飲み比べセット(700円)
品種によって味にそれぞれ特長があるのに加えて、よく見比べると色にも違いがあります。飲み比べセットをご注文なさったお客様は、その違いをひとつひとつ楽しみながら、ゆっくり味わっていらっしゃいます。
とくに愛媛県外からお越しのお客様には、愛媛といえばみかんの印象が強いようで、よくご注文いただきます。実際に召し上がると、「おもっていた以上に、味の違いがはっきりわかる」「わたしはこの味が好き!」などなど、会話も弾んでいらっしゃるようです。
また、カフェのメニューにはシャンパン(200mlボトル)がありますが、そのシャンパンを愛媛みかんジュースで割って、ミモザとして召し上がっていただくこともできます。
伊丹さんは、エッセイ『ヨーロッパ退屈日記』の中で、「わたくしは、飛行機に乗ったら、飲物は『ミモザ』ときめている」と書いていましたので、伊丹エッセイファンの方にはおなじみの飲み方かもしれませんね。
記念館にいらしたら、ぜひご賞味くださいませ。
スタッフ : 淺野
2019.09.16 クリアファイル、人気です
書類の整理や仕分けに便利なクリアファイル。
職場や学校、ご家庭で、日常的に使われる方も多いのではないでしょうか。
ご存知の方も多いと思いますが、ここ記念館ショップではクリアファイルを販売しています。
サイズはA4とA5の2種類があり、サイズごとに2種類ずつ異なるデザインをご用意しています。どれも伊丹さんのイラストなどがプリントされた「伊丹十三記念館オリジナル」のクリアファイルなんですよ。
お土産だけでなく自分用の普段使いに買われる方も多く、もともと人気商品の一つでしたが、特にこの7・8月は、以前にも増して多くのお客様が手に取ってくださいました。
お買い上げいただいた数だけでいくと、ポストカードや十三饅頭に次ぐ第3位!
記念館のロゴが入ったクリアファイルを、たくさんの方に使っていただけるのは本当に嬉しいです。
クリアファイル4種類
記念館のロゴ(種類によっては赤文字になります)
中でも、より持ち運びしやすいという点から、特にご旅行中の方を中心に人気なのがA5サイズのクリアファイル。ちょっとしたメモ書きやチケット類をはさむのに重宝するようです。
A5のクリアファイル
A5サイズ2種類のデザインのうち、一つは1971年4月に雑誌「ミセス」に掲載された伊丹十三のエッセイとその挿絵がプリントされています(すぐ上の写真右)。ちなみにこのエッセイの原画は常設展示室に展示されていて、また、ショップでは、同じデザインのポストカードも販売中です。
そしてもう一つは、昨年12月から今年2月にかけて発売された『伊丹十三選集』(全三巻・岩波書店)の、第一巻から三巻のケースにプリントされた伊丹さんのイラストを並べたデザインです(写真左)。『伊丹十三選集』刊行を記念して作ったクリアファイルで、今年3月に販売を開始してから、あっという間に人気商品のひとつになりました。
お越しの際はぜひご覧になってみてください。記念館オンラインショップでもお求めいただけます!
スタッフ:山岡
2019.09.09 鉛筆派
先日のこと。
外出先でメモを取るのに鉛筆を使っていましたら、「ペン忘れたんですか!? よかったらこれどうぞ!」とボールペンを差し出されました。いえいえ、鉛筆派なので...これでいいんです...スミマセン。
このお仕事をしていますと、資料の汚損・破損を避けるために、インクペンやシャープペンシルを使えないシーンが多々あります。気付けば鉛筆派になっている、っていうのは"学芸員あるある"かもしれません。
それから、よその博物館や図書館へ行ったときにも、ペンしか持っていないと困るんですよね。お願いすれば貸していただけるとはいえ(もちろん、記念館でもお貸し出しいたします!)、すぐにその場で書き留めてしまいたいことってあるじゃないですか。
そんなこんなで、休みの日もペンより鉛筆を持ち歩くようになったのですが、「ペン忘れたんですか!?」と言われるところからすると、いい大人が、いつ何時でも、しかも人前で鉛筆を使うのって、ちょっと変なのかもしれません。
「気を遣われるのも何だしなあ」と、あらたな筆記具を求めて文房具屋さんを物色しにいきました。
結果――
どーーん! 消しゴムつき!
携帯に便利そうな、スマートなペンも買ってみたんですけどねえ、トンガった感じとか、金属製の角張ったパーツとか、手ざわりがどうも...じきに使わなくなるのが目に見えるようで...やはり鉛筆を買ってしまうのでした。ダースで。
ユニを買ったのは、塗装がちょっとポッテリとしていて感触のやわらかさが好き、というのもありますが、伊丹さんの真似っコでもあります。
≪常設展示室より≫伊丹十三愛用の筆記具。
三菱鉛筆のユニが特にお気に入りだったそうです。
(ちなみに、緑色の鉛筆も同じ三菱鉛筆の「9800」です。)
芯の濃さは2Bが定番。
原稿もメモも絵コンテも、書き仕事では鉛筆派だった伊丹さん。
展示室では、鉛筆書きの直筆資料をいろいろとご覧いただけます。
≪常設展示室より≫映画『お葬式』シナリオ準備稿
≪企画展示室より≫エッセイ「薯焼酎」草稿
≪常設展示室より≫映画『タンポポ』絵コンテ
コリコリとしたためられた文字あり、サラサラっと描かれた図もあり。伊丹十三の創作現場が自然と想像されるようですね。
ご来館の際は、そんな鉛筆の線までもぜひお楽しみくださいませ。
学芸員:中野
2019.09.02 積乱雲
夏の暑さが落ちつくころといわれる処暑を過ぎ、9月になりました。
松山は朝晩の暑さが随分やわらぎ、記念館の周辺では、夕方になると虫の音が聞こえます。ゆっくりと秋が近づいているのを感じます。
ところで、伊丹さんのエッセイ集『女たちよ!』の中に、こんな一節があります。
" 年を取ったせいか、朝、やたらに早く目が覚める。
五時、六時、というのに、もうはっきりと目が覚めてしまう。
永井龍男さん流にいうなら、一息に眠れる時間が、だんだん短くなってきた、というのだろう。
朝のうちは、そこで、裸で屋上に寝そべって呆然として過す。朝の強い日ざしの中で、青い空、白く光る積乱雲を見上げて、呆然として過す。
積乱雲などというのは、一体何年ぶりでしみじみ見上げるのか知らないが、実に昔と同じだね、あれは。
輪郭が、どこか人の横顔に似ていたり、その横顔の形がどんどん崩れながら、峰のほうへ峰のほうへ伸びていったりするのも昔のままだ。
それから、その峰のあたりの雲をつぶさに見ていると、だんだん綿菓子そっくりに見えてくるのも、これまた昔と同じ。(子供の頃、えらくだだっ広い道だと思っていたのが、大人になってから見ると、どうしても同じ道とは信じられないくらい、みすぼらしい路地だったりするもんだが、綿菓子に関しては不思議にそういうことがないね。昔も大きかったし、今もやっぱり大きい)
そうして、動いてゆく雲を見ていると、いつしか、雲は動きを止め、われわれの寝そべっている建物が、大地自身が、巨大な汽船のように、音もなく、震動もなく、滑るように動き始めるところまで、何もかも子供の頃とそっくり、そのままだ。
動くのは、雲か、われか? "
「ウイローの紳士」『女たちよ!』(1968年)より
青い空に湧き上がる積乱雲、この夏もよく目にしました。エッセイに書かれているように、昔も今も変わらぬそのようすを、何とはなしに眺めてしまうときがあります。
開館・閉館作業で外回りをチェックしているとき、
空や雲のうつくしさに気づきます。
8月下旬頃からは、空を見上げると雲が高い位置に浮かんでいることが多くなり、夏の風物詩・積乱雲の出番が減ったようにおもいます。空のようすからも、少しずつ秋が近づいているのがわかります。
中庭から空を見上げると、
季節によって違う空のようすが綺麗に見えます。
とはいえ、日中は、まだ気温の高い日もあります。
夏の疲れが出るころですので、皆さま、くれぐれもご自愛くださいませ。
スタッフ : 淺野
2019.08.26 夏休みの宿題をきっかけに
7月下旬から8月の夏休み中はご家族でのご来館が特に増えますが、きっかけが「学校の宿題」というお客様が毎年何組もいらっしゃいます。
小学校の自由研究、もしくは中学校のレポート課題で「伊丹十三」をテーマに選んだ学生さんが、記念館に "勉強" しに来られるのです。伊丹さんを知らない方が多い年代だと思いますが、この宿題が伊丹さんを知る、もしくは興味を持つきっかけになってくれるので、記念館スタッフとしては「こんないい宿題を出してくれてありがとう!」と感謝せずにはいられません(学生さんは大変かもしれませんが...)。
小中学生の皆さまの目に伊丹さんという人物がどのようにうつるのか、ちょっと楽しみな部分もありますので、機会があれば、できあがった自由研究や課題をみてみたいなぁと思います。
さてそんなふうにご来館いただいた学生さんのうち何名かに、特に印象に残った展示をうかがうタイミングがありました。いくつかご紹介しますと...
まずは常設展示室にある、伊丹さんが小学校の頃に書いた野菜の絵や植物の観察日記。「小さい頃から絵が本当に上手なんですね!」とびっくりしていました。また、自分でハンドルをまわして、布にプリントされた伊丹さんのイラストをみる「手まわし式イラスト閲覧台」も、「自分で動かす展示は面白い」と好評でした。
企画展示室にある「伊丹十三による正調松山弁シリーズ 一六タルトCMセレクション」は、学生さんだけでなく付き添いのご家族(ご両親やおじいちゃんおばあちゃん)も楽しめたようです。伊丹さんが手がけた一六タルトのCMの中から7篇を紹介する約5分の映像では、伊丹さんが昔ながらの伊予弁で語りかけてきます。その中には「どういう意味?」と思う言葉(伊予弁)もあるかもしれませんが、この映像には標準語の字幕がついていますので、ご安心ください!
学生さんだけでなく、ぜひご家族一緒に、伊丹十三記念館ならではのこだわりの展示をお楽しみくださいね。
小学6年生の時の昆虫観察ノート
手まわし式イラスト閲覧台
字幕付きの一六タルトCMセレクション
そして、来館をきっかけにもう少し伊丹さんのことを知りたいと思われたら、豊富なカラー写真で分かりやすく伊丹さんを解説している『伊丹十三記念館ガイドブック』を手に取ってみてください。『ヨーロッパ退屈日記』『女たちよ!』などの伊丹エッセイにチャレンジするのもおすすめです。
あと1週間を残すところとなった夏休みのお出かけ先として、皆さまのご来館をお待ちしております!
スタッフ:山岡
2019.08.19 「ヤラセ」
毎週月曜日に更新しているこの記念館便り、今は3名のスタッフが順に担当していますので、3週間ごとに当番がまわってくるローテーションでやっています。
記念館について、伊丹さんについて、ご紹介したいことはあれこれとあるのですが、時の経つのが早すぎて、「アレッ、次もう自分の番じゃないの!」と慌てることが(私の場合)しばしばございます。
テキストを作成して、「さーて、これに感じのイイ写真を添えたらOK、今回は季節感のある写真がいいね!」なんていう段階まで進めたところで窓の外を見ると......お天気が悪かったり、日差しの向きが理想的でなかったり......そんなことで、折よく「感じのイイ」写真が撮れる状況でなかったりすることもまたしばしば。
ということで白状するのですが――
上の写真(2018年7月16日更新分)、実は、館の南側の芝生に落ちていたセミの抜け殻を、西側の桂の幹にくっつけて撮りました......"ヤラセ"だったんです、すみません......
