こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。
2018.12.24 『伊丹十三選集 第一巻 日本人よ!』 記念館での販売を開始いたしました
記念館だよりをご覧の皆さま、こんにちは。
2018年も残すところあと少しとなり、今年最後の記念館便りとなりました。
時節柄、何かと忙しい毎日を過ごされている方が多いと思いますので、体調等崩されませんようくれぐれもお気をつけくださいね。
さてそんな2018年師走の20日、岩波書店より 『伊丹十三選集 第一巻 日本人よ!』 が刊行されました。
『ヨーロッパ退屈日記』『女たちよ!』等々、今もなお、世代を問わず読まれ続けているエッセイスト・伊丹さんの選集です。
そしてこの度、記念館のショップでも『伊丹十三選集』の取り扱いを開始いたしました。
少しですが写真でご紹介いたしますね。
『伊丹十三選集』は全三巻で、来年1 月に第二巻、2 月に第三巻が刊行予定です。この度刊行された第一巻の編者解説は、小説家、編集者としてご活躍中の松家仁之さん。伊丹十三賞第1 回受賞者・糸井重里さんの受賞記念トークショー、第7 回受賞者・新井敏記さんの受賞記念トークイベントで聞き手をつとめてくださった方でもあるんですよ。
刊行前から、伊丹エッセイのファンのお客様から「楽しみですね!」というお声をよくうかがっていました。この便りをご覧の皆さまの中にも、「書店で見たよ」という方、もしくは「もう手元にある」という方がいらっしゃるかもしれませんね。
ご興味を持たれた方は、白を基調としたシンプルなデザインやその手触りも含めて、伊丹エッセイをじっくりと味わってみるのはいかがでしょうか。
そしてここ記念館ショップの書籍売り場は、この度の『伊丹十三選集』、また、11 月終わりに『MUJIBOOKS 人と物8 伊丹十三』、12 月はじめに『メンズプレシャス2018 年冬号』が加わり、より一層 "伊丹十三 "をご堪能いただけるようになっています。記念館にお越しの際は、ショップもぜひご覧になってくださいね。
最後になりましたが、2018 年も伊丹十三記念館をご愛顧いただき、誠にありがとうございました。
記念館は12 月28 日より年末年始のお休みを頂戴し(明日12 月25 日は火曜の通常休館となります)、来年1 月2 日より開館してお客様をお迎えいたします。
なお、当ホームページのニュース欄でお知らせしておりますとおり、1 月下旬には宮本館長の出勤もございます!皆さまお誘い合わせのうえ、記念館に足をお運びくださいね。
2019 年も、伊丹十三記念館をどうぞよろしくお願いいたします。
スタッフ:山岡
2018.12.17 第10回 伊丹十三賞 受賞記念 磯田道史氏講演会を開催いたしました
「第10回伊丹十三賞」を磯田道史さんにご受賞いただいたことを記念した講演会を、2018年12月3日(月)に開催いたしました!
講演会の告知開始直後から期待の声を多数お寄せいただき、予定の定員400名に対して1,200件を超えるご応募を頂戴いたしました。そこで、座席を500席まで増やすこととし、厳正な抽選を行ったうえで当日お客様をお迎えいたしました。
ご応募・ご参加いただいた皆さま、誠にありがとうございました。
過去の伊丹十三賞受賞記念イベントにおきましては、採録を当サイト内で公開してまいりましたが、今回は、講演は活字化では再現できないものとの磯田様のご意向により、採録・抄録の公開は控えさせていただきます。
本日の記念館便りでは、当日の様子を雰囲気だけでもお届けできればと存じております。
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今回の会場は、道後にある松山市立子規記念博物館の講堂でした。受賞記念イベント会場としては、はじめての場所です。
正岡子規を通して松山の歴史や文学に親しむことのできる子規記念博物館は、文化・研究・交流の拠点として松山市民に長く親しまれている場所で、道後公園(湯築城跡)の一角にあります。
子規記念博物館関係者の皆さまには、準備から当日まで大変お世話になりました。歴史家である磯田さんにピッタリの場所で開催できましたこと、心より感謝申し上げます。
当日はあいにくの雨模様でしたが、開場(18時)の1時間ほど前から待たれているお客様もいらっしゃり、皆さまがどれだけ楽しみになさっているか、ひしひしと伝わってまいりました。
子規記念博物館 講堂
講演会は18時30分に開演いたしました。
宮本館長からご来場のみなさまへご挨拶のあと、磯田さんを舞台にお迎えし、まずはお二人によるミニトークです。
宮本館長からご来場の皆さまへご挨拶
磯田さんと宮本館長によるミニトーク
ミニトークの冒頭、磯田さんは松山について「何度来てもいいですね」と笑顔でおっしゃったのですが、その表情・お話ぶりはとても自然で、場内の空気がふわっとやわらいだように感じました。
また、ミニトークの中で、講演会の前に磯田さんが伊丹十三記念館にお越しくださったときのお話がありました。
記念館での磯田さんについて、宮本館長は次のようなお姿が印象に残ったそうです。
● 中庭のタンポポの葉を見て「西洋タンポポ」か「日本タンポポ」かを見分けようとなさっていた。
● 中庭の桂の木に鳥の巣があるのを発見なさった。
● 回廊の雨樋の構造に注目し、そこからお話が広がって、石清水八幡宮の雨樋についても解説してくださった。
展示品以外にも、いろんなところをご覧になっていらしたのですね!
磯田さんは、目的として与えられていること以外に興味を持つこと・見つけるような気持ちが大事とおっしゃっていました。
なるほど、そういう心がけがあれば、見えるものも随分違ってきそうですね。ハッといたしました。
そんなお二人のミニトークの後、「松山と私、伊丹十三と私」と題して磯田さんにご講演いただきました。
「子どもの頃に愛媛の遺跡(上黒岩岩陰遺跡)に興味を持ったこと」「松山城のこと」「松山が生んだ正岡子規や秋山真之のこと」等々......話題は多岐にわたりましたが、ユーモアを交えてわかりやすくお話しいただきましたので、専門的なお話も楽しく拝聴できました。
お写真からも雰囲気を感じていただけることと存じますが、客席に向かって表情豊かに(身振り手振りを交えながら臨場感たっぷりに!)伝えてくださるので、皆さま聴き入っていらっしゃいましたね。
「松山と私」だけではなく「伊丹十三と私」についても、もちろんお話してくださったのですが、その中でこんなお話がありました。
磯田さんは、子供の頃から知りたいことがあると、「この人がいちばん知っている」と思う人に会いに行っていたそうです。
そんな「会いたい人に会いに行く」という姿勢について、伊丹さんもそうだったのではないかと磯田さんはおっしゃっていました。たとえば、ある題材をテーマに映画を撮るにあたり、誰に何を聞けばおもしろいシーンが撮れるかを考えてしっかり取材をする、そういう取材力が背後にあるからこそ伊丹映画はおもしろいのではないか、と。
これだと思う場所・人・史料を見つけ出し、直接触れて、独自の視点で掴んだものをわかりやすい言葉で伝える――まさに、磯田さんと伊丹さんに共通する姿勢だと感じます。
講演を拝聴して、磯田さんに伊丹十三賞をご受賞いただきましたことを、あらためて大変うれしく存じました。
磯田さん、貴重なお話をありがとうございました。
ご応募・ご来場いただいた皆さまにも、心より御礼申し上げます。
これからも、良いお知らせを皆さまにお届けできますようスタッフ一同励んでまいりますので、伊丹十三賞を、どうぞよろしくお願いいたします。
スタッフ : 淺野
2018.12.10 どーーんと伊丹十三!!
あれはいつのことだったでしょうか。
私は何かの取材対応をして......そうそう、MUJI文庫の制作チームのみなさんがお下見にお越しくださって、ご案内を終え、お見送りをして館内に戻った、8月末の夕暮れ時でした。
受付にいた川又さんがメモを差し出して「小学館の『メンズプレシャス』という雑誌の方からお電話がありました。中野さんからかけ直して、詳しく聞いていただけますか?」と。
何でも、「ファッション・ディレクターの山下さん」なる、お洒落すぎて耳慣れないご役職にある方が「伊丹さんを"どーーん!"と特集したいと思っていまして、そのご相談を」とおっしゃっているのだとか。
中野「"どーーん!"と、ですか」
川又「ハイ、"どーーん!"と。ホントにそうおっしゃってました」
ついさっき、MUJI文庫のみなさんにお目にかかって、まるまる1冊伊丹さんの本を作ろうという、大変にありがたい企画の詳細をお伺いしたばかり。その最中に、今度はゴージャスな男性ファッション誌からご連絡が来ていたとは。しかも"どーーん!"と......でも、それってどのぐらいなのかしら?
以来3ヶ月余。打ち合わせとお下見、構成ラフの確認、撮影、玉置館長代行のインタビュー収録、校正などなど対応させていただきまして、12月6日に発売となった『メンズプレシャス』2018冬号は――
ハイ、どーーーーん!!
どどーーーーん!!
(2ページある目次のうち1ページ目はほとんど伊丹さん!!)
