こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。
2011.12.26 もう今年が終わりますね
みなさま、こんにちは。早いもので今年も残すところ、あと6日となりました。記念館は本日26日が仕事納めとなります。2011年を振り返りますとわたくしは8月より記念館で勤務することになりいろんなお客様との出会いがあったり、そして公益財団法人の経理事務としての専門的なお仕事を経験しました。新しいことを覚えることは楽しいです。そして新しい知識を得ることのできるのはありがたいなと感じています。今年はもちろん伊丹十三さんのこともたくさん知ることができました。伊丹十三さんのことと言えば記念館でのみ入手できるDVD『13の顔を持つ男』と伊丹十三記念館ガイドブック、映画『お葬式』シナリオつき絵コンテノートは絵コンテをそのまま本にしているのを他で見たことがなかったので新鮮です。 ガイドブックは記念館に展示してある十三さんにまつわる展示品を鮮やかな写真と大きめな文字で紹介してます。 DVD『13の顔を持つ男』は十三さんの貴重な映像がたくさん収録されていて、どれだけ多才でユーモラスだったかわかるDVDになっています。 映画『お葬式』シナリオつき絵コンテノートは初の監督作品である『お葬式』の絵コンテでその数約300枚です。絵コンテから既に登場人物の性格が滲みでている本です。どれもこだわりがありお勧めなのですが私は伊丹十三記念館ガイドブックの245ページに載っているつややかなお椀を見ていると無性にそばを食べたくなります。写真を見ているだけで読み手を食べたい気持ちにさせるなんて物の選び方も優れた人だったと思います。食べるなら時期的に年越しそばです。年末にそばを食べるとその年の悪縁や苦労を切って翌年に持ち越さないといわれています。年内に食べると長寿にもなるそうです。是非年内に伊丹さんのようにお気に入りの食器で年越しそばを食べてみてくださいね。
今年記念館にご来館や応援してくださったみなさま、ありがとうございます!今年1年間、お仕事や学業などで使ったご自身の身体を労わり、温かいものを食べて、良い新年をお迎えください。
スタッフ:井川
2011.12.19 「ありがとう」
記念館だよりをご覧のみなさま、こんにちわ~!いやぁ~寒いですね~。先日福島県からお越しのお客様も「愛媛ってあったかいイメージがあったけど、こんなに寒いんだ~」と驚かれていましたが(強風で特に寒い日にご来館くださいました)、12月に入って急に寒くなりましたね。12月に入ったばかりと思っていたらもう今年も残すところ10日あまり...。早い、早すぎる。年々1年があっという間に感じます。よく大先輩たちが「1年が本当早いね~」と言っているのを耳にしていましたが、実感する年頃になってしまいました。(いや、10年くらい前から実感していたか...)
さてさて、最近いろんな方に記念館だより見てますよとお声をかけていただきます。貴重な時間を使ってこんなつたない文章を読んでいただきありがとうございます。更にはお声までかけていただき感激です。みなさまからパワーを頂戴し今日も元気にがんばっています!
日常にはたくさんの「ありがとう」がころがっていますが、みなさんは素直にありがとうという言葉を使えていますか?家族とか身近な人にほど、なかなか言えてないんじゃないでしょうか?
「お母さん、毎日おいしいごはんを作ってくれてありがとう」「お父さん、家族の為に毎日お仕事がんばってくれてありがとう」こんな簡単な言葉でどれだけ力がわいてがんばれることか。ありがとうと言われて嫌な気分になる人はいませんよね。ありがとうの言葉でみんなが幸せな気分になれると毎日がもっと楽しくなると思いませんか♪普段あまり「ありがとう」と言わない人から言われたりするとなんだかうれしくてテンションがあがってもっとがんばろうって思ったりしませんか?
「ありがとう」って自分が言う時は誰かに優しい事されたり、うれしい事されたり、助けられたりしていて幸せだし、誰かに「ありがとう」を言われる時は誰かの為になれていたり、誰かに幸せを与えられていたり、「ありがとう」の言葉ひとつでみんながHAPPYになれる素敵な言葉ですよね。
当記念館のスーパーポジティブ事務局長は、常に前向きでどんな事でもプラスに考えられる能力を持っていて、嫌だなと思うような事が起こっても「こんな経験をさせてくれてありがとう」「新しい発見ができてラッキー」と思える人なんです。事務局長と話していると自分の悩みなんてちっぽけだなと思えたり、そういう考えもあるか~と気持ちが楽になり、まさに新しい発見をさせてくれます。そんな事務局長に出会えたことにも感謝です。当館は限られた人数で運営していて、仲間の助けなしではどうしようもないこともよく起ります。私は子供が小さいので熱がでたり入院したりで何度となくスタッフに迷惑をかけました。でもどんな時でも嫌な顔ひとつせず、お互い様ですからと助けてくれます。そんなスタッフに心から感謝しています。この場を借りまして、いつもみんなありがとう!
2011年ももうすぐ終わりです。伊丹十三記念館を愛してくださっているみなさん、いつもありがとうございます。記念館だよりをご愛読くださりありがとうございます。2011年は2007年の開館から入館者数が10万人を突破しうれしい1年でした。ご来館くださったみなさん本当にありがとうございました。そして、伊丹十三さん、伊丹さんが素晴らしい人生を送ってくださったおかげで私はこんな素敵な記念館で働く事ができ、素敵な仲間にも出会えました。この記念館で働き、普通の生活ではなかなか出会う事のないような方々に出会え、勉強もさせて頂きました。亡くなられた後も多くの人に影響を与え続ける伊丹十三さん。本当にありがとうございます。
↑十万人達成の際に、館長宮本信子が書いたメッセージを館内に飾っております。
2012年もたくさんのお客様にご来館いただけるようスタッフ一同心よりお待ち申し上げております。
スタッフ:木山
2011.12.12 捨てる!
私はなかなか「鉛筆」が捨てられません。まだ書ける状態で捨てることができません。服などは中古でも引き取ってくれるお店があったりしますが、さすがに一度削った鉛筆は捨てる以外には自分で使い切るしか方法がないのですが、学生でもない現在、鉛筆を使い切るほど「書くこと」もそうそうなく、大掃除の度にあっちにやったりこっちにやったりしています。
しかしこれは「私の価値観」であって人によっては鉛筆を捨てることに違和感を感じない人もいると思います。個人の感覚や価値観は様々で、どれが正しいということを論じるのは難しいと思います。が、お金に関してはどうでしょうか。みなさんは次にご紹介する伊丹十三のエッセイを読んでどう感じますか。
「1円玉(札)を捨てる」という話から、「1円」や「お金」やに対する価値観について語っているのですが、その話の枠を飛び越えて、普段から「当たり前」と思っていることに対して「そもそもホントにそれ当たり前?何を根拠に?」と伊丹十三に問われている気分になります。この「モノの見方」が伊丹さんなんだなあ、と感じるエッセイの一つです。ご一読ください。
【画像:2005年3月新潮社より発売 文庫 「再び女たちよ!」】
伊丹十三エッセイ 「捨てる!」
学校へ通う電車の中で、アメリカの兵隊と向かい合わせに腰をおろしたことがある。兵隊の膝の上には、およそ小さな紙屑籠の中身をぶちまけたくらいの、紙屑の山があった。
いや、紙屑と見えたのは一瞬で、仔細に眺めるなら、それはくしゃくしゃになった日本の紙幣の山であった。
兵隊は—おそらく退屈しのぎにであろうが、服のあちこちのポケットから引っぱり出した日本の紙幣を整理しようとしていたらしいのだ。千円札は千円札、百円札は百円札、十円札は十円札、五円札は五円札—兵隊の不器用な作業はのろのろと進んでいった。電車はかなり混んでいたが、周囲の乗客の眼は、この兵隊の手もとにことごとく集中して離れなかった。
なぜか?
紙幣の山の中に一円札を見つけると、兵隊はその都度それを抜き出して窓の外へ捨てたのである。
「ひらっ、ひらっと、こう一円札が窓の外で翻えっちゃあ、すっと後ろへ流れて見えなくなるんだ。これはショックだったなあ」
「ショックってのはどいういうこと?つまり一円を笑うものは一円に泣く、なんていうじゃない。そういうことってわれわれ割合いに信じてるんだよな。お金を粗末にしちゃいけないっていう気持ちは、かなり意識の深いところに根をおろしちゃってるんだよな。そういう意識がショックを受けたっていうこと?」
「うん、つまりそうなんだけど、でも今考えてみても、不思議に不愉快なショックじゃなかったなあ。どっちかというと、こちらの盲点をつかれたみたいな、というか、権威が目の前で崩壊していくのを見てるみたいな、なんか唖然としながらも笑いがこみあげてくる感じね」
「うん、わかる、わかる。そもそもさ、その兵隊のやっていることがさ、変に理屈にあいすぎてるのがまた可笑しいんだよね。一円札なんか紙屑同然だ、じゃあ紙屑みたいに捨てちゃおうってんだから、こりゃ可笑しいよ。物に捕らわれなさ過ぎるんだよ、この兵隊」
「つまりねえ、金の主人っていうのは本来人間なんだよ。当り前の話だけどさ。ところが現実はそうなってないよね。金の方が人間の主人づらしてるもん。ぼくなんか随分警戒してても、やっぱり無意識のうちに収入か財産で人を評価してることってあるもん。つまり金がただの金でなくって人間を計る物差しにまでなっちゃってるっていうことね。これは随分根深いもんだよねえ、今でもぼくは一円玉なんか捨てる時、やっぱりちょっと疾しいような、後ろめたいような、なんか抵抗感じるもんね」
「というと、あれかい、きみは一円玉捨ててるの?」
「よく捨てるよ、まあ必ず捨てるね」
「そんなことしちゃよくないよ、そりゃあ悪いことだよ」
「ほら、きみだってそういうだろ。お金を粗末にすると罰があたる—本気でそう思ってるんだよ。みんな一種の畏怖の念を抱いてるんだよ、金に対して。ほとんど信仰に—といっても未開人の信仰に近いもんだぜ、それは」
「だって、だからといって金を捨てるっていうのは—」
「どこが悪い?自分の金を、自分の犠牲において捨てるんだぜ。いや、勿論犠牲なんて思ってやしない。あんなゴミみたいなものを持ち歩きたくないし、第一持っててもなんの役にも立ちゃしないじゃないの。まあ、だまされたと思って一度パッと捨ててごらん、一円玉。こりゃあいい気分だから、解放感があるから」
「いやあ、おれはだめだな、絶対捨てられないなあ、やっぱり冒瀆だよ、そりゃあ」
「冒瀆ったって、なにに対する冒瀆なんだよ?」
「だって労働の結果得たものを、そんな工合に捨てちゃうってのはさ、つまり神聖な労働に対する—」
「労働がどうして神聖なの?国会議員だって高利貸しだってみんな労働してるよ。あれも神聖なわけ?労働なんてのはさ、時にはつらいし、時には退屈だし、時には食うためにやむをえずだし、時には穢いし、時には楽しいし、まあそんなもんであってさ、神聖とはまるで関係ないじゃないの」
「それにしてもさ、片一方では一円にも困って貧乏してる人がいるのに、きみが一円玉を捨てるっていうのは—」
「そんなことはまるで無関係だよ。一円にも困る人がいるっていうことは、これは悲しむべきことだし、そういうことが無くなればいいと思うよ。だけど現にぼくが一円玉を捨てないで机の引出しに入れといて、その人たちがうるおうの?全然関係がないじゃないの、そんなこと」
「そうかなあ、じゃあみんなが一円玉捨て始めたらどうなるんだい」
「そうさねえ、世の中にお金が少なくなるんだからさ、お金が少なくて物が多いというとこになって物価が下がる—」
「おいおい、出鱈目もいいかげんにしろよ」
「なにが出鱈目だい。全然出鱈目じゃないじゃないの。だからさ、みんなが一円玉捨てれば—」
「知らん、知らん、おれは知らんぞ。お金にはそれを使った人の生き霊がこもってるんだから。おれは知らんぞ。お前さん必ず罰が当たるんだから」
「再び女たちよ!」 −捨てる− 伊丹十三
【画像:まだ書けるかな?と思って置いておいた鉛筆です。この撮影後捨てました。】
スタッフ:川又
2011.12.05 内田樹氏講演会—伊丹十三と「戦後精神」—を開催いたしました!
去る11月29日(火)、松山市総合コミュニティセンターのキャメリアホールで「第3回伊丹十三賞受賞記念 内田樹氏講演会」を開催いたしました。会場には、ナントナント、900人を超えるお客様にお越しいただきました。現在の集計で917名様のご来場であります。みなさま、まことにありがとうございました。一部のお客様には補助席・立ち見でご聴講いただきましたこと、お詫び申しあげます。
内田先生からは『伊丹十三と「戦後精神」』という演題を頂戴しておりまして、どんなお話になるんだろう、と楽しみにしておりました。
内田先生は現代社会の諸問題について、幅広く著述・講演なさっていらっしゃいますが、今回の講演会は、他のどこでも聞くことの出来ない、当館の主催事業としてはこのうえなくありがたい(文字通り「有り」「難い」)伊丹十三論をお聞かせくださいました。
さて、拝聴いたしまして。「『ヨーロッパ退屈日記』を徹底的に読む」をテーマとしたお話は—(以下、ワタクシのつたない要約であります。箇条書きのようになってしまいましたが、何卒ご容赦ください)—
伊丹十三は「十三の顔を持つ男」とも言われるほどに非常に多面的な仕事をしたけれども、そのような経歴になったのは、「自分が何をしようとしているのか」本人にも捉えきれずにジャンルをずらしながら探ったからではないか。本人にもよくわからないことを余人が論じるのは難しいことであるが、彼の志、こめられたメッセージは非常にシンプルである。
伊丹十三は、「敗戦と同時に自分たちが信じてきた価値を全否定されたために、終戦前と後とに半身を引き裂かれた戦中派」であり、「否定し去られた価値の中にも、未だ信じるべき価値のあるもの、日本人の美質があるはずだ」と「半身(少なくともその一部)」の奪還を、個人として、国民として生涯試み続けた人物のひとりである。そのことは『ヨーロッパ退屈日記』における日本人批判、アメリカ人批判、自国の文化に誇りを持ち守っている人々に対する敬意にあらわれている。そして、一行も書かれていないけれど、彼は明治人の典型、つまり、彼が少年時代に「そうありたい」と願ったような人物である柴五郎を演じたくて『北京の55日』に出演したのではないだろうか。
伊丹十三がさまざまな仕事を通して言いたかったのは「日本人よ、誇るべきものは誇りなさい、恥ずべきことは恥じなさい、自己点検しなさい」ということだった。それゆえに、『ヨーロッパ退屈日記』は1960年代に20代の青年が書いたものでありながら、今なお読む甲斐のある文化批判として残り続けている。
しかし、なぜ、未だに包括的な「伊丹十三論」が存在しないのかというと、我々日本人全体の知性、倫理性が劣化しており、「まっとうな大人」から告げられるそのようなメッセージを受け止める素地がないからである。伊丹十三の作品の中で、自分達がゆっくり劣化していく社会的趨勢を読み込むのが苦痛なので、読まないように「拒否」しているからである。そのかわりに、趣味のよさ、批評の切れ味のよさといったものを、完成した美術品のように鑑賞している。
伊丹十三には、勇気、すなわち、孤立すること・理解されないことを恐れない侍的なエートスにちかいものを感じる。本人があまりに洒脱で韜晦癖もあったので、そのようなストイックで教化的なメッセージは伝えられにくくなっているが、実は全力を尽くして伝えている気がする。シンプルではあるが、今の我々が受け止めにくくなっているメッセージを発信する人なので、彼について論じようとする人が「自分にはどれだけ勇気があるか」と自己点検すると、深く恥じ入ってしまうような端正なたたずまいがあり、それが彼について我々が語ることを妨げている気がする。日本人が彼についてのびやかに的確に語れるようになることが、我々の知的な、情緒的な成熟の掛け金である。
伊丹十三のことを「この人すごい」と思い影響を受けながら、どこがすごいのかは分かりにくかった。たたずまいの中に非常にピュアでノーブルなものがあるが、「ノーブル(高貴な)」という形容詞は、現代の日本人が人を誉めるときに絶対に使わない言葉であり、そのような形容詞のつく人物を、我々はどう評価したらよいのか分からないものである。伊丹十三という人には、「ノーブルな魂を持った人の受難」を感じる。しかし、孤立することを恐れない勇気を支えていたものは、実は一般的な価値—「人間は規律を持たなければならない、自分の弱さ醜さ邪悪さを許してはならない」—だった。
弱さや醜さや悪意は人間的なものだと思われているが、人間世界に入り込んで、人間的な秩序を破壊しようとする、非人間的なものである。人間社会は人工的なもので、非常な努力をしなければ守れない世界である。その世界に邪悪なもの、暴力的なものが入ってこようとするのを押し戻す「境界を守る人」がいて、これは珍しいことではなく、多くの文学作品にも登場しており、伊丹十三もそのひとりである。孤独で自発的で誰にも知られず敬意も払われない、このような仕事をしている人は減りつつあるが、まだたくさんいる。我々は、このような人たちに時々気付いて、その背中に向かって手を合わせるぐらいのことはしてもいいんじゃないかと思う。
この会場にも「境界を守る」仕事をしている方がたくさんいらっしゃると思う。おそらく、評価されることも大きな社会的支援を受けることもないでしょうけれども、どうぞその仕事をがんばってください。そして、伊丹十三のようなすぐれた先駆者がいることを記憶しておきましょう。
—自分達がゆっくり劣化していく社会的趨勢を読み込むのが苦痛なので、読まないように「拒否」している—のくだりは、「耳が痛い!穴を掘ってでも入りたい!」と恥じ入りましたが(いいお話は耳が痛いものですよね...)、20代の終わりに『ヨーロッパ退屈日記』を始めて読んだとき、「そうだそうだ!」と胸のすく思いと「す、すみません」という反省の思いが去来したこと、「え...これを書いたときの伊丹さん、今の私より若かったの...?なんか悔しいけど...面白く読んじゃったよ...チクショー面白いじゃないか!」と感じたことを思い出しました。
講演の全文書き起こしは、1月下旬頃から2月頃、このホームページ内に特設ページを設けて掲載したいと考えております。
残念ながらご来場かなわなかった皆様、準備のためにお時間頂戴いたしますが、今しばらくお待ちくださいませ。
最後になりましたが、開催のために、ご協賛、ご後援、ご協力くださった企業の皆様、ポスターのために素敵なお写真をご提供くださった宗石佳子さん、当日会場の運営に携わってくださった皆様に厚くお礼申しあげます。
関西からはるばるお越しくださった「内田家」の皆様、そして、今回のご講演をご快諾くださった内田先生、ありがとうございました。
学芸員:中野
2011.11.26 消防訓練をしました
みなさま、こんにちは。井川です。冬に向けて日を増すごとに次第にひんやりとした空気を感じるようになりました。記念館の側に川がありますが良いお天気であるときは水面が太陽の光で光っていてとてもきれいです。そして川の周囲には冬のはじまりを告げているような凛とした空気が伝わり水面の光が光輝く氷のように見えることがあります。個人的にはそんな川の側に立っている記念館は建てた場所がよかったと感じています。冬といえば火災が多く、夜になると私の自宅近所では「火の用心!」という声とともに「カンカン」という音がきこえて近所の人たちの火災予防のための声掛けがきこえてきます。全国からいろんなお客様をお迎えしている当館でも火災予防について何かしなければいけません。10月に私は財団法人日本防火協会主催の甲種防火管理新規講習を受けて参りました。2日間という短い講習でしたが防火に対する様々なことを学ぶことができました。防火をすることは日常的な注意と点検を行うとともに、避難訓練を定期的に行いスタッフ全員が火災が発生したときに訓練を基に動き易い体制を整えておくことが大切なことが講習でわかりました。そこで11月3日、松山市南消防署の方にお越しいただき消防訓練を実施しました。 マニュアルを作成したり事前にスタッフ達と打ち合わせを行って消防訓練を実施しましたがいざ本番になると身体が思うように動かなくて実際してみなければわからないことがあることを実感しました。訓練を機会に火災受信機というものを操作しましたが普段の業務ではまったく触ることのない機械でしたのでとても緊張しました。火災受信機の操作方法をセコムテクノサービス様にお越しいただきご説明していただき丁寧でわかりやすいご説明に大変助かりました。避難訓練後は消火器を実際使用させていただきました。消火器を手にとって噴射したとき、実際の火災のときに有効活用できるようにしなければと思いました。避難訓練だけではなく、負傷した人を運ぶことも実際してみました。 火災受信機の操作、お客様への呼びかけ、消防署への通報、消火器使用、負傷者の搬送など一日でたくさんのことを学ばせていただきました。 松山南消防署の皆様、セコムテクノサービス様、消防訓練を実施するためにご協力いただきありがとうございました。これからお客様やスタッフの安全のために避難訓練で体験したことを役立てていきます。スタッフ:井川
2011.11.21 参加証発送のお知らせと当日受付のお知らせ
「第3回伊丹十三賞受賞記念 内田樹氏講演会」開催まで、いよいよ1週間と1日になりました。地元の方、ご遠方の方...たくさんの方がお申し込みくださって感激しております。ありがとうございました。今回は抽選なしで、お申し込みくださった方全員に参加証を発送いたしました。
参加証のはがきはお手元に届きましたでしょうか?
