設展示でご覧いただいたような長い長い助走期間を経て、伊丹十三は、いよいよ映画監督としての第一歩を踏み出しました。そして、その記念すべき第一作が「お葬式」です。
俳優としてだけでなく、映画に対する卓越した批評眼も備えていた伊丹十三は、映画を知り尽くしていたはずですが、いざ監督をするとなると、「作るべき映画の姿が見えず、スタッフやキャストに十分なイメージを示しえないのではないかとそれが不安であった」と『「お葬式」日記』のなかで述懐しています。
あらゆることに完璧主義だった伊丹十三は、シナリオを入念に準備し、全てのカットの絵コンテを用意して本格的に映画製作に臨みました。ところが、いざ取りかかってみると、そこは伊丹十三、たちまちにして伊丹流ともいうべき映画作りの独自のスタイルが生まれました。
開館を記念する特別記念展では、その伊丹流の映画作りの舞台裏をご覧いただくとともに、その熱気を肌で存分に感じて頂くことを念頭に置き、展示作りを行いました。
キャスティングの妙
2008年4月23日にリニューアルされたコーナーでは、伊丹作品の特徴でもある「キャスティング」を中心に取り上げていました。 |
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手書きの絵コンテ
クランクイン前、小田急で蔵原惟繕監督に会った際に「一度初めから終わりまで全部絵を描いてみたほうがいい」という忠告を受けた伊丹十三は、全てのカットを絵コンテに起こしました。その数なんと300枚以上! |
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湯河原・伊丹邸を再現
映画『お葬式』の撮影は、湯河原の伊丹邸で行われました。近所に一般の旅館や民家などがある関係から、深夜の撮影には大変気を使いました。 |
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記念館の展示・建物