記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2013.03.16 「さて、心構えを一つ」

はじめての記念館便りをお届けいたします。
先頃、あらたに記念館スタッフに加わりました淺野と申します。

突然ですが、伊丹十三について語られた言葉の中で、私が思わずドキリとした一節をご紹介致します。

   伊丹十三を前にすると、自分自身にあれだけの勇気があるのか自己点検すると、つい恥じ入ってしまう。それを「威圧感」と言うのは違うと思うんです。でも、あの端正なたたずまいが、孤立を恐れずにすっくと立っている姿が、われわれの舌を凍えさせて、彼について語ることを妨げているんじゃないか、そういう気がします。

 ですから、僕は、日本人が伊丹十三について、のびのびと、的確に語れるようになるということが、われわれの知的な、あるいは情緒的な成熟の賭け金であるという気がするんです。われわれが十分に知性的、感性的に成熟しない限り、伊丹十三が成し遂げようとしていたことはわからない。個別的な作品の良否について語ることはできるでしょうけれども、その全部を通じて日本人に向かって何を告げようとしていたのかっていうことはわからない

第三回伊丹十三賞受賞者である内田樹先生が、受賞記念講演会「伊丹十三と『戦後精神』」において語られた一節です。

日々「伊丹十三を知ろう」と鋭意勉強中の私......

"十分に知性的、感性的に成熟しない限り、伊丹十三が成し遂げようとしていたことはわからない"

胸に突き刺さる一文です。
――と同時に、伊丹十三について「のびのびと、的確に」語ることのできるわたしたちでありたいと思います。
諦めずに勉強しますね。

伊丹十三のエッセイ『ヨーロッパ退屈日記』の小見出しの一つである「さて、心構えを一つ」の文言をタイトルにお借りして、新人スタッフのささやかな心構えを披露させていただきました。

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みなさま、どうぞよろしくお願い致します。

スタッフ:淺野