伊丹さんらしい渋い表情の写真が表紙を飾る43ページもの大特集「伊丹十三STYLE BOOK」、すごいボリュームです。確かに"どーーん!"です。そして想像以上です。
特に、質の高い紙にビシっと印刷された、美しくてシャープな写真は迫力満点で、目を瞠りました。何度か見ていた校正用のデータとは、全っ然違って見えるんです! 被写体になっている館蔵品も記念館内外の風景も、普段から見慣れているはずなのに......今年一番のビックリかもしれません。
撮影していただいた服や愛用品は、テーラーで仕立てたもの、高級ブランドのものからカジュアルなアイテムまでいろいろありますが、どの写真からも、伊丹さんの表情と存在感が浮かび上がってくるように感じます。もちろん、記事本文、新情報続々のインタビュー、ファッションのお勉強になる解説、テキストも隅々まで充実しています。
打ち合わせのとき、企画のご趣旨について「"こだわる男のモノ語りマガジン"をコンセプトにしている雑誌ですので、独特のファッションやライフスタイル、モノ選びを切り口にして伊丹さんの伊達男ぶりを伝えることが目標です」と説明してくださった山下さんは、こんな風にもおっしゃっていました。
「白洲次郎さんの特集号(2018夏号)への反響の大きさから感じたことなんですが、今の時代、みんなの精神的な指針になるような人がいないんですね、でもやっぱり、そういう存在は今も求められているんだな、と。伊丹さんも多くの人の指針となる方だと思います」。
山下さんは私(1977年生まれ)と同世代だそうですが、リアルタイムで伊丹十三を見て記憶に留めているおそらく最後の世代の者として、そのように伊丹十三を見ていて、広く伝えたいと考えてくださる方がいることに、励まされる思いがいたしました。特集のしめくくりになっている山下さんの編集後記まで、余すところなくお読みいただきたいなと思います。
本筋を重んじ、チャーミングでもあった伊達男、伊丹十三の人柄が凝縮された『メンズプレシャス』2018冬号1200円(税込)、ぜひお買い求めいただきまして、どーーん!とお楽しみくださいませ。記念館のグッズショップでも、どーーん!と販売しております!!(前回ご紹介したMUJI文庫の「伊丹十三」も11月24日に販売を開始しました!!)
さて、『メンズプレシャス』で伊丹さんの伊達男ぶりをご堪能いただきましたら、表現者としての実像に迫るドキュメンタリー番組もご覧ください。
作品づくりの現場を共にした方々、影響を受けた方々が伊丹十三の創造力を語りつくす『もっと四国 8人の伊丹十三』(NHK松山局制作)が全国放送されることになりました!
BSプレミアムで12月15日(土)15:00~15:43放送、お見逃しなく!!
学芸員:中野
2018.12.03 記念館のゴム印
記念館だよりをご覧の皆さま、こんにちは。
2018年最後の月になってしまいました。年々時間が経つのが早くなっていると感じる身としては、今年もあっという間の一年だったと驚くばかりですが、皆さまはいかがでしょうか。
さてご存知の方も多いと思いますが、記念館ではオリジナルのゴム印を販売しています。
デザインは10種類、サイズ違いを含めると12種類あります。伊丹さんが描いたイラストなど、" 伊丹十三記念館 " ならではのゴム印なのです。
先月11月半ば頃、「年賀状にいいわね~!」と仰って、このゴム印を何種類かまとめ買いされたお客様がいらっしゃいました。ご友人が伊丹さんのファンで、エッセイも何冊か読まれているそうで、「エッセイの挿絵イラストを使ったゴム印は絶対喜ぶと思うんです!色々押して送りたいです」とお話くださいました。
11月に入った頃から書店さんなどで年賀状関係のコーナーを目にすることが多くなりますが、12月になって本格的に年賀状の用意をし始める方も多いと思います。パソコンを使ってデザインしたり、手書きしたりして年賀状を作られると思いますが、そこにプラスして、記念館のゴム印をスタンプしてみるのはいかがでしょうか。ちょっとしたアクセントになっておすすめですよ。
もちろん年賀状だけでなく、普段のメモや手紙、封筒の綴じ目に押すのもいいですよね。
上述のお客様のように、相手の方が伊丹さんのエッセイを読んだことがあったり伊丹さんのファンだったりしたら、喜んでくださる方も多いのではないでしょうか。
店頭では試し押しもできますので、ご来館の際はぜひどうぞ。
オンラインショップでも取り扱い中です。
スタッフ:山岡
2018.11.26 カフェ・タンポポの楽しみ方
伊丹十三記念館には、ご入館者様専用のカフェ・タンポポがあります。
伊丹さんが好んだ飲み物やオリジナルスイーツなど、メニューにこだわりがあるのはもちろんなのですが、それ以外にもお楽しみいただけるポイントがいろいろあります。
たとえば、お客さまがカフェに入られた瞬間に、「あ!」と声をあげられることがあります。店内で流れているBGMが、伊丹映画のサウンドトラックだと気づいてくださったんですね。「あの曲だね!」と楽しそうにお話なさっているご様子を、よくお見かけします。伊丹映画のさまざまなシーンが、曲とともに皆さまの心に残っているのですね。
また、店内には映画『タンポポ』製作時に伊丹十三が描いた、登場人物の似顔絵原画(映画のポスターにも使われています)や、父・伊丹万作が描いた油彩も展示しています。間近にご覧いただけますので、こちらもお見逃しなく。
『タンポポ』登場人物の似顔絵原画
ほかにも、中庭に面したガラスには――
小さなタンポポが......!皆さま、気づくと笑顔になられます。
こんなふうに、メニュー以外もお楽しみいただける居心地の良い空間です。カフェをご利用いただいたお客さまから、「何時間でもいられる場所ですね」とお声をかけていただくこともあります。
これから記念館にお越しになられる皆さま、ぜひ「カフェ・タンポポで過ごす時間」も、ご予定なさってくださいね。きっと、良いお時間をお過ごしいただけることと存じます。
<記念館からのお知らせ>
12月3日(月)開催の「第10回 伊丹十三賞 受賞記念 磯田道史氏講演会」は、参加者募集締切後に厳正な抽選を行いまして、当選者の皆様へ参加証を発送させていただきました。多数のご応募をいただき、誠にありがとうございました。追加募集や当日受付は行いませんので、何卒ご了承くださいませ。
なお、12月3日(月)は、当館の開館時間を10時~16時(最終入館時間15時30分)とさせていただきます。
スタッフ : 淺野
2018.11.19 MUJI BOOKS 人と物8『伊丹十三』
MUJI BOOKSの文庫「人と物」シリーズの第8巻として、『伊丹十三』が刊行されました。
"MUJI BOOKS"とは、その名のとおり、良品計画が発行する"無印良品の本"なんです。
衣服、生活雑貨、食品、文房具、家具・家電、住宅......と、くらしに関わるものを幅広く扱ってきた無印良品は、今や、独自の選書で集めた本を販売する本屋さん、オリジナル書籍を作る出版社でもあるのですね。
MUJI BOOKSの詳細はコチラをご覧ください
「人と物」シリーズは、さまざまなジャンルで活躍した先人の「くらし」にまつわる名文を1人1冊の文庫本にまとめる、という企画なんだそうです。
これまでに
●第1弾:1.柳 宗悦、2.花森安治、3.小津安二郎
●第2弾:4.佐野洋子、5.茨木のり子、6.米原万里
の6冊が刊行されていて、このたび
●第3弾:7.秋岡芳夫、8.伊丹十三、9.濱谷 浩
の3冊が同時発売となりました。
諸先生方と同じく、伊丹さんも生活の達人でしたから、シリーズのコンセプトにバッチリですね。
無印良品を愛する全国の皆様に、きっと気に入っていただけることと思います。(無印良品に関する名言も収録されています!)
価格は500円+税、お求めやすいお値段となっています。
スリムな文庫に伊丹エッセイのオイシイところが詰まっていますので、気分転換の1冊、伊丹十三ワールドへの入門的1冊、親しい方へのちょっとしたプレゼントにもぜひ。
MUJI BOOKS展開店舗(全国20店舗)とネットストアでは、11月16日(金)に先行販売が開始されました。
MUJI BOOKS展開店舗(11月16日~販売中):
シエスタハコダテ、仙台ロフト、イオンモール木更津、上野マルイ、渋谷西武、アトレ恵比寿、有楽町、丸井吉祥寺、イオンモール松本、近鉄あべのハルカス、グランフロント大阪、リノアス八尾、イオンモール北花田、イオンモールKYOTO、岡山ロッツ、アリオ倉敷、広島パルコ、MUJIキャナルシティ博多、COCOSA熊本下通、近鉄四日市(11/20オープン)
上記以外の無印良品店舗、一般書店では12月以降、順次取り扱い開始となるそうです。
記念館のグッズショップでも販売させていただきたいと考えております。取り扱いを開始しましたらこのホームページでお知らせさせていただきますので、今しばらくお待ちくださいませ。入荷をお楽しみに!
学芸員:中野靖子
2018.11.12 年末年始の開館スケジュールのお知らせ
記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
2018年もあとひと月半ちょっととなりました。月日が経つのは本当に早いですね!
さて、11月に入りますと、記念館の年末年始の開館スケジュールについてお問い合わせをいただくようになります。その時期に長めのお休みを取られて、帰省や旅行で愛媛(松山)に来られる方、それを迎える方が、お出かけ先にと記念館を検討してくださいます。問合せのお電話で「行くのを楽しみにしているんですよ~」など仰られる方もいらっしゃって、スタッフも大変嬉しく思っています!
2018年の年末は、下記のとおり12月28日(金)からお休みをいただきます。予定を立てられる時の参考になさってくださいね。
12月25日(火):休み
12月26日(水)~27日(木):開館
12月28日(金)~1月1日(火):休み
1月2日(水)~3日(木):開館 ※10時~17時(最終入館16時30分)
1月4日(金):開館
開館カレンダーは当サイトトップページの右側、ニュース欄の下にありますので、チェックしてみてください。
当サイトトップページ。赤マルのところが開館カレンダーです。
赤字の日が休館日、黒字は開館日です。
青字は開館時間が変則的ですので、ご注意ください。
来年1月2日・3日は閉館時間が通常と異なります。
年末年始やゴールデンウィーク、お盆の時期は、愛媛県内にお住いの方が、県外からのご家族・お知り合いを連れてご来館されることが増えます。
近いとなかなか来館のきっかけがない...という皆さま、ご遠方のご家族・お知り合いの方とお会いになることが増えるこの機会を「きっかけ」に、ぜひ記念館にお越しくださいませ。
スタッフ一同、はりきってお迎えさせていただきます!