「申し込んだのに届いてないわ、外れたのかしら」、「私には届いたのにお友達には届いていないそう...外れたのかしら...私も行くのよそうかしら」とお悩みの方、いらっしゃいませんでしょうか。お申し込みくださった方には全!員!お越しいただきたく存じておりますので、もし届いていない場合には、お手数おかけいたしますが、ぜひぜひご一報ください。
また、「きゃ~!申し込みに間に合わなかった!そんなステキな催しがあるなんて知らなかった!内田さんのお話聞きたい!」、「予定が合わなくて無理とあきらめていたけれど、予定がなくなった!申し込んでおけばよかった!」という方のために(私はどちらかというとこのタイプであります...お気持ちお察しいたします)、「当日受付」の窓口を開設いたします。空席状況を見ての若干名のご案内となりますが、ご希望の方はぜひご利用ください。
当日受付17時30分~ 【キャメリアホール入り口付近】
整理番号入りのチケットを配布いたします。
集合・整列18時45分~ 【キャメリアホール入り口前】
整理番号順にお並びいただきます。
※事前にお申し込みいただいたお客様には18時15分からご入場いただきますが、
ご待機くださいますようお願いいたします。
入場18時50~55分頃
会場内の空席状況を見て整理番号順にご案内いたします。
当日は場内大変混雑し何かとご不便おかけすることと思いますが、またとない機会、ひとりでも多くの方にご参加いただきたく存じておりますので、みなさまで仲良く楽しくお過ごしいただけますよう、何卒よろしくお願い申しあげます。
<さらにお知らせ>
2011.11.13 クリアファイル(A5)新発売
大人気のクリアファイルに新サイズが登場しました。
今回は「A5」です。
デザインは1971年4月に雑誌「ミセス」に掲載された伊丹十三のエッセイとその挿絵です。レイアウトも伊丹十三自身が行ったものです。当館の常設展示室にはこのエッセイの原画が展示されています。
A4サイズと並べるとこんな感じです。
カバンにA4のクリアファイルを入れるのは難儀な時がありますね。そんな時にA5が大活躍です。
例えば旅行時。地図や情報・チケット類など入れるのにジャストサイズです。
最後に、「伊丹十三の本」に掲載されているこのエッセイの全文です。クリアファイルにのっている部分はエッセイの前半部分で、続きがありますのでよろしければご一読ください。
ミセス「のぞきめがね」1971年4月 伊丹十三
サリンジャーの「キャッチャー・イン・ザ・ライ」にこういう一節がある
「ボクが卵を食うてる時に例のスーツケースを持った二人の尼さんが入ってきてカウンターのボクの隣りに腰かけたんだよね。連中はスーツ・ケースをどうしていいかわかんないらしいのでしょうがないからボクが手を借してあげたんだけどそれがすごい安物のスーツケースなのよね。偽せ革でさ。まあ、そんなことはどうでもいいのかもしれないけどともかくボクはさ安物のスーツケース持ってる人っての耐えられないんだナ こういういい方ひどいってのわかってんだけどオレ、ほんとに安物のスーツケース持ってる人ってのただ眺めるだけでほとんど憎んじゃうんだもんね」
以下学校時代のルームメートのスーツケースの話になり結局彼はこういうふうに結んでいる
「つまりこういうこと。もしもきみのスーツケースが相手のよりうんといい場合、そういう相手とルームメートになるのはすごくむつかしいんだよね。特に相手がすごく頭がよくてセンス・オブ・ヒューマーがあったりするとこんな人がスーツケースのボロイのなんか気にするわけない ときみは思うだろ?気にするんだナこれが。すごく気にするんだから」
中年の男が持ち物に凝ってるのってなんかとても悲惨じゃない?
時計はオーディマ・ピゲ ライターはデュポン タイはエルメス
それでいて傘が折りたたみ式だとか、スーツケースがビニール製だとかいうのはほんとうにいやじゃない?
下の男は上から下まで一万円くらいの身なりだけど こういう男を外國のホテルじゃ下へもおかないんだって。
ホテルってのはスーツケースで人を見るからね下はルイヴィトン製でこれだけで二百万は下るまい。
(「伊丹十三の本」2005年4月20日新潮社発行 )
記念館グッズショップとオンラインショップにて好評発売中!
【クリアファイル(エッセイ)】1枚210円(税込) オンラインショップはこちらから
スタッフ:川又
2011.11.07 手作りしょうがシロップ
記念館だよりをご覧のみなさま、こんにちは~!朝晩は寒かったり日中は暑かったりと気温の差が激しいこの頃ですが、体調など崩されていませんか?夏が大好きで寒いのが苦手な私はこれからの季節はブルーになってしまいます。冬はワクワクするイベントが多くて楽しいのですが、寒い!というだけでテンションが下がり気味です。。。
そこで!寒さを乗り切るあったかメニューはないかな~と考えていたところ、料理上手のスタッフIさんから、
「しょうがはどう?しょうがは体を温めるジンゲロールも含まれてて体にもいいよ?」「ジ、ジ、ジンゲ?」「ジンゲロール!世の主婦なら誰でも知ってるくらい注目されてるよ。」「あ~コラーゲンみたいな感じ?とりあえず取っとこうか、みたいな」「う、う~ん、まぁそんな感じ...」というような会話からしょうがメニューを始めることになりました。
その後ジンゲロールについて調べてみると、ほ~なるほど、これは注目されるわけだ、という効能がたくさんありました。
ジンゲロールには、血行促進の作用があるので、身体を温め冷え症を改善します。昔から「風邪のひき始めにショウガ湯を飲む」とされるのは、ジンゲロールの発汗作用で解熱効果が期待できるためだそうです。温シップなどにも用いられ、ショウガは民間薬としても重宝されてきました。ジンゲロールには、二日酔いやつわりの吐き気を抑える効能があることもわかっているそうです。吐き気は、神経伝達物質セロトニンが胃腸の運動を必要以上に亢進させることで引き起こされますが、ジンゲロールは抗セロトニン作用があることが証明されているそうです。
身体に対する効能ばかりでなく、ジンゲロールは強い殺菌力も併せ持っています。刺身の薬味にショウガを使えば、生臭さを消すだけでなく、殺菌効果による食中毒の予防も期待できます。
生姜を摂取して「ジンゲロール」が体内に入ると、これを敵と勘違いした免疫細胞が数を増やし、結果的に免疫力が強化されます。これからの季節インフルエンザなども流行ってきますから、免疫力を強化しておく事は大事ですね。
その他にもビタミンEを上回る強い抗酸化作用もあるので、生活習慣病の改善や予防にも効果 があったり、肝臓の働きをよくして血中コレステロールを下げる作用 があったりと挙げればきりが無いほどでてきました。
どうせやるならシロップも手作りしようと、一応調理師免許をもっているので、Iさんの指導のもとカフェタンポポオリジナルしょうがシロップを作ってみました。おいしくな~れ、おいしくな~れ!と祈りながらコトコトと煮込みました。
徐々にしょうがのいい香りがプ~ン。なんだか食欲がそそられるいい香りです。
きれいなピンク色のシロップの完成です。
煮込んだ後のショウガは砂糖漬けにしてショウガチップを作りました。
そして、この手作りショウガシロップを使って、出来上がったメニューがまずこちら「十三饅頭としょうが湯のセット」です。甘さ控えめのしょうが湯には手作りしょうがチップも浮べています。
続きまして、スタッフの間でもすごくおいしい!と大好評だった「ジンジャーティー」。 私も正直こんなに紅茶としょうがが合うとはびっくりでした。
そして、最後は私の一番のおすすめ「ソイジンジャー」です。以前紹介した効能だらけの体にいい飲み物「豆乳」としょうがのコラボです。このふたつが合わさったら体にいい事まちがいなしでしょう!最後にシナモンをふってできあがり。とてもいい香りがします。
どの飲み物も体がポカポカ温まり、ショウガ効果を実感しています。
実はショウガがあまり得意ではなかったのですが、試飲を繰り返しているうちに大好きになってしまい、昨日の晩ごはんは豚のしょうが焼きでした。
スタッフ:木山
2011.10.29 本について
早いものでもう秋に入り、記念館のある桂の木が秋らしく茶色になっています。みなさまはいかがお過ごしでしょうか。秋はスポーツを楽しむのも良いですし、食べ物も楽しめますね。また読書の秋でもあるかと思います。私は読書が好きでして休日は文庫本を持ち出してカフェでゆっくり読書を楽しんでいます。伊丹十三の本もいくつか読んでいます。
私の友人や家族の間では伊丹十三は映画監督として有名のようで昔から本を書いていたことがあることを伝えると少し驚いていました。伊丹十三が今までに体験したことや日常で感じる疑問をユーモアある表現で読者が想像しやすいようにとても丁寧に書かれています。またカバー装画も伊丹十三である本がほとんどで伊丹十三のこだわりを感じます。
そんな伊丹十三の色々ある本の中で私が好きな本は『女たちよ!』です。『女たちよ!』という題名ですが、スパゲッティの召し上がり方やクルマの正しい運転方法など日常の振る舞いについて伊丹十三が感じたことが読み手が楽しくなるような文章と挿絵で書かれています。この本の中で私が特に共感した文章をご紹介します。『しかし、ほんとにいやな性能を持って生まれてきやがったね、蚊というのは。要するに、刺すのは血が欲しいからで、いやがらせのためじゃないんだろう?だったら、それならそれで、もっとへりくだった気持にはなれないものかね。たとえば刺されたあと、なんで人間が痒い(かゆい)思いをしなけりゃならんのかね。完全に無駄です。いや、刺されることも、痒いこともまだ我慢しようと思う。どうにも我慢がならんのはあの音であります。そもそも、自分の居場所を人間に知られるだけ損だし、第一危険ではないか。なにを考えてるのかね、蚊というのは。やることが支離滅裂である。』『女たちよ!』新潮文庫97ページ引用
この文章を読んで「確かに!」ととても共感しました。私はよく蚊にかまれます。夜寝ている間に蚊に耳元で音をたてられて起こされたこともありました。読んでいて思わず少し笑っていました。ユーモアある内容にきっと共感できることがあると思います。みなさまも是非読んでみてくださいね。
スタッフ:井川
2011.10.24 内田樹さん講演会 参加者募集中! 伊丹十三監督作品上映中!
このポスター、中四国にお住まいの方でしたら、すでにどこかでご覧になられたかもしれませんが...
現在、参加者大募集中です!
【開催概要・申し込み方法はコチラでジックリとごらんください】
中四国のみならず、遠く関東・九州の方からもご応募いただいています。ありがとうございます。
定員900名まで、まだお席に余裕がありますので、参加ご希望の方はぜひお申し込みください。ご応募は11月6日(日)締め切り(必着)です。
さて...もうひとつ、大至急のお知らせがあります。
10月22日(土)から、伊丹十三監督作品の回顧上映「JUZO AGAIN」 が東京で開催されています。
『ミンボーの女』の上映終了後には、客席から自然と拍手が沸き起こった、というすばらしい話も聞きました。
最終日となりました本日の上映作品は、『大病人』(15時~)と、『マルタイの女』(18時20分~)。会場 はコレド室町日本橋三井ホール(東京メトロ三越前駅直結、JR新日本橋駅直結)です。お時間おありの方はぜひ!(そして、会場へ行けぬ私の分もご堪能ください...私もみなさんと会場で拍手したい...!)
10作品のスチル写真が展示されたロピー
2011.10.17 クリアファイル新デザイン登場!
今年3月より発売開始し、ご好評を頂いております館長・宮本信子プロデュースの「クリアファイル(A4サイズ)」(税込価格210円)にこのたび新デザインが登場しました!
前回同様伊丹十三が描いたイラストで作成しています。男性がお風呂に入りながら読書をしているイラストです。
ちなみに下は3月に発売したクリアファイルです。腹這いになった男性が読書しているイラストです。背中には猫がのっています。
同じテイストで作成しました。下の画像右側のクリアファイルはこのたび新発売のもの。画像左は3月発売のものです。裏は透明で右下の隅に記念館のロゴが入っています。ちなみにクリアファイル全体が「白色」なのにはわけがあります。「伊丹十三が『紙』に絵を描いたイメージ」を出すためです。原稿用紙の裏側に絵を描くことが多かったという伊丹十三。その雰囲気をなるべくそのまま再現したい!という館長・宮本信子の強い希望で決定しました。
2種類とも記念館グッズショップとオンラインショップにて好評発売中です!
【クリアファイル(背中に猫をのせて読書)】1枚210円(税込) オンラインショップはこちらから
【クリアファイル(入浴しながら読書)】1枚210円(税込) オンラインショップはこちらから
さて話は変わりますが、1枚目の画像でクリアファイルに紙をはさんでいるのはご確認頂けますでしょうか。下に拡大した画像がありますのでご覧ください。こちらは記念館グッズショップとオンラインショップにて販売している「ゴム印」を押したものです。今年の7月にデザインが増えたのですが新旧デザインどちらもご好評いただいております!クリアファイルとあわせてどうぞ。
【ゴム印 (S・2種類)】1個210円(税込) オンラインショップはこちらから
【ゴム印 (M・6種類)】1個315円(税込) オンラインショップはこちらから
【ゴム印 (L・5種類)】1個525円(税込) オンラインショップはこちらから
スタッフ:川又
2011.10.10 10月10日
記念館だよりをご覧のみなさまこんにちは~!
今日は体育の日ですね。私が子供の頃は体育の日といえば、10月10日で運動会の日というイメージがありました。運動は得意ではありませんが、体を動かす事が好きなのと、お勉強がきらいだったので運動会は大好きな行事でした。
保育園の頃はいつもかけっこは一番でみんなからすごいね~と言われるのがうれしくてしょうがありませんでした。それが、小学校に入ったとたんビリから数えた方が早くなり、どうして~!?と初の挫折を味わいました。実は保育園時代は同い年の子が1人しかおらず、一緒に走っていたのはみんな1つ年下のお友達だったのです。保育園の頃の1歳の違いは大きく、そりゃ~1番になるよね~と気付いたのはだいぶ経ってからでした。
負けず嫌いで1番が好きな私なのですが、ふつうのかけっこでは1番は狙えないのがわかったので、小学生になってからの出場種目はもっぱら障害物競争や借り物競争でした。
私の小学校では1位~3位の人は1位2位3位と書いた大きな旗を持った6年生のお兄さんお姉さんに連れられて校長先生の前に行き、それぞれの順位のシールがもらえるのですが、それが欲しくて欲しくて、あの1位の旗を持ったお兄さんやお姉さんに手をひっぱられたくて、毎年必死でした。なかなか3位までに入れず、来年こそは!といつも悔しい思いをしていました。それが、今の時代は順位がないのが主流だと聞き、なんだか納得いかない気持ちです。今の子供たちはあの1位になった時の喜びも、友達に負けて悔しい思いも、次こそがんばるぞ!という向上心も競争心もないまま育っているのでしょうか?私自身、はじめ1番ばかりで調子に乗り、そして人に負けるという挫折を知り、そしてまた1番を目指してがんばるといういい経験ができたと思っています。がむしゃらな競争心は本来の力以上のものが出せる時もあると思います。挫折を経験していなかったら社会での挫折に立ち向かえなくなってしまいます。乗り越えてこそ、ひとまわりもふたまわりも大きな人間になれるのではないでしょうか。
お遊戯会などでも親ばかの保護者のせいで主役が何人もいるという事態になっているという話も聞きます。主役だけがすごいのではなく、それを支えるスタッフや周りのわき役がいなくては何も始まりません。名わき役がいてこそ主役は成り立つと思います。伊丹映画では個性的なわき役の方が多く、時には主役よりも目立っていたり、例えば『お葬式』をパッと思い出すと財津一郎さんがしびれをきらせてこけるシーンが出てきたり、『タンポポ』では大友柳太朗さんのラーメンを食べるシーンは印象的で当館のお客様もよくものまねをされる有名なシーンです。それぞれのわき役がいて、いろんなシーンがありひとつの物語ができるのです。えらそうな事をいってしまいましたが、少子化が進み、我が子を愛するが故に、わがままな親が急増し、逆に子供の成長の妨げになっているのではないでしょうか。大家族の子供たちはみんなたくましく生き生きしているように見えます。それぞれが自分の役割を持ち自立しているように思います。親が手や口を出さず、見守ることも教育だと思います。
うちは1人っ子なのでわがままな親にならないように気をつけなければと思っています。今年は子供の初運動会で今からそわそわしている木山でした~。
ちなみに今日10月10日は横にすると眉と目に見える事から「目の愛護デー」だそうです。その他にも「転倒防止の日」(ten10・とう10)「銭湯の日」(1010千十の語呂合わせ)「お好み焼きの日」(ジュージューと焼ける音から)等などなかなかおもしろい記念日がたくさんあるんですね。毎日今日は何の日かなぁと気にしてみるとおもしろい発見があるかもしれませんね。
スタッフ:木山
2011.10.03 宮本館長が出勤しました
記念館便りをご覧のみなさま、こんにちは。9月30日、10月1日に宮本館長が出勤しました。宮本館長に会いに大勢のお客様がお越しいただきました。私はこんなに大勢のお客様をお迎えさせていただくことがはじめてで、また女優でもある宮本館長と会うこともはじめてでしたのでとても緊張しました。そしてお客様をお迎えする姿勢や心づかいをもっと学ばなければいけないと感じました。
遠方からお越しいただいた方や仕事で近くにきたのでお立ち寄りいただいた方、毎年お越しいただいている方・・・いろんな方との出会いがありました。
下の写真のお客様は昔から宮本館長のファンでいらっしゃるとのことで、もう一度『源氏物語』を観たいとお話しされていました。
みなさま、宮本館長との会話を楽しまれていらっしゃいました。9月30日、10月1日に宮本館長が出勤することをご存知でなく記念館にお立ち寄りいただいた方は受付でチケットを購入されて後ろを見ると宮本館長がいてびっくりされて喜んでくださり「こんなこともあるのね」と楽しまれていました。
お客様の中にはずっと記念館に来てみたいと思っていてようやく来ることができたとお話される方や「よかったです!本当にありがとう!」とお礼を伝えていただけることがあります。様々なお気持ちを持って記念館に来館されていることを知り感動しております。
前日9月30日に子規記念博物館で開催された「新・道後寄席」第二夜に出演されていた南伸坊さんにもお越しいただきました。ゆっくり展示をご覧になっていました。道後寄席には私も参加させていただいたのですが、南さんのお話、楽しかったです。有名な方の(例えばイチロー選手)"顔面模写"の写真はとても似ていました。楽しいひとときをありがとうございました!
