記念館の展示・建物 ― 常設展
展示(7)「料理通」
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「料理通」伊丹エッセイを語るときによく登場する話題は、『女たちよ!』の冒頭に収録されている「スパゲッティのおいしい召し上り方」でしょう。スパゲッティの理想の茹で加減を「アル・デンテ」という言葉で私たち日本人に伝えたのは、おそらく伊丹十三が初めてだったのではないでしょうか。英国式「キューカンバー・サンドウィッチ」にしても、オムレツにしても、それぞれの料理を素材にしたエッセイを読み終わると、つい台所に立ちたくなってしまうのが伊丹エッセイのもうひとつの魅力でした。
 鰻や寿司、鯛飯……などをおいしく食べさせてくれる店についても、「ああ、それをその店でぜひ食べてみたい」と思わずにはいられない、臨場感溢れる書き方で、私たちの空腹を刺激しました。
 料理に本格的に取り組んだのは、「文藝春秋」でのカラー連載「フランス料理を私と」でした。精神分析家、エッセイスト、文化人類学者などの自邸を訪ねて、その家のキッチンを借りてフランス料理に挑戦し、完成した料理を一緒に食べながら、伊丹十三の知的好奇心を軸としたテーマで対談をする、という極めてハイブラウな企画でした。
 そうそう、ちょっとチープな「カツパン」の魅力を一度ならず書いていたのも、伊丹さんらしいところでしたね。

数々の料理本

 料亭「辻留」の料理指導本。宮本信子は結婚当初、「この通りにご飯を作ってください」と辻留の料理本を何冊も手渡され、大変な人と結婚したものだと驚いたとのこと。
 このほかにも、イタリア料理、フランス料理、中華料理、沖縄料理など、様々な料理本を購入し、レパートリーを増やしていました。

数々の料理本

新婚旅行の思い出

 京都「たる源」のちろりとお猪口。京都に宮本信子と新婚旅行に出かけた際に買い求めたもの。
 雑誌の「京都で伊丹十三夫妻が買い物をする」という企画に乗った形で新婚旅行に出かけ、様々な食器を買い求めたそうです。

新婚旅行の思い出