こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。
2024.03.18 ロウバイ観察日記
記念館便りをご覧のみなさまこんにちは。
昭和初期に素晴らしい「朝顔観察日記」をつけていたのは小学2年生の池内岳彦君こと伊丹十三さんですが、令和に「ロウバイ」を毎日観察している伊丹十三記念館スタッフがおります。わたくしです。
【伊丹さんの朝顔観察日記は伊丹十三記念館ガイドブックにも掲載されています】
昨年、記念館の庭に植え付けたロウバイは2月の初旬ごろから花芽をつけはじめました。その頃から出勤日にはほぼ毎日写真を撮って観察をして参りましたのでここで一挙ご紹介させていただきます。
上の写真は観察初日、2月7日のロウバイです。遠目にはわかりづらいですが、近づいてみると、枝先には黄色い「芽」が見えます。
翌日、2月8日。
2月10日
2月15日
2月16日
2月18日
2月21日
2月22日、上の方の枝と下の方、それぞれ少し花が咲いてきたのがおわかりいただけますでしょうか。
2月23日
2月27日
3月2日
3月3日
3月4日
3月6日
3月7日
3月9日
3月10日
3月11日
3月13日
3月14日
3月15日
そして、こちらが今朝3月18日のロウバイです。撮影を開始した2月の初旬と比較していただくと、随分花が咲いているのがおわかりいただけるかと思います。
2月7日のロウバイ
一般的に落葉樹の植え付けは寒い時期に行う方が良いと言われているのですが、諸々の事情により、このロウバイは植え付けが5月末になってしまいました。ですので、去年の夏の間、記念館スタッフは他の木々の何倍も水をやり、どの木よりも注意して見守って参りました。そんな我々の心配をよそに、1年目から見事に花を咲かせてくれました。
ご来館の折にはお見逃しなく、見ごろを迎えた記念館のロウバイをご覧ください。
スタッフ川又
2024.03.11 ミモザ
春らしく暖かな日もあれば、雪が降るほど寒い日もあり、体調を崩しやすい季節となってまいりましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
まだまだ寒さの沁みる日もありますが、記念館の横を流れる川辺の菜の花が咲いて見頃となってまいりました。ロウバイやユキヤナギ、トサミズキも花をつけ、記念館は春らしい装いです。
ロウバイ
ユキヤナギ
トサミズキ
春も近付く今日この頃、とある記念日の名前を様々なニュースサイトや新聞で目にしました。それが、3月8日の「国際女性デー」です。
「国際女性デー」とは国際機関によって定められている記念日で、女性の社会参加や地位向上、平等などを訴える日です。世界中で記念行事が開催されているほか、国内でも女性の社会参加や平等などについてのニュースが多数報道されました。
この「国際女性デー」は、別名「ミモザの日」とも言うのだそうです。
ミモザの日と呼ばれる所以は、「国際女性デー」の象徴として親しまれている花だからだそう。イタリアでは3月8日を「Festa della donna」(女性の日)と呼び、男性が女性に感謝の思いを込めてミモザを贈る日でもあるそうです。
最近、道端や公園などでミモザの花をよく見かけておりましたので、この可愛らしい花が「国際女性デー」のシンボルというのは、なんだか嬉しく思われました。
散歩中に見かけたミモザ
さて、記念館でミモザといえば、『ヨーロッパ退屈日記』にございます、「ミモザ」が思い出されます。伊丹さんが飛行機に乗ったら飲むと決めていたカクテルのミモザについてのエッセイです。エッセイでは言及されておりませんが、こちらのカクテルの名前の由来は、黄色い花をつけるミモザに似ているからだと言われています。
飛行機で思い出したが、ヨーロッパの朝食で、一番贅沢な飲物は何だと思う?
