こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。
2019.06.03 楽器
記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
暑くなってきましたね。これからどんどん気温も上がってくると思いますので、体調等崩されないようご注意ください。
さて先日、ご来館のお客様の中に、趣味でアコーディオンを弾いてらっしゃるという男性がいらっしゃいました。還暦を迎えた時、何かのテレビ番組で特集されていたアコーディオンに興味を持ち、習い始めたのだそうです。それまで楽器とはほとんど縁がない生活だったそうですが、始めて「弾く楽しさ」を味わい、めきめき上達して、3年経った今ではイベント会場で演奏することもあるのだとか。すごいですね!
そんなお客様は、伊丹さんの著書『ヨーロッパ退屈日記』にある、以下のエッセイが大のお気に入りなんだそうですよ。一部ご紹介いたしますね。
でも、わたくしは声を大にしていおう。楽器というものは愉しいものである、と。
そうして楽器というものは三、四歳の頃から習い始めなければならない、というのは最も悪質なデマである、と。職業的演奏家を志すのならいざ知らず、自分で愉しむ程度のことなら何歳になってからでも遅くはないのだ。
(中略)
深く楽器を愛する心と、そうして根気を持った人なら何の躊躇うことがあろうか。思うに楽器とはその人の終生の友である。決して裏切ることのない友である。わたくしは心の底からそのように感じるのであります。
「最終楽章」 『ヨーロッパ退屈日記』(新潮文庫)より
習い始めの頃にこのエッセイを読んでたいへん共感されたのだとか。ご旅行中ということで、残念ながらこのお客様の " 終生の友 " を拝見することはできなかったのですが(家で "お留守番 " だそうです)、こだわって選んだというアコーディオンは、やはりとても大切になさっているそうです。
そして伊丹さん自身も「音楽愛好家」の顔を持っていました。愛用していたギターとヴァイオリンが、記念館の常設展示室「二 音楽愛好家」コーナーに展示されていますので、ご来館の際はぜひご覧になってみてください。
3日後の6月6日は、お稽古事を始めるのによい日とされていることから、「楽器の日」と言われているそうです。楽器にご興味のある方は、関連イベントや楽器店などをのぞいてみるのも面白いかもしれませんね。
スタッフ:山岡
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