記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2017.04.24 第9回 伊丹十三賞 贈呈式を開催いたしました

第9回伊丹十三賞を星野源さんにお贈りする贈呈式を、国際文化会館で開催いたしました。

00_9th.jpg左から、選考委員・周防正行さん、宮本信子館長、
受賞者・星野源さん、選考委員・南伸坊さん、選考委員・中村好文さん

 

4月17日(月)。天気予報を見て、何日も前から心配していた空模様......松山空港からの午前の便で追い越した雨雲が、16時頃、東京へやってきてしまったのですが......

01_9th_garden01.jpg01_9th_garden02.jpg記念の集合写真、お庭で撮りたかったですね......(☆)

それでも、お足元の悪い中、たくさんの方がご来場くださって、伊丹十三賞を祝ってくださいました。とても嬉しかった一日をレポートさせていただきます。

02_9th.jpgお客様と取材の方々で満員です。
ステージが遠いこと......(

すでに多くのメディアで詳しく報じていただいた贈呈式ですが、最後までどうぞお付き合いくださいませ。

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祝辞 選考委員・南伸坊さんより

第1回の贈呈式では、伊丹さん・糸井重里さんから若い人たちへたのしい連鎖が続いていくことを祝福してくださり、第5回の贈呈式では"本人術"で池上彰さんになったときのことを交えてご祝辞を述べてくださった南さん。さて今回は――

星野源さん、伊丹十三賞受賞おめでとうございます。そして、ありがとうございます。受賞してくださって、贈呈式にもご出席いただきました。

私たちは伊丹十三さんが大好きで、それは、伊丹さんの作るものがいつも新しくて、おもしろくて、たのしませてくださったからなのですが、その伊丹さんの仕事をいつまでも忘れてほしくないし、たのしんでほしい。そして、伊丹さんのことをずっとみなさんに覚えていてほしい、という気持ちで、この賞はスタートしたのでした。

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星野さんは、伊丹さんの『タンポポ』(1985年)を「大好きです」と著書でふれられています。

『タンポポ』が大好きです。伊丹さんのエンターテインメントな作品が大好きです。でもその内側には異常なこだわりとラディカルな心がメラメラと燃えている感じがします。カッコいいです。(『働く男』より。単行本、マガジンハウス、2013年 / 文庫、文藝春秋、2015年)

と書かれています。うれしいです。

さらにうれしいことには、同じ本で、ハナ肇とクレージーキャッツについて、こんなふうにふれておられます。

クレージーキャッツの曲や映画を元にした『オヨビでない奴!』という、植木等さんも出ていたドラマを小学生のときにビデオに録って何度も何度も観てました。それがきっかけで中学生のときクレージーキャッツのCDを買い、それからどっぷり。そのドラマも、映画も、曲も、自分にとってバイブルです。(同じく『働く男』より)

とあります。私と、一緒です。(場内笑)

私も中学生のとき、植木等さんにめちゃくちゃ影響を受けました。
遠足のバスの中、まわってきたマイクで「スーダラ節」と「無責任一代男」を歌って大ウケしたんですが、一段落したところでバスガイドさんが「無責任は、いけませんね?」と一言入れたことにモーレツに腹が立ちました。「何も分かってない!」


中学生が受け取っていたのは、植木さんのたのしさでした。中学生が持っている真面目さや正義感と、そのたのしさはまったく矛盾していない。そのことがいちばん大事なことなのに。

大人になって、幸運にも、植木さんにお会いする機会がありました。私は急き込むように「私の本当の友達は、全員、植木さんに思想的影響を受けています」と言いました。植木さんは、すぐ「ああー、それはまことに責任を感じます」とおっしゃいました。隣で聞いていた桂文珍さんは大笑いでした。
でも、私は少し淋しかった。どれだけ植木さんにたのしませていただいたか。そのご恩をお伝えしたかったのに。もっと普通に「大ファンです」と言っとけばよかった、と後悔しました。