スタッフ:山岡
2018.11.05 原画
現在、当館の企画展では、「おじさんのススメ シェアの達人・伊丹十三から若い人たちへ」を開催しております。
この企画展は、伊丹十三が生涯を通して人々にすすめたものと、その手法を紹介しています。そのひとつとして、「食・酒・お洒落」を取り上げたコーナーがあるのですが、たとえば「お洒落」のところでは、こんな原画を展示しています。
あ、これは!と思われる方もいらっしゃることと存じます。そうなんです、伊丹十三のエッセイ『ヨーロッパ退屈日記』の挿絵原画の一部です。
お客様とお話をしておりますと、『ヨーロッパ退屈日記』をはじめとする伊丹エッセイを愛読なさっている方は多く、「大好きなエッセイの挿絵原画を観ることができて嬉しかった」「文章はもちろんだけど、あのイラストも伊丹エッセイの魅力のひとつですよね」といったご感想をいただきます。
間近でじっくりご覧いただけますので、緻密な描写に驚かれる方もいらっしゃいます。
伊丹さんのイラストは、常設展の「六 イラストレーター」コーナーにも展示しています。
常設展「六 イラストレーター」コーナー
こちらは、閲覧台が手まわし式になっていたり、引出しの中に絵があったりと、展示デザインも遊び心たっぷりです。ぜひ、ご覧になってみてください。
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<記念館からのお知らせ>
10月5日より応募を受付けておりました「第10回伊丹十三賞 受賞記念 磯田道史氏講演会」は、本日(11月5日)中をもって募集を締め切らせていただきます。定員を超える多数のご応募をいただき、まことにありがとうございました。
厳正な抽選を行い、当選なさった方には11月中旬以降に参加証をお送りさせていただきます。落選の方にはお知らせをお送りいたしませんので、ご了承くださいませ。
スタッフ : 淺野
2018.10.27 記念館を知ったきっかけ
10月に入ると、お店の飾りつけや広告が「お歳暮!」「クリスマス!」「おせち!」と訴えかけてくるせいか、年末、年越し、来年を意識してしまい、気持ちが妙に急かされます。
ヤマボウシも日に日に色づいてます。深秋、ですねぇ!
記念館へお越しくださるお客様はゆったりと過ごしてくださる方ばかりで、そういう不必要なアワアワを感じさせない雰囲気にしていただいていることがとても嬉しく、心の中で手を合わせております。
さて、9月に開始したアンケート、皆様、好意的にご協力くださり、まことにありがとうございます。
このアンケートを始めたのは、「どんな方が、どういう機会にこの記念館を知って、どんな動機で来てくださっているのか」を知りたい、つまり「これまでのPR活動の効果を分析して今後の参考にしたい」というのが目的でした。
集計してみるといろいろと具体的に分かり、継続して実施したいと考えております。引き続きご協力いただけますよう宜しくお願いいたします。
ところで、「記念館を知ったきっかけ」という質問で、あらかじめ設けていた選択肢は
・テレビ番組
・新聞雑誌ウェブ記事
・SNS
・他施設に設置されていたリーフレット
・その他( )
の5つでしたが、圧倒的に多かったのは「その他」。想定が粗すぎたということですね、反省。
せっかくご回答いただくからには精度の高いデータが得られるように、質問や選択肢を見直そうと思います。
「その他」をご選択された上で( )の中に詳しく記入してくださった方も多くいらっしゃいまして、それを拝見しますと、「家族や友人から聞いて知った、勧められた」という方が続々と......なんと「テレビ」以上の数でした! 口コミの効果の高さはよく言われることですが、やっぱりすごいものなのですね。
それと同時に、ご来館くださった方が「こういうところに行ったよ」「よかったから行ってみたら」と、どこかで誰かに言ってくださっているなんて、とてもありがたいことです。
まだ記念館をご存知ない方に届くお知らせの仕方を考えつつ、日々お越しくださるお客様をお迎えすることを大切にしていきたいと改めて感じました。
「行く秋や 手をひろげたる 栗のいが」
伊丹万作手作りの芭蕉いろはかるた、
秋の句は11月中頃までの展示です。
秋のひととき、気分転換にぜひお越しくださいませ。
********** 出版のお知らせ **********
「伊丹十三選集」全三巻が岩波書店から刊行されます!
第一巻 日本人よ! 2018年12月20日発売
第二巻 好きと嫌い 2019年 1月18日発売
第三巻 日々是十三 2019年 2月19日発売
各巻 本体3,300円
ステキな内容案内パンフレットを作っていただきました!
三つ折りでA5サイズになります。
詳しくは、伊丹十三記念館、全国の書店で設置・配布されている内容案内パンフレットでご覧いただき、発売を楽しみにお待ちください!!
学芸員:中野
2018.10.22 ライトアップ
記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
朝晩冷え込んだり、風が冷たく昼間でも上着が必要になったりと、すっかり秋ですね。記念館の木々も順番に色づいてきています。
ほんの少し前までは、閉館時間の夕方6時頃になってもまだまだ太陽が照りつけていたのですが、9月の終わり頃から5時過ぎには徐々に暗くなり、今は閉館後に駐車場のチェーン等を締めに行くともう辺りが暗くなっています。
日が暮れるのが早くなったなぁと、ちょっと驚きます。
さてこれからの時期、暗くなると記念館が "ライトアップ" されるのをご存知でしょうか。
暗くなるとライトが点灯し、建物の外観、中庭や回廊、看板に光が当たります。
前述のとおり、夏場は閉館時間前後でもかなり明るいためご覧いただく機会はあまりないのですが、秋以降の季節、夕方の時間帯に来館されたり記念館の近くを通られたりした方は実際に目にされた方も多いのではないでしょうか。
落ち着いた光で照らされる記念館は、昼間とはまた違った趣なんですよ。
私が特におすすめするのは中庭です。回廊がライトによって柔らかく照らされ、桂の木にも下から光が当たって、幻想的な印象を受けます。
つい先日、数年前にお越しくださったというお客様が再来館され、以前は昼間、今回はちょうどライトが点灯した時間に来られたこともあって、その印象の違いに驚かれていました。
ご来館の際はぜひご覧になってくださいね。
スタッフ:山岡
2018.10.15 第10回伊丹十三賞 受賞記念 磯田道史氏講演会 開催決定!
松山は徐々に秋らしさが増してきました。記念館中庭の桂の樹も、少しずつ色づきはじめています。
さて、すでに告知・募集を開始しておりますのでご存知の方もいらっしゃることと存じますが、「第10回伊丹十三賞 受賞記念 磯田道史氏講演会」の開催が決定いたしました!
2008年秋に創設いたしました「伊丹十三賞」は、毎年春に受賞者を発表しています。
今年の受賞者は、歴史家・国際日本文化研究センター准教授の磯田道史さん。贈呈式は5月に東京で開催いたしましたが、受賞記念イベントとして、磯田さんによる講演会を12月3日(月)に松山で開催いたします。
<講演会概要>--------
「第10回伊丹十三賞 受賞記念 磯田道史氏 講演会」
日程:2018年12月3日(月)
時間:18時30分開演(18時開場)
会場:松山市立子規記念博物館 4階講堂
テーマ:「松山と私、伊丹十三と私」
参加料:無料【事前応募制・応募者多数のため抽選・応募締切11月5日(月)必着】
主催:伊丹十三記念館
※応募方法等の詳細はコチラ
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photo:Masanori Ikeda
磯田道史さん
早いもので伊丹十三賞も今年で10回目。受賞者発表後、お客様から「今年は受賞記念イベントの開催はありますか?」といったお問い合わせをいただくようにもなりました。
楽しみにお待ちいただいている皆様に講演会開催のお知らせをお届けできますことを、関係者一同、大変うれしく存じております。
磯田さんといいますと、映画化された『武士の家計簿』(新潮新書)など多数の著書や、テレビ番組『英雄たちの選択』(NHK BSプレミアム)へのご出演など、さまざまな媒体・表現方法で、歴史をわかりやすく、おもしろく、深く伝えてくださる方ですね。
伊丹十三賞贈呈式の受賞者スピーチの中で、磯田さんは、
" 私は歴史しかしていないようですけれども、媒体はテレビだったり活字だったり新聞であったり、また、狂言を書いて国立能楽堂で上演してみたり。「いろんなことをやる」というのが、非常に大事だと思っています "
とお話しになり、だからこそ、これまで多彩な活動をなさっている方々に贈られてきた伊丹十三賞を受賞することが嬉しいと語ってくださいました。
また、「小学生の頃、愛媛にある上黒岩岩陰遺跡に行きたいと親にねだったこと」や、「大学時代に歴史について調べる中で松山に足を運んだこと」など、スピーチ中に愛媛・松山にまつわるご自身のエピソードにも触れてくださいました。
そんな磯田さんの今回の講演会のテーマは、「松山と私、伊丹十三と私」。
松山について、伊丹十三について、どんなお話をしてくださるのか楽しみですね。
なお、会場は、道後にある松山市立子規記念博物館の4階講堂です。
応募締切は11月5日(月)。
既に定員400名を超えるご応募をいただいておりますので、抽選になります。当選なさった方には、11月中旬以降に参加証をお送りさせていただきます(落選の方にはお知らせいたしませんので、ご了承ください)。
皆さまのご応募を、お待ちしております!
