

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。
2025.04.21 期間限定メニューはじめました
記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
新しい年度が始まりましたね!仕事や学校など新しい環境で4月を迎えられた方も多いと思いますが、いかがお過ごしでしょうか。
記念館の中庭の桂は、芽吹いた葉があっという間に大きくなり、木陰を作るほどになりました。
さて記念館のカフェ・タンポポでは、4月になり、期間限定メニューをはじめましたのでお知らせいたします。
その1:「豆乳イチゴ」
愛媛県産のイチゴを使った「豆乳イチゴ」は、毎年この時期に開始して、ご好評いただいている人気メニューです。
豆乳とイチゴをミックスしたシンプルなドリンクですが、豆乳のまろやかさの中にイチゴの甘みと酸味をしっかり感じていただけます。ピンクのドリンクの上に緑のミントをのせていて、見た目もかわいらしいです。
豆乳イチゴ
その2:「アイスコーヒー」「アイスティー」
暑い時期にご提供する定番メニューです。
カフェ・タンポポのアイスコーヒーのグラスには内側に格子状の凹凸があって、ストローでくるくるとまぜると氷が凹凸に触れ、カランコロンとなんとも涼しげな音がします。この音を聞くと「今年も暑い季節がやって来たな~」と思います。
ロンググラスに注いだアイスティーもたっぷりで飲みごたえがありますよ。
アイスコーヒー
アイスティー
また、しばらくお休みしていた「愛媛みかんジュース飲み比べセット」と「タンポポコーヒー」(ともに通年メニュー)も再開いたしました!
愛媛みかんジュース飲み比べセット
タンポポコーヒー
「愛媛みかんジュース飲み比べセット」は、3種類のみかんジュース――まろやかな甘さですっきりとした飲み口の「愛媛みかん」、甘さとさっぱり感を兼ね備えた「清見タンゴール」、濃厚な甘みと酸味のバランスが絶妙な「デコタンゴール」――を楽しめるお得なセットです。県外の方のみならず、愛媛県内からのお客様にも人気があるんですよ。
また、「タンポポコーヒー」はタンポポの根っこを焙煎して作られた、見た目はコーヒーそっくりの、でもコーヒーとは異なる"コーヒー風味"のドリンクです。ちょうどいま中庭でタンポポが咲いていますので、それを見ながらタンポポコーヒーを飲んでみるのもいいかもしれません。
ご来館の際は、ぜひカフェにお立ち寄りくださいね。
新年度も、カフェ・タンポポをよろしくお願いいたします。
スタッフ:山岡
2025.04.14 公徳心
4月も半ばとなり、春らんまんという様子の日々ですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
記念館では桂の葉がどんどん芽吹いてきました。中庭ではタンポポが咲き、しばらく春を楽しむことが出来そうです。
さて、少し前の話になるのですが、今年の2月に長年応援しているアーティストのライブのために福岡県の博多に行ってまいりました。今回はかなり大きな会場での開催で、会場は約4万人が収容されると予想されており、初めて会場に足を踏み入れた時にあまりの広さに素っ頓狂な声をあげてしまうくらいに広い会場でした。老若男女問わず、様々なライブのグッズを身に着けてライブを楽しんでいる人々の満足そうな顔が印象的な1日でした。こんなに多くの人が、このアーティストのために集まったのだと思うと、10年前に行った観客が700人だった頃の小さなライブハウスの頃がなんだか懐かしく思い起こされます。
たくさんの人がアーティストを応援することで、大きな会場を回るツアーに参加できるようになったのは大変嬉しいのですが、ライブに参加する人が急激に増え、それに伴って大きな会場になればなるほど、小規模な会場では見なかったようなトラブルが増えました。チケットの転売、撮影禁止の場所での撮影、列への横入り、会場周辺での迷惑行為、アーティストの母校や自宅付近で記念撮影など――。
「赤信号みんなで渡れば怖くない」じゃないですけれども、どうにも集まる人が増えると「禁止されているけどやっている人いるし」「誰も見ていないし」とばかりに、周りに迷惑がかかることをする人が増えるのは大変心苦しいことです。
ライブに限らず、社会の中で生活を営んでいく上で、人間は公徳心が必要であるといえるでしょう。公徳心とは、社会生活における道徳を重んずる心です。伊丹さんがエッセイの中で詳しく書いてくださっておりますので、こちらをご覧ください。