なぜ伊丹十三賞なのに、こんなに植木さんのことばっかり(場内笑)長々と話したのかというと、私はあまりにも植木さんが好きなので、プロアマを問わず、誰かが「スーダラ節」を歌っているのを聞くと、必ず不平を言っていました。「スーダラ節」は植木さんが歌わなくちゃあ、「スーダラ節」じゃないんだ! とまで思っていました。
私は、実は、音楽についてはまったく無教養なので、私が星野さんの音楽についてどのようなことを述べようと、まったく無意味なのですが、星野さんが「スーダラ節」を歌っているというのを聞いて、Youtube(場内笑)で探してみました。

04_9th.jpg南さんのお話のところどころに、とても自然に笑みをこぼす
星野さんの表情、とても嬉しく拝見しました。

驚きました。あの「スーダラ節」を、星野さんは、しんみり、歌っていました。
私は「この人は分かっているなあ!」と思いました。植木さんがこの曲を渡されたときにどれだけ悩んで、工夫をしたか。それを分かっている、と思いました。

そのあと、星野源さんがタモリさんと「スーダラ節」をクラボ......コラボ、言い慣れない言葉です(笑)、コラボした、という噂を聞いて、これもぜひ聴いてみたいと思って、必死に探しました。おじいさんだから、Youtubeとか、慣れない(場内笑)。

やっとたどり着いて、ビッックリしました。すごく、たのしい。「タモリを引き込んだ星野源が偉い!」と思ったところですが、これは呼び捨てです(笑)。

たのしい贈り物をくれる人を、私は尊敬します。
「芸術とは、たのしい記号である」と言ったのは、哲学者の鶴見俊輔さんです。
「伊丹さんのエンターテインメントな作品が大好きです」と言ったのは、星野源さんです。
星野さんのおっしゃりたかったのは、私の気持ちと一緒でしょう。

新刊の『いのちの車窓から(KADOKAWA、2017年)、すばらしいです。『働く男』も『蘇える変態(マガジンハウス、2014年)もよかった。けど、最新刊が最高です。

星野源さん、おめでとう。おめでとうございます。それから、ありがとうございます。
私は、この賞の第1回の受賞者、糸井重里さんにも同じあいさつをしました。

たのしい贈り物をくれる人に私は感謝します。
たのしいから。

正賞(盾)贈呈 選考委員・周防正行さんより

受賞していただいてありがとうございます。
選考委員はこれが初めてで、これひとつしかやっていないのですが、選考会で、この人に賞をもらっていただきたい、と決めたあと、『選考委員ってこんなにドキドキするものなのか』と。そして、喜んで賞を受けていただくと『選考委員ってこんなにも嬉しいものなのか』と。そういうことを教えてくれたのが伊丹十三賞です。
今回も、受賞していただいて、ありがとうございます。
これからも楽しみにしています。

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副賞(賞金)贈呈 宮本館長より

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受賞者スピーチ 星野源さんより

敬愛する植木等さんの話題、鶴見俊輔さんの名言も飛び出した南さんのご祝辞を受けて、星野さんは、ご自身のお仕事について、そして、伊丹十三とこのたびのご受賞について、どんなお話をお聞かせくださるのでしょうか――星野さん、お願いします!!

このたびは、素晴らしい賞をいただきまして、本当にありがとうございます。今、お話を聞いていて、ものすごく、心臓から、胸の内から感動させていただいております。

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僕が小さい頃、たしか『マルサの女』(1987年)や『ミンボーの女』(1992年)がよくテレビで流れていて、それを観ていたんですが、20代の半ば頃に、もう一度観直してみたいなと思っていたら、ちょうどDVDボックスが出ました。
そのときが、大人になってからしっかり触れる伊丹さんの映画体験だったんですが、『タンポポ』(1985年)を観て、「なんておもしろいんだ」、「こんなにおもしろいんだ」と痛感して、そこから自分の中で伊丹さんブームが訪れ、エッセイを読んだり、映画を全部観たりしました。
その少しあとに出た『伊丹十三の本(「考える人」編集部編、新潮社、2005年)も読んで、『13の顔を持つ男(伊丹プロダクション・テレビマンユニオン、2007年)というDVDも観ました。てっきり映画監督だけだと思っていたんですが、本当にいろんな活動をされていることをそこで知って、すごくおもしろいなと思ったし、かっこいいなと思いました。