記念館にお越しいただきましたみなさま、ありがとうございます。またお会いできるのをスタッフ一同お待ちいたしております。
スタッフ 井川
2011.09.26 伊丹十三監督作品の上映とブルーレイディスク発売のおしらせ
さてみなさん、今週もイベントのおしらせでございます。
今回ご紹介するのは東京での催しなのですが...
10月22日(土)、23日(日)、24日(月)の3日間、
伊丹十三の監督作品がど~んと上映されます。
題して「伊丹十三監督作品回顧上映 JUZO AGAIN」!
1984年の『お葬式』から1997年の『マルタイの女』までの監督作品10本に加えて、1962年に伊丹一三の名で自主制作した短編『ゴムデッポウ』も上映されます。
上映日程をごく簡単にご紹介いたしますと...(あ、くわしくは「JUZO AGAIN」のページでシッカリとご確認くださいね!)、
10月22日(土)
<コレド室町 日本橋三井ホール>
お葬式、マルサの女2、静かな生活
<TOHOシネマズ六本木ヒルズ スクリーン7> ※カンファレンスあり
マルサの女、あげまん、ゴムデッポウ
10月23日(日)
<コレド室町 日本橋三井ホール> ※舞台挨拶あり
タンポポ、ミンボーの女、スーパーの女
10月24日(月)
<コレド室町 日本橋三井ホール>
大病人、マルタイの女
※TOHOシネマズ六本木ヒルズ スクリーン7での上映は、東京国際映画祭「映画人の視点」企画のオールナイト上映で、コレド室町上映分とはチケットのお値段や入手方法が異なります。東京国際映画祭の公式ホームページ、「映画人の視点」ページもぜひご覧ください。
※チケット発売日程は
コレド室町上映分は10月1日(土)から。
TOHOシネマズ六本木ヒルズ上映分は9月30日(金)まで先行発売中。一般発売は10月8日から。
「公開当時映画館で観ました」という年季の入った伊丹十三ファンの方はもちろん、「ビデオやDVDでしか観たことないけど、伊丹十三って面白いな」というお若いファンの方にも、ぜひスクリーンでご覧いただきたく存じます。(そして私も観たいです...!)
また、今秋から来年にかけて、伊丹十三監督作品のブルーレイディスクが発売されます。
(くわしくは「伊丹十三FILM COLLECTION ブルーレイ」公式サイトをご覧ください。)
11月25日(金)には、第1弾として、『お葬式』、『タンポポ』、『マルサの女』、『マルサの女2』、『あげまん』の単品ブルーレイと、5作をまとめたBOXセットが発売される予定です。BOXセットには、「ピクチャーインピクチャーで観る『お葬式』絵コンテ」や『ゴムデッポウ』など、楽しい特典映像もつきます。ぜひご家庭の(ひとり暮らしの方も)"大蔵省"にご相談を。
それにしても...「出費の夏」の後の「芸術の秋」、お小遣いの確保が大変ですよね...そういえば、わが家にはブルーレイのプレーヤーがないのでした。あーれー。
2011.09.19 内田樹先生講演会の概要をお知らせいたします(募集は10月です)
秋はイベント目白押し、てなこって、あちこちへお出かけの方も多いと思います。当館でも、秋の終わりに開催する「第3回伊丹十三賞受賞記念 内田樹氏講演会」の用意を粛々と、ときにはウンウン唸りながら進めております。
早くも熱心な方々から「いつですか?」「どうしたら参加できますか?」などなど熱いお問い合わせをいただいております。募集はまだ開始しておりませんが、ひと足早く概要をお知らせいたします。
【第3回伊丹十三賞受賞記念 内田樹氏講演会】
日 時:2011年11月29日(火)19時開演
会 場:松山市総合コミュニティセンター キャメリアホール
演 題:伊丹十三と「戦後精神」
入場料:無料
『伊丹十三と「戦後精神」』...! どんなお話になるのでしょう!? 早くも楽しみであります。
実は、7月にご来館くださったわが恩師(60代前半・伊丹映画のファン)が、展示をご覧になった後で「伊丹さんって戦後の人っていう感じやなぁ」とおっしゃっていました。その時は、どういう意味なのか深く聞く時間がなくて「戦後の人・伊丹さん」についてモヤモヤと考えて続けておりましたので、演題を伺った瞬間から内田先生のお話が待ち遠しくてなりません。
さてさて、参加方法ですが、ご参加ご希望の方には、事前にお申し込みいただいて参加証をご入手いただく必要がございます。
10月上旬に講演会の内容や応募方法の詳細をお知らせして、募集を開始する予定にしております。10月上旬以降、10月末までの間に、またこのホームページを覗いてみてください。
なお、応募者多数の場合は抽選となりますが、先着順ではありませんので、「10月中にチェックしてみよう」という感じでゆったり構えていただいて、今しばらくお待ちくださいませ。(でもファンの方は待ちきれない思いでいらっしゃいますよね...鼻息が荒くなって酸欠になりかけるお気持ち、私にも覚えがあります。)
そんなこんなで講演会の準備を進めておりますと、「前回どうだったっけ?」ということがしばしばあります。それで「第1回受賞者糸井重里氏によるトークショー」の資料やサイトを見返しては「ああ、そうだった」とか「え、なんでこうだったんだっけ?」とかと言うている毎日、先日は、糸井さんトークショーの書き起こしを読みはじめたら止まらなくなりました。
「ここにいることがうれしい」っていうふうに持っていく努力をしないと、「ここにいること」って、やっぱり、ずーっとつまんなくなるんですね。
で、「なんでここにいることがつまんなくなったんだっけ?」っていうのは、だいたい理由があるんですよ。
しておかなきゃいけなかったことをしてなかったとか、いろんな理由が無数にあると思うんですけど、どっかのところで「ここにいることがつらい」、っていうことを抜け出て、「ここにいることがうれしい」になってるんですね。ですから、他の人にもそう言ってもらいたい。という糸井さんのお話を再び読んで「うん、がんばろ」と思ったのであります。みなさまもぜひこちらをご覧になってみてください。
そして「伊丹十三賞ってナーニ?」という方はこちらを。内田先生のブログもぜひ!
※10月6日、募集を開始いたしました。こちらの告知ページからお申し込みいただけます。
2011.09.12 記念館の建築について
前回に引き続き記念館の建築についてお話したいと思います。
建築のお仕事やお勉強をされている方々がよく写真撮影されている意外なポイントや、我々スタッフが日々仕事をしていて感じる使い勝手の良さなどを写真とともにご紹介いたします!
「カフェのコイントレー」
売上を頂くときに使用するコイントレーです。柱の木が直接彫られています。
「カフェの棚」
カフェの収納はほとんどが引き戸です。地震の際中身が飛び出さないようにするためだそうです。食器など割れ物が多いカフェならではの配慮です。
「受付とロビーの仕切り」
受付の中と外を仕切る引き戸です。引き戸であることにより省スペースで空間を仕切ることができます。
「中庭のベンチ」
奥行きの浅いベンチです。腰をかけるスペースが普通のベンチより狭いのですが、スマートで「ちょっと一休み」にはジャストサイズです。
「ガラスのタンポポ」
タンポポのイラストをガラスにデザインしています。このタンポポは伊丹映画「タンポポ」の中で登場したものです。
「受付の板」
上の板はブラックウォールナットです。
「焼き杉板の外壁」
外壁は焼き杉板を使用しています。
記念館にご来館の際は伊丹十三とともにぜひ建築にも注目してご覧ください。
スタッフ:川又
2011.09.05 桃の滴
記念館だよりをご覧のみなさまこんにちわ~!
9月に入っても相変わらずの暑さですが、ごきげんいかがでしょうか?
今年の夏は海に行ったり、プールに行ったり、花火をしたり、そうめん流しに行ったり、バーベキューをしたりと夏にしかできない遊びをたくさんして大満足の木山です。
楽しい夏が終わったあとは、食欲の秋ですね~。食べるのが大好きな私は暇さえあれば、あちこちに食べ歩きに行ったり、果物狩りに行ったり、友人を巻き込んでパーティーをしたり、そば打ちに行ったりと食を楽しんでおります。お酒が飲めたらもっと楽しみも広がると思うのですが、私はこう見えて(どう見えているかわかりませんが。。)お酒が一滴も飲めません(泣)お酒が大好きな友人からは、こんな楽しみを知らないなんて、人生半分損してるな~などとよく言われますが、私はお酒の席の雰囲気が大好きで、お酒を飲んでいなくても飲んでいる人以上にテンションが上がります。ホントに飲んでないの?!と驚かれるくらい酔っ払い状態になります。
私が以前働いていた和食店に利き酒師の方がおられ、その方は「第2回世界利き酒師コンクール」の四国大会で優勝され、日本代表にも選ばれた凄腕の方なのです。このお店に伊丹さんはご夫婦でよく来られ、おいしい日本酒と瀬戸内の魚に舌鼓をうっていたそうです。伊丹さんは日出盛の桃の滴を愛飲されていて、今現在もこちらのお店では桃の滴を常時おいているそうです。当館内にございます、カフェタンポポでも伊丹さんが愛飲していたお飲み物を何種類か置いておりまして、桃の滴ももちろんございます。180mlのかわいいサイズで一升瓶を見慣れていたので、コンパクトサイズがなんともかわいくて、お酒も飲めないくせに欲しくなってしまいます。ご旅行で来られた方(お車ではない方)や伊丹さんのことが大好き!という方などに人気で、中庭の桂の木を見ながら伊丹さんを偲ぶように静かにお召し上がりになっています。
さて、みなさんは「日本酒の日」というのをご存知でしょうか?10月1日がその「日本酒の日」なのですが、なぜ10月1日なんだろう?と調べてみました。
酒に関する漢字−酌、酔、酩、醪、醸・・・・にはツクリ「酉(とり)」が共通しています。「酉」は酒壷を表す象形文字で、古代にさかのぼるにつれて下のほうがだんだんとすぼみ、その昔、酒を熟成させるために用いた酒壷の形のようにみえます。もとは「酉」だけで酒を意味していましたが、後の液体に表す"サンズイ"がついて今の酒という字になったといいます。
この"酉"は、十二支の中の10番目の"酉"としても使われています。酉の月は10月の新穀の実る月であります。その穫り入れた新穀を使い、酒造りを一斉 に始めた月なので「酒の月」ともされました。そこから 10月から翌年の9月までを酒造年度としていたようで、酒造元日である10月1日が「日本酒の日」となったのだそうです。(ちなみに伊丹さんは昭和8年癸酉年生まれです)
この「日本酒の日」が近いという事で本日から期間限定で、通常700円の桃の滴を500円でご提供させていただきます。この機会にぜひ(お車でお越しでない方は)伊丹さんが愛飲していた桃の滴をご賞味くださいませ。
スタッフ:木山
2011.08.29 親子について考えてみました
はじめまして8月から勤務することになりましたスタッフの井川です。少しでも記念館のことを知っていただけたらと願いながらわたくしが日頃見て感じたことを記していきたいと思います。よろしくお願いいたします。
今は学生さんは夏休みですね。夏休みも終わりが近づいているのではと思います。
夏休みは子供さんがお父さんやお母さんと普段よりも長く過ごせる時間ですね。そこで今回は「父と子」の企画展示についてお話します。
現在、記念館では「父と子ー伊丹十三が語る伊丹万作の人と仕事ー」という企画展示をしています。父である万作は肺結核にかかり十三が13歳の時に亡くなりました。伝染病であったので十三と接触する機会も少なかったそうです。十三が反抗期に万作が亡くなり万作のことを和解できないまま来てしまったと十三は言っていたことがあります。けれど時がたつにつれて十三は万作のことを少しずつ理解するようになりました。そのことが『女たちよ!男たちよ!子供たちよ!』の本にも書かれています。
先日テレビで「無法松の一生」という映画を見た。この映画の脚本を書いたのは、私の父、伊丹万作である。この映画を見るのは二度目であった。この映画が封切られた昭和十八年、小学校四年生だった私は母に連れられて映画館でこれを見ている。(中略)
以来、三十四年。
再び、同じ作品をテレビで見て思ったことは、少年時代の私の感想が、ことごとく正鵠(せいこく)
を射ていた、ということである。(中略)
と−
いうようなこととは全然別に、私はこの映画を見て、いつしか坐り直していた。突然私は悟ったのである。「この映画は父の私に宛てた手紙だったのだ!」それがいきなり判ってしまった。
父は私が三歳の頃結核に斃れ(たおれ)、以来、敗戦直後、死ぬまで病床にあった。父の最大の心残りは、息子の私であったろうと、今にして思う。自ら育てようにも、結核は伝染病である。子供を近づけることすら自制せねばならぬ。かといって自ら遠ざかるうち、子供は、あらまほしき状態から次第に逸脱してゆく。このじれったさはどんなものであたろう。
時時、それでもたまりかねて、父が私を呼ぶ。叱責するためである。
「意志が弱い」
「集中力がない」
「気が弱い」
「今季がない」
「グズである」
「ハキハキせよ」
「オッチョコチョイ」
「調子に乗るな」
「計画性がない」
「注意力が散漫である」
その父が、思いのすべてを托せる物語に出会った。「無
法松の一生」である。
一人の軍人が病死し、あとに美しい未亡人と幼い息子が残される。息子は、気が弱い。意志が弱い。グズである。ハキハキしない。注意力散漫である。
この息子に、男らしさを、勇気を、意志の強さを、喧嘩の仕方を教えてくれるのが松五郎であった。松五郎こそ、父の私に対する夢でなくしてなんであったろう。
(中略)
ああ、私もそろそろ、父が「無法松の一生」を書いた年齢にさしかかっている。
『女たちよ!男たちよ!子供たちよ!』166ページから169ページ引用
当時は気づかなかった父の気持ちですが自分がその父親の歳になってからはじめて気づくこともあるんだなと深々と考えました。そして父親を早くに亡くしてしまったからより強く父親に魅かれるその気持ちに共感しました。
「父と子」の企画展示を見て外に出ると中庭と長い椅子があります。中庭には大きな桂の木1本があります。中庭を見ながらゆっくり座っていただける場所となっています。もうすぐ9月です。心地よい気候と風が吹く時期になります。家での親子の団らんも楽しいですが、記念館の中庭で親子肩を並べて座り、穏やかな風にあたりながらのんびりした時間を過ごしてみるともしかしたら家とは違う会話が生まれるかもしれません。記念館で日常とはちょっと違う「何か」を感じていただけたら嬉しいです。
スタッフ:井川
2011.08.22 道具あれこれ
みなさま、暑い日がつづいておりますがお変わりなくお過ごしでしょうか。
みなさんは日々の生活の中で大切に使っているものやこだわりの道具などおありですか。私も工芸品などを眺めるのが好きでささやかですが日々大切に使っている道具がいくつかあります。
それらの中に化粧筆があります。この筆、生まれは広島県の熊野町です。この辺りは古くから習字の筆を多く生産しているそうで今は習字をたしなむ人が少なくなったため筆作りの技術を生かして化粧筆を作っています。古くからの技術を駆使して作られた化粧筆は今や世界のメーキャップアーティストにも愛用されているそうです。材質はリスやイタチ、ヤギなどの毛です。先日、この日本一の熊野の化粧筆が なでしこジャパンの国民栄誉賞の副賞として贈られましたね!
化粧筆の出番について男の方にも少しわかりやすくお話してみますと・・・。お化粧は大まかに言うとまず、下地を塗って(土台ですね)、顔色を整えるファンデーションを塗ります。次に"粉おしろい"をぱたぱた。このままですと粉ふきいも(?)のようですのでここで大きい筆が登場。余分な粉を払います。次に色を塗ってゆきます。私は幼少期より絵を描いたり色を塗るのが好きでしたがお化粧も言ってみれば絵を描くのと同じだなと感じます。平たい顔を少し立体的に見えるよう(!)少し白い色(ハイライトって言うようです)を塗ったり目元をはっきりしたい時、まぶたに色を置いたり・・・。暖かい色、涼やかな色、季節やお天気によって使う色も少しずつ変わります。こんな時、化粧筆が役に立ちます。
熊野の筆は粉含みがよく、顔に粉類がきれいにつきます。考え抜かれ丁寧に作られた道具は 上手な人はますます上手に、まだあまり上手でない人には 道具が 使い勝手や心地よさでやさしく導いてくれる力を持っているように感じます。ここ伊丹十三記念館には伊丹さんが愛用した生活の品々が収蔵品や展示の中に、あちこちに見受けられ、これらの道具を使ってお料理をしたり原稿を書いていた伊丹さんに実際に会いたいな、話を聞いてみたいなと思うことが度々あります。みなさん 夏休みも残り少なくなりましたが伊丹さんの生活の息吹を感じに是非記念館へ足をお運び下さい!
