こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。
2011.03.21 春の気配
みなさま こんにちは。多胡です。
あったかくなったと思ったら急に雨が降ったり風が吹いたりで真冬のコートと春先の軽いコートととっかえひっかえ着ているこのごろです。とは言え日は少しずつ長くなり春らしくなってきています。記念館の周りには川が流れているのですが河原は今、菜の花でいっぱいです。晴れた日には、この菜の花が川の水にも映っていて花の黄色と水面に映った黄色い帯が二段構えでまぶしいくらいです。
春といえば今年、久しぶりに(数えてみますとなんと23年ぶりでした。)お雛様を出しました。少しでも長く眺めていたくて旧暦のひなまつり(今年は4月5日が旧暦の3月3日あたります。)まで出しておくことにしました。というわけで我が家には今もお雛様が並んでいます。幼少期、我が家は転勤族でしたので「段飾りではなくガラスケースに入ったお雛様を痛まないよう布でくるみ段ボール箱に入れて転勤先へ向かうトラックの荷台に載せて運んだのよ」と母から聞かされました。
長くお雛様をしまいこんでいた期間も色んなところでいろんなお雛様を眺めましたが自分の家のお雛様は久し振りに出してみるとこれはまた別の感慨がありました。雛祭りケーキについていた砂糖でできたお雛様をこのガラスのケースの中に一緒に入れて飾ったり折り紙で折った枡に雛あられを入れてガラスケースの前に置いたりしていると「ゴキブリがくるよ!」(何とも現実的な指摘ですね...)と叱られたこと、一年の内ほんの短い時間しかダンボールから出されることのないお内裏様の二人にひそひそ話しかけたり、夜寝る前に「おやすみ!」と声をかけて布団に入っていたことなどを思い出しました。
雛人形や五月人形は生まれてきた子の健やかな成長を願ったもので「一生の災厄を人形に身代りさせる」などの意味合いがあるものなのだそうですね。
記念館にも可愛らしいお人形があります。「張り子の犬」です。安産と子育てのお守りなのだそうで伊丹十三が生まれたときに父 万作が油彩で描いているのと伊丹十三自身も子どもが出来た時に知り合いの方から贈られたという経緯が有り記念館のグッズ売り場で復刻したものを販売しています。福島県の会津若松の職人さんがひとつひとつ手作りしてくださっています。福島も現在、本当に大変な事態になっています。張り子の犬を作ってくださっている職人さんやご家族のみなさまがどうか無事でおられますよう。
スタッフ:多胡
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