971年、テレビマンユニオンが制作する人気テレビ番組『遠くへ行きたい』に出演して以来、伊丹十三はテレビの可能性と面白さに目覚めます。当時、やや沈滞の気配のあった日本映画よりも、自由があり、小回りが利き、可能性が開かれている、と直感的に見抜いたのかもしれません。特に番組制作会社テレビマンユニオンとは、番組をいくつか作るうちに信頼関係が深まり、出演者であることにとどまらない、どちらかと言えば重要な製作スタッフとして、新しいタイプの番組作りに共に挑戦するようになります。小さな枠には収まりきれない伊丹十三の多彩な才能のひとつが、ここでも大きく花を咲かせることになったと言えるでしょう。
ちょうど同じ頃、伊丹十三のエッセイには「人に会って話を聞く」スタイルが急速に増えています。テーマに選ばれているのは「歴史」。とくに第二次世界大戦下の日本を主題としたものを取り組んでいたようです。テレビの仕事にも「歴史」のテーマが見え隠れするようになり、ドキュメンタリー・ドラマの秀作にも関わりました。伊丹映画のテーマが社会性を帯びるようになった下地は、この頃から培われていたのかもしれません。
テレビマンユニオン
伊丹十三が関わったテレビ番組の面白さの一つとして、ドキュメンタリーとフィクションとの境界線へ果敢に挑戦していったことが挙げられます。 |
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入念な調査・解釈
番組製作にあたっては綿密な準備を行ない、圧倒的な取材力で対象に迫っていきました。 |
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記念館の展示・建物