ちょっと話が長くなって申し訳ないんですが、自分は中学1年生の頃から演劇と音楽を始めて、高校3年生ぐらいに文章を書ける人間になりたいと思い、それぞれ勝手に活動を始めました。音楽と演技は学校の中で始めて、それがだんだんと仕事になり、そして文章は大人になってから始めて、それもだんだん仕事になりました。

その中で、芝居の現場に行くと「音楽の人でしょ」って言われ、そして、音楽の現場に行くと「芝居の人でしょ」と言われました。どの現場に行っても、あぶれてしまう感覚というか、自分の居場所というものがないなというふうに、ずっと思っていました。
それに加えて文章まで始めてしまったので、どこへ行っても「ひとつに絞らないの?」とか、「何が一番やりたいの?」と言っていただいたんですが、「植木等さんや、僕が小さい頃から憧れていた人たちは、あんなにいろんなことをやっているのに、なぜ、こんなにみんな、ひとつのものに絞ろう、絞ったほうが絶対にいい、って言うんだろう」と、個人的には感じていました。もちろん、二足の草鞋のように適当にやっていたのではだめだと思うんですが、どの仕事も本当に大好きで、「もう、こうしかできないな」って思っていたら、仕事になっていきました。
どこかのグループに属することに憧れてはいたんですけど、だいたいいつもちょっとはみ出してしまう。なんだかすごく淋しい思いをしていました。

08_9th.jpg丁寧に、真剣に、やわらかく、お話ししてくださいました。

そんな中、伊丹さんのいろんな顔を知ることによって「本当に好きなら、おもしろいと思ったことなら、何をやってもいいんだ」って思うようになりました。
受賞のときのコメントにも書いたように、伊丹さんが遠くから、ずーっと、灯台のように、サーチライトのように、灯りを照らしてくださっているんですけど、どうやってもそこには行けないようにできていて、僕の島と伊丹さんの島の間には大きな海が流れていて......それを追いかけようとした時期もあったんですが、その伊丹さんの活動を見ていて、だんだんと「そうじゃなくて、自分の場所を作れ。君は君の場所を作れ」と言われているような感覚がありました。

そして20代後半から、どこかに属するというよりも、「とにかく好きなこと、自分のやりたいことをやろう」、「一人前になりたい」、そういう気持ちでどの仕事もやっていたら、こんなに素晴らしい賞をいただくことができました。伊丹さんには「それが君の場所だよ」って言われているような気がして、すごく嬉しかったです。

僕が物心ついてから、伊丹さんが生でしゃべっているところをテレビ見た記憶はあんまりなくて、大人になってから、いろんなドキュメンタリーや番組などでしゃべっているのを拝見したり、エッセイの文を読んだりすることぐらいでしか、どんな人かを知ることはできなかったんですけど、作品を観ての伊丹さんの印象は「すごく自由な人だな」ということです。
伊丹さんは、自分の好きなものとか、おもしろいと思うことを、本当に素直に追い求めてる。突き詰めて、それをみんなに紹介したり実践することによって、周りの人がすごくたのしくなったり、日本という場所について、見ている人たちみんなが心を踊らせられたり、たのしいなと思ったり、気持ちがちょっと変わったりする。それってすごいことだなと思います。

そして、怒りや、憤りや、悲しみからも、自由だったような気がします。きっといろんなことがあったんだと思います。なのに、その怒りさえもおもしろいことに変えて、みんなに見せて、みんなが気分が悪くなるようなことではなくて、「すごくおもしろかった」っていう思いで劇場を出たりテレビのスイッチを切ったりする――そんな表現をする人はとてもとてもかっこいいと思います。僕は、そういう人にいつかなりたいな、とも思います。

先ほど(南伸坊さんから)お話のあった植木等さんも、とてもまじめな人で、「スーダラ節」を歌うのが本当は嫌だったけど、「あの歌詞は本当に人間の真理だから、堂々と歌っていいんだよ」とお父さんに言われて、歌うのを決意したと聞きました。植木さんは、そういうところも含めて、「自分は、本当はすごく明るい人間ではないけれど、たのしいものやおもしろいものを届けてもいいんだ」っていうふうに思わされたというか、「思っていいんだ」というふうにしてくれた、素晴らしい人です。