写真上はいつも使っている化粧筆のうち目元用(小)とほお紅用。下は展示室内「七」料理通 のコーナーにある伊丹さん愛用の台所道具や食器です。
スタッフ:多胡
2011.08.15 八月
今日は終戦の日です。
八月は、広島原爆忌、長崎原爆忌、終戦の日と続き、日本人としてどう生きるべきかについて、考えずにはいられない月です。加えて、今年は東日本大震災で犠牲になられた方々のご遺族にとっては初盆、ということもあります。
日本人として宮古出身者として重い気持ちで過ごしておりますが、ノートと鉛筆を携えた小さなお客様が神妙な面持ちでご来館くださるお姿を拝見しますと、「そうかそうか、私にも覚えがあるぞ」と、先輩面でついニヤリとしてしまう月でもあります。
近年では、ドリルなどの宿題は出さずに「読書感想文と自由研究だけ」という学校も増えてきているのだそうですね。とはいえ、感想文も自由研究も、小学生には持ち重りのする憂鬱な課題であることには変わりがありません。その自由研究に「愛媛の先人としての伊丹十三」あるいは「伊丹万作」を選んでご来館くださる方がいらっしゃるのです。ありがたいことです。
私の夏休みの宿題対処法はといいますと...
感想文、大嫌いでした。(他人の書いたものを端的にまとめてコメントする能力がないためにウッカリあらすじを長々と書いてしまって、途中で嫌になるタイプでした。ただもうマス目を埋めるだけ。)
自由研究は、根気がなくて王道の「観察系」には向かないタチなので「それ以外」のネタを探すことから始めなければなりませんでした。(その結果、紙芝居を作るとか、どこぞの町について調べるだのといった、創作系・調査系ばかりになってしまったわけです。まぁ、瞬発力と集中力で終わらせる、という感じで。)
ちなみに、お天気の記号を書き込むあの表、あれもダメでした。(今ではウェブサイトで過去の天気を調べることができますが、昭和の子供だった私は、母がつけていた日記を拝借して写させてもらっておりました。しかも始業式前夜に。今思えば、お天気記号が現実のお天気と合っているかどうかを確認するほど、学校の先生も暇じゃないはずなんですけどね...)
そんな私が今の企画展の準備を進めていた頃、伊丹さんのこんな回想に行き当たりました。
(結核で寝たきりだった父・万作は気難しい人で、家族は息をひそめて暮らしていた、という話題のあと)しかし—やはり父といえども、時にはですね、これでは子どもがあんまり可哀想だと思うのかも知れませんね。サーヴィスをするわけです。たとえば、夏休みの宿題の、自主製作なんかを手伝ってくれたりするんですね。父が毎日病床から空の雲の写真を撮る。私がそれに記録を書き添えて、親子共同製作の観測日記を作る、というようなこともあった。
ほうほう、伊丹さんと万作さんの共同製作!? 見たい見たい!!
しかし残念ながら、この「自主製作」(今でいう自由研究なのでしょう)は当館に所蔵されておらず、私も見たことがありません。もしどこかに残されているのなら、一目だけでも見てみたいものです。きっと、とびきり素敵な作品だったに違いありません。
まぁ、元画家で映画監督、凝り性で美的感覚に秀でたお父さんが撮ってくれた写真を自由研究に、などという幸運は一般的にはほとんど体験しようのないことではありますが...いたいけな少年少女たちが自由研究に頭を悩ませながらも子供時代を満喫した先に、しっかりとした考えを持つ大人に育ってくれるように、子のない私でも、大人としてうんと考えなければならないことがたくさんあるぞ、と思う夏であります。「キミたち、大人になったら毎日毎日、果てしのない自由研究の連続なんだぜ」なんて、偉そうに言えるほどにはなれそうにありませんけど...あ、でも「自由研究ができるのは、キミの暮らしが平和な証拠なんだよ。ありがたいことなんだよ」ぐらいは言えるかな...
最後に、1945年8月10日の万作さんのひとことを——
新性能の爆弾の威力範囲は半径●キロと説明されていたが、我々の兵器に関することなら伏字もやむを得ないが、我々には敵がたの秘密まで守る義務はないはずである。あるいは人心の動揺を防ぐためかとも思うが、明らかに数字を示して性能を限定するのと、伏字にして無限の想像をそそるのとはたしていずれがその目的にかなうであろうか。
2011.08.08 「職場」としての記念館の建物について
近頃記念館はすっかり夏模様です。
シンボルツリーである桂の木はセミに好かれているのか、数えられるだけでも1本の木に30匹前後とまっています。
※最後にセミの画像を載せます。虫が苦手な方はご注意下さい。※
さてこれまでに何度か申し上げておりますが伊丹十三記念館の建築デザインをされたのは建築家の中村好文さんです。先日来館者が10万人を突破しましたがそのうちの数千人は中村さんのファンの方だったと言っても過言ではないほど「一番のお目当ては建築です。」という方は多くいらっしゃいます。
運良く仕事場が中村さんの建築物であるという、なかなかできない経験をしているわけですが実際私が職場としてこの建物で4年半近く働き一番気に入っているポイントは「収納が多い!!」ということであります。収納がたくさん備え付けてあるのでわざわざ家具を置く必要がありません。後から付け足して買った家具などは時間が経つと逆に邪魔に感じるようになってきたりしています。
【画像:受付の収納。壁には天井まで一面収納棚や引き出しとなっています。扉をひらくと高さの調節できる棚がついています。結構大容量です。】
【画像:高さ調節のできる棚。】
【画像:受付の収納。使いやすい場所にたくさんの細かい引き出しが備え付けられています。】
【画像:ショップ。壁一面に引き出しと棚が備え付けられています。】
受付にたくさんある「引き出し」ですが、最近あるスタッフの提案によりそれぞれのスタッフに一つづつ「○○さんの引き出し」といった感じで担当の引き出しを作ることにしてみました。「今日お休みの○○さんに郵便が届いた!○○さんの引き出しに入れておこう!」「□□さんが受付に忘れ物をしている!□□さんの引き出しに入れておこう!」とそれぞれのスタッフの引き出しに渡したいものを入れておきます。あとは各自が定期的に自分の引き出しの中身を確認をします。以前よりもスムーズに仕事も受付も片付くようになりました。
【画像:受付の引き出し。浅い引き出しをスタッフの引き出しとして使用しています。】
とは言え、いくら収納の多い建物であるとは言ってもスペースには限りがありますので使う側の努力や工夫も大切です。「時間は作るもの」という言葉をよく聞きますが「スペースも作るもの」であると感じます。
本日は記念館の建物の「収納」についてしかご紹介できませんでしたが他にも中村さんのセンスや遊び心、働く人への細かい配慮を感じる場所が多々あります。それもまた近いうちに記念館便りにてご紹介させていただきたいと思います。
それでは、セミの画像です。苦手な方はご注意下さい。
【画像:この1枚の画像だけでクマゼミが6匹写っています。クマゼミは西日本で多くみられるセミだそうです。関東からご来館のお客様に「セミの鳴き声が違う!」とこれまでに何度か言われたことがあります。関東出身のスタッフ曰く松山のセミ(おもにクマゼミ?)は「ダミ声」なのだそうです。】
【画像:クマゼミのアップ。アップで見ると結構かわいい顔をしている(?)】
スタッフ:川又
2011.08.01 「早起きは三文の徳」
記念館だよりをご覧のみなさま、こんにちわ!夏満喫中の木山です。
学生さんたちは夏休みになり、社会人の方々もそろそろお盆休みの過ごし方を考えているところでしょうか。
毎年のように「今年の夏は暑い!」というのを聞いているような気がしますが、今年は例年より早く真夏のような暑さがやってきたように思います。だんだん夏の期間が長くなっているような気がしますね。まぁ、暑い暑いといったところで涼しくなるわけでもないし、少しでも快適に過ごせるよう暑い夏の楽しみ方を考えていきたいと思います。
最近はいつもより早く起き、なるべく涼しいうちに家事を済ませようと少しだけ早起きになりました。そうすると自然と早く寝るようになり、節電にもなり、体の調子もいいように思います。慣れてきたらもう少し早く起きて子供とお散歩でもしようと思っています。
早起きは三文の徳とはよく言ったもので、早起きをするといろいろないい事があります。まず、清清しい気分になり、なんだか前向きになります。時間に余裕があるので心にゆとりができ、せかせかイライラと子供の準備をしなくてすみます。私がイライラしていないと家族の笑顔が増えます。朝ごはんがおいしく食べられます。何より体の調子がいいのが一番ですね。子供とのコミニュケーションの時間もとれいい事づくめです。起きるのを一時間早めても起きる時の辛さはそう変わらないので、それなら早く起きた方がいいと思いませんか?みなさんも是非試してみてください。思った以上に気持ちいいですよ。
先日は涼を求めて、松山市から60kmほど離れた八幡浜市保内町の平家谷そうめん流しに行って来ました。同じ愛媛県とは思えないほどの涼しさで、平家谷に降りるとひんやりとした風が心地よく、せせらぎの音、小鳥の声などに癒されます。こちらでは、そうめん流しの他ニジマス釣りも楽しむ事が出来、釣ったニジマスはその場で炭火で焼いて食べることができます。さらに下に降りると小川で水遊びが出来たり、散歩道ができているので小川のせせらぎをききながらゆっくり散歩したり、レクレーション広場があったりと一日遊ぶことができます。小さな赤ちゃんからご年配の方まで、多くの方が涼みにいらしていました。朝早くに出発したので一日たっぷり遊ぶことができ大満足でした。
やっぱり早起きは三文の徳ですね♪
最後に伊丹さんの著書『問いつめられたパパとママの本』(新潮文庫)の中から「夏ニナルトドウシテ暑イノ?」の一部をご紹介いたします。
「夏はね、太陽が一年中で一番近くになるの。だから暑いのよ。わかった?」
困るなあ、こんなでたらめを教えてもらっちゃあ。
太陽が一番地球に近づくのは一月の初めであります。夏にはむしろ、太陽は遠くにいるのであります。一番遠いのは七月の初めなのである。
太陽の近さと暑さは、まるでなんの関係もない。
夏が暑いのは、ひとつは日が長いせいであり、いまひとつは、太陽が真上から照りつけるせいであります。
じゃあ、日が長いと、どうして暑いのよ、なんていわないでおくれよ。同じ条件で物を熱するとするなら、十分間熱するより、十五分間熱するほうがよけい熱くなるだろうじゃないの。夏が暑い理由の第一は、だから、日が長いということであった。
では、次に真上から照らすと、なぜ暑いのか、というなら、たとえば懐中電燈を想像していただきたい。
懐中電燈の光を床に当てるとき、まっすぐ床に当てれば、小さいけれども強く明るい光の円ができるだろう。しかるに、それを斜めに当ててみようか。さっきより、ずっと床の近くから照らしても、照らす場所は広くなるかもしれぬが、明るさはずっと希薄になってしまうのが観察されるに違いないのであります。
つまりこの、垂直に照らすということなのだ、太陽がカンカン照るということは。(以下省略)
この『問いつめられたパパとママの本』にはこの他にも「空ハナゼ青イノ?」とか「テレビハドウシテウツルノ?」「ナゼドンドンオ札ヲスッテ貧乏ナ人ニアゲナイノ?」などなどと子供に質問されると思わず逃げ出したくなるような素朴な疑問をこの本がやさしく解明してくれています。へぇ~なるほど~とついつい読み入ってしまう一冊です。
スタッフ:木山
2011.07.25 熱帯夜
みなさま、こんにちは。梅雨が明けたと思ったら台風がやってきたりですがついに夏本番がやってきた感じですね。 台風の影響で大分雨が降り、記念館の庭の木々たちも久々にうるおい「ほっ」としているように見えます。
幼少期には夕方や早朝はひんやりとした風が吹いたりで過ごしやすかったように記憶していますがここ近年、朝夕も気温が下がっていない日が多くなったように感じています。そのことに最初に気が付いたのは学生時代に過ごした大阪でした。
学生時代のちょうど今の時期は夏休みに入るころです。授業は無くなるのですが何かしら用事があって学校へ行き用事をしてお昼を食べて帰ります。借りている部屋も1ルームの小さい部屋ですし窓もベランダ側一つだけです。でも住んでいるのは1階。裏は幼稚園で日中は賑やかです。夕方は網戸にして過ごしますが夜、寝る前には防犯の為もあって窓を閉め、鍵をかけます。そうするともう暑いのなんのって。「汗が滝のように」とはこのことでしょう。もともと大阪で生まれ育っている級友たちに夜、寝るときにどうしているのかと尋ねると口々に「一晩中クーラーをつけて布団をかぶって寝ている」と言います。松山に住んでいた時にはクーラーをつけて寝たことがなかったのですが寝不足には勝てずクーラーをつけて布団をかぶって寝てみました。すると朝起きてびっくり。体がバリバリにこわばっているのです。暑くて寝不足をとるか体バリバリをとるかでいつも悩みました。家々が密集する大阪に生まれ育った友人たちは小さいころからこうしてたくましく夏をすごしてきているんだなと改めて驚きました。
今年は今のところ朝夕は涼しい風が吹いていて朝も早起きの甲斐があります。ベランダにすだれをたらし、日が昇る前に花に水をやって、日差しが当たらない向きに食卓の椅子を置き換えて朝ごはんを食べたり、ささやかですがいろいろ夏仕様にして過ごしているところです。節電の効果が朝夕の涼しさにもつながるといいですね。
写真:上は松山市を流れる石手川。松山市の上水の約半分を供給しているそうですが今の時期はたいていカラカラの事が多いのに台風の影響かこんなに水が流れていて「ゴー」っと流れる水音に涼しさを感じ思わずシャッターを切りました。下は記念館へ通勤途中の道の端。緑が茂ってトトロの森のようです。朝早く通ると朝顔が咲いていました。
スタッフ:多胡
2011.07.17 望郷
暑中お見舞い申しあげます。ほんとうにお見舞い申しあげます。「松山に住んで4度目の夏ともなるとだいぶ慣れるもんだなぁ」と思っていましたが、どうも勘違いだったようで。油断した分、例年以上にバテバテで食欲減退さらにバテバテの中野でございます。岩手県出身でございます。
しかし、生きてお仕事するためには食べねばなりません。「いずーたででけーよ」という父のことばを思い出しながら、気合いで台所に立ったり(立たなかったり=買ったもので済ませたり)しております。
あ、「いずーたででけーよ」というのは、「意地(いず)を(ー)立てて(たでで)食え(けー)よ」という意味のわが故郷のことばであります。「食欲がないなどと言っている場合じゃありませんよ、食べないと体がもちませんよ、働けませんよ、働けないのはカッコワルいことですよ」。働く男の思想が如実にあらわれている、カッコイイことばだと思います。
というわけで「いずーたででけーよ」、「わがったーでば、くーでば」などと小芝居気味にひとりごとを言いながら食欲を奮い立たせることがしばしばあるのですが、そんなことをしておりますと、故郷が恋しくなり、伊丹万作のこんな詩を思い出すのです。
望郷
クニヘ帰ロウ
夏ハ
砂浜ノ近クニ小サイ家ヲ借リ
朝夕
子供タチガ
波トタワムレル姿ヲ見ヨウ
クニヘ帰ロウ
秋ハ
空ユク雲ヲナガメ
風ノ音ヲ聞キ
ワズカナ田カラトレル
銀色ノ米ヲ食オウ
クニヘ帰ロウ
冬ハ
イキタサカナヲ食イ
ツメタイ空気ヲ
肺一パイニ吸イ
古イ友ダチト
ホラヲ吹キアツテハ
ケラケラト笑オウ
クニヘ帰ロウ
春ハ
舌ノ上デトケルヨウナ
ソラ豆ヲ食イ
風ノナイ日ハ
静臥イスヲ庭ニ出シテ
ヒネモストロトロト眠ロウ
結核にたおれ京都で寝たきりの生活を送りながら松山の風土や人々を思う、万作さんの純な郷土愛に心を打たれます。(こんなにもストレートに郷土愛を表現できる人ってなかなかいませんよね。)
万作さんは海水浴やボートなど、海での遊びが大好きで、松山に住んでいた若い頃は梅津寺あたりで泳いだりボートに乗ったりしたそうです。病気にかかってわが子を泳ぎに連れて行くことができず、どんなにか辛かったことでしょう。
私も父母に海水浴に連れて行ってもらったことが何度もありますが、とても幸せな思い出です。(その割には長らくカナヅチでしたけど。)
今日は海の日。津波で海に傷つけられ、原発事故で海を傷つけている日本ですが、日本中のチビっ子たちが海水浴を楽しみ、海から多くを学べる日が早く戻りますように。
(去年の9月の写真ですみません...)