スタッフ : 淺野
2018.10.08 橋本忍さんと伊丹万作
7月、橋本忍さんがご逝去されました。
幼少の頃、脚本家や監督を意識して見るほどの年齢でもなく、テレビの映画番組を茶の間で眺めていたような頃から、橋本さんのシナリオから生まれた映画にはビックリさせられてきました。「そうだったのか!」「そうきたか!」と。
日本映画界を支えた名脚本家としての業績の数々を伝えるご訃報に接して、『羅生門』『生きる』『七人の侍』『切腹』『上意討ち』『砂の器』『八甲田山』『八つ墓村』などなど、息を詰めて夢中で見たこと、二度目にも三度目にもワクワクしながら見たことが思い出されました。 それらの作品を「また見たいなぁ」と思いながら、どれから見るかを決めてしまうのが何となくためらわれて、結局、追悼鑑賞はまだできずにいます。
映画はこれと決められないけど、本ならば少しずつ読んでもいいし、と『複眼の映像 ――私と黒澤明』(単行本 2006 年文藝春秋 / 文庫本 2010 年文春文庫)を久しぶりに手に取りました。黒澤明監督との共作の回想を中心とした、橋本さんの自伝です。
この自伝がまた、シナリオに負けず劣らず「そうだったのか!」「そうきたか!」の連続で、読み返してみてあらためて引き込まれました。初めて読んだときに比べて映画に関する自分の知識がいくぶん増えたからか、驚きが倍増した感さえあります。
ご逝去のニュースや記事でも多くふれられていたとおり、デビュー前の橋本さんには、会社勤めをしながら伊丹万作に師事した修行時代がありました。「伊丹万作ただ一人の脚本の弟子」とも言われています。
『複眼の映像』は、脚本家を夢見たこともなかった肺病の青年が伊丹万作に師事することになったのはなぜか、というお話から始まって、万作の遺訓を受けて初めて取り組んだ原作もののシナリオ、それが黒澤明の目に留まることになった経緯、『羅生門』を上手く書き上げられなかった悔恨、『生きる』からの本格的な共同執筆――と、序盤からすごい展開が続くのですが、構想の時、失敗してしまった時、次の仕事にかかる時、伊丹万作の教えを思い返し、その意味に気付いた、という記述が何度も出てきます。
読み進めていくと、橋本さんが「あの言葉はそういうことだったのか!」とハッとするのと、「こんなふうに成長しながら書いていった作品だったのか!」と自分が深々と納得するのが重なって、精巧なサスペンスの謎解きにくぎづけになっているかのような気持ちになりました。
伊丹万作のシナリオ論は、伊丹万作全集のほか
『伊丹万作エッセイ集』 (ちくま学芸文庫)でも
お読みいただけます。
橋本さんは、ご著書だけでなく、インタビューなどのお話でも、師である伊丹万作について語り続けてくださいました。今、伊丹万作の名と作品が多くの人の記憶に残っていることに橋本さんのおかげの大きさを感じるとともに、万作を語るたびに、弟子である橋本さんのことも語りついでいきたいと思っています。
亡くなる直前まで旺盛に執筆を続けていらっしゃったとのことで、もう橋本さんの新しい作品に出会えないことは残念でなりませんが、伊丹万作の教えを大切に、たくさんの映画人との仕事で素晴らしい作品を残してくださったことへのお礼を、何よりもお伝えしたいと思います。ありがとうございました。
学芸員:中野
2018.10.01 おすすめメニュー
記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
つい最近まで暑い暑いと連呼していましたが、特に朝晩は、涼しいを通り越して寒いと感じる程になってきました。季節の変わり目ですので、体調等崩されませんようご自愛くださいね。
さて、ここ記念館併設のカフェ・タンポポでは、「おすすめメニューは何ですか?」と聞かれることがよくあります。
期間限定メニューもありますのでご来館の時期などによっておすすめは異なりますが、これからいらっしゃるお客様には、やはり体が温まるメニューがおすすめです。
ご注文いただいてから豆を挽いて淹れるホットコーヒーは一番人気ですが、特に初めて来館されたお客様には、宮本館長こだわりの十三饅頭(記念館限定品!)と温かい飲み物がセットになった「しょうが湯&十三饅頭」や「梅こぶ茶&十三饅頭」が人気です。
中でもしょうが湯は記念館オリジナルの生姜シロップを使っていて、体のなかからじわじわ温まると大変ご好評をいただいています。これからの寒い時期には特におすすめです!
しょうが湯&十三饅頭
同じ生姜シロップを使ったしょうが紅茶、ソイジンジャー(豆乳しょうが)もありますので、こちらもぜひお試しください。ぽかぽか温まりますよ!
十三饅頭以外に召し上がっていただけるメニューとしては小さめサイズのケーキ類をご用意しています。
記念館の建物の形を模したチョコレートケーキ、デンマーク産のクリームチーズを使用したチーズケーキ、果物を使った季節のケーキの3種類で、季節のケーキは時季により変わります。今は"いちじくのタルト" をお出ししていますので、温かいお飲み物と一緒にどうぞ。
いちじくのタルト
記念館にお越しの際はぜひ、カフェ・タンポポでぬくぬくとお寛ぎくださいね。
スタッフ:山岡
-----------記念館よりお知らせ-----------
第10回伊丹十三賞受賞記念イベントといたしまして、
磯田道史氏の講演会開催が決定いたしました!
10月5日(金)より参加者の募集を開始いたします。
日程・応募方法など詳細は10月5日(金)に専用ページを公開予定ですので、お楽しみに!
2018.09.24 映画プログラム
映画を観るときに、劇場でプログラムを買うことを楽しみにしている方も多いことと存じます。
プログラムを読むことで、その映画の背景や制作の裏話を知ることができたり、印象的なシーンの写真をじっくり眺めることができたり、何年か経ったあとに読み返すと映画を観たときのことを思い出すきっかけになったり、いろんな楽しみ方ができますよね。
充実した内容のプログラムを手にすると、映画をより楽しめるように思います。
ところで皆さま、伊丹映画のプログラムをご覧になったことはありますでしょうか?
映画と同じように、読み応えがあるんですよ。
たとえば、『タンポポ』のプログラムにはラーメンの作り方が載っていたり、『マルサの女』のプログラムにはマルサの仕事についてのメモがイラストつきで載っていたりと、楽しく読めます。
現在記念館では、「十三」の名前にちなんで毎月十三日の十三時から展示室モニターで伊丹映画を上映しているのですが(詳しくはコチラ)、次の上映日に流す映画のプログラムをスクラップブックにしてお読みいただけるようにしておりますので、ご来館の際にご覧になってみてください。
作品ごとにスクラップブックにして、
次回上映作品のものを企画展示室に設置しております。
企画展示室の出口近くの書見台にご用意しています。
現在は、10月13日(土)の展示上映作品『あげまん』のプログラムをご用意しています。プログラムの全ページをお読みいただけますので、ぜひどうぞ。
スタッフ : 淺野
2018.09.17 伊丹さんに驚かされること
先日、ご来館のお客様から「映画の特報に映画監督自身が出てくるってなかなか面白いですね!」とご感想をいただきました。
現在常設展示室において伊丹さん自身が出演する、伊丹映画の「特報」を流しており、それをご覧になられてのご感想です。
ちなみに特報とは、映画の完成前に劇場で流す告知映像のことです。
【画像:「マルタイの女」の特報の一部】
伊丹映画の特報の多くは、伊丹さん自身が登場し、「こんにちは、伊丹十三です。今度の映画は~」などと自分の映画についての見どころを語りかける手法で撮られたものとなっています。
映画を観に行くと上映前にいろいろな映画の宣伝が流れますが、そんな中で突然スクリーン上に映画監督自身が登場して、自分の映画の見どころを説明し始める、と想像すると、なかなかシュールな光景ですよね。
この度お客様にご感想をいただき改めて「それにしても伊丹さん、画期的なことしていたのねえ・・・」と感心させられました。
さて、記念館のカフェには伊丹映画「タンポポ」の出演者のデッサン画が飾られているのですが、これらは伊丹さん自身が描いたものです。
実際に映画のポスターの原画として使用されたものなのですが、大変上手に描かれているのでポスターに使われたと聞いても特に驚かなかったのですが、こちらも改めて考えると「映画監督が描いた絵を映画のポスターに使う」というのは、あんまり聞いたことがない話ですよね。
伊丹さんの才能の前では一般的な常識が通用しないことがよくわかります。
「伊丹さんはマルチな才能を持っていて、様々な方面でプロであった」ということをもう十分知っているはずなのに、時折このようにびっくりさせられることがあります。
ということは、伊丹十三記念館にご来館されたお客様には、もっと大きな驚きや発見があることと思います。
機会がありましたら是非、伊丹十三記念館に「伊丹さんに驚かされに」いらして下さいませ。お待ちしています。
スタッフ:川又
2018.09.10 菅井きんさんの名演技
8月10日、菅井きんさんが92歳でご逝去されました。
津川雅彦さんのご逝去から1週間後だったんですね。ご訃報が続き、悲しい夏でした。
"必殺シリーズ"の姑が中村主水をやりこめる「ム・コ・ど・のッ!」があまりにも強烈で面白くて、テレビを見ている最中はもちろん笑ったし、家族みんなで事あるごとに真似してはお腹を抱えて笑ったっけなぁ......というのが、菅井さんに関するもっとも古い記憶なのですが、それとはまったく対照的な『お葬式』でのさりげない演技も、同時期のお仕事だったのですね。
1985年、『お葬式』と『必殺!THE HISSATSU』の演技で、第8回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞をご受賞なさっています。
『お葬式』での菅井さんの名演技といえば、何といっても喪主挨拶の場面。
『お葬式』(1984年)
伊丹十三の監督デビュー作です
大人しい、ごく普通のおばあちゃんの4分ほどのスピーチが、葬儀のドタバタをすべて包み込んでしまう、という重要なシーンなのですが、「『お葬式』日記」(1985年、文藝春秋)によりますと、撮影期間中に梅雨入りしたために、このシーンを撮る頃には天候に恵まれず、リハーサルをしては後日に延期、テストをしては延期、カメラを回すと天気が変わって光量が足りず撮り直し――と、なかなかすんなりといかなかったようです。
妻としての心残り、参列者への感謝、これから一人で暮らす覚悟を「きく江」が述べる、そのしみじみとした語りと表情、背景の木々の緑が実に見事なので、難航したなんて信じられません。菅井さんの確かな演技力あってこそですね。撮影現場では、カットがかかったあとに菅井さんと伊丹さんは抱き合って喜び、スタッフ・キャストからは拍手が起こったそうですよ。
ちなみに、きく江の挨拶に聞き入る面々の「反応」は
別の日に撮影したカットがつながれています
『お葬式』は、菅井さんにも印象的なお仕事だったそうで、上映用パンフレットにこんな言葉を寄せていらっしゃいます。
台本を読ませていただいて、今までにやったことのない役柄に惹かれまして、自分なりに精一杯やらせていただきました。他の作品に比べて非常に抑えた芝居をしてみましたが、その部分が皆様のお目にとまれば、大成功だと思います。
この配役を決めて下さった監督さんに、とても感謝しております。
自分が映画を見る楽しさを覚えてから20年ほどになりますが、初めて見る作品に菅井さんが出演していることがたびたびあって、「この映画にも出ていたのね」「こんな役もやってらしたのね」と未知の菅井さんに出会い続けています。これからも、きっとそうだと思います。
菅井きんさんの長いキャリアとお仕事の数々に、感謝をお伝えしたいと思います。
淋しいですが、私たちにこれからの楽しみまで残してくださって、ほんとうにありがとうございました。
*************
伊丹十三記念館では、ご来館くださったお客様へのアンケートを実施しております。
お住まい、ご来館回数、記念館をお知りになったきっかけやご来館の目的など、今後、より多くの方に伊丹十三と記念館を知っていただくための分析材料とさせていただきたく、9月1日に開始いたしました。
ご入館時に少しお手数おかけいたしますが、ご協力いただけますようよろしくお願い申しあげます。
学芸員:中野
2018.09.03 ショップでのお買物
記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
少しずつ秋の気配を感じるようにはなりましたが、まだまだ暑い日が続いています。夏の疲れも出てくる時期ですので、体調にはくれぐれもお気をつけください!
