記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2016.07.25 夏のご旅行に

夏のご旅行に、松山・道後を予定している方もいらっしゃることと存じます。
道後温泉およびその周辺エリアでは、2014年から毎年アートフェスティバルが開催されています。3年目となる今年は、「街歩き旅ノ介 道後温泉の巻 山口晃 道後アート2016」と題して画家・山口晃さんをメインアーティストに迎え、さまざまな作品を展開しているそうです(詳しくはコチラ)。

先日、ちょっと道後の街を歩いておりましたところ、商店街の店先で、こちらをみつけました。

map_2.JPG道後エトランゼマップ」という、山口晃さんが手がけた「私的"迷所"ガイド」で、一味違った道後の見どころが紹介されていました。この夏道後にいらっしゃる方は、お手に取ってみると楽しめるかもしれません。

もちろん、道後にはアートフェスティバル以外にも見どころがたくさんあります。
道後温泉本館の前にあり、四国名菓「一六タルト」などさまざまなお菓子を扱っている「一六本舗」もおすすめです。
こちら、おいしいお菓子の他にもご注目いただきたいことがあります。
道後温泉本館の前に一六本舗の店舗が2つ並んでいるのですが、そのひとつ「道後本館前店」は、記念館を手がけた中村好文さんによる建築なのです。


honkanmae_2.JPG左:道後本館前店    右:道後店

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道後温泉本館の目の前にあります


記念館にいらっしゃるお客様の中には、中村さんの建築を楽しみにお越しくださる方も多く、道後本館前店も中村さんによる建築であることをお伝えしますと、皆さま「それは見たい」とおっしゃいます。
道後本館前店2階のカフェ「一六茶寮」の一角には、伊丹十三記念館を紹介するスペースもございますので、道後にお越しの際に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。そして、記念館にも足を延ばしていただけましたら幸いです。

2F_cafe.JPG「一六茶寮」の記念館紹介スペース

スタッフ:淺野

2016.07.18 「十三日十三時」企画・第2回を開催いたしました!

7月13日(水)、「毎月十三日の十三時は記念館で伊丹十三の映画を観よう!」の第2回、『タンポポ』(1985年)の上映を開催いたしました。

当日の朝は「お出かけやーめた!」となりそうなほどの土砂降りで心配しましたが、徐々にお天気が回復して、昼前ごろからお集まりくださったお客様方と約2時間――

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私はすこし離れた後ろのほうにいましたのでお客様の表情は見えなかったのですが、ところどころでみなさんの頬っぺたがキュッと上がるのを拝見して、よきかなよきかな、と嬉しく思っておりました。『タンポポ』、楽しかったですね。

0713tampopo_sign.jpg0713tampopo_illust.jpgその他、館内にある"タンポポ"ゆかりのアレコレも
お楽しみいただけましたでしょうか~?

 

「好きな伊丹映画」として『タンポポ』を挙げてくださる方が特に多いのは、観客を強く惹きつけつつ、作者である伊丹十三自身が自由に創造できるように、テーマ設定(食べ物)・モチーフ選択(ラーメン)・シナリオの構成(西部劇を転用)のバランスが上手く練られているところにポイントがあるようです。

しっかりとした土台の上に、ラーメンをはじめとする食べ物、国内外の食文化、食と性、頑張る女と見守る男の恋物語、さまざまな要素が見事に"盛り付け"られていて、豪華でバラエティにとんだ配役も魅力的。まことにいろんな観方、楽しみ方のできる作品です。

「この映画を観たあとは、印象に残ったシーンやエピソードについて語り合ったら、誰とでも、いつまででも、話し続けられそうだなぁ」と改めて思いました。

さて、次回は1987年公開の『マルサの女』。8月13日(土)13時からです。

0813marusa.jpg金銭を通して日本人を描いた
女査察官と脱税者の物語です

 

9月14日(水)の『マルサの女2』(1988年)と併せて、スケジュール帳にぜひお控えください!

