こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。
2019.03.11 ヨメナ
春が近づいてくると思い出す、伊丹万作「愚問愚答」のこの一節――
問 一番おいしい野菜は。
答 よめな。
「愚問愚答」『伊丹万作全集』第1巻(筑摩書房、1961年)
ヨメナ(嫁菜)というのはキク科の多年草で、いわゆる野菊の一種。花が咲く前の若葉は食用にでき、春菊のような、春らしいほろ苦さが好まれているそうです。
伊丹万作全集を初めて読んだときは「ヨメナ?? 見たことも聞いたこともないや」と分かりませんでした。そして今もまだ、不勉強ながら、食べたことはありません。
菜めしやおひたしにして食べると美味なんだそうですが、栽培・販売される種類の野菜ではなくて「摘んでくる」もの、野草なんですね。
雑誌『映画藝術』の伊丹万作追悼特集に13歳だった伊丹十三が寄稿した「父ノ思ヒ出」にも、「父ノ大好物ノ嫁菜」を一緒に摘みに行ったときのエピソードがつづられています。よっぽど好きだったんですねぇ。(この文章を現代かなづかいにした「父の思い出」が『ぼくの伯父さん』に収録されています。)
伊丹万作が「一番おいしい」と言ったヨメナ、どんな野菜なのでしょうか。野草摘みをしたことのない私でも、見つけられるようなものなのでしょうか。
そんな春先のある朝、出勤してまいりますと、記念館の前を流れる川附川(かわつけがわ)の土手に一人の男性がかがみこんで何やらやっているのが見えました。
このへんでした!
ガードレールをまたいで道路に戻り、去っていった男性の手には、草が握られていましたから、どうやら野草摘みをしていたようです。
もしかしたら、ヨメナだったかもしれない! と思うと、気になって気になって、通るたびにジーーっと見てしまう今日この頃です。
ここにヨメナが!?
(国道から近く、川沿いの道路はワンちゃんたちのお散歩コースに
なっているので、食用の野草摘みには適さない気もしますが...)
さて、明後日3月13日(水)の「毎月十三日の十三時は記念館で伊丹十三の映画を観よう!」は『マルタイの女』(1997年)です。
これまで10作品を公開年順にご覧いただいてまいりましたが、2016年に開始してから3巡いたしましたので、来年度は少し変更しまして、以下のようなスケジュールでご覧いただこうと思います。
伊丹映画@記念館
2019年度のスケジュール
4月13日(土)マルサの女
6月13日(木)マルサの女2
7月13日(土)ミンボーの女
9月13日(金)スーパーの女
10月13日(日)マルタイの女
11月13日(水)お葬式
12月13日(金)タンポポ
1月13日(月祝)あげまん
2月13日(木)大病人
3月13日(金)静かな生活
まず「女シリーズ」を公開年順に5本、それから、女シリーズ以外の作品を公開年順に5本、のスケジュールでございます。
5月と8月をのぞく毎月「十三」日の「十三」時にご来館いただきますと、通常のご入館料(大人800円 / 大高生500円)のみで、展示に加えて伊丹映画を1本まるごとご覧いただけます。お時間をたくさん取って、ぜひご来館くださいませ。
学芸員:中野
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