グレープ・フルーツ・ジュース、なんかじゃないよ。グレープ・フルーツは、日本では二、三百円、高い時には五百円なんていう時があったが、ロンドンでは、一等いいやつが、一個一シル、即ち五十円だ。
何といっても奢りの頂上は「ミモザ」ということになる。「ミモザ」というのは、シャンパンをオレンジ・ジュースで割ったものだ。
シャンパン、というのは嫌いな人が案外多いものだが、「ミモザ」を作ってすすめると、大概のシャンパン嫌いも、オヤ、という顔をして、どんどんお代わりしたりなぞするようである。
わたくしは、飛行機に乗ったら、飲物は「ミモザ」ときめている。
一等なら、シャンパンは全くタダなのだが、わたくしは滅多に一等には乗らない。短い航路ならともかく、ヨーロッパ往復で、二等との差額が二十何万円にもなっては、乗りたくても乗りようがないではないか。
ところで「ミモザ」の話だが、シャンパンは何も一等と限ったことではないのだ。二等だって、お金さえ払えば、税無しの、素敵に安いシャンパンが飲めるのです。
ポメリーの半壜が、七百円と少しくらいだったと思う。オレンジ・ジュースはタダだから、自分で半々に割って、ま、気楽に召し上がって下さい。
(『ヨーロッパ退屈日記』より「ミモザ」)
「ミモザ」の挿絵で描かれているレモン搾り器
現在は企画展示室にて展示されています。
こちらのエッセイに登場するミモザは、記念館のカフェでもお召し上がりいただけます。
カフェではシャンパンを単品でお取り扱いしております。シャンパンは200mlの壜でのご用意となりますが、シャンパンをご注文の際、ご希望のお客さまにはミモザ用のみかんジュースを1杯分ご提供させていただきます。エッセイの飛行機と同じようにお出ししておりますので、ぜひご自身で混ぜてミモザをお作りください。
シャンパンと1対1で混ぜるみかんジュースは、愛媛みかん、清見タンゴール、デコタンゴールからお選びいただけます。
伊丹さんも愛飲していた、春先にぴったりの爽やかなカクテルのミモザ。ぜひ、エッセイを思いながらお楽しみください。
〈お知らせ〉
開館17周年の記念イベントとして、収蔵庫ツアーを開催いたします!
収蔵庫ツアーは、普段は公開をしていない収蔵庫を学芸員がご案内するツアーとなっておりまして、収蔵庫の2階部分にございます展示室風に整えた収蔵庫展示をご覧いただけます。
イラスト原画や生原稿、愛用品の数々、湯河原の自宅のダイニングを再現したコーナーなど、伊丹さんについてより深く知っていただけるツアーとなっております。
収蔵庫内の様子
2022年の秋からメンバーズ会員様限定のツアーは再開しておりましたが、2019年まで開催していた周年記念イベントでの収蔵庫ツアーは、実に5年ぶりの開催となります。
開催期間は4月19日(金)、4月20日(土)、4月21日(日)の3日間。各日10時30分~と14時30分~の2回ずつ、計6回開催いたします。
ご参加には事前応募が必須となりますので、詳しくはこちらをご覧ください。
※定員を超えるご応募がございました場合は抽選となります。ご了承ください。
この機会にぜひご応募くだされば幸いです。皆さまのご応募、お待ちしております!
学芸員:橘
2024.03.04 伊丹十三記念館の「タンポポ」
記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。3月に入り、ますます春めいてきましたね。
記念館の中庭では、先週ビンカミノールが咲きました。今はまだ花は一つか二つですが、これから増えていき、合わせてタンポポの花が咲いたり桂の木が芽吹いたりと、中庭は徐々に色づいてきます。
ビンカミノール(ヒメツルニチニチソウ)
さて、これから開花が楽しみなタンポポですが、改めて「タンポポ」というと、皆さまは何を思い浮かべますでしょうか。
というのも、つい先日「『タンポポ』いいですよね~」と話すお客様がおられて、私はてっきり映画『タンポポ』のことだと思って映画の話をしましたら、実はお客様は記念館併設の「カフェ・タンポポ」のことを言っていた――なんてことがありました(かみ合わない会話をして、お客様にきょとんとした顔をさせてしまいました...)。
そういえば記念館にはいろいろな「タンポポ」があるなぁと改めて認識して、関連したものを集めてみましたので、皆さまにもご紹介いたしますね。
まずは映画『タンポポ』!
皆さまよくご存知の、伊丹十三監督映画作品です。記念館便りをご覧の皆さまの中には、もしかしたら真っ先に思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんね。
常設展示室でご覧いただける、映画『タンポポ』のポスターパネル。
このポスターのポストカードはショップで販売中です
そして展示室の出口を出て右手には「カフェ・タンポポ」があり、ここではタンポポの根っこを焙煎して作られたノンカフェインの「タンポポコーヒー」をお楽しみいただけます。
また、このカフェ・タンポポのガラスや、受付から中庭を望むガラスには、映画『タンポポ』で店の看板の絵に使用された、タンポポのイラストがプリントされています。
カフェ・タンポポの入口
タンポポコーヒー。見た目はコーヒーそっくりの、
"コーヒー風味"の飲み物です
ガラスにプリントされたタンポポイラスト
回廊を通って記念館のショップに来ますと、ガラスにプリントされたものと同じタンポポのイラストが使用された、一筆箋、封筒、ゴム印があります。
左から一筆箋(中身)、一筆箋(外)、封筒
タンポポのゴム印(左がSサイズ、右がMサイズ)
いかがでしょうか。記念館には思った以上に「タンポポ」があって、今更ながらびっくりしてしまいました。
ご来館の際は、ぜひそれぞれの「タンポポ」を見たり楽しんだりしてくださいね。
スタッフ:山岡
2024.02.26 『知恵泉』再放送!