※今回ご紹介した「望郷」は、復刊されている『伊丹万作エッセイ集』(ちくま学芸文庫)には収録されていません。(現在絶版の『静臥後記』、『伊丹万作全集』第1巻に収められています。)
2011.07.11 新商品の発売とリーフレットスタンド設置のお知らせ
この度グッズショップにて新商品が発売開始されましたのでご紹介いたします。伊丹十三の描いたイラストを使用して作った商品です。
また、松山へ観光で来られる方が一番多く集まると思われる場所に記念館のリーフレットを置きました。ご自由にお持ち帰りください。
Tシャツ新発売(税込価格:3,360円)
6月29日より発売開始となりましたTシャツです。薄手の生地でシルエットの美しさと着やすさが特徴的なTシャツです。著書『ヨーロッパ退屈日記』の「スパゲッティの正しい食べ方」の挿し絵でデザインされています。「スパゲッティを巻くスペースを作る」という文字とスパゲッティを巻いている手のイラストが描かれています。インパクト大なTシャツです。
オンラインショップにてTシャツをお買い求めの方は→こちら
ゴム印新発売(税込価格 M:315円、L:525円)
7月9日より発売開始となりましたゴム印の新商品です。これまでにも人気のあったゴム印にこの度新たにデザインが増えました。Mサイズにデザインが1種類追加され、新たに発売となったLサイズは5種類のデザインが揃っています。
どれも伊丹十三が描いたイラストです。Tシャツ同様他にはないユーモアにとんだデザインが特徴的です。
オンラインショップにてゴム印をお買い求めの方は→こちら
記念館リーフレットを道後温泉本館前に設置
松山で一番有名な観光地といえば道後温泉本館です。その道後温泉本館の目の前に一六本舗道後本館前店があるのですがその店舗の店先に記念館のリーフレットを設置しました。この一六本舗道後本館前店は記念館と同じ中村好文さんの建築です。
道後温泉本館の近くに行かれた方はどうぞご自由にお持ち帰り下さい。2階には「一六茶寮」というカフェがありまして一部には記念館のミニ・ギャラリーがありますので興味のある方は是非ご覧ください。
(↑画像: 一六本舗道後本館前店の店先。左端にあるのが記念館のリーフレットです。この写真を撮影した場所から振り返って10?20メートルの位置に道後温泉の本館があります。)
(↑画像:一六茶寮の一部のミニギャラリー。松山名菓一六タルトのCMや記念館の模型などが展示されています。)
(↑画像:一六茶寮から見える道後温泉本館。)
スタッフ:川又
2011.07.04 奇跡
記念館だよりをご覧のみなさま、こんにちは!夏が好きなくせに夏バテ気味の木山です。
先日、私は突然ぎっくり腰になり、立ち上がることもできなくなり、声を出すのも痛く、咳やくしゃみなんてしようもんなら激痛に襲われ、仕事を休ませていただきました。少人数で運営している当館は一人休むとスタッフ全員に迷惑がかかり、大変心苦しかったのですが、どうやっても真っ直ぐ立つことができず、出勤しても全く役に立たない状態でした。スタッフのみなさんにこの場を借りて、お詫びとお礼を申し上げたいと思います。
映画『奇跡』の試写会の最後に是枝裕和監督が「みなさんにとって奇跡とはなんですか?」と問いかけたそうです。私はぎっくり腰になり、普通の生活が普通にできなくなって、「普通」って奇跡だなと感じました。
思うように体を動かせず、トイレに行くにも風呂に入るのも重労働で、夜中に痛みで目が覚め、そんな大変な思いをして、日々の健康で平穏な毎日がどれだけ幸せなことかという事に気づかされました。人間とは欲深い生き物で(みんながそうとは限りませんが)、今の幸せで充分なはずなのに、慣れてくるともっともっと、と上を望んでしまいます。世の中には、病気や悩みを抱えて大変な思いをしている方がたくさんいらっしゃると思います。健康で毎日普通の暮らしができるってすばらしい事ですよね。「喉元過ぎれば・・・」にならないよう日々の「普通」に感謝して毎日を大切に過ごそうと改めて思いました。
余談ですが、仕事を休ませていただいた日、記念館のスタッフから「お加減はいかがですか?」と電話をいただき、横で聞いていた2歳の娘が代わってというので代わると「いつもお世話になってます」と挨拶をして、私もスタッフもびっくりというか私はうれしくて、泣き笑い状態でした。以前、お休みの日に記念館へ連れてきた時に、「いつもお世話になってますって言うんよ」と教えたもののその時は全く言えず、それを覚えていた事にもびっくりですし、今その言葉を使う時だと理解している事にも驚きました。子供は親が思っている以上に日々成長しているものですね。親バカですが、そんな成長を日々見られる事も大きな幸せです。
設計の中村好文さんがカフェのトイレに設置してくださった手すりを始めて使用しましたが、なんて有り難いんだろうと感動いたしました。
使用しない時はこのように壁に↑ 使用する時に手すりを下ろします
スタッフ:木山
2011.06.27 夏の庭先
みなさまこんにちは。先週あたりから急に気温と湿度が上がり湿気のため髪の毛くるくるの多胡です。日もすっかり長くなったと思っていましたら、先日には夏至を迎え、なるほど!と納得したところです。
みなさまのお宅には庭はありますか。わたしの住まいには庭はありませんがベランダでいろいろ育てています。ハーブの仲間のレモングラス、レモンバーム、月桃、イタリアンパセリ...から始まり、最近はいただいた花で小さな紫色の花を咲かせるイソトマ(いい香りがします)、濃いピンク紫のペチュニア、カラーみたいな白い花なども仲間入りしました。他には毎年春に小さい花を咲かせる多肉植物やお土産でもらったブドウがおいしかったので種を撒いたら芽が出たという変わり種もいます。
伊丹十三記念館には建物前と中に庭があります。お越しになった方はご記憶かと思いますが建物前と中庭ともに桂の木が植わっています。今、夏に向かって桂の木には葉が生い茂り、暑い中ですのに見たところにはとても涼しそうに葉をなびかせています。この葉は秋になるとお砂糖を焦がしたような甘い香りを漂わせます。記念館に勤務し始めた頃、春にその話を聞き「葉っぱが?ほんとかな???」と不思議に思っていましたが秋になって早朝、中庭のガラス戸を開けるとほんとうに甘い香りがしてびっくりしたのを覚えています。葉っぱもハート形でかわいらしく、中庭の桂の木は樹形にも建築家の中村好文さんの思いがこもっていて根元は1本ですが2本が寄り添っているようなものを選んで植えています。これは伊丹さんと宮本館長に見立てて選んだと聞いています。
庭の手入れもできる範囲スタッフで行っています。草をひいたり水をやったり、まめなスタッフは花の終わった中庭のタンポポを集めて庭の新たな場所に種を撒きタンポポの陣地のさらなる拡大に努めたり。最近、簡易の芝刈りハサミを購入したので芝刈りや少し剪定なども行っています。
※写真上:ベランダで育てているペチュニアと多肉植物。花殻を摘んでおくと次々と新しい花が咲きます。こうやって見てみるとちょっと朝顔にも似ていますね。
写真下:中庭の桂の木。先日、植木屋さんに虫よけの薬を散布してもらったのです。
スタッフ:多胡
2011.06.20 入館者数10万人突破いたしました!
6月17日(金)、入館者数10万人を突破いたしました!
開館から4年1ヶ月と2日、みなみなさまのおかげでここまでまいりました。まことにありがとうございます。
10万人目のお客様は、新居浜市にお住まいの高橋かよ子様でした。なかなか取れない貴重なお休みを利用してお越しくださったそうです。お写真を撮らせていただいたりご感想を頂戴したりでお引き止めしたにもかかわらず、にこやかにご対応くださりありがとうございました。
お話を伺いながら、高橋様のように、たくさんのお客様が時にはご自身の経験と重ね合わせたりもしながら、いろいろなことを感じてくださっているんだろうな、と想像していました。当館のような施設はここで過ごしてくださる方々の思いで成り立っているんですね...まことにありがたいこと、平身低頭の思いがいたします。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
さて、昨日は父の日、「父と子」展開催中の企画展示室で、伊丹万作の《櫻狩り》(町立久万美術館蔵)と解説文を熱心にご覧くださっているお客様をお見かけしました。
この《櫻狩り》は、万作さんの中学時代からの友人・宮内一乗さんが亡くなるまで大切に持っておられて、その後町立久万美術館の所蔵となったものです。万作さんが松山でおでん屋・瓢太郎の経営に失敗してから京都へ旅立つまでの間に描き、お世話をしてくれた宮内さんに贈ったものだそうです。伊丹十三さんはこの絵の存在を知らなかったようで、初めてご対面したのは久万美術館を家族で訪れた1994年、万作さんが亡くなった48年後のことでした。
久万美術館・前館長の松岡義太さんの回想によりますと、食い入るように《櫻狩り》を見つめていた伊丹さんは、画面の左端に描かれた女性の着物に潰したおでん屋の名前があるのを見つけて「ひや たろう おでん......。こういうことをするのは、まさしく私の父です」(『木の薫り 久万美術館』より)と語ったそうです。伊丹さんが父である万作さんをどのように捉えていたのかを伝える逸話として、解説文で紹介させていただいています。
そんなエピソードも含め、ぜひじっくりとご覧いただきたい《櫻狩り》、7月10日までの展示です。
写真上:館長からのメッセージパネルを掲げて満面の笑みを浮べるスタッフ・木山 。いい笑顔です!/ 写真中:10万人目のお客様・高橋様からお話を伺う中野。 / 写真下:現在の企画展示室の一角。一番右の絵が《櫻狩り》です。
<ちょっとおしらせ>
「父と子」展関連企画・伊丹万作名言集botをTwitterで開始いたしました!万作さんの味な名言の数々を1日3回お届けしています。
2011.06.13 周防正行監督がご来館されました。
6月11日土曜日、映画監督で伊丹十三賞の選考委員でもいらっしゃる周防正行監督が記念館にご来館下さいました!
周防監督の最新作『ダンシング・チャップリン』の松山での公開を記念した舞台挨拶が市内の映画館で行われ、その後関係者のみなさまとご一緒に記念館へご来館下さったのです。大変長い時間をかけて展示をじっくりとご覧下さいました。
ついに松山でも公開となった『ダンシング・チャップリン』ですが、公開から本日までお休みがなかったため私はまだ拝見しておりませんが、ご覧になった方々にお伺いしますと皆様「すごくいい映画だった!」と大好評です。
【画像:『ダンシング・チャップリン』のパンフレット】
ところで、周防監督と伊丹十三のあいだには大変興味深いエピソードがあるのをご存知ですか。
伊丹十三の大ヒット作『マルサの女』(1987)と『マルサの女2』(1988)の撮影の舞台裏を記録した『マルサの女をマルサする』と『マルサの女2をマルサする』の2作品はなんと、メイキングビデオにも関わらず周防さんが監督されていらっしゃいるのです。
【画像:『マルサの女をマルサする』と『マルサの女2をマルサする』のDVD】
日本アカデミー賞の監督賞や脚本賞など数々の映画賞に輝いた大ヒット作
『Shall we ダンス?』(1996)の公開される8年前と9年前のできごとです。
そんな関係があるがゆえに伊丹十三賞の選考委員をこころよくお引き受けくださったというわけです。
最後に、2008年に行われた伊丹十三賞創設の発表の席で、周防監督が伊丹十三賞に対する思いを語っておられたのが大変印象的でしたのでご紹介いたします。
伊丹さんには『マルサの女』の
メイキングを担当していた時にお世話になり、
たくさんのことを学ばせていただいきました。
その恩返しが出来ずじまいだったが、
これを機に伊丹さんの想いを反映できるような選考をして、
少しでも恩返ししたいと思っています。
(2008年11月)
スタッフ:川又
2011.06.06 チョイスドリンク!
記念館だよりをご覧のみなさま、こんにちは!夏が近づきうずうずしている木山です。
夏!ということで今回は期間限定の夏メニューをご紹介させていただこうと思います。
いつもメニューを考える時、「どこにでもあるような単純なものはイヤだなぁ」とか、「せっかく大切なお金と時間を使ってカフェをご利用して下さっているのだから、お客様に喜んでいただけるような、楽しんでいただけるようなメニューをご提供したいなぁ」などと心掛けながら考えております。
カフェで接客をしていると、「愛媛に来たからにはみかんジュースは飲みたいよね~、でも私マンゴーが大好きでね~、あ~豆乳もいいな~」などと迷っている声をよく耳にします。そんなあれも飲みたい!これも気になる!という方の為に思いついたメニューが今回の期間限定「チョイスドリンク」です。
*マンゴージュース *温州みかん *清見タンゴール *デコタンゴール *豆乳
*グアバジュース *ベリーミックス
以上の7種類のジュースの中からお好きなお飲み物を3種類お選びいただけます。
おすすめは2種類のジュースと豆乳を選び、まずはそれぞれの味を楽しみ、残りのジュースに豆乳をまぜて豆乳ドリンクを作る!これはおすすめです。3杯のジュースで5種類の味が楽しめます。中でもマンゴー豆乳はとてもおいしく人気メニューになっています。豆乳を入れるとまろやかになり、みかんの酸味も包んでくれるようなやさしい味になります。ぜひみなさんも一度ご賞味くださいませ。
スタッフ:木山
【おしらせ】
『ほぼ日刊イトイ新聞』の「ほぼ日ニュース」で企画展「父と子 — 伊丹十三が語る父・伊丹万作の人と芸術 —」をご紹介いただきました。そうそう、もうすぐ父の日です。→こちらからぜひごらんください!
2011.05.30 からだ動かしてますか?
みなさま こんにちは。
さわやかな季節となりましたね。みなさんは体を動かすのはお好きですか?
わたくしはと言いますと朝はラジオ体操の時間に丁度ラジオをつけていれば体操をしたり、毎日の通勤は自転車で、夜寝る前やお風呂の中で気が向いたら体操をしています。でも一番気持ちいいのはジムに行って運動することです。日々のわたしのことを知っている人にこの話をすると皆、目を丸くします。「どう考えてもあなたがジムで運動してるところが想像できない・・・」と。でもそのジム歴も7年(!)ほどとなりました。そもそも運動は苦手なほうです。(意外と走るのとなぜか平泳ぎは得意でした。)
体育の授業はできれば理由をつけて休みたかったくちです。ですが毎回毎回体育の先生を納得させるほどの休む理由が見つかるわけもなく まずは着替えでもたもた、慌てて運動場に飛び出し、掛け声を出しながら運動場を走らされたり、体育館でバレーボールもどきをやったりして過ごしました。今思ってもわたしの人生の中で不思議な時間でした。ごくまれにですが、今でも慌てて運動場に走ってゆく夢を見ることがあります。
ジムでやっているのは運動というよりは体操という感じでしょうか。行く前はいつも不思議とあまり乗り気でないのですが行って準備体操をして一つずつ機器に乗っかって体のあちこちを動かしているととてもほぐれるというか何か滞っていたものが流れるという感じがします。普段わたしはとても冷え性なのですがジムであちこち動かした後は鏡を見ると効果テキメン!顔色もほんのりよくなっています。なにより「ここちよい」のです。日々は事務仕事をしたり体の癖で片方に偏って力が入っていたりするのでしょう。あちこち凝っているのが動かすことでほぐれるのでしょうね。体を動かすと心持もふわぁっと明るくなるから不思議です。またジムの室内は、仕事の同僚でもご近所さんでもなく年齢も性別も様々な人がおられ、でも共通して「なんか元気でいたいなぁ」という思いを持つ人の緩やかな集まりとなっています。
記念館の受付で座っていますとジムで知り合った方にお会いすることも時々あります。お友達と連れ立ってご来館になり「あらぁ、あなたこちらにお勤めなの!」と声をかけて下さる方、夏休みの宿題のため娘さんを含めご家族連れで来てくださったおとうさん等...みなさんのまた違った面が見えて楽しい気持ちになります。これからも続けてゆけたらと考えているところです。
写真上:いつもはいている体幹を鍛えるという靴(黒いほう)とジムではいている靴。黒い靴は最初は竹馬に乗っているみたいでしたが今は慣れっこになり長距離もこれで歩いています。下:歩いているとあちこちいろんなバラが咲いていていい匂いです。
スタッフ:多胡
2011.05.23 開館4周年のご報告いろいろ
5月15日の日曜日、伊丹十三78歳のお誕生日。開館4周年記念日を迎えました。
これまでにご来館くださった9万9千人ものお客様、いつもお力添えくださる皆様に、厚くお礼申しあげます。
*
1.企画展示を一部入れ替えました
こちらは、伊丹万作が昭和2年に描いた《櫻狩り》です。町立久万美術館からお借りして、7月11日(月)まで展示しております。(櫻狩りの写真)
いい絵です...しみじみと。当館に展示させていただけて、嬉しいなぁ?。企画展示室に松山中学の友人たちとの友情から生まれた絵が3点並んでいるのも、いやぁ、ホントに嬉しいです。
この企画展は、展示品を一部入れ替えながら来年12月まで続ける予定ですが、《櫻狩り》は期間限定で展示させていただいている作品ですので、ぜひお早めにお越しくださいませ。(詳しくはこちらをご覧ください)
*****
2.収蔵庫ツアーを開催いたしました
開館記念日名物の収蔵庫ツアー、今年も5月14日(土)?16日(月)の3日間、1日2回、開催いたしました。
当館の収蔵庫は、2階部分がこのように「展示風」の収蔵スペースになっております。伊丹十三が自宅や事務所で使用・保管していたものをディスプレイしている、一風変わった収蔵庫なのです。
そう広くはないスペースで、いろいろの逸話をご紹介しながらのツアーなので、各回6名様までの定員制・事前応募制とさせていただいております。
収蔵庫の中の「直筆原稿・メモ類」、「愛用品」、「湯河原のお家の一室の再現」、「蔵書」、「衣類・服飾小物・映画衣裳」の5つのコーナーをご覧いただいた後に頂戴したご感想をご紹介いたします。
●「やあ、いらっしゃい」と伊丹さんに笑いかけられると思わず「ええ、こんにちは」と頭の中で思いながら、1時間の収蔵庫ツアーを楽しませて頂きました。今でも海外の地を訪れると「旅馴れて ニタリと笑う 俺の心の ドン・ジョヴァンニ」が必ず浮かんできます。
●伊丹さんのイメージに合ったよい建築です。経年の美しさを楽しみにしています。
●展示物もそうですが、建物に非常にお金を使っていらっしゃるのがよくわかります。維持費も大変でしょうネ。
●たいへん興味深く拝見させて頂きました。当時の最先端の物をいち早く取り入れている事がよくわかりました。それぞれの映画のシーンがよみがえりました。
●伊丹十三監督の映画は好きで、映画館までよく観に行ったものです。なつかしく場面がよみがえってきました。十三監督のセンスの良さに、改めて感心した次第です。
●館長さんにお会いできたことが一番でした!!収蔵庫がきれいに保管されていて感動します。今後もみなさん頑張って私たちを楽しませてくださいね。
●宮本信子さんが会うことができて感激しました。毎回新しい発見があり、楽しませていただいています。これからもよろしくお願いいたします。
●いい男すぎて日本人にしておくのはおしい人ですね。でも日本人だからなおかっこよく感じるのでしょうか?よい物をたくさん見せて頂きました。
●ただすごいの一事。凝り症で天才肌で天才だ。その上美男子。信子さんも佳人美人でお会いできて、とっても嬉しい。等身大の写真といっしょに写真とってみたい。
●本日は伊丹さんのすばらしい数々の貴重な品を間近に見ることができた事は、本当にうれしく思いました。また、映画の作品にでてきた小道具、映画を見たあの時が浮かんできました。ありがとうございました。あらためて、すばらしい方だなあ?と思いました。
●今までエッセイ本を読んで、強いこだわりの持主である事は知っていたが、収蔵庫ツアーに参加して、本に書いてある通りの方だったんだな、と思った。一つ一つが良い物(高価だろうな)と分かる品々。心底気に入って使っていたんだな、と思った。ファンとしてとっても嬉しい。今後も色々なものを見せ続けて欲しいです。
●収蔵庫を初めて見せて頂き、ここで伊丹さんが生活されていたんだ。と強くおもいました。御家族の姿が見える様です。又これだけの遺品を大切に保管されているという事は、どれだけ御家族が伊丹さんの事を思っているのかがよくわかりました。今回参加させていただき、伊丹さんへの思いもよりいっそう尊敬します。
●伊丹十三さんの愛用品を身近で見ているとイメージが変わってきました。とても家族思いで、料理を自分でされたり本棚に『じゃりん子チエ』があったりと、とても人が好きな方なんだろうなぁと思いました。何時間見ていてもあきないスペースです。また見たいと思いました。
●伊丹十三という人間が、どのようなものでつくられ、成り立っていたか、という点でも、興味深く感じられました。また、一つ一つの資料がそれぞれ洗練されたものであり、やはり、伊丹さんのセンスの良さ、美意識の高さをあらためて考えさせられました。
●4周年おめでとうございます!!パリの街を侍の姿で歩く伊丹さんの姿を見てみたかったです。収蔵庫はその中にいるだけで自分の頭がさえわたるような...そんな気持ちになりました。「三枝のホンマでっか??」と「じゃりん子チエ」は一体何の資料だったのでしょうか...気になりました。
●信子さん!お会いできて嬉しいですっ。ありがとうございます。収蔵庫で一番拝見したかったのは、食器や調理器具です。やっぱ素敵でしたー。ご一家の暮らしぶりが目に浮かぶようでした。円 卓まわりの本棚もあこがれです。
●ずっと大ファンでしたが、知らないことばかりで才能の多彩さ、深さ、徹底した勉強と、探究心。人生の生き方を深く追求した生き方に、教えられることばかりでした。一流の人はやはり違う!と感じ入るばかりです。宮本信子さんにお会いでき、大感動の一日でした。
今回は31組55名様からご応募をいただき、20組36名様にご参加いただきました。
ご近所から、ご遠方から、ご参加くださったみなさま、ありがとうございました。伊丹さんを大切に思ってくださっていること、いろいろとお聞かせいただいて、とても嬉しく有り難く存じます。残念ながら今回ご落選となってしまったみなさま...申し訳ございません!これに懲りずにまた来年ご応募いただけましたらとても嬉しく存じます。(収蔵庫ツアーは毎年4月頃に募集いたします。ご興味おありの方、ぜひ来年ご応募ください。)
15、16日には宮本館長もひさしぶりに出勤、お客様とワイワイ楽しくお話しさせていただいて、ニコニコと充実の表情でありました。(近々に館長ホームページの「タンポポだより」に掲載されると思います。)
3.グッズプレゼントは続行中です
4周年記念のグッズ企画は今月いっぱい続けてまいります。特典プレゼントやお得なセット、ぜひこの機会にお求めください。
*****
最後になりましたが...
