記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2013.12.23 新企画展スタートいたしました!

師走も終盤となりました。みなさま、お元気にお過ごしでいらっしゃいますか。

ワタクシのほうは、このところの日々を、脚が攣っているにもかかわらずプリンターまでのたった5メートルの距離さえ走らずにはいられないような有り様で過ごしてまいりました。12月20日(金)にスタートした新企画展の開展準備のためでございます。

「メイキング・オブ『お葬式』」、「メイキング・オブ『マルサの女』」、「父と子 ― 伊丹十三が語る父・伊丹万作の人と芸術 ―」に続く企画展第4弾は、伊丹十三の「旅」がテーマです。

旅の時代 ― 伊丹十三の日本人大探訪 ―」と名付けました。


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ちょっとすみません、自画自賛させてください...
...いやぁ、我ながらいいタイトルを思いついたものです。



伊丹十三の映画作品には独自の「日本人論」が込められています。
監督デビューを果たしたのが51歳のときで、それまでにさまざまな仕事を経験しているわけですが、伊丹十三が日本人論にたどりつくまでの道のり、いわば「伊丹十三の日本人への旅」とでも申しましょうか、その過程で大きな転機になったのは、テレビ番組や著述の仕事で旅をして、全国津々浦々で日本人のいとなみにふれたり、日本人のルーツを探ったりしたことだったと思うのです。

映画のメイキング展示をふたつ続けてやったあと、「父と子」展では「メイキング・オブ・伊丹十三」のようなことをやりましたけれども、今回はその続編のような流れになりました。


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ごあいさつパネルも気に入っています


なーんて言うと、すごく真面目くさった堅っ苦しい企画みたいですね......でも、そんなことはまったくなくて、つまり何がしたかったかというと、ただただ「伊丹さんが旅をしながら日本人について考えて表現したことがとっても面白いから、それをまとめてみたらうんと面白いから、みなさんに見ていただきたい!」ということです。


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展示室の様子


「父と子」展は多くの方からご好評いただきましたので、名残惜しい気持ちは私にもございますが、この新しい企画展にも興味深い資料をたくさんお出ししています。
記念館で伊丹さんと旅をしているような気分になっていただけましたらとっても嬉しいです。スタッフ一同、みなさまのご来館をお待ちしております。


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現在展示中の直筆原稿


さて、2013年の記念館便りは今回でおしまいでございます。また来年お会いいたしましょう。よいお年をお迎えください。
それではお手を拝借......いよぉーおッ、ポン!

学芸員:中野

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<年末年始の開館・休館のお知らせ>

  • 年内の最終開館日は12月27日(金)とさせていただきます。
  • 12月28日(土)~1月1日(水)は休館させていただきます。
  • 1月2日(木)、3日(金)は開館時間を10時~17時(最終入館16時30分)とさせていただきます。
何卒ご了承くださいませ。

2013.12.16 年末に向けて

記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
早いもので、2013年も残すところあと半月となってしまいました。 この時期、年末年始に向けて仕事に家事に、お忙しい毎日をお過ごしの方も多いのではないでしょうか。

 
年末といえば(クリスマスを飛び越えて恐縮ですが)、お正月準備の大仕事のひとつ、大掃除がありますね!お店に行くとお正月用品の横に数々のお掃除グッズが並んでいて、見るたびに「年末だなぁ。掃除の時期だなぁ」としみじみしてしまいます。いよいよ年の瀬が近付けば、あちこちで、家中をぴかぴかに磨き上げる方々を目にするのだと思います。

 

さて、記念館はというと...

 

記念館では朝、出勤スタッフ全員が手分けして、開館準備とともに受付やカフェ、外回りや中庭、トイレを中心に掃除を行っています。
掃除機をかける、テーブルやガラスや窓を拭く、落ち葉を掃く、草むしりをする...等です。
その他、その都度気になるところをきれいにして、記念館にお越し下さるお客様をお迎えしています。

 

そして年末、また季節の変わり目などには、多くのご家庭と同様、日々の掃除以外に「毎日ではないものの、機会をみて定期的に掃除しておきたい箇所」をメインに掃除を行います。
例えば革製・木製家具のワックスがけ、エアコンや換気扇のフィルター掃除、ゲートや鉄製ドアの洗浄、排水溝や樋の掃除等です(やりなれないぶん時間がかかったりとなかなか手ごわかったりもするのですが...)。


これから年末にかけてしっかりと掃除を行い、新年、また新たな気持ちでお客様をお迎えできるよう頑張りたいと思います!

 

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今度の日曜日、22日は冬至ですね。冬至といえば、我が家ではかぼちゃの煮物を食べて湯船にゆず(一番下の写真です)を丸ごと浮かべますが、皆さまのご家庭ではいかがでしょうか。

冬至は一年の間で昼が最も短く夜が最も長くなる日で、このころから寒さが一段と厳しくなると言われています。
皆さま、どうぞ体を温かくして、栄養あるものを食べて、元気にお過ごしくださいね。

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 スタッフ:山岡

2013.12.09 「みなさまの声」

記念館にお越しくださったお客様に、「当館への感想をお寄せになりませんか?」とお伺いしております。ご協力くださる方には用紙をお渡しし、カフェや受付でゆっくりご記入いただきます。こうして集まったみなさまのご感想は、ご本人の了承を得た上で、当サイトの「みなさまの声」ページに掲載いたします。

 
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ご了承くださったお客様に限り
お写真の撮影・掲載も行っております


ご来館前に「みなさまの声」ページをご覧になられた方からは、「記念館の雰囲気が分かり、来館のきっかけになりました」というお声を、ご来館時に感想をお寄せくださった方からは、「良い記念になりました」というお声をいただいております。

掲載しているメッセージの一つ一つが、記念館スタッフの励みになっています。同時に、お客様ご自身が「みなさまの声」ページを楽しんでくださっていることを、大変嬉しく思っております。

また、丁寧に感想をご記入くださるお客様のお姿を拝見しておりますと、「私も、日々感じたことをもっと大切にしよう」と思うようになりました。

たとえば、記念館や美術館を訪れたとき。

鑑賞直後は、鮮明な記憶とともにたくさんの感想が心にありますが、時が経ち記憶があいまいになるにつれて、自分の考えも少しずつぼやけてしまうことがあります。一言二言でも良いから、自分なりの言葉にして残しておくことが大切なのかもしれない......そう思えるようになったのは、これまでに感想をお寄せくださったみなさまのおかげです。

引き続き、ご来館くださったみなさまにはお声をかけて参りますので、是非感想を言葉になさってみてくださいね。

これからも、「みなさまの声」をよろしくお願いいたします。

 

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先日、宮本館長からスタッフへのプレゼントとして、木製のツリーオフジェが届きました。とっても可愛くて、一足早めにクリスマス気分です!

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記念館からのお知らせ 

【展示替え】

企画展示終了に伴う展示替え作業のため、12月11日(水)~19日(木)は企画展示室を閉室します。この期間中は、入館料大人500円/高・大学生300円で、常設展示室のみのご鑑賞となります。何卒ご了承くださいませ。※17日(火)は休館日です。 

【年末年始】

12月28日(土)~1月1日(水)は休館させていただきます。
1月2日(木)、3日(金)は開館時間を10時~17時(最終入館16時30分)とさせていただきます。

スタッフ:淺野

2013.12.02 

学生の頃からの友人に、たいへんな猫好きがいます。 

 

猫がいない生活なんて考えられない!というのが口癖で、学生時代にはペット禁止のアパートに住んでいたにも関わらず(経済面から引越しは難しかったとのこと)、管理人さんに内緒で猫を飼っていました。
しかしいつの間にか管理人さんに見つかって、こっぴどくしかられ、一時的に預かってくれる人を探して、ほとぼりが冷めたら引き取って、またしばらくして管理人さんに見つかって...を何度か繰り返したようです。ただ、もともとその猫が捨てられていたのを彼女が引き取ったこと、おとなしい猫だったこと、何より彼女の熱心さに、最後には管理人さんも「しょうがないなぁ」と許可したのだとか(ちなみに猫の名前は「肉じゃが」といいました。自分の好きなものの名前をつけたそうです)。
家に遊びに行くと、彼女の部屋はいつも猫の写真でいっぱいでした。よく「私と肉じゃが(猫)を撮って!」とお願いされて、彼女と猫の仲睦まじい様子をカシャカシャと撮っていたのを覚えています。
今は遠くに住んでいますので気軽に遊びには行けませんが、おそらく今も、部屋には猫の写真が溢れているんだろうなぁと思います。
 

さて、大の猫好きの伊丹さんの著書『再び女たちよ!』(新潮文庫)に、こんな文章があります。


 私は猫を一匹飼っている。
 いや、この表現は正確ではない。私の気持ちの中では、猫は人間と対等の位置にある。
日本語の便宜上「猫を一匹飼っている」と、書きはしても、私は、うちの猫のことを、一度も「一匹」と思ったこともなければ、また「飼っている」と感じたこともない。
 強いていうなら、私は、一人の猫と共に住んでいる、とでもいうべきだろう。...(以下略)
                                     (『再び女たちよ!』-猫-)

 

これを読んだとき、「同じようなことを言っていたなぁ」と、真っ先にその友人を思い浮かべたものです。

 

ご存知の方も多いと思いますが、猫好きの伊丹さんは愛猫をたくさん絵に描いています。記念館の常設展示室「十 猫好き」のコーナーには、そんな素敵なイラストをたくさん展示しておりますので、ぜひじっくりご覧になってくださいね。

 

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【写真:常設展「十 猫好き」のコーナー】

 

また、記念館のグッズショップでは、伊丹さんが描いた猫のイラストをもとにした商品をご用意しております。 

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【写真:ポストカードと缶バッジ。このほか、ゴム印やTシャツもございます】

 

オンラインショップからもお求めいただけます(→コチラ)。ぜひチェックしてみてくださいね。

 

<<記念館からのお知らせ>>

 

2010年12月より好評いただいておりました企画展「父と子-伊丹十三が語る父・伊丹万作の人と芸術-」も、残すところあと1週間となりました。
子・伊丹十三の言葉を通して知る、父・伊丹万作。
引き続き、皆さまのお越しをお待ちしております。

 

●12月11日~12月19日は、展示替えのため企画展示室を閉室いたします。
 ※12月10日は通常休館日です
●この期間中は、入館料大人500円、高・大学生300円で、常設展示室のみのご鑑賞となります。


スタッフ:山岡

 

2013.11.25 桂の樹

田舎育ちの私の子どもの頃の記憶は、そのほとんどが「山・川・樹・花」とセットになっています。

「田植え前のレンゲ(ゲンゲ)畑でレンゲ草に囲まれていた」のが人生最初の記憶です。3歳頃のことなのですが、花に囲まれながら笑っていたことを、はっきりと憶えています。

今の季節、山々の紅葉を目にすると思い出すのは、秋の里山を駆け回っていた小学生の頃のこと。樹や花に出会うと嬉しくなって、何かのスイッチが入ったかのように そこら中を走り回っていた私は、いつも膝小僧が傷だらけでした。

記念館の中庭の桂の樹も見事に黄葉し、秋の見頃を迎えています。

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記念館便りでも何度かご紹介させていただきましたが、並んだ二つの枝が「伊丹さんと宮本館長」を象徴的に表しているこの樹は、記念館になくてはならないものです。

一般的に、桂は樹姿の美しさがよく言われますが、ディテールにもたくさんの魅力がある樹です。

秋は、色づきもさることながら、「葉の香り」が素晴らしいんですよ。

お写真ではお届けできないのが残念ですが、カラメルのような甘い香りがほのかに漂ってきます。鼻にツンとくるような強い香りではありませんので、心穏やかに楽しむことができます。

「カツラ」の名の由来には諸説あるそうですが、「カ」は「香」を意味するという説もあり、桂の葉を抹香の材料にしていた地域もあるのだとか。


leaf.JPG桂の葉はハート型
雨上がりは特によく香るように感じます


記念館を訪れたお客様方は、そんな桂をゆったりと眺めてくださっていますが、小さな子どもさんの中には、桂の樹を見た途端にソワソワ......最初はお行儀よくしていても、いつの間にかスイッチが入り(子どもの頃の私と同じですね)、中庭の回廊を走り始めてしまう子もいます。「危ないから走らないでね」と声をかけると、みんな素直に聞いてくれますが、この樹が心に響いているんだなということがわかります。

   sky2.JPG小さな子どもさんの目線ですと、こんな感じに見えるのでしょうか
空の高さと相まって、桂の樹が一層魅力的に見えるのでしょうね

 
数年前、野に咲くニワゼキショウを見つけた瞬間に、子供の頃によく遊んだ場所のことを思い出したことがありました。それまですっかり忘れていたことを、野花をきっかけに思い出したのは初めてのことで、とても驚きました。

今、記念館で桂の樹を見上げているお子さまたちが、大きくなってどこかで桂の樹に出会った時に、ふと記念館のことを思い出してくれたら嬉しいなと思っています。

スタッフ:淺野

2013.11.17 「伊丹十三記念館ができるまで」

先月から、記念館の裏手で工事が行われています。来年6月オープン予定の医療施設の新築工事だそうです。

今は基礎工事の真っ最中。突如としてサイロのような巨大な円筒形の何かや電柱らしきものが出現する毎日、物珍しさで何かと目を見張ってしまいます。現場の横を通るたびにブルドーザーの見事な働きぶりはもちろん凝視......子供みたいですね。


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 「サイロのような巨大円筒形の何か」は、おそらく、
コンクリートに関係する何かではないかと思います......



建て物部分の工事に入れば、ひとつの建築物が日に日に「育っていく」かのような様子が楽しめるに違いありません。

そんな期待とともに、「この記念館ができていく様子もこの目で見てみたかったなあ! 絶対に面白かったに決まってる!」という思いが日に日に強くなっていきます。開館8ヵ月半後に勤め始めるまで他県に住んでいた私は、噂に聞くことはあっても見ることはできませんでしたから。

伊丹さんの記念館を松山に作る! と宮本館長が決意したのが2004年8月。翌2005年3月に中村好文さんに設計を依頼して、ミーティングを重ね、「伊丹十三記念館」設立を発表したのがその年の12月27日。着工が2006年4月、竣工・開館が2007年5月――


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玉置館長代行提供!
開館の約1年前、2006年5月31日

当館敷地の基礎工事の様子。


作ると決めてから完成まで2年10ヵ月、工期は11ヵ月。猛スピードで記念館ができていくあいだの時間の密度、濃度はすさまじいものだったはず。
想像するだけで軽くめまいがいたしますが、そのめくるめく"メイキング・オブ・記念館"の記録映像をご覧いただけるって、ご存知でした? 当館限定で販売しているDVD『13の顔を持つ男』に、特典映像「伊丹十三記念館ができるまで」として収録されているのです......!!


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本編142分のDVDソフトで、特典映像の
「伊丹十三記念館ができるまで」はど~んと30分!
税込3,360円、これはお得です!



来年5月15日には開館7周年を迎える当館を「もの」として見ると、確かに古くなりつつはあります。気がつけば、どこもかしこも新品まっさら! 木の匂いがする! というふうではなくなりました。
古くはなってもイイ味が出てくるように、そして中身も衰えないように、育ち続けられる記念館でありたいと思います。

※「お隣さん」の医療施設の工期は5月31日までだそうです。ご来館の際には何卒ご了承くださいますよう、お願い申しあげます。

学芸員:中野

2013.11.11 みかんジュース

記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。

巷ではみかんが少しずつ市場に出回り始めて、冬場のみかんシーズンが始まりつつありますね!

 

カフェ・タンポポでは、みかんジュースをご用意して、年間を通してお客様に「みかん」を味わっていただいています。

ジュースは愛媛県産の温州みかんのブランド「愛媛みかん」、温州みかんにオレンジを交配した、温州みかんの「甘さ」とオレンジの「さっぱり感」を兼ね備えた「清美タンゴール」、清見にポンカンを交配した、濃厚な甘みと酸味のバランスが絶妙な「デコタンゴール」の3種類ございます。

 

それぞれ単品でご注文いただくこともできますし、3種類を「飲み比べ」ていただけるセットもございます。この飲み比べセットは、特に愛媛県外からお越しのお客様に大人気です。飲み比べたお客様は「清見タンゴールが一番好き!」「愛媛みかんって飲みやすいですね~」「デコタンゴールは甘くておいしい!」等それぞれお気に入りができ、中には「この間ここで飲んだジュースがおいしくて、そのみかんを買って帰ったのよ~」という方もいらっしゃいました。

(ちなみに私個人としては清見タンゴールが中でも一番好きなのですが、皆さまはいかがでしょうか?)

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【写真:みかんジュース飲み比べセット】 

 

そしてもうひとつ、カフェではみかんジュースを用いた「ミモザ」もお楽しみいただけます。
伊丹さんの著書『ヨーロッパ退屈日記』にある同タイトルのエッセイが載っていますので、「ミモザって何?」のご案内も兼ねて一部ご紹介しますね。 

 


 飛行機で思い出したが、ヨーロッパの朝食で、一番贅沢な飲み物は何だと思う?
 グレープ・フルーツ・ジュース、なんかじゃないよ。グレープ・フルーツは、日本では二、三百円、高い時には五百円なんていう時があったが、ロンドンでは、一等いいやつが一個一シル、即ち五十円だ。
 何といっても奢りの頂上は「ミモザ」ということになる。「ミモザ」というのは、シャンパンをオレンジ・ジュースで割ったものだ。
 シャンパン、というのは嫌いな人が案外多いものだが、「ミモザ」を作ってすすめると、大概のシャンパン嫌いも、オヤ、という顔をして、どんどんお代りしたりなぞするようである。
 わたくしは、飛行機に乗ったら、飲物は「ミモザ」ときめている。...(以下略)

(『ヨーロッパ退屈日記』-ミモザ-)

 

カフェメニューにはシャンパンがあり、これをオーダーしていただいた方には「ミモザ」用のみかんジュース(先ほどご紹介した3種類の中から、お好きなものをお選びいただけます!)を一緒にお出ししています。
シャンパンそのもの、そしてお好みのジュースで割った「ミモザ」の両方をご堪能いただけます。

お車でお越しでないお客様は、ぜひオーダーしてみてくださいね。

 

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【写真:著書『ヨーロッパ退屈日記』(新潮文庫)とミモザ】

 

スタッフ:山岡

2013.11.04 「企画展」残すところあとわずか

2010年12月の展示開始から好評をいただいております現在の企画展「父と子 ― 伊丹十三が語る父・伊丹万作の人と芸術 ―」も、残すところあとわずか(2013年12月9日まで)となりました。

生前の伊丹十三は、父万作の遺品を大切に保管し、万作の記念館を設立したいという構想を持っていました(当館はその予定地だった場所にあります)。そんな伊丹十三の意志を実現したとも言える現企画展、まだご覧になられていない方には、是非お越しいただきたいと思っております。

企画展入口で皆様を待っているのは、「伊丹万作」を語る「伊丹十三」の言葉。

フランスのラカンという人によれば
父親の役割は何かというと
父の父の言葉を、子供に伝える "中間"
であるということらしいのね
ボクは、その父の父の言葉をですね
子に伝える役割を持っているわけ 


それでまあ、簡単にお話しますが...

伊丹万作は
自分に誠実な人であった
自分に非常に厳しい人であった
自分に嘘のつけない人であった


(1995年、伊丹万作の50回忌に十三が息子たちへ語った言葉より抜粋)

curtain.JPG【企画展示室入口カーテン】  

 
これらの言葉が映し出されたカーテンをくぐって、企画展示室内にお入りいただきます。実際のスピーチ音声も室内に流しておりますが、「自分に誠実な人であった 自分に非常に厳しい人であった 自分に嘘のつけない人であった」の部分の語り口はとても印象深く、文字だけでは伝わらない趣があります。是非聞いていただきたいなぁと思います。

こういった展示方法からもお分かりいただけますように、「伊丹十三を通した伊丹万作」に触れることのできるこの企画、当館でなければできないものだと私は感じています。

伊丹十三のルーツを知ることもできますし、伊丹万作の才能・仕事を知ることもできる、けれどもそれだけに止まらない、不思議な広がりを感じる展示です。合わせ鏡をそっと覗いている様な感覚になります。ぐぐっと展示に見入っているお客様のお姿を、日々お見かけしております。

kodomono.JPG【万作が息子(伊丹十三)の誕生日に、息子に向けて綴った言葉もご覧いただけす】

movie.JPG【もちろん「映画の人」としての万作もお楽しみいただけます


一部展示品を入れ替えながら展示を続けて参りましたので、何度も足をお運びくださったお客様もいらっしゃいました。ありがとうございました。

現在の企画展は残すところあとわずか、引き続き皆様のご来館をお待ちしております。

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記念館からのお知らせ

【展示替え】

企画展示終了に伴う展示替え作業のため、12月11日(水)~19日(木)は企画展示室を閉室する予定です。
この期間中は、入館料大人500円/高・大学生300円で、常設展示室のみのご鑑賞となります。何卒ご了承くださいませ。※10日(火)・17日(火)は休館日です。 

新・企画展につきましても、どうぞご期待ください。

【年末年始】

12月28日(土)~1月1日(水)は休館させていただきます。
1月2日(木)、3日(金)は開館時間を10時~17時(最終入館16時30分)とさせていただきます。


スタッフ:淺野

 

2013.10.28 「よもだ」という宿題

10月20日、天野祐吉さんがご逝去されました。

物心ついたときから、天野さんはときどき現れてはチョットいいことを教えてくれて、ニヤッとしてサッと去っていく「愉快なオジサン」として、新聞やテレビの中にいてくださいました。
松山では松山市立子規記念博物館の館長・名誉館長をお勤めでしたので、そんな愉快なオジサンがお隣のお家にいるような気がして、勝手に嬉しく頼もしく思っておりました。
ですから、今、とっても淋しいです。

毎年春に東京で開催している伊丹十三賞の贈呈式にはご夫妻でお越しくださいましたし、子規記念博物館友の会の名物イベント「新・道後寄席」に宮本館長を招いて対談してくださったこともありました。

amanosan_kancho.jpg 2009年11月15日、子規記念博物館の「新・道後寄席 第三夜」で。
催しのタイトル、「ああ言えばこう言う」はケッサクでした。

「伊丹十三記念館は、遊びに行ったような感じ、伊丹さんの頭の中に入った感じがします。」「博物館や記念館は、『学びの場』であるよりは『遊びの場』であることが大事だと思う。お互い(子規博と伊丹十三記念館)、遊ぶ手本を見せる場を提供して、松山を面白くしていきましょう」というお言葉を頂戴してから、もう4年が経っていたんですね......