さて、今年の夏も、本当にたくさんのお客様に記念館にお越しいただきました。
特に7月下旬からお盆を含む8月は、夏休みなどで松山に帰省された方やご旅行の方、ご家族ご友人でのお出かけなどで県内外から多くの方がご来館くださり、展示だけでなくカフェでのひと時やショップでのお買い物を楽しんでくださいました。
本日は、そんなお客様に人気だったショップの商品を少しご紹介させていただきますね。
まず...先々週の記念館便りでご紹介させていただいた十三饅頭は、やっぱり人気でした!
お土産にと買われる方が目立ちましたが、ご入館されたお客様に限らず、「親戚が来ているのでお茶請けに」「これから帰省で県外に行くので持っていきます」と、以前十三饅頭を召し上がったことがある記念館近くにお住いの方が、十三饅頭を買おうとショップに立ち寄られることも少なくありませんでした。
同じく人気だったのはポストカードやマグネット、缶バッジ、クリアファイルなどの、普段使いにもお土産にも適した商品です。
伊丹さんの描いたイラストや写真などがプリントされたこれらのグッズは、それぞれ絵柄の種類がいくつかあり(例えばマグネットは5種類あります)、楽しみながら選ぶお客様が多くいらっしゃいました。
小中学生の方が親御さんといっしょに選んでいる姿をいつもよりたくさん見るのも、この時期ならではです。お盆に来館された缶バッジ集めが趣味という小学生の女の子が、お母さんに「買うのは2個まで!」と言われ(缶バッジは7種類あります)、長時間「どれにしようかな~」と悩んでいた姿はたいへん微笑ましかったです。
また、「記念館に来て伊丹さんに興味がわきました」という方の多くが、伊丹十三記念館ガイドブックをお買い求めくださいました。中には「伊丹さんのファンの友人へプレゼントします」という方もいらっしゃいました。
十三饅頭をはじめ、ご紹介した商品はすべて記念館オリジナルのものばかりです。ショップだけのご利用でお越しくださる方もたくさんいらっしゃいますので、お近くに来られた際は、ぜひのぞいてみてくださいね。
スタッフ:山岡
2018.08.27 夏の終わりに
処暑を過ぎて8月も終わりに近づくと、まだ暑い日はあるものの、晴れた日には随分空が高くなったように見え、少しずつ秋が近づいているように感じます。
夏の終わりによく思い出す伊丹さんの文章があります。エッセイ『ヨーロッパ退屈日記』の最後に収められている、伊丹さんと音楽の関わりを綴った二章「古典音楽コンプレックス」「最終楽章」からの一節です。
"(前略)その夏のある日、わたくしの「音楽的生涯」における画期的な大事件が持ち上った。
放浪の旅に出た、一人の無名のピアニストが、わたくしを訪ねてきたのである。"
「古典音楽コンプレックス」『ヨーロッパ退屈日記』(1965年)より
"その日わたくしは縁側に寝そべって、例の、手で捩子を巻く仕掛けの蓄音器で「クロイッツェル・ソナタ」を聴きながらランボーの詩集を読んでいた。
夏の盛りには、時間はほとんど停止してしまう。たぶん一年の真中まで漕ぎ出してしまって、もう行くことも帰ることもできないのだろう、とわたくしは思っていた。あとで発見したのであるが、人生にも夏のような時期があるものです。"
「最終楽章」『ヨーロッパ退屈日記』(1965年)より
こうはじまる、松山で暮らす高校一年の伊丹さんを訪ねてきた「無名のピアニスト」が夏の終わりに去っていくまでのエピソードが印象深く、この時季によく思い出すのです。
また、「最終楽章」には伊丹さんが描いた蓄音機の挿画があるのですが、こちらも緻密な描写が心に残ります。
「最終楽章」 蓄音機の挿画
描かれている蓄音機は、父・万作の形見で、京都から松山に移るときも大切に持ち運んだそうです。
記念館の常設展示室にある「二 音楽愛好家」の文字にも、このイラストが添えてあり、ご覧になったお客様から、「エッセイを読んだことを思い出しました」とお声をかけていただいたことがあります。
常設展示室「二 音楽愛好家」コーナー
『ヨーロッパ退屈日記』は、オンラインショップでも取り扱っております。未読の方は、ぜひどうぞ。
スタッフ : 淺野
2018.08.20 松山のお土産に「十三饅頭」はいかがですか?
いよいよお盆も終わりましたね。お盆の記念館は帰省やご旅行のお客様で賑わいました。
記念館の売店では、お盆やお正月は特にお土産向きの商品のお買い上げが目立ちます。
その中でも人気なのはやっぱり「十三饅頭」!
まず、十三饅頭は伊丹十三記念館でしか販売しておりません。
松山で一番有名なお菓子「一六タルト」で知られる「一六本舗」で製造されていますが、販売は記念館限定です。
ということは、まず味に間違いはありませんね。お土産で渡す時も「あの一六タルトの会社で作ってるんだよ~」と付け加えるとより松山感が増してよいですね。
中にはしっとりとした漉し餡が詰まっています。甘い物が苦手な方もご安心下さい!餡の甘さが控えめで大変食べやすいと評判です。
また、パッケージにも拘っています。
パッケージの黒い部分は外壁の焼杉板をイメージしています。
そしてこの黒い部分は一部くりぬかれていますが、これも記念館の中庭をイメージしているデザインなのです。
中身は個包装されているので職場などで配るのにも向いていますね。
あと、よく観光地で偉人の名前が入ったTシャツやらお土産やらというのを見かけますが、それらの字というのは「それっぽくデザインされた字体」を使っていることが多いと思うのですが、この十三饅頭の「十三」という字はなんと伊丹さんの自筆の字を焼印にしているんですよ。
と言う訳で、配りやすく、味も間違いなく、「松山に行ってきました」感もあり、「十三饅頭」というインパクト大なネーミングも影響して、皆さまがお土産に選ばれるのも納得ですね!
松山でちょっと変化球のお土産をお探しの方は記念館の売店で是非チェックしてみてくださいませ。
スタッフ:川又
2018.08.13 津川さんと伊丹映画
8月4日、津川雅彦さんが78歳でご逝去されました。
芸能一家に生まれ、若くして映画スターになり、出演作品・監督作品でエンターテインメントに身を捧げ、知的で気さくなトークでも、たくさん楽しませてくださいました。
スクリーンの中、テレビ画面の中の津川さんのお姿には、長年にわたって日常的に慣れ親しんできたので、寂しくて、まだちょっと信じられないような気もしています。
津川さんは、多くのご訃報のニュースで紹介されたように、伊丹映画の常連でいらっしゃいました。10本の伊丹十三脚本監督作品のうち、9本にご出演なさっています。
『マルサの女』ポスター(企画展に展示中)より
そして、インタビューをお受けになるたびに、転機になった作品として伊丹映画を挙げ、伊丹さんとの仕事について熱心に語ってくださった方でもあります。つい先日も、テレビでこんなふうにお話ししてくださったばかりでした。
「しつこい監督、でも、いい監督だから、(細かい注文に対応できるように)1シーンにつき2週間かけてセリフを臓腑に叩き込みました。そうすると芝居が自在になる、つまり、芝居が軽くなるってことが分かった」「だけど、上手くなればいいってもんじゃなくて、役者はやっぱり存在感。人間性を磨いていくのが大事。そういうことにも気付かされました」(2018年7月11日放送、BS朝日「昭和偉人伝 長門裕之/津川雅彦」)
なぜ「臓腑に叩き込む」ほどセリフを練習する必要があったのか......
