記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2018.10.15 第10回伊丹十三賞 受賞記念 磯田道史氏講演会 開催決定!

松山は徐々に秋らしさが増してきました。記念館中庭の桂の樹も、少しずつ色づきはじめています。

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さて、すでに告知・募集を開始しておりますのでご存知の方もいらっしゃることと存じますが、「第10回伊丹十三賞 受賞記念 磯田道史氏講演会」の開催が決定いたしました!

2008年秋に創設いたしました「伊丹十三賞」は、毎年春に受賞者を発表しています。
今年の受賞者は、歴史家・国際日本文化研究センター准教授の磯田道史さん。贈呈式は5月に東京で開催いたしましたが、受賞記念イベントとして、磯田さんによる講演会を12月3日(月)に松山で開催いたします。

<講演会概要>--------

「第10回伊丹十三賞 受賞記念 磯田道史氏 講演会」
日程:2018年12月3日(月)
時間:18時30分開演(18時開場)
会場:松山市立子規記念博物館 4階講堂
テーマ:「松山と私、伊丹十三と私」
参加料:無料【事前応募制・応募者多数のため抽選・応募締切11月5日(月)必着】
主催:伊丹十三記念館

※応募方法等の詳細はコチラ

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20181015_02.jpgphoto:Masanori Ikeda
磯田道史さん

早いもので伊丹十三賞も今年で10回目。受賞者発表後、お客様から「今年は受賞記念イベントの開催はありますか?」といったお問い合わせをいただくようにもなりました。
楽しみにお待ちいただいている皆様に講演会開催のお知らせをお届けできますことを、関係者一同、大変うれしく存じております。

磯田さんといいますと、映画化された『武士の家計簿』(新潮新書)など多数の著書や、テレビ番組『英雄たちの選択』(NHK BSプレミアム)へのご出演など、さまざまな媒体・表現方法で、歴史をわかりやすく、おもしろく、深く伝えてくださる方ですね。
伊丹十三賞贈呈式の受賞者スピーチの中で、磯田さんは、

" 私は歴史しかしていないようですけれども、媒体はテレビだったり活字だったり新聞であったり、また、狂言を書いて国立能楽堂で上演してみたり。「いろんなことをやる」というのが、非常に大事だと思っています "

とお話しになり、だからこそ、これまで多彩な活動をなさっている方々に贈られてきた伊丹十三賞を受賞することが嬉しいと語ってくださいました。
また、「小学生の頃、愛媛にある上黒岩岩陰遺跡に行きたいと親にねだったこと」や、「大学時代に歴史について調べる中で松山に足を運んだこと」など、スピーチ中に愛媛・松山にまつわるご自身のエピソードにも触れてくださいました。

そんな磯田さんの今回の講演会のテーマは、「松山と私、伊丹十三と私」。
松山について、伊丹十三について、どんなお話をしてくださるのか楽しみですね。
なお、会場は、道後にある松山市立子規記念博物館の4階講堂です。

応募締切は11月5日(月)。
既に定員400名を超えるご応募をいただいておりますので、抽選になります。当選なさった方には、11月中旬以降に参加証をお送りさせていただきます(落選の方にはお知らせいたしませんので、ご了承ください)。

皆さまのご応募を、お待ちしております!

スタッフ : 淺野

2018.10.08 橋本忍さんと伊丹万作

7月、橋本忍さんがご逝去されました。

幼少の頃、脚本家や監督を意識して見るほどの年齢でもなく、テレビの映画番組を茶の間で眺めていたような頃から、橋本さんのシナリオから生まれた映画にはビックリさせられてきました。「そうだったのか!」「そうきたか!」と。

 
日本映画界を支えた名脚本家としての業績の数々を伝えるご訃報に接して、『羅生門』『生きる』『七人の侍』『切腹』『上意討ち』『砂の器』『八甲田山』『八つ墓村』などなど、息を詰めて夢中で見たこと、二度目にも三度目にもワクワクしながら見たことが思い出されました。 それらの作品を「また見たいなぁ」と思いながら、どれから見るかを決めてしまうのが何となくためらわれて、結局、追悼鑑賞はまだできずにいます。  