天野さんのお話で忘れられないのが「"面白い"っていうことばは、文字通り、"面"が"白"くなる、顔がほんとうにパッと明るくなるときのことをあらわしてるんですよ。腹を抱えてゲラゲラ笑うようなことを言ってるんじゃないんです」。

トークで聞いたのか、ラジオやテレビで聞いたのか......記憶が定かでなくて申し訳ありません(館長との道後寄席トークだったらさらにすみません!)が、これを聞いたとき、「頭の中の回路がつながって"なるほど!"となったときの、おデコのあたりに電球があって、それがピカッとつくような感覚」には覚えがあるな、と思いました。
それ以来、"なるほど!"と思うたびに(ナマクラな私の脳ではそう頻繁に起こることではありませんが......)、天野さんのこのお話を思い出して、「今、ワタシのおデコ、光ったかな~、光ったにちがいないな~」と嬉しくなってしまいます。

こんなふうに、天野さんは「本来は」「もともとの意味は」というところからいろいろなことを教えてくださる方でしたが、これだけはいつかぜひ教えを乞いたかった、と残念に思っていることがあります。

それは「よもだ」といって、天野さんが「松山人の気質をもっともうまくあらわしている」と高く評価していらっしゃった、ある気風のことです。

日常的には「ほんまにもう、よもだぎり言いよるんじゃから~」というようなフレーズならば在住歴5年半の私でも耳にしたことがあって、「ふざけたことばっかり言う困った人ねぇ」という意味だと解釈しています。でも、そういう場合の「よもだ」が意味する「おふざけ」とか「無責任でいいかげんな物言いの態度」は、天野さんによれば「よもだ」の本質ではないのだそうです。
町立久万美術館『生誕100年重松鶴之助よもだの想像力』展の図録に寄せられた「よもだの神々」に、「よもだ」という言葉がぴったりなのは、正岡子規、伊丹万作、伊丹十三、伊藤大輔、重松鶴之助のような人であって、その人たちに共通するのは「反骨の精神をおとぼけのオブラートでつつんだような気質」だと書いておられました。

万作と十三を挙げてくださっているからには「よもだ」とは何であるかを理解しなくては!と思い、折にふれ考えてはみるものの、このことで私のおデコが光ったことはまだありません。
なぜ松山人が「反骨」の精神を持たなくてはならなかったのか、そして、なぜそれを「オブラート」に包む必要があったのか、歴史的背景をうんと学ばなくては分からないということもあるでしょうが、一番の理由は、私自身が生ける「よもだ」の実例を見たことがないからかもしれません。(「よもだの神々」で、今の松山ではよもだの精神が失われつつある、と嘆いていらっしゃったのが10年前ですから、その状況は今はもっと進行しているのでしょうか。)
「地縁血縁が密接な土地柄ゆえの安心感と閉塞感から発達した、人間関係上の換気装置というべき処世術が元なのではないかな...あるときはリフレッシュであり、あるときはサービスであり...というような...感じ...ではないかな~」などと、ボンヤリ考え始めた頃に接したご訃報でした。

「天野さん、『よもだ』って何ですか?」とそのままズバリ質問しないまでも、よもだの生きた実例が天野さんから飛び出すところを間近に拝見してみたかったな、と、そんなことを考えております。

ご遺族のみなさまと子規記念博物館のみなさまにお悔やみを申しあげつつ、天野さんのご冥福をお祈りしつつ、弊館へのご厚情にお礼申しあげつつ、天野さんからいただいた宿題として「よもだ」について考え続けていきたいと思います。

伊丹さんと同じ時代の空気を吸った方がどんどんいらっしゃらなくなるのは淋しいし心細い気持ちもいたしますが、ここはお礼でしめくくりましょう。

天野さん、わたしたちをたくさん"面白"がらせてくださって、ありがとうございました。

award03_amanosan.jpg第3回伊丹十三賞贈呈式で。
左から、元『スイングジャーナル』編集長の岩浪洋三さん、宮本館長、天野さん、奥様。
岩浪さんも昨年亡くなられましたが、岩浪さん・天野さん・伊丹さんは
学生時代からの古いお友だちです。

学芸員:中野

2013.10.21 

記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。

 

松山では、秋を飛び越えて一気に冬を感じさせるほど、朝晩が冷え込むようになりました。
先日我が家では、「ちょっと早いかなぁ」と思いつつも毛布や暖房器具や厚手の上着をひっぱり出したのですが...ここ数日をみるとまったく早いということはなく、むしろぴったりのタイミングだったようです。

それでも、夏が終わったばかりでこのまま冬に突入してしまうのはもったない!と思い、秋らしく読書でもしようかと図書館へ行ったり、家にある本を読み返したりしている今日この頃です。
皆さまはどのような秋を過ごされていますでしょうか。
 

さて、記念館のグッズショップでは、伊丹さんの著書や関連する書籍を取り扱っており、秋といわず年間を通して多くのお客様にお買い求めいただいております。
本日はそのうちの一冊を少しご紹介しますね。

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【『問いつめられたパパとママの本』(新潮文庫)】 

 

「オ昼ナノニドウシテオ月サンガ出テイルノ?」

「夜ニナルトナゼ眠ラナクチャイケナイノ?」

「冬ニナルトドウシテイキガ白クナルノ?」

 

などなど。パパとママはもちろん、そうでなくても、ふとしたことで子供から「どうして?なんで?」と尋ねられることって多いですよね。しかもそれが、普段大人がなんとなーくやり過ごしていることで、いざ聞かれるとうまく答えられないということもしばしば。
そんな、子供に質問されると思わず逃げ出したくなるような素朴な疑問をやさしく解明してくれている本です。

以下は、冒頭の一部分です。

 

 子供の好奇心を、正しくいい方向に伸ばそうではありませんか。それは無限の可能性を秘めているみずみずしい知識の若木なのですから。
 そうして、そのためには―
子供に問いつめられたパパとママよ、まずあなた自身が科学的な物の考え方を身につけるほかないと私は思う。知識に対する、憧れと畏れを身につけるほかないと私は思うのであります。 

 

近くに住む幼い甥っ子・姪っ子と接する機会が多い私は、この本を読んだ時、これまで子供の質問にその場しのぎの返答をしてきてしまったことを反省し、同時に、よくわかっていないから説明できなかったんだなぁと納得したものです。

読むと「なるほど、こういうことなのか~」 と勉強になること請け合いです。

秋の夜長に、ぜひ読んでみてくださいませ。

 

スタッフ:山岡

2013.10.14 あらためて「伊丹十三賞」とは

第5回伊丹十三賞受賞記念 池上彰氏講演会を盛況のうちに終えた翌日の10月2日(水)、記念館に館長・宮本信子が出勤致しました。

【ごく一部ではございますが、当日の様子をご覧ください】

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平日にも関わらず、館長出勤を楽しみにご来館くださった大勢のみなさまに、心より御礼申し上げます。

この日は、前日の講演会にご家族が参加していたというお客様もご来館くださっていました。

みなさんのお近くにも「池上さんの講演会に行ったよ!」という方はいらっしゃるかもしれません。講演会をきっかけに「伊丹十三賞とは?」と興味をお持ちくださった方も多いようで、日々記念館におりますと、賞についてのご質問をいただきます。あらためてご紹介させていただきますね。

「伊丹十三賞」は、さまざまな分野で才能を発揮し、つねに斬新、しかも本格的であった仕事によって、時代を切り拓く役割を果たした伊丹十三の遺業を記念し、2008年秋に創設いたしました。2009年より、毎年春に贈呈式を開催しております。

授賞対象は、エッセイ・ノンフィクション・翻訳・編集・料理・映画・テレビ番組・CM・俳優・イラストレーション・デザインなど...と多岐にわたりますが、これらの分野において「びっくりした」「おもしろい」「誰にでも分かる」お仕事をなさっている方 ― あらゆる文化活動に興味を持ち続け、新しい才能にも敏感であった伊丹十三が「これはネ、たいしたもんだと唸りましたね」と呟きながら膝を叩いたであろう人と作品にお贈りしております(一般公募の賞ではございません)。

選考委員は、映画監督・周防正行さん、建築家・中村好文さん、エッセイスト・平松洋子さん、イラストレーター・南伸坊さんです。
受賞者は、第1回(2009年)糸井重里さん、第2回(2010年)タモリさん、第3回(2011年)内田樹さん、第4回(2012年)森本千絵さん、そして第5回(2013年)が池上彰さんでした。

10月1日に開催した講演会は、池上さんの第5回伊丹十三賞受賞を記念しての講演会だった、というわけです。

池上さんは、4月に東京で開催した贈呈式の受賞者スピーチの中で、こんな風に語ってくださいました。私にとってとても印象深かった、スピーチの最後の部分をご紹介いたします。

私もこれまでいろんな仕事をしてきましたし、これからもいろんな仕事をしていきますけれども、伊丹さんの仕事にかける思い、情熱......あるいは、例えば『遠くへ行きたい(伊丹十三が制作に携わったテレビ番組)』なんて今でこそごく当たり前の手法ですけれども、当時はびっくりするような手法だったんですね。常に新しい映像の手法、あるいは番組作りというのを作ってこられた。その思いを、微力ながらも受け継いで仕事ができればな、と思っております。

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創設して5年という若い賞ではありますが、池上さんのスピーチを拝聴し、「これまでにご受賞くださったみなさまが、賞を育ててくださっている面もあるんだなぁ」と感じました(スピーチの全文はこちらからご覧いただけます)。

第6回伊丹十三賞は、2013年1月1日~12月31日までの期間に発表された作品等の業績を対象として、2014年春にお贈りいたします。

「伊丹十三賞」にご興味をお持ちくださったみなさま、これからも温かく見守ってくださいね。

スタッフ:淺野

2013.10.07 「池上彰氏講演会 — 伝えるということ —」を開催いたしました!

去る10月1日(火)、松山市総合コミュニティセンターで池上彰さんの講演会を開催いたしました。

 
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今年4月に池上さんにご受賞いただいた、第5回伊丹十三賞の記念講演会でございます。


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8月上旬から9月上旬にかけての募集期間では、定員900名様の3.75倍、3,400名もの方からご応募をいただきました。まことにありがとうございました。高い倍率となったため、ご落選された多くの方々には大変に申し訳なく存じます。見事ご当選され、ご来場くださった皆様、ありがとうございました。

 
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館長からお客様へのご挨拶、そして、池上さんとのミニトーク。
館長は講師とのトークを「漫才」と呼んで楽しんでいます。

詳細は後日オープン予定の講演録ページに譲ることにいたしまして、本日は要約をもってレポートさせていただきます。

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講演の依頼はお受けになっていないという池上さんから頂戴した演題は「伝えるということ」。

ご存知のとおり、池上さんは、NHKのニュース番組や『週刊こどもニュース』での分かりやすい解説で、たくさんの視聴者に「分かる喜び」を味わわせてくださいました。そのNHK記者時代、退職してフリーになってからの『そうだったのか!池上彰の学べるニュース』、テレビからの"引退"表明後に起きた東日本大震災を経ての出演続行、東京工業大学教授としての教養に関する講義......と、今に至る豊富なご経験、工夫の数々、転機を迎えたときに考えていたことなどをもとに「伝えるということ」、「分かりやすくものごとを伝えるとはどういうことか」についてお話しくださいました。


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 『学べる!!ニュースショー』を経ての『そうだったのか!池上彰の学べるニュース』誕生秘話、
かの有名なセリフ「いい質問ですねぇ」の誕生秘話などのエピソードも、とっても面白かったです。
講演録をお楽しみに、しかしどうか長い目でお待ちくださいませ!


池上さんのご講演によりますと、分かりやすく伝えるためのポイントは、

●最初に"話の地図"をわたす
 ...テーマはこれとこれとこれ、と相手に知らせておく。
●伝えたいことは3つにしぼる
 ...多くてもダメ、少なくては物足りない。相手に満足感を与えつつ、記憶に残してもらうために最適なのが3つ。
●伝えたいことだけについて話すのではなく、全体の中で位置を示す
 ...あるものごとと比較対照し、伝えたいことが属しているものの全体像を見せ、全体の中での位置づけが分かると何かが見えてくる。

の3点でした。おお、「伝えたいこと」が3つにしぼられていますね!


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ただし「分かりやすい説明」には落とし穴がある、と池上さんは言います。
(ここからが非常に興味深かったので、少しではありますが、お話を引用してご紹介しますね。)

何かを分かりやすく説明しようとして、あまりにざっくりとものごとを単純化してしまうと、結果的にニュアンスが違ったり、不正確になったりすることがあります。それではいけません。

ベテランの大学教授は、全体が見えている中で、大事なものと、それほどでもないものを区別することができます。だから、枝葉の部分は落して、幹の部分だけきちんと説明すれば、みんなに分かってもらえるわけです。全体が分かっていますから、それだけにしぼっても間違いではないんだ、ということが分かる。そうすると、自信を持って「これは要するにこういうことなんです」とざっくり説明ができるんです。
分かりやすい説明をするには、ベテラン教授の域に達すること、これが理想です。
ものごとを人に説明しようと考えたら、それについて徹底的に調べ、全体像が分かったうえで、話を組み立てて行くと分かりやすい説明になる、ということがあります。
さあ、でも、そのための勉強というのは、なかなか難しいものなんですね。

あることについて、ただ「分かりたい」「知りたい」と思って勉強しても、なかなか自分のものとして身に付きません。そうではなくて、「この話をうちのおじいちゃんに(あるいは子供たち)に分かるように説明するにはどうしたらいいんだろうか」という問題意識をもって勉強すると、これは、身に付くんですねぇ。アウトプット(誰に何を伝えたいのか)を意識してインプット(勉強)するとどんどん入ってきます。みなさんがたもぜひ、試みてください。「分かりやすい」というのはそういうことであります。

そして、今、わたしは、東京工業大学で学生たちにいろんなことを教えています。リベラルアーツセンターというところに所属している教授です。
最近、いろいろな大学で「リベラルアーツ」ということが言われるようになりました。「リベラルアーツ」とは何か。要するに、「教養」なんです。(自由化以後、学生の求めに応じて教養課程を廃し専門課程を早めた結果、社会のことを知らない卒業生が増えてしまったことへの社会的な反省から)教養をきちんと学生に教えることが大切だと言われるようになりました。

——「リベラルアーツの教育とはどんなものだろうか」と東工大の先生方と視察に赴いた池上さん、アメリカの名門大学では、文科系でも理科系でも、学生も大学側も「役に立ちすぎること・すぐ役に立つことは、すぐに役に立たなくなるから大学では教えない(学ばない)」という姿勢でいることに、衝撃を受けました——

「すぐ役に立つことは、すぐ役に立たなくなる」。これは、かつて、慶應義塾大学の塾長だった小泉信三のせりふでもあるんです。「すぐ役に立たないようなことを教えれば、生涯ずーっと役に立つ」、こういう考え方が、今の「リベラルアーツ」という考え方になってきています。

 
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(客席に向かって)講演会にいらっしゃるということは、みなさんがたも、向上心、向学心、勉強したいという情熱を持った方々ばかりですよね。「勉強したいんだ」という思いがおありでしょう? そういうときに、とりあえず目先の勉強をするのもこれはこれで大事なんですけれど、生涯にわたって自分の身につく、あるいは、糧になるような勉強をしていくことが一番大事なのではないかと思います。

そして、そういう幅広い教養を身につけると、「全体」が見えてきます。世の中の全体が見えてくれば、その全体の中で、今から説明することがどのような位置にあるのか、あるいは、歴史の流れの中でどこに位置するのかが分かるわけです。これまでさまざまなことがあった歴史をきちんと知っていれば、今起きていることは、さあ、どんなことなのか——

このところ景気が急によくなってきている、ということがあるんですが、その一方で、「バブル」というものは30年に1度起きる、という、歴史が示しているものもあります。

ここでまた有名な言葉があります。「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」。
愚かな者は自分の経験からしか学ぶことができない、賢者は自分が経験していないことであっても歴史を学ぶことによって人生を切り開いていくことができる、まさに、「歴史を知る」ということです。

このところ、アベノミクスで世の中は湧き立っています。今のところかなりいい調子で景気がよくなっています。でも、あのバブルがはじけてから間もなく30年を迎えようとしています。今はいいでしょう。でも、浮かれすぎてバブルになって、やがてバブルがはじけたらどうなるのかな......ということは、経済界の今の中心の若者たちは知らないんですね。でも、歴史を学べば、あるいは、バブルがはじけて痛い目に遭った世代の人たちがきちんと伝えていくと、日本がまた針路を間違えるずに済むのではないか、というふうに思います。

生きていくうえで、常に勉強し続けること、これが実はとっても大事なことだと思います。

——最後に、池上さんは、本が大好きだったお父様のことを話してくださいました。
亡くなる直前、寝たきりになってもなお、広辞苑の第四版が出たと知るや買ってきてほしいとおっしゃるので届けると、すぐに開いて読みはじめたお父様。その姿を見て池上さんはびっくり。
何を「調べる」ためでなしにあの分厚い広辞苑を「読む」人がいるということに驚くと同時に、「死の床にあっても知識欲ってあるのだな」、「考えてみれば、人は死ぬまで成長し続けることができるのだな」とお父様の姿から学び、その広辞苑第四版は、第六版が出た今になっても池上さんの宝物であり続けているそうです——

親が勉強している姿を見て子供も勉強するようになる、というわけです。
子供の教育にプラスになると同時に、自ら成長することができる。これからもいくらでも成長することができる。
そして、いろんな幅広い知識があれば、その中で今起きてくるさまざまのできごとを、きちんと歴史に位置付けて分かりやすく説明することができる。
人にものごとを伝えるということは、そういう幅広い教養に裏付けられて自分の思いを伝えていく、ということです。
そして、いろんなことを知ることによって、人間のさまざまな失敗もまた、知ることができます。
そして、弱い者の立場、いろんな人のことが分かってくる。そうすると、何かものごとを伝えようとすると、相手がどんな人なのか、相手に対する思いやり、あるいは、相手に対する想像力と言ってもいいかもしれませんね、そういうものが身についてくる。
そうすると、分かりやすい伝え方ができてくるんだろう、というふうに私は思います。



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 池上さ~ん! ありがとうございました~!!
みんなで拍手~~~!!!

終演後、お帰りになられるお客様方は「心のお腹がいっぱい!」といった表情でした。それをとっても嬉しく思いながら、スタッフ一同、ロビーでお見送りさせていただきました。

伝え方は生き方、ですね......池上さん、ありがとうございました。精進してまいります!

 
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館長を囲んで協賛企業ITMグループの皆様と集合!
募集のご協力から当日のビッグなヘルプまで、まことにありがとうございました!


学芸員:中野
 

2013.09.30 ホットコーヒー

記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。

松山では、昼間はまだ蒸し暑さを感じるものの、朝晩は肌寒いくらいになってきました。一日の気温差が激しく、夏の疲れもどっと出てしまう時期ですので、体調等崩されないようご注意くださいね。

 

さて、これから秋、そして冬と、寒くなるにつれて恋しくなってくる温かい飲み物。記念館のカフェ・タンポポでも、暑い盛りにはアイスドリンクに一歩譲っていたホットドリンクが、夏の終わりと共に徐々にオーダー数をのばしてきています。

 

その中でも、世のカフェメニューの定番中の定番、ホットコーヒー(それもそのはず、「カフェ」という言葉は、本来はコーヒーの意味だとか。それが転じて「コーヒーその他の飲み物を提供する店」を意味するのだそうです。)は、ここカフェ・タンポポでも、1年で一番多くのご注文をいただくメニューです。  

カフェ・タンポポのホットコーヒーはドリップ式で、ご注文をいただいてから都度スタッフがドリップして淹れています。おいしいコーヒーになるよう、お湯の温度や注ぎ方、蒸らす時間などにも気を配っています。

また、豆も挽き立てですので、香りもいいんですよ。先にカフェにいらしたお客様のホットコーヒーの香りにつられて、別のお客様がホットコーヒーをオーダーされることもしばしば。

味で、香りで、ご堪能いただければ幸いです。

 

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また、このたび、皆さまよりご好評いただいております『季節のタルト』が、『ブルーベリーのタルト』から『いちじくのタルト』にバトンタッチいたしました。

こちらもぜひご賞味くださいませ!