09_9th.jpg選考委員の皆さんもニコニコです

伊丹さんにも、植木さんにも、僕は直接お会いできなかったですけど、「そうやって自分が受け取ったものは、絶対に何らかの形でつながっていく」、「人は、死んでも、みんなが話題にしたり、つないでいったり、自分の栄養にして人に話したり表現したりすることによって、遺伝子はつながっていくものだ」と思っています。
僕も、そういう遺伝子を伊丹さんからもらっているので、自分の表現という形で、ちゃんと自分のフィルターを通した形で、つなげていけたらと思っております。

そして今日、『タンポポ』のドキュメンタリー(『伊丹十三の「タンポポ」撮影日記』、1986年)に出ていた玉置さん(公益財団法人ITM伊丹記念財団理事長、伊丹プロダクション社長)に初めてお会いして、宮本さんに「今度デート行きましょうね」と言っていただいて、なんというか、違う大陸だと思っていたんですけど、僕と伊丹さんの場所は本当に違う場所だと思っていたんですけど、こういう場所へ来させていただいて、直接お話しさせていただいて、「大陸は海の中でつながっていたな」と、すごく思います。

嬉しすぎて、今日はあまり寝れないと思います。このたびは受賞、本当に嬉しいです。ありがとうございました。

10_9th.jpg星野さん、こちらこそありがとうございました!

宮本館長よりご挨拶

星野さん。おめでとうございます。そして、ほんとうにありがとうございます。
星野さんが伊丹さんをよく知っていらして、そして、いろんなことを感じてくださってたっていうことをスピーチで伺って、まるで、本を読んでいるかのような、とても、すばらしいお言葉と、文章でした。

残念ながら、伊丹さんは、お若い人にはほとんど知られていません。例えば、領収書なんかをもらいますときに「伊丹プロダクション」と言いますと、その「伊丹」が若い方は書けない――「イトウの伊にジンタンの丹、というのはちょっと古いけど、タンチョウ(丹頂)ヅルの丹というともっと古いかしら」とそんなふうにも感じていて――「ああそうだ、世の中、時代っていうのは、こんなふうに進んで行くんだ」とは思っていましたけれども、今日、星野さんのお言葉をいただいて、まだ、知らない方にね、星野さんを介して、伊丹十三の人となりと、そして仕事を、少しずつでもいいから知っていただけたら、どんなに嬉しいかと思っています。

ほんとに、大きな大きな才能をお持ちの星野さんです。ますますのご活躍を......

......「今度、記念館にいらしてね、デートしましょうね!」ってさっき約束したのね、皆さんの前で。

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いつ実現するか分かりませんけど、近いうちに。そんなこともありました。
ますますのご活躍を期待しております。ありがとうございます、おめでとうございました!

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――いかがでしたでしょうか?

南さん、星野さん、宮本館長の言葉を聞いていたら、これまでの受賞者の皆さんからいただいた言葉や、選考委員の皆さんの祝辞、伊丹十三賞で印象に残っていること、感じてきたことが一気に思い出されて、ご来場のお客様たちが記念撮影のために準備をしていらっしゃる頃には、私は、頭の中の言葉の渦潮にぼうっとなっていました。

12_9th_m.jpg今年の集合写真はお部屋の中で撮影しました。
ほぼ日のみなさん、ご誘導ありがとうございました!

第9回まで開催して、歴代受賞者の顔ぶれはどんどん多彩になっていっています。どなたもとても個性的。でも、皆さんが、ご自身について、伊丹十三について、語ってくださったこと、その言葉にあらわれているお仕事ぶりやお人柄のうちには、受賞者全員に(そして、すべての「たのしい贈り物をくれる人」に)つながる共通項をたくさん見つけることができるな、と感じています。

たとえば、第1回受賞者の糸井重里さんは、「ほぼ日刊イトイ新聞」のトップページに"Only is not lonely. +LOVE"という言葉を掲げていらっしゃいます。
今回、9人目の受賞者となった星野源さんのエッセイを読んだり曲を聴いたりしているとき、伊丹十三賞のことはあまり意識していませんでしたが、「"Only is not lonely. +LOVE"の心意気をお持ちだな」と感じていました。そして、ふと「あ、これまでの受賞者は、みなさんそうだ」と気付きました。

こんな嬉しい"因数分解"ができる賞になることを、第1回の頃は想像できていませんでした。

13_9th_plaque.jpg伊丹十三賞 正賞の盾です。(

伊丹十三賞は「出会い」の賞です。
星野さんを通じて、たくさんの方が伊丹十三に出会ってくださったら嬉しく存じます。(初めてこのサイトにいらした方、ゆっくりしてってくださいね!)
そして、伊丹十三的な「たのしい」「おもしろい」の精神と、それを持つ方々を、この賞を通じて、広く紹介し続けたいと思います。

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さて、楽しい時間はあっという間ですね、お開きの時がやってきてしまいました。

館長~、お願いしまーーす! おっと、今年は三本締めですか!

かしこまりました、まいりましょうまいりましょう!

イヨ~ォ!!

14_9th.jpgヨッ!

14_9th02.jpgモウイッチョ!!

15_9th03.jpgやりきりました!!!

ご来場くださった皆様、ご協力くださった皆様に、心よりお礼申しあげます。
今回も、ありがとうございました。

―― たくさんの、たのしい写真に感謝 ――

撮影:池田晶紀さん(株式会社ゆかい
撮影協力:ほぼ日刊イトイ新聞乗組員のみなさん
印の写真のみ主催者撮影)

 

学芸員:中野

2017.04.17 第8回「伊丹十三賞」受賞記念イベントを開催いたしました

2016年春に「第8回伊丹十三賞」を是枝裕和監督にご受賞いただいたことを記念したイベントを、2017年4月8日(土)に開催いたしました。

今回の受賞記念イベントは、是枝監督と、番組制作会社「テレビマンユニオン」の取締役でテレビ演出家・脚本家の今野勉さんの対談で、テーマは「伊丹十三とテレビ」でした(是枝監督と今野さんのご関係については、コチラの記念館便りでもご紹介しています)。

遠方からお申込みくださったお客様もいらっしゃいましたね。誠にありがとうございます。
本日は、対談当日の様子をお届けいたします。

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会場は、第7回受賞者・新井敏記さんのトークイベントと同じく、記念館内のカフェ・タンポポ(定員50名様)。午前中に降っていた雨も午後には止み、会場客席から雨上がりの新緑の中庭をご覧いただけました。

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こちらは開演前の是枝監督(写真中央)、今野さん(写真右)、宮本館長の中庭回廊での様子です。


イベントは18時に開演し、宮本館長からご来場の皆さまへのご挨拶のあと、是枝監督と今野さんを会場にお迎えいたしました。

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対談に入る前に、今野さんと伊丹さんが携わったテレビマンユニオン制作のテレビ番組から、旅番組『遠くへ行きたい』、歴史ドキュメンタリー『天皇の世紀』、ドキュメンタリードラマ『欧州から愛をこめて』の冒頭数分を、今野さんの解説とともにご覧いただいたのですが......皆さま、楽しそうに見入っていらっしゃいました。どの作品も古びることがなく、ほんとうにおもしろいんですよね。

0417_004.JPG上映後は、いよいよ対談スタートです。
はじめに、是枝監督は今野さんとのご関係についてこうおっしゃいました。

「同じ会社(テレビマンユニオン)で働いていた時期があります。大先輩。(中略)直接仕事をしたことは、ほとんどないです。僕にとっては、とても大切なテレビ人としての先輩ですし、いろいろな意味で自分がテレビを考えるときに、今野さんがどうテレビをとらえていたのかっていうのが、僕が物を作っていくうえでは、ひとつの指針になってきた方です」