更新された記念館便りを見た同僚の一人が「この写真イイですね~、ちょうどいいところに抜け殻がくっついてたもんですね!」と言ったときには、心臓が止まりかけました。(そしてすぐに自白しました。)
というような、程度の低い私のヤラセ写真の例を導入にして恐縮ですが、ズバリ「ヤラセ」というタイトルの伊丹エッセイがございます。
テレビの仕事に携わっている男と、別の男が「ヤラセとは何か」を語り合う形式のエッセイで、
・ドラマはヤラセに含まない
・では、演技のプロである俳優の日常生活のドキュメンタリーはヤラセか
・演出の都合に合わせて偽の自然を演じると俳優でも素人でもヤラセでは
というような話の後――
* * * * * * * * * * * * *
「じゃあ、台本のある例を出しましょ。農村から中継してる。アナウンサー歩いてくる。そこへさも偶然らしく――もちろん仕込んであるわけだけど、柿を積んだ耕耘機が通りかかる。運転してるのは農家の奥さんね、アナウンサー、コンニチワァ、かなんかでインタビュー始めるね、柿の話から柿狩りの話になる、と、柿狩りのフィルムが出たりする。要するに全部台本通りなのね。耕耘機のおばさんも、もちろんアシスタントのキューで登場したわけだな、こういうのは――」
「そりゃ、なんぼなんでもお粗末なんじゃない? そりゃ確かにヤラセだけど、それは下手すぎるよ、それじゃばれちゃいますよ」
「アレ、妙なこというねえ」
「どうして?」
「じゃあ、ばれなきゃいいって話? だってヤラセだってのはさ、ヤラセがばれてるから問題になってるんでしょ? ばれたらヤラセじゃなくなるわけ?」
「いや、そうじゃないけど、でもばれるってことに関連していうなら、程度のいいディレクターだと、ヤラセをわざとばらしちゃうって場合もあるでしょ。スタッフを映しちゃったり、カットっていったあとしばらくフィルム廻しておいてヤラセやってた人が本来のその人に戻るさまを捉えるとか」
「またあなた新しい問題持ち込んでる。手口を告白してるのはヤラセじゃないとすると、今度は、その告白がちゃんと伝わるかどうか、見てる人がちゃんと読みとってくれるかどうかが問題になってくるわけよ。そうすると、見る人によって、同じものがヤラセであったりなかったりすることになってくるわけだけど――」
「ウワァ、いらいらするねえ、じゃあ、あなたにとってヤラセって何ですか」
「私にとって? さあ何でしょうかねえ、結局私自身の問題としていうなら、僕はテレビを作る場合、人間関係を伝えたいと思うわけね、撮る人と撮られる人の人間関係、撮られる人と撮る人の人間関係、撮る人同士の人間関係、撮られる人同士の人間関係、そういうもろもろの人間関係とテレビを見る人との間に生じる人間関係、これを大切にしたいと思うわけだね。だから――結局私としては、自分自身がいかに自己及び他者と誠実に出会おうとしているか、ということ自体を通路として見ている人と出会いたいと思うわけですね」(後略)
「ヤラセ」『女たちよ!男たちよ!子供たちよ!』(1979年 文藝春秋)
※現在入手可能な書籍では『伊丹十三選集』第3巻に収録されています
* * * * * * * * * * * * *
「撮る人と撮られる人」「撮られる人と撮る人」「撮る人同士」「撮られる人同士」「そういうもろもろの人間関係とテレビを見る人」の人間関係を大切にしたい――
作り手としての見解を記した文章ですから「見る人同士」ということはここには書かれていませんが、受け手の側である私たちにとっては「見る人同士の人間関係」も、当然、大切にしなければいけないな、とつながってきますよね。
表現されたものを他の人はどう受け止めているのか、いろんな立場があることを慮って、いろんな意見を取り入れられるようになりたいものです。
先ほど挙げたのは「テレビ」の「ヤラセ」についての文章ですけれども、近ごろ報じられる機会がどうも妙に増えてきた、「表現の自由」の問題に接するにつけ、「自分自身がいかに自己及び他者と誠実に出会おうとしているか、ということ自体を通路として見ている人と出会いたい」という考えを多くの人が持てたなら、防ぐことができた事態が多々あるのだろうな、と感じる今日この頃でもあります。
先日の雨の朝、記念館の黒い外壁に映えるカタツムリを発見し、
カメラを向けたら「にょきーーん!」と張り切ってくれたので
載せておきます。ヤラセではございません(笑)
気付けば8月も下旬。どなた様も、ヨイショヨイショと夏を乗り越えてこられたことと思います。あとひといき、油断せずにお過ごしくださいませ。
学芸員:中野
2019.08.12 宮本館長が出勤いたしました!
夏休みになり、お子さま連れのご家族のご来館が多くなりました。
「伊丹さんのことを、まだ知らない」というお子さまたちが、館内で楽しそうになさっている様子を拝見しますと、大変うれしく存じます。
そんな夏休み真っ只中の8月3日(土)4日(日)、宮本館長が記念館に出勤いたしました!
両日とも厳しい暑さの中、多くのお客様が県内外からお越しくださいました。ご来館くださった皆さま、誠にありがとうございました。
お客様とご一緒にお撮りした写真を、少しご紹介いたします。
皆さま、会話が弾んでいましたね。
県外からのお客様で、「いつか記念館に行きたいと思っていたところに、ウェブサイトで宮本館長出勤の告知を見て、よいタイミングだと思って来ました」とお声をかけてくださった方がいらっしゃいました。
記念館のことをお気にかけてくださり、そして実際に足を運んでいただきましたこと、大変うれしく存じております。
次回の宮本館長出勤日時が決まりましたら、記念館ウェブサイト・トップページの「ニュース欄」でお知らせいたしますので、どうぞお楽しみに!
スタッフ一同、皆さまのお越しをお待ちしております。
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<記念館からのお知らせ・お盆期間中の開館情報>
毎週火曜日は休館日ですが、8月13日(火)はお盆期間中のため開館いたします。
スタッフ:淺野
2019.08.05 夏の水遣り
記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
毎日暑いですね!
ここ記念館の受付で皆さまをお迎えしていますと、汗をぬぐいながら入ってこられる方、第一声が「暑いね~」という方が本当に多くなってきました。水分・塩分を適宜お取りになって、体調を崩されないようくれぐれもご注意ください。
さてこの時期、記念館スタッフは交代で記念館の敷地にある庭木に水遣りを行います。
特に西側(記念館正面側)は日当たり良好なので、夏場、何日も雨が降らないときは、気温の高すぎる昼間を避けて夕方に水を遣ります。夕方近くに来られた方は、木の根元にホースを設置するスタッフの姿を見かけたことがあるかもしれませんね。
冷房に慣れてしまっている身としては、昼間ほどではないとはいえ、暑い中でのなかなか大変な作業になるのですが――暑さに加えてもう一つ、水遣りを大変だなぁと思う理由が、「蚊」です。
暑い時間帯はおとなしくしているのか昼間はあまり気にならないのですが、この夕方の水やり中は、油断すると知らない間に蚊に刺されてしまいます。うっかり虫よけスプレーをし忘れてしまうと、短時間で何か所も痒みを感じますし、時には服の上から刺されていることも・・・。スプレーし辛い顔や耳のあたりも、蚊にとってはねらい目(?)のようです。
ご自宅のお庭の手入れなどをされている方など、同じような経験はございませんでしょうか。
夏の蚊は本当に強敵ですが、庭木も厳しい暑さの中頑張っていますので、暑さや蚊と格闘しつつ雨降り以外の日は水遣りに励みたいと思います!
この蚊にちなみまして、伊丹さんの著書『女たちよ!』に、「蚊」というタイトルのエッセイが掲載されていますので、最後に少しご紹介いたします。
タイトルどおり蚊について書かれているのですが、「確かに!」と共感するところが多かったこともあって、蚊が飛び回る時期になると必ず思い出してしまうエッセイです。
ご興味のある方はぜひ読んでみてくださいね。
そろそろ蚊が多くなってきた。
五月、六月の蚊は、まだあんまり人間に馴れていないからとるのも楽であるが、これが八月、九月になるともういけない。人間の攻撃の、あらゆる裏表を知りつくした、老巧なやつらだけが生き残って跳梁をほしいままにする。
パン!パン!と蚊に向かって打つ拍手がことごとく空振りに終って、ついには手のひらがじんじんと腫れぼったくなってしまう。
小学校の頃、よく鬼ごっこをして、その鬼ごっこの中に、摑まったものがみんな手をつないで、長い長い鬼になる遊びがあった。
鬼の列がだんだん長くなって、運動場の端から端まで届くほどになる頃まで、うまく生きのびた経験が、きみにはないかな?あの時の胸のうちなんぞというものは、なんとも心細いようなもの悲しいような、それでいて晴れがましいような、心の躍るような、うそ寒い気持がするものであるが、九月ごろまで生きのびた蚊の心持も、あれに近いものかも知れぬ。
しかし、ほんとにいやな性能を持って生まれてきやがったね、蚊というものは。
要するに、刺すのは血がほしいからで、いやがらせのためじゃないんだろう?だったら、それならそれで、もっとへりくだった気持にはなれないものかね。たとえば刺されたあと、なんで人間が痒い思いをしなけりゃならんのかね。完全に無駄です。いや、刺されることも、痒いこともまだ我慢しようと思う。
どうにも我慢がならんのはあの音であります。そもそも、自分の居場所を人間に知られるだけ損だし、第一危険ではないか。なにを考えてるのかね、蚊というのは。やることが支離滅裂である。
要するに、蚊としては血をもらえさえすれば目的は達するわけだから、われわれ何ccかずつ血を出しあって、蚊のために巨大な血の池のようなものを建造し、蚊は直接そこから血を飲む、というような具合いにはしてもらえないものかね。
「蚊帳ってものがあったなあ」
「いいねえ、蚊帳ってのは」
「ほら、上のほうが白でさ、裾のほうへいくとだんだん青が濃くなるの」
「田舎だと全部緑色の蚊帳なんて多かったよ」
「そうそう。どういうもんだか、ナフタリンみたいな匂いがするのな」
「なんだか、あの蚊帳の中ってのはさ、平和っていう感じじゃない?妙に居心地がいいんだよな。本なんかすごく落ち着いて読めちゃう」
「おれは蚊帳の中にはいると、いつもなんだか浮き浮きしちゃったなあ。蒲団の上で尻上りみたいにして、足で蚊帳の天井蹴ったりしてさ」
「そうそう、天井蹴るよなあ。それからさ、寝る時にさ、天井から下ってる電燈をさ、蚊帳の天井越しに探ってぱちんと消すのな。あれもまたよかったよな、ざらざらして」
「はいり方もあったなあ、みんなで一斉にぱっとはいる」
「蚊帳ってのは、畳むのもむつかしかったよ。なんか赤いちっちゃなきれがついてたろ?畳む時の目印に」
「そうそう。それから蚊帳の吊輪をかけるものがあったろう。ほら、緑色の紐でさ、海老茶のさ、瓢箪形のアジャスターみたいなのがついてさ」
「蚊帳の中にはいった蚊ってのは、もう駄目だよな。パン、パン、パンって一ぺんに片づいちゃってさ」
「よくブンブンなんか外から飛びこんできてさ、蚊帳の外にとまったりしてやがったよな」
最近「電気蚊取器」というものが売り出されたので、私は胸を躍らせて電機屋へ見にいった。「電気蚊取器」という名前を聞いて私は次のような機械を想像してしまったのである。
すなわち、大きな金属製の箱から、伸縮自在の金属の腕が二本伸びている。蚊がこの箱に近づくと、ジージーという音とともに二本の腕がするすると伸びて、二つの手のひらでパチン、と蚊を叩きつぶす、というものであった。ジー、ジー、パチン、パチン――「電気蚊取器」の活躍を横目で見ながら、窓をあけはなして本を読む。どうも、まだあきらめきれないような気がするのである。
「蚊」『女たちよ!』(新潮文庫)
スタッフ:山岡
2019.07.29 新資料、燻蒸中!
"湯河原の家"から、家具・書籍・生活用品などの資料が届きました。湯河原から記念館への追加収蔵は開館以来初めてで、段ボール箱にして50箱超のボリュームです。
※湯河原の家...自然豊かな環境での子育てのために、伊丹十三が移り住んだ家。のちに別荘。一六タルト・西友・味の素マヨネーズなど数々のテレビCMのほか、監督デビュー作『お葬式』のロケ撮影にも使われました。
収蔵庫に入れる前に、資料に付着しているであろう虫や菌を退治しておくため、7月28日(日)から29日(月)にかけて燻蒸(くんじょう)を行っております。
密閉した空間に気体状にした薬剤を充満させる"燻蒸"、皆様お馴染みのところでイメージしていただくなら「バルサン」みたいなもの......といったところでしょうか。
博物館施設によっては"燻蒸庫"という専用設備をお持ちのところがあったり、それがなくとも、収蔵庫を丸ごと密閉して燻蒸するやり方もあったりしますが、今回は新規に受け入れる資料を対象に行いたい――
ということで、総合衛生コンサルタント・生物害防除の東洋産業松山支店さんご相談しましたら、コンパクトに実施できる方法として「包み込み」式の燻蒸をお勧めいただきました。休館せずに行えるのも、包み込み式のメリットです。
使う薬は虫・卵・カビ(菌)に幅広く効果を発揮する、こちらです。
文化財虫菌害研究所の文化財虫菌害防除認定薬剤「エキヒュームS」。
左奥は、薬をじゅうぶんに温めて、気体の酸化エチレンにするための気化器です。
館内(2階)に専用シートの"テント"を設営していただき、
シートにはガスを通さない加工がされています。
燻蒸したいものを詰め、薬剤ガスを送り込むホースを引いて、
テスト用の虫と菌のサンプルも置き、
燻蒸後、文化財虫菌害研究所に送って効果を判定していただきます。
テントの口を端から端まで、テープと大きなクリップでピッチリ!と閉じます。
隙間なくホースだけが入っている状態になったら――
スタンバイできましたーー!
(手前の機械はガス警報器です)
いざ投薬!!
「文化財虫菌害防除作業主任者」の資格を有する方が
法令を遵守して進めてくださいます。安全第一!
テント内部の気温25℃以上、酸化エチレンの空間濃度1%以上の状態を保ちながら、24時間かけて燻蒸します。
所蔵資料を展示に供するだけでなく、安全に、虫菌害の起らないように保管していくのも博物館の務めでございます。
専門業者さんに殺虫・殺菌していただいてから収蔵しますと、収蔵庫内の環境が保全され、すでに入っている資料へ悪影響を及ぼすことも防げますので安心ですね。
燻蒸がすみましたら、新規収蔵資料はお手入れ・整理をしつつ、皆様のお目にかけられるようによく調査させていただきます。
たくさん受け入れましたのでちょっと時間がかかると思いますが、お楽しみにお待ちくださいませ!