 

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【いちじくのタルト。ホットコーヒーとの相性も抜群ですヨ。】

 

今回はホットコーヒーをご紹介させていただきましたが、他にもしょうがを使ったメニューなど、色々なお飲み物をご用意しております。

展示をご覧になったあとは、伊丹映画のサウンドトラックが流れるカフェ・タンポポへ、ぜひ寛ぎにいらしてくださいませ。

皆さまのお越しを、スタッフ一同心よりお待ちしております。

 

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【カフェから眺める中庭もお楽しみください。】

 

スタッフ:山岡

2013.09.23 幻のキャスティング

「秋の夜長」と聞くと、たとえ疲れていても眠たくても、自分の心が充実するようなことをしたくなって、ちょっとワクワクするから不思議です。

先日、「じゃあ映画でも観ようかな」という気分になりまして、HDDレコーダーに貯めている録画からお気に入りを探すことにしました。
おお、これこそ秋の夜長にぴったりじゃないか! と選んだのは——映画じゃないし、何度も観てるのですが——『BSまるごと大全集 ちあきなおみ』(BS-2・2009年11月放送)

いやぁ、すばらしい。何度再生してもブラボー。どの歌にも一本のお芝居のような世界が広がっていて、役者が「役を生きる」ような歌唱。曲の数だけ映画を観たみたいな、お腹いっぱいな気分になれます。
ほれぼれと見入り、聴き入りながら、フと「ちあきさん、伊丹十三監督作品への出演をオファーされたことがあったんだったな」と思い出しました。

伊丹さんの著書『「マルサの女」日記』によれば、なんとなんと、権藤(山崎努さん)のふたりの愛人、剣持和江役か鳥飼久美役として、ちあきなおみさんが検討・依頼されていたのです。


8月9日 土曜日 和江、依然難行。ちあきなおみ、左時枝、大谷直子等思いあぐねる。
8月15日 金曜日 和江は藤真利子をもう少し待つ。久美にちあきなおみの線。

marusa_diary.jpg『「マルサの女」日記』(文藝春秋・1987年)より


伊丹映画で名演技を披露している俳優さん、候補にあがったものの出演に至らなかった俳優さんの中には、俳優時代の伊丹さんの共演者がたくさんいらっしゃいます。ちあきさんもそのひとり。
『居酒屋兆治』(降旗康男監督・1983年)、『瀬戸内少年野球団』(篠田正浩監督・1984年)で共演して「この人はおもしろい役者だ!」と感じていたのに違いありません。(映画監督になろうと決意した頃の出演作なので、なおのこと"そういう目" で共演者を見ていたのではないかな、と思います。)

しかし、ちあきさんの出演は実現にいたらず、最終的には和江役には志水季里子さん、久美役には松居一代さんがキャスティングされて、おふたりとも「他のキャスティングは考えられない」というほどの存在感を発揮しておられます。それはみなさまご存知のとおり。

でも......たとえば久美の「ダァンメェ~、ダメよォ~。お彼岸なんだから~ン。ダァメダメダメ、ダンッメッ!」のようなセリフや、和江の傷のある美しい顔から放たれる恨みがましい視線を思い起こして、「ちあきさんが演じていたなら、別の彩りをこの映画に添えたのだろうなぁ」と想像するのはちょっぴり楽しかったりします。そして、ちあきさんが芸能活動を休止して21年、伊丹さんが亡くなって16年が経つ今、幻と終わったキャスティングが惜しい気持ちもします。

キャスティングとは、「配役=役を配する」と書くとおり、形の定まっていないバラバラなピースをどうにかこうにか並べていくパズルみたいなもので、ひとり決まったらその俳優とのバランスを考えて次のピースを決める、その人が決まったらまたバランスを考えてその次を、ピースとピースの間をつなぐのに最適のピースを探す——こっちの役でこの人からOKが出なかった場合にはあっちの役に検討していたあの人は別の人を考えなくちゃ——と、非常に込み入った作業なのだそうです。

だから、出演する・しないというのは、必ずしも、監督の希望や俳優の意志だけで決まるものではないのですが、伊丹さんが"七色の人材登用"によってこのややこしいキャスティングの過程をも楽しんでいたらしいことは、どの監督作にもよくあらわれていますよね。


ososhiki_daibyonin_diary.jpg「完成作品を観るだけじゃなくって、映画作りについても知りたいの!」
という方は"メイキングブック"をどうぞ。『「マルサの女」日記』のほか、
『「お葬式」日記』(1985年)、『「大病人」日記』(1993年)もあります。
現在は絶版になっていますので、古本屋さんで見つけたら即決モノですよ。
キャスティング論、キャスティング秘話も満載。


キャスティングに注目して伊丹十三の監督作や出演作を鑑賞するのも、なかなかに乙なものです。この秋のお楽しみとして、ご検討くださいませ。

学芸員:中野

2013.09.16 劇場版特報セレクション

今夏より、常設展にて伊丹映画の「劇場版特報セレクション」映像を展示しております。

特報といいますと、映画の撮影前、あるいは撮影中(つまり、作品完成前)に制作し、劇場で流す告知映像ですから、本編の撮影素材を上手く活用した「予告編」とは違い、公開時期や映画タイトルを羅列するものばかりなのかなぁと個人的に思っておりました。「面白い映像」というよりも、「観客に必要情報を刷り込ませるための映像」という認識でした(私にとっては、画面にババーンと文字が並んでいる印象ばかりが強くて......みなさまはいかがでしょうか?)。

ところが、伊丹映画の特報を観てびっくり。
――特報って、こんなに面白いものだったんですね!

直接ご覧いただきたいので、詳しい説明は省略いたしますが、先日、外国人のお客様が映像をご覧になり、「日本語は全くわからないけれども楽しかった」と仰っていました。夏休みに大勢お越しくださったお子さま達も、映像に釘づけだったようです。わかりやすくて面白いんですね。

まだ映画をご覧になったことがないという方は、「見たい!」と思うでしょうし、既に映画をご覧になった方も、思わずにんまりと笑ってしまうこと請け合いです。是非、スタッフまで感想をお寄せください。

特報2.JPG 特報3.JPG 【特報映像の一部】
これらの静止画でお分かりいただけますでしょうか?
そう、伊丹監督自身が出演しているのです!

 
2013年9月末までは『タンポポ』『マルサの女2』『あげまん』『スーパーの女』『マルタイの女』の特報を上映しております。10月以降も、一部作品を入れ替えつつ展示を継続していく予定です。

記念館に来られた際、どの映画の特報が流れているかも、お楽しみに!

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【記念館からのお知らせ】

 
●館長宮本信子出勤のお知らせ

 
伊丹十三記念館・館長宮本信子が出勤いたします!

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10月2日(水)11時~13時頃まで
 ※当日の状況により、滞在時間は変更になることがありますのでご了承ください。


限られた時間ではございますが、みなさまのご来館、スタッフ一同お待ちしております。

●「第5回伊丹十三賞受賞記念 池上彰氏講演会」参加証発送のお知らせ

9月2日(月)をもって応募を締め切りました池上彰氏講演会、応募多数につき抽選となり、先日当選なさった方へ参加証をお送りいたしました(事前にお知らせいたしました通り、落選の方にはお知らせをお送りしておりませんので、何卒ご了承ください)。

スタッフ:淺野

 

 

 

2013.09.09 お月見

秋は、他の季節に比べて月がきれいに見える、と言われます。

 

なるほど確かに、ひんやりした空気の中で見る月や星は、暑い暑い夏の夜空と比べると、よりきれいに見える気がします。これは空気中の水蒸気量が少なく、それによって大気がぼやけることがあまりないため、月がくっきり見えるのだとか。また、月の高さもちょうどいいのだそうです。

9月には、そんな秋の月を見るのに最適な「十五夜」があります!一般には旧暦8月15日の夜を指し、今年は9月19日夜が十五夜になります。
実はこの十五夜、年によっては満月でない日もあるとのことですが、今年2013年は「十五夜」と「満月」が重なります。
いいお月見ができそうですね~!!


お月見は、月を眺めて楽しむという習慣と、神様に収穫の感謝を示す儀式が合わさったものだそうです。そのためか、行う行事やお供え物の種類や意味など、地域ごとにほんとうに様々で、興味深いですね。お月見と聞いてススキ、お月見団子をイメージする方が多いのではないかと思いますが、月見団子ひとつをとっても、いろんな形や味がありますし、うさぎや月を模したお団子以外のお菓子も多く見かけるようになってきました。また、長野県出身の知り合いからはぼたもちを供えていたという話も聞いたことがあります。
機会があれば、色々な地域のお月見にぜひお邪魔してみたいものです。


私は昨年10月末からここ記念館でお世話になっていますので、今年の9月19日は、スタッフとなってはじめて迎える十五夜です。幸運なことに、職場である記念館にはおいしいおいしいお饅頭...おなじみ『十三饅頭』がございます!ここ数年、十五夜にはお気に入りの和菓子を食べるのが我が家の習慣となっていますので(月も見てますよ、もちろん!)、9月19日は、お月見団子ならぬお月見饅頭として『十三饅頭』をほおばりながら月を眺めてみようと思います。

    饅頭箱 (800x533) (640x426) (300x200).jpg 十三饅頭アップ (300x200).jpg【十三饅頭:甘さ控えめのあっさりとしたこし餡が入った茶饅頭で、記念館をイメージしたパッケージに入っています。オンラインからもお求めいただけます!】


皆さまもぜひ秋の夜長に月を眺めて、季節を感じてみてくださいませ。

スタッフ:山岡

2013.09.02 「わたしゃ怒るよ本当に」

夏の甲子園が終わり、雨が降り、プロ野球の贔屓球団の不優勝が濃厚となり、雨が降り——あれこれに、そこここに、いいえ何もかもに、秋の訪れを感じています。

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くぅ~もぉはぁわーきぃ~。館の裏です。
こんなふうな夏雲、ついこの間まではイヤというほど
見られたのに、見られなくなるとチト寂しいですね...


日差しや空気に秋の気配を感じる頃になると、毎年妙に焦ってきます。
「講演会———!!!」とか「企画替え———!!!」とか、大規模な行事が迫ってくるからで、今年もお盆の終ったあたりから、心身がソワソワジリジリフワフワ。脳が痺れているような、胴体の中身が浮いてくるような感じがして、まったく落ち着かな。

(まぁ、自分の場合、大きな行事を控えていなくても、何かしら焦ってるんだろうな、という気もしないではありません。『アリとキリギリス』の影響でしょうか。あれは私のようなキリギリスタイプにはモーレツな脅しです。イソップ物語、恐るべし)

と、巨大行事でアワアワする前に、現在の企画展でイッチョ気張ってやらねばならない定例作業があったのでした。

2010年12月に開始してご好評いただいている「父と子」展、ずいぶんとロングランになりましたが、会期中に複数回ご来館くださった方にもお楽しみいただけるように、展示品をときどき入れ替えております。見た目にはあまり変わらない入れ替えでも、楽しみにしてくださっているお客様もいらっしゃって、とっても嬉しいです。それを励みに展示に出すものを考えていて「ヨーシ、今度はこれで唸らせちゃうぞー」とニヤニヤしちゃうこともあります。

入れ替える資料には、状態や性質によって、4ヵ月ごとに替えているものと2ヵ月ごとに替えているものがありまして、今回は、その両方の入れ替えが重なる作業月でありました。


<入れ替えた資料>
 ・中村草田男氏より伊丹万作の妻・池内君子への書簡
 ・万作が撮影した写真アルバム
 ・挿絵画家時代の万作が携わった少年雑誌
 ・回覧雑誌『朱欒』
 ・万作手作りの芭蕉かるた


写真つきで一部ご紹介します。


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大正時代の少年雑誌『少年世界』『中学生』『中学世界』。
お話によって挿絵を描き分けているのをご覧いただけるように、
いろいろなタイプのものを選んでおります。

 
karafutomono.jpg『朱欒』コーナーでは、万作が自身の経験に基づいて書いた
「樺太シリーズ」もご紹介しています。

他にも、年季の入った松山っ子にはたまらないであろう、懐かしの風景の写真などもございます。(小さいのでお見逃しなく!)

さて、現在展示中の資料のうち、わたくしの一番のおすすめは——


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回覧雑誌『朱欒』第6号(大正15年2月か)
池内義豊(伊丹万作)による批評欄より

おっと、「わたしゃ怒るよ本当に」とは......
他の同人の作品への批評や、自分の作品への批評への返答を書き込む『朱欒』の「批評欄」で、おだやかでないひとことですねぇ。
一体、万作は何に怒っていたのでしょうか。その理由を探りながら『朱欒』をご覧いただきますと、万作が映画界に入る前の青春時代のこと、仲間たちとの創作活動への思いを、いっそう深く感じていただけることと思います。

現在の内容での展示は10月下旬までとなります。
「今度また訪ねてみようと思うのだけど、今はどんな資料が出ているの?」と気になる方は、ご来館前にお問い合わせください。

夏の疲れの出る時節柄、せっかくの秋をグッタリして過ごすことにならぬよう、くれぐれもご自愛を。

学芸員:中野

2013.08.26 宮本館長が出勤致しました

今年の高校野球、どうしても気になったことがひとつ――。
スタンドから聞こえてくるブラスバンドの応援曲、NHKの連続テレビ小説『あまちゃん』オープニング曲の演奏率が、驚くほど高くはありませんでしたか?
東北勢が健闘していたこともあるのかもしれませんが、ニュースで高校野球の模様が報じられる度に、聞こえてくるのは応援曲には珍しいスカのリズム。「ンチャッチャッチャッチャ......
」のリズムが聞こえてくるたびに、思わずチャンチキ(『あまちゃん』のオープニング原曲で鳴り響いている、鐘の音色のあれです)の代わりにテーブルをパタパタと叩いてしまいました。高校野球の定番曲になりそうな勢いでしたね。ドラマをご覧になっていない方も、聞き慣れていくにつれて、思わず口ずさんでしまったことでしょう。

それにしても『あまちゃん』人気、恐るべし。同ドラマに出演している宮本館長に教わったのですが、こういった、とどまるところを知らない人気を指して、「業界用語では『化けた』と言う」のだそうですよ。面白い表現ですね。

そんな『あまちゃん』人気沸騰中
の8月24日(土)・25日(日)、事前にお伝えしておりました通り、宮本館長が記念館に出勤致しました。『あまちゃん』の放送が始まってからというもの、記念館を訪れるお客さま方から、ドラマの感想をたくさんお伺いしておりました。館長の出勤を今か今かと待ってくださっていた方も多く、この2日間、大いに賑わいました。
ほんの一部ではありますが、その様子をお写真と共にお届けいたします。

天野様.jpg こちらのお写真は、記念館の真向かいにお住まいで、今年7月に亡くなられた「天野春子様」のご家族のみなさまです。ドラマの登場人物との偶然のお名前の一致に、万感の思いで『あまちゃん』をご覧になられているみなさまが記念館にお越しくださいました。 天野様ご家族には、当館HP「みなさまの声」にもコメントをお寄せいただいております。ご家族のみなさまにまつわる素敵なエピソードをお伺いしておりますので、そちらもぜひご覧くださいませ(2013年9月分に掲載)。

お子様と.jpg こちらの可愛らしい小学生姉妹は、素敵なお便りを館長に届けてくれました。ありがとうございます。

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お越しいただいた全てのみなさまをご紹介できないのが残念ですが、お写真で、当日の様子を少しでも感じていただければ幸いです。

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みなさまのご来館、心より御礼申しあげます。
是非また記念館にお越しくださいませ。

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【記念館からのお知らせ】


当館HPやITMグループ各店舗でお申込みを受付けております「第5回伊丹十三賞受賞記念 池上彰氏講演会」、既に定員を超える多数のご応募をいただいております。9月2日(月)の応募締切後に抽選し、当選の方には9月中旬頃に参加証をお送りいたします。落選の方にはお知らせいたしませんので、何卒ご了承くださいませ。
応募締切日まで、みなさまのお申込みをお待ちしております。

スタッフ:淺野

 

2013.08.19 夏休みの宿題といえば...

残暑お見舞い申し上げます。
松山では毎日毎日蒸し暑さが続いていますが、皆さまはいかがお過ごしでしょうか。

 

さて、学校の夏休みもあと2週間となりましたね。そろそろ残っている夏休みの宿題が気になり始める方もいらっしゃるのではないでしょうか。
夏休みの宿題といえば自由研究。学校を卒業してからずいぶん経つ私には懐かしい響きですが、記念館では、特に8月に入ってから、自由研究のために展示を見ながらメモを取っている小中学生の方の姿をよく見かけるようになりました。 

 

もっぱら実験や観察などの理科的な自由研究テーマを選択し、博物館や美術館を訪れるという発想自体がなかった私、は「伊丹十三や伊丹万作を研究テーマに選ぶなんて、カッコイイ!!」と思ってしまうのですが、皆さまはどのような自由研究をされていた(されている)でしょうか?

 

ちなみに私が友人と行った自由研究は、市販の花火が、火を点けてからそれぞれどれくらいもつのかを計るというものでした(ただ友人同士花火をしたいがためだけに選んだテーマでした...)。
他にも身近な人にどんな自由研究をしたのか聞いてみると、私の父は観察日記が主だったようで、カブトムシやメダカからはじまり、最終的には自分の「親」を観察対象としたそうです。何時に起きて、何時に朝ご飯を食べて、何時に畑へ仕事に行って...を細かく記していたとか。この日は一日、親の後ろを息子がちょこちょことくっついて歩いていたのでしょうね。
また別の人からは、小学校一年生の時、自由研究の存在自体をすっかり忘れて2学期の始業式を迎えたという話を聞きました。担任の先生から1日だけ猶予をもらい、半泣きになりながら、母親とともにひたすら折り紙で動物を作り続けて、「折り紙動物園」を作成して提出したそうです。

...自由研究って、本当に大変ですね! 

 

記念館の「常設展示室」には、伊丹十三の足跡を具体的な資料でたどることができるよう、十三の名前にちなみ13のコーナーを設けています。また、伊丹十三の父・伊丹万作の企画展も開催中です!もしまだ自由研究の題材を探している方がいらっしゃいましたら、奥深い「伊丹十三」「伊丹万作」を研究してみるのはいかがでしょうか?

 

常設展示 俯瞰s1.jpg

最後にひとつお知らせです!!
このホームページでも既にお伝えしているとおり、いよいよ今週末、宮本館長が出勤いたします!!!

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◇◇出勤日時◇◇

8月24日(土)11時~16時頃まで

8月25日(日)11時~13時頃まで

※当日の状況により、滞在時間は変更になることがありますのでご了承ください。

 

皆さまお誘い合わせのうえ、ぜひ記念館にお越しください。
スタッフ一同、心よりお待ちしております。

スタッフ:山岡

2013.08.12 池上彰さん講演会 開催決定&募集開始!

第5回伊丹十三賞受賞者池上彰さんによる講演会を開催いたします!

日 時:10月1日(火)19時開演
場 所:松山市総合コミュニティセンター・キャメリアホール
テーマ:「伝えるということ」
入場料:無料【事前申込制・応募者多数の場合は抽選・応募締切9月2日(月)必着
【申込方法を含め、詳しくはこちらをご覧ください】

 

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【講演会のポスター】
「ポスター見ました!」のお声いただいております。ありがとうございます。
協賛のITMグループ各店舗にて掲示中です。

 
池上さんに伊丹十三賞をご受賞いただいた経緯を振り返っておきましょう。

みなさまご存知の通り、池上さんはフリージャーナリストとしてさまざまな媒体でご活躍中です。なかでも2012年の選挙特番『池上彰の総選挙ライブ』(テレビ東京)は独自の切り口で大きな話題となりました。同番組を通して「知識、経験、分析力のうえに、ニュートラルな視点で事実を伝えることが、もっともジャーナリスティックであり、しかもおもしろいということを証明し、テレビ・メディアの可能性をあらためて示した。その功績にたいして」第5回伊丹十三賞をお贈りいたしました(伊丹十三賞についてはこちらから)。

贈呈式は4月に東京で開催し、各メディアでも取り上げられましたので池上さんの受賞をご存知の方は多いことと思います。

贈呈式.jpg

 【第5回伊丹十三賞 贈呈式の様子】

 
そして――いよいよ受賞記念講演会の開催です!記念館の所在地であるここ松山で、みなさまに池上さんの生のお声をお届けできる、その嬉しさたるや!

先だっての参院選の日、投票時間終了間際に無事投票を済ませた私は、その後すぐ自宅で池上さんの『参院選ライブ』を視聴しました(松山はテレビ東京系列の番組が視聴できない為、BSジャパンの縮小版であったことが残念なのですが)。昨年の『総選挙ライブ』を経て、否応なしに高まっていた『参院選ライブ』に対する視聴者の期待を決して裏切らなかった池上さん、本当に「スゴイ......!」の一言でした。そしてその池上さんを松山にお招きし、みなさまに講演会をお届けできることが、何より嬉しいのです。

テレビでお見受けする「解説」というスタンスとはまた違った池上さんの単独講演会。テーマは「伝えるということ」。いったいどんなお話が伺えるのか、期待は高まるばかりです。そしてきっとその期待を、池上さんはさらりと超えて下さることでしょう。

さぁみなさま、既に募集は開始しております。応募締切は9月2日(月)必着。
この機会を逃されませんよう、奮ってご応募ください!

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【番組放送のお知らせ】

 
●テレビ番組(NHK総合)

伊丹十三のシリーズ特別番組『こだわり男とマルサの女』再放送決定!
※再放送につき、放送されない地域・放送時間が異なる地域もございます。
詳しくはNHK番組表をご確認ください。

8月25日(日)15時05分~ シリーズⅠ ドラマ「宮本信子 天才との日々」
同日続けて   16時04分~ シリーズⅡ ドキュメンタリー「伊丹十三『お葬式』への道」

シリーズⅠは、伊丹十三と共に過ごした宮本館長を主人公にしたドラマです。
シリーズⅡは、伊丹十三が51歳にして監督デビューするまでを追うドキュメンタリー。
昨年BSで放送された同番組の感想を記念館スタッフにお話しくださるお客様は、
今でも大勢いらっしゃいます。

待望の再放送(今回は地上波です!)、是非ご覧ください!

