記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2017.10.16 メンバーズ限定収蔵庫ツアー & 入館者数16万人突破のご報告

秋の「メンバーズカード会員限定収蔵庫ツアー」を開催いたしました。

毎年5月に"開館○周年記念イベント"として開催している収蔵庫ツアーを、メンバーズカード会員様限定のイベントとして、春と秋の年2回、行っています。

記念館の収蔵庫は、2階が「展示風」の収蔵スペースになっていまして、伊丹十三の原稿・原画、愛用品、蔵書を収めたコーナーや、伊丹十三の自宅の一室を再現したコーナーをガイドつきでご見学いただく催しが収蔵庫ツアーです。



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メンバーズ限定ツアーは、周年イベントでの開催時(定員6名様)よりも少ない人数で開催していますので、比較的ゆったりとご覧いただけます。また、お客様のお話を伺いながらご見学いただくので、スタッフのほうも楽しみながら、よりお客様のご興味に合わせたご案内をさせていただいています。

ご参加のお客様からご感想をいただきましたので、ご紹介いたしますね。

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伊丹さんの愛した小物、作品、とてもすばらしかったです。
まだまだ知らない伊丹さんを、少しだけですが、また知ることができました。

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お洋服コレクション、私ももう歳ですので、なにかテーマを決めて、自分に合ったものを選ぼうと、参考になったりもしました。とても楽しかったです。

 

伊丹さんの仕事、人柄について、展示室だけでは知ることのできないもっと深いところまで、知れてよかったです。

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伊丹さんの発想力、デッサン力、物に対するこだわりや愛情が感じられました。
実際に映画で使用されていた衣装など間近で拝見することができ感動しました。映画をもう一度よく見て確認しようと思います。

 

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 解らないことが解り勉強になりました。もう一度、映画を観てもう少し勉強したいと思います。

 

初めて参加させて頂きました。伊丹十三さんのこだわり、思考が、人生だったり作品を作っているんだな...と又あらためて伊丹さんを知ることになり大変楽しかったです。


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メンバーズカードにご入会いただきますと、1年間何度でもフリーパスでご入館いただけますほかに、こんなイベントにもご参加いただけますので、伊丹十三の世界にご興味お持ちの方、ぜひご検討くださいませ!

※詳しくは、メンバーズ会員制度のページのご案内をご覧いただくか、
ご来館の際に受付スタッフまでお声掛けください。

と、いうような収蔵庫ツアーの開催期間中だった10月14日(土)、開館以来の総入館者数が16万人を突破しました!

これまでご来館くださったすべてのお客様おひとりおひとりに、お礼を申しあげたい気持ちです。皆様、まことにありがとうございます。

16万人を突破した日の晩、「16......一六!」ということで、一六タルトでお祝いしました。伊丹十三がCMを手がけたことでご縁の深い、一六本舗さんによる四国銘菓です。

tarte.jpg松山の「タルト」は柚子風味のあんことスポンジ生地が
「の」の字に巻かれたソフトなお菓子です。

一六タルトのCMといえば、愛媛のみなさんにはお馴染みのフレーズがありまして、

――もんたかや。まぁ、一六のタルトでもおあがりや。
ほて、しぇーしぇき(成績)はどうじゃったんぞ――

と、画面の向こうからこちらへ向かって、伊丹十三が語りかけてくるんですね。

タルトを頬張ったら「どうじゃったんぞ」と聞かれているような気がしたものですから、
「伊丹さん、16万人もの方が記念館に来てくださったんですヨ!!」
と、心の中で報告いたしました。

新しいお客様、再来館のお客様をたくさん、長く、お迎えしていけるよう、この嬉しい通過点を糧にスタッフ一同励んでまいりたいと思います。

今後とも、どうぞどうぞよろしくお願い申しあげます。

学芸員:中野

2017.10.09 手拭い

突然ですが、口にファスナーがついていないバッグを使うとき、ちょっと困りませんか。
バッグの中が見えてしまいますし、ふとしたことで中の物を汚してしまうこともありますよね。そんなことが気になり、自分の手元にあるバッグは口にファスナーがついたものがほとんどです。毎年夏が来ると「カゴバッグが欲しい」と思い、街行く人が提げているバッグをつい見てしまうのですが、口が閉まらないデザインが多いことがちょっと気になっていました。