おかげさまで無事に5年目に突入いたしました。
伊丹十三の足跡を紹介することで、これからもみなさまにいいものをお届けしたく存じております。末長くよろしくお願いいたします。
2011.05.16 オンラインショップにて『張り子の犬』の販売を開始しました。
記念館便りをご覧の皆様こんにちは。
この度オンラインショップにて、安産と子育ての縁起物として知られる『張り子の犬』の販売を開始いたしました。
この『張り子の犬』は記念館の開館以来人気の商品でしたが、職人の方が一つ一つ手作業で仕上げているためオンラインショップでは在庫の管理が難しいと考え、これまでは店頭でのみ販売をしていました。
しかしあまりの愛らしさのためか記念館便りの写真などでご覧になった方からのお問い合わせが多く、この度満を持して発売することに致しました。
この『張り子の犬』は伊丹十三と宮本信子に子供が生まれる際に知人から頂いたものを復刻したものです。箱も記念館をイメージしたパッケージに入っています。箱の中央に描かれているイラストも伊丹十三が描いたものです。
犬はお産が軽いことから張り子の犬は安産と子育ての縁起物とされているそうです。
記念館でも出産前後の方へのプレゼントとしてお買い上げくださる方が大半です。
もちろん、「かわいいから欲しい!」という方も大歓迎です!
最後に伊丹十三が張り子の犬を頂いた際に書いたエッセイの一部をご紹介いたします。ちなみに、このエッセイの全文は商品に同封されています。2005年に新潮社から発売された『伊丹十三の本』にも掲載されています。
張り子の犬をお買い求めの方は →こちら
※※※※※伊丹十三エッセイ「張り子の犬」※※※※※
冠婚葬祭というものは難しい。
以前、友人の村島健一さんのお父様が亡くなった時も、私はお座なりに、百合の花とお香奠だけを持って告別式に出かけ、つくづく自分の駄目さ加減を思い知らされた。
他の友人たちは優しい人たちばかりだったから、なにがなし心暖まるような、真心通う品品をそれぞれに持参したらしい。
略
みんなそれぞれの器量で全力投球している。百合の花なんていう無責任なのは私一人であった。
そのあと何年か経って、今度は山口瞳さんのお父様が亡くなった。
略
前のことがあるから、今度こそは何か好い知恵を出さねばと思い、ああでもない、こうでもないと考えるのだが、どうも、何を持って行っても見すかされそうな気がして、何も思いつかぬ。
今考えてみれば当たり前の話だ。今度こそみんなに遅れをとるまい、恥をかくまい、俺だって真心じゃひけをとらぬぞ、などという発想自体、自分の立場の確保に関わるのみで、相手の立場を思いやる心とは無縁のものであろう。これでは、友人も、友人の不幸も、単に「心優しい自分」というものを演じてみせる舞台に過ぎなくなってしまう。
さて、最後になったが、この張り子の犬は、この頁のレイアウトをやっている間篠秀行さんからいただいた。以下、張り子の犬に添えられていた、間篠さんの心優しい手紙。
伊丹十三様
宮本信子様
その後いかがお過ごしですか?
僕のところは予定日よりも10日早く、12月1日に2番めの息子が生まれました。たまたま女房の誕生日と重なりました。
長男は一也というのですが、二番めですので、二郎と名づけました。あとで女房の話によると、病院にいる犬はタローという名だったそうです。さか子だったのですが無事安産でした。
妹から縁起物の張り子の犬をもらってあったのですが、そのせいかもしれません。
安産と子育ての縁起物ですので、妹にたのんで買ってきてもらいましたのでお送りします。
「案ずるより生むがやすし」とか、無事に赤ちゃんが生まれますよう祈っています。
※※※※「私の博物図鑑」ミセス 1972年3月掲載 ※※※※※
スタッフ:川又
2011.05.09 G.Wの思い出
記念館だよりをご覧のみなさま、こんにちは!元気ハツラツ木山です。
みなさんはG.Wをどのように過ごされましたか?ゆっくりご自宅で過ごされた方、ご旅行に行かれた方、久々の帰省をされた方、お仕事中だった方、様々な過ごし方をされた事でしょう。
私は高校卒業後からずっとサービス業に就いていまして、みなさんがお休みの時にせっせと働くという生活を20年近く続けております。なので、G.Wはいつも仕事をしておりましたが、育児休暇中だったおととしのG.Wは高校時代以来のお休みで、久しぶりの友人と砥部動物園に行ってきました。
学生時代もG.Wだからとどこかにお出かけしたりする事もなく、バイトをしたり、ゴロゴロと過ごしていたので、「G.Wにお出かけ」というフレーズだけでテンションが上がっていました。
いつもより道も混むだろうからと朝早くから張り切って家を出発し、いざ砥部動物園へ! 家をでてすぐはスムーズに車も進み順調だったのですが、動物園が近づくにつれてものすごい渋滞で、動物園の看板が見えてからはほとんど進むことができず、歩道を歩いている人にどんどん抜かれていきました。いつもの倍以上の時間をかけて、やっと駐車場に入れたと思ったら、今度は駐車場から動物園へ行くバス待ちです。待って待ってやっと乗ることのできたバスはギュウギュウ詰めで、ベビーカーを持っていた私は周りの目を気にしながら身を縮めて苦痛の中動物園に向かいました。
そんなこんなで動物園に着いた時にはすでにバテバテです。しかし苦痛はまだまだ続きます。チケットを買うにもすごい行列。入ってからもどの動物たちの前も人だかりで、ベビーカーを持った私は割り込むこともできず、動物を見てる人の背中を見ていました。お昼も近づきそろそろごはんでも食べようかとレストランへ行くとこちらもまた行列。。。「20組以上の方が待たれています」「うわ?!やめます」もう泣きそうでした。とりあえず座って休みたいのにどのベンチもいっぱい。なんじゃこりゃ?!状態でした。動物園には何度も行った事があったのですが、平日休みの私はこんなに混んでいる動物園を見たのは初めてでした。おなかもすいて疲れきって、結局全部を回りきらず帰ることになりました。駐車場へのバスを待つのもギュウギュウ詰めも嫌で歩いて駐車場まで行き、車に着いた時は「やっと座れる?!」と本当に疲れ切っていました。
さぁ、お腹はペコペコだし、ごはんを食べに行こうと車をだすと、また渋滞(泣)それでもやっと目的のレストランへ到着。しかし、準備中の看板が。。。その後行ったお店も準備中。もう私はヘトヘトで、ごはんはいいからもう帰ると先に帰らせてもらいました。
G.Wは仕事してる方がいいなとつくづく思いました。平日休みだと待つこともなく時間を有効に使えるし、イライラする事も渋滞もなく充実した休日を過ごせます。
みなさんも観光地や人が込み合うところへ行く時はG.Wなどはずらして空いている時期を選んではいかがでしょうか。伊丹十三記念館もG.Wはたくさんのお客様にご来館いただきましたが、G.Wが過ぎ去った今がゆっくり見学できるチャンスです。来週、5月15日(日)16日(月)は館長・宮本信子も出勤いたしますし、4周年イベントも致しておりますので、ぜひご来館くださいませ。
2011.05.02 開館4周年を記念してグッズショップから皆様へのお知らせ
記念館は2011年5月15日に開館4周年を迎えることとなりました。この度は4周年を記念してグッズショップから皆様にお得なお知らせがございます!
なお、これらは全て2011年5月のみの期間限定の特典となっております。数量限定のものもありますのでご希望の方はお早めに!
【伊丹十三デザインの復刻版ブックカバーをプレゼント!】
期間中、対象商品をお買い上げのお客様に伊丹十三がデザインした小倉の書店・金榮堂の復刻版ブックカバーをプレゼントいたします。
●期間:2011年5月1日?5月31日
●対象商品:ヨーロッパ退屈日記/女たちよ!/問い詰められたパパとママの本/再び女たちよ!/日本世間噺大系/伊丹十三記念館ガイドブック/映画『お葬式』シナリオつき絵コンテノート/伊丹十三の本/伊丹十三の映画/万作と草田男—「楽天」の絆/伊丹万作エッセイ集※
※伊丹万作エッセイ集はオンラインショップでの取り扱いはありません。
【宮本信子プロデュースグッズセット販売!!】
期間中、当館館長・宮本信子のプロデュースグッズのセット『4周年グッズセット』を販売致します。お買い上げいただいた方にはもれなく宮本の直筆サイン入りメッセージカードをプレゼントいたします。
●期間:2011年5月1日?5月31日
●販売価格:3,500円(税込)...3,780円(税込)の商品が入っています。
●商品内容:手拭い、ハンカチタオル、一筆箋、封筒、ゴム印大、ゴム印小、クリアファイル2枚、十三饅頭
※手拭い、ハンカチタオル、一筆箋、ゴム印大、ゴム印小の商品はお好きな色や種類をお選びいただけます。
↑プレゼントのメッセージカード。サイン部分のみ宮本信子直筆となります。メッセージは印刷です。
【マルサの女缶バッジプレゼント!!】
期間中、対象商品をお買い上げの方に『マルサの女2』(1988年)映画公開時にプロモーショングッズとして製作された非売品の缶バッジをプレゼントいたします!
●期間:2011年5月1日?5月31日
●対象商品:『伊丹十三の映画』(書籍/2007年新潮社発刊)/伊丹十三監督作品映画DVD、メイキングDVD、コレクターズセット(ジェネオンエンタテイメント発売)※オンラインショップでの取り扱いはありません。
スタッフ:川又
2011.04.25 第3回伊丹十三賞の贈呈式を開催いたしました
すでにホームページでお知らせしておりますが、4月21日木曜日、東京の国際文化会館で第3回伊丹十三賞の受賞者を発表するとともに、贈呈式を開催いたしました。
1.伊丹十三賞と受賞者のご紹介
「伊丹十三賞ってナーニ?」という方のために、ごくカンタンにご説明いたしますと、「伊丹十三が活躍した分野で、多くの方の知性に生き生きとした刺激を与える面白い仕事をなさっている方にお贈りする賞」でございます。
※詳しくはこちらをご覧ください↓
当館ホームページ内「伊丹十三賞概要」
宮本信子Official Site内「タンポポだより」
第1回は糸井重里さん、第2回はタモリさんにご受賞いただきました。
そして、第3回伊丹十三賞の受賞者は内田樹さんです。
「世の中の事象から、人がどう生きるかまで、ひらかれた思考とやわらかい言葉で日々発言し続ける、現代的で新しいスタイルの言論にたいして」が授賞理由です。
内田さんは神戸女学院大学文学部の教授として教鞭をお執りになりながら、ご専門のフランス現代思想、映画論、武道論はもちろんのこと、実に様々なテーマで日々ブログを更新、そしてそのブログを元に次々とご著書を発表なさって、多くの方を魅了し続けていらっしゃいます。この春ご退職なさって名誉教授になられましたが、「待ってました!」とばかりにあちこちからひっぱりだこで、ますますご多忙のご様子です。
世間を揺るがす大事件があると「あの人は今どう考えていらっしゃるのかな?」とたくさんの人々から意見を求められる方が時代時代でいらっしゃいますが、内田さんはまさしくその中のお一人です。最近では、入試カンニング問題、そして東日本大震災と原発事故に関するご寄稿文やコメントを新聞や雑誌、ウェブサイトでご覧になった方も多いのではないでしょうか。
そんな内田さんは伊丹さんの長年の大ファンでいらっしゃったそうで、受賞を大変喜んでくださいました。ありがたいことです、嬉しいことです。
2.贈呈式の模様
贈呈式では、選考委員を代表して、平松洋子さんが祝辞を寄せてくださいました。
「なぜ内田さんの発する言葉がひとを魅きつけるのか。そのこたえのひとつが、『ひらかれた思考とやわらかい言葉』です。思考というものは頭の中の回路に閉じられがちで、そこから発せられる言葉はとかく強ばりを伴いがちです。けれども、ひとに真にはたらきかけ、よりふかく届き、と同時に最も困難をきわめるのは『ひらかれた思考とやわらかい言葉』を持つことではないでしょうか。
去る3月、最終講義のなかでも、内田さんは繰り返し述べていらっしゃいます。『存在しないもの』とのかかわりなしに、我々は人間であることができない。つまり、すでに存在しないもういないもの、まだここにいないもの、現在においてその両方とかかわりあうことこそ思考するという行為の本質であり、対話の鍵である。この双方向へのひらきかたは、30数年におよび武道家としての身体の感受性の発見から体得なさったたまものと拝察いたします。だからこそ内田さんの言葉はやわらかく、ひとの思考、つまり身体そのものに届くのだと思います」
「こんにち、日本人は、日本は、どの道を、どのように選択し、どう歩いてゆくのか。生かされているものみなが自分自身に問い、考え、変化してゆく責務を負うています。まさにそのとき『伊丹十三賞』が出会ったのが内田樹さんでした。わたしたちが今おりますこの『国際文化会館』は、ながい歴史を背景に、前田國男、坂倉準三、吉村順三の三人の建築家によって1955年に建てられましたが、その後いったん存続が危ぶまれながらも保存され、ぶじ再生を果たした日本の建築物の財産ともいうべき存在です。その屋根の下で、こうして第3回『伊丹十三賞』をお渡しできることに、今後の日本の再生と回復に向けての光を見出しつつ、今回の選考の言葉とさせていただきます。」
内田さんは、「実はわたくし、20代の頃、もしかしたらそのちょっと前から、伊丹十三という人の大ファンでございまして—」と熱烈ファン歴をご披露くださいました。
大江健三郎さんの『日常生活の冒険』を読んで、伊丹さんをモデルにして造形された人物に魅かれたこと。会員限定の講演会に駆けつけて、受付の方を拝み倒して入れてもらい、アイドルを見るような思いで伊丹さんの姿を見つめたこと。伊丹さんが編集した雑誌『mon oncle(モノンクル)』を舐めるように読んだこと。伊丹さんの監督デビュー作『お葬式』を渋谷文化でご覧になったこと。もっとも尊敬する同時代のクリエイターであったこと...
少年時代にご自分のスタイルを形成する過程で伊丹さんから受けた影響のひとつとして、『女たちよ!男たちよ!子供たちよ!』の「恐怖の人」にまつわるこんな思い出をご披露くださいました。
「伊丹さんのところへやってきた取材の人が、撮影のときに帽子とサングラスを取るように言ったところ、伊丹さんが『取ってもいいけど、私はこのようなときに帽子をかぶってサングラスをするような人間として生きてきて、それで商売をしている。取っても構わないけど、私と家族の一生の面倒を見る覚悟があるのか』と言ったんだそうです。(場内笑)ぼくは、まだその頃若造だったもんで、ぼくのところにカメラマンが来ることは絶対ないと思っていたんですけど、いつか来る機会があったら言ってやろうと思ってました。(場内爆笑)」
「その後、実際、30代の途中からものを書くようになって、新聞に寄稿したりすることになったときに、とくに駆け出しのうちはクレームがつきまして、『こういう書き方をされちゃ困る』『直してくれ』と言われると、いつも思い出していたのはこの言葉なんです。『ぼくはこういうことを書くような人間で、場違いなこと、場合によっては、あるいは標準から離れたことを書くような人間であるということによってぼく自身なのであって、それをやめろと言うのであれば、あなたはぼくを一生食わせる気があるのか!』(場内大爆笑)とは言いませんでしたけど、内心思っていましたので、頑として抵抗して『じゃあもう書かない!』『もう書くな!』と大ゲンカした新聞も二社ほどございます...(取材の方々に)今日はいらしてるんでしょうか?(笑)」
雑誌『考える人』の「戦後日本の『考える人』100人100冊」という特集では、内田さんは、示されたリストの中から、大好きなクリエイターである手塚治虫さん、長谷川町子さん、伊丹さんの3人を選んで、その人たちが戦後の日本に与えた影響と業績について書いていらっしゃいますが、
「リストを見ながら『あ、この人!』と思ったときに、ぼくは伊丹十三という人に、強い、ずっと変わらない敬意と愛情を持っていたんだな、ということを実感しました。そういう人の名前を冠した賞をいただくことになりました。本当にうれしく思っています」とのお言葉を頂戴しました。
さて、贈呈式のしめくくり、われらが館長の挨拶には、勢いとパワーと喜びがみなぎっていました。
「内田さーーーん!!おめでとうございます!!」(大袈裟でなく、本当にこういう感じです。)内田さん、ご出席くださったご家族、ご友人、お仕事仲間のみなさま、内田さんを選んでくださった選考委員のみなさま、そしていつも伊丹さんと記念館を支えてくださっているみなさまへのお礼の言葉を述べた後、「カンパーイ!!!」の音頭でパーティーが始まりました。
日本中が大きな不安に苛まれている状況ですが、贈呈式と祝賀パーティーには、100名を超える方がご出席くださり、あたたかくにぎやかな会にしてくださいました。
「あたたかくてにぎやか」...これほど伊丹十三賞にふさわしい雰囲気ありません。みなさま、ありがとうございました。(贈呈式につきましてはこちらもごらんください)
4.贈呈式までのこと
話は少しそれますが—東京で選考会が行われた日、受賞者決定の電話を私はじりじりと待っておりました。電話が鳴った瞬間に受話器を取ると、玉置理事長の声で「大丈夫!?」。何のことか分からないまま「へ?大丈夫ですけど...」と答えてしまいました。選考会の最中、内田さんが受賞者と決った瞬間に、3 月11日のあの大地震が起こっていたのです。(このことについては、祝辞の冒頭で平松さんもお話しくださいました。)私の故郷・岩手県宮古市も被災地となりました。
その少し前、友人たちが「岩手で地震だよ!」とメールをくれたので、慌てて電話をかけて両親と実家の無事は確認していましたが、このときはまだ「いつもよりちょっと強い地震」という程度にしか認識していませんでしたし、東京も含めた東日本全体が大変に揺れた地震だったことも知りませんでした。まして、あのような津波が来るとは思いもしませんでした。地震後の選考会場では理事長の携帯ワンセグが貴重な情報源となり、それで「ご両親は大丈夫!?」との電話だったというわけです。
津波に襲われた太平洋沿岸の惨状と原発事故の報道に、呆然とした状態で贈呈式の準備を進めなくてはならない毎日が始まりました。世間ではたくさんのイベントが中止になっているというニュースも聞こえてきました。
何とか贈呈式の日を迎えることができたのは、「主役の内田さんが受賞を喜んでくださっているのだから、ぜひとも開催しましょう!」という理事長の頼もしい言葉と、手紙やFAXに綴られた館長の思いのこもった文字、先回りしていろいろの作業を進めてくれた同僚たちの気遣いに、ぐいぐいと引っ張ってもらったおかげです。(ほんとうに「人間レッカー移動」状態でした。今もそうですが...。)
日々当館にお越しくださって「来てよかったです」とあたたかいご感想をお寄せくださるお客様方にも、大いに励ましていただきました。
贈呈式のにぎわいを眺めながら、実務の面でも精神面でも大いに力となってくれた同僚たちにこの場にいて欲しかったな、としみじみ思いました。館長?、理事長?、いつか全員出張させてくださいね?。
5.そして予告!