書籍『伊丹十三の映画』、DVD『13の顔を持つ男』の
津川さんインタビューをぜひご覧ください。
フランス帰りの精神科医、老婆を追いかけまわす食料品店の店主、人間味で脱税者に迫る国税査察官、女次第で出世したり没落したりの銀行員、サミットの開催準備に頭を悩ませる外務省官僚、ワガママな癌患者に翻弄されて成長するエリート外科医、ダメスーパーを立て直していくダメ専務、愛する女優を守るため死を選ぶテレビ局の局長――
こうして書き並べてみるとオファーされた役の幅広さに驚くと同時に、伊丹さんが津川さんをどれほど頼みにしていたかがよく分かりますね。
劇場用パンフレットのキャスト紹介には、津川さんについてこのように書かれています。
「芸者にもてる役人」という注文が伊丹監督からあったというが、さして外側を作るでもなく、本人そのままのようでいて、いつの間にか役になりきってしまっているのがこの人の魅力でもありスケールの大きさだろう。森雅之亡きあとの大きな穴が、今、彼によって埋められようとしている。(『マルサの女』パンフレットより)
「自然体の人」と伊丹が呼ぶように、実に自然でいて、大人の色気や可愛さを持っている。昔のスターは森雅之にしても池部良にしても佐田啓二にしても、佐野周二や上原謙にしても、実にきっちりと「しがない勤め人」がやれたもんだが、この人はそういう昔の映画スターの良き伝統をひいている。(『マルサの女2』パンフレットより)
お別れは悲しいですが、津川さん亡きあとの大きな穴を埋める俳優が今後出てくるかもしれません。次のスターの到来をじっと待つことにいたします。
あちらへ到着したら、映画について、エンターテインメントについて、日本人について、伊丹さんと大いに語り合われることでしょう。
こちらに残る私たちは、津川さんの素晴らしいお仕事をずっと語っていきたいと思います。ありがとうございました。
学芸員:中野
2018.08.06 懐かしい言葉
お正月やゴールデンウィーク、夏休みなどの時期には、以前愛媛に住んでいて県外から帰省され、地元のご家族やご友人とのお出かけで記念館にお越しくださる方がたくさんいらっしゃいます。
今年はそんな方々から、「懐かしいですね~」というお言葉を特によくうかがいます。
ご覧になられたのは、昨年12月から開催中の企画展「おじさんのススメ シェアの達人・伊丹十三から若い人たちへ」 でご覧いただけるスペシャル映像「伊丹十三による正調松山弁シリーズ 一六タルトCMセレクション」。
伊丹さんが手がけた一六タルトのCMの中から成績篇、手洗い篇など7篇を紹介する約5分の映像では、伊丹さんが「もんたかや」等、昔ながらの松山弁で語りかけてきます。
CMが放映されていた時にリアルタイムでご覧になっていた方は「このCM覚えてる!」「学生時代に観た!」など、お連れ様と話が弾むことも多いそうです。
また、映像で流れる松山弁自体を懐かしむ方も少なくないようで、先週お越しになった、小さい頃松山に住んでいたという東京からのお客様は「両親や祖父母が話していた言葉を思い出しました」と仰っていました。
方言はそれを耳にしていた頃の記憶を呼び起こしますので、それをきっかけに、ご家族ご友人同士で当時の話をするのもいいかもしれませんね。
ちなみに、CM自体が面白いので、観たことや松山弁を聞いたことがなくてももちろん楽しめますが、意味を推測してみるのも面白いと思います。特に、この企画展の映像には標準語の字幕がついているので、「答え合わせ」ができるんですよ!
地元の方でも知らない言葉があって、「こんな方言もあるんだなぁ」と思われるかもしれません。
記念館にお越しの際はぜひご覧になってください。
スタッフ:山岡
2018.07.30 猛暑
日本各地で猛烈な暑さが続き、熱中症による被害がニュースでたびたび報じられていますね。
この夏に松山への旅を計画していらっしゃる皆さま、炎天下を歩くときは特に、体調を崩されませんようお気をつけください。
旅の目的地が決まったら、各目的地までのルート・手段をあらかじめ確認しておくと移動もスムーズになることと存じますので、公共の交通機関で当館にお越しいただく際のポイントをご案内いたします。
松山市内中心部の伊予鉄道・松山市駅方面から当館へお越しいただく際は、バスが便利です。伊予鉄バス・砥部線に乗車し、記念館の最寄り停留所「天山橋」で下車、そこから徒歩3分ほどです。
松山市駅から郊外電車(伊予鉄道・横河原線)に乗車し、「いよ立花」駅から徒歩でお越しになるお客様もいらっしゃるのですが、いよ立花駅から当館までは徒歩20分ほどかかります。炎天下の20分は大変ですので、この時期はバスをおすすめいたします。
また、道後方面からお越しの方もいらっしゃることと存じますので、市内電車(路面電車)「道後温泉」電停から市内電車と路線バスを乗り継いで当館までお越しいただくルートをご案内いたします。
● 市内電車「道後温泉」電停 乗車
↓(乗車時間約11分)
● 市内電車「大街道」電停 下車
↓(徒歩約2分)
● 路線バス(伊予鉄バス「森松・砥部線」)「大街道」バス停 乗車
↓(乗車時間約15分)
● 路線バス「天山橋」バス停 下車
↓(徒歩約3分)
● 伊丹十三記念館
路面電車での移動はのんびりしていて楽しいですよね。水分補給をしながら、お時間にゆとりを持っていらしてくださいませ。
国道33号線から見える焼き杉板の黒い外観と、この看板が目印です
記念館に到着して入館受付を済ませたら、まずは入館者様専用カフェ・タンポポでひと休みなさるのも、暑い日にはおすすめです。
カフェ・タンポポ 夏の人気メニューのひとつ・ジンジャーペリエ(600円)
皆さまのお越しを、お待ち申し上げております。
スタッフ : 淺野
2018.07.23 伊丹十三記念館はお盆期間中休まず開館しています
梅雨も明け、いよいよ夏到来ですね。
学生さんは夏休みが始まった方も多いのではないでしょうか。
伊丹十三記念館もいよいよ庭木に水遣りをする季節がやってきました。
普段はエアコンの効いた部屋で事務作業をしていることが多い記念館スタッフにとっては結構過酷な仕事となっていますが、記念館の木々を枯らさないためにと、日焼けと熱中症に気をつけながら今日も水遣りに励んでいます。
ところで、今年の夏休みのご予定はお決まりですか??
お盆の前後に夏休みを取られる方も多いのではないかと思いますが、ご安心下さい。伊丹十三記念館はお盆期間中休まず開館しております。
ちなみに記念館の8月の休館日は以下の3日間となります。
8月 7日(火)
8月21日(火)
8月28日(火)
毎週火曜日を休館日としておりますが、8月14日の火曜日は先ほどお知らせしました通りお盆まっただ中ということで開館致します。
帰省の方にも、ご旅行に来られる方にも、一人でも多くの方にご来館いただきたく開館することにしております。
この機会に皆さまお誘い合わせの上、松山へ、そして伊丹十三記念館へ是非ご来館下さいませ。
スタッフ一同心よりお待ち申し上げております。
スタッフ:川又
2018.07.16 「新潮文庫の100冊」に選ばれました!
先日、入荷した書籍を粛々と検品中の山岡さん(グッズ担当)の横を通りかかりましたら、見慣れない色彩が目に飛び込んできました。
何やら、黄色い帯がついています。
わあ、新潮社が毎年行っている夏のフェア・新潮文庫の100冊に伊丹十三の初エッセイ集『ヨーロッパ退屈日記』が選ばれたんですね! とっても嬉しいです!!
読書家には程遠い私でも、ラインナップを見ると、読んだことのある名作がそこかしこに......その中に『ヨーロッパ退屈日記』が加わっているとなれば、感激もひとしお。
近年、店主の厳選ぶりを楽しみながら本を探せる、お洒落でコンパクトなセレクト書店もずいぶん増えてきましたけれど、この季節、大きな書店のフロアの一角に、文庫本が揃いの帯をまとって並び、広告パネルが掲げられていると、条件反射的に読書欲をそそられます。出版各社の文庫フェアは、夏の風物詩として心身にしみついているところがありますね。
10代、20代の頃、夏のフェアがきっかけで手に取った本がいくつもあったことを思い返しつつ、『ヨーロッパ退屈日記』が今の若い方々の目にとまって、この一冊からどんどん世界を広げていってくださるといいな、生涯のお供にしていただけるといいな、と願っております。
もちろん、大人の方もぜひ。親御さんからお子さんへの贈り物にもぜひ。
梅雨が明け、朝夕、記念館の庭ではセミの合唱が聞かれるようになりました。
このたびの大雨では、ご心配のお問い合わせもいただきましたが、幸いなことに被害はございませんでした。スタッフ全員、元気に勤務しております。
県内外で被害に遭われた方々への労りと応援を忘れずに、記念館はいつも通り開館して、お客様をお迎えしてまいります。ご来館を心よりお待ちしております。
学芸員:中野
2018.07.09 夏のおすすめグッズ
記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
本日は、夏におすすめのグッズを3つご紹介させていただきます。
ご興味のある方はぜひチェックしてみてください。
1) オリジナル手拭い
伊丹さんの描いたカチンコ柄をプリントした手拭いです。季節を問わずご好評いただいている商品ですが、夏場は特に多くのお客様が手拭いを手に取ってくださいます。暑い季節、ハンカチや扇子などと合わせてカバンに入れておくと重宝しそうですよね。
黒色、空色、白地にピンクの柄など色違いで3種類をご用意していますので、お好みに合わせて、お土産やご自分用にいかがでしょうか。
2) オリジナルTシャツ
伊丹さんの描いたイラストを使ったTシャツです。色違い、デザイン違いなどありますが、このうち伊丹さんの著書『ヨーロッパ退屈日記』にある「スパゲッティの正しい食べ方」の挿絵がプリントされた赤地のTシャツは、昨年5月に迎えた開館10周年を記念して発売しました。同じデザインで黒色もあります。
著書『女たちよ!』にある「二日酔いの虫」がデザインされたTシャツも人気ですよ!
3) 4711オーデコロン
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、「4711」はドイツのケルンで誕生した、世界で最も歴史のあるオーデコロンブランドです。200年以上世界中で愛され続けてきて、日本にも愛好家が多いのだとか。実は伊丹さんもこのオーデコロンを愛用していました。
上述の赤Tシャツと同じく開館10周年記念商品として販売を開始したこのオーデコロンは、爽やかなシトラス系の香りです。もちろんオールシーズンお使いいただけますが、「蒸し暑い時にすっきりできそう!」と購入される方も少なくありません。
香りは実際に店頭でお試しいただけますので、ご来館の際はぜひどうぞ。
スタッフ:山岡
2018.07.02 記念館で伊丹映画を
かつて観た映画について思い返すとき、その映画を「どこで、どんなふうに観たのか」もセットで思い出すこと、ありませんか?