ところが、今年の夏の終わり頃に、その点を上手くカバーしてカゴバッグを使っている方を見かけました。方法は至って簡単で、バッグの口に目隠しとしてふわりと手拭いをかぶせているだけ。落ち着いた色のカゴバッグに、少しだけのぞく手拭いの風合いがピタリと合っていて、素敵でした。
それ以来、「いつか良いカゴバッグをみつけたら、手拭いとセットで使いたい」と思っています。

――と、何かと便利な手拭いですが、記念館で販売しているオリジナルグッズにも手拭いはあります。

1009_001.JPG伊丹さんが描いた「カチンコ」のイラストを使用しており、カラーは「黒色」「空色」「白色ピンク柄」の3種類。記念館グッズショップ、そしてオンラインショップでも販売しております。

1009_002.JPG1009_003.JPG生地は特岡、染めは捺染(なっせん)です。色違いでお買い求めくださるお客様もいらっしゃいます。ぜひ、お手に取ってみてくださいね。

スタッフ : 淺野

2017.10.02 伊丹十三記念館 建物外壁塗装工事のご案内

11月14日(火)より、記念館建物の外壁の塗装工事を行うことが決定致しました。
記念館がオープンしてから早いもので10年が経過しました。先日ご来館されたお客様から「開館10周年?!昨日出来たみたいに綺麗ね!」とお声を頂いたくらい、一見綺麗に見える記念館ではありますが、よーく見てみると所々

こんなところや

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こんなところが

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出てきているのです。
記念館を設計された建築家・中村好文先生が2年ほど前にご来館された際に「そろそろ外壁の塗り替えを・・・」とご提案下さったことをきっかけに、いろいろと準備を整え、いよいよ来月工事を行う運びとなりました。

●「安心して下さい!開いてますよ!」
工事期間は11月14日(火)から12月中旬を予定しております。この期間も普段通りのスケジュールで開館致します。
臨時休館などは致しません。休館日の火曜日以外は、普段通り館内をご覧頂けます。

●ご理解・ご協力のほど宜しくお願い申し上げます。
建物全体に足場を組み、一部をネットで覆います。焼杉でできた自慢の外観をご覧いただけない点は残念ではありますが、記念館をこれからもこれまで同様に「昨日出来たみたいに綺麗に」保ち、これからも多くのお客様をお迎えするための工事となりますので、期間中ご来館のお客様におかれましては、ご不便をおかけすることもあるかと思いますが、出来る限りの配慮をして参りますので、何卒ご理解頂けましたら幸いでございます。

来年のお正月には工事を終えた記念館をご覧頂ける予定です。
記念館便りでもご報告させて頂きますので、皆様もどうぞ楽しみにお待ちください!

スタッフ:川又

2017.09.25 旅のお供に

記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
朝晩に肌寒さを感じ、木の葉も少しずつ色づいてきて、秋の気配を感じるようになりました。気温も落ち着いて過ごしやすくはありますが、体調を崩される方が多い時期ですので、くれぐれもご自愛くださいね。

さて、先月記念館にお越しくださったお客様で、伊丹さんの著書『ヨーロッパ退屈日記』を持って来館された方がいらっしゃいました。
ご存知の方も多いと思いますが、『ヨーロッパ退屈日記』は、エッセイストとしての「顔」を持つ伊丹さんの初のエッセイ集です。俳優としてヨーロッパに長期滞在した時の体験等をもとに綴ったエッセイがまとめられ、1965年の刊行以来、50年以上経った今も世代を問わず読まれ続けている本です。

そのお客様は「文庫サイズ(現在は新潮文庫で読むことができます)で持ち歩きしやすいので、旅行に行くときには必ず持っていくんですよ」と仰って、読み込まれているのがひと目でわかる『ヨーロッパ退屈日記』を見せてくださいました。

 

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『ヨーロッパ退屈日記』(新潮文庫)

旅行に本を持って行く、という方はたくさんいらっしゃるようですね。初めての本はもちろん、読んだことのある本でも、旅先ではまた違った雰囲気で読むことができて楽しめるのだとか。移動の間やちょっとした待ち時間などに読める短編小説やエッセイ集を持ち歩く方が多いそうです。
ご来館のお客様にお話をうかがうと、伊丹さんの文庫本を旅行に持っていくという方は少なからずいらっしゃって、上述のように受付などで実際に本を見せていただいたり、お気に入りのエッセイについて感想をうかがったりすることがあります(ちなみに、このお客様の『ヨーロッパ退屈日記』にあるお気に入りエッセイは、スパゲッティのゆで方や食べ方が書かれた「スパゲッティの正しい調理法」「スパゲッティの食べ方」でした。書かれたとおりに試してみてすっかりスパゲッティ好きになったそうです!)。