公徳心というのはなんであるかと申しますに、客観的である、ということでしょうね、まず。
(中略)
つまり、他人の眼で自分をながめることのできる人、これがすなわち客観的であるということだ。こういう人は、たとえば不愉快なことがあっても、ブスッとフクレたりしないもんですね。フクレッつらというのが人目にはごくごくみにくいものだということを知っているからで、それゆえさらに一歩を進めるなら、客観性は観察力と想像力によってささえられ、つちかわれている、といってもよろしいかと思う。
つまり、先がヨメる、ということが大事な点でありまして、たとえば会合に幼児を連れてゆく。幼児がむずがって泣き出す。人人はみんな不機嫌になる。しかも露骨にイヤな顔もできないから、慰めてくれたり、子供をあやすのを手伝ってくれたりするだろう、と、まあそういうぐあいに先をヨミまして、そういう迷惑を人に与える権利は自分にはない、従って幼児は断じてきょうの会合にはつれてゆくまい、と決める。これが客観性ということなのですね。
それゆえ、公徳心とは客観的に物を見ることのできる能力であって、この能力は観察力と想像力によって生みだされる、ということになりますから、従って、引っくりかえしていうなら、公徳心の欠如とは、客観性、観察力、想像力の欠如である、ということになるわけだ。
つまり「公徳道徳」と呼ばれるものが世の中にはありますわね。これはだれだって知っている。知っているということだけはみんな知ってるのだけど、これを厳密に守る人というのはまず百人に一人もいないでしょう。
つまり想像力が足りないんだなあ。たとえば、いま花見のシーズンである。島崎敏樹先生がいつか書いておられましたが、昔、花見にいって一枝の花を折ることは「風流」であった。いま「ドッと繰り出す行楽客」が一斉に花を折ったらいったいどういうことになるか。すなわち風流は過去のものであって、現代に生きるわれわれは風流に対する見解を変えねばならぬ、という論旨であったかと思う。こういうふうに想像力を使ってくださいよ。みなさん。わかりきったことじゃないの、あまりにも。みんなが花を折ったらどうなるか、みんなが紙くずを捨てたらどうなるか。いまさら書くことすらバカバカしいよ。次元が低すぎるよ、まったく。
さて、公徳心において重要なことがもう一つありました。想像力を駆使して先をヨンだ。こういうことをしたら人に迷惑がかかりそうだということがヨメた。しかしヨメただけじゃしようがないね。ヨンだ以上断固として踏みとどまるだけの強さ、すなわち自制心というものが是非とも必要になってくる。
まあ、オレ一人くらい、いいじゃないか。人が見ていないからまあいいやな。みんなやってることだ。オレ一人バカ正直にしたってはじまらない、なんていうのは全部ダメだよ。
自分には、どんなに厳しくしたって厳しすぎるということはない。人間所詮自分の外へ出られるもんじゃないのです。どうしても天動説の徒なんだよ、われらは。
以上、公徳心について知るところを述べてみました。あとは実行のみ!
(『ぼくの伯父さん』より「"ひとりぐらい"は禁物」)
『ぼくの伯父さん』
記念館のグッズショップ、オンラインショップでお買い求めいただけます。
私は人がたくさん集まる場所に行くたびに、この公徳心について考えます。
特にライブでは、開催日はほぼ1日中ライブのグッズを身に着けて行動するので、見る人が見れば一目でそのアーティストのライブに来たことが分かるのです。宿泊するホテル、付近のコンビニや飲食店、そしてライブ会場。自分が立ち寄るすべての場所で、自分一人が軽率な行動をしたせいでアーティストの印象が悪くなり、酷いときにはアーティストが会場を借りられなくなったらと考えると気が気ではありません。だからこそ、普段よりも公共のマナーを意識して、ライブに行くことにしております。
普段生活をしていると、なかなか公徳心を意識して行動することも少ないです。しかし、周りの方が当たり前のように公徳心を持ってくださっているからこそ、快適に生活が出来ていることを忘れずにいたいものです。
暖かくなり、ゴールデンウィークも近づいて旅行される方も多くいらっしゃると思います。その際にはぜひ、伊丹さんのエッセイを思い出していただけますと幸いです。
学芸員:橘
2025.04.07 『ヨーロッパ退屈日記』60周年!