さて、秋には内田さんの講演会を松山で開催したいと考えております。みなさんどうぞお楽しみに。乞うご期待、ですよ!
学芸員:中野
2011.04.18 道後温泉本館の前で十三饅頭を販売いたしました。
記念館便りをご覧の皆様こんにちは。
4月16日土曜日の夕方、道後温泉本館前にて記念館スタッフが『十三饅頭』を販売いたしました。
『一六本舗・道後本館前店』の敷地をお借りして販売しました。このお店は記念館以外で唯一『十三饅頭』を販売しているお店です。道後温泉本館の目の前という絶好のポジションに位置しています。
観光地の目の前なので多くの方が記念撮影をされており、スタッフ2人で100回はシャッターを押したと思います。
今後もこの場所での十三饅頭の販売を考えております。記念館スタッフをお見かけした方は是非声をかけて下さいませ。
松山に来られた方には一人でも多くの方に記念館に足を運んでいただきたいところではありますが、お時間などの関係で難しい方は是非この『一六本舗・道後本館前店』にお立ち寄り下さい。『十三饅頭』を販売しておりますし、1階には閲覧用の記念館のガイドブックやリーフレットなども置いています。2階は『一六茶寮』というカフェになっていて記念館の紹介などもしています。記念館と同じ中村好文さんの建築です。
スタッフ:川又
2011.04.11 公益財団法人になりました。
みなさま こんにちは、多胡です。わたくしはここ伊丹十三記念館で主に事務・経理を担当しています。今日は事務に関するお話を少しさせていただこうと思います。
伊丹十三記念館は、平成19年5月の開館に先立ち宮本信子館長、玉置泰理事長の意向のもと一人目のスタッフである種岡千代美事務局長が財団法人ITM伊丹記念財団を立ち上げ作業をとりまとめ 以来4年間、宮本館長、玉置理事長のあたたかい指導のもとスタッフ一同、一丸となって運営してまいりました。
わたくしは日々は経理業務や、給与の計算、事務手続き、事務用品の発注、お昼には受付にも座ったりしつつ理事会や評議員会の開催の準備や予算作成等を行っています。ここでの勤務も税理士の先生や事務局長に教えて頂きながらなんとか4年が経とうとしています。
そしてこの春、財団法人ITM伊丹記念財団は主務官庁である愛媛県庁より認定をうけ、平成23年4月1日に晴れて公益財団法人ITM伊丹記念財団になりました。財団法人から公益財団法人へ移行することが決まり手続きに着手した頃のメールを紐解きますと平成21年4月とありました。改めて二年の月日が経過していたことを知りびっくりしています。最初は何がなんだかよくわからない状態から始まり県庁で開催される説明会に足を運んだりしていましたが同じ部屋で『説明をしている人』も『説明を聞いている人』もたちも一様に「よくわからないけど大変そう...」という面持ちでとても不思議な雰囲気だったのが思い出されます。セミナーにも参加しましたがこの頃は、気ばかり焦って質問したくても何を聞いてよいかも分からない状態でした。そうこうするうちに新しい公益財団法人に移行にするには「定款」を作らなければならないこと、何度か役員会を開催すること、評議員を選ぶための『評議員選定委員会』という会を立ち上げる必要があること等が徐々に分かり、県庁の担当者の方や上司と相談しながらすすめてゆきました。
わたくしは事務担当ですから普段は比較的小さな範囲の中で仕事しているように思いますが、この公益法人移行の手続きの業務を通じて県庁の方と何度も何度もやりとりをしたり不明な点が出てくる毎に税理士の先生にご相談したり出張中の上司に急ぎ掛け合ったする中で、仕事の進め方やいろんな場面での物事の捉え方など改めて得たものは大きかったと感じています。またお一人おひとりが責任を持って仕事をすすめておられる様を目の当たりにすることができ大変勉強になりました。県庁のご担当者の方々へこの場をお借りして心よりお礼申し上げます。
手続きの後半には他のスタッフにも様々な面で(!)協力してもらいました。各々、専門の仕事を担っているにも関わらず度重なる役員会の準備や書類の整理、日々の仕事の配分等...。声をかけるとこころよく引き受けてくれ本当にありがたかったです。それらの助けがあってなんとか認定にたどりつくことが出来たというわけです。
平成23年4月1日以降も伊丹十三記念館としての活動に変更はございません。引き続きみなさま、どうぞよろしくお願い申し上げます。
今回の写真は急にあちこち咲き始めた春の花シリーズです。
上は記念館前にある伊丹さんの愛車ベントレーの車庫の横に植えてある山桜、
下は記念館の前を流れる川原に咲く桃の花です。
スタッフ:多胡
2011.04.04 初心忘るべからず
記念館だよりをご覧のみなさま、こんにちは!春ボケしている木山です。
春といえば、出会いと別れ、旅立ちの季節ですね。この春、新生活を迎えられた方も多いのではないでしょうか。
私はこの季節になると、19年前ひとり田舎から松山へ出てきた日のことを思い出し、期待と不安の入り交ざった気持ちがよみがえります。今、あの時自分が感じたような思いを持ってがんばっている人がいると思うと、「がんばれ!」と応援したくなります。
私は高校卒業と同時に松山へ出てきて、15年間会社勤めをし、退社した翌日から開館準備中の伊丹十三記念館で働かせていただいております。入ったばかりの頃は右も左もわからず、ただ無常に時間が過ぎていき、焦りと不安と緊張といろんな味わったことのないような感情が私の体の中で渦巻いていました。
私はカフェを担当させていただく事になったのですが、カフェをたちあげることは初めての経験で、何からしていいのかわからない状態でした。況してこのような記念館は様々な申請や登録など大変な作業が山積みで、当時まだ4名しかスタッフが在籍しておらず、それぞれが自分の担当の仕事で日々追われていました。
4月に入りスタッフも増え、気持ちにもほんの少しだけ余裕がでてきました。それでも作業は山積みでバタバタした毎日を送っていました。「なんでも前向きに楽しもう!」が私のモットーだったのに、楽しむのを忘れていました。
先日、引き出しの整理をしていたら、オープン前に使っていたノートがでてきました。今日やるべき事や原価計算や、伊丹さんについての勉強や、時には自分に喝を入れる一言が書かれてあったり毎日いろんな事をびっしり書いていました。
その中に、宮本館長からのお話を聞きながら、走り書きしたページがあり「厳しければ厳しいほど達成感がある」と大きく書かれていました。よっぽど胸に響いたのか、目立つように線が引かれていました。以前勤めていた会社では15年在籍していてえらそうにしていた分、その当時、新しい環境で新しい事に取り組み厳しい状況だと苦しんでいたんだと思います。そんな時、この「厳しければ厳しいほど達成感がある」という言葉に救われたのだと思います。その次のページから単純な私が張り切っている様子が伝わりました。
2007年5月15日、オープン初日2階の窓からそっと外をのぞいてみると長蛇の列ができていて、こみあげる涙と全身が震えるほどの感動を今でも覚えています。がむしゃらにがんばっていなかったら、あの感情は生まれていなかったかもしれません。
オープン当時を思い出し今一度初心にもどり精一杯がんばろうと思います。
スタッフ:木山
2011.03.28 グッズショップとメンバーズカード会員制度に関する新情報
記念館だよりをご覧のみなさまこんにちは。
この度はグッズショップとメンバーズカード会員制度に関する
新情報をお届けいたします。
【クリアファイル新発売!】
この度グッズショップに新商品が登場しました。
A4サイズのクリアファイル(210円税込)です。
※クリアファイルの下に赤い布を敷いて撮影しているため少し赤いように見えますが、実際には表は白地、裏は透明のクリアファイルです。
伊丹十三のイラストを使用して館長・宮本信子がデザインし作成した記念館オリジナル商品です。表は白地に伊丹十三のイラストをのせています。裏は透明で右下隅には記念館のロゴを入れています。
ロゴも目立ちすぎず使いやすいデザインになっています。
・オンラインショップでクリアファイルをお買い求めの方は→「こちら」
【オンラインショップの配送方法が増えました】
オンラインショップの商品をより安価でお届けできるように配送方法を増やしました。
1. 日本郵便 レターパック500(全国一律:送料500円)
2. 日本郵便 レターパック350(全国一律:送料350円)
3. ヤマト運輸 クロネコメール便(全国一律:送料160円)
なお、レターパックもクロネコメール便もお届けできるサイズに上限がありますのでご了承下さい。これらの配送方法の選択につきましては注意事項をよくお読みの上、ご理解いただけるものをお選び下さい。
・配送方法についての詳細は→「こちら」
【メンバーズカード会員様限定・収蔵庫ツアーについて】
今年の2月に初の試みとして行ったメンバーズカード会員様限定の収蔵庫ツアーを今後も継続的に開催していくことが決定しました。1年に2回、1週間程の期間を設けて行う予定です。
メンバーズカード会員へのご入会ご希望の方は記念館受付にてお申込み下さい。みなさまのご入会を心よりお待ちしています。
・収蔵庫ツアーとメンバーズカード会員制度については→「こちら」
スタッフ:川又
2011.03.21 春の気配
みなさま こんにちは。多胡です。
あったかくなったと思ったら急に雨が降ったり風が吹いたりで真冬のコートと春先の軽いコートととっかえひっかえ着ているこのごろです。とは言え日は少しずつ長くなり春らしくなってきています。記念館の周りには川が流れているのですが河原は今、菜の花でいっぱいです。晴れた日には、この菜の花が川の水にも映っていて花の黄色と水面に映った黄色い帯が二段構えでまぶしいくらいです。
春といえば今年、久しぶりに(数えてみますとなんと23年ぶりでした。)お雛様を出しました。少しでも長く眺めていたくて旧暦のひなまつり(今年は4月5日が旧暦の3月3日あたります。)まで出しておくことにしました。というわけで我が家には今もお雛様が並んでいます。幼少期、我が家は転勤族でしたので「段飾りではなくガラスケースに入ったお雛様を痛まないよう布でくるみ段ボール箱に入れて転勤先へ向かうトラックの荷台に載せて運んだのよ」と母から聞かされました。
長くお雛様をしまいこんでいた期間も色んなところでいろんなお雛様を眺めましたが自分の家のお雛様は久し振りに出してみるとこれはまた別の感慨がありました。雛祭りケーキについていた砂糖でできたお雛様をこのガラスのケースの中に一緒に入れて飾ったり折り紙で折った枡に雛あられを入れてガラスケースの前に置いたりしていると「ゴキブリがくるよ!」(何とも現実的な指摘ですね...)と叱られたこと、一年の内ほんの短い時間しかダンボールから出されることのないお内裏様の二人にひそひそ話しかけたり、夜寝る前に「おやすみ!」と声をかけて布団に入っていたことなどを思い出しました。
雛人形や五月人形は生まれてきた子の健やかな成長を願ったもので「一生の災厄を人形に身代りさせる」などの意味合いがあるものなのだそうですね。
記念館にも可愛らしいお人形があります。「張り子の犬」です。安産と子育てのお守りなのだそうで伊丹十三が生まれたときに父 万作が油彩で描いているのと伊丹十三自身も子どもが出来た時に知り合いの方から贈られたという経緯が有り記念館のグッズ売り場で復刻したものを販売しています。福島県の会津若松の職人さんがひとつひとつ手作りしてくださっています。福島も現在、本当に大変な事態になっています。張り子の犬を作ってくださっている職人さんやご家族のみなさまがどうか無事でおられますよう。
スタッフ:多胡
2011.03.14 記事掲載のご報告
愛媛新聞の芸能面に寄稿させていただいた企画展の記事、2月21日(月)をもって無事に(?)連載終了いたしました。愛媛新聞社様からご許可をいただきましたので、3回分を一挙大公開で転載いたします。身を投じた映画界 社会批判の精神 遺産に」
掲載許可番号:G20110301-00626
伊丹家の日常 描く楽しさ 幼心に刻む
掲載許可番号:G20110301-00627
・・・いかがでしたでしょうか?わが友は「読んでもよう分からんからこの目で観に行こうって気になるな。なるほど」との感想をもらしておりました。あ、そういうねらいで書いたわけではございませんよ!決して!
※これらの記事は、愛媛新聞の許可を得て、当ホームページに転載させていただいているものです。記事画像の転載はしていただけませんので、ご注意くださいますようお願いいたします。
2011.03.07 ルール
記念館だよりをご覧のみなさまこんにちは!春が近づきウキウキしている木山です。こういう浮ついた時にミスなど起こしてしまいそうなので気をつけなくてはと思う今日この頃です。
社会のルール、学校のルール、町のルール、我が家のルール、私だけのルール等など、生きていれば様々なルールにしばられるわけですが、みなさんはきちんとルールを守っていますか?
私は学生の頃、あまりまじめに学校のルールを守れる生徒ではありませんでした。遅刻や欠席はほとんどなかったのですが、クラスマッチ中にこっそりカップラーメンを食べていて怒られたり、違うクラスでホームルームを受けていたり、授業中ガムを食べていたりと、困った生徒でした。
そんな私もめでたく社会人になり、更に厳しい社会のルールを目の当たりにするわけですが、今まで素直に守れなかった性格をそう簡単に直すことはできず、入社当初は先輩方に厳しく叱られる日々が続きました。
そうこうしている内に後輩が入り、教育する立場になった時初めてルールの大切さ、守らせる事の難しさに気づくのです。
ある時、私のいた部署にひとりの女の子がバイトに入ってきました。その子は髪を赤く染め、下から睨みつけるように私の事を見ていました。私はその子を会議室に呼び、明日までに髪の色を直してくるように伝えその日は帰らせる事にしました。すると、次の日彼女は赤かった髪の毛を今度は青に染めてきたのです。それを見た瞬間怒りよりもあきれて笑いがこみ上げてきました。
彼女は私が注意するとあからさまに睨みつけてきて、よく反発してきました。その度にくそぉ?!とムカつくのですが、出来の悪い子ほどかわいいとはよく言ったもので、私は彼女がかわいく、ほっておけませんでした。反発されてもしつこく叱り続けました。そんな日が続き、いつしか心を開いてくれるようになり、私が転勤で違う部署に変わる時には、絵の得意な彼女が似顔絵を書いてくれ、感動のメッセージが添えられた寄せ書きをプレゼントしてくれました。彼女のおかげで、私自身もたくさん勉強になり良い経験をさせてもらい感謝しています。
出会った頃は10代だった彼女も30代になり、現在は伊丹十三記念館を設計した中村好文さん設計の一六茶寮(一六本舗道後温泉本館前店2階)で働いております。こちらの店舗は当館の姉妹店のような存在で2階に伊丹十三記念館のミニギャラリーもございます。
松山へお越しの際はぜひこちらも見ていただきたいおすすめスポットです。一六茶寮から眺める道後温泉はとてもすばらしく、行く度に写真を撮ってしまいます。
ルールといえば、一般的な記念館や美術館などは基本、「手は触れないでください」などと表示がされているところが多いと思います。当館は逆で、抽斗を開けてみたり、くるくる回してみたり、めくってみたり能動的に行動を起こさないと見られない展示もあります。どんどん動かしてみて宝さがし感覚で楽しんでいただけたらと思います。
あと、スタッフのルールでトイレットペーパーは残りが3分の2ほどになったら交換するようにしています。これは、宮本館長のお客さまにトイレットペーパーの交換をさせてはならないという心遣いのルールです。
ちなみに我が家ではルールというほどではありませんが、「がんばろう」のかわりに「楽しもう」という言葉を使うようにしています。毎朝、保育園につくと「今日も一日楽しもうね!」とハイタッチをして送り出します。保育園からのおたよりを読んでいると、毎日とても楽しんでいるようです。これから、どんな壁にぶつかってもその壁を楽しみながら乗り越えられるようになってほしいです。
スタッフ:木山
2011.02.21 椿まつり
記念館だよりをご覧のみなさまこんにちは!2週間ぶりの木山です。
2月7日更新の記念館だよりでお知らせ致しましたが、先日2月9日、10日、11日の3日間椿祭りにて十三饅頭の出張販売をしてまいりました。
毎年、鳥居の前で蒸したての酒まんじゅうや椿もちや椿大福などなど人気のお菓子を販売している一六さんの販売スペースで十三饅頭を一緒に販売させて頂きました。
朝8時に現場に行くと、一六さんの販売員さん達が寒空の中せっせと準備をされていました。場所を貸して頂いた上に、立派なPOPまで作っていただき、本当に心からお礼を申し上げたいと思います。初日くらい誰よりも先に準備に行くべきだったと、今更ながら後悔しております。。。
販売開始の9時を待たずにお客様から「お饅頭ちょうだい?」と声をかけていただき、テントの外へ出てみると、ぞくぞくと参拝の方々が訪れていました。一気に緊張感が高まる瞬間でした。
「必ず完売させます!」と大口をたたいて出てきた手前、売れませんでした?なんて帰ることはできないので、精一杯がんばるのみでした。
元々の目的は、「伊丹十三記念館」や「十三饅頭」をひとりでも多くの方に知っていただくという事で始めたのですが、意外と知られていない事にびっくりとがっかりでした。
「じゅうぞう饅頭」の事を「じゅうさん饅頭」と読み間違える方が多く、「伊丹十三の十三ですよ」というと、「へえ?そんなのあるの??」「あ?なんか聞いた事はあるけど、どこにあるのか知らんのよ?」という会話を何度もしました。
知られていないという事もあり、はじめの方は見向きもされず、みなさん一六さんの酒まんじゅうや縁起どらやき、椿もちへまっしぐらでした。だんだん慣れてきて、声をだしてアピールしている内に、あれよあれよと売れはじめ、2時すぎには用意していた100箱完売でした。「やった?!目標達成!」と宮本館長、館長代行玉置さん、記念館のメンバーに連絡を入れ、初日終了です。
2日目、3日目ともなると更に声だしも慣れてきて、初日よりも早い時間に売り切れとなりました。記念館までわざわざ買いにきて下さったお客様もいらっしゃりご迷惑をおかけ致しましたが、なんとも爽快な気分でした。
帰りに朝から気になっていた、蒸したての酒まんじゅうを買って記念館のスタッフのお土産にしました。あったかくてとてもおいしかったです。これは並んでまで買うな?と納得のおいしさでした。
多くの方が、「一六さんだったら間違いない」とか「毎年椿さんの帰りに一六のお菓子を買うのを楽しみにしとるんよ」などと言っているのを聞いて、信頼と期待の強さを感じました。伊丹十三記念館はまだまだ生まれたばかりの記念館ですが、小さなことからコツコツと真面目にお客様からの信頼を積み重ねていけたらと思いました。
3日間良い経験をさせていただきました。POPの作成やあたたかい言葉をかけて下さった一六のみなさま、そして何より十三饅頭をお買い求め下さったみなさま、本当にありがとうございました。この場を借りましてお礼申しあげます。
ちなみに平成24年の椿まつりは、1月29日(日)30日(月)31日(火)の3日間、平成25年は、2月16日(土)17日(日)18日(月)の3日間となっております。
スタッフ:木山
2011.02.14 記事掲載のおしらせ
暖かくなりかけては寒さの戻ってくる季節ですが、今年もまた旧暦正月8日に「伊予路に春を呼ぶまつり」といわれている椿まつりが伊豫豆比古命(いよずひこのみこと)神社で開かれました。多くの参拝客で賑わうこのお祭りの3日間は、参道に800もの露店が立ち並びます。一六本舗さんの露店に我らが十三饅頭も参加させていただきました。このときのレポートは次回以降の当番のスタッフが書かせていただくようですので、お楽しみに。
さて今回は企画展の「告知の告知」でございます—
現在、地元紙・愛媛新聞の芸能面に、企画展の記事を寄稿させていただいております。「父と子」展の展示品を紹介する全3回の連載で、第1回は2月7日(月)、第2回は2月13日(日)に掲載していただきました。最終回の第3回は2月21日(月)に掲載の予定です。
取り上げたい展示品はたくさんありましたが、字数の制約を考えるとご紹介できるのは各回1点。涙を呑んで3点にしぼらなければなりません。800字程度の字数に収めるのにも四苦八苦。厳しい字数制限のある原稿は書いたことがなかったような気がします。
ああでもないこうでもないと書いては消し、消しては書く日々が、私の2011年の幕開けでございました。(それでも毎回字数を超過した原稿を担当の方に送りつけてしまいましたが・・・。)第1回の分はかなり早めに着手したのに、第2回からはギリギリに・・・!なぜ?!?
