こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。
2019.09.09 鉛筆派
先日のこと。
外出先でメモを取るのに鉛筆を使っていましたら、「ペン忘れたんですか!? よかったらこれどうぞ!」とボールペンを差し出されました。いえいえ、鉛筆派なので...これでいいんです...スミマセン。
このお仕事をしていますと、資料の汚損・破損を避けるために、インクペンやシャープペンシルを使えないシーンが多々あります。気付けば鉛筆派になっている、っていうのは"学芸員あるある"かもしれません。
それから、よその博物館や図書館へ行ったときにも、ペンしか持っていないと困るんですよね。お願いすれば貸していただけるとはいえ(もちろん、記念館でもお貸し出しいたします!)、すぐにその場で書き留めてしまいたいことってあるじゃないですか。
そんなこんなで、休みの日もペンより鉛筆を持ち歩くようになったのですが、「ペン忘れたんですか!?」と言われるところからすると、いい大人が、いつ何時でも、しかも人前で鉛筆を使うのって、ちょっと変なのかもしれません。
「気を遣われるのも何だしなあ」と、あらたな筆記具を求めて文房具屋さんを物色しにいきました。
結果――
どーーん! 消しゴムつき!
携帯に便利そうな、スマートなペンも買ってみたんですけどねえ、トンガった感じとか、金属製の角張ったパーツとか、手ざわりがどうも...じきに使わなくなるのが目に見えるようで...やはり鉛筆を買ってしまうのでした。ダースで。
ユニを買ったのは、塗装がちょっとポッテリとしていて感触のやわらかさが好き、というのもありますが、伊丹さんの真似っコでもあります。
≪常設展示室より≫伊丹十三愛用の筆記具。
三菱鉛筆のユニが特にお気に入りだったそうです。
(ちなみに、緑色の鉛筆も同じ三菱鉛筆の「9800」です。)
芯の濃さは2Bが定番。
原稿もメモも絵コンテも、書き仕事では鉛筆派だった伊丹さん。
展示室では、鉛筆書きの直筆資料をいろいろとご覧いただけます。
≪常設展示室より≫映画『お葬式』シナリオ準備稿
≪企画展示室より≫エッセイ「薯焼酎」草稿
≪常設展示室より≫映画『タンポポ』絵コンテ
コリコリとしたためられた文字あり、サラサラっと描かれた図もあり。伊丹十三の創作現場が自然と想像されるようですね。
ご来館の際は、そんな鉛筆の線までもぜひお楽しみくださいませ。
学芸員:中野
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