この言葉を聴きながら、貴重なイベントを開催できましたことを、あらためて大変嬉しく存じました。

引き続き、今野さんと伊丹さんが携わったテレビマンユニオン制作の番組についてたくさん語っていただいたのですが、それらのテレビ番組が「自由」であることについてのお話が印象的でしたので、少しご紹介させていただきますね。

是枝監督「"自由ですね"というと、何も決めずに、ただ自然にしていれば自由に撮れると思われがちだけど、"撮れたものが自由に見える"というときには、おそらく、すごく考えているはずなんですよね。(中略)どう番組化していくか、という意識」

今野さん「その意識がないと、自由って表せないんです」

(中略)

是枝監督「同じ時代に、皆が今野さんや伊丹さんのようにテレビというものを自由にとらえていたわけではないじゃないですか。(中略)どうやって"テレビっていうのはここに本質がある。ここに面白さがある"というのを掴めたんですか?」

今野さん「伊丹さんは、ものすごくサービス精神が旺盛なんですよ。つまり、自分の考えていることを伝えるためには、人々が好奇心をもつような言い方・やり方が大事だという。僕はたぶん、その考え方は、映画になってますます発揮されていると思うんですよね」

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さらに、是枝監督はこんな風にもおっしゃっていました。

「テレビでものを伝えることに対して批評性を持っていますよね、番組自体が。自由であると同時に、自分たちが関わっている"テレビ"で伝えていることに対する批評性っていうものを、エンターテイメントとして見せていく。(中略)そこが、やっぱり古びないところだと思うんです」


――このように、当時の番組を是枝監督がどんな風に感じていらっしゃるのかを率直にお話しなさり、今野さんがその頃の様子を具体的に、生き生きと伝えてくださるので、わかりやすく、楽しく、ほんとうに贅沢な時間でした。皆さま、時には驚いたり笑ったりしながら、じっと聴き入っていらっしゃいましたね。


0417_007.JPG日が暮れた頃の会場の様子です


対談は大いに盛り上がり、予定時間を超えての終演となりました。お帰り際のお客様の表情は、どなたも「大満足!」といったご様子でした。

本日ご紹介したのは対談のほんの一部ですが、後日当サイト内に採録ページを設ける予定にしておりますので、楽しみにお待ちいただけましたら幸いです。

是枝監督、今野さん、楽しく貴重なお話をありがとうございました。
ご来館いただいた皆さまにも、心より御礼申し上げます。
これからも、伊丹十三賞をどうぞよろしくお願いいたします。

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イベント翌日には、宮本館長が記念館に出勤いたしました!
その様子も、ほんの一部ですがお写真でご紹介させていただきます。

guest_001.JPGguest_002.JPGguest_003.JPGguest_004.JPG皆さま会話が弾んでいらっしゃいましたね。
ご来館いただきまして、誠にありがとうございました。

スタッフ: 淺野

2017.04.10 収蔵庫ツアー応募締切迫ってます!

4月8日、第8回伊丹十三賞を受賞された是枝裕和監督と今野勉さんによる対談「伊丹十三とテレビ」が盛況のうちに終了いたしました。

IMG_4918.JPG


このイベントの様子は後日記念館便りでご報告致します。お楽しみに!

さて、いろいろとイベントの続く記念館ですが、開館記念イベントで人気の「収蔵庫ツアー」の応募の締切が迫っています。締切は4月17日です。

収蔵庫ツアーは、直筆原稿や愛用品など、伊丹さんゆかりの品々を学芸員の解説つきでご覧頂けるイベントです。

伊丹さんが着ていた服を見て、「背が高くて大きい人だったんだ~」とか、宮本館長が映画で着用したかつらを見て「顔がちっちゃいんだ~」とか、実物をご覧頂くことで、より実感していただけることがたくさんあるかと思います。
収蔵庫は普段は公開しておりませんので、この機会にぜひご覧頂きたいと思います。

応募方法など詳細はこちらをご覧下さい。

皆様のご応募をお待ちしています。

スタッフ:川又

2017.04.03 第9回伊丹十三賞の受賞者が決定いたしました

多くのメディアでご紹介いただきましたので、すでにご存じの方もたくさんいらっしゃると思いますが――第9回となりました伊丹十三賞の受賞者は......

