こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。
2011.04.04 初心忘るべからず
記念館だよりをご覧のみなさま、こんにちは!春ボケしている木山です。
春といえば、出会いと別れ、旅立ちの季節ですね。この春、新生活を迎えられた方も多いのではないでしょうか。
私はこの季節になると、19年前ひとり田舎から松山へ出てきた日のことを思い出し、期待と不安の入り交ざった気持ちがよみがえります。今、あの時自分が感じたような思いを持ってがんばっている人がいると思うと、「がんばれ!」と応援したくなります。
私は高校卒業と同時に松山へ出てきて、15年間会社勤めをし、退社した翌日から開館準備中の伊丹十三記念館で働かせていただいております。入ったばかりの頃は右も左もわからず、ただ無常に時間が過ぎていき、焦りと不安と緊張といろんな味わったことのないような感情が私の体の中で渦巻いていました。
私はカフェを担当させていただく事になったのですが、カフェをたちあげることは初めての経験で、何からしていいのかわからない状態でした。況してこのような記念館は様々な申請や登録など大変な作業が山積みで、当時まだ4名しかスタッフが在籍しておらず、それぞれが自分の担当の仕事で日々追われていました。
4月に入りスタッフも増え、気持ちにもほんの少しだけ余裕がでてきました。それでも作業は山積みでバタバタした毎日を送っていました。「なんでも前向きに楽しもう!」が私のモットーだったのに、楽しむのを忘れていました。
先日、引き出しの整理をしていたら、オープン前に使っていたノートがでてきました。今日やるべき事や原価計算や、伊丹さんについての勉強や、時には自分に喝を入れる一言が書かれてあったり毎日いろんな事をびっしり書いていました。
その中に、宮本館長からのお話を聞きながら、走り書きしたページがあり「厳しければ厳しいほど達成感がある」と大きく書かれていました。よっぽど胸に響いたのか、目立つように線が引かれていました。以前勤めていた会社では15年在籍していてえらそうにしていた分、その当時、新しい環境で新しい事に取り組み厳しい状況だと苦しんでいたんだと思います。そんな時、この「厳しければ厳しいほど達成感がある」という言葉に救われたのだと思います。その次のページから単純な私が張り切っている様子が伝わりました。
2007年5月15日、オープン初日2階の窓からそっと外をのぞいてみると長蛇の列ができていて、こみあげる涙と全身が震えるほどの感動を今でも覚えています。がむしゃらにがんばっていなかったら、あの感情は生まれていなかったかもしれません。
オープン当時を思い出し今一度初心にもどり精一杯がんばろうと思います。
スタッフ:木山
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