記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2011.10.29 本について

早いものでもう秋に入り、記念館のある桂の木が秋らしく茶色になっています。みなさまはいかがお過ごしでしょうか。秋はスポーツを楽しむのも良いですし、食べ物も楽しめますね。また読書の秋でもあるかと思います。私は読書が好きでして休日は文庫本を持ち出してカフェでゆっくり読書を楽しんでいます。伊丹十三の本もいくつか読んでいます。

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私の友人や家族の間では伊丹十三は映画監督として有名のようで昔から本を書いていたことがあることを伝えると少し驚いていました。伊丹十三が今までに体験したことや日常で感じる疑問をユーモアある表現で読者が想像しやすいようにとても丁寧に書かれています。またカバー装画も伊丹十三である本がほとんどで伊丹十三のこだわりを感じます。

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そんな伊丹十三の色々ある本の中で私が好きな本は『女たちよ!』です。『女たちよ!』という題名ですが、スパゲッティの召し上がり方やクルマの正しい運転方法など日常の振る舞いについて伊丹十三が感じたことが読み手が楽しくなるような文章と挿絵で書かれています。この本の中で私が特に共感した文章をご紹介します。『しかし、ほんとにいやな性能を持って生まれてきやがったね、蚊というのは。要するに、刺すのは血が欲しいからで、いやがらせのためじゃないんだろう?だったら、それならそれで、もっとへりくだった気持にはなれないものかね。たとえば刺されたあと、なんで人間が痒い(かゆい)思いをしなけりゃならんのかね。完全に無駄です。いや、刺されることも、痒いこともまだ我慢しようと思う。どうにも我慢がならんのはあの音であります。そもそも、自分の居場所を人間に知られるだけ損だし、第一危険ではないか。なにを考えてるのかね、蚊というのは。やることが支離滅裂である。』『女たちよ!』新潮文庫97ページ引用

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この文章を読んで「確かに!」ととても共感しました。私はよく蚊にかまれます。夜寝ている間に蚊に耳元で音をたてられて起こされたこともありました。読んでいて思わず少し笑っていました。ユーモアある内容にきっと共感できることがあると思います。みなさまも是非読んでみてくださいね。

スタッフ:井川