スタッフ:淺野

2013.08.05 本の思い出

夏といえば本! と思ってしまうのは、読書感想文のトラウマなのか、出版業界の文庫本戦略がすっかりすりこまれたからなのか......

本、というと、私は長らく新品派でありました。
図書館の本も古本も、あまり好きになれなかったのです。お金をかけることになったとしても、きれいで新しくて自分だけのものと思える本でないと嫌だったのだと思います。(と、書いてみると、いかにもしょーもない理由で自分の小人物ぶりにガッカリしますね...)

卒業論文を書く頃になって、引用に使いたいのにどうしても手に入らず原典に当たることができない昔の本を、遠くの町の図書館へ借りに行ったことがありました。手にしてみると、一冊の書籍としてすばらしいものであることに感銘を受け、卒論が済んでも「やっぱり自分の手元に置きたい」という思いは消えませんでした。が、何しろ40年ばかり前の本で絶版、少数しか出版されなかったのか、古書店でも、ネットの古書検索でも、なかなかお目にかかることはできません。1年半ほど後だったでしょうか、東京の古書店で見つけたときは、いやぁ、嬉しかった! 生れて初めて、本を買うのに動悸息切れ目まいを催しましたね。

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といういきさつでやっと手に入れた本はコレです。
市川崑・和田夏十『成城町271番地 ある映画作家のたわごと』白樺書房、1961年
(装幀も市川崑さん自ら手掛けたそうですヨ! シブカッコイイ!)

年月を経た古びだとか、前の所有者が書いた所属と名前だとか、古本としての存在感もあいまってのことかもしれませんが、ある"世界"のかたまりが手に入ったような興奮を味わわせてくれた、特別な一冊です。

以来、資料として読みたい文章は遠隔で依頼できる文献複写だけでなるべく済ませずに、そう遠くない図書館で閲覧できるときや古書で購入できるときは実物にふれるようになり、単行本に収録された文章でも元が雑誌記事なら雑誌を当たるようにもなり......(当然といえば当然ですが)。そうこうしてみると、古い雑誌というものも、それが発行された時代や社会を生々しく反映していて、実に面白いものだということが分かりました。

例えば、伊丹万作脚本・稲垣浩監督『無法松の一生』は、今の時代に映画館・テレビ・DVDで見ても、『伊丹万作全集』第3巻に収録されたシナリオを読んでも、素晴らしい作品に違いありません。しかし、シナリオが初めて発表された『映画評論』1941年1月号を手に取ってページを繰ってみると、他の記事も含めた雑誌全体からその時代の暗く重い空気がありありと感じられて、この作品を生み出そうとした作り手の思いにあらためて胸を打たれる、なんていうことがあります。

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『映画評論』1942年1月号の目次
クリックすると大きな画像でご覧いただけます。


あるいは、1984年の映画雑誌を読んでみると、「おー、和田誠さんの『麻雀放浪記』と伊丹さんの『お葬式』は同じ年の映画なのか」ということが記事のうえで分かって、好きな作品がピピピとつながるという喜びを味わえたりもします。

それから、これは余談ですが、調べもののついでに1970年代の映画雑誌を図書館でめくっていたら、「男は黙ってサッポロビール!」の三船敏郎さんの広告に出くわして、映画で見る三船さんの姿に対して感じるのとは別の感動、別の懐かしさに衝撃を受けた、なんていうこともありました。

現在、企画展示室では、伊丹万作が挿絵画家時代に手がけた大正時代の少年雑誌を展示しております。戯画風あり、耽美系あり、万作の多彩な画風をご覧いただけます。決めたページを開いて展示ケースに入れていて、一冊一冊を手に取ってお読みいただくことはできないのですが、大正時代の雑誌のたたずまい、その中に若かりし頃の万作の絵がおさまっている様子をお楽しみいただけましたら嬉しいです。


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この夏も、新品・古本にかかわらず、みなさまに活字との面白い出会いがありますように。

学芸員:中野

2013.07.29 手拭いの使い方

「手拭いが大好きでね、色々な手拭いを集めているの。でも集めるだけではもったいないから、いろんなことに使うようにしてるのよ。例えばね...」

 

以前、記念館のグッズショップで手拭いをお買い上げいただいたお客様から、こんなお話をうかがったことがあります。手拭いの使い方として、「巻く」「拭う」ことしか思いつかなかった私は、それ以外の用途をたくさん紹介してくださるお客様のお話を、大変興味深く聞いておりました。

 

というのも、学生の頃から、私にとっての手拭いとは「面(めん)タオル」でした。面タオル...皆さま耳にされたことはありますでしょうか?剣道と縁のあった方はご存じだと思いますが、防具の「面」をかぶる時に頭に巻く布のことです(他にも「面手ぬぐい」とか「面下」などの呼び方があるそうです)。剣道部に所属していた私は、それを毎日頭に巻いていましたので、首や頭などに「巻く」・汗や水などを「拭う」以外の使い方はピンとこなかったのです。

 

ですから、こんなことにも使える、あんなことにも使えるとお話ししていただいた時は、「手拭いはなかなかのスグレモノだったんだなぁ!」と感心したものです。

こんな使い方いいな、と思ったものを少しご紹介すると、プレゼントを包んで包装紙としたり(手拭い自体も贈り物になるんです)、のれんやタペストリーにして部屋のインテリアに取り入れたり、ランチョンマットやテーブルセンターとしてテーブルを彩ったり...ティッシュの箱のカバーにする、というものもありました。また、埃がかぶらないように何かを覆うのにも、綺麗な柄の手拭いだとちょっとオシャレな感じですよね。

 

日本古来から親しまれてきた手拭い。
ご自宅に手拭いのある方は多いと思いますが、皆さまどのように使われておりますでしょうか。
ぜひ色々アレンジして、自分流に使いこなしてみてくださいね。

 

記念館グッズショップでも、素敵な手拭いをご用意しております!

 

手拭2.JPG  


伊丹十三が描いた「カチンコ」のイラストが並んでいる、館長・宮本信子プロデュースの「伊丹十三記念館オリジナル手拭い」。色は水色・黒色の2種類ございます。


 

手拭くろ.jpg

   

IMG_7903.JPG

 

オンラインショップからもお買い求めいただけますので(→コチラ)、ぜひご利用くださいませ。

 

スタッフ:山岡

2013.07.22 暑中見舞いと館長出勤のお知らせ

二十四節気「大暑」を迎え、本格的な暑さがやってくるこの頃、みなさまお元気でお過ごしでしょうか(国立天文台によりますと、2013年の大暑は正確には7月23日からのようですね)。

さてこの「大暑」ですが、江戸時代の暦解説書『暦便覧』によりますと「暑気いたりつまりたるゆえんたれば也」とのこと。江戸の頃から暑さ「いたりつまりたる」時期な訳ですから、どうにもしようがないと気持ちを切り替え、大暑ならではの楽しみを探すよりほかないですよね。

私の大暑の楽しみの一つは「暑中見舞い」です。

暑中見舞いをしたためるはがきは、ここ数年「鳩居堂(和文具の老舗)」のものにしています。気に入ったシリーズのはがきの紙質が普段使用している万年筆と相性抜群でして、書き心地のよいことといったら!一文字一文字書き進める度に幸せを感じます。また、はがきの色にインクの色がなじみ、書き終わった後に独特の色合いを楽しめます。そして何より、葉書のデザインが秀逸。気の利いた(でも行き過ぎてない)デザインは、どこかのんびりしているのに不思議と無駄がないんですね。はがきのデザインを選び・したためる。たったそれだけのことなのに、その時間の何と楽しいことでしょう。

そうそう、伊丹十三記念館オリジナルグッズ「一筆箋」はアラベール紙を使用しており、万年筆のペン先から程よい摩擦感が伝わって、これまた書き心地のよいこと!万年筆愛好家のみなさま、是非!

 
一筆箋.JPG【伊丹十三記念館オリジナルグッズ 一筆箋】

「暑中見舞い」を楽しく感じるのは、何も文房具のおかげだけはありません。大切な友人知己の体調を気遣うのに「暑中お見舞い申し上げます」という決まり文句を借りるのも悪くないなぁと思う年齢になった、というのもありますね。歳を重ねるのも悪くはないものです。

大暑を過ぎれば立秋、みなさま各々の楽しみ方で暑さをうまく凌ぎましょう。くれぐれもご無理なさいませんように。

ちなみに、記念館の収蔵庫に伊丹さんが使用していた顔彩があるのですが――

顔彩.JPG

【伊丹さんが使用していた顔彩】


これ「鳩居堂」のものなんです。気付いた時、ちょっと嬉しかったなぁ。

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【館長宮本信子出勤のお知らせ】

みなさまお待たせいたしました。伊丹十三記念館・館長宮本信子が出勤いたします!

8月24日(土) 11時~16時頃まで
8月25日(日) 11時~13時頃まで


当日の状況により、滞在時間は変更になることがありますのでご了承ください。
宮本に会いに、ぜひ記念館へお越しくださいませ。
スタッフ一同、皆様のご来館を楽しみにお待ちしております。

スタッフ:淺野

2013.07.15 国民の祝日の過ごし方

暑中お見舞い申しあげます。

毎年毎年、「今年は去年より暑い」と言ってるような気がします。こうも暑いと、蒸し暑さでシューマイになってしまうのと自分の汗の塩分でお漬物になってしまうのと、どっちが先かなぁ......なんて考えちゃいますね。

さて、本日は国民の祝日、海の日であります。(ちなみにワタクシ、3年連続3回目の「海の日登板」でございます。)

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瀬戸内~って感じの景色ですね

ハッピーマンデー制度ができてからというもの、いくつかの国民の祝日が「単なる嬉しい三連休」の一部になってしまって、祝日である意義が薄れている感が否めませんが、何をするための日なのか、ちゃーんと法律で定められているんですよ。

自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを「国民の祝日」と名づける。
国民の祝日に関する法律 第一条
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO178.html


フム......日本をさらにいいところにするために、「日本とはどういう国で、日本人とは何者であるか」ということに思いを致す日が、国民の祝日であるようです。(今ではトンと見かけなくなりましたし、思想的に云々というメンドくさい話になりがちなご時世になってしまいましたけれど、「旗日」と言うだけあって、玄関先に国旗を掲げるのも、そういったことを考えるためには、結構いいことのような気がします。)
となれば、「海の日」なんて、海に囲まれた島国日本とそこで生きてきた日本人について考えるのにうってつけの日ですね。

伊丹映画に限らず、良質な映画には、日本社会のありようと日本人の姿がまざまざと描かれています。そんな映画を国民の祝日にご鑑賞いただきますと、なおいっそう味わいが増して、意義深い旗日になるのではないでしょうか。

かくいう私の日本映画の味わい方はと申しますと、年齢のせいというか、さまざまの経験ゆえに年々そうなってきているのかな、と思うのですが、学生時代に「日本人かくあるべし」と思っていたようなカッコいい人物だけでなく、いかにも日本人的な弱さを体現しているキャラクターにも心惹かれるようになりました。

伊丹映画でいえば、高級レストランで赤面してしまうオジサンたち(『タンポポ』)ですとか、弱虫ホテルマン(『ミンボーの女』)ですとか、噂話であることないこと言っちゃうご近所さん(『静かな生活』)ですとか、「長いものには巻かれろ、右へならえだ」みたいな人たち(『スーパーの女』)ですとか......彼らがオロオロしたり、しょうもないズルをしたりするたびに「わかる、わかるわー」と思ってしまうのです。
自分を見るようで苦い気持ちになる、というのでしょうか。ダメキャラがやる気を出して頑張ろうものなら、まるで自分の分身を応援するような気持ちになったりもしますね。伊丹十三流のキャスティングの妙もあってこそのことですけれど。(どなたもピタリとハマってるんですよねぇ。)

というふうに、いい映画には、自分の前にスっと鏡を差し出してくれるようなところがあると思います。

映画のDVDやブルーレイをご自宅でゆっくりとご覧になるもよし、涼しい映画館へ出かけて新作映画をゆったりとご覧になるもよし、三連休の最終日がよい一日になるようお祈りしております。
あっっ、モチロン当館にお越しくださいましたら、とっても嬉しいです! スタッフ一同お待ちしております。

bluray_box.JPG
伊丹映画のソフトはBlu-rayディスクで発売中
当館のグッズショップでも取扱っております
ボックスセットにはウレシイ特典がついてますヨ!

今年は「千年猛暑」との予測もあるのだそうです。字面や響きだけで、夏の終わりが見えないような、絶望的な気持ちになりますね。(注:千年「ぶり」の猛暑になるでしょう、という予報であって、千年暑さが続くでしょう、ということではないようです。そこはご安心ください。)
友人に教えましたら、「映画会社の記念映画のタイトルみたいやね。十二単を着た若尾文子が出てきそう」と言うので笑ってしまいました。みなさまも、笑いつつ涼みつつ、ご自愛くださいませ。


学芸員:中野

2013.07.08 健康

記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
昼間に暑いと思えば朝晩が肌寒かったり、湿度が非常に高くじっとりしていたりと、体調管理も大変な時期ですが、皆さま元気でお過ごしでしょうか。

 

いきなりわたくしごとで恐縮ですが、最近、思いっきりのど風邪をひいてしまいました。声が出にくいなぁと思いながら眠った翌朝に声が出なくなり、病院でいただいた薬を飲んでやっと、野太くも「声」と呼べるものが出るようになった、という有様でした。影響があったのは声だけで、体は普段通りなので元気に(?)出勤いたしましたが、野太い声で受付をいたしましたので、びっくりされたお客様がいらっしゃったのではないでしょうか...。この場を借りてお詫び申し上げます。

 

さて、おなじみ伊丹さんの著書『女たちよ!』にこんな記載がありますので、少しご紹介します。

 

 「子供の頃、よく病気をしたが、病気で苦しかった記憶は一度もない。むしろ、病気というものは、生活を一変させる魔法であった。苦痛というよりは、むしろ快楽に近い、甘美なものであった。
 
そもそも、あの熱っぽく、気怠いところからして愉しい。こういう時には、蒲団の中で黙って目を瞑っていても決して退屈しないのである。...(以下略)」(『女たちよ!』−小さな病人の快楽−)

 

大人になってこの文章を読んだとき、「そうそう、子どもの頃、風邪で寝込んだとき確かにそうだった!」と大いにうなずきました(今寝込むと「せっかくの休みなのに寝て終わってしまった...」とがっかり感が勝ってしまうのですが)。
体のしんどさはありますが、それでもなんとなく嬉しくて、楽しかったのを覚えています。ぼんやりした頭で普段考えないようなことを考えたり、逆に何も考えなかったり、普段はあまり食べないおかゆなどを自分だけに作ってもらったり...。ちょっとした「非日常」を体験できて、それが楽しかったのだと思います。先日、風邪をひいて学校を休んだ甥っ子に付き添った時も、「やっぱりどこか嬉しそうにみえるなぁ」と、この文章を思い出しました。
皆さまは、いかがだったでしょうか?

 

女たちよ (800x533) (314x209).jpg【エッセイ『女たちよ!』(新潮文庫)。伊丹さんのエッセイは、なるほど!とか、そうそう、そうだよね!というものが多く、楽しく読めてしまいます。もしまだ読まれていない方は、ぜひ読んでみてくださいね。】

 

とはいえ、やはり、記念館にお越しいただくお客様をお迎えするためには、健康が一番です!「いらっしゃいませ、こんにちは!」と、元気にお迎えできるよう、体調管理をしっかり行っていきたいと思います。
皆さまも、くれぐれもご自愛くださいね。

スタッフ:山岡

 

2013.07.01 ハリコノイヌトトラトガナカヨクアソンデヰルトコロ

記念館内のカフェ・タンポポには、伊丹十三の父・万作の油彩がございます。

伊丹万作と言えば松山が誇る脚本家・映画監督、『國士無双』や『赤西蠣太』といった名作で広く知られていますよね。
そんな映画人伊丹万作が「絵」を?と不思議に思われる方もいらっしゃることでしょう。実は、脚本家・映画監督になる前の若い頃の万作には、洋画家を目指していた時期がありました。岸田劉生に素質を認められたこともあったそうなのですが、生活に窮する中で絵の道を断念し、映画の世界に身を投じたのです(絵の才能があったからこそ、映画界で活躍できたのでしょうね)。

カフェ・タンポポに展示しております油彩は、万作が33歳の時、長男岳彦(本名・義弘、のちの伊丹十三)の誕生を祝って描きました。映画『國士無双』が公開されたのが32歳の時ですから、映画界で知られるようになっていた頃のものですね。

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   【伊丹万作 ハリコノイヌトトラトガナカヨクアソンデヰルトコロ 1933年】
この油彩をカフェ・タンポポに展示しております 

 
父の子に対する愛情いっぱいの愛らしい絵を眺めていると、私自身が親からもらった愛情へと思い及んで、不思議とほっとします。「親からもらった愛情があれば、たぶん何があっても大丈夫」そんな安心感を呼び起こす絵とでも言いましょうか。

皆様はどうお感じになりますでしょうか。

現在の企画展「 父と子 ― 伊丹十三が語る父・伊丹万作の人と芸術 ― 」(2010 年12 月20 日~2013 年12 月)では、万作の他の絵画作品もご覧いただけます。さらに、同企画展に展示されております『朱欒』(万作が画家を目指していた頃、友人たちと作った文芸・絵画作品の回覧雑誌)第4号には、「自分が繪描きで無かったら」という万作の詩が掲載されており(6月26日より展示)、その真摯な人柄に触れていただくこともできます。

0701kikaku.JPG【企画展の様子】
万作には挿絵画家「池内愚美」として活躍した時期もありました


尚、受付とカフェ・タンポポでは、当館に対するご感想をお伺いしております(ご希望の方に限り、用紙にご記入いただいております)。頂戴したご感想は、許可を得て「みなさまの声」としてHPに掲載しております。記念館にお越しいただきました際には、是非みなさまのご感想をお寄せください。
楽しみにお待ちしております。

スタッフ:淺野

2013.06.24 伊丹さんの知られざる(でもピッタリな)受賞歴

前回(6月3日)のちょっとした続きで恐縮ですが...

収蔵庫ツアーでご覧いただく収蔵品のひとつに、こんなものがあります。

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何かと申しますと...

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「第1回ベスト・ファーザー イエローリボン賞」の賞状なのです。伊丹さんは、今や父の日の恒例行事となったあの賞の、第1回受賞者なんですよ。

受賞者の一覧を見ますと、これまでに実にさまざまなお父さんたちが受賞なさっていておもしろいのですが...オヤ、伊丹さんの職業が「俳優・エッセイスト」となっていますねぇ。映画監督になる2年前、1982年の受賞でした。

1982年というと、前年始まった『北の国から』(フジテレビ)で"吉野のおじさん"を、大河ドラマ『峠の群像』 (NHK)では吉良上野介を演じた年です。どちらも印象深い演技でしたから、お客さまからも「覚えてます」、「大好きでした」、「強烈でした」とのお声をよく頂戴します。
そんなふうに俳優として充実した仕事をしながら、二児の父としての悩みや発見を綴ったエッセイを発表したり、専門家と対談したり、そうこうする間に精神分析にハマって自らの責任編集で雑誌『モノンクル』(1981年)を刊行したりして、書き手・語り手としても世の人々の関心を集めていた頃でした。

たとえば、『女たちよ!男たちよ!子供たちよ!』(1979年)は伊丹十三の父親ぶりにふれていただける著書の代表作ですが、男としての行き詰まりや大人としての挫折感をさらけ出したうえで自分の考えを述べている(何ごとも実感抜きには語らないのが伊丹十三なのですが)のを読むと、「素敵なお父さん」というひとことで表現したのでは収まらないような厳しさ、硬派さが感じられて、ちょっと胸が痛むような気持ちになることもあります。こんな俳優、なかなかいないなぁ...

企画展「父と子 — 伊丹十三が語る父・伊丹万作の人と芸術 —」では、そんな伊丹十三が、俳優から映画監督になっていく過程でいかにして「父」になっていったか、「父」である伊丹万作への思いをどのように深めていったか、そういったところもご覧いただけます。

展示品を少しずつ入れ替えながら、12月上旬まで続けてまいりますので、一度と言わず二度三度、何度でもお越しください。

学芸員:中野

2013.06.17 暑い!

記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。早いもので、平成25年、前半最後の月に入ってしまいました。暑い、暑い日が続いていますがいかがお過ごしでしょうか。

松山では、梅雨はどこへ...と思わずにはいられないほど、まとまった雨が少なく、心なしか元気がなさそうに見える記念館の木々と共に雨が恋しい日々が続いています。
そして何よりこの暑さ。あちこちで、今年の夏は猛暑との話も耳にします...。暑さにとことん弱い私は、夏本番を前にもう既に心が折れそうですが、水分をしっかり取って、なんとか...なんとか元気に夏を乗り切りたいと思います。皆さまも、どうぞご自愛くださいね。

 

さて今回は、そんな暑~い日にぴったりの、当館のカフェタンポポのアイスドリンクメニューをご紹介します。

 

定番メニューであるアイスコーヒー、アイスティー、そしてちょっと甘口のマンゴージュースは、夏季限定のメニューです!この季節にぜひどうぞ。
また、愛媛みかんジュースの飲み比べセット(愛媛みかん、清見タンゴール、デコタンゴールの3種類)も、一年を通してご好評いただいております。

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 【愛媛みかんジュース飲み比べセット】

 

当館手作りの生姜シロップをペリエ(炭酸水)で割った「ジンジャーペリエ」、ゆずジャムと生姜シロップをペリエで割った「ゆずジンジャーペリエ」もおすすめです。しゅわ~っとした、炭酸ならではの爽やかさで、特に夏場に大人気です!!