映画はこれと決められないけど、本ならば少しずつ読んでもいいし、と『複眼の映像 ――私と黒澤明』(単行本 2006 年文藝春秋 / 文庫本 2010 年文春文庫)を久しぶりに手に取りました。黒澤明監督との共作の回想を中心とした、橋本さんの自伝です。

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この自伝がまた、シナリオに負けず劣らず「そうだったのか!」「そうきたか!」の連続で、読み返してみてあらためて引き込まれました。初めて読んだときに比べて映画に関する自分の知識がいくぶん増えたからか、驚きが倍増した感さえあります。

 
ご逝去のニュースや記事でも多くふれられていたとおり、デビュー前の橋本さんには、会社勤めをしながら伊丹万作に師事した修行時代がありました。「伊丹万作ただ一人の脚本の弟子」とも言われています。  


『複眼の映像』は、脚本家を夢見たこともなかった肺病の青年が伊丹万作に師事することになったのはなぜか、というお話から始まって、万作の遺訓を受けて初めて取り組んだ原作もののシナリオ、それが黒澤明の目に留まることになった経緯、『羅生門』を上手く書き上げられなかった悔恨、『生きる』からの本格的な共同執筆――と、序盤からすごい展開が続くのですが、構想の時、失敗してしまった時、次の仕事にかかる時、伊丹万作の教えを思い返し、その意味に気付いた、という記述が何度も出てきます。  


読み進めていくと、橋本さんが「あの言葉はそういうことだったのか!」とハッとするのと、「こんなふうに成長しながら書いていった作品だったのか!」と自分が深々と納得するのが重なって、精巧なサスペンスの謎解きにくぎづけになっているかのような気持ちになりました。   


mansaku_essayshu.jpg伊丹万作のシナリオ論は、伊丹万作全集のほか
伊丹万作エッセイ集』 (ちくま学芸文庫)でも
お読みいただけます。
 

橋本さんは、ご著書だけでなく、インタビューなどのお話でも、師である伊丹万作について語り続けてくださいました。今、伊丹万作の名と作品が多くの人の記憶に残っていることに橋本さんのおかげの大きさを感じるとともに、万作を語るたびに、弟子である橋本さんのことも語りついでいきたいと思っています。

 
亡くなる直前まで旺盛に執筆を続けていらっしゃったとのことで、もう橋本さんの新しい作品に出会えないことは残念でなりませんが、伊丹万作の教えを大切に、たくさんの映画人との仕事で素晴らしい作品を残してくださったことへのお礼を、何よりもお伝えしたいと思います。ありがとうございました。  

学芸員:中野

2018.10.01 おすすめメニュー

記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
つい最近まで暑い暑いと連呼していましたが、特に朝晩は、涼しいを通り越して寒いと感じる程になってきました。季節の変わり目ですので、体調等崩されませんようご自愛くださいね。

さて、ここ記念館併設のカフェ・タンポポでは、「おすすめメニューは何ですか?」と聞かれることがよくあります。

期間限定メニューもありますのでご来館の時期などによっておすすめは異なりますが、これからいらっしゃるお客様には、やはり体が温まるメニューがおすすめです。

ご注文いただいてから豆を挽いて淹れるホットコーヒーは一番人気ですが、特に初めて来館されたお客様には、宮本館長こだわりの十三饅頭(記念館限定品!)と温かい飲み物がセットになった「しょうが湯&十三饅頭」や「梅こぶ茶&十三饅頭」が人気です。
中でもしょうが湯は記念館オリジナルの生姜シロップを使っていて、体のなかからじわじわ温まると大変ご好評をいただいています。これからの寒い時期には特におすすめです!

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しょうが湯&十三饅頭

同じ生姜シロップを使ったしょうが紅茶、ソイジンジャー(豆乳しょうが)もありますので、こちらもぜひお試しください。ぽかぽか温まりますよ!