うまく凝縮して送り出せましたかどうか—心配ではございますが、愛媛新聞をご購読なさっているみなさま、ぜひご一読くださいませ。連載が終了いたしましたらホームページでもご報告いたします。
いやぁ、ウェブはいいですね、字数制限がなくて!この開放感!私の半生でも綴ってみようかと思ってしまうほどですが、いつも「長けりゃいいってもんじゃないと思うのよね」と記念館の某ファン(某学芸員の母)から忠告されていますので、この辺でよしておきます・・・
話は戻りますが、松山市民のならいとて、椿まつりの中日の晩、私もお参りしてきました。「べんきょうがうまくなりますように」など、少年(推定)の切実で微笑ましい願いごとが書かれた絵馬を眺めつつ本殿へ。願いはもちろん商売繁昌!あれ?願いごとって、人に言ったら叶わなくなるんでしたっけ・・・?でも、誰だって繁昌したいですよねぇ。繁昌しましょう!
写真上:中日の晩、「ヨイヨイ!」の掛け声とともに宮入りするお神輿 / 写真下:一六本舗さんの椿まつり限定商品「椿餅」(川又さんごちそうさまでした)
2011.02.07 冬の過ごし方
記念館だよりをご覧のみなさま、こんにちは!さむ?い冬が苦手な木山です。
みなさんは、寒い冬をいかがお過ごしですか?
以前、記念館だよりにも書きましたが、私は昨年は7月までヒーターを使っていたほど寒がりで、この季節は寒すぎてあちこちが痛くなります。
冷え性でくつ下なしでは寝られず、重ね着しすぎて肩はこるし、腰痛もひどく、もう大変です(泣)
毎朝、ふとんから出るのが辛く、まず2歳の娘に「ピっ、してきて」とヒーターのスイッチを入れに行かせます(ごめんなさい。。。) お仕事をもらった娘は「あいっ!」と元気よくふとんから出ていきます。
そして部屋があたたまったところで、やっとふとんから出て、弁当作りを始めます。
寒すぎてヒーターの前で暖まっていると、「早くお弁当作ってきて?」と娘に私の指定席を横取りされます。そして、絵本を読みながら、ホットミルクやジュースを飲んで、満足そうに微笑みかけてきます。
悔しいですが、その笑顔を見ると「よし、がんばるか!」とエンジンがかかります。
こんな寒がりの私ですが、雪の降る寒さは耐える事ができて、うれしくてテンションが上がります。
雪のめずらしい地域で育ったせいでしょうか、雪を見るだけでワクワクします。
病は気からとよく言いますが、寒さも気の持ちようで感じなくなるのでしょうか。
先日は松山でも雪が降り、カフェから眺める中庭がまた素敵な景色でした。
中庭にそびえ立っている桂の木は、寒いところに多いらしく、雪との相性もバッチリ!カフェでお茶をしていたお客様も、「わぁ、きれ?い」とたくさん写真を撮っておられました。
企画展示室もリニューアルしていますし、ぜひ冬の記念館にいらしてください。
現在の企画展「父と子ー伊丹十三が語る父・伊丹万作の人と芸術ー」は、心がほっこりあったかくなります。
展示替え作業が終了し、スタッフ全員で最終チェックをしている最中、感動して涙が止まらなかった事を思い出します。
子を持つ親になったからこそ生まれる感情とか、当時の万作さんの思いを考えると涙なしでは見られませんでした。あまり言うと楽しみがなくなりますので、ぜひこの寒い冬、心をほっこり暖めにいらしてください。
P.S 毎年、この時期になるとお知らせしておりますが、今年も椿まつりの季節となりました。今年は2/9(水)10(木)11(金)の3日間となっております。今回はなんと、十三饅頭も出張販売する予定でございます。ぜひこの機会にお買い求めくださいませ。
スタッフ:木山
2011.01.31 伊丹万作関連商品の発売が開始されました。
記念館だよりをご覧の皆さまこんにちは。
昨年12月より記念館にて開始された新しい企画展「父と子?伊丹十三が語る父・伊丹万作の人と芸術」は、ご来館の皆さまから大変ご好評を頂いております。それに伴いこの度新しくグッズショップにて伊丹万作関連の商品が発売開始されました。
「万作と草田男—『楽天』の絆」(2,000円税込)です。この本は、2008年秋に愛媛県上浮穴郡久万高原町の町立久万美術館にて開催された企画展の展覧会図録です。久万美術館の開館20周年を記念したこの企画展に出品された作品および資料データと図版を整理したものです。
「万作」とはもちろん伊丹万作、「草田男」とは松山出身の俳人中村草田男のことです。「『楽天』の絆」の楽天とは、旧制松山中学で伊丹万作はじめ中村草田男、伊藤大輔などが集まり作成した回覧雑誌のことです。この楽天のメンバーはお互いに親密な関係で結ばれていました。記念館の企画展示室にも中村草田男からの万作の夫人にあてた書簡などが展示されています。
その中でも中村草田男と記念館と言えば、常設展示室の中でもひときわ目を引く「野菜の絵」が挙げられます。この「野菜の絵」は伊丹十三が小学校一年生の時に描いた絵なのですが、大変上手に描かれていて、見る方はみなさん驚かれます。長年草田男のお宅で大切に保管されていたものであるそうです。
"伊丹万作の子供である伊丹十三の描いた絵を中村草田男が保管していた"—このあたりからも万作と草田男の関係の深さが感じ取れるようです。
更にその絵がどのような経緯で記念館の常設展示室に展示されることになったのか、といった点も草田男の三女でお茶の水女子大学教授でいらっしゃる中村弓子先生がこの図録の中で詳しく教えてくださっています。
ちなみに、私も2008年秋この企画展を観に久万美術館に伺いました。
その日は伊丹万作の監督作品「國士無双」(1932年)の上映が行なわれていました。ご年配の方が多かったのですが、主役の片岡千恵蔵が画面に現れた途端、みなさん「千恵蔵!」「千恵蔵!」と大盛り上がりでした。今観ても大変面白く、笑えて、片岡千恵蔵演じる主人公のトボケぶりに完全に引き込まれてしまいました。
書簡をみては仲間たちの友情に感動し、映画をみては笑い、と大変内容の濃い見ごたえのある素晴らしい企画展示でした。
この大変素晴らしい企画展示をお見逃しになった方!ご安心下さい!この図録には企画展の雰囲気がそのままぎっしり詰まっています!ハードカバーで、カラーページも多くとても品質の良い本です。
万作の油彩画をはじめ、挿絵、映画資料、草田男の俳句、書簡など、実にさまざまな資料が載っています。ちなみに伊丹十三も生前大変気に入っていたという伊丹万作の油彩画『櫻狩り』(久万美術館所蔵)もカラーページで掲載されています。
記念館ショップとオンラインショップにて取り扱っています。いかがでしょうか。
※『万作と草田男—「楽天」の絆』をご購入希望の方は こちら
※町立久万美術館のHPは こちら
スタッフ:川又
2011.01.24 ある晴れた日に
こんにちは、今年初めての記念館だよりの出番が回ってまいりました多胡です。
改めましてみなさま明けましておめでとうございます。
さて先週のお天気のいいある日、記念館の建物を設計なさった建築家の中村好文さんがご来館下さいました。お仕事で四国へお越しになったそうでその足で新しい企画展「父と子--伊丹十三が語る父・伊丹万作の人と仕事--」を観に来てくださいました。お天気はよいけれどもまだまだ冷え込みは厳しい日でしたので黒のダッフルコートに黒いズボン、深いオレンジ色のマフラーを巻いておみえになりました。お忙しい中のご来館にもかかわらず企画展をじっくりご覧になり受付ロビーに出てこられにっこり。「万作展ね、よかったヨ」とおっしゃいました。「中村さん、お写真を!」と申し上げましたら「いやぁ、はずかしいからサ」とおっしゃいました。企画展を観に来てくださっているのですものね、改めて「そりゃそうだ」と思いました。
記念館HPや記念館だよりを初めてご覧になる方にちょっとご紹介すると中村好文さんは普段は東京で住宅設計のお仕事をしておられ20代の頃から伊丹エッセイの熱烈なファンで、ご自身が造られた"イタミスト"という言葉でその心意気を表現していらっしゃいます。
ここ伊丹十三記念館は「ご来館くださったお客さまが『伊丹さんの家』に遊びに来たみたい!と感じてもらいたい」という宮本館長の強い願いをもとに建てられています。わたくしたちスタッフも足を運んでいただいたお客さまに楽しい時間を過ごしていただけるようあたたかい心もちでお迎えするよう日々工夫して仕事しているところです。そして日々仕事をしつつ過ごしていて私が感じるのはこの建物がここで過ごす人のことを考え建てられている、設計した人の心遣いが随所に感じられるということです。でもそれは声高ではなく「こういう器をつくったからネ、あなたたち ここからは自由に工夫して居ごごちよくおやりなさいよ」というふわ?っとあたたかく取り巻くメッセージと言いますか、そういうものを感じます。
例えばカフェにある厨房スペースやグッズの在庫収納スペース、事務に使っている机や戸棚、外観からも見える4つのちいさな窓など・・・日々仕事してゆくのに必要なところに必要なものが丁度いいところにあるという具合です。
ここに居ると日々「こんな風に過ごしたい」という思いを持って日々暮らすこととかその過ごす場所や環境(取り巻く人やもの)がとても大切であることを改めて感じます。これは長い時間暮らしてゆく「家」にも通じるものかもしれませんね。
今年も健康で楽しく仕事にプライベートにと1日1日大切に過ごしたいと思っています。みなさま、どうぞよろしくお願い申し上げます。
ほぼ日刊イトイ新聞の中に、中村好文さんが糸井重里さんと記念館を歩く記事があります。少し長いですがとても面白いので初めての方はこちらも是非ご覧になってみてくださいね。
http://www.1101.com/itami/nakamura/index.html
写真は上:記念館グッズ売り場にある陳列棚の収納引き出しを開いたところ。下:カフェ厨房。
担当:多胡
2011.01.17 昭和2年のお正月
え?、2011年も残すところ24分の23となりました。ナンチャッテ。いえ、冗談ではなく残りの「23」もあっという間でしょうね。一年の計は元旦にあり、などと言いますが、みなさんは今年の計画・目標はお立てになりましたか?(ワタクシは立てていませんが・・・)新年を迎えた清々しい気分で決意を日記につづったりなさったでしょうか。(ワタクシは日記をつけませんが・・・)
今から84年前、昭和2年のお正月にこんな日記をしたためた青年がありました。
今年はいかな年で有らふ。
どんな事が起り、どんな運命が俟つて居るのか。
自分ももふ廿八(28)に成つた。
丗(30)と言へば大変先きの事の様に思つて居たが
つい目の先きへ来て仕舞つた。
丗までには相当の仕事を支度(した)いと望んで居たが
何事も出来ないですんで仕舞い相だ。
丗に恥しい。
併し後悔は馬鹿々々しい。是から後を出来る丈やる他は無い。
本日は御正月也。
大人になりきる一歩手前で迷っている、そんな青年らしさにみちた日記ですね。
日記の主は池内義豊(よしとよ)。
後の伊丹万作、すなわち伊丹十三のお父さんです。
この日記を書いた2ヶ月前の大正15年11月、東京で食い詰めた義豊は、郷里の松山に帰り、繁華街である三番町におでん屋・瓢太郎(ひょうたろう)を仲間と開店したばかりでした。
このおでん屋、初めのうちは繁盛したそうですが、年が明けて昭和2年には次第に経営が悪化(材料に凝ってお金をかけすぎたため、などと言われております)、夏には閉店。義豊は大借金を抱え、友人宅で居候生活を送ることになります。
「丗までには相当の仕事を支度い」、「丗に恥しい」。そんな思いで生きていた義豊青年にとって、浪々の日々がどんなにつらいものであったかは察するに余りありますが、「是から後を出来る丈やる他は無い!」ととにもかくにも行動した彼、松山中学の同級生・伊藤大輔を頼って上洛、映画監督となって活躍していた伊藤の紹介で映画界に身を投じることになったのでありました—
つまり、彼がその年頭にこの日記を書いた昭和2年は、まさしく運命の年であったのです。
映画監督・脚本家「伊丹万作」となってからの彼の活躍は多くの方の知る通り。
『花火』、『國士無双』、『赤西蠣太』などを監督して風刺の効いた知的な時代劇で映画界に新風を吹き込み、さらには『無法松の一生』、『手をつなぐ子等』といった名作シナリオ、「戦争責任者の問題」など数々の名文も残しました。
池内義豊がどんな青春時代を過ごし、どのようにして伊丹万作となって活躍したか、そして、父として芸術家としての伊丹万作を伊丹十三がどのように捉えていたかを紹介している企画展、ただ今開催中でございます。
ぜひご覧くださいませ。
さて、今年はどんな年になるでしょう。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
写真上:わが故郷のお雑煮です。モチは四角く心は丸く。(ちょっと食べてしまった後です、スミマセン) / 写真下:日記帳展示中です。
2011.01.10 館長出勤
記念館だよりをご覧のみなさま、こんにちは!木山です。
1月9日(日)、10日(月)と2日間、館長・宮本信子が新年初出勤致しました。
昨年は、ドラマ「続・遠野物語」や、4月公開予定の「阪急電車」の撮影などで、忙しくされていた館長ですが、いつも記念館のことは気にかけて下さっています。私達は毎日、1日の様子を閉館後に報告するようにしております。
館長も今回の来館をとても楽しみにしておりました。私のつたない言葉で伝えるより、様子を見ていただこうと思い今回は写真だよりにさせていただきます。
たくさんのお客様がご来館くださいましたが、本人曰くそそっかしい館長は、年明けに転んで右手を打撲して、サインや握手ができませんでした。
館長の右手は軽い怪我ですぐ治りますので、ご心配なく!
スタッフ:木山
2011.01.03 記念館オンラインショップのご紹介
記念館便りをご覧の皆様あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。
さて、このごろ私は買い物をもっぱらインターネットを利用して済ませることが多くなりました。洋服からはじまり歯ブラシ、洗剤といった日用品までありとあらゆるものを購入しています。なぜならば便利だからです。自分で買いに行けばいいものも確かにありはしますが、便利さに負けてしまっています。
さて、みなさんはインターネットでお買い物をしますか?
記念館のホームページにも、オンラインショップがあります。
伊丹十三記念館で販売しているものの多くは記念館での限定販売の品が多く、松山までご来館できない多くの方々にご利用いただいております。
ところでみなさんは、通販などで買い物をしたとき、買った商品以外に、広告やプレゼントなどが入っているとテンションが上りませんか?
私はなんとも自分勝手ながら自分の買ったものと納品書しか入っていないと、「なんかもうちょっと面白いものも同封してほしかったな?」とついつい思ってしまいます。
その点、記念館のオンラインショップからお届けする荷物にはささやかではありますが、みなさまに少しでも喜んでいただけるように同封しているものがいくつかあります。
まず、記念館のリーフレットです。このリーフレットは記念館を建築してくださった建築家・中村好文さんの描いたイラストを主役にして作成されており、中村さんのファンの方や、ご来館の皆様から大変ご好評を頂いております。洒落ていてなおかつ遊び心があります。見開きになっており、記念館の見取り図が描かれています。
他には館長・宮本信子からオンラインショップをご利用くださった方に感謝の気持を込めたメッセージカードをお送りしています。
なおかつ現在は伊丹十三のイラストと記念館のロゴを使って作ったシール(6cm×6cm)15枚をプレゼントしております。
なお、商品はお支払い方法がカード払いか商品代引きでご注文いただきましたら、基本的には昼の2時頃まででしたらその日のうちに発送しています。(休館日の火曜日のご注文は翌日の発送となります。)お送りする商品は基本的に私が選んでいます。「自分が買うならどれにするか」という気持で責任を持って選んでいます。販売している商品なのでどれも同じきちんとした製品ではありますが、ご注文いただいた方は選ぶことができませんから、「なんとなく特別良いような感じのするもの」を選んでいます。その後、選んだ品に漏れや不具合がないよう、他のスタッフが確認をしてから封をし、発送しています。
ちなみに人気商品のトップ3はDVD「13の顔を持つ男」「伊丹十三記念館ガイドブック」「十三饅頭」の3点となっております。
伊丹十三や伊丹十三記念館に興味があるけれど松山まで行くのはちょっとすぐにはできそうもない・・・という皆様、記念館のオンラインショップを是非ご利用ください。
記念館スタッフが心を込めて、さきほどご案内したささやかな品々と共にお送り致します。
スタッフ:川又
2011.01.02 館長・宮本信子から新年のごあいさつ
今年もよろしくお願い致します!
企画展示が新しくなりました。
テーマは「父と子」
伊丹万作と十三です。
二人の自筆の文字を較べるだけでもおもしろいです!
また、見て楽しい品もございます。
この記念館しか出来ない展示です。
是非遊びにいらして下さいませ。
スタッフ一同お待ちしております。
館長:宮本信子