学芸員:中野
2019.07.22 特報映像と絵コンテ
劇場で映画本編がはじまる前に流れる、公開をひかえた映画の告知、いわゆる「特報映像」を、皆さまご覧になったことがおありのことと存じます。
記念館の常設展示室では、伊丹映画の「特報セレクション映像」を展示上映しております。伊丹映画本編と同様に、監督自身が趣向を凝らしてつくった特報は、わかりやすくおもしろいものばかり。映画をご覧になったことがある方もそうでない方も、皆さま楽しんでいらっしゃいます。
『タンポポ』の特報映像より
現在は、『タンポポ』『マルサの女2』『あげまん』『スーパーの女』『マルタイの女』の特報を流しています。一部作品を入れ替えることもありますが、今後も上映していく予定です。
ところで、伊丹さんがどんな風に特報を作ったのかがわかるひとつの資料が、現在の企画展「おじさんのススメ シェアの達人・伊丹十三から若い人たちへ」にあります。映画『タンポポ』特報映像のために描かれた、絵コンテです。
絵コンテと特報映像、両方ご覧いただくと一層楽しめますよ。
『タンポポ』特報絵コンテ
この絵コンテを展示しているコーナーでは、伊丹さんが、どのように自作映画の宣伝に取り組んでいたのかを紹介しています。
絵コンテ以外にも、映画のタイトルやポスター・ちらしなど、観客を劇場に呼び込むために力を注いでいたようすをご覧いただけますので、ぜひ、お見逃しなく!
スタッフ : 淺野
2019.07.15 記念館の8月の予定
記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
記念館の中庭では、先週あたりから蝉の声がきこえはじめました。これからどんどん夏らしくなっていくんですね。
毎年たくさんの蝉でにぎわう(?)中庭の桂。
上記の写真の中に、確認できるだけで4匹とまっていて
これからどんどん増えていきます。
さて7月も半ばとなり、学生さんなどは夏休みが近づいてきていますね!普段お仕事をされている方も、7月~8月はまとまったお休みを取られる方も多いと思います。7月に入り、嬉しいことにその期間の旅行先やお出かけ先として記念館をご検討くださる方から、記念館のスケジュールについてお問い合わせをいただくことが増えています。
本日は記念館の8月の予定についてご案内しますね。
まず...記念館ホームページのニュース欄をご覧になってすでにご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、8月には下記の日程で宮本館長が出勤いたします!
■8月3日(土)13時~16時頃
■8月4日(日)11時~13時頃
※当日の状況により、滞在時間等は変更になることがあります。
出勤時はお客様とお話をしたり一緒に写真を撮ったりスタッフと打合せをしたりと、大忙し!の宮本館長。私たちスタッフと一緒に元気にお客様をお迎えしますので、お誘い合わせのうえ、ぜひご来館ください!
そして8月の開館スケジュールについては、記念館はふだん火曜日を休館日とさせていただいていますが、8月13日(火)はお盆ということもあり開館いたします。8月7日(水)から8月19日(月)までは休館日なくお客様をお迎えいたしますので、帰省やご旅行で松山へ来られる際のお出かけ先にいかがでしょうか。
開館カレンダーはコチラ↓ ページの下の方をご覧ください。
http://itami-kinenkan.jp/
皆さまのお越しを、心よりお待ちしております。
スタッフ:山岡
2019.07.08 宮本館長プロデュース商品のご紹介
宮本館長出演の「サワコの朝」(MBS・TBS系列7/6土放送)、話題満載で充実のトークでしたねぇ。
放送をご覧くださった方から「見ましたヨ。とてもいいお話でした」とお声掛けいただいたり、紹介されたグッズについてお問合わせをいただいたりしております。
館長がとくに言及していた「手拭い」は、2009年4月、最初に「黒色」を作ったときには、デザイン・素材・染め方について、館長とグッズ担当スタッフと、それから制作業者さんとで、何度も何度も相談していましたっけ。
その年の6月に「空色」を追加して、2014年7月には「白色ピンク柄」も加わって......と段々増えて、3種類ございます。すべて、生地は丈夫で長持ちする「特岡」、染めは裏側にもきれいに柄の出る「捺染」で作っています。
絵柄は伊丹さんが描いた「カチンコ」。
3色それぞれに館長からのメッセージカードが
同封されています!
(非常に館長らしいコメントではあったのですが、女優さんの口から「原価」という言葉が出てきたのには意表を突かれて......つい笑ってしまいました。ハイ、原価、大事であります!)
館長が情熱を注いで開発したグッズは、ほかにも、
●一筆箋(縦罫線入り25枚・432円)と一筆箋用封筒(6枚入り・324円) ●クリアファイル4種(A4サイズが2種、A5サイズが2種・各216円) ●Tシャツ(しっかり素材+「二日酔の虫」白と黒、軽~い柔らか素材+「スパゲッティの正しい食べ方」赤と黒・各3,456円) ●ゴム印(12種・216~540円)
などなどがございます!
そして、開館当初からの看板商品にして一番人気は「十三饅頭」(7個入り・756円)!!
しっとりした生地、甘さ控えめのこし餡、"一口半サイズ"、
直筆サインから起こした「十三」の焼印が特徴です。
製造は四国名菓・一六タルトの一六本舗さん。
そうそう、一六タルトといえば、企画展では伊丹十三が
手がけた名作CMがたくさんご覧いただけますよ!
上記商品はオンラインショップでも販売しております。
また、記念館へお越しいただきましたら、館内のグッズショップには伊丹十三の愛用品(と同じもの)など店頭販売限定商品もございます。
展示やカフェはもちろんのこと、お買い物でも伊丹さんの世界をお楽しみくださいませ。
宮本館長が出演した「サワコの朝」は、7月13日(土)の朝7時29分まで見逃し配信をご覧いただけるそうです。1週間限定ですのでお早めにどうぞ~~~!
→MBS動画イズム https://dizm.mbs.jp/title/?program=sawako&episode=91
2019.07.01 夏のカフェ・タンポポ
蒸し暑い日がつづいていますね。
日増しに暑くなるこれからの時季、記念館にお越しのお客様の中には、まず併設のカフェ・タンポポ(入館者さま専用)で涼んでから展示をご覧になるという方もいらっしゃいます。
そこで、今回の記念館便りでは、カフェ・タンポポより、夏におすすめしたいメニューをご紹介させていただきますね。
<豆乳ブルーベリー>
豆乳ブルーベリー 700円(期間限定)
暑い日には、ほどよく酸味のきいた冷たい飲みものがほしくなりませんか。そんなときにピッタリの、ブルーベリーのさわやかな酸味がうれしいドリンクです。
冷凍したブルーベリーと豆乳を使用していますので、スムージーのような、なめらかな口あたりをお楽しみいただけます。
<ジンジャーペリエ>
ジンジャーペリエ 600円(オールシーズン)
夏は炭酸飲料でスッキリしたい!という方におすすめです。
記念館手作りの生姜シロップと、細かく刻んだ生姜の甘煮を使用していますので、生姜の風味をしっかり感じていただけます。
<アイスコーヒー>
「夏は、いつもアイスコーヒー!」という方も多いですよね。
記念館のアイスコーヒーは、すっきりとした味わい。内側に格子模様の凹凸があるグラスでお出ししておりますので、氷をクルクルと回すと、心地良いカランカランという音が、よく響きます。
アイスコーヒー 500円(期間限定)
味と香りはもちろんのこと、涼やかな見た目と音も、あわせてお楽しみくださいませ。
他にも、さまざまなメニューをご用意して、皆さまのお越しをお待ちしております。
展示をご覧になる合間に、ぜひカフェもご利用くださいね。
スタッフ : 淺野
2019.06.24 ポストカードの使い方
旅行先などで手軽に買いやすい「ポストカード」。
皆さまは、そのポストカードをどんなふうに使われますでしょうか。
私が思いつくのは(旅先から)知り合いに送る、フレームに入れたり壁やコルクボードなどに貼ったりして部屋に飾る、などですが、先日「旅先でポストカードを必ず買う」というお客様がおられて、お話をしている中でポストカードの使い方をいろいろと教えてくださいました。
その中で、私が特に「試してみたいなぁ」と思った使い方を2つ、ご紹介させていただきますね。
ひとつは、旅行の時などに購入したポストカードの宛名面(文字を書くスペースのあるところ)にそのときの様子や感想などを書き込むこと。それをアルバムに貼ったりファイルにまとめたりするとちょっとした旅行記のようになるのだとか。写真や行った施設のチケットなども加えると旅行の様子がより分かりやすく、自分はもちろん、他の方が見ても楽しめるのだそうです。
もうひとつは、知り合いにお土産を渡す時、現地で購入したポストカードに旅行の感想などを一言書いて一緒に渡すこと。メッセージカードの代わりに添えたポストカードが、旅行の雰囲気をより伝えてくれるということで、喜んでくれる方が多いそうですよ。
ここ記念館のショップでもポストカードを販売しています。
伊丹監督映画作品のポスター、伊丹さんの写真や描いたイラスト、記念館の外観や中庭の写真がプリントされている、「伊丹十三記念館」ならではのポストカードばかりです。
ポストカード売り場
おトクなセット販売も行っています
ご興味のある方は、記念館のポストカードでぜひ試してみてくださいね。
スタッフ:山岡
2019.06.17 名前
記念館にご入館なさるお客様に、受付で常設展の展示品解説リストをお渡ししております。
そのリストのはじめに、「池内岳彦(本名・池内義弘、後の伊丹十三)~」という一文があります。受付で、まずそれをご覧になったお客様から、「本名のほかに、岳彦という名前があったのですか......?」とご質問いただくことがあります。
そうなんです。伊丹さんの戸籍上の本名は池内義弘なのですが、通称は岳彦(タケヒコ)だったのです。
どういうことか、少しご説明させていただきます。
伊丹十三は、映画監督・脚本家の伊丹万作(本名・池内義豊)の長男として、1933年5月15日に生まれました。
池内家には、男子の名前に「義」の一字を入れるという代々の習わしがありました。
万作はその習わしを受け継ぐつもりはなく、息子を「岳彦」と命名しようとしていましたが、祖父の意向があり、戸籍上は「義弘」と名付けられました。
けれども、日常的には「岳彦」と呼ばれていた、ということなのです。
というわけで、記念館の常設展示室にある13のコーナーは、「一 池内岳彦」からはじまっています。
常設展示室「一 池内岳彦」のコーナー
ところで、万作が書いた、こんな文章があります。
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「子供ノ誕生日ニ」 伊丹万作
岳彦 オメデトウ
今日ハオマエノ誕生日ダネ
十年前ノ今日
オマエガウマレタトキ
父ハ物置ニハイツテ
郵便受ケヲツクツテイタ
ソノトキ父ハ嬉シサト
心配ノアマリ
何ヲシテヨイカ
自分ノスルコトガワカラナカツタノダヨ
スルトソノウチ
突然オマエノ最初ノ声ガ
高ラカニ聞エテキタ
ソノ声ヲ父ハ一生忘レナイダロウ
(後略)
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息子の10歳の誕生日に書いたもので、何度読んでも息子への深い愛情に心打たれるのですが、こちらも「岳彦」の呼びかけからはじまっていますね。
岳彦の呼び名は幼少期だけのものではなく、親しい間柄では、生涯にわたって使われていたのだそうです。
「子供ノ誕生日ニ」の文章は、岳彦さんの幼少期の写真とともに、記念館の併設小企画「伊丹万作の人と仕事」で紹介しております。ぜひ、記念館でご覧くださいませ。
併設小企画「伊丹万作の人と仕事」
企画展示室の一角にあります
「子供ノ誕生日ニ」の展示
スタッフ:淺野
2019.06.10 開館12周年記念 収蔵庫ツアーを開催いたしました
「近頃、小鳥の声がやけに聞こえてくるなあ」と思っていましたら、ヤマザクラに小さなさくらんぼがたくさん生っていました。これを目当てに来ていたのですね。
小鳥たちには美味しいらしいですが、
お客様には決してオススメいたしません!
