こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。
2025.11.03 収蔵庫ツアーの思い出
今日、11月3日は文化の日。
文化イベントや、博物館・美術館の無料開館にお出かけになる方も多いのではないでしょうか。
伊丹十三記念館はと申しますと、本日までの3日間、「メンバーズカード会員様限定の収蔵庫ツアー」を開催しています。※メンバーズカードの会員様に事前にお申し込みいただいての開催です。ご了承ください。
「収蔵庫ツアー」とは何か。
記念館の収蔵庫の2階には「展示風収蔵」になっている5つのコーナーがございまして、直筆の原稿・原画、衣類、食器などの愛用品や書籍が収められています。"伊丹邸の一室の再現"もあります。
この5つのコーナーの収蔵品をご覧いただきながら、さまざまなものが宿した「いかにも伊丹さんらしい」あるいは「意外な」エピソードを学芸員が解説する催しです。
"周年記念イベント"としての開催が毎年春にあり、事前応募制で定員を超えた場合は抽選となります。
そのほか、メンバーズカード会員様には、抽選なしで必ずご見学いただける機会を年2回(2025年11月現在)設けております。
さて、この収蔵庫ツアー、「ご参加のお客様を学芸員がご案内する」というかたちを取っておりますが、ご案内する側である私たちのほうが教えていただくこともたくさんあって、さまざまに勉強を積ませていただいております。
特定の分野にお詳しい方から収蔵品に関する知識を授けていただくこともありますし、素朴なご感想に「そういう見方もありますね!」と新たな視点をいただくこともあります。
あれは何年前だったでしょうか――
収蔵庫をご見学中に「今の10代の子たちに伊丹さんの存在を知ってほしいですね、きっと楽になるんじゃないかな」とおっしゃった方がありました。
なぜそうお感じになったのかお尋ねしたところ、「今の子たちは、かなり早くから将来の道を決めて、効率よく駒を進めていかなくてはいけない。そういう中で育てられているので、とても息苦しいと思うんです。だから、伊丹さんの生き方にふれて『いろいろやっていいんだ』と分かったら、気持ちが楽になるんじゃないかと思ったんです」とのこと。
収蔵庫ツアーは「伊丹十三をより身近に感じていただける催し」を謳い文句にしているのですが、このお客様は「自分にとっての身近」を超えた「他の誰かにとっての身近」をも考えていらしたわけですね。
私がご提供に努めてきた「身近」のあり方は浅かった、と思い知った出来事でした。
と、このように非常に真面目なお話をすることもありつつ、基本的に「ものを見ながらとにかく楽しくおしゃべりする」気軽なイベントです。
どなた様でもご応募いただける開館19周年記念のツアーは、次回は2026年4月の開催を予定しています。
2月に募集告知をお出ししますので、ご興味のある方、ぜひまたホームページを覗きにいらしてくださいませ。
学芸員 : 中野
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