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星野源さんです!


(賞の概要と受賞者情報の詳細はコチラでどうぞ!)

テレビ・雑誌・インターネット、町を歩けば、書店の話題書コーナーや映画のポスターで、お顔とお名前を見ない日はないほど、ご活躍中でいらっしゃいます。

何しろ、俳優で音楽家で文筆家。多岐にわたる分野で旺盛に活動され、ひっぱりダコの星野さんですから、とってもお忙しいはずなのですが――

音楽、エッセイ、演技のジャンルを横断し、どこか息の詰まる時代に、エンターテイナーとして驚くような風穴をあけてしまった星野的表現世界に。

という伊丹十三賞選考委員会による授賞理由をお伝えいたしましたところ、こんなコメントをくださいました。

受賞のお知らせを聞き、本当に驚いています。自分にとって伊丹さんの存在は、遥か遠くに見える灯台のようでした。しかし、その灯りへはどうやっても辿り着けないようにできていて、その活動の姿勢や後ろ姿から、暗に「君は君の場所を作れ」と言われてるようにいつも感じていました。そしていま、こうして伊丹十三賞をいただけたことは、身に余る光栄であり、人生を丸ごと認めていただいたように嬉しいです。これからも手探りで活動を続けたいと思います。本当に、有難うございます。

マネージャーさんを通じて頂戴したこの文章を読んだ瞬間、胸が熱くなりました。
「心から伊丹さんを愛していて、心から喜んでくださっている......歌詞のようでもあるし、孤独を知る旅人の随想みたいでもあり、星野さんの心境が、絵画や映像を見るかのようにイメージできるなぁ......」
気が付いたら、目頭も熱くなっておりました。

"旅人"といえば、星野さんの最新エッセイ集『いのちの車窓から』第1巻(KADOKAWA)が3月30日に発売されました。

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人生は旅だというが、確かにそんな気もする。自分の体を機関車に喩えるなら、この車窓は存外面白い――

タイトルエッセイの中の一文です。

日常の風景や身近な人たちに向ける星野さんのまなざしのあり方に、頷き、唸り、いろんなことを気付かされながら読み進めるうち、伊丹さんの名言を思い出しました。「旅の時代」展(2013年12月~2015年12月)を構想するきっかけになった言葉です。

旅をする心を持つ人にとっては、近所を散歩して、見知らぬ道にふいと踏み入ることすら旅であるだろう。

贈呈式レポートは、開催が済み次第、4月中には掲載したいと思います。楽しみにお待ちくださいね。

学芸員:中野

2017.03.27 タンポポセットはじめました

記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。

春らしく暖かくなってきましたね。中庭の桂の木も芽吹きの準備を始めているようですが、その中庭で、ちょうど先週からタンポポが咲き始めました。回廊を歩いている途中、咲いているタンポポにカメラを向ける・・・そんなお客様をよくお見かけするようにもなりました。

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さて記念館ショップでは、この季節に特にぴったりの、タンポポのイラストをデザインしたオリジナルグッズを取り扱っています。このたび、これらのグッズをセットにした「タンポポセット」の販売をはじめました。

セット内容は一筆箋2冊(罫線有り・罫線無し各1冊)、封筒6枚入り1セット、ゴム印『タンポポ』Sサイズ1個。これまで記念館ショップでご好評いただいていた商品ばかりですが、セットにして、通常税込1,404円のところを税込1,200円で販売しています!おトクです!

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一筆箋は厚手で優しい手触りのアラベール紙で作られており、万年筆の書き心地も抜群です。2つ折りにしてカードのようにもお使いいただけますので、ちょっとした一言を添えるのにご利用ください。同じくアラベール紙で作られた封筒にもタンポポが並んでいます。お札も丁度入りますので、「ポチ袋」としてもお使いいただけます。ゴム印は手帳やノート、メモなどにアクセントとしてスタンプするほか、封筒のとじ目に押す封緘(ふうかん)としてお使いになるのもおすすめですよ。

オンラインショップでもお求めいただけますので、ご興味を持たれた方はぜひご覧になってみてください。

スタッフ:山岡