こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。
2019.09.30 鉛筆派のシャープ・ペンシル
前回、「伊丹十三は鉛筆派」というお話をいたしました。
が、実はですね、1980年代中頃からはシャープ・ペンシルも愛用していまして、たとえば――
≪常設展示室より≫監督第2作『タンポポ』
(1985年)のポスター複製パネル
このポスターのイラストの部分、伊丹さんがシャープ・ペンシルで描いたものなんだそうです。
≪カフェ・タンポポに原画を展示しています≫
伊丹さんがこれを描いているところに居合わせたという
玉置泰館長代行(伊丹プロダクション社長)から聞きました。
記念館では、伊丹十三が愛用したモンブランの「PIX 75」と「1686」を所蔵しています。
シャープ・ペンシルといっても、一般的なものに比べると倍ぐらい太い芯を入れるタイプなので、鉛筆派の伊丹さんにピッタリの書き味だったのでしょうね。
≪収蔵庫より≫並んだペンの一番手前が「PIX 75」、その奥が「1686」です。
(※収蔵庫ツアーは事前応募制で毎年5月に開催しております)
ちょっと前、『マルサの女2』(1988年)のメイキングビデオ『「マルサの女2」をマルサする』を観ていて、「おっ!」となりました。PIX75を使っているところが写っていたのです。
『「マルサの女2」をマルサする』(1988年 / 制作=テレビマンユニオン、
伊丹プロダクション / 構成・演出=周防正行)より。
シナリオをコリコリと手直ししているところです。
伊丹映画の制作現場に密着取材したメイキングは『タンポポ』から『大病人』まで6本作られていて、「あ、コレ、記念館の収蔵品だ」「実際に愛用していた様子がこんなふうに映像に残ってたんだ」というシーンにしばしば出くわします。
もともとは、映画作りの裏側を楽しく知ることができるドキュメンタリーとして作られたものなのですが、今あらためて観てみると「その時その時の伊丹十三の姿を捉えたアルバムのような側面もあるなぁ」と感じます。
近年、伊丹さんの独特のお洒落に注目してくださる方が増えつつあるようなので、そんな方々にも伊丹映画のメイキングをお勧めしたいと思います。きっと、たくさんの嬉しい発見があることでしょう!
いろいろな方にいろいろにお楽しみいただけるメイキング映像は、「伊丹十三FILM COLLECTION Blu-ray BOXⅡ」の特典ディスクに一挙収録されています。
皆様、ぜひご覧くださいませ。
「伊丹十三FILM COLLECTION Blu-ray BOXⅡ」(写真右)の特典ディスク
【伊丹十三映画ができるまで】には、メイキング6作品のほか
『静かな生活』『スーパーの女』『マルタイの女』の
撮影現場の様子やインタビューも収録されています!
学芸員:中野
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