なぜなら食べてみたことがあるからです(笑)
気付けば初夏の晴天の頃も過ぎ、梅雨空の毎日ですが、皆様お元気でいらっしゃいますか。
5月17日(金)~19日(日)、開館12周年記念の収蔵庫ツアーを開催いたしました。
記念館の収蔵庫の2階には「展示風収蔵」になっているコーナーがございまして、直筆の原稿・原画、衣類、食器などの愛用品や書籍が収められています。
それらの収蔵品に関する伊丹十三ならではのエピソードを交えながら、1時間ほどご案内する催しです。
自邸の一室を再現したコーナーもあります
収蔵庫内のご見学スペースには、脚本監督作品や、イラスト、デザイン、といった仕事にまつわるものも多くございますが、おもな話題といたしましては、伊丹十三が「ものとどのように付き合う人であったか」をご紹介しております。
既製品を既成概念にとらわれずに使う面あり、愛用の品をリピートするために買い置きしておく面あり、お気に入りの服を繕って大切に着続ける面もあり――
人物像や生活ぶりにふれていただけることから、伊丹さんを身近に感じていただける催しになっていると思います。
お客様方から頂戴したアンケート回答でレポートさせていただきます。
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来館ははじめて。いきなり収蔵庫の見学をさせてもらいましたが、丁寧に説明していただき、ずいぶん身近に感じ、感激しました。
想像以上の方でした。このツアーに参加できてよかったです。色々と説明してもらえたので。
大変興味深かった。解説も参考になった。前に一度見ているが、今日の見学でまた違った見方ができるように思う。
興味本位で参加させていただきましたが、すっごく楽しかったです。説明もとても流暢で、大変わかり易かったです。もう一度、伊丹十三さんの映画を観たくなりました。
伊丹さんが生きていた感じを実際に感じることができました。できることなら、みなさんに公開してあげてほしいなぁ。もっといろいろ今の時代の映画を作って欲しかったです(涙)。「やぁ、いらっしゃい」、また寄らせていただきます。
松山にゆかりのある伊丹十三さんのことを知る機会となり、大変貴重な体験をさせていただきました。映画で使用された衣裳・小道具を拝見させていただきました。映画作品を見てみたくなりました。
伊丹さんの多才さや、ものに対するこだわりなど、人柄を感じられる楽しいツアーでした。ほとんど前情報なく来たのですが、ガイドの方が詳しくお話しして下さったのでとても楽しめました。
伊丹さんの知的好奇心の旺盛さと、観察力の詳細さが伺い知れる収蔵品を沢山見られて、とても楽しかったです。また、映画の中で使われていたものを実際に見ることもでき、もう一度、作品を観なおしてみようと思いました。わくわくしました、ありがとうございました。
十三さんの多様・多彩さを目の当たりにして感動いたしました。美術館めぐり等、松山市中心部や道後との連携を探れればもっともっと楽しめそうです。
過去を見れば見るほど、仮定の話にはなるが、存命であれば何をどのようにしているのかを知りたくなる気になった。
伊丹さんの人間としての生活空間が感じられて、期待通りにすばらしかったです。同じ人間なんだなーと思いながら、あまりにも多才で、早く亡くなってしまったことが非常に残念です。今、生きていたら、どんな提言や映画を撮ってくれていたでしょう。
伊丹さんの身近な物を見られて、又、説明を受けて、とても良かったです。
長らく来たくてたまらなかった記念館に、収蔵庫ツアーのところから来館させていただけて、超ラッキーでした。
少人数で、説明いただいた上で、ツアー開始していただき、とても丁寧な説明で......最高でした。お話も、説明も、詳しくお上手で、わかりやすかったです。記念館初来館でしたが、また、これからたびたび、ゆっくり、伺いたいと感じました。楽しかったです。ありがとうございました。
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ご応募・ご参加くださった皆様、まことにありがとうございました。
残念ながらご落選となられた方々、ご参加枠をたくさんご用意できず、まことに申し訳ございませんでした。
来年も5月中頃に開催させていただくことと思いますので、ぜひまた3月頃にホームページを覗きにいらして、ご応募くださいましたら幸いです。
5月15日(水)、伊丹十三86回目のお誕生日に開館12周年を迎え、記念館は13年目に入りました。ハイ、十三年目、でございます。
よい十三周年をお客様方と迎えられるよう、また、行事のない日々の開館においてもご満足いただけるように努めてまいりますので、これからも、どうぞよろしくお願い申しあげます。
学芸員:中野
2019.06.03 楽器
記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
暑くなってきましたね。これからどんどん気温も上がってくると思いますので、体調等崩されないようご注意ください。
さて先日、ご来館のお客様の中に、趣味でアコーディオンを弾いてらっしゃるという男性がいらっしゃいました。還暦を迎えた時、何かのテレビ番組で特集されていたアコーディオンに興味を持ち、習い始めたのだそうです。それまで楽器とはほとんど縁がない生活だったそうですが、始めて「弾く楽しさ」を味わい、めきめき上達して、3年経った今ではイベント会場で演奏することもあるのだとか。すごいですね!
そんなお客様は、伊丹さんの著書『ヨーロッパ退屈日記』にある、以下のエッセイが大のお気に入りなんだそうですよ。一部ご紹介いたしますね。
でも、わたくしは声を大にしていおう。楽器というものは愉しいものである、と。
そうして楽器というものは三、四歳の頃から習い始めなければならない、というのは最も悪質なデマである、と。職業的演奏家を志すのならいざ知らず、自分で愉しむ程度のことなら何歳になってからでも遅くはないのだ。
(中略)
深く楽器を愛する心と、そうして根気を持った人なら何の躊躇うことがあろうか。思うに楽器とはその人の終生の友である。決して裏切ることのない友である。わたくしは心の底からそのように感じるのであります。
「最終楽章」 『ヨーロッパ退屈日記』(新潮文庫)より
習い始めの頃にこのエッセイを読んでたいへん共感されたのだとか。ご旅行中ということで、残念ながらこのお客様の " 終生の友 " を拝見することはできなかったのですが(家で "お留守番 " だそうです)、こだわって選んだというアコーディオンは、やはりとても大切になさっているそうです。
そして伊丹さん自身も「音楽愛好家」の顔を持っていました。愛用していたギターとヴァイオリンが、記念館の常設展示室「二 音楽愛好家」コーナーに展示されていますので、ご来館の際はぜひご覧になってみてください。
3日後の6月6日は、お稽古事を始めるのによい日とされていることから、「楽器の日」と言われているそうです。楽器にご興味のある方は、関連イベントや楽器店などをのぞいてみるのも面白いかもしれませんね。
スタッフ:山岡
2019.05.27 オーデコロン4711
少しずつ日差しが強くなっていますね。記念館の木々は、初夏の光を受けて輝いています。
さて、記念館のグッズショップ店頭で販売している商品のひとつに、伊丹さんが愛用していたオーデコロン「4711」があります。
2017年5月に開館10周年を記念して店頭での取り扱いをはじめて以来、オールシーズン、幅広い年齢のお客様にお買い求めいただいております。
4711 オーデコロン ナチュラルスプレー 60ml
記念館で販売しているものはスプレータイプです。香りをたしかめていただけるように、売場にテスターをご用意しております。
香りをお試しいただけます
以前、店頭で香りをお試しになったお客様が、「すごく爽やかな香りで、気温と湿度が高い夏でも使いやすそうですね」とおっしゃって、お買い求めくださいました。
たしかに、スプレーをシュッとひと吹きするとシトラスの香りが広がって、蒸し暑くなるこれからの季節には、よい気分転換にもなりそうだなと感じます。
4711は、1792年にドイツ・ケルンで誕生して以来、世界中で愛されているのだそうです。記念館にいらした際には、ぜひお手に取ってみてくださいね。
スタッフ : 淺野
2019.05.20 第11回伊丹十三賞 贈呈式を開催いたしました [2]
< 前回からの続き > 第11回伊丹十三賞贈呈式に、いよいよ受賞者の玉川奈々福さんがご登場。スピーチだけでなく、浪曲もご披露いただきます。さて――
受賞者スピーチ & 受賞記念 浪曲披露
♪お三味線・柝頭♪
【場内掛け声「待ってました!!!!」「奈々福!!!!」】
ありがとうございます。
浪曲師の玉川奈々福と申します、どうぞよろしくお願いいたします!!
―― ベンベンベンベン ベンベンベンベン ベンベンベンベン ベンベン ィヨ~ォッ ベベン♪(←このように、沢村豊子師匠のまことに絶妙なるお三味線が随所に入ります。)
〽伊丹十三賞という賞~~~~~をぉぉ
いただきまーし~~~~た!
何かの間違いじゃないかと
思いまーーしたぁ~~あぁぁあ
【場内笑】
今日、初めて浪曲をお聴きになる、という方もいらっしゃるかと思います。驚かれたことと思います。
浪曲は、い・き・な・り、唸り始めます。青筋を立てて唸り始めます。
しかもですね、一人だけではなく三味線のほうも、三味線を弾きながら「ァアーー」とか「ィヨ~~」とか、面妖な声を出して演者を煽ります。
そして、お客様がア然としている中で物語に巻き込んでいく――というふうに、二人が過剰なエネルギーを放出しながら物語を語っていく、という芸でございます。
このたびは、伊丹十三賞という素晴らしい賞をいただきまして、もう本当に、ビッックリいたしました。ありがとうございました。
"浪曲という芸に憧れて、木馬亭(※)に日参して通いまして、師匠に弟子入りを願い出まして、「ダメだ」と言われまして、覚悟のほどを見せるために頭を丸めて、一週間通いつめて、やっと入門許可が下りた"
――というような、入門では、なかったんですね(笑)
※ 木馬亭...浅草にある、日本で唯一の浪曲の定席
24年前にですね、ウッカリ......ウッッカリこの世界に入りまして、最初はしかも、三味線で入ったんでございます。
途中から師匠(二代目玉川福太郎師匠)が「お前は三味線が下手すぎるから、三味線の気持ちが分かるために、唸ってみろ」――決して、唸るほうにさせたわけじゃなくって、三味線の修業の一環として唸らせた結果が、こんなことになっておりまして。
このような賞をいただきまして、亡くなりましたうちの師匠が、今頃、天国でどんな顔をしているだろうと思っておりますけれども。
でも、実は憧れて憧れて入ったわけではなく、浪曲という奇妙で過剰な芸を、不思議な気持ちで入門当初眺めていた――もちろん、今は、確信をもって浪曲師をやっておりますけれど、最初はビックリして「不思議な芸だなあ」と思って眺めていた――ことが、いろんなプロデュースにつながったのではないかな、と思っております。
(☆)
いただきました授賞理由に、語りの芸のことを言っていただきました。
伊丹十三さんの『女たちよ!』というエッセイ集の冒頭に「私自身は――ほとんどまったく無内容な、空っぽの容れ物にすぎない」(※)という言葉がありました。
伊丹十三さんにおいて、こんな言葉をおっしゃるのか、って最初は思ったんですけれども、伊丹さんだからおっしゃるんだな、と、思いました。恐れ多いことですけど、深く、共感いたしました。
※『女たちよ!』(1968年、文藝春秋)序文より「私は役に立つことをいろいろと知っている。そうしてその役に立つことを普及もしている。がしかし、これらはすべて人から教わったことばかりだ。私自身は――ほとんどまったく無内容な、空っぽの容れ物にすぎない」
「語りの芸」を言っていただきましたけれども、すべては「教わったこと」です。習ってきたことです。
三味線の弾き方も、語りについても、着物の着方もたたみ方も、柝頭(きがしら=拍子木)の打ち方も幕の引き方も、全部、先達から教わったことで、誰からどういうふうに教わったか、逐一、覚えております。
(沢村豊子師匠に)はい、覚えておりますよ、お師匠さん(笑)。
何にも知らなかった私を教え、導いてくれたのは、師匠・玉川福太郎をはじめとしての諸先輩方。それから、支えてくれたスタッフの方たち。そして、何より、お客様のおかげでございます。本当に、感謝をしております
そして、特に、もう足かけ17年になりますけれど、わたくしを弾いてくれた、お三味線の沢村豊子師匠――
【場内拍手】
(豊子師匠「おめでとうございます」)
――この名人のお師匠さんに弾いていただかなければ、私は、こんなふうにはなっておりません。
(豊子師匠「とんでもない(笑)」)
とんでもなくないよ!?
(豊子師匠「アナタの力です!」)
そんなことないよ!【場内笑】
伊丹十三賞の贈呈式に、素晴しいひとときを
作り出してくださった玉川奈々福さんと沢村豊子師匠。
取材対応後のツーショット。
舞台上だけでなく、お二人ずっとご一緒でした。
浪曲という芸は、元々は、社会の最底辺から生まれた芸でございます。雨に打たれ、風にさらされ、大道芸だったから、強い声を出す。そして、あわよくば、懐から胴巻きを出させ、さらにあわよくば、お銭(ぜぜ)を出させる。そのために芸の限りを尽くす、という芸でございます。
そういう末裔にいることを、わたくしは、とても、誇りに思っております。
物語に登場する人物も――もちろん、お武家とか、市民の方もいらっしゃいますけれど、そういう人たちじゃない人々も、数多く登場いたします。殊に、侠客、とかですね、旅の絵師、旅の大工、おこもさん、相撲取り――士農工商の外側の人が多うございます。そして、何より、浪曲が放浪芸だったからだと思うんですけれども、旅のお話が多うございます。
そういうふうに、「いったい浪曲って何なんだろう」ってことを一生懸命考えまして、「ああしたら面白く見えるかな」「こうしたら面白く見えるかな」と、いろいろ試してきたことを評価していただいたことを、とても、とても、嬉しく思っております。
ただ、普段そういうことを考えてやっているわけではなくて、研究のために浪曲をやってるわけではなくってですね、お客様が帰り際に、送り出しをしているときに、「今日さあ、会社でスッゲェ嫌なことがあったんだけど、奈々ちゃんの浪曲聴いたらさあ、なんか心がホカホカしてきてサ。明日もチっと頑張っちまおっかなって思ったヨ!」と声をかけてくれる――あなたのために浪曲をやっている!! と心から、思います。
(☆)
そういう浪曲をこうやって続けられていることを、本当に、幸せに思っておりますし、とても大きい励ましをいただきました。明日からも精進していこうと思っております。
今日は初めての方もいらっしゃるかと思うので、せっかくですので、短い浪曲を聴いていただこうと思います。
浪曲は、三味線に合わせて歌うような部分を「節(ふし)」、語るような部分のことを「啖呵(たんか)」と申します。その啖呵と節で織りなしていくのが浪曲なんですけども、節の部分は、主に「七五調」でできております。
ですので、日本の和歌、「五七五」も、うまくすれば、浪曲の節に乗るんでございますね。
なので、皆さんご案内なところで「百人一首」を浪曲にしてみたら、ちょっと面白いかなあ、と、百人一首の中の「恋歌」を、浪曲の節に乗せて。
冒頭に、「古今和歌集」の序。紀貫之が書いた序がございます。この序に、日本の歌の事始めが書いてあります。これを、わたくしが「なんちゃって現代語」にいたしまして、これも浪曲の節に乗せて、それを外題付け(げだいづけ=歌い出し)として、『浪曲百人一首』の中から、恋歌の「待つ女」のところを、ちょいっとばかし、節に乗せてみます。
『浪曲百人一首』、「待つ女」篇の一席! お時間まで――
【場内掛け声「たっぷり!!」「たっぷり!!」「たっぷり!!」】
♪お三味線・柝頭♪
〽この国の 歌のかたちは 五七五
七七という 三十一(みそひと)文字
人の心を たねとして
よろづの言葉を 生み出した
天地が分かれ この世が生まれた そのときから
歌はすでに あったという
このうつつ世を 生きおれば
あなたも私も 忙しく
人にぶつかり 物にぶつかり
そのたび心は 揺れるもの
思わずため息 落ちるもの
梅に鶯 鳴くを聴き
池に蛙の 声聴けば
嗚呼と言わずに おらりょうか
歌、歌わずに おらりょうか
武器を使わず 世を動かし
見えぬ鬼神も あわれませ
男女の仲をば やわらげる
これが歌なり やまとうた
< 花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに >
――ああ、桜の花が散ってゆく。
おそろしいまでに咲き誇っていたのは、つい昨日のことなのに。
一夜明ければ、色褪せ散りゆく桜花。
そうして私も、古びていく。
昨日は緊張して2時間しか寝ていない......