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【ゆずジンジャーペリエ】

 

また、『季節のタルト』が、5月より『いちごのタルト』から『美生柑(みしょうかん)とピスタチオとグレープフルーツのタルト』にバトンタッチいたしました。さっぱりとした口当たりで、これもまたお客様よりご好評をいただいております。アイスドリンクと共に、ぜひご賞味ください。

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【美生柑(みしょうかん)とピスタチオとグレープフルーツのタルト】

 

ここ記念館では、夏の暑い暑い日も、雨の日も晴れの日も、ゆったりとした時間が流れております。お忙しい日々の合間に、ぜひ寛ぎにいらしてくださいませ。
スタッフ一同、皆さまのお越しを心よりお待ちしております。

  カフェ縮小.jpg

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<記念館からのお知らせ>

6月7日(金)に、伊丹十三記念館開館以来の累計入館者数が12万人を突破いたしました~!!
これまでご来館くださったお客様、お力添えくださった方々に、心より御礼申し上げます。
引き続き、伊丹十三記念館をよろしくお願いいたします。

スタッフ:山岡

2013.06.10 つぶやき

今更ですが、「Twitterを利用している人、本当に多いなぁ」と感じませんか。

「○○なう」に代表される"私的な行動のつぶやき"が主流だった頃のtwitterには、あまり興味が持てなかったのですが、つぶやき内容が多様化しているこの頃は、気になったニュースを追うツールとして利用しています(未だアカウントを取得しておりませんので、只々見るだけではあるのですが......)。
「伊丹十三」に関するツイートも探してみたりします。そうすると、このところある言葉を引用したツイートをちらほらと見かけるんです。それが、こちら.――

 "自分に出会えない人生は他者とも出会えない"
 『女たちよ!男たちよ!子供たちよ!』(1979)伊丹十三

「これは!」と感じた言葉の備忘録としてtwitterでつぶやいていらっしゃるのでしょうね、確かに「はっ」とさせられる言葉です。「伊丹十三」をあまりご存じないであろう若い世代の方々が、ツイートなさっているのを見ますと、「twitterってすごいなぁ」と思います。今まで「知らなかった」ことが、瞬時に「知っている」にひっくり返り、それを見ず知らずの誰かに発信・共有することができるのですものね(ちなみに、"自分に出会えない人生は他者とも出会えない"が記されている著書『女たちよ!男たちよ!子供たちよ!』は絶版の書籍です。その中の言葉が書籍から飛び出して支持されているなんて、すごいことじゃありませんか)。

  女たちよ!男たちよ!子供たちよ!.jpg

 
若い世代の方々に、是非伊丹十三記念館公式botアカウント「伊丹十三の言葉(伊丹十三記念館)」をフォローして頂きたいなぁと思うのです。名言・箴言の宝庫であり、すべての言葉に出典が添えられていますので、「伊丹十三」を知る入口としてこんなに最適なものはありません。「伊丹十三を知らない」なんてもったいないですよ。
"自分に出会えない人生は他者とも出会えない"以外の言葉にも出会って欲しいな、と思います。

 

twitter_伊丹十三.jpg【「伊丹十三の言葉(伊丹十三記念館)bot」より】
「お気に入り」に登録して下さっている方がいると、やはり嬉しいです

 
尚、伊丹十三記念館公式botアカウントとしてはもう一つ「伊丹万作名言集(伊丹十三記念館)」もございます。
是非覗いてみて下さいね。


スタッフ:浅野

2013.06.03 開館6周年記念収蔵庫ツアー開催のご報告

霧雨の朝。
「すっかり梅雨ですなぁ」と館の植木を見回っておりましたら、可愛いさえずりが聞こえてきました。オヤ、メジロではありませんか。
メジロちゃんがいるということは、甘い美味しいものがあるはず......

おおっ、ヤマザクラにサクランボが!

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おお~ぅ、他のヤマザクラにも! こりゃ豊作!

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さて、お味は......

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に、苦い......(そっと土に埋める)

......失礼いたしました。そんなこんなの6月の記念館でございます。
みなさま、いかがお過ごしでしょうか?

さて、先月のことになってしまいましたが、今年もまた、開館記念日ウィーク恒例のイベント「収蔵庫ツアー」を5月15日(水)~19日(日)の5日間、開催いたしました。

伊丹さんの愛用品や原稿などが「展示風」に収蔵されているスペースをご案内するこのツアーでは、こんなものや

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こんなものや

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こんなものを

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こんなふうに

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ご覧いただきました。

ご参加くださった30名様、まことにありがとうございました。お楽しみいただけましたでしょうか?
たくさんのご応募をいただきましたため抽選とさせていただき、ご落選となった方多数。大変申し訳ありません。これに懲りずに次の機会にも名乗りを上げてくださいましたら幸いに存じます。

以下、ご参加くださったお客様から頂戴したご感想をご紹介させていただきます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

自分の本箱にあった本と同じ本が本棚にあったのが楽しかった。昔のビデオデッキなどやコンパクトカメラなどがあり、原稿はワープロでなくて鉛筆やシャープペンシルを使うアナログなようで、デジタルな最新のものを取り入れる事はさすが伊丹十三だと思った。

初めて拝見させて頂き、大切に保存されていて感動いたしました。伊丹十三さんの活躍を思い起こさせて頂き、又読み直したいと思っています。

伊丹十三さんのツアー初めて見せて頂き大変うれしくありがとうございました。使用していたそのままの本、服、家具その他沢山のイラスト等、絵心にもびっくりしました。きれいに保存しているのに感動しました。

伊丹十三記念館の中にあっていつも公開出来ないのはもったいない。いつでも見れる様にしたらいいと思う。

何か1つの事を追求していく事がすばらしい事だと思います。私自身は凡人であり、何のとりえもなく、ただただ1日がすぎていくのみですが、今日からは、何でもよいから、深く考えたり、できる事を探してみたいと感じました。ツアーに参加してよかったです。ありがとうございました。

伊丹十三さんの生前の愛用品のきれいさに、とても物を大事にされる方だったことを感じました。イラスト、デッサンの素晴らしさは、お父様の万作さんのDNAを受け継がれているのだと強く感じました。ますます伊丹十三さんのワールドに引き込まれてしまいました。

今、36才です。中学のころにビデオショップでかりて休日に友人とあつまってビデオをみるのが流行ってました。そのころ『マルサの女』、『あげまん』等みていました。あれ以来、監督が亡くなられて再び映画をみることもありませんでしたが、またみてみます。夏ばっぱが愛した伊丹十三をこの年齢になってもう一度みてみたいです。夫婦っていいですね。子育てにも興味があったということが意外でした。

記念館に来たのも初めてでしたが、あらためて色んな才能をもっていた方だったと楽しく拝見できました。色々整理されて詳しい説明もきく事ができ、本や映画ももう一度見ようと思いました。

「ヨーロッパ退屈日記」「女たちよ」から伊丹さんの著作は大体読んでいますが、1Fの常設展だけでは少し物足らなさを感じていましたが、今回の収蔵庫ツアーに参加して、物足らなさを払拭できました。伊丹さんの人となりがよくわかりました。70才をすぎて撮る伊丹さんの映画をみてみたかったです。

伊丹十三の世界を満喫!!伊丹さんが伊予弁で話しかけてくるような温もりが感じられた。出来れば毎年見学し、伊丹さんの知と情と機微に触れ心のカタルシスとしたい。

初めて母と一緒に来ました。松山に住んでいながら、ここに来ることになったきっかけは、めったに拝見することのできない品々をみたかったからです。おもしろかったです。十三さんは、一六タルトのCMがインパクトに残っています。私は、映画は、タイトルを2~3個知ってるだけで、申し訳ありません。宮本さんは、朝ドラ『まんてん』?だったかな?宇宙飛行士の話と『あまちゃん』の夏バッパをTVでみてます。朝ドラ好きで、いつもみてます。夏バッパは、玲奈ちゃん演じるアキちゃんとどんな感じで話するのかな?夏バッパのキャラは、すごい好きです。9月末まで、楽しみにみてますので、撮影がんばってください。

本日は、たいへん貴重なものを見せていただき、たいへん感激しています。一度はきてみたかったので...。また、朝の番組「あまちゃん」を見せていただき、楽しみにしています。がんばって下さい。家庭料理を作っていたとのこと。そのレシピ等もみてみたいなあ...(テレビで放送されてたので...)。

今日お二階を拝見いたしまして感動しております。物持がよく何でも取り組んで一生懸命の生き方をされたのですね。本の多さにもおどろきです。信子様、連続テレビ「あまちゃん」毎日楽しく見ております。お声とお話の上手さにうっとりです。

本日はお世話になりました。倉庫というイメージがあったので、部屋を再現したり、きちんと整理されていて驚きました。欲を言えば、もっと来場者に公開して頂きたいというのが本音です。もしくは、このようなツアーを沢山設定して頂くとか。隠されているお宝もったいないです。※精神分析の本、読んでみたいと思います。ありがとうございました。

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貴重な収蔵品を見せていただきありがとうございました。伊丹監督の生活が垣間見えて非常に興味深かったです。映画監督時代の台本のコピーでもいいので台本の中を自由に見れるか画コンテをもっと見れると更にうれしいです。貴重な体験をありがとうございました。

静かな生活を初めて見て伊丹さんのファンになりました。以前から来たいと思っていた記念館に来られて、収蔵庫の中を見せて頂けて、大変伊丹さんに近づけた気分になりました。ありがとうございました。美しく収納することを私も心がけたいです。

どんなものが収蔵されているのか、わくわくとこの日を楽しみにしていました。特に印象に残ったのは衣装と洋服(否、中華服か)です。自分に似合うものを見つけて、あつらえていたことやスウォッチをあわせていたエピソードなど、伊丹さんの生前の様子がわかる数々の解説を楽しくうかがいました。また映画を見直したいです!宮本館長、『あまちゃん』を見て笑ったり泣いたりしながら、1日の疲れを癒しています。朝ドラ史上No.1のおもしろさすばらしさです!!!

楽しく拝見させて頂きました。多才な人物の基礎となる品であったり、不思議な品であったり、興味をひかれました。

収蔵庫見せていただいて胸一杯でございます。ますます大ファンになりました。私もこれからの人生を大切に1日1日を生きてゆこうと思いました。松山のこの地にこういう館を建てて下さりありがとうございました。又家族で来たいと思っております。

大変感動しました。十三氏の声が今聞こえて来そうです。日本の、いや、世界のリーダーとしてもっと長く生きていてほしかったです。

常設展示では見られない台本や作品に関する備品、遺品等を見ることができ、大変楽しい時間を過ごせました。人に情報を伝えることに心血を注いでいたのだなあと思い、改めて伊丹十三という人物の面白さを知りました。ありがとうございました。(宮本様、母がファンで朝ドラ毎朝楽しく見ております)。

とてもきれいに整然と展示されていて、「収蔵庫」とは思えないくらいでした。スペイン製の椅子の脚の凝ったデザイン、数々の愛用品のこだわり方は興味深かったです。また、学芸員の方の説明が丁寧で分かりやすかったです。『家族ゲーム』の台本の落書きや、Tシャツのデザイン等ネコへの愛着、あったかい気持ちが伝わってきて人間らしい伊丹十三氏に親近感を覚えました。ふだんは目にできない品々、自宅部屋の再現etcいろいろ見せていただいてありがとうございました。機会があればまた参加させてください。作品をもう一度見直そうと思います。

好奇心満載の私が、普段見られない展示を見せていただけて嬉しいです。私、旧姓が伊丹です。伊丹十三さんは芸名ですが、説明の中野さんが「伊丹さんが...伊丹さんが...」と言われると、こそばゆく若い頃と重ねながら充実した時間を過ごさせていただきました。主人と共有の日曜日が結婚34年目のアクセントになりました。今日という日は、じぇじぇじぇです!!


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「周年記念」の収蔵庫ツアーも、おかげさまで6回目を終えました。
お客様方とおしゃべりしながらご案内させていただくので、私も毎回楽しませていただいております。

ああ、思い返せば3回目ぐらいまでは、分からないことだらけでお話しできることが少なく、出てくるものは汗ばかり、というほどにアセりまくっておりました。年々、話題のストックを増やしてきて、1時間程度のご案内ができるようになりましたが(とはいえ汗はやっぱり出てしまうんですけどね...)、その分あの頃のいたらなさが悔やまれて、過去にご参加くださったお客様には申し訳ない思いがいたします。

そういうわけで、心の中でお礼とお詫びを申しあげつつ、「6周年かぁ...そりゃサクランボも実りますわねぇ...苦いけど!」と時の流れに感じ入りつつ、庭の緑を愛でております。雨の日は風情が増して、これまたすばらしいのです。

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7年目に入りました伊丹十三記念館、引き続きよろしくお願い申しあげます。
晴れの日も雨の日も、お待ちしております。


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<お知らせ>

今年の6月6日に創刊15周年を迎える「ほぼ日刊イトイ新聞」から、展覧会のお知らせをいただきました。

ほぼ日が「はたらく」ことを考える。はたらきたい展。
 会期:2013年6月6日(木)~17日(月)
 時間:10時~21時(初日と最終日は18時閉場/入場は閉場30分前まで)
 会場:パルコミュージアム(渋谷パルコパート1)
 入場料:一般500円、学生400円、小学生以下無料

世界中の実にさまざまな方々の「はたらく」、そして、ほぼ日を作り続けてきた乗組員のみなさんの「はたらく」を紹介することによって、次の時代の新しい「はたらきかた」をいっしょに考えてみましょう、という展覧会なのだそうです。おもしろそうですねぇ。(ほぼ日の「就職論」「仕事論」ファンの私にはたまらない企画です!)

2009年、糸井重里さんの第1回伊丹十三賞ご受賞をきっかけに組んでいただいた『伊丹十三特集』での宮本館長のお話しの中で印象的だったあの「ひとこと」も、この展覧会でふたたびご紹介くださるそうですよ。

東京方面にお住まいの方、お出かけのご予定がおありの方、ぜひご覧ください!
「遠くて行けないよ~」という方は、アンケートでぜひご参加を!

学芸員:中野

2013.05.27 宮本館長が出勤いたしました!!

 記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。

NHK連続テレビ小説『あまちゃん』の撮影で忙しく、なかなか館長の出勤がかなわない...そんな日々が続いていましたが、開館記念日を数日後に控えた5月12日(日)、宮本館長が記念館に出勤いたしました!

撮影の合間をぬっての出勤で限られた時間ではありましたが、お客様と記念撮影をしたり、サインに応じるなど、忙しく館長としての仕事に励んでおりました。その様子を、一部ではありますが、写真にてお伝えいたします。

 

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館長の出勤を知らずに記念館に来てくださったお客様は、受付にいる館長をご覧になり
「えっ、ホンモノですか!?」
「たまたま今日来たのに、こんなこともあるのね~!!」
とまずびっくりされ、その後嬉しそうに顔をほころばせ...。
はじめは遠巻きに見ておられたお客様も、いつしか楽しそうに館長とお話をされていました。

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【開館当時の記念館スタッフも集合!まるで同窓会のようでした♪】

ご来館いただいた皆さま、誠にありがとうございました。
今後の出勤は未定ですが、決まり次第ホームページなどでお知らせいたします。どうぞお楽しみに!

スタッフ:山岡

2013.05.20 書籍のご紹介

先日、"季刊誌「考える人」2013年春号(新潮社刊)重版"というニュースを目にしました。

なんでも当該誌の売れ行きが好調で、初版がほぼ完売につき、重版が決定したらしいのです。そうと知るやいなや、「買い損ねてなるものかっ!」とあわてて書店に向かいました(春号の特集内容に惹かれ、そろそろ買い求めようかと思っていたところだったのです)。無事手にすることができ、ホッとしています。

この「考える人」、私はときどき購入しています。特集内容に惹かれて思わず手に取り、丁寧で豊かな筆致に引き込まれつつ、ひとりあれこれと考える時間が本当に楽しいのです。大人になっても夢中で読める雑誌があるということは、幸せですね。
同じように感じていらっしゃる方は多いでしょうから、今回の重版決定については「さもありなん!」と思いました。けれどニュースになるということは、雑誌の読者離れが言われて久しい今、やはり「重版=異例の事」なのでしょうね。

そんな注目の「考える人」、遡って2003年冬号の特集内容が「エッセイスト伊丹十三がのこしたもの」だったことをご存知でしょうか。

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「2003年刊行の雑誌ならば、もう手にすることは難しいのでは......」とご心配なさらずに。確かに、雑誌そのものを今から手に入れることは難しいのでしょうけれど、その特集内容は、大幅な増補改訂を経て(つまりパワーアップして)書籍化されているのです!

当館のグッズショップでも販売されている、「伊丹十三の本」(「考える人」編集部編)がそれです。

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 (左)「伊丹十三の本」 (右)「伊丹十三の映画」

 「考える人」×「伊丹十三」――私がとやかく申し上げるまでもなく、読み応えのある書籍であることはお察しいただけると思います。(同じく「考える人」編集部編の「伊丹十三の映画」という書籍もあるんですよ)。そしてこの2冊(「伊丹十三の本」「伊丹十三の映画」)のいずれかを、5月1日(水)~31日(金)までの期間にお買い求め下さったお客様には、当館開館6周年記念として、今は無き小倉の名書店「金榮堂」の復刻版ブックカバー(意匠はもちろん、伊丹十三!)をプレゼントしております。

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「金榮堂」の復刻版ブックカバー 男性が寝そべって本を読んでいます。
ほのぼのとした可笑しみを誘う絵が、本に向き合う時間の楽しさを教えてくれるブックカバーです


当館グッズショップ取扱い書籍を、もう少しご紹介......。
開館6周年記念オリジナルブックセット、こちらもオススメなんです!
「伊丹十三記念館ガイドブック(通常価格1,365円)」と「映画『お葬式』シナリオつき絵コンテノート(通常価格735円)」の2冊セットを、ブックセットとして特別価格1,365円にてご用意しているのです。こちらも、5月1日(水)~31日(金)までの期間限定販売です。(詳しくはこちら)。

この機会に是非お買い求めくださいね。

ほんの一部ではありますが、当館自慢の書籍たちのご紹介でした。   

スタッフ:淺野

2013.05.13 開館6周年記念 館長・宮本信子からのご挨拶

皆様へ

「伊丹十三記念館」は5月15日に6周年記念を迎えます!

  初めていらして下さったお客様・・・ようこそ!
  何度も来て下さっているお客様・・・ありがとう!
  又、これからいらして下さるお客様・・・お待ちしております!!

私は「あまちゃん」の収録で、全く館長の仕事が出来ておりませんが、
でも、嬉しいことにスタッフから連日報告があります。
「あまちゃん、みてますよぉ~~夏ばっぱ!」
「楽しい~~あまちゃん!」等々。
私、とっても嬉しいです~~疲れも吹っ飛びます~~~(笑)
ありがとうございます!

これからいい季節です。とってもいいです!
展示をゆっくり御覧になって、中庭でのんびり桂の木をながめて下さいませ。

スタッフ一同、お待ち申しております。


感謝  

宮本 信子

2013.05.06 館長・宮本信子出勤のお知らせ

伊丹十三記念館・館長の宮本信子が記念館へ出勤致します。

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 【日程のご案内】
5月12日(日) 午後2時頃~4時頃まで
※当日の状況により、滞在時間は変更になることがありますのでご了承ください。


当日は宮本に会いにぜひとも記念館へお越し下さい。
宮本はじめスタッフ一同、皆様のご来館を心よりお待ち申し上げております。

2013.04.29 小屋へ行ったよ! — 中村好文展「小屋へおいでよ!」レポート —

4月19日(金)、伊丹十三賞贈呈式の翌日、東京・乃木坂にあるTOTOギャラリー・間へ行ってまいりました。「トートーギャラリー・ま」と読みます。
TOTOといえば、キッチン、トイレ、バスルーム......みなさんのお家やお勤め先にも、必ずと言っていいほど、何かひとつはTOTO製品がありますでしょう。そのTOTOさんが社会貢献活動の一環として運営している建築とデザイン専門のギャラリーが「間」でして、中村好文さんの展覧会「小屋へおいでよ!」が開催されているのです。

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乃木坂駅を出て振り返ると...おぉ!

まー、なんと申しますか、のっけから面白味も夢もない話で恐縮ですが、シャカイジンを何年かやってまいりますと、稼いで食って生きていくことの大変さを思い知りますよね。生活全体を支えていくためには(お金の問題だけじゃなく)結構な努力が必要で、できるんだけど、しんどい、と。そして、思い知った後、人によって「生活を大切にする」派と「生活をおざなりにする」派に分かれて行く気がするのですね。
ワタクシ自身について申しますと、何の疑いもなく余裕で前者、のつもりでおりましたのに、いつの間にやら後者に足を踏み入れていたようでして、気付けば「生活について考えるのもめんどうくさい」「考えようとすると頭がシャットダウンする」「今の生活も先の生活も可能な限り見ないでおこう」という事態に陥っておりました。ああぁ、伊丹さんに叱られちゃう......

こんなふうですから、本や雑誌やテレビで紹介されている「ステキな暮らし(に必要であるらしい品々)」に食指が動くこともありませんし、友人から「一生モノの買い物に目覚めた」なんて聞いても「ふーん」と思うだけで、遠い外国のお話を聞いているような気持ちにしかなりません。

まして「家を持つ」...? 家を持つってことは土地を持つってことで、それらはいわゆる不動産ですよね!? ああ、想像もできませんそんなこと! 遠い外国のお話より遠いお話ですよ! お金と労力のかかる、大掛かりでしんどいだけのことじゃないですか! 怖い! ワタシには無理です!!

