こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。
2017.02.20 大切なお知らせ 2
2月4日(土)から5日(日)にかけて日本映画専門チャンネルで放送された「24時間まるごと 伊丹十三の映画」、いかがでしたでしょうか?
伊丹十三特集はこれから長期にわたって放送していただく予定です。「24時間まるごと」を見逃してしまって地団駄踏んだ方も涙を流した方も、先週末から始まったレギュラー放送で、1作品ずつお楽しみください。
こんどの放送予定は――いいですか、メモのご用意はできましたか、大切なお知らせですからね、絶対絶対メモしておいてくださいね!!
3月11日(土)夜9時から
『タンポポ』
『タンポポ、ニューヨークへ行く』
『伊丹十三の「タンポポ」撮影日記』
の豪華三本立て!!
「24時間まるごと」のプログラムには入っていなかったメイキング『伊丹十三の「タンポポ」撮影日記』が加わって、いっそうにぎやかなタンポポ・スペシャルです。
メモしましたか!? 録画の予約も「あとで」と言わずに今すぐ入れておいたほうがいいですよ!!
次回が二度目の放送となる『タンポポ、ニューヨークへ行く』は、このたびの北米リバイバルと30年前のアメリカでのヒットに関わった人、作品のファン、映画館のお客さんにインタビューして「アメリカ人は『タンポポ』をどう観るのか、どこをどう面白がるのか」を追ったドキュメンタリーです。
この番組を観ていて、インタビューに応じている方が、全員、愉快そうに『タンポポ』について語っていること、しかも、のびのびと、確信をもって語っていることに感銘を受けました。
前回、『タンポポ』について「一番好きな作品」と言ってくださる方がたくさんいると書きました。でも、実は「話の筋から逸れるシーンがたくさんあるから、作者が何を主張したいのか分からなくて戸惑う」とおっしゃる方が多い作品でもあるのです。
アメリカの人々が、それぞれの職業や経歴で培った見方に従って『タンポポ』を楽しみ、自由におしゃべりする様子を見ていて、「正しく"解釈"しなくちゃ、異国の映画だし」というような、委縮した態度や遠慮した表情がまったくなかったことは、痛快ですらありました。(そして、ついついミミッチクなりがちな自分の映画の見方を反省......)
伊丹十三は、J.P.サルトルの文学論を映画作りに"転用"して、こんなふうに語っています。
われわれは映画を半分しか作れない。そして、残りの半分の完成を観客の配慮にゆだねるため、観客の自由に対して映画を作る、ということです。(『「お葬式」日記』より)
『伊丹十三の「タンポポ」撮影日記』にも登場するフレーズですが、「"残り半分の完成"ってこういうこと、難しくないし、とても楽しいことですよ」と海の向こうの人々にお手本を示していただいて、映画というものの素晴らしさを再認識しました。
『タンポポ、ニューヨークへ行く』、ぜひご覧ください。
≪伊丹十三による書き込みのあるサルトル全集≫
サルトルからの"転用"については、
企画展で詳しくご紹介しています。こちらもぜひ!
学芸員:中野
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