記念館には6本のヤマザクラが植えられています。
そのうちベントレーのガレージ脇のヤマザクラが一番に開花して1週間ほど経ったでしょうか、だいぶ葉が多くなってきました。
4月4日撮影
一方、同日同時刻、正面ゲート脇のヤマザクラは――
しーん。
そう離れておらず日当たりなどの環境は変わらないはずなのに、なぜこうも違うのか。ヤマザクラのマイペースぶりには毎年苦笑いしてしまいますが、着々と春本番を迎えつつある松山です。
さて、1965年3月、今からちょうど60年前の春、一冊の書物が刊行されました。
伊丹十三(当時一三)の初の著書、『ヨーロッパ退屈日記』です。
外国映画出演のために渡ったヨーロッパでの体験をあれこれと綴ったエッセイ集は、ポケット文春・単行本・文春文庫・新潮文庫と判型や出版元を変えて読み継がれてきました。
あとがきに
ヨーロッパ諸国と日本とでは風俗習慣はもとより「常識」そのものにさまざまな食い違いがある。わたくしは、これをできるだけ事実に即して書きたかった。
婦人雑誌の広告に、ほら、「実用記事満載!」というのがあるでしょう。わたくしの意図もまたこの一語に尽きるのであります。
とあるように、ためになる話、役に立つ話が続々。ただし、やさしく分かりやすく教えてくれるばかりではありません。
痛烈な批判(これもいわば"ためになる話"ではありますが...)が随所にちりばめられていて、「アイタタ!」となることも。こういう"耳の痛い話"をしてくれるところが著者への信頼を生んで、60年の長きにわたって読者を獲得しているのではないかな、と思います。
『ヨーロッパ退屈日記』さん、還暦おめでとう! でも定年退職しないでくださいね。
企画展示室で開催中の『伊丹十三の「食べたり、呑んだり、作ったり。」』では、4月2日(水)、「私流、伊丹レシピ。」のコーナーに新作スライドショーが登場しました。
伊丹さんが山本嘉次郎監督に捧げた親子丼を、徹底した生産スタイルとおいしさで熱い支持を集めるチーズ農家・吉田全作さんが再現。『遠くへ行きたい「親子丼珍道中」』(1971年放送)へのオマージュです。
伊丹さんの親子丼ってタマネギを使わないんですよね。鶏肉と三つ葉と海苔と卵とお米、そして調味料、だけ。でも厳選したものばかり。吉田さんは、それと同じ産地やメーカーのものを揃えて撮影に臨んでくださいました。
出来あがった親子丼のなんとも魅惑的なこと――ぜひとも展示室でご覧いただきたいので、ここでは伏せておきましょう。ちなみにわれわれスタッフは、全員ノックアウトされました。ご用心のうえご来館ください。お待ちしております!
学芸員 : 中野
2025.03.31 伊丹十三 4K映画祭とクリアファイル
2月から開催している「日本映画専門チャンネルpresents 伊丹十三 4K映画祭」ですが、折り返しを迎え、現在は10作品の6作品目『ミンボーの女』が上映されています。(4月3日(木)まで)
3月28日からは、入場者特典第2段として、オリジナルクリアファイルが先着でプレゼントされています。映画祭の詳細や、プレゼントのクリアファイルのイメージは是非日本映画専門チャンネルのHPでご覧ください。この機会に是非伊丹映画をご覧になり、TOHOシネマズ梅田とTOHOシネマズ日比谷でクリアファイルをゲットしてください。
「日本映画専門チャンネルpresents 伊丹十三 4K映画祭」 は こちら から
クリアファイルと言えば!伊丹十三記念館でもA4サイズとA5サイズの全4種類のクリアファイルを販売しています。伊丹さんの描いたイラストでデザインしており、お土産にもいろいろと「ちょうど良い」ようで、ショップの人気商品となっています。お値段も2010年の発売当初から変わらず税別200円です。
裏は透明で右下に小さく伊丹十三記念館のロゴが入っています。
ご来館の折には是非お手に取ってご覧ください。
スタッフ:川又
2025.03.24 宮本館長が出勤いたしました
記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
ここのところ一気に春めいてまいりましたね。寒さも和らいで過ごしやすくなりましたが、何かと忙しい毎日を送る時期ですので、体調管理には十分にお気をつけください。
さて、ホームページの告知欄や記念館便りでお知らせしていたとおり、3月20日・21日に宮本館長が出勤いたしました。
両日ともに春らしいあたたかな気温で、お天気にも恵まれました。さすが " 晴れ女 " の宮本館長です!
当日は、出勤情報を知らずに来館され、笑顔の宮本館長に入口で「いらっしゃいませ!」「こんにちは!」と迎えられて「ええ?!」とびっくりされる方、情報を事前にキャッチして宮本館長に会いに来られた方など、多くの皆さまにお越しいただきました。中には大阪府や愛知県、東京都など、県外から出勤に合わせてお越しくださった方もいらっしゃったようです。(本当にありがとうございます!!)
少しですが当日の様子を写真でご紹介します。ご来館のお客様が宮本館長と談笑したり記念撮影をしたりと、記念館での時間を本当に楽しんでくださっているご様子がうかがえます。宮本館長もいつも楽しみにしている、お客様との時間です。
こんなふうにお客様との楽しい時間を過ごしながら、合間にはスタッフや業者さんと打ち合わせをしたり、カフェやショップ、展示室、庭を見て回ったり――記念館にいる間はとにかく大忙し!の宮本館長でしたが、いつもながら元気いっぱいに館長業務に取り組んでいました。
改めまして、ご来館くださった皆さま、本当にありがとうございました。
次の出勤日が決まりましたらホームページ等でお知らせいたしますので、ぜひ楽しみにお待ちくださいね。
スタッフ:山岡