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きれいな青いタイルばりのエントランス。
さすがTOTOさんのビルですねぇ。


だから、まぁ、こういう機会でなければ行かないような場所だったと思うのです。(あ...中村さん、TOTOギャラリーさんスミマセン。「行かない」場所ではなくて、「行かないような」場所ですからお許しを...)
「なんかもう、この展覧会を観るにふさわしくない人物代表のワタクシがお邪魔しちゃって申し訳ありません!」という気分でビルのエレベーターに乗り、展覧会場へ分け入りますと——

果たして。

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小屋に暮らし『方丈記』をものした鴨長明、のパネル、の顔出し。もちろん(笑)パチリ。

いやぁ、楽しかったです。

できるだけ大きくて広くてたくさんのものが置けてできるだけ頑丈なもの。その中にいれば安心安全快適便利をすべて与えて保証してくれそうなもの。そのために一人では負えないほどのお金と時間と労力を費やしてしかるべきもの——そういうものこそが家......「っていうわけじゃないよ」と、古今東西の小屋、中村さんの小屋が、そのたたずまいで教えてくれるんです。示唆に富む痛快さ。そういう意味での楽しさを満喫いたしました。

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小屋に入って小屋を観る。こちらは立原道造氏のヒアシンスハウスの紹介。

もちろん、そういったことを難しい顔して「教えて進ぜよう」とおっしゃる中村さんではありません。
中村さんの「意中の小屋」の紹介や、中庭の小屋「Hanem Hut」、小屋にまつわるさまざまな写真やスケッチを眺めていて「わぁ、中村さんの口笛が聴こえてきそう」と思っていたら...ビンゴでした(笑)。(←どこで「ビンゴ」だったのかは、展示を観てのお楽しみを奪っちゃいけませんから、今はヒミツにいたします。)
中村さんと一緒にお仕事している人たちもね、写真やビデオの中でイイ顔見せてくださってます。

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ギャラリーの中庭に小屋が出現! Hanem Hutです。
素人でもバラして運んで別の場所で組み立てることができる
シンプルな作りなのだとか...ほほぅ。


そんな展示を行きつ戻りつしながらめぐるうちに「あ、家って、できるのかもしれない...」「ちょっと、やってみたい...かも」と考えるにいたりました。

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小屋の裏にはポンプ。屋根の上にはソーラーパネルと風力発電と高架水槽。
あれっ、風力発電が写ってないですね、スミマセン。

中村さんがご自身の別荘として「Lemm Hut」というエネルギー自給自足の小屋を浅間山のふもとにお作りになったのは2005年、それ以前からオファーに応じて小屋的な住まいを作っていらしたわけですが、中村さん の「小屋」観にふれ、2013年の今、人の営みについてますますいろいろの思いがおありなのだな、それにはあの震災が少なからず影響を与えているのだな、 ということも察せられました。

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ソファは土台ごと少し引き出すとベッドになります。

重たくなってしまった心に「もっとシンプルにやれることなんだよ、やろうと思えばね」「楽しいよ」というところを示していただいた思いです。

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はっけーん♪ イタミストですものね!

んー、なんかねぇ、できちゃうの。そりゃ大変ではあったけど、口笛吹いてたらできちゃったのね。だけどさ、何だってそうじゃない?
(ワタクシの想像したところの中村好文先生談話)

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コンロは嵌めこみの七輪。

と、ざっくりとした感想だけではあんまりなので、ニヤリとした点を具体的に、いくつか厳選してご紹介いたしましょう。

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上階の展示室の中には蚊帳の小屋。
その中にはHanem Hutの設計図、中村さんのスケッチ、メモなど。


  • ギャラリーの中庭の「Hanem Hut」は"モデルルーム"のように"平均化"された見本ではありません。"中村さんの"小屋であります。(だから、展覧会の英語タイトルが「Come on-a my Hut!」なわけですね。)この展覧会のために新しく作られたものではありますが、小屋のそこここから、中村さんがどんなふうに過ごすのかが見えてきます。水道・ガス・電気などのライフラインにつながっていなくても生きていける独立独歩ぶり、自給自足ぶりも見事です。
  • 中村さんによる「小屋に置くもの」選別のための絵リスト。自分を知っている人、自分にほんとうに必要なものを分かっている人だけが楽しむことのできる作業。「太平洋ひとりぼっち」の堀江青年の旅支度を彷彿とさせます。
  • 中村さんが紹介している「小屋人」たちは、「己を知る」という点においても中村さんが尊敬と親愛を寄せる人々なのだろうな、と想像。
  • 何かと"単なる四角い陳列棚"になりがちな展示什器も、中村さんにかかれば小屋型に!
  • 中村さん6歳の頃の「ミシンの下の巣作り」の絵! 誰もが自分の子供時代の巣作りの楽しさを思い出すでしょう。ワタクシは、机やピアノの下で読む本が格別に面白く感じられた子供時代を懐かしく思い出しました。「そんな暗いところで...目が悪くなるよっ!」て叱られても、やめられないんですよねぇ、アレ。
  • とってもおもしろい「小屋のメイキングビデオ」。45分ほどあります。全部ご覧いただきたいので、時間をたっぷり取ってお出かけくださいね。(ワタクシは...4時間ほど滞在してしまいました...笑)

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Hanem Hutのメイキングビデオ。中村さんインタビューもあります。
あ、並べてある椅子はモチロン中村作品ですよ。

そんなこんなで、「私にもできる...かも」「誰にでもできる...かも」と思い始めた自分の心境の変化に興奮したのでしょうか、ギャラリーで鼻血を出してしまったことを申しあげて、ご報告のしめくくりとさせていただきます。

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受付でいただいた「小屋においでよ!見どころ手帖」からも
中村さんの口笛が...ぷぴ~
♪ 楽し。

TOTOギャラリー・間
中村好文展「小屋においでよ!」
 会期:2013年4月17日(水)~6月22日(土)
 開館時間:11:00~18:00(金曜日は19:00まで)
 休館日:日曜・月曜・祝日
 入場無料
 ギャラリーHPはコチラ

「小屋に行けないよ!」という方は、"読む小屋"をぜひ。
中村好文『小屋から家へ』(TOTO出版)

学芸員:中野

2013.04.22 第5回伊丹十三賞の贈呈式を開催いたしました

4月18日(木)、国際文化会館で第5回伊丹十三賞の贈呈式を開催いたしました。

 
ihj.JPG会場の国際文化会館

受賞者の池上彰さん、池上さんのご関係者のみなさま、そして、歴代受賞者、伊丹十三ゆかりの方々に当財団の関係者のみなさま、あわせてなんとなんと130名様にお集まりいただきました!(過去最多の出席者数!)今回は、その贈呈式の模様をご報告いたします。

 
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十三賞の正賞の盾です

選考委員・南伸坊さんの祝辞

池上彰さん、伊丹十三賞ご受賞おめでとうございます。そして、ありがとうございます。

 
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私は"本人術"という術を使うのです。誰か"本人"になって、そのご本人について考える、という術です。
実は、私は「池上彰さんだった」ことがあります。(場内ちょっと笑)

そして、なぜ、ほかの人にできないことを池上さんができるのか、なぜ、池上さんの番組は分かりやすいのか、なぜ、池上さんの番組はおもしろいのか、なぜ、池上さんの番組は視聴率が高いのか、"本人"として考えました。(場内笑)

結論は、池上さんが、他の人がしない工夫をした、ということです。
頭のいい人、機転の利く人、話術のうまい人——これらはすべて、池上さんがお持ちの才能です。しかし、これらの才能をお持ちの人は他にもいる。なぜ、池上さんにできて、他の人にできないのか。

以下は、私が「池上さんだった」ときのコメントです。(場内爆笑)
テレビのメディアを降りると言われた頃のものです。......"本人"としてのコメントなので、敬称はありません。(場内爆笑)

「なぜ、数字、視聴率が取れるのにメディアを降板するのか」、「なぜ、池上ばかりがそんなにひっぱりだこなのか」......「なぜ」「どこがそんなに」。直接そのように聞く方はいませんでしたけれども、取材をされる側になって、取材者が抱いている疑問はいつも、そういうことなんだろうなと感じていました。

メディアにかかわっている人の常識というのは、普通の人、というより、視聴者の大多数とは違っています。これはしかし、ほかのさまざまな職業についても同じように言えることですし、当然と言ってもいいことですね。職業人になるというのは、その職種の専門知識を持つということですから、専門外の人々とレベルがちがっていて当然なんです。
しかし、ニュースを伝えるということになると、このギャップが思っている以上に妨げになってしまいます。「レベルが違う」と思ったところで、自分たちと視聴者をまるで違った人種のように考えてしまうからです。

分かりやすくおもしろくニュースを伝える、あるいは、解説するというのは、本当は、視聴者を自分と同じであると思わなくちゃできないことなんです。自分にとって分かりきっていることを噛みくだいて、噛みくだいて噛みくだいて、噛んで含めるように口移しにされるのって、自分にとっては気持ち悪いことじゃないでしょうか。でも、そのようにしなきゃいけない、そのようにしてあげなきゃいけない、って思われちゃったらどうですか。自分が、何かを分かって楽しかった、おもしろかった、そのこと自体を伝えられるか、ということだと、私は思いますね。


池上さんの工夫は、つまり、自分が味わった、知ることの楽しさ、学ぶことの喜びの原点にいつも立ち戻ることだった、と、私は......私の"本人術"はとらえたわけです。(場内笑)
あるいは、「全然違ってるよ」と池上さんに言われてしまうかもしれませんが、私が感じている池上さんは、そういう方だということです。
興味を持たせてくれる。興味があれば熱心に聞くんです。熱心に聞くからおもしろい。おもしろいから理解が進む。
先日、池上さんの新著『この日本で生きる君が知っておくべき「戦後史の学び方」』(文藝春秋)を読みました。私は池上さんの本の愛読者にもなりました。

冒頭「ありがとうございます」と申しあげたのは、今までの池上さんのお仕事に対してでもありますし、たとえばわたくしが、伊丹さんの仕事に励まされるようにして自分の仕事をしてこられたように、若い人々に、池上さんが与えてくれる影響力に対してのお礼です。
そして、伊丹十三賞が、この一縷となれることに対してのお礼でもあります。

ありがとうございます。

 
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式後、「本人になった人」(左)とご本人(右)で記念撮影!
池上さんのお手には南さん著『本人伝説』のあのページが!


受賞者スピーチ

このたびは、栄えある賞をいただきまして、ほんとうにありがとうございました。身に余る光栄でございます。——といって、挨拶をするのが苦手ですねぇ!(場内笑)

取材する仕事をずっとやってきたので、「取材される」というのは、ほんとうに慣れていないんですね。こうやってカメラがざぁーっと並んで、そこで挨拶するっていうのは、そういえば、私が「東京都知事選挙に出るのではないか」と言われて(場内大爆笑)、「いいや、そんなことはないんですよ」とお話しして以来ではないかな、と思います。
それで言いますと、この夏の参議院選挙に出ることはありません。私は、選挙に出るのではなくて、それを取材して番組にするほうです。この夏の参議院選挙も、選挙の特番でキャスターを務めることになっています。(場内拍手!)

とにかく、華やかなことに慣れていないものですから、実はこれまで、いろんな賞を逃げまわってたんですね。どうしても受けなければいけない場合は代理人を立てたりしていたのですが、「(伊丹十三賞の)受賞が内定したんですが受けていただけますか」という連絡がきたとき困ってしまって、「伊丹十三賞...どうしようかなぁ」と。今日はここにも来てくださっていますが、伊丹さんが生前交流もあったという編集者の長澤さんという方に「どうしたもんでしょうか」と電話をしたところ、「絶対受けなきゃダメです!伊丹さんの名前の賞だったら、必ず受けなさい!」と怒られまして(笑)、「それでは」ということで受けた、ということです。
それで、あらためて選考委員の名前などを見たら、私の憧れの人たちで、「そうか、贈呈式に行けばみなさんに会えるんだ!」と、俄かにミーハーの虫がうずうずしてまいりましてね(笑)、今日、嬉しくここへ来た、ということであります。

 
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私が「取材する側」として言いますと、「今もらった100万円、どうするんだろう」と。これは書きたくなります。あるいは、取材したくなりますね。なので、今日ここへ来るまでに、「それをどうするかを決めておかないと」「いろいろ聞かれるだろう」ということで考えました。

これはテレビ東京の選挙特番『総選挙ライブ』で受賞したものですから、福田プロデューサーに「どうしたもんだろうか」と相談をしたらですね、もう、一言「WFPに寄付するもんでしょう!」と言われて、「ああそうだ!」と気が付きました。

と言いますのも、さまざまな難民の人たちに国連として食糧の支援をしているWFP(世界食糧計画)には、これまでいろいろなところで協力をいただきながら、テレビ東京の番組で取材をしてきました。ソマリアの難民の取材をジプチでやったり、シリアの難民についてヨルダンの難民キャンプで取材をしたり、ということがありましたもので「そうだ!そういうところに少しでもお役に立てれば」と思いまして......
もちろん、今日は受取りまして、しっかり家に持って帰りますが(笑)、来週、いつ振り込むのか、ちゃんと知らせろと言われておりますので、来週キチっと銀行振り込みをする、ということになっております。WFPは、私が寄付したことをホームページで公開したい、と、宣伝に利用されてしまう、という思いがけない展開になっておりますが(場内笑)、そういうかたちで、使わせていただきます。

と、いうことで、今、取材している方々、これで原稿ひとつできましたね。(場内笑)

 
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式後、WFPの方とも記念撮影!
国連WFPニュースもご覧ください!

選挙特番についてはいろいろ言われましたけど、視聴者の立場に立って、知りたいこと、聞きたいことをとにかく聞く、それをやっただけなんです。「聞きたいことを聞くのがジャーナリストなんだから遠慮会釈なく聞こう」ということであります。
いろいろ聞いていたら、石原さんが怒りだしたり、私だと分かったとたんに突然態度を変えたりしたものですから、思わず「人によって態度を変えるんですねぇ」などと、ボソっと言ったりしたんですが、基本的に、視聴者の立場で聞きたいことを聞く、この夏の選挙特番でも、そんなことができればな、と思っております。

伊丹さんは、映像の世界、文字の世界、ほんとに幅広く活躍をされた方なんですよね。
伊丹さんのことで「なるほどな」と思ったことがあります。

それは、伊丹さんがテレビの取材で、天竜川の上流の非常にひなびた地域で、婚礼の歌を取材しようとしたもの(よみうりテレビ『遠くへ行きたい』「天が近い村」)でした。
「婚礼の服装をした女性が行って、村の人にその歌を歌ってもらう番組をやろう」ということで取材先に話をして、それでいざ本番ということでカメラクルーで行ったら、なんと村を挙げて、みんなで「結婚式はこうやるんだよ」と(ほんとうの婚礼と同じに)準備をしていた。そこでスタッフは「いや、これだと、ひなびた村の結婚式はこのようなものですってやれるんだけど、それだと、いわゆるひとつのヤラセになってしまう。どうしたらいいか」と悩むのですが、そこで伊丹さんが「それをそのまま言えばいいんだ!」と言うので、「結婚式の婚礼の歌を取材しようとしたら、なんと、村人たちが結婚式の様子を再現してくれました」という番組にしたわけです。
こう言うことによって、嘘ではないわけですね、事実を伝えている。と同時に、カメラの取材が入るとその村の人たちがこんなにも喜んで、村を挙げて結婚式を再現してくれている様子、人々の思いもまた伝わる。きちんと嘘偽りなく事実を伝えることによって、そこの様子がほんとうに見えてくる。「これこそが、テレビの、映像の仕事のやり方なんだな」と、今回、それを思っております。

私もこれまでいろんな仕事をしてきましたし、これからもいろんな仕事をしていきますけれども、伊丹さんの仕事にかける思い、情熱......あるいは、例えば『遠くへ行きたい』なんて今でこそごく当たり前の手法ですけれども、当時はびっくりするような手法だったんですね。常に新しい映像の手法、あるいは番組作りというのを作ってこられた。その思いを、微力ながらも受け継いで仕事ができればな、と思っております。

ほんとうに今日は、ありがとうございました。


館長挨拶

池上さん! この賞を受け取っていただきまして、ほんとうにありがとうございます。そして、この会場にもようこそお越しいただけまして、重ねてお礼申しあげます。
私は週刊こどもニュースの大ファンで、池上さんがお辞めになったときは、すご~く淋しい思いをいたしました。
この間の『総選挙ライブ』もおもしろかったですし、そして、何よりも、池上さんの言葉で私が好きな言葉は、「追求」です。ほんとうに、ステキな言葉だなぁと思っております。
池上さんのこれからのますますのご活躍、そして、私たちをどうぞ楽しませ、いろんなことを教えていただけますように、願っております。

kancho_aisatsu5.JPG 
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館長の「カンパ~イ!!」の音頭で贈呈式は終了、パーティーの始まりです。

池上さん、選考委員のみなさまには、フォトセッションと囲み取材にご対応いただきました。


session.JPG 盾を大事そう~に持ってくださっているのも嬉しいですね


kakomi.JPG 積極的なご取材の皆様にもスマートにご対応くださっています
(ワタシが記者だったら、大先輩を前にド緊張で何も聞けましぇん!)

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池上さんのスピーチで明かされた「賞金の使い道」。
対象になった『総選挙ライブ』のスタッフに相談し、その方が、別の番組で池上さんとご縁の深い組織への寄付を提案する——こういう心意気と雰囲気の中であの『総選挙ライブ』は生まれ、選挙のたびに放送されてきたのだなぁと感じ、ますます番組のファンになりました。夏の参院選でもきっと拝見いたしますね。(あっ、BSジャパンで放送ありますよね!?)

もうひとつ、印象的だったのは、取材でいらしたテレビ局の方が、式後「はぅぅ~、かっこええわぁ~」とひとりごとを言いながら会場から出てきたこと。実はこの方(男性・推定30代前半)、式が始まる前は当方の段取りにご不満がおありだったようでして...すみません...申し訳なく思っていたのですけれども、終ったときには風呂あがりのようにお顔がホワっと。池上さんにすっかり魅了されたらしいあのご様子は忘れられません。

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そしてそして、今回もまた、お客様がたに、気さくであたたかくて愉快な集まりにしていただきました。
帰り際に「楽しかった~」、「とってもあったかい集まりですね」とのお声をいただける贈呈式とパーティーってそうそうないな(エヘン!)と、ちょっと得意に思う気持ちもありますが、それというのもご出席くださったみなさまのおかげでございます。

今回もまことにありがとうございました! 来年もその次もその次も、末永くどうぞよろしくお願いいたします。
学芸員:中野
 

2013.04.15 中村好文さんの展覧会が開催されます

「伊丹さんが好きで来たんだけど、建物自体もすごく落ち着いていて、いい雰囲気ですね。どなたが設計されたのですか?」
昨年10月末から記念館で仕事をするようになって以来、お客様より幾度となくうかがったご質問です(回答はもちろん、「建築家・中村好文さんです!」)。伊丹ファンで記念館にやってきて、建物や中庭の雰囲気に魅せられて中村ファンにもなってしまう...来館されるお客様の中には、そんな方が本当にたくさんいらっしゃるのです。

そんな中村好文さんの展覧会 『中村好文展 小屋においでよ!』 が、あさって4月17日より東京都港区南青山にあるTOTOギャラリー・間で開催されます!

nakamura(web大).jpg「小屋を通じて『住宅とはなにか?』を考える」がテーマ。
展覧会では、「小屋好き」を自称される中村さんがあまたの小屋の中から厳選した「古今東西の7つの小屋」が、模型や図面など工夫を凝らして紹介されます。これだけでも楽しそうですね!
また、実際にこれまで手がけてこられた「小屋的な住宅」も紹介され、4月25日には講演会も開催されるそうです。
そして会場の中庭には、なんと!中村さんがこの展示のために設計した「究極の小屋」が、原寸大で出現するそうですよ~!発電のための風車とソーラーパネル、給水のための高架水槽などなどを備え、エネルギー自給自足をめざしたこの小屋。施工風景 「Hanem Hut ができるまで」 も、HPで見ることができます。

http://www.toto.co.jp/gallerma/ex130417/index.htm

普段あたりまえのように出かけ、帰っている「住まい」について、また違った気付きを与えてくれる...そんな時間になるかもしれません。
なにより遊び心満載!の展覧会、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

スタッフ:山岡

2013.04.08 収蔵庫ツアー

これまで、学生時代の一人暮らしにはじまり何度か居を移してきた私ですが、その都度必ず引っ越しの荷物に忍ばせて、生活を共にしてきた大切な品があります。
私が9歳の時に亡くなった祖父が愛用していた鳥打帽です。
おじいちゃんっ子だった私は、単純に祖父が身に着けていたものがそばにある事が嬉しかったんですね。大人になった今でも自室にあります。

子供の頃には気付かなかったのですが、鳥打帽の内側、丁度つばの後ろ辺りのくぼみには、丁寧に詰め物がしてあります。あきらかに祖父自身の手によるものです。型崩れを防ぐためなのか、サイズ調整のためなのか......随分傷んできた帽子を手にしながら、あれこれと考えてしまいます。目的は何にせよ、一つの物をとても大切にする人だったのかな、ということは伝わってきます。

愛用品には、持ち主の ひととなりが滲み出てくるものですよね。

――と、ここまでは私事なのですが、今回みなさまにぜひご紹介させて頂きたいのは、伊丹十三の愛用品をご覧頂ける貴重なイベント、その名も「収蔵庫ツアー」でございます。

当館2階の収蔵庫には、映画制作資料や直筆原稿、イラスト原画、蔵書などと共に、伊丹十三愛用の品々も大切に所蔵されています。それらは「展示風」に収められており、毎年恒例の開館記念イベント「収蔵庫ツアー」としてみなさまにご覧いただいております。

0408.2floor.JPG


本年も6周年を記念し、5月15日(水)~19日(日)にて開催する運びとなりました。
(詳細はこちらからご覧ください)。

このツアーの大きなポイントは、学芸員が直接ご案内をさせていただくというところでして、例年お客様との会話が弾んでいるようです。
各日6名様の定員を設けておりますので、お早目にご応募下さいませ(応募が定員を超えた場合は、抽選とさせていただきます)。

みなさまにお会いできますことを、スタッフ一同楽しみにお待ちしております。

スタッフ:淺野

2013.04.01 「新しい」

記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
寒さもようやく和らいで、すっかり春めいてまいりました。記念館でも、桂の木が芽吹き、地面に押された黄色いスタンプのようなタンポポの花が日に日に増えつつあります。

さて、今日から新年度ですね。色々な「新しい」ことが多くなる季節です。
そこで今回は、記念館グッズショップとカフェタンポポの「新しい」をご紹介します!