伊丹さんの著書は残念ながら絶版となっているものもありますが、記念館ショップでは『ヨーロッパ退屈日記』『女たちよ!』『再び女たちよ!』『日本世間噺大系』(以上、新潮文庫)、『問 いつめられたパパとママの本』(中公文庫)、『哺育器の中の大人[精神分析講義]』(ちくま文庫)などの文庫を取り扱っています。
文庫のサイズは持ち歩きもしやすいですので、展示を見てエッセイストとしての伊丹さんの「顔」にご興味が湧いた方は、ぜひご旅行の空き時間に読んでみてください!

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暑さも和らいで外出しやすい時期となり、行楽シーズンに向けてご旅行の計画を立てている方もいらっしゃるかと思います。
次回の旅のお供に、伊丹さんの本はいかがでしょうか。

スタッフ:山岡

2017.09.18 鰹と時代

9月も半ば、皆様いかがお過ごしでしょうか。

winoshishimo.jpgこの三連休は台風ですね...どなた様もくれぐれもご用心を!

つい先日、帰りに寄ったスーパーで、生のカツオのお刺身を見つけました。しかも、宮城県産。
三陸を離れ、カツオといえばタタキが主流の西日本に住みながら「カツオはやっぱり生でなくちゃ」と言い張り続けて20年、三陸のカツオが生で手に入る日が来るとは......!
それはもう大喜びで買って帰り、物流の発展に感心感謝しつつ、故郷の味をいただきました。そんな時代になったのですねぇ。

食べながら思い出したのですが、カツオというと、『女たちよ!』にこんなエッセイがあるんです。伊丹さんが外国映画出演のためにロンドンに滞在していた頃のこと。

shavedfish.jpgこのような挿絵のついたエッセイです。
さて、イラストの意味は――??

 うちの家主はデリク・プラウスといって日本へもきたことがある評論家であるが、相当な日本通であるからして、うちの台所には常に好奇の目を光らせている。
 梅干や葉唐辛子の瓶を手に取って永い間小首をかしげていたりする。
 彼の趣味は、日本の商品に印刷してある英文の解説を読むことであった。その怪しげというか奇想天外というか、不思議千万の英文を熟読玩味するのが趣味なのである。
 (中略)ある時、彼がごく不思議そうな顔で、これはなんだという。見ると手に「削り節」の箱を持っている。
 つまりそれは固く干しかためたマッカレルを機械で削ったものさ、と説明すると彼はいきなり気が狂ったように笑い出した。
「だって、この箱には鬚を剃った魚と書いてあるぜ」
 そういってますます笑い転げるのである。私も仕方なく少し笑ったが、つまりこういうことなのだ。
 英語で、鉋(かんな)の削り屑を「シェイヴィング」という。鉋で削ることを「シェイヴ」という。それ故に――と鰹節屋の大学生の息子は考えたに違いないのだ――削られた魚は「シェイヴド・フィッシュ」であるに違いない、と。
 語学において三段論法を適用する過ちはここにある。「シェイヴド・フィッシュ」はあくまでも鬚を剃った魚であって「削り節」にはならない。
 強いていえば「フィッシュ・シェイヴィング」でもあろうか。これでも魚の鬚剃り、という印象を免れない。

「髭を剃った魚の話」『女たちよ!』(文藝春秋、1968年)より

このエッセイが書かれてから50年近くが経ち、日本の食文化も世界中で知られるようになりましたから、「カツオ節やカツオ出汁って、今はもう、当時のようにまったく馴染みのないものではなくなってるだろうなぁ」なんて考えていて、フと思いました。

もしかしたら、イギリス人にも日本人にも違和感のない「削り節」の英語表現、決まった言い方が、今はできているのかも!

それで、調べてみましたら――

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ひっくり返りました。

これは......ほんとうなのでしょうか!? ほんとうに、ケズゥリブシィで通じるのでしょうか......

「ホッホッ、そんな時代になったんですねぇ」と笑う伊丹十三を想像しつつも、単なるインターネット検索の限界のような気もしています。
海外にお住まいの方、ぜひ、試して、結果をお知らせくださいませ。

学芸員:中野