鏡に映るわが面(おもて)に、ああ、がっくりとくずおれる。
くっきりと目立つほうれい線。肌のくすみ。
ああ! ああ!! あああーーーー!!!!
〽花の色は うつりにけりな いたづらに
わが身世にふる ながめせしまに
< あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む >
――お布団が......冷たい。
こんなのイヤ。いつもはあの人が「君は冷え症だね」って
脚の間に私の足を挟んであっためてくれるのに。
冷たい......
こんな冷たいお布団で寝たら、私は凍え死んでしまう。
いつまで経ってもあったまらない。
いつまで経っても夜が明けない。
......あら? 山鳥が鳴いている。
あいつも一人寝がさみしいんだろうか......
ちぇっ。
〽あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の
ながながし夜を ひとりかも寝む
< 今来むと 言ひしばかりに 長月の 有明の月を 待ち出でつるかな >
――「会いたい、今すぐ行くよ」と言ったから、
あたしはこうやって、起きて待っているのよ。
まんじりともせずに、起きて待っているのよ。
化粧も落とさずに! 起きて待っているのよ。
夜が白々と明けてくるわけよ。
「今すぐ行く、会いたい」って言うから
こうやって起きて待ってんのにーー
いったい何なのよこれはーーーー!!!!
〽今来むと 言ひしばかりに 長月の
有明の月を
有明の月を
有明の月を
待ち出でつるかな
< 君がため 惜しからざりし 命さへ 長くもがなと 思ひけるかな >
――男「お前のためなら命も惜しくない。
この命を捧げてもいいと思って
険しい道のりをこうして帰ってきたんだよ」
女「嬉しい! どんなにあなたを待っていたことか」
男「だが、今ではすっかり、気持ちが変わってしまった」
女「ええぇ!? 私のことが、嫌いになったの!?」
男「いや、そうじゃない。
お前のためなら死んでもいいと思っていたが、
こうやって会えた今、少しでもお前と一緒にいたい。
少しでも長生きしたいと思うようになったんだよ!」
女「嬉しい......ずっと一緒にいてね!
おばあちゃんになるまで一緒にいてね!!
そうしてアタシより、
あとで死んでねーーーー!!!!」
〽歌のかたちは 五七五
七七という 三十一(みそひと)文字
人の心を たねとして
よろづの言葉を 生み出した
この世が生まれた そのときから
歌はすでに あったという
このうつつ世を 生きおれば
あなたも私も 忙しく
人にぶつかり 物にぶつかり
そのたび心は 揺れるもの
思わずため息 落ちるもの
これが『浪曲 百人一首』
「待つ女」篇の一席は
まず! これまで――
♪柝頭♪
【場内掛け声「大当たり!!」「大当たり!!」「大当たり!!」&大拍手】
(☆)
館長挨拶 宮本信子館長より
あーー、ビックリしました(笑)!! ほんと素晴らしい!! ありがとうございます、奈々福さん。そして、豊子師匠、ありがとうございます。
奈々福さんの浪曲は『金魚夢幻』を最初に聴かせていただいて、今が2度目なんですけど、本当に、力のこもった、迫力がある語りで、ビックリいたしました。
そして、今も、お二人のかけ合いが......失礼かなと思ったんですけど、なんかちょっと、漫才みたいで(笑)。それがとても微笑ましくって、見ていてとても、幸せな気分になりました。
今日は、雨も上がって、いつもいらしていただけるお客様と、それから、奈々福さんのお客様、たくさんいらしてくださいました。本当にありがとうございます。
では、奈々福さん、豊子師匠、おめでとうございます――
カンパーーーーイ!!!!
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はーーい、こちら現場の中野です! たった今、宮本館長の乾杯の音頭で、贈呈式に続いて祝賀パーティーが始まったところです。
玉川奈々福さんは、感謝の思いと喜びのこもったスピーチの合間にも、浪曲になじみのない来場者へ向けて、浪曲とはどういうものか、そしてその魅力について、歴史やなりたちからくる特色に触れながら、多彩な声の調子や表情・仕草も交え、丁寧に分かりやすく、面白く語ってくださいました。
実は、『浪曲百人一首』のご披露中にさえ、拍手のポイントを教えてくださったり――ですので、浪曲ビギナーの方々も戸惑うことなく場に参加して、心から楽しむことができたと思います。
集合写真の撮影中も全員ニコニコです!(☆)
浪曲には「節」があり、お三味線の伴奏がありますが、なんと驚いたことに、譜面というものはないのだそうです。だから、同じ"作品"はふたつとない、一席一席が生、ほんとうのライブなのですね。
その日その時だけ生み出される曲師との丁丁発止によって、人々を魅了し喜ばせる。
お客さんたちの側も、その日その時でなければ味わえない生の音に耳を傾け、掛け声と拍手を送る。
そんな浪曲を愛してやまない奈々福さんならではのサービス精神を、贈呈式の間じゅう、たっぷりと頂戴した春の宵でございました。明日もチっと、頑張っちまおっかな!
<クリックで大きい画像が開きます>
玉川奈々福さん、沢村豊子師匠、ご来場くださった皆様、まことにありがとうございました。
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伊丹十三賞は「出会いの賞」でございます。
私の拙いレポートでは伝えきれなくて申し訳ありませんでしたが、生が一番の浪曲の世界にご興味を持っていただけましたなら、何より嬉しく存じます。この機会にぜひぜひ、ご公演へ足を運んでみてください。
浅草は木馬亭の定席のほか、全国津々浦々をめぐっておいでの奈々福さんですから、きっと、皆様のお近くへもいらっしゃることでしょう。
日々、情報が発信されている奈々福さんのブログやツイッター、要チェックです!
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写真撮影:池田晶紀さん(株式会社ゆかい)
撮影協力:ほぼ日刊イトイ新聞の乗組員のみなさん
(☆印の写真のみ主催者撮影)
学芸員:中野
2019.05.13 第11回伊丹十三賞 贈呈式を開催いたしました [1]
4月26日(金)、第11回伊丹十三賞を玉川奈々福さんにお贈りする贈呈式を国際文化会館で開催いたしました。
左から、選考委員・周防正行さん、南伸坊さん、
曲師・沢村豊子師匠、受賞者の玉川奈々福さん、宮本信子館長、
選考委員・平松洋子さん、中村好文さん。
浪曲師・曲師としてご活躍中の玉川奈々福さんへの授賞理由は
現代の観客のこころを動かす語りの芸と、浪曲にあらたな息を吹き込む卓越したプロデュース力に対して。
受賞者プロフィールや賞の概要はこちらをご覧ください。
多くの方がお祝いにかけつけてくださり、また、奈々福さんには受賞記念の浪曲を特別にご披露いただいた贈呈式、2回に分けてレポートいたします。
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祝辞 選考委員・平松洋子さん
今回は、ご覧のとおり――初めて目にする方もいらっしゃるんじゃないかと思うんですけど、これは、浪曲師の方が公演なさるときに必ずお使いになるもので、奈々福さんがいつもお使いになる、金魚の絵柄の「テーブル掛け」です。
冒頭、今回のステージのしつらえについてご説明くださいました。
浪曲は、浪曲師オリジナルの、華やかなテーブル掛けをかけた
「演台」で行われるものなんだそうです。
「テーブル掛け」という呼び名を知った時は
"そのまんま(笑)"ぶりに驚いた、と平松さん。
手描きの一点ものなんですって、美しいですねぇ。
そして、演台が用意されているということは――(☆)
のちほど、ひと節、唸っていただくことになっておりますので、どうぞ、それもお楽しみになさっていただきたいと思います。
「伊丹十三賞」と「浪曲」。間違いなく、伊丹十三さんは「なるほど!これは面白い!」というふうに、ポーンと膝を叩いていらっしゃるのではないかと、思っております。
玉川奈々福さん、このたびは、第11回伊丹十三賞をお受けくださいまして、ありがとうございます。
奈々福さんは、古典から新作まで、硬軟さまざまに演じる浪曲師であり、また、ジャンルを超えて芸能に風を通す方として、まさに、東奔西走の活躍ぶりです。その原動力、ほとばしる浪曲愛にこちらも胸が熱くなります。
奈々福さんが二代目玉川福太郎師匠に入門されたのは、1995年。当初は三味線の修業をされていたと伺っております。ところが、福太郎師匠の勧めで浪曲師に転身。その6年後、「奈々福」の名前をお披露目なさいました。つまり、浪曲師として一本立ちして18年目、ということになります。
「芸は年季が物語る」と言いますけれども、今思えば、奈々福さんの浪曲修業は18年よりずっと以前から始まっていた、と言えるのではないかと思います。
長らく出版社で編集者を務めながら、奈々福さんは、言葉と向き合ってこられました。担当編集者として関わってこられた、石牟礼道子さん、志村ふくみさん、小沢信男さん、あるいは、大衆芸能に通じていらっしゃる小沢昭一さんら、敬愛する多くの方々と四つに組みながら、多くのものを蓄え、培ってこられたのではないかと思っております。
その豊かな歳月があればこそ、奈々福さんの浪曲の一語一語は粒だっているのだと思われてなりません。
また、何度も大きな試練に直面なさってきました。大切な後ろ盾であった福太郎師匠が事故で急逝なさり、2015年には、浪曲界を牽引していらした国本武春師匠が若くして亡くなられたことは、浪曲界にとっても大きな衝撃だったと拝察いたします。
しかし、皆様一丸となって乗り越えられ、こんにちの浪曲に新しい風が吹いています。
(☆)
今、浪曲、落語、講談などの場に足を運びますと、会場の熱気に驚かされることしばしばです。
かつて、小沢昭一さんと国本武春師匠が「浪曲は貧乏な時代に受け入れられる」と語っていらしたそうですけれども、この「貧乏な時代」という言葉の意味について、考えてみたくなります。とかく言葉が安易に利用されたり、誤魔化しに使われがちな今、「貧乏」なのは言葉ではないことは、明らかです。だからこそ、聴く者が全身を耳にして直に言葉を受け取り、自分自身で言葉のもつ意味を醸成する語りの芸が求められているように思います。
最後になりましたが、相三味線(あいじゃみせん)を務めていらっしゃる、曲師・沢村豊子師匠の存在も、忘れるわけにはいきません。【場内拍手】
お三味線の素晴らしさは言うまでもありませんけれども、豊子師匠の存在が奈々福さんを叱咤し、励ましながら支えていかれたと思います。
浪曲師と曲師は、相手の感情を瞬時に読み取り合いながら、阿吽の呼吸で語られるもの、その丁丁発止に私たちは胸が揺さぶられるのだと思っております。
奈々福さんは、浪曲師になられた後、ご自分の大伯父様が浪曲師であったことをお知りになったそうです。それにもびっくりするんですけれども、もうひとつ。お誕生日が、浪曲界にも大きな功績を遺された、三波春夫さんと同じで(笑)。そういう偶然の符合がもつ意味を、やはり、今日また考えたくなります。
浪曲を知っている人にも、まだ浪曲に出会っていない人にも、どうぞ、力強く浪曲を届けてください! よろしくお願いいたします。
正賞(盾)贈呈 選考委員・南伸坊さんより
副賞(賞金)贈呈 宮本信子館長より
(☆)
受賞者スピーチ・受賞記念 浪曲披露
司会「それでは、玉川奈々福さんより、ひとこと頂戴したいと思います。例年、受賞者の方にはスピーチをお願いしておりますが、今回は特別に、受賞記念の浪曲もご披露いただきます。三味線演奏のため、曲師の沢村豊子師匠にもご登壇いただきます。よろしくお願いいたします」
調弦中の沢村豊子師匠
(注・奈々福さんのお姿はここでは見えていないことになっています!)
お三味線の調弦が済んだ絶妙の頃合で、チョーーン!と柝頭(きがしら=拍子木)が打たれ、いよいよ玉川奈々福さん登場。
お客様から「待ってました!!」「待ってました!!」「待ってました!!」「奈々福!!!!」と、熱い掛け声が飛び交い――
ン待ってました!!!!(☆)
―― 来週に続きます ――
写真撮影:池田晶紀さん(株式会社ゆかい)
撮影協力:ほぼ日刊イトイ新聞の乗組員のみなさん
(☆印の写真のみ主催者撮影)
学芸員:中野
2019.05.06 グッズショップからのお知らせ
伊丹十三記念館は、5月15日に開館12周年を迎えます!
そんな記念館のグッズショップから、期間限定のお知らせです。
その1) 金榮堂ブックカバープレゼント
毎年ご好評いただいている金榮堂ブックカバープレゼント、今年も期間を限って行います!
「金榮堂(きんえいどう)」は北九州小倉の老舗書店です。惜しまれながら1997年に閉店してしまいましたが、伊丹さんがデザインしたこの金榮堂の復刻版ブックカバーを、対象商品をお買い上げの方にプレゼントいたします。
【対象商品】
伊丹十三記念館ガイドブック(表紙イラスト・写真)/映画『お葬式』シナリオつき絵コンテノート(タイトル明朝・ゴシック)/伊丹十三の本/伊丹十三の映画/伊丹万作エッセイ集
その2) クリアファイルセット期間限定販売
伊丹さんのイラストをプリントした記念館のオリジナルクリアファイル。
今年3月に新しいデザインが1種類加わり、現在はA5サイズ、A4サイズそれぞれに2種類のデザインがあります。お土産用に、ご自分用にと、世代を問わず多くの方にお買い求めいただく人気商品のひとつですが、このクリアファイル4種類を1セットにして、単品で4種類をご購入いただいた価格から「十三」パーセント割引してご提供します!
【セット内容】 税込価格752円(←単品購入の場合より112円オトク!)
・A5クリアファイル「イラスト3点」1枚
・A5クリアファイル「スーツケース」1枚
・A4クリアファイル「背中に猫をのせて読書」1枚
・A4クリアファイル「入浴中に読書」1枚
期間は5月1日から5月31日までです。オンラインショップでもご購入いただけますので、この機会にぜひどうぞ。
スタッフ:山岡
2019.04.29 お休みを利用して
記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
カレンダーでお休みが並ぶ大型連休の真っ最中ですが、いかがお過ごしでしょうか。
さて、ここ記念館に来られたお客様から「(記念館に来て)伊丹さんの作品をもっと味わいたくなりました」というお声をよくうかがいます。
記念館に来ていただくのはもちろん、こんな風に、来館したことでさらに伊丹さんへの興味を持っていただけたら記念館スタッフとしては大変嬉しいです。
今月はじめに来られた松山市内の男性は、昨年の12月に1回目の来館をされて伊丹さんにすっかり「ハマり」、年末年始の休みを利用して伊丹映画10作品をご覧になったそうです。そして今回2回目の来館では「今度は伊丹さんの著書を読みたいです!」と仰ってショップで書籍を5冊もお買い上げくださいました。普段はお仕事であまり時間が取れないそうですが、今回の10連休のうち何日かはお休みが取れるので、そのときに読むつもりなのだとか。
いまごろ、じっくりお読みくださっているかもしれませんね。
このお客様のように、伊丹さんに興味があるけど普段は忙しくてなかなか作品に触れる時間が取りづらいという方は、この大型連休に限らず、お休みなどを利用してじっくり...というのはいかがでしょうか。「お休みに何をしようかな」とお考えの方がいらっしゃったら、ぜひお試しください!
そして、作品に触れてもう少し伊丹さんのことを知りたいと思われたら、豊富なカラー写真で分かりやすく伊丹十三という人物を解説した「伊丹十三記念館ガイドブック」や、伊丹十三の生涯を2時間20分にわたって紹介したDVD「13の顔を持つ男」にも挑戦してみてくださいね。
ショップ書籍売り場
記念館ガイドブックやDVDはオンラインショップでもお求めいただけますし、お近くの方など、記念館ショップでのお買い物だけのご来館も大歓迎です。お気軽にお越しくださいませ。
おまけ:連休に先駆けて、先週、小さなお客様(カメ)がご来館くださいました。
スタッフ:山岡
2019.04.22 宮本館長、出勤しました!
寒暖を幾度か繰り返し、突然に初夏のような気候になった4月下旬、みなさまいかがお過ごしでしょうか?
先日、4月14日(日)と15日(月)、宮本信子館長が3ヶ月ぶりに出勤いたしました。
「宮本館長出勤」のお知らせを出しますと、このホームページなどで告知情報をご覧になった方々から「講演か何かをされるってことですか?」というご質問をよくいただきます。
われらが宮本館長の「出勤」は、大々的な行事のようなことはいたしませんが、このように――
ロビーでお客様をお迎えして、一緒にお写真を撮ったり、おしゃべりしたり、まさしく「和気あいあい!」という雰囲気で過ごします。
というわけで、ハイチーズ☆
行事は行事でもちろん楽しいのですが、「伊丹十三の世界に触れよう」と記念館までお越しくださるお客様方と直に接することを、宮本館長はとても大切にしています。そして、心から楽しんでいると思います。
建築関係の方々でしょうか、館内のしつらえも
熱心に丁寧にご覧になっていました。
お小さい方が大好きな館長、「ピースお上手ね!」。
一瞬で仲良しになっちゃいます。
前日に道後で音楽ライブをなさったという方々。
松山を発つ前に遠回りしてご来館くださったそうです。
宮本館長に笑顔で迎えられたお客様方にも、行事とはまた異なる、嬉しい思い出にしていただけているのではないかな、と思っています。
定期スケジュールではありませんが、宮本館長は毎年4回ほど出勤しています。
出勤予定は決まり次第、ホームページのニュース欄にお知らせをお出ししますので、皆様次回をどうぞお楽しみに!
学芸員:中野
2019.04.15 限定メニュー始めました
記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。職場や学校など新しい環境の中で春を迎えた方も多いと思いますが、いかがお過ごしでしょうか。
さて、まだ少し肌寒さを感じる時はありますが、ここ記念館のカフェ・タンポポでは、ひと足はやく夏季限定アイスドリンクのメニューを始めました。
定番中の定番であるアイスコーヒー、アイスティー、そしてお子様に人気の甘いマンゴージュースは冬場はお休みさせていただき、気温が上がり始めるこの時期からご提供させていただいています。これからどんどん暑くなってきますので、展示をご覧になった後は、カラカラと涼しげな氷の音を立てながら、冷たいお飲み物で一息つかれてくださいませ。
アイスコーヒー、アイスティー
そしてもうひとつ、期間限定メニューのお知らせです。
先週の記念館便りで季節のケーキがイチゴのタルトになったことをお知らせしましたが、期間限定メニュー・「豆乳イチゴ」もスタートいたしました!
豆乳イチゴ
この豆乳イチゴは愛媛県産のイチゴと有機大豆を使用した豆乳をミックスし、ロンググラスに注いだピンク色のドリンクにミントを添えてお出ししています。さっぱりとした甘さが人気で、世代を問わず大変ご好評をいただいているメニューです!期間限定ですので、お越しの際はどうぞお試しください。
いよいよ、カレンダーで休日が並ぶ大型連休が近づいてきていますね!記念館は4月24日(水)から5月6日(月)まで休まず開館いたしますので、お出かけの際はぜひ記念館にお立ち寄りください。
スタッフ一同、皆さまのご来館を心よりお待ちしております!
スタッフ:山岡
2019.04.08 春
4月に入り、すっかり春になりました。
記念館の庭や木々を見ておりますと、日ごとにその表情が変わるのが楽しく、つい見入ってしまいます。お写真で少しご紹介させていただきますね。
まずは中庭の桂。
若葉が風にゆらゆら揺れています。
この桂の木は、少しずつ枝を広げて年々大きくなっているのですが、今の時期は小さな葉がとても愛らしく、初々しく見えます。一本の木でも、季節によって随分雰囲気が変わるものですね。
続いて、中庭のタンポポです。
天気の良い日は、あちこちに顔を出しています。
「タンポポの花は明るくなると開いて、暗くなると閉じる」と子どものころに教わりましたが、毎日その通り開いて閉じてを繰り返しているのを見ると、健気に感じてしまいます。
こちらは、同じく中庭に咲くヒメツルニチニチソウ。
花は小ぶりで数もそう多くないのですが、上品な色が印象的で、「あの花の名前はなんですか?」とお客様からご質問をいただくことがあります。
記念館にいらしたら、その時々のようすをお楽しみください。
<カフェ・タンポポからのおしらせ>
カフェ・タンポポの季節のケーキが、いちごのタルトになりました。
ぜひ、ご賞味くださいませ。
スタッフ:淺野
2019.04.01 開館12周年記念イベント <無料開館>と<収蔵庫ツアー参加者募集中>のお知らせ
まだ上着の手放せない地域もあると思いますが、みなさまお元気に新年度をお迎えになりましたでしょうか?
5月15日(水)、伊丹十三記念館は開館12周年を迎えます。
この開館記念日に先がけて、感謝の気持ちを込め、4月7日(日)、記念イベント第1弾の「無料開館」を行います。大人800円、高・大学生500円のご入館料が、この日は1日無料です。
10時開館、17時30分最終入館、18時閉館。まだ記念館へいらしたことのない方も、リピートの方も、とにかく「新年度はじめての日曜日だもの、何か楽しいことしたいわねぇ」という方、ぜひお気軽にお越しくださいませ。
「GWに遠方から友達が遊びに来るのだけど、どこに連れて行ったらいいかしら?」と悩んでいらっしゃる方の、お下見なんかにも最適だと思います。スタッフ一同お待ちしております!
*駐車スペースに限りがありますので、なるべく公共交通機関をご利用ください。
松山市駅前からの伊予鉄バス森松砥部線(千舟町経由の15番系統・大街道経由の18番系統、
天山橋(あまやまばし)停留所下車、徒歩約2分)のご利用が便利です。
記念イベント第2弾は「収蔵庫ツアー」でございます。
5月17日(金)、18日(土)、19日(日)、各日11時~・15時~の2回、計6回開催いたします。こちらは事前のご応募が必要です。(詳しくはコチラ)
記念館の収蔵庫の2階には「展示風収蔵」になっているコーナーがございまして――
直筆の原稿・原画、衣類、食器などの愛用品や書籍が収められています。
それらの収蔵品に関する伊丹十三ならではのエピソードを交えながら、1時間ほどご案内する催しです。
「実は伊丹映画に登場していた伊丹さんのモノ」もご紹介しますので、映画を観る楽しみも増し増しになりますよ!
『お葬式』(1984)
『大病人』(1993)
MUJI文庫『伊丹十三』、メンズプレシャス冬号、ケトル47号に掲載された品々の実物をご覧いただくチャンスでもあります。お読みになってご興味を持たれた方、この機会にぜひご応募くださいませ。4月15日(月)締め切り(必着)です。
*定員を超えるご応募をいただいた場合は抽選とさせていただきます。
今日はエイプリル・フールなんですね。
エイプリル・フール、と聞いて、伊丹エッセイのファンならば、直ちに「ハチハチ・カンタータ」(『女たちよ!』)が思い出されることでしょう。
BBCの"スメロヴィジョン方式"試験放送、1907年以来の凶作に見舞われた"スパゲッティのなる木"、ソプラノのレシタティヴ"われ悦びのカラスを曝せば"――反芻するだけで吹き出してしまいます。
今年もまた、世界のあちこちで洒落た冗談が飛び交っていることと思いますが、そういった方面にまったくヒネリのきかない私ですので、上記のお知らせは本当です! どうぞご安心を!
************さらにお知らせ************
宮本館長の次回出勤日が決定いたしました!
4月14日(日)13時頃~16時頃
4月15日(月)11時頃~13時頃
当日の状況により滞在時間等は変更になることがあります。
ご了承くださいませ。
学芸員:中野
2019.03.25 第11回伊丹十三賞の受賞者が決定いたしました!
皆さまお待たせいたしました。
伊丹十三記念館より、毎年春恒例のお知らせをお届けいたします。
すでにメディアでも報じられていますので、ご存じの方もいらっしゃることと存じますが、第11回伊丹十三賞を、浪曲師・曲師の玉川奈々福さんにご受賞いただくことになりました!
撮影:御堂義乘
<玉川奈々福さんプロフィール>
浪曲師・曲師
1964年7月19日横浜市生まれ。
1995年7月二代目玉川福太郎に入門。三味線の修行をしていたが、師の勧めにより2001年より浪曲師としても活動。2004年「玉川福太郎の徹底天保水滸伝」全5回、2005年「玉川福太郎の浪曲英雄列伝」全5回をプロデュース。2006年12月、奈々福で名披露目。2017年から18年にかけ、「語り芸パースペクティブ」全11回を開催。さまざまな浪曲イベントをプロデュースする他、自作の新作浪曲や、長編浪曲も手掛け、他ジャンルの芸能・音楽との交流も多岐にわたって行う。平成30年度文化庁文化交流使として、中欧、中央アジアの計七か国で公演を行った。
<授賞理由>
現代の観客のこころを動かす語りの芸と、浪曲にあらたな息を吹き込む卓越したプロデュース力に対して。
(伊丹十三賞選考委員会)
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皆さま、浪曲をお聴きになったことはおありでしょうか?
