ッセイストであり映画監督であった伊丹十三は、私生活でも、表現活動においても、人間の根幹を支える「食」に深い関心を持ち続けた人でした。
若い頃から好みの器を揃え、吟味した台所道具を使い、家族はもちろん、友人や来客にも、和、洋、中、と料理の腕をふるった伊丹十三は、具体的には「食べること、呑むこと、作ること」を、どのようにして楽しんできたのでしょうか──
愛用の器や皿、酒器、カトラリー、台所道具などをご覧いただきながら、この稀代のエッセイスト・映画監督が追い求めた「おいしさ」の舞台裏をたっぷりと探る初の展覧会です。
1973年、子育てのために転居した神奈川県湯河原の自宅(映画『お葬式』の舞台)で使われていたオーブン付きガスコンロや、冷蔵庫も実物が展示されています。食に関する著書の原稿や食エッセイの挿絵は、伊丹十三の息遣いが感じられるよう直筆のものを展示、じっくりご覧いただけます。そして、スペシャル動画の3本立て!
伊丹十三記念館を設計した伊丹ファン歴50年超の建築家・中村好文氏、伊丹エッセイの文庫の復刊や単行本未収録エッセイの刊行などを担当した編集者・作家の松家仁之氏が共同で企画構成を手がけてくださった満腹必至(空腹必至?)の企画展、ぜひお楽しみください。
食べたり、
「スパゲッティは炒めうどんではない」「温かい料理は温めた皿に」「食べる道具で世界一高級なのは杉箸」「我が国特有のサンドウィッチはカツパン」……海外と日本の食文化を鋭い視点で比較しながらもユーモアに富むエッセイを数多く綴った伊丹十三。使い込まれた骨董や工芸品、外国製の皿、カトラリーなどから、彼の日常の食生活が垣間見られるコーナーです。 |
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呑んだり、
欧州滞在記でワインやカクテルの楽しみ方を紹介し、『洋酒マメ天国』第24巻を担当、ウィスキーのTVコマーシャルに出演。洋酒派のイメージが強い伊丹十三ですが、次第に焼酎や日本酒も愛好するようになり、その旨さを著書や広告で大いに広めました。 |
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作ったり。
「料理書の通りやればその通りのものができる」という信念はいかにも伊丹十三的。その一方、「代用品でも同じように美味しくできるならOK!」という柔軟性も持ち合わせていました。鍋・フライパン・各種調理道具類には、プロ仕様のものも、ありふれたものも――曰く「料理をする場合、一番大切なのは舌である」。 |
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直筆原画・原稿コーナー
食エッセイの挿画の原画。漫画調のコミカルなイラストあり、写実的な鉛筆画あり。描かれた器や酒器の実物が展示のどこかに並んでいます、探してみてください。 |
スペシャル映像コーナー
「フランス料理に挑戦!」スライドショー (写真提供:文藝春秋) |
併設小企画
伊丹十三の父、伊丹万作(本名・池内義豊)もまた、有名な映画監督にして脚本家、文筆家でありました。伊丹十三は形見の品を大切に保管し、父が終生愛した松山に記念館を設立しようと計画していました。その予定地だった場所に、現在当館が建っています。 |
芭蕉俳句の手描きかるた |
伊丹万作関連の展示品
直筆シナリオ / 日記 / 写真資料 / 挿絵画家時代の仕事 / 油彩 / 年表 など
伊丹万作についてはこちらのページもぜひご覧ください
記念館の展示・建物