寒くないのをありがたいと思うこともあったけど、冬らしくない冬だったなぁ、もう春が来てしまうなぁ、と惜しく感じられる今日この頃。
それでも朝の冷たい空気に触れると、心身がサッパリと洗われるようで嬉しくなります。「新鮮な空気はごちそうだね~」と胸いっぱいに吸い込みいざ出勤! と、ほどなくして伊丹さん言うところの"ラ・モルヴ"(※)が両の鼻からツツツ......春に先んじてスギ花粉の季節が到来......皆様いかがお過ごしでしょうか。
※ ラ・モルヴ : 詳細は『再び女たちよ!』所収のエッセイ「鼻の構造」でどうぞ
2月6日(火)、13日(火)の2週にわたって放送されたNHK Eテレの『先人たちの底力 知恵泉(ちえいず)』、多くの方がご覧くださったことと存じますが、「しまった、放送も配信も見逃した!!」という方も少なくないと拝察いたします。
そんな見逃しさんに朗報、再放送のスケジュールが発表されました!!
メモのご用意を――いえ、今すぐ録画予約しましょう、リモコンのご用意を!!
『先人たちの底力 知恵泉 伊丹十三 人を魅了するには』
NHK Eテレ
前編:2024年3月2日(土)14:00~14:45
後編:2024年3月2日(土)14:45~15:30
前後編連続で週末に再放送されるのは『知恵泉』のスケジュールでは珍しいケースですね。
たくさんの方が伊丹さんの知恵と底力に触れて、活力にしてくださることを願っております。
撮影班のみなさん。アレコレ話し合う場面あり、
阿吽の呼吸が発動する場面もあり、
プロの仕事は見ていて面白い!
ところで。
わたくし、記念館での館蔵品撮影のお手伝いのほか、ほんの少しだけインタビュー出演させていただいたのですが、自分の話しぶりたるや、何ともはや、な仕上がりでした。
収録の時には「私にしては落ち着いてお話しできているぞ~」と思っていたのに、放送された映像の中の自分の姿は、一言発するごとに謎の"頷き"を繰り返していて......まるで赤ベコ。
「誰に対する頷きなんだ!」とセルフ・ツッコミをした後、「あ、自信のなさが、頷きの動作になってあらわれているんだ......いわば、自分に対する確認というか......」と気付きました。自分を外側から観察するというのはなかなかに厳しい作業でありますが、話し方も大事ですね。精進します。
というわたくしの赤ベコぶりはさておき、『知恵泉』前後編を視聴しての感想――
ゲストのみなさんお一人お一人のお話に感銘を受けつつ、「みんなで伊丹さんについてワイワイ語っている様子を眺めるのは、やっぱり楽しいなあ、大好きだなぁ」と感じました。
『知恵泉』再放送、ぜひご視聴ください!
3月2日土曜日、NHK Eテレで14時スタートです!!
・・・・・・お知らせ・・・・・・
2024年2月26日(月)~3月1日(金)
空調工事のため臨時休館させていただきます。
何卒ご了承くださいますようお願い申しあげます。
学芸員:中野
2024.02.19 NHK Eテレ『先人たちの底力 知恵泉(ちえいず)』の反響など
記念館便りをご覧のみなさまこんにちは。
2月も終盤にさしかかり、ここのところ暖かい日が続いている松山です。
さて、皆さま、以前より記念館HPでも告知させていただいておりました2月6日(火)と2月13日(火)放送のNHK Eテレの教養番組『先人たちの底力 知恵泉(ちえいず)』をご覧いただけましたでしょうか。
「伊丹十三 人を魅了するには」と題し、2月6日(火)には「前編」、2月13日(火)には「後編」と、2週にわたって伊丹さんの特集が組まれました。
やはり記念館においても「知恵泉」の反響は大きく、6日の「前編」放送後の2月10日からの3連休は多くのお客様で賑わいました。
伊丹さんといえば何と言っても映画監督としての顔が一番有名であるかと思いますが、「前編」では映画監督になる前の仕事である「エッセイスト」や「テレビマン」時代の伊丹さんについて深く語られており、宮本信子館長のインタビュー盛りだくさんの「後編」とあわせて、ともに大変ディープな内容で見応えがありました。
番組を見逃した、という方、再放送や見逃し配信等でご覧いただけるようですので是非お調べください。
NHK Eテレ『先人たちの底力 知恵泉』
https://nhk.jp/chieizu
↑ 番組内容等詳細はこちらから。
一人でも多くの方にご覧いただきたい番組でしたので、是非番組HPをチェックしてみてください。
スタッフ:川又