「近くの劇場では上映していない映画を観たくて、遠くの劇場まで電車で行った」とか、
「DVDを夏休みにまとめてレンタルして、クーラーの効いた部屋で友達と観た」とか。
記念館にお越しくださったお客様が伊丹映画を観た感想をスタッフにお話しくださるときも、「どこで、どんなふうに観たのか」に話が及ぶことがあります。それも大切な映画体験の一部なのですね。楽しくお話を聞かせていただいております。
皆さまは伊丹映画を、どこで、どんなふうにご覧になりましたか?
――ところで!伊丹十三記念館の展示室でも、伊丹映画を観ることができます。
毎日ではありませんが、毎月「十三日の十三時」から、常設展示室内の展示モニターで伊丹映画を1本ずつ上映しているのです。
※5月、8月をのぞく毎月13日(火曜日に当たる場合は翌14日)に開催しております。
上映作品等、詳しくはこちらをご覧ください。
この「十三日十三時の伊丹映画上映」は2016年6月にスタートし、今年で3度目です。
展示用モニター(42インチ)でベンチ(15名程度)に座ってご覧いただく気軽なスタイルですので、通常の入館料のみでご鑑賞いただけます。
13日に、上映日であることを知らずにお越しくださったお客様の中には、「あ!いま上映しているんですね。観たことあるけれど、せっかくだからここでもう一度観ようかな」と、楽しんでくださる方もいらっしゃいます。
上映スペース
皆さまも、記念館で伊丹映画をいかがでしょうか。一度観たことのある映画でも、あらたな場所で観ると、また別の思い出になることと存じます。
次回は7月13日(金)。『マルサの女』を上映いたします(8月は上映がありませんので、お気をつけください)。皆さまのご来館を、お待ちしております!
<カフェ・タンポポからのおしらせ>
7月より、記念館のカフェ・タンポポで期間限定ドリンク「豆乳ブルーベリー」をスタートいたしました。
ブルーベリーのあざやかな色とほのかな酸味がさわやかな、夏の人気メニューです。ぜひご賞味ください。
スタッフ : 淺野
2018.06.25 コーヒー・ミル
伊丹十三記念館のカフェ・タンポポでお出しするホット・コーヒーは、必ずその日のうちに挽いた豆で淹れています。
というわけで、カフェ・タンポポには立派なコーヒー・ミルがあります。
ところで、伊丹さんはコーヒー・ミルについて自身のエッセイで次の通り語っています。
「さてコーヒーを挽くにはコーヒー・ミルというものを使う。木の箱に鉄のハンドルがついていて、箱の上の蓋をあけてコーヒーの豆を入 れ、ハンドルをがりがり回すと挽かれたコーヒーが下の引出しにたまる。
~略~
大きさはさまざまで二人用くらいから、ずいぶん大きな大家族用みたいなのまである。電気で動くやつもあるが、自分の手で、ハンドルか ら伝わってくる豆の砕ける乾いた感触を味わうのが愉しいのである。
日本人はずいぶんコーヒーをよく飲むし、また妙に銘柄やブレンドにうるさい人が多いわりにコーヒー・ミルを持っている人が少い。挽 きたてでないコーヒーをいかに論じてみても詮ないことと、私は思うのだが。
そうして、最後にインスタント・コーヒーについては、世の中にそういうものがある、ということを知っているだけにとどめたい。世の 中には、そういうものを飲まなければならぬかわいそうな人たちがいるということを知っているだけにとどめたい。」
― 「女たちよ!」 乾いた音 ―
・・・と、コーヒー・ミルについてはさておきインスタント・コーヒーについては随分なことを言っている伊丹さんではありますが、実は インスタント・コーヒーも結構召し上がっていたそうですよ。伊丹さんのエッセイ「日本世間噺大系」の解説の中で伊丹さんと仲の良かっ た写真家の浅井愼平さんが書かれていました。
このように「あれ?エッセイで書いてたこととなんだか違う!伊丹さん!」というエピソー ドは他にもいくつか聞いたことがありますが、それはそれで人間味があっていいですよね。
最後になりましたが、残念ながら記念館カフェ・タンポポのコーヒー・ミルは伊丹さんのおススメする手動のものではありませんが、ホ ット・コーヒーはハンドドリップで淹れており、とっても美味しく、カフェのお飲み物の中でも一番人気の商品です。ご注文に迷われたら 、是非!
スタッフ:川又
2018.06.18 「アレ」のある記念館
『ぼくの伯父さん』(つるとはな)の発売から半年が経ちました。
記念館グッズショップでのご好評ぶりから、全国の書店やインターネットでもたくさん売れているだろうな、と想像しています。
一気に読んだ方、ちょっとずつ読んだ方、往年の伊丹エッセイファンも初めての方も、思い思いに"四半世紀ぶりの新刊"を味わってくださったのではないでしょうか。
記念館HPのオンラインショップでも扱っております!
さて、これまでの伊丹十三の著書がそうであったように、この"新刊"もまた、お読みいただいてから記念館へお越しいただきますと、「エッセイに書かれていたアレがある!」というお楽しみがございます。
たとえば、手書きテキストと挿絵が一体になった、愉快なスタイルのエッセイ「スーツケース」の原稿原画。「急須」の挿絵の"モデル"の実物。「丼めし」は挿絵の原画も実物も展示しています。「傘」は、取り寄せ販売の見本をグッズショップにディスプレイしております。
これらのほかに、『ぼくの伯父さん』ではビジュアルが紹介されていないもので、記念館で「アレはこういうものだったのね!」と知っていただける、ぜひご覧いただきたい展示品があります。
所収の一篇「父、万作のかるた」というエッセイに、こんなことが書かれています。
――父がこのカルタを描いたのは昭和十八年ですから、まだ日本が戦争に勝っていた頃だと思います。年の暮れになって突然父がカルタを作ると宣言して製作にとりかかった。
(中略)このカルタで随分遊びましたね。私も妹も、このカルタに出てくる芭蕉の俳句を全部憶えております。勿論、それが父の狙いだったんでしょうがね。
で、実を申しますと、それ以来三十年、私はこのカルタを見たことがなかった。ある人が父から貰い受けてずっと所有していたんです。それが、その人の好意で、二年ばかり前に突然私のところに返されてきた。
これはびっくりしましたねえ。まず、その力量に圧倒されましたね、私は。そしてまた、その絵や字の裏に流れている、なんともいえぬ人間の好さ、高さですね、これはもう参りましたね。ああ、ここまで行ってる人だったか、という思いがありましたね。
父がこれを作った時、四十四歳くらいだったわけですから、考えてみれば私はそろそろ同じ年齢に達しようとしているわけでしょう。こりゃ考えますねえ、だって、これを描けるようになるには、また別の一生を必要とするようなものですよ、このカルタは――
『ぼくの伯父さん』をお読みになって、「挿絵も写真図版もないけど、どんなカルタなのかしら」と思った方、いらっしゃいませんか?
このエッセイの初出は、いろはかるたを特集したムック本『別冊太陽』No.9(平凡社、1974年11月)。すべての絵札がグラビアページに掲載されていました。それで文中「このカルタ」と記されているのです。
「このカルタ」は、伊丹十三が書いているように、子供たちのために伊丹万作が手作りしたのですが、少し補足させていただきますと、伊丹万作が「あるカルタを裏返して」手作りしたものでした。
元は、子供トナリグミカルタという市販の玩具で、「ツクレ ツヨイ ダイトウア」など、軍国主義教育を目的とした標語がいくつも見受けられます。こんなもので我が子が遊ぶなんて!と憂えた万作が、自ら選んだ芭蕉の俳句と、それに対応する絵をすべての札の裏面に描いた、というわけです。
不治の病(結核)で長く生きられそうにない、世の中は戦争一色、そういうときでも譲れないことがある......幼子への思い、芸術家としての反骨心から生み出されたカルタなんですね。
現在、カルタは記念館に収蔵されておりまして、併設小企画「伊丹万作の人と仕事」に
*暦に応じた季語の読み札・絵札(実物 / 季節ごとに8組)
*このカルタを使って伊丹十三が作った一六タルトのCMシリーズ
*すべての読み札・絵札の両面の複製
を展示しています。
夏の句のカルタ8組。「さみだれを~」や
「しづかさや~」など、お馴染みの句もあります。
こちらは複製の壁面展示。
上2段が万作手作りの芭蕉カルタ。
下2段が子供トナリグミカルタです。
「伊丹万作の人と仕事」は展示順路の最後のコーナーです。
展示室2部屋の小さな記念館ですが、あますところなく、じっくりとご鑑賞くださいませ。
学芸員:中野
2018.06.11 宮本館長出勤のご報告&メンバーズ会員制度
6月8日と9日の2日間、宮本館長が出勤いたしました。
事前に出勤情報をキャッチして来館された方や、ご存じなく来館され、受付で「いらっしゃいませ!」と宮本館長に迎えられてびっくり、という方など、いろいろなお客様にお越しいただきました。ご来館くださった皆さま、まことにありがとうございました。
お客様をお迎えして一緒に写真を撮ったり話をしたり、その合間にはスタッフと打合せをしたりグッズをチェックしたり――梅雨のじっとり感も忘れてしまうくらい、宮本館長は元気に館長業務に励んでいました!
次回の出勤もどうぞお楽しみに。
館長とパチリ!
館長出勤については日程が決まり次第当館のホームページ内「ニュース欄」でお知らせしていますが、残念ながら「見てなかったなぁ、その時知ってたら行ったのになぁ」というお声もよくうかがいます。
そんなときにぜひご検討いただきたいのが、当館の「メンバーズ会員制度」です。
3,000円もしくは5,000円の年会費をお支払いいただき、1年間入館料無料で何度でもご入館いただけるメンバーズに入会された方には、会員ならではの特典をご用意しています。その「会員特典」のひとつに、記念館の情報をメール等でお知らせする、というものがあるのです。もちろん館長出勤の情報もお届けします!