 ◇ 『四国の美しい店』 記念館グッズショップで取り扱いを始めました!

四国4県にあるカフェや雑貨、洋服を扱うお店を集めた本です。愛媛の設計事務所、コラボハウスさんで設計・インテリアを担当されている福岡美穂さんが監修を務められました。紹介されているのは、思わずこの本を手に四国巡りをしたくなるような魅力的なお店ばかり。アートディレクターのセキユリヲさんと福岡さんの対談も収められています。

  四国の美しい店.JPG
そしてこの本には、記念館の建築デザインをされた建築家・中村好文さんと福岡さんの対談も収められています。
対談場所はここ記念館。展示や中庭のことなど、設計された中村さんならではのお話も出てきて、より深く、記念館を感じることができます。 

 ◇ カフェタンポポで夏季限定メニューが始まります!

寒い間冬眠しておりました、夏季限定メニューのアイスコーヒー、アイスティー、マンゴージュースを、本日より再開いたします。これからどんどんあたたかく...というか暑くなってきますので、冷たくておいしい飲み物は本当に嬉しいですよね。もちろん、年間を通して人気のミカンジュース飲み比べやジンジャーペリエも、変わらずおすすめです。

 ◇ 『季節のタルト』が、『いちごのタルト』に変わりました!

カフェタンポポの人気メニュー『季節のタルト』が、『りんごのタルト』から『いちごのタルト』に変わりました。甘酢っぱく、それでいてさっぱりした味のおいし~いタルトです。

リンゴのタルト.JPGぜひ、カフェタンポポのお飲み物と一緒にご賞味くださいませ。

スタッフ:山岡

 

2013.03.25 第5回伊丹十三賞の受賞者が決定いたしました!

毎年春の恒例となりました伊丹十三賞。第5回の受賞者が決定いたしました!

え、「伊丹十三賞ってナーニ?」。いい質問ですねぇ!
ごくカンタンにご説明いたしますと(このご説明も毎年恒例となりました・・・)、「伊丹十三が活躍した分野で、多くの方の知性に生き生きとした刺激を与える面白い仕事をなさっている方にお贈りする賞」でございます。

※詳しくはこちらをご覧ください↓
 当館ホームページ内「伊丹十三賞概要
 宮本信子Official Site内「タンポポだより


さて。

今回の受賞者は・・・・・・

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(いいお写真ですねぇ!)

ジャーナリスト・東京工業大学教授の池上彰さんです!

池上さんがどのような方であるか、ここでご説明申しあげるまでもなく、みなさんよくご存知でいらっしゃいますね。30年あまりNHKで記者・キャスターをお務めになったのち、フリーとなられて、ご執筆活動・テレビやラジオへのご出演・そして東京工業大学リベラルアーツセンター教授としてのご講義でご活躍中です。

2011年にテレビ・ラジオから引退するとおっしゃったときには、池上さんのいない"その後"のテレビ界を想像して、とても淋しく心細く感じたものでした。しかし、そうは問屋が卸すわけがなく(!)、今もご出演を続けて、ご著書もたくさんお出しになって、日本中の人々に「なるほど!」「分かるって面白い!」を届けてくださっています。

昨年12月の衆院選の夜に放送された『池上彰の総選挙ライブ』(テレビ東京制作)は、開票結果を生放送で報じながら、政治家へのインタビュー、スタジオでの解説、事前に収録された解説映像を織り交ぜ、とてもエキサイティングな番組でしたし、生放送の選挙特番がエンタテインメントになるということに驚かされた番組でもありました。地上波ではテレビ東京系列での放送でしたが、BSジャパンでも放送されていたので、ご覧になった方は多かったのではないでしょうか。

周防正行さん・中村好文さん・平松洋子さん・南伸坊さんによる選考の結果、この『池上彰の総選挙ライブ』について「知識、経験、分析力のうえに、ニュートラルな視点で事実を伝えることが、もっともジャーナリスティックであり、しかもおもしろいということを証明し、テレビ・メディアの可能性をあらためて示した。その功績にたいして。」として、賞をお贈りすることになりました。

池上さんからは、「伊丹十三さんの活動は、その幅広さに感心していました。伊丹さんの名前を冠した賞を受賞し、身に余る光栄です。 一層の精進に努めます。」とのお言葉を頂戴いたしました。わたくしどものほうこそ、賞を受けていただき光栄です!

贈呈式は4月中旬に東京で開催いたします。
レポートいたしますので、お楽しみに!

学芸員:中野

2013.03.16 「さて、心構えを一つ」

はじめての記念館便りをお届けいたします。
先頃、あらたに記念館スタッフに加わりました淺野と申します。

突然ですが、伊丹十三について語られた言葉の中で、私が思わずドキリとした一節をご紹介致します。

   伊丹十三を前にすると、自分自身にあれだけの勇気があるのか自己点検すると、つい恥じ入ってしまう。それを「威圧感」と言うのは違うと思うんです。でも、あの端正なたたずまいが、孤立を恐れずにすっくと立っている姿が、われわれの舌を凍えさせて、彼について語ることを妨げているんじゃないか、そういう気がします。

 ですから、僕は、日本人が伊丹十三について、のびのびと、的確に語れるようになるということが、われわれの知的な、あるいは情緒的な成熟の賭け金であるという気がするんです。われわれが十分に知性的、感性的に成熟しない限り、伊丹十三が成し遂げようとしていたことはわからない。個別的な作品の良否について語ることはできるでしょうけれども、その全部を通じて日本人に向かって何を告げようとしていたのかっていうことはわからない

第三回伊丹十三賞受賞者である内田樹先生が、受賞記念講演会「伊丹十三と『戦後精神』」において語られた一節です。

日々「伊丹十三を知ろう」と鋭意勉強中の私......

"十分に知性的、感性的に成熟しない限り、伊丹十三が成し遂げようとしていたことはわからない"

胸に突き刺さる一文です。
――と同時に、伊丹十三について「のびのびと、的確に」語ることのできるわたしたちでありたいと思います。
諦めずに勉強しますね。

伊丹十三のエッセイ『ヨーロッパ退屈日記』の小見出しの一つである「さて、心構えを一つ」の文言をタイトルにお借りして、新人スタッフのささやかな心構えを披露させていただきました。

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みなさま、どうぞよろしくお願い致します。

スタッフ:淺野

2013.03.11 『朱欒』より批評欄(1)

企画展に展示中の回覧雑誌『朱欒』の入れ替えを行いました。
お出ししていた1、3、5、6、9号から、2、4、7、8号の展示に替わりました。
それぞれの号でご紹介している掲載作品は以下のとおりです。

<現在展示中の『朱欒』>
 第2号(大正14年11月) 随筆/伊丹万作
 第4号(大正14年12月) 批評欄/伊丹万作
 第7号(大正15年3月) 戯曲「女の部屋」/伊丹万作
 第8号(大正15年4月) 扉絵/重松鶴之助

"批評欄"というのがありますね。これは何かと言いますと、完成した号を回覧したときに、他の同人の作品への感想をおのおの書き込んだものなのです。
『朱欒』は、「各自の作品を編集日に持ち寄って一冊に綴る」という方法で作られた同人誌でして、綴り合わせるときに、白紙の原稿用紙を何枚か巻末に入れておくわけです。

syuran4_hihyou.JPG『朱欒』が自分のところに回ってきたらそこに批評を書き込んで、次の人に渡す......と。この批評欄は全9号のうち、7つの号に設けられました。

現在の展示では、第4号の批評欄から、伊丹万作(池内義豊)が書いた箇所を取り上げています。批評欄はどこもかしこも面白いので決めるのに悩みましたが、「自分の作品に対する他の同人からの批評に対する批評」の部分が興味深く感じられて、ここを選びました。

syuran4_hiyou_mansaku.JPG 
ちょっと読んでみましょうか。

 中村清一郎(←池内義豊から中村清一郎への批評、ということです)
此の人の批評の態度には何時も感心して居る。いいもの、悪いものを見判ける眼力が實に冴へて居る。そして思った通り正直に述べるのも快い。下らない皮肉等を言はないところが身上で有らふ。そして、丁寧によく読むで居る。自分等其の点批評者としての資格が無いと言っていい。此の人の眼をゴマ化す事は一寸容易で無い。将来批評家として立っても成功するだらふと思ふ。
※中村清一郎...のちの俳人・中村草田男氏の本名。松山中学校の万作の後輩で、朱欒同人。

第4号では挿絵5点と詩2編を発表した万作でしたが、特に詩のほうが同人たちに不評だったようで、批評欄でコテンパンに書かれてしまいました。例えば、「此の人」すなわち中村草田男が万作の詩をどう評したかと言いますと......

これは又、自己流なガムシャラな説明の言葉が多すぎて、詩としては美がかけて居る。詩語が粗雑だ。何よりも随筆趣味が過分だから、それが、火鉢を中心にしての談話であるのなら、たいがい「ほうよ」と思ふのだが、「詩」となって出てこられると、ちょっとこまるのである。

「美が欠けている」、「詩ではない」と、根本的なところでバッサリやられています。(これは痛い!)それでも万作には納得のゆく言葉であったようで、「この人の批評態度にはいつも感心している」、「将来批評家として立っても成功するだろう」と。ちょっと嬉しそうでさえありますよね。

批評欄には、賛辞も酷評もありますし、自分の作品への批判を受けての反論(時にはかなりケンカ腰の)なんていうのも見られますが、基本的には、仲間内の気さくさ、忌憚のなさ、同人ひとりひとりの個性が"主成分"で、そこへ、同人への励ましや、ちょっと背伸びしたいらしい若人らしさなんていうものが入り混じっています。そんな批評欄を読むと「そうか、彼らはこれがしたいがために『朱欒』を創刊したのにちがいない」と思えてきます。創作意欲をぶつける場、発表の場っていうだけではなくて、仲間と気兼ねなく語り合うための場が欲しかったのではないかな、と。そのぐらい、楽しそうに見えるのです。

syuran4_hihyou_exhibition.JPGそういうわけで、企画展終了までの間に、批評欄もなるべくたくさんお目にかけたいと思っています。いやぁ、ホント、批評欄、イイんですよ!
 
学芸員:中野


2013.03.04 一筆箋

記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
早いもので、もう3月になってしまいました。「1月は行く、2月は逃げる、3月は去る」といわれますが、その通り、何かとあわただしい3月もあっという間に終わってしまいそうです。

 さて、私事ですが、先日結婚のお祝いを送った県外の友人から、宅急便でお返しが届きました。中には、品物と合わせて私宛のメッセージが書かれた一筆箋が入っていたのですが...その一筆箋を見て、ちょっとびっくりしてしまいました。
可愛らしいタンポポのイラスト、「ITAMI JUZO MUSEUM」の文字。
そう、当館のショップで販売している一筆箋でした。

お礼がてら友人に電話し、あの一筆箋どうしたの?と聞いてみると(彼女は私が記念館スタッフであることはまだ知りませんでした)、彼女の知り合いが愛媛を旅行し、そのお土産としてもらったのがこの一筆箋だったそうです。
お客様にお買い上げいただいたものを自分が受け取るというのはちょっと不思議な感じでしたが、それより何より、友人の「タンポポ柄が好きでよく使ってるよ」という言葉が非常に嬉しかったです。

そんな一筆箋は、オンラインショップからもお求めいただけます。(→コチラ
映画『タンポポ』(1985年伊丹十三監督作品)で登場したタンポポのイラストが並んだ、可愛らしい一筆箋です。ちょっと一言添えたい時に、ぜひご利用くださいませ。

一筆箋.JPG

【罫線あり・なしの2タイプございます!】

明日3月5日は「啓蟄(けいちつ)」。
寒い冬の間土の中で過ごしていた虫たちが、春の到来を感じて地上に這い出してくる季節です。
とはいえ朝晩はまだ冷え込みますので、体調など崩されませんよう、皆さまどうぞ元気でお過ごしください。

スタッフ:山岡

2013.02.25 日本映画専門チャンネル「総力特集・伊丹十三」のお知らせ

ミナサーン、日本映画専門チャンネルの伊丹十三特集、ご覧くださってますか?

昨年3月の「伊丹十三劇場」放送開始以来、伊丹十三の監督作品全10本に、新作ドキュメンタリー4本、夏には"幻"の名作ドキュメンタリー「天皇の世紀」全26話完全放送もありました。

2012年度をともにしてきた「伊丹十三劇場」も、3月の「総力特集・伊丹十三」でフィナーレとなります。三十路女のくたびれたこの心に(突然の私事で恐縮)、時には喝を入れ、時にはそっと寄り添いなぐさめてくれもした伊丹十三劇場。春は別れの季節と言いますが、さびしいですね、名残惜しいですね...

と、感傷に浸っている場合ではありません。
3月は今まで以上にすンごいことになりますから、決してお見逃しにならぬよう、声を大にしてお知らせ申しあげます! さあ、メモのご用意を!

監督作品「お葬式」「タンポポ」「マルサの女」「マルサの女2」「あげまん」「ミンボーの女」「大病人」「静かな生活」「スーパーの女」「マルタイの女」全部放送、さらに「伊丹十三劇場」のためのオリジナルドキュメンタリー「新13の顔を持つ男」その1からその4まで一挙放送、そしてあの名作の再放送「天皇の世紀」全26話で伊丹十三が時空を行き来し超絶リポート、極めつけには伊丹一三時代の監督作品短編映画「ゴムデッポウ」テレビ初放送~~~!! べべべん!!!

あらっ、ついお三味線が入ってしまいましたけれども、すごい密度ですよねぇ。

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監督作品全10本
各作品とも、3月の1回限りの放送でおしまいとなります。どの作品もお見逃しなく!
放送予定はコチラ

ドキュメンタリー「新13の顔を持つ男」全4回一挙放送
「伊丹十三劇場」のために新しく制作されたオリジナルドキュメンタリー、昨年3月から3ヵ月に1本、1年で計4本制作・放送していただいた合計4本を、ひとつにまとめたうえに、新しい映像を追加するとのウワサを入手いたしました。豪華版!
放送予定はコチラ


「天皇の世紀」(全26話)一挙放送
昨年夏、39年ぶりに再放送された「天皇の世紀」。大佛次郎氏の史伝を原作とした、ドキュメンタリーの傑作、ふたたびの一挙放送です。(昨夏の記念館便りに視聴レポートを載せましたので、内容にについてはコチラコチラでどうぞ)
放送予定はコチラ


「ゴムデッポウ」テレビ初放送
1962年、まだ伊丹一三と名乗っていた俳優時代に、親しい仲間たちと自主制作した短編映画の史上初テレビ放送!!「伊丹十三の"幻"の監督デビュー作」とも言われている作品で、ブルーレイBOXに特典映像として封入されていますが、単品でのソフト化はされていません。ぜひこの機会にご覧ください。(これを見るためだけにチャンネル加入してもモトが取れると思います。あ、でもせっかくですから他の作品も全部観て!)
放送予定はコチラ


どうです? もりだくさんでしょう?

あの、こういう特集放送ですとか、映画館での特集上映なんかのときにですね、よくあるのが、「ま、いっか、と軽い気持ちでスルーしたばっかりに激しく後悔する」という、あれでございます。「いずれ近いうちまたやるんだろ」なんて言って、まあ、ある可能性はなくはないのですが、しばらくない可能性のほうが大いにあるわけで、観たい観たいと焦がれて数年待つことになります。そうして、いざあるっていうときには諸事情によりあるいはウッカリミスにより見逃してしまって自分で自分を許せなくて地団駄壁パンチ卓袱台返し...というわけにもいかず(大人だからね!)人知れず枕を濡らしてフテ寝、ということになりがちです。過去のことになった放送予定表をネットで見てはためいきついたりしてね。

と、いうわけで、放送スケジュールをシッカリ押さえておかないと泣いちゃいますよ。録画したら一生の宝になること間違いなし、ハードディスクにタップリ空きを作り、3月に備えましょう!!(36時間分空けると全部録れると思います~。)べべべべん!!!


学芸員:中野


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<オマケ>
「伊丹十三劇場」が始まって一年経つということは......日本映画専門チャンネルはBS放送開始一周年なんですね。(日本映画衛星放送様、おめでとうございます!)

日本映画専門チャンネルは契約の必要な有料チャンネルですが、BSで視聴できるようになってホントに便利、加入しやすくなったと思います。(チャンネル数が限られはしますけど。)

参考までに拙宅(BSアンテナつき賃貸)でかかった費用を申しあげますと、最初に新規加入料が2,940円かかったほかは、月々「スカパー!基本料」410円と日本映画専門チャンネルの視聴料525円の合計935円。これで、市販ソフトになっていない伊丹さんの作品のほかにも、日本映画がうーんと楽しめるのですから、おトクだと思いますヨ。 この機会にご加入のご検討を。

日本映画専門チャンネルHPはコチラ

2013.02.18 春の足音

記念館便りをご覧のみなさま、こんにちは。

本日2月18日は、記念館から車で数分くらいのところにある伊豫豆比古命(いよずひこのみこと)神社で行われている、「椿まつり」の最終日です。旧暦正月7・8・9日に行われる大きなお祭りで、「椿まつり」「お椿さん」などの愛称で親しまれ、毎年たくさんの人で賑わっています。立ち並ぶ露店も見逃せません!子供の頃はねだる側、大人になってからはねだられる側になりましたが、これもまた楽しみのひとつだと思います。
ただ、特に夜などはまだまだ冷え込みますので、これから行かれるという方はどうぞあたたかくしてお出かけ下さいね。

「伊予路に春を呼ぶまつり」と言われる「椿まつり」。「椿まつりが終われば暖かくなる」という話をよく聞きますが、それもあってか、近頃色々なところで春の足音を感じるようになりました。私の場合、一番わかりやすいのは菜の花です。この時期は車で走っていても、歩いていても、電車に乗っていても、必ずどこかで黄色い一群を目にします。
でも、なんといっても今年の一番はじめの足音は、記念館前の川の土手に咲く菜の花でした。最近記念館に来られた方は、咲き始めた黄色い花を目にされたと思います。少しずつ、でも着実に土手の黄色が増えていく様子はとても春めいていて、満開になるのが本当に待ち遠しいです。

  菜の花近景.jpg

まだまだ寒い日が続きますが、特にお天気の良い日など、お散歩がてらどうぞ記念館へお越しになってください。

スタッフ:山岡

2013.02.11 伊丹さんの笑顔の写真

突然ですが、私が伊丹さんの写真の中で一番好きな写真をご紹介します。
「伊丹十三の本」の表紙にもなっている、写真家の浅井慎平さんが撮影された、伊丹さんとびきり笑顔のこちらの写真です。

IMG_7452.JPG

伊丹さんは著書「女たちよ!男たちよ!子供たちよ!」の中でカメラマンに関して「写真の仕事をする人には意外に精神の硬直した人が多い」とか「実力のない者に限って注文が多い」とか結構辛い評価をしています。

たとえば、自宅での撮影の際には、散らかった机の上の書物を小綺麗に片付けたり、持参したバラを活けたりした上に、伊丹さんや家族にポーズや目線だけでなく、「向うの山の方でも指さしてください」などとまで指示してくるカメラマンがいたそうです。
彼らには「仕事のできない顔」がついているので、顔を見ただけでそれとわかるということを言っています。そんなカメラマンの注文には一切応じないことに決めたそうです。その理由は、そんな人とつきあうには、人生はあまりにも短いからだそうです。...。

そんなふうにカメラマンに対して辛口の伊丹さんではありますが、同著の中で浅井慎平さんのことは「尊敬するカメラマン」であると記しています。浅井慎平さん自身も、伊丹さん亡きあとのインタビューの中で、伊丹さん自身から浅井さんの写真について「浅井慎平の写真だからいい」と言われたことがあるとおっしゃっています。浅井さんという人間が撮ったのだから、いいに決まっている、という理論だそうです。浅井さんのことをすごく好きだったんだろうというのは他のインタビューなんかからも伝わってきます。例えば、六、七人のクルーでロケに行ったとき、浅井さんだけに持参したメザシを差し出して、無邪気に「シンペイさん、二人で食べよう」と言ってきたというエピソードなんかがあります。(浅井さんは他の人のことが気になって仕方なかったそうです。)

そんなふうに大好きだった浅井さんの前だからこそ、この写真のとびきりの笑顔が出たんだと思うと、納得です。

さてこの写真、伊丹十三記念館では展示室へ入ってすぐのところに展示しています。展示室へ入る自動扉は「すりガラス」になっていますが、よ~く見てみると、真ん中にすりガラスの加工が無い部分があり、そこから展示室の中が見えるようになっています。
正面から見ると、その部分からちょうど、この伊丹さんの笑顔の写真が見えるようになっています。
「記念館」というところに来て少し気構えている気持ちをホッと和ませてくれる、とてもいい写真だと思いますので、ご来館の際はこちらの写真の伊丹さんにお出迎えされて、リラックスした気持ちで中の展示をご覧頂けると幸いです。