わたしは、これまで一度も聴いたことが無かったのですが、先日奈々福さんが浪曲を語っているようすを映像で拝見し、その迫力と情感あふれる世界に大変驚きました。なんておもしろい!同時に、不思議と気持ちがほぐれるようにも感じました。
いつか、ぜひ生で聴いてみたいと思っています。
三味線を伴奏に、節(ふし)と啖呵(たんか)で物語を語る演芸・浪曲は、明治初期にはじまり、昭和30年代ころまでは国民的芸能だったそうです。けれども、今では随分接する機会が減っていますよね。
奈々福さんは、浪曲師・曲師(浪曲における三味線奏者のこと)として寄席での公演を行うほか、浪曲イベントをプロデュースなさったり、他ジャンルの芸能とも交流なさるなど、さまざまな方法で、浪曲の魅力を伝えていらっしゃいます。
伊丹十三賞は、
1. びっくりした
2. おもしろい
3. 誰にでも分かる
そんなお仕事をなさっている方にお贈りする賞です。
※ 詳しくはこちらをご覧ください↓
宮本信子館長 Official Site「タンポポだより」
記念館ホームページ「伊丹十三賞概要」
奈々福さんのお仕事ぶりは、まさに「びっくりした」「おもしろい」「誰にでも分かる」。
今年もまた素敵な方にご受賞いただけましたことを、スタッフ一同、大変うれしく存じております。
受賞者コメントは、以下のページからご覧いただけます。
<伊丹十三賞 受賞者ページ>
http://itami-kinenkan.jp/award/award11.html
奈々福さんのブログでも、受賞についてふれてくださっています。
<ななふく日記>
http://tamamiho55.seesaa.net/article/464683823.html
贈呈式は、4月に東京都内で開催いたします。後日、あらためて記念館便りで贈呈式の様子をご報告いたしますので、楽しみにお待ちくださいませ。
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<記念館からのお知らせ>
2019年5月15日(水)、伊丹十三記念館は開館12周年を迎えます。
5月の開館記念日に先がけた記念イベントとして、4月7日(日)に一日無料開館を行います。通常大人800円、高・大学生500円の入館料を、この日は無料といたします。
「記念館に行ったことはあるけれど、もう一度行きたい!」という方のご来館も大歓迎ですので、お誘い合わせのうえ、いらしてくださいませ。
*駐車スペースに限りがありますので、なるべく公共交通機関をご利用ください。
皆さまのご来館を、お待ちしております。
こちらはベントレー横のヤマザクラ。
つぼみがふくらんでいますね、満開になるのが楽しみです!
スタッフ : 淺野
2019.03.18 クリアファイルに新デザイン登場!
記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
3月も半ばを過ぎ、仕事や学校などでより一層忙しくされている方も多いと思います。季節の変わり目でもありますので、体調等崩されませんよう、お気を付けくださいね。
さて本日は、記念館グッズショップから新商品のご案内です。
ショップの人気商品のひとつ、クリアファイルに新デザインが加わりました!
この新クリアファイルは、先月第三巻が発売された『伊丹十三選集』(全三巻・岩波書店)、その刊行を記念して作りました。書店等でこの本をご覧になったり実際に買われたりして、デザインを見て気付かれた方もいらっしゃるかもしれませんね。記念館グッズショップの多くの商品同様、このクリアファイルも " 宮本館長プロデュース" です!
おもて面に並んでいるのは伊丹さんのエッセイの挿絵となっているイラストで、『伊丹十三選集』の第一巻から第三巻の本のケースにプリントされているもの。うら面は中身が分かりやすいように透明にし、その右下隅には、赤い記念館のロゴを入れています。サイズは持ち運びしやすいA5サイズですので、旅行中など、ちょっとしたものを入れるのに重宝しますよ。
記念館のクリアファイルは今回発売したものの他にA4サイズが2種類、A5サイズが1種類ございます。伊丹さんの描いたイラスト等がプリントされたオリジナル商品ばかりですので、これを機に、デザイン違い、サイズ違いで集めてみるのはいかがでしょうか?
オンラインショップでも取り扱っていますので、ぜひチェックしてみてください!
スタッフ:山岡
2019.03.11 ヨメナ
春が近づいてくると思い出す、伊丹万作「愚問愚答」のこの一節――
問 一番おいしい野菜は。
答 よめな。
「愚問愚答」『伊丹万作全集』第1巻(筑摩書房、1961年)
ヨメナ(嫁菜)というのはキク科の多年草で、いわゆる野菊の一種。花が咲く前の若葉は食用にでき、春菊のような、春らしいほろ苦さが好まれているそうです。
伊丹万作全集を初めて読んだときは「ヨメナ?? 見たことも聞いたこともないや」と分かりませんでした。そして今もまだ、不勉強ながら、食べたことはありません。
菜めしやおひたしにして食べると美味なんだそうですが、栽培・販売される種類の野菜ではなくて「摘んでくる」もの、野草なんですね。
雑誌『映画藝術』の伊丹万作追悼特集に13歳だった伊丹十三が寄稿した「父ノ思ヒ出」にも、「父ノ大好物ノ嫁菜」を一緒に摘みに行ったときのエピソードがつづられています。よっぽど好きだったんですねぇ。(この文章を現代かなづかいにした「父の思い出」が『ぼくの伯父さん』に収録されています。)
伊丹万作が「一番おいしい」と言ったヨメナ、どんな野菜なのでしょうか。野草摘みをしたことのない私でも、見つけられるようなものなのでしょうか。
そんな春先のある朝、出勤してまいりますと、記念館の前を流れる川附川(かわつけがわ)の土手に一人の男性がかがみこんで何やらやっているのが見えました。
このへんでした!
ガードレールをまたいで道路に戻り、去っていった男性の手には、草が握られていましたから、どうやら野草摘みをしていたようです。
もしかしたら、ヨメナだったかもしれない! と思うと、気になって気になって、通るたびにジーーっと見てしまう今日この頃です。
ここにヨメナが!?
(国道から近く、川沿いの道路はワンちゃんたちのお散歩コースに
なっているので、食用の野草摘みには適さない気もしますが...)
さて、明後日3月13日(水)の「毎月十三日の十三時は記念館で伊丹十三の映画を観よう!」は『マルタイの女』(1997年)です。
これまで10作品を公開年順にご覧いただいてまいりましたが、2016年に開始してから3巡いたしましたので、来年度は少し変更しまして、以下のようなスケジュールでご覧いただこうと思います。
伊丹映画@記念館
2019年度のスケジュール
4月13日(土)マルサの女
6月13日(木)マルサの女2
7月13日(土)ミンボーの女
9月13日(金)スーパーの女
10月13日(日)マルタイの女
11月13日(水)お葬式
12月13日(金)タンポポ
1月13日(月祝)あげまん
2月13日(木)大病人
3月13日(金)静かな生活
まず「女シリーズ」を公開年順に5本、それから、女シリーズ以外の作品を公開年順に5本、のスケジュールでございます。
5月と8月をのぞく毎月「十三」日の「十三」時にご来館いただきますと、通常のご入館料(大人800円 / 大高生500円)のみで、展示に加えて伊丹映画を1本まるごとご覧いただけます。お時間をたくさん取って、ぜひご来館くださいませ。
学芸員:中野
2019.03.04 お出かけ先に記念館はいかがでしょうか
記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
明後日3月6日は、寒い冬の間土の中で過ごしていた虫たちが、春の到来を感じて地上に這い出してくるといわれる「啓蟄(けいちつ)」です。朝晩などまだ冷え込む時はあるものの、日に日に寒さが和らぎ暖かくなってきていますよね。春はすぐそこまで来ているようです。
記念館入口横にあるトサミズキの蕾も膨らんできました
そしてこの時期になると、春の行楽シーズンに向けて、記念館の開館予定のお問い合わせをいただくことが増えます。中でも4月終わり頃から5月の連休は、その前後も含めてまとまったお休みをとられる方が多いためか、ご旅行や帰省された時のお出かけで、いつもたくさんの方がご来館くださいます。
また、今シーズンは特に、「伊丹十三選集」(岩波書店)や伊丹さんの特集が組まれた雑誌を、書店で見かけたり実際に読んだりしたことがきっかけとなって、「連休を利用して記念館へ行ってみよう!」という方がいらっしゃるようです。
記念館はふだん火曜日を休館日とさせていただいていますが、4月30日の火曜日は開館いたします。4月24日の水曜日から5月6日の月曜日まで休館日なくお客様をお迎えしますので、書籍や雑誌などを通して少しでも伊丹さんや記念館に興味を持たれた方は、ぜひお出かけ先として記念館をご検討ください!
4月23日(火) お休み
4月24日(水)~5月6日(月) 開館 ※4月30日(火)も開館します。
5月7日(火) お休み
記念館の開館カレンダーと合わせて、ご利用案内>入場料・アクセス のページも参考になさってくださいね。
ご利用案内>入場料・アクセス のページです
スタッフ一同、ご来館を心よりお待ちしています。
スタッフ:山岡
2019.02.25 入館チケット
記念館の受付でお渡しする入館チケットは、黒地に白の文字とイラストが映えるスッキリしたデザインです。
左が大人用チケット、右が高校・大学生用チケット
大人用と高校・大学生用、それぞれ別のイラストを使用しており、どちらも伊丹さんが自著の挿絵として描いたものです
こちらが、大人用チケットのイラストです。
『問いつめられたパパとママの本』に収録されている一編「ママハイツモオ化粧シテルノニドウシテ肌ガアレテルノ?」の挿絵なのですが、思わずクスッと笑ってしまいますよね。
『問いつめられたパパとママの本』は、「空ハナゼ青イノ?」といった、子どもたちが抱く素朴な疑問をやさしく科学的に解明するという内容で、伊丹さんが描いたユーモラスな挿絵も印象的な一冊です。
高校・大学生用チケットのイラストはこちらです。『女たちよ!』に収録されているエッセイ「ハリーズ・バーにて」から。
クラブ・ハウス・サンドウィッチを食べるときに、切れないベーコンにつられて他の具材がこぼれてしまう瞬間を切りとったもので、こちらも楽しいイラストですよね。
『女たちよ!』は、「スパゲッティのおいしい召し上り方」「スポーツ・カーの正しい運転法」「二日酔の虫」など、さまざまなことが体験的エピソードで描かれるエッセイ集で、お客様から「影響を受けました」とお声をかけていただくことの多い一冊です。
『問いつめられたパパとママの本』と『女たちよ!』は、記念館内のグッズショップとオンラインショップでも販売しておりますので、ぜひお手にとってみてください。
というわけで、こんなに楽しいイラストのチケットですから、お客様にお渡しするときは、小さな遊び心とともにお渡ししているような気持ちになります。
先日、記念館は二度目のご来館というお客様から、「以前来た時にいただいたチケットを、しおりとして使っています。とても素敵なデザインなので」とお声をかけていただきました。
大切にしてくださっていることを、とてもうれしく存じました。ありがとうございます。
皆さま、記念館にいらした際には入館チケットにもご注目ください。
スタッフ : 淺野
2019.02.18 TOBICHIと『ケトル』で伊丹十三!
冷たい風に吹かれていても日差しに春らしさが感じられ、ちょっぴり心躍る季節となりました。いかがお過ごしでしょうか?
今月は、昨年12月に刊行が開始された『伊丹十三選集』全3巻(岩波書店)がいよいよ完結となります。第3巻「日々是十三」、2月19日(火)発売です。
この『伊丹十三選集』刊行を記念して、南青山にあるほぼ日のお店「TOBICHI」で、2月22日(金)~28日(木)、フェアイベントを開催していただくことになりました。
TOBICHI(とびち)とは、ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」で販売されている品々――あの「ほぼ日手帳」やタオルやハラマキなどなど!――を直に見て、手に取って、そして購入できる常設ショップです。
会期中は、その店内にある「すてきな4畳間」というコーナーで、完結ホヤホヤの『伊丹十三選集』をお求めいただける(先着100名様に購入特典があるそうですよ!)ほか、「伊丹十三と猫」をテーマにした展示と、記念館オリジナルグッズのお買い物をお楽しみいただけます。
書籍2種・ポストカード9種・ゴム印3種・クリアファイル1種、
TOBICHIで販売していただくグッズを並べてみました。
全種類お買い上げいただきますと4,428円(税込)になります。
2月22日(にゃーにゃーにゃー)=猫の日からの1週間、東京にお住まいの方、上京の機会のある方、ぜひ南青山へ!
それから、今月は...出版についてのお知らせがもうひとつございます。
太田出版が発行しているカルチャーマガジン『ケトル』VOL.47 伊丹十三特集号(税込972円)が2月15日に発売になりました。
なんとなんと、特集「伊丹十三が大好き!」56ページに、宮本信子館長ロングインタビュー8ページの大盛りです!