その他、各種イベントや展示替えなどをお知らせしたり、メンバーズ会員限定の収蔵庫ツアー(普段は公開していない収蔵庫 を学芸員のガイド付きでご覧いただくツアーです)を開催したりしています。
会員特典などの詳細はコチラをご確認ください。
1年間何度でもご入館いただけるということで、少し時間があいた時に来館され中庭のベンチやカフェでちょっと一息つく...なんて方や、情報をチェックしてイベント等に積極的に参加くださる方など、特典のご利用方法は様々です。
メンバーズ会員へのお申込みは記念館受付(※電話、メール、FAXでのお申し込みは承っておりませんので何卒ご了承ください。)で常時行っていますので、入ってみようかな~という方はお気軽に受付スタッフにお声がけくださいね。
伊丹さんのイラストをプリントしたメンバーズ会員カードです
スタッフ:山岡
2018.06.04 第10回伊丹十三賞の贈呈式を開催いたしました!
5月24日(木)、第10回伊丹十三賞を磯田道史さんにお贈りする贈呈式を、東京の国際文化会館で開催いたしました。
受賞者磯田さんのご関係者さま、歴代受賞者・伊丹さんゆかりの方々・当財団の関係者の皆さま、あわせて約80名様にお集まりいただきました。
式典は、祝辞・正賞の贈呈・副賞の贈呈・受賞者スピーチ・館長挨拶の順に行われました。今回は、その模様をお届けいたします。
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選考委員・中村好文さんの祝辞(一部抜粋)
" 磯田道史さん、このたびは、第10回「伊丹十三賞」受賞、おめでとうございます。
10回目という節目にあたる「伊丹十三賞」を磯田さんにお贈りすることになったとき、ぼくは、第1回目の糸井重里さんから、第9回目の星野源さんまでの歴代の受賞者の方々を、ひとりひとり、頭に思い浮かべてみました。
そして、そのあとに10人目の磯田道史さんに並んでもらって、10人のラインナップをあらためて想像してみたのですが、そうしてみると、「伊丹十三賞」は、今回、歴史学者の磯田さんが加わったことで、賞の「間口」が大きくひろがったように感じられました。また、その「奥行き」が、1歩も2歩も深まったように思いました。
そういう意味でも、今回は、まことにふさわしい方に「伊丹十三賞」を贈ることができたと、喜ばしく思っています。
「選考委員の自画自賛」と言われそうなので大声では言えませんが‥‥内心では‥‥「選考委員はよくやった!」「選考委員はえらかった!」と、ひそかに思っている次第です。"
選考委員・中村好文さん
――続けて中村さんは、磯田さんを密着取材したドキュメンタリー番組をご覧になったときのことを、お話しくださいました。
"この番組で、ぼくには忘れられないシーンがふたつあります。
ひとつは、用水沿いの小道を歩いていた磯田さんが、歩きながら、ふと、用水の底に落ちていた土器のかけらのようなモノを「目ざとく」見つけ、やにわにワイシャツの腕まくりをして道路に這いつくばり、用水の流れの中に手を突っ込んでその土器のようなモノを拾い上げるシーンでした。
その「目ざとさ」と、間髪を入れない「行動力」に、ぼくは目を瞠ったのでした。そして、その、人目をはばからず、脇目もふらない行動は、子供のように純真で、むき出しの「好奇心」と「探究心」に裏打ちされていると思いました。
もうひとつは、タクシーに乗った磯田さんが、これまた「目ざとく」運転手さんの珍しい名前に気づき、あれこれお喋りしているうちに、
「ああ、そうすると、小学校は何々小学校ですね?」と、その運転手さんの卒業した小学校の名前を言い当てるシーンでした。(場内笑い)
このシーンを観ていて、ぼくは思わず‥‥
「そうか、つまり、磯田さんは シャーロック・ホームズ なんだ!」
とつぶやいて、妙に納得してしまいました。
なぜ、シャーロック・ホームズなんかが頭に浮かんだかというと、シャーロック・ホームズの「緋色の研究」という作品の中に、ホームズが相棒のワトソン博士に向かって‥‥
「ぼくは、観察と推理の両方の天分に恵まれているんだよ‥‥」
と、話すくだりがあったことを、突然、思い出したからでした。
そして、たったいまご紹介したふたつのエピソードは、磯田さんが「観察と推理の両方の天分に恵まれている」ことを、はっきり物語っていると思ったのです。
さらには「観察と推理」こそが、歴史学者に不可欠な資質であることに思い至りました。
結局、ぼくの中では、このふたつのエピソードが、磯田さんを「伊丹十三賞」に推挙する大きな「決め手」となりました。"
――最後に中村さんは、「悔やまれること」として次のようにお話しなさり、祝辞を結んでくださいました。
"ここにいらっしゃる皆さんの中の、どれくらいの方々がご存知かはわかりませんが、伊丹十三は映画監督になる前の1970年代に、テレビで数多くの優れたドキュメンタリー番組を手掛けています。
なかでも「天皇の世紀」や「古代への旅」という歴史物は、歴史を過去のものとしてうしろ向きに解釈するのでなく、現在の問題として蘇らせる独自の視点と、独特のトーンを合わせ持った、すこぶる面白い、それこそ「目からウロコの落ちる」画期的な番組でした。
もし、1970年代のあのころに磯田さんがタイムスリップしていたら、伊丹十三は磯田さんのような歴史学者を決して「放っておかなかった」と思うのです。
そして、もし、この2人がコンビを組んでいたら、おそらく日本のドキュメンタリー史に残る、数多くの歴史物のドキュメンタリー作品が生まれていたにちがいありません。
さらに、この「名コンビ」なら、愉快な趣向を満載した、娯楽的で、刺激的で、独創的で‥‥、それでいて、人々の興味をかき立て、感動させずにはおかない深い内容をもった本が出版され、映画が製作されていたと思うのです。
このことを考えると、つくづく悔やまれてなりません。
せめて磯田さんに、ときどきは「伊丹十三とのコンビから生まれたであろう幻の作品」について思いを馳せていただき、これからの研究と活動を続けていただけますよう「お願い」して、ぼくのスピーチをしめくくりたいと思います。
磯田道史さん! このたびは「伊丹十三賞」受賞、ほんとうにおめでとうございます。心よりお祝い申しあげます。"
選考委員・平松洋子さんより正賞(盾)の贈呈
選考委員・平松洋子さんより贈呈
正賞の盾
宮本館長より副賞(100万円)の贈呈
伊丹十三記念館・宮本信子館長より贈呈
受賞者・磯田道史さんのスピーチ
受賞者・磯田道史さん
"この度は、第10回の伊丹十三賞をいただきまして、ありがとうございます。
また選考委員の皆さま、今日来てくださった各界の皆さま、記者の皆さま、御礼申しあげます。
わたし、この賞をもらって、ほんとうにうれしいのです。
うれしい理由はなぜだろうと思ってみると、この賞はあまり分野の壁が無い方に贈られている。
私は歴史しかしていないようですけれども、媒体はテレビだったり活字だったり新聞であったり、また、狂言を書いて国立能楽堂で上演してみたり。「いろんなことをやる」というのが、非常に大事だと思っています。
むかし、岡本太郎さんが、「あなたは画家をやっていて、小説も書いて、彫刻も作って、いったい何が専門なの?」と言われたときに、平然と「人間」と答えたというエピソードがありますが、それがいちばん健全なあり方だという考えを、わたしは持っています。
そして、昨今のいろいろな問題は、「ボーダーレス」ということで我々の社会を考えてみたら、わかりやすく解決できるんじゃないかと感じるようになりました。
なぜかというと、ネット社会になって、即時に物事を知ることができるようになったにも関わらず、ぼくらの社会、特に日本社会は、「ウチの論理」で間違える。あと、「上に逆らえぬ空気の支配」がある。
ほんとうはみんな、「これはやばいんじゃないかな」と思っていても、上の人が命令すると従ってしまう「同調圧力の恐ろしさ」というようなものを、ぼくらは見ている。
ただ、これを批判するだけでは何の解決にもならない。
ぼくらはいつからこうなっているのか?と思うんだけど、実はぼく、それを子供のころ考えたんですよ。古墳を歩きながら。(場内笑い)"
身振り手振りを交えてお話しなさる磯田さん
――ここで磯田さんは、取材に来ているマスコミの皆さんの中に愛媛の記者がいることを確認してから、こう続けられました。
" 必ず(伊丹十三記念館のある)愛媛に(受賞記念)講演にいきますから!(場内拍手)。
愛媛に上黒岩岩陰という遺跡があって、ぼく、小学生のときに、「どうしてもそこへ行きたい」と親にねだったんです。
なぜかというと、そこは縄文時代の遺跡で、犬の骨が出土しているんです。ぼくも犬を飼っていたんですが、そこは、飼っていた犬を丁寧に葬っている遺跡だと聞いたんです。人間が、違う種類の動物である犬をかわいがっている最古の状態に、子どもながらにすごく感じるものがあって、「その出土状況はどうか?」と。考古少年なので。
最近の分析によると、その犬は老齢で、もう役に立たないのに飼っていたというんですよね。
縄文の人たちの遺跡は、宗教的理由で周りに堀を掘っているものがあるにしても、そんなに上下の差はないんです。
ところが、あるときから周りにがっちりした堀を掘って土を盛り上げ、その上に首長だけが葬られ、結界がなされ、ウチとソトがはっきり分けられて、身分の上下がはっきりするんです。
元をたどると、渡来系の方形周溝墓が九州の糸島あたりにまずできる。それらを見て、「あなたとは違うんです」という感じを、ぼくは受けたんです。
つまり、渡来系の国家を形成するような論理が古代にやってきて、壁ができたんだと思うんです。それは、必ずしも悪い事ばかりではないです。
なぜ人間が「あなたとは違う」になるかというと、生き物には生存本能があって、生活資源を周りと競争するから。たとえば美味しい飯があったら、「俺が食いたい、他のやつが食ったら悲しい」。いい女やいい男がいたら、「私のものにしたい、とられたら悲しい」。それはありますよ。
でも、それがだんだん恐ろしいことになると、動物・いぬねこには見えない国境線をひいて、向こうに住んでいