記念館の展示・建物 ― 常設展
展示(6)「イラストレーター」
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「イラストレーター」池内岳彦くんの小学校1年生のときの絵を思い出してください。伊丹十三の絵の才能は年を経るにしたがって、さらに磨きがかかりました。伊丹エッセイのもうひとつの大きな魅力は、文章にそえられた本人によるイラストレーション。『女たちよ!』には少しデフォルメされたユーモラスな線画が、『再び女たちよ!』には鉛筆による緻密なデッサンが、文章と響き会うように描かれて、本の魅力を二重のものにしていました。
 文藝春秋の人気雑誌『漫画読本』の車内吊りポスターに描かれた伊丹十三のイラストレーションは、1970年に急死した伝説のイラストレーター伊坂芳太良(通称Pero)にも影響を与えた、と言われています(その絵の一部は『ヨーロッパ退屈日記』にも収録されています)。
 ところが、そんなイラストレーションの多くは、画用紙やスケッチブックではなく、原稿用紙を裏返して、そこに濃い鉛筆を使って描かれていたのでした。

「新しい理髪師」

 「仕方なく、私は大きな魚が白いエプロンをして理髪店の椅子にかけている絵を描いてやった。魚は小さな目で天井のほうを見ている。あるいはうたた寝をしているのかも知れぬ。そうして手前のほうには白い上っ張りを着て、鼻のまわりが妙に黒い、顔の長い猫が革砥で剃刀をといでいるのだ」(『女たちよ!』より)

「新しい理髪師」
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「二日酔の虫」

 「二日酔いというのはどうにもならんものでね、実に七転八倒の苦しみである。しかもよく考えてみると、しかとどこが痛いというのでもない。脳や内臓が発酵しはじめたような、躰が内側から腐れてゆくような、ゆえ知れぬ不快感であるとしかいいようがない」(『女たちよ!』より)

「二日酔の虫」
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