スタッフ:川又

2013.02.04 『朱欒』より「咬菜餘譚」(2)

先週に続きまして、企画展に展示中の『朱欒』第6号(大正15年2月発行)より、「咬菜餘譚」のお話です。

前回は、「大根を食べるとしみじみとした味わいの中に池大雅(いけの・たいが)を思い出し、大雅を観ると大根を思い出す」という日常生活で得た万作自身の実感と、「南畫(=南画=文人画)発祥の地である中国にも大雅ほどの画家は見当たらない」という賛辞が綴られた個所をご紹介いたしました。

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続きを少しお読みください。

自分一個の私見に過ぎざるも、余は雪舟を好まぬ。大雅は是に引き替へ懐しき限りである。目下の所、山水を畫きては日の本に此の人一人と思ふ。無論大雅の作品の中に於ても徒に奇景絶勝を畫きしものは好まぬ。坦々たる平蕪の一角、土壌の一遇、数株の樹木、悠々たる流水、かくの如きものを無雑作に畫き流して彼は世界に絶品を残した。就中(なかんづく)、味ひて盡くる事なき思ひを宿すのは、其の線であり墨色である。

(中略)日本に於て、其の最高の標準を雪舟に求めなければならぬとすれば、自分は世評の如く、是を大雅堂の上位に君臨せしむるに異議を唱へざるを得ない。
大雅は生きて暖かく話し掛くれど、雪舟は冷く取りすまして居る。近き難いものが必しも崇高、幽妙であるとは定め難い。また崇高、幽妙なる性質を帯ぶるものが藝術價値に於て勝れたりと断言は出来ぬ。

余が雪舟にあきたらず思ふは、技法の固定から来るまんねりずむに最も多く負ふ。
もふ、一寸桁を外して呉れたならばと其の点惜しく思ふが常である。餘りにまとまり過ぎて居る。少しも捌けた所が無い。頑固一徹に繪とはかふ畫くものであると主張する。何れを観ても畫手本の様に堅苦しい。只一つ所謂枯れた味を出し切った点に於ては海内比を見ずと思ふ。此の一点に於ては或ひは大雅も彼に一歩を譲らねばなるまい。

明治後期の美術界において日陰に追いやられていた南画が、大正時代には再評価されて「新南画運動」という動きが起こった、ちょうどそんな頃でしたので、万作も、(日本美術の主流とされていた「北画」系の流れや、その源流とされる雪舟ではなく)南画に価値を見出すにあたっては、時代の風の影響を受けていたのかもしれません。

崇高さや霊妙さや技巧を「堅い」と嫌い、実感にもとづいて無雑作に表現されたものを好む点は、映画人となって以降の万作の仕事にも通じているな、と感じます。

さらに読み進んでまいりますと、かの有名な富岡鉄斎の名が出てきます。

鉄斎曾て(かつて)大雅を評して、學識乏しきが故に氣韻高からず、と言って、寧ろ、彼は(田能村)竹田の方を高く買って居た相である。是を聴いて余は鉄斎と言ふ男がいやに成った。其の維新当時の志士氣取りのゴーマン面が憎いのである。鉄斎いかに學識に富むと雖も(いへども)繪を比較すれば大雅の脚下を掠むるのみ。

大雅をセザンヌとすれば竹田はルノアールである。異質にして並行すと雖もルノアールをセザンヌの上位に置く事は畫家として慎む可きである。

鉄斎は江戸時代から大正時代に活躍し、その生き方も含めて「最後の文人画家」と称えられている日本美術界の巨人なのですが、万作からすると「学識はあっても分かってない」と。手厳しいですね。
(ちなみに、万作は田能村竹田が嫌いでこんなことを書いたわけではなさそうで、のちに東京新聞に書いた随筆の中で、「竹田の作品の中でも『舟中売章魚図』のよさは格別だ」と評価しています。)

この後、北画と南画の自然描写の違いと、池大雅がどのように成功しているのかが述べられて、最後はこのように結ばれています。

畫論に就いて、畫家の畫論を爲さむとするや眞剣ならざるべからず。創作家の筆を執ると異る所なし。紙上弄文の快をむさぼるは咎めず、行間、時有って諧謔を交ふる、亦妨げず。只徒に興に走りて空疎なる文字を行ふは愼むべきである。

(中略)濫りに異を樹つるは無益のわざである。内に特質あらば努めずとも持論おのづから備る筈である。他人の所説に異を樹つるを以て快となし、喧々ゴーゴーたるは政治家の爲す所であって畫家は執らず。

特色ある畫家は諸家の各説に黙従する能はざるは自明の理である。されど、かかる先入見を以て諸家の説に対し、先づ異説を案出せんと試るが如きは最も邪道である。
先輩の説に異を樹てんとするや、畫家は三考するを要する。無反省なる異説は愼む可きものの第一である。

画家であるがゆえの万作の自戒の念も大いに含まれているのだろう思うのですが、これを読んだ時「あらッ?」と思いました。

「咬菜餘譚」から16年、映画雑誌で担当したシナリオ評論を振り返って書いた随筆の中に、こんな言葉があるのです。

自分でしばらく批評をやってみて、今までわからなかった批評に関することが少しわかった気がした。その中で一番肝腎なことは、批評家というものは、他を批判すると同時に、それと同じ厳しさをもって、絶えず自己を批判していなければいけないということだった。それがないと批評は安易になり、無責任な大言壮語とあまり変わらないことになってしまう。
(「洛北通信」『伊丹万作全集』第1巻)

このような万作の姿勢は、映画やシナリオに限らず、「戦争責任者の問題」のように日本社会について論じるときにも貫かれていました。
「映画監督として、評論家の言いたい放題に口惜しい思いをしてきたのだろうなぁ。砂を噛むような思いを経験したから、このような態度に行き着いたのだろうなぁ」と想像していたのですが、映画界に入って有名監督になる、つまり評論されるような存在になる前から、「畫論に就いて、畫家の畫論を爲さむとするや眞剣ならざるべからず」という批評態度であったこと、仲間内で回覧する文章であっても、絵画や画家を論じる際には「じゃあ自分はどうなんだ」という視点を持とうとしていたことが、この「咬菜餘譚」から知ることができます。

万作の万作らしさのルーツを見つけた思いがして、若かりし頃の万作と仲間たちが手作りしたこの『朱欒』をますます愛しく感じました。

この「咬菜餘譚」収録の『朱欒』6号は、企画展示室で開催中の「父と子」展でご覧いただけます。2月下旬に『朱欒』のほかの作品と入れ替える予定ですので、お早めにお楽しみください。


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ところでみなさん、朱欒ってザボン、ブンタン(ボンタン)のことだってご存知でした?
「ってゆうかザボンとブンタンって同じものなの!?え、ボンタンはブンタンなの!?」
というところから驚いたのはワタシだけでしょうか...
ここいらへんでは、さわやかでまるまるぷりぷりとした土佐文旦がもう出回っています。


学芸員:中野


2013.01.28 『朱欒』より「咬菜餘譚」(1)

ただいま展示中の回覧雑誌『朱欒(しゅらん)』第6号(大正15年2月編集)に、伊丹万作が書いた「咬菜餘譚(こうさいよたん)」という評論風の随筆が収録されています。


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「野菜(おかず、かもしれません)を食べながら思ったこと」について綴られていて、『朱欒』で万作が発表した数々の文章の中でも一、二を争うほどに面白い興味深い文章だと、わたくし思っております。展示では見開きにした箇所しかお読みいただけないのがとっても惜しい作品なので、2回に分けてここでご紹介いたします。

(古めかしい漢語調でちょっと読みづらいのですが、意図的にそういう風に書いたのだと思うので、原文でお楽しみください。)

大根を喰む。何の変哲もないが、其の味は今更に驚く可きものがある。余思ふに大根は恐らく野菜中の大王ならむか。

当時万作は練馬あたり(現在で言いますと豊島区東長崎)に住んでいまして、住まいは大根畑に囲まれていました。練馬大根、有名ですよね。
その頃の万作は雑誌に挿絵を描きながら洋画家を目指していたのですが、「画道追求のために、挿絵であっても商業的な俗な絵は描かない!」というスタンスに徹したところ、当然ながら挿絵の仕事が激減しまして、ひどく食い詰めることになったわけです。しかしながら幸いにして近所は大根畑。もらいものか安く買ったかは分かりませんが、鈴木春信が描く美女の脚のようなみずみずしく立派な大根を手に入れて、どうにか食いつないでいた、そんな時期でした。(友人が遊びに行くと、おつゆも大根、おかずも大根、なんとデザートも大根という、大根のフルコースでもてなした、なんていう逸話もあります。大根のデザートって、どんなだったのでしょうね。)

大根を煮る、醤油の加減一つに在り。凡そ料理に於ては、簡なるは即ち難し。其の代り、手加減ぴたと的を射れば、いかに複雑なる料理と雖(いへど)も及ばず。大根の煮たるは熱きを食ふもよし、翌日になりて揚げの油、どろりと浮きたるを執り出し、歯にくいる様なる冷たさを味ふも亦格別なり。
自分は其の枯淡な中にしみじみとした暖かさあり、また世話じみた味を好む。歯に於ける觸覺は豊かなる肉感を蔵す。

熱いのも冷めたのも、枯淡な中にしみじみとした暖かさ...世話じみた味...豊かな肉感...大根が食べたくなってきますねぇ。さて、ここで話は意外な方向に展開します。

余は亦大根を咬めば必ず大雅の繪を想ふ。大雅のヱを観れば亦必ず大根の味を想ふ。實に一味共通せるものがある。

大根を食べると、池大雅(与謝蕪村と並び文人画の大成者と称せられる江戸時代の文人画家です)の絵を思い出す、と言うのです。なるほど、そうかもしれません。言い得て妙。
実は、「咬菜餘譚」が書かれた一週間ほど前、大正15年2月14日の万作の日記にも「大根の煮たのは何よりうまい。枯淡な底にしみじみとした暖みある所、大雅の南畫(南画=文人画)の味也」とあります。生活の中で感じたことをもとにした文章だったんですね。

専ら十便圖を歎賞飽くを知らず。
余思ふに南畫は大雅堂(=池大雅の画号)に極まれりと言ふ可きであらふ。支那に興った南畫は日本大雅堂に於て完成されたりと見るを妨げない。余は支那の南畫に就いて餘り多くを知らぬ、然乍ら、余の知れる範囲に於ては支那本国に於ても大雅を凌ぐ程の名手は餘り見当らぬ。


絶賛していますねぇ。よほど心酔していたのでしょう。
それで、偶然にも好機到来、愛媛県美術館で開催されていた「出光美術館所蔵文人画名品展」に池大雅の作品が来ていましたので、拝見しに行ってまいりました。「私にも大雅の絵に大根を感じることができるだろうか」と。(こんな動機で展覧会に行くのはいくら私だって初めてのことでしたけど...妙なことですみません...)

はい、たしかに、的確な薄味に炊いた大根のような、しみじみとした旨味あふれる表現を目の当たりにすることができました。
...が、私としては「湯豆腐」の方がしっくりくるような...人物や動物の肌が豆腐っぽいような...植物性タンパク質を感じたといいますか...その上に、白いおネギに生姜に削り節をフワっと...ポン酢じゃなくて甘めのお醤油をちょっとだけたらして...あ、私がこのところ湯豆腐ばっかり食べてるせいでしょうか...

この「咬菜餘譚」収録の『朱欒』6号と万作の日記は、「父と子」展で並べて展示しています。
2月下旬にほかの作品と入れ替える予定ですので、お早めにお楽しみください。
「文人画名品展」は1月27日で終わり、ご紹介遅くなったのが申し訳ないのですが、どこかで機会がありましたらぜひ池大雅の絵もご鑑賞ください。(そして「何味だったか」ということを、私にこっそりお教えくださいましたら幸いです。)


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大寒から一週間たちました。一年でもっとも寒い時季です。お腹の中からあたたまるものを食べて、しのいでまいりましょうね。手洗いうがいも忘れずに。

学芸員:中野

2013.01.21 愛車

記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
昨日1月20日は二十四節気のひとつ「大寒」で、暦の上では1年で最も寒さが厳しい時期と言われます。まさにその通りの冷え込みがここ最近続いていますが、皆さま体調など崩されていないでしょうか。

さて、今回のタイトルである「愛車」。いきなり私事で恐縮ですが、私には姉から譲り受け、長年乗っている愛車があります。この車が、昨年の大晦日に、走行中突然動きがにぶくなり、果てはエンジンがかからなくなるという状態になってしまいました(年末の忙しい時に、色々な人にお世話になりました。この場を借りてお礼申し上げます)。
これまでも調子が悪いところは直し、古くなった部品は交換して乗っていたので、今回もお正月三が日明けに一旦修理には出したのですが...今回ばかりは、車自体を買い替える結果になりました。
自分にとって初めての車ですし、何年も乗っているので、そのぶん思い入れもあり...。愛着のあるものがなくなってしまうのはやはりさびしいものです。とはいえ、もうすぐ第二の愛車となる車もやってきます。これまで頑張ってくれた愛車に感謝しつつ、次の車にも早く慣れて、安全かつ快適なカーライフを送りたいと思います!

当記念館のアプローチ脇の車庫には、伊丹十三最後の愛車「ベントレー」が展示されています。
購入当時、「これが最後に買う車になるだろう。若い頃からこの車を買いたいと思っていた」と語ったそうです。乗り物マニアであり、様々な車に乗っていた伊丹十三が最後の最後に選んだ車ですから、思い入れもより一層だったのでは、と思います。

zentai.JPG「ベントレー」は、車庫の中でどっしりと構え、ご来館されるお客様を一番初めにお迎えしています。ぜひ皆さまもご覧になってくださいね。

スタッフ:山岡

2013.01.14 ペットと気持ちが通じ合うとき

今年に入ってはや2週間が過ぎましたが、みなさまお正月はどのように過ごされましたでしょうか。記念館は帰省やご旅行のお客様がたくさんご来館され、例年同様賑やかなお正月となりました。2013年も伊丹十三記念館をどうぞ宜しくお願い致します。

さて、伊丹さんは無類の猫好きということで多くの猫の絵や、猫に関するエッセイをのこしています。その中でエッセイ「再び女たちよ!」に以下のような文章があります。
 
「自分が構ってもらえない時、つまり、一人で二日間も無人の家に置いてけぼりにされたような時、立った腹の持って行きどころが無くてそういうことをやる。明らかに腹いせである。
 私たちが帰ってきても出迎えにもこない。呼んでも返事もせずに不貞寝をしている。
 こういう時にはこちらも陰険な手段を用いて復讐する。つまり架空の猫を登場させるのである。架空の猫にはシロネという名がついているが、(これは黄金丸に対する白銀丸の訛ったものである)架空の猫であるから姿も形もありはしない。
 この架空の猫に呼びかけたり賞めたりするのである。不貞寝をしているコガネ丸に聞こえるように大声で賞める。
 「シロネ、ハイ、お手は?ハイ、お手!うわあ、えらいねえ!ハイ、次コロリ!コロリは?えらいねえ!うわあ、シロネはえらいねえ!」
 だいたいこの辺で、コガネ丸は耐えかねて釣り出されてくる。そうして、注文もされぬのに自発的にコロリをやってみせたりする。こうしてわれわれは和解するのである。」

—エッセイ「再び女たちよ!」猫—

普通に考えると「猫は不貞寝とかそこまで考えていないんじゃ...」と思いそうですが、多分コガネ丸は伊丹さんの推測通りの思考をしていたのではないかと思うのです。といいますのも、私は猫を飼ったことがないものの、その昔犬を飼っていまして、この文章を読むと思い出すことがあります。

散歩中なんかに首輪や鎖が外れると、飼い犬は必ず逃げ出すのですが、あえて遠くには行かず、さも「捕まえられるものなら捕まえてみやがれっ」てな感じの雰囲気を出しながら私の近くをウロウロします。
で、私が追いかけると調子に乗って逃げるのですが、こちらが無視して家に向かって歩き出すと、あわてて後ろから走って追いかけて来て、わざと私にぶつかってそのまま数メートル先まで走り、後ろを振り返って、「どうだ!捕まえられないだろう!」と言いたげな顔をしてこちらを見てきます。
で、捕まえようとするとまた逃げて、それを繰り返しながら家に着くのですが、餌をやると餌に夢中になるので、その隙に捕まえる、ということをいつもしていました。

伊丹さんの愛猫との文章を読むと、なぜだかそんな一連のやり取りを思い出すのです。(話がだいぶ違うので一緒にすると伊丹さんにもコガネ丸に悪い気がしますが、なぜだか思い出すのです。)
飼い犬と話したことはないので、本当にそう思っていたか確認はしていませんが、飼い犬の思考は私の推測する通りで間違いなかったと思われます。あの振り返って私を見る顔は今考えても人をおちょくっていました。忘れられません。

それはさておき、伊丹さんのエッセイには上記のほかにも猫の思考回路を詳しく書いたものがあります。ぜひ読んでみていただいて、猫を飼っている方、猫でなくてもペットを飼っている方に「わかるわ~、そういうことするする!」と共感していただきたいと思います。ぜひどうぞ。はがき12.jpg

【画像:記念館で販売しているポストカードです。コガネ丸と伊丹さんがじゃれ合っています。】

スタッフ:川又

2013.01.07 「20十三」年のお知らせ

あけましておめでとうございます。
みなさまよいお正月をお過ごしくださいましたでしょうか。

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具が多過ぎてモチが見えない(笑)お雑煮。
父がアワビを一切れ加えて「粉飾」してくれました。

私は12月25日から故郷に帰省し、実家に着くなり2日間...ん?3日間だったかな、まぁ記憶があやふやになるほど寝込みはしましたけれども、相変わらず母のごはんは旨く父は愉快で、爆笑続き、満腹続きの年末でした。ありがとう2012年、おめでとう2013年。

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元日の南部せんべい店でオマケにもらったお年賀せんべい。

元日に松山に戻り、年賀状(年賀状は年が明けてから書く派です)を書いていて気付いたのですが、今年は2013......あれ、「13」......20十三年ですね!
というわけで、本年も、ますますいよいよなおいっそう、どうぞよろしくお願いいたします。

 
mt_iwate.JPG元日の岩手山。「ふるさとの山はありがたきかな」のお山です。
数年振りに観ることができました。ありがたきかな~。


本日は、「20十三」年の伊丹さん情報・記念館情報いろいろお知らせ申しあげます。

●企画展「父と子 —伊丹十三が語る父・伊丹万作の人と芸術—」リニューアル!

年末12月19日(水)から、企画展「父と子 —伊丹十三が語る父・伊丹万作の人と芸術—」の展示構成を変更し、新資料をどーんと加えました。
映画界に入り名を馳せる前の伊丹万作が、20代の頃に中村草田男、重松鶴之助など、松山出身の仲間たちと手作りした回覧雑誌『朱欒(しゅらん)』をお楽しみいただけます。
1月からは朱欒のスライド映像、伊丹十三のスピーチ音声も追加いたしました。「父と子」展をすでにご覧になった方も、ぜひお越しくださいませ!

※上記の展示入れ替えに伴い、伊丹万作監督作品『國士無双』『赤西蠣太』のプロジェクター上映は終了いたしました。何卒ご了承ください。


●日本映画専門チャンネル「伊丹十三劇場」そろそろ"最後の直線"です!

日本映画専門チャンネルの伊丹十三劇場、2013年は1月12日(土)から始まります。
1月は『大病人』と『静かな生活』。そして、伊丹映画とともに放送されてきた新作ドキュメンタリーシリーズの『新・13の顔を持つ男』はいよいよ最終回! 「その4 取材する人伊丹十三」と題して、伊丹十三の取材ぶり、取材がどのように作品に反映されたかが語られます。伊丹十三の類稀なる「感心力」が観る者・読む者を楽しませる原動力だったんですねぇ。

いつもながらインタビューが超豪華でして、テレビマンユニオンの今野勉さん、佐藤利明さん、文藝春秋で担当編集者だった新井信さん、伊丹十三を精神分析の世界へ導いた岸田秀さん、ラーメンの先生・山本益博さん、伊丹プロダクションのデスクで脚本家(最新作『たとえば檸檬』公開中。名作です!)の吉川次郎さんがご出演くださっています。

貴重でめちゃめちゃ面白い証言の数々と伊丹十三によるオモシロ映像、ぜひ、必ず、何がなんでも!お楽しみください。


●伊丹家の味をご家庭で! 『男のクロワッサン』

生活者ならば誰しも一度はお世話になったことがあるに違いない、あの『クロワッサン』の増刊、『男のクロワッサン』第二弾で伊丹十三の家庭料理を取り上げていただきました。
記念館グッズショップでは1月から販売を開始いたしまして、アレヨアレヨなペースで売れています。男性はもちろん、女性にも人気。
ヘルシー料理はもちろん、ちょっとこってり料理や豪華料理もありますが、どれもシンプルで手早くできちゃうお料理ばかりです。もちろんレシピつき。それぞれのお料理の背景にあるエピソードも秀逸で、思わず「ニヤリ」がこぼれます。
お正月料理で体に「よどみ」を感じていらっしゃる方はぜひお試しあれ。


 
bay.JPG元日の...ではなくてすみません、大晦日の宮古湾。


学芸員:中野

2013.01.02 館長・宮本信子から新年のご挨拶

 

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企画展で新しい展示を是非観ていただきたいです!

スゴイデス!

是非!

 

私はNHK朝ドラ「あまちゃん」の仕事で記念館には、ずーっと行かれません。

でも、春近くなりましたら、一寸時間も出来て行けるかも知れません。

又、お知らせ致しますネ~。

 

記念館、今年もよろしくお願い致します。

スタッフ一同、御来館お待ち申し上げます。

 

館長・宮本信子