※この催しは、13日が休館日の火曜日にあたる場合には、翌日14日に振替開催となります。

学芸員:中野

2016.07.11 料理通

「伊丹さんを知ったきっかけ」について、ご来館のお客様からお話をうかがうことがあります。
たくさんの「顔」を持つ伊丹さんならではというか、そのきっかけも本当に多岐にわたっていて、お客様からは様々なキーワードが飛び出します。監督映画作品やエッセイをはじめ、俳優時代に演じた役や描いたイラスト、編集した雑誌や手掛けたテレビ番組......松山の方であれば一六タルトのCMなんていう方も。

つい先月には、「料理通」というところから伊丹さんに興味を持った、という男性がいらっしゃいました。
何気なく手に取った伊丹さんの著書『フランス料理を私と』(1987年)を読んだのがはじまりで、もともと料理好きだったお客様は読後すぐに伊丹さんに興味を持たれたそうです(『フランス料理を私と』は伊丹さんが本格的なフランス料理を作り、ゲストと一緒に食べながら対談している構成の本です。残念ながら今は絶版になっています)。
そこから、調理方法、調理器具の使い方、食材や食文化等々について書かれた伊丹さんのエッセイを読んだり、書かれている調理方法を実際に試したりしているうちに、料理に対する伊丹さんの考え方やこだわりに感銘を受け、料理もますます面白くなったのだそうです。

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【常設展示室より『フランス料理を私と』

さて、伊丹さんが料理通であることを、エッセイなどを通して既にご存知の方は多いですが、「記念館に来て、初めて知りました」というお声もたくさん耳にします。

『伊丹十三記念館ガイドブック』の「七 料理通」から、伊丹さんの「料理通」の顔を少しご紹介しますね。


    伊丹エッセイを語るときによく登場する話題は、『女たちよ!』の冒頭に収録されている「スパゲッティのおいしい召し上り方」でしょう。スパゲッティの理想の茹で加減を「アル・デンテ」という言葉で私たち日本人に伝えたのは、おそらく伊丹十三が初めてだったのではないでしょうか。英国式「キューカンバー・サンドウィッチ」にしても、オムレツにしても、それぞれの料理を素材にしたエッセイを読み終わると、つい台所に立ちたくなってしまうのが伊丹エッセイのもうひとつの魅力でした。
    鰻や寿司、鯛飯......などをおいしく食べさせてくれる店についても、「ああ、それをその店でぜひ食べてみたい」と思わずにはいられない、臨場感溢れる書き方で、私たちの空腹を刺激しました。
    料理に本格的に取り組んだのは、「文藝春秋」でのカラー連載「フランス料理を私と」でした。精神分析家、エッセイスト、文化人類学者などの自邸を訪ねて、その家のキッチンを借りてフランス料理に挑戦し、完成した料理を一緒に食べながら、伊丹十三の知的好奇心を軸としたテーマで対談をする、という極めてハイブラウな企画でした。
    そうそう、ちょっとチープな「カツパン」の魅力を一度ならず書いていたのも、伊丹さんらしいところでしたね。


料理の"流儀"についてもこんなふうに。

料理をしながら片づけよ


    伊丹十三が料理を始めたのは映画出演でロンドンに住んでいた頃。家主が無性の料理好きで御馳走してくれるのはいいが、料理したあとの台所は散らかり放題。ならば、「本当の料理人は常に片づけながら仕事をする、ということを見せてやろう」と、料理本を見ながらチキンカ レーを作ったところ上々の出来。しかも台所はスッキリ片付いている。この満足感に、以後、片づけながら料理をする――というのが伊丹料理の流儀となった。

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【『伊丹十三記念館ガイドブック』「七 料理通」】

 

いかがでしょうか。他にも、このガイドブックには伊丹さんの手料理を食べた方々のお話、伊丹さんの愛用していた料理道具や食器などが紹介されています。ご興味のある方はぜひ読んでみてください。料理という身近なものから、伊丹さんを知るきっかけになるかもしれません。


********* お知らせ *********

そんな「料理通」の顔を持っていた伊丹さんの監督作品の一つ、食べ物をテーマにした映画『タンポポ』(1985年公開)を、明後日7月「十三」日の「十三」時より常設展示室で上映いたします!

詳しくはコチラ

※記念館内のカフェ・タンポポでは、伊丹さん自身が描いた『タンポポ』登場人物の似顔絵やその絵をもとにして作られた映画ポスターが展示されています。また、企画展示では現在、この『タンポポ』のメイキング映像の短縮版をご覧いただけます。合わせてご鑑賞いただくとより映画も楽しめますので、お見逃しなく!