十三饅頭以外に召し上がっていただけるメニューとしては小さめサイズのケーキ類をご用意しています。
記念館の建物の形を模したチョコレートケーキ、デンマーク産のクリームチーズを使用したチーズケーキ、果物を使った季節のケーキの3種類で、季節のケーキは時季により変わります。今は"いちじくのタルト" をお出ししていますので、温かいお飲み物と一緒にどうぞ。

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いちじくのタルト

記念館にお越しの際はぜひ、カフェ・タンポポでぬくぬくとお寛ぎくださいね。

スタッフ:山岡


-----------記念館よりお知らせ-----------

第10回伊丹十三賞受賞記念イベントといたしまして、

磯田道史氏の講演会開催が決定いたしました!

10月5日(金)より参加者の募集を開始いたします。
日程・応募方法など詳細は10月5日(金)に専用ページを公開予定ですので、お楽しみに!

2018.09.24 映画プログラム

映画を観るときに、劇場でプログラムを買うことを楽しみにしている方も多いことと存じます。

プログラムを読むことで、その映画の背景や制作の裏話を知ることができたり、印象的なシーンの写真をじっくり眺めることができたり、何年か経ったあとに読み返すと映画を観たときのことを思い出すきっかけになったり、いろんな楽しみ方ができますよね。
充実した内容のプログラムを手にすると、映画をより楽しめるように思います。

ところで皆さま、伊丹映画のプログラムをご覧になったことはありますでしょうか?
映画と同じように、読み応えがあるんですよ。

たとえば、『タンポポ』のプログラムにはラーメンの作り方が載っていたり、『マルサの女』のプログラムにはマルサの仕事についてのメモがイラストつきで載っていたりと、楽しく読めます。

現在記念館では、「十三」の名前にちなんで毎月十三日の十三時から展示室モニターで伊丹映画を上映しているのですが(詳しくはコチラ)、次の上映日に流す映画のプログラムをスクラップブックにしてお読みいただけるようにしておりますので、ご来館の際にご覧になってみてください。


2018.0924_01.JPG作品ごとにスクラップブックにして、
次回上映作品のものを企画展示室に設置しております。

2018.0924_02.JPG企画展示室の出口近くの書見台にご用意しています。


現在は、10月13日(土)の展示上映作品『あげまん』のプログラムをご用意しています。プログラムの全ページをお読みいただけますので、ぜひどうぞ。

スタッフ : 淺野

2018.09.17 伊丹さんに驚かされること

先日、ご来館のお客様から「映画の特報に映画監督自身が出てくるってなかなか面白いですね!」とご感想をいただきました。

現在常設展示室において伊丹さん自身が出演する、伊丹映画の「特報」を流しており、それをご覧になられてのご感想です。

ちなみに特報とは、映画の完成前に劇場で流す告知映像のことです。


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【画像:「マルタイの女」の特報の一部】



伊丹映画の特報の多くは、伊丹さん自身が登場し、「こんにちは、伊丹十三です。今度の映画は~」などと自分の映画についての見どころを語りかける手法で撮られたものとなっています。

映画を観に行くと上映前にいろいろな映画の宣伝が流れますが、そんな中で突然スクリーン上に映画監督自身が登場して、自分の映画の見どころを説明し始める、と想像すると、なかなかシュールな光景ですよね。


この度お客様にご感想をいただき改めて「それにしても伊丹さん、画期的なことしていたのねえ・・・」と感心させられました。




さて、記念館のカフェには伊丹映画「タンポポ」の出演者のデッサン画が飾られているのですが、これらは伊丹さん自身が描いたものです。

実際に映画のポスターの原画として使用されたものなのですが、大変上手に描かれているのでポスターに使われたと聞いても特に驚かなかったのですが、こちらも改めて考えると「映画監督が描いた絵を映画のポスターに使う」というのは、あんまり聞いたことがない話ですよね。

伊丹さんの才能の前では一般的な常識が通用しないことがよくわかります。


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「伊丹さんはマルチな才能を持っていて、様々な方面でプロであった」ということをもう十分知っているはずなのに、時折このようにびっくりさせられることがあります。

ということは、伊丹十三記念館にご来館されたお客様には、もっと大きな驚きや発見があることと思います。

機会がありましたら是非、伊丹十三記念館に「伊丹さんに驚かされに」いらして下さいませ。お待ちしています。


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スタッフ:川又