館内の展示や収蔵庫の様子、伊丹さんの直筆原稿・イラスト原画・メモや愛用品などの館蔵品の撮影に協力させていただきましたので、特集の内容はあらかじめ把握していたのですが、特集ページ以外の、たとえば連載記事のちょっとしたところなんかにも、さりげなーく、時に熱ーく、伊丹さん要素・松山ネタが潜んでいてビックリ。みなさんも、すみずみまで味わってくださいね。いろんな方が入れ代わり立ち代わり、いろんな風におしゃべりしている、にぎやかで気さくなラジオ番組みたいな1冊です。
記念館のグッズショップでも、さっそく販売を開始しております。ご来館の際にはぜひお手に取ってご覧くださいませ。
伊丹十三をご存知で、大好きでいてくださる方にも、「"イタミジューゾー"? って何者なの?」という方にも、TOBICHIと『ケトル』でワイワイと楽しんでいただける、嬉しい2月になりそうです。まだ少し寒いですが、心を温めて過ごします。
学芸員:中野
2019.02.11 「寄り道」
本日2月11日から3日間、記念館から少し離れたところにある伊豫豆比古命神社(通称「椿神社」)で、「椿まつり」が開催されます。
このおまつりは「伊予路に春を呼ぶまつり」として有名で、地元では親しみを込めて「(お)椿さん」などとも呼ばれています。たくさんの屋台が並び、毎年大勢の参拝客でにぎわいます。
この便りをご覧の方の中にも、「お椿さんに行くよ!」という方がいらっしゃるかもしれませんね。
さて毎年、この椿まつりに行く途中、または帰りに、記念館にお立ち寄りくださる方が何組かいらっしゃいます。
昨年の椿まつりの時にも、そんなご夫婦がお越しくださいました。
愛媛県内からお越しで、その数年前、同じく椿まつりに行った帰りに記念館に立ち寄られたのが初回で、昨年は2回目のご来館でした。「記念館に来たいと思っていたけどなかなか機会がなくて。はじめて来たときは、椿まつりで近くまで来たから、思い切って"寄り道"してみたんです」とのこと。嬉しいことに、1回目の来館で記念館の展示とカフェを気に入って再来館してくださったんだそうです。こんなきっかけもあるんですね。
ちなみに・・・このご夫婦のお気に入り「しょうが湯と十三饅頭のセット」。
オリジナルのしょうがシロップを使ったこのメニューは
特に寒い日はおすすめです。体が温まりますよ。
愛媛県内やその近くにお住まいの方がご来館くださった時、「ずっと気になって来よう来ようと思っていたけど、きっかけがなくて・・・」という話をよくうかがいます。近いとなかなか「ふと思い立って」が難しいですよね。椿まつりに行かれる予定があって、伊丹さんや記念館に興味をお持ちの方は、ぜひこれを機に、このご夫婦のように「寄り道」してみるのはいかがでしょうか。
残念ながら明日12日は火曜日のため休館しますが、本日と13日は通常どおり(10時~18時、入館受付は17時半まで)開館します。ぜひお立ち寄りくださいませ。
黒い建物を目印にお越しください
スタッフ:山岡
2019.02.04 宮本信子館長出勤のご報告
本日・2月4日は、二十四節季のひとつ「立春」ですね。
まだまだ寒い日が続いていますが、記念館周辺の木々や草花からは、わずかに春の兆しが感じられるようになりました。
記念館の正面入口横にあるユキヤナギは、よく陽のあたるところから順番にほころび始めています。
記念館前の川沿いの道を歩くと、菜の花の明るい黄色がパッと目に入るようになりました。気持ちが明るくなりますね。
日一日と暖かくなっていくのが楽しみです。
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さて、1月26日(土)・27日(日)の二日間、宮本信子館長が記念館に出勤いたしました!
26日は、松山ではめずらしく雪の降る寒い日だったのですが、お越しくださった皆さまと宮本館長のお話に花が咲き、館内は両日とも春を迎えたような明るさでした。
ほんの一部ですが、当日の様子をお写真でご紹介いたします。
まずは、お客様と宮本館長のお写真です。
育休中のスタッフも、赤ちゃんと一緒に来てくれました。
皆さま、楽しそうにお話なさっていましたね。
また、26日には取材もありました。こちらは、取材対応中の宮本館長です。
2019年最初の宮本館長出勤も、にぎやかに、和やかに終えることができました。
お越しくださった皆さま、誠にありがとうございました。
次回の出勤予定日が決まりましたら、当サイト内の「ニュース欄」(トップページ右側にあります)でお知らせいたしますので、どうぞお楽しみに。
スタッフ:淺野
2019.01.28 伊丹十三選集、続々刊行中です!
岩波書店の伊丹十三選集、12月20日に発売された第1巻『日本人よ!』(編者解説・松家仁之さん)に続いて、1月18日には第2巻『好きと嫌い』(編者解説・中村好文さん)が発売になりました。
来月、2月19日には第3巻『日々是十三』(編者解説・池内万平さん)が出て、伊丹十三選集コンプリート! となります。
平積みで販売してくださっている書店さんが多いと思いますが、みなさん、このステキな背表紙を書棚のほうに見かけた場合は、必ず引っぱり出してご覧になってみてくださいね。
なぜかというと――
帯がイイんです!
セレクトされた著者の一言にハッとできてワクワクできて、語り口まで伝わってくる、そんな帯の文だけでも見ていただきたいのです。帯を見るだけで、この選集に詰まっている、伊丹十三の世界を一瞬にして体験することができるのです!
そして「この本を手元に置いたらどんなにか愉快だろう」と想像できた方は伊丹さんと相性バッチリ、ぜひぜひ中もお読みいただきたい、と強くおすすめいたします!
「引っぱり出してご覧になってみてください」と言いながら
このように写真でお見せしてしまうのですが......(笑)
第3巻の帯も楽しみです!!
記念館の広報活動では、施設としてのPRのほか、伊丹十三の功績を伝えるために報道・放送・出版へのお手伝いも様々におこなっておりますが、効果といいますか、反響が得られるまでの時間というのが、媒体の種類によってずいぶんと異なるものなんだなあ、というのを実感することが多々あります。
最も即効性が高いのは新聞・テレビで、翌日、早ければ当日にはもう「読んだよ」「見たよ」という方がご来館くださいます。次が雑誌。書籍は一番ゆっくりなようです。
が、ゆっくりな分、その効果が最も長く深く続くらしいのは書籍だとも感じています。
この選集が多くの方々のお手元に行きわたりつつある今、何年か後に「伊丹さんの記念館に来てみたいと思っていました」とお越しくださる方が、また増えてきているということでしょう。未来のお客様との出会いを楽しみに、ずっとお待ちしております。
学芸員:中野
2019.01.21 記念館からのお知らせチェック
記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
記念館入口前のトサミズキのつぼみが、早くも少しずつふくらんできました。暖かくなったら可愛らしい黄色い花を咲かせるのだと、今から楽しみです。
とはいえ、特に朝晩など冬の寒さはまだ続きそうですので、風邪などひかれませんよう皆さまお気を付けくださいね。
入口前のトサミズキ
さて、伊丹さんやこの記念館に興味を持たれて記念館ホームページを見てくださっている方はたくさんいらっしゃると思うのですが、そんな方にぜひチェックしていただきたいなぁ、できれば時々見ていただきたいなぁ、と思うところがあります。
トップページにある「ニュース欄」です。
このニュース欄は、伊丹さんや記念館に関する情報―――展示や伊丹十三賞、記念館主催のイベント情報、開館・休館に関するお知らせ、伊丹さんに関連した書籍や番組等々を皆さまにお伝えしているスペースです。大変嬉しいことに、「よくニュース欄をチェックしていますよ~」と受付でお声掛けいただく方も少なくないんですよ。
時間がある時など、時折見ていただくと興味のある情報が載っているかもしれません。
お知らせ内容によっては、ニュース欄だけでなく、より詳細を確認いただける特設ページを設けたり、記念館便りで書かせていただいたりしています。
ニュース欄でキャッチした内容に興味を持たれたら、ぜひそちらも見てみてくださいね。
そして!
今ニュース欄をご覧いただくと、一番上に載っている情報は、「宮本館長の出勤情報」です!
(以下ニュース欄より)
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● 宮本信子館長出勤のお知らせ:
1月26日(土)13時30分頃~16時頃、27日(日)11時頃~13時頃出勤いたします!
※当日の状況により、滞在時間等は変更になることがあります。
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2019年初出勤です。
当日はスタッフと一緒に皆さまをお迎えしますので、お誘い合わせのうえ、ぜひご来館ください。
皆さまのお越しを心よりお待ちしております。
スタッフ:山岡
2019.01.14 「紙」のお便り
この冬、「年賀状じまい」という言葉を何度か目にしました。
文字通り、長年続けてきた年賀状のやりとりを終えることを意味する言葉で、平成最後の2019年・年賀状を区切りにする人が多いようだとニュースで報じていました。
高齢層を中心に広まっている動きとして紹介されていましたが、世代を問わず年賀状は送らないという方は増えているように感じます。
一方で、SNS等を通じて送るペーパーレスの「電子年賀状」を利用しているという声も聞くようになりました。
従来のスタイルの年賀状は年々減少していくのかもしれませんが、年始のあいさつは新しい形で続いていくのでは、とも思います。
わたし自身は、ここ数年で年賀メールの割合が増えましたが、紙の年賀状も続けています。
ところで、記念館のグッズショップで販売しているオリジナルポストカードには伊丹さんが描いた猫イラストのデザインがあるのですが、昨年末に、「猫が大好きなので、何枚か年賀状として使います」とお買い求めくださった方がいらっしゃいました。
干支にこだわらず、大好きな猫のデザインで送る年賀状、素敵ですね。
伊丹十三が描いた猫イラストのポストカード
記念館のポストカードには、イラスト版以外にも記念館の外観や伊丹映画のポスター版などがあり、ご好評いただいております。
グッズショップ ポストカードコーナー
オールシーズン、さまざまな目的でご利用いただけますので、ご来館の際にはぜひお手に取ってみてください。お得なセット販売もあり、セットはオンラインショップでも取り扱っています。
年賀状に限らず紙の便りのやりとりが減っているからこそ、これは!と思うデザインの葉書や便箋と出会ったら、誰かに気軽に便りを送ってみるのも新鮮で楽しいかもしれません。
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≪『伊丹十三選集』刊行記念イベントのお知らせ≫
『伊丹十三選集』(全三巻/岩波書店)の刊行がはじまったことを記念して、東京・神保町ブックセンターで、今野勉さんと松家仁之さんのトークイベント(主催:神保町ブックセンター/協力:岩波書店)が開催されるそうです!
開催日は1月25日(金)。貴重な機会ですので、首都圏にお住まいの皆さまなど参加なさってみてはいかがでしょうか。申込み方法等の詳細は、このイベントを主催する「神保町ブックセンター」のウェブサイトでご確認ください。
<神保町ブックセンターウェブサイト>
https://www.jimbocho-book.jp/643/
スタッフ:淺野
2019.01.07 2019年の年頭にあたりまして
平成最後のお正月、皆様いかがお過ごしでしたでしょうか。
毎年恒例で「元日Uターン」の私は、朝、母が作ってくれたお雑煮を食べ、
今年は尾頭付きの焼きエビが乗りました!
お餅はいただきものの丸いのと四角いのが入ってますが
地域的には角餅が基本です。
昼前には故郷・宮古市を出発し、
絶景続き!のこんなところを通ります。
川の白いところは氷ですよ!
盛岡、東京を経由して、松山へ戻ってまいりました。
記念館は今年も2日より元気に開館しています。
冷え込む日もありましたが、たくさんのお客様にご来館いただき、心はあたたかいお正月でした。
年末年始の間、伊丹十三関連の書籍や雑誌、テレビ番組(の録画)を楽しんでくださった方もたくさんいらっしゃったと思います。
NHK松山局制作の『もっと四国 8人の伊丹十三』、12月15日にはBSプレミアムでも放送されましたが、皆様ご覧いただけましたか?
宮本館長、リリー・フランキーさん、玉置館長代行、松本明子さん、大根仁さん、伊集院光さん、江川悦子さん、山崎貴さんが続々と登場して、伊丹さんについて真剣に、大事そうに、そして実に楽しそうに語るご様子に、見ているこちらも嬉しくなる番組でした。
出演の皆さんの表情や言葉が生き生きと捉えられ、クールにお洒落に小気味よく編集されていたのも愉快で、43分があっという間でしたね。「もう終わっちゃったの!? おかわり!!」と言いたくなりました。
この番組を見て、深々と感じたのは「伊丹十三の人と作品について思い思いに語るのは、とても楽しいことなんだ」ということです。
2年前、『タンポポ、ニューヨークへ行く』(日本映画放送、テレビマンユニオン)に感じたことを思い返したりもしました。
記念館は、館内の展示や館外への情報発信といった活動を通じて伊丹十三の足跡を紹介する場でありますが、私たちが紹介することを受け取っていただくだけではなくて、それをさらに誰かに伝えたいと思っていただける、自由な「私の伊丹十三」トークがどんどんつながって広がっていく、そういう楽しい連鎖の起点であることも大切にしていきたい、と考える2019年の年頭でございます。
1月、2月も『伊丹十三選集』の刊行が続きますので、伊丹ファンの皆様にはお忙しい冬になることと思いますが、本年もどうぞよろしくお願い申しあげます。
学芸員:中野
2019.01.02 館長・宮本信子から新年のご挨拶
伊丹十三没後22年目に入りました
昨年は、テレビや新聞、出版で伊丹さんを沢山とりあげて下さり、
本当に嬉しかったです。
お世話になり、ありがとうございました!
取り分け、岩波書店刊「伊丹十三選集」全三巻は、
伊丹十三の少し隠れた部分に光があたり、
違った色合いが出てくるような...(私はそう思っております。)
とても楽しみにしております!
中庭の桂の木に鳥が巣を作りました。初めて~~!
(発見者は磯田道史氏)
何やら縁起がいいですね...(笑)
一月末、私は記念館に行く予定をしております。
桂の木と一緒にスタッフ一同と御来館をお待ち申し上げます。
館長 宮本信子
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