IMG_1533%20(300x200).jpg【カフェ・タンポポの展示】

スタッフ:山岡

2016.07.04 雨の日の記念館

松山は梅雨明けにはまだ少し時間がかかりそうですが、皆様がお住まいの地域はいかがでしょうか。

つい気が滅入ってしまう雨ですが、雨の日に記念館にいらしたお客様から、「中庭が綺麗ですね」とお声をかけていただくことがあり、ハッといたします。
桂の葉が雨に濡れて緑が鮮やかに見えるからでしょうか、確かに雨の降る中庭はとても美しく、趣があります。

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rain_1.JPGまた、「中庭にいると雨音が心地よくて、リラックスできました」とおっしゃる方もいらっしゃいます。記念館は交通量の多い国道から近いのですが、館の中にお入りいただきますと驚くほど静かで、車の音などは、ほとんど気になりません。雨の日は雨音が中庭に心地よく響きますので、展示の余韻にひたりつつ、自然にクールダウンできるのかもしれません。

あまりにも強い雨は困りますが、お客様から雨の日ならではのご感想を伺いますと、雨も悪くないなと感じます。


≪カフェ・タンポポからのおしらせ≫


毎年ご好評いただいております期間限定ドリンク「豆乳ブルーベリー」を、7月1日よりスタートいたしました。


soymilk_blue berry_2016.JPG豆乳のコクとさわやかなブルーベリーが絶妙にマッチした、夏にピッタリのドリンクです。ぜひご賞味くださいませ。

スタッフ:淺野

2016.06.27 常設展示室の映像資料追加企画 第1回ご報告

毎月十三日の十三時は記念館で伊丹十三の映画を観よう!」の第1回を、監督デビュー作『お葬式』にて開催いたしました。

1313ososhiki2.JPG作品情報・展示中の映画制作資料・関連書籍の紹介をまとめた
ミニ解説をお配りしました。次回の分も鋭意準備中です。

「上映会」というほどの立派な催しではなく、「日時限定で映像の展示が替わります」という試みなのですが、『お葬式』を目当てにお越しくださった方あり、そうと知らずのご来館で「ラッキ~」と喜んでくださった方あり。


普段は宮本館長のご挨拶映像と伊丹映画の特報セレクションを流しているスペースを利用した簡素な設備での実施にもかかわらず、みなさん最初から最後まで(スタッフ・キャストのクレジットがすべて流れ終わるまで!)、熱心にご鑑賞くださいました。

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伊丹十三が手塩にかけた「映画らしさ」=「スクリーン上に起こる事件」に目を見開いたり息を呑んだり、ところどころで笑っちゃったり、登場人物たちの何気ないひとことや死と葬儀をめぐるあれこれに「ウンウン」「分かる分かる」と頷いたり、そんなお客様方のご様子を拝見することができて、私たちスタッフもいい経験をさせていただきました。

「十三日十三時の伊丹映画」情報は、トップページのニュース欄に情報をお出ししておきますので、ご来館スケジュールをご検討中の方は参考になさってください。(↓赤で囲んだところです)

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お客様からいただいたご感想も、「みなさまの声」ページに掲載していきますね。(『お葬式』に関するご感想は7月8日(金)アップ予定です。)

DVDやブルーレイソフトで観ても愉快な伊丹映画ですが、他の方と一緒の空間で観ると違った視点に気付くことができたりして、楽しみが増し増しになります! 次回は『タンポポ』、7月13日(水)の13時からです。ぜひお越しくださいませ。

学芸員:中野

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お知らせ
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BSプレミアム「プレミアム・カフェ」で伊丹十三に関する番組がアンコール放送されます!

6月27日(月)午前9時~
6月28日(火)午前1時15分~ ≪27日深夜≫
 【1】ドキュメンタリー「よみがえる 伊丹十三~ヒットメーカーの知られざる素顔~」(2007年)
 【2】「きょうの料理 映画監督の食卓 伊丹十三の親子丼」(2001年)

※両日とも2番組続けての放送となります。
※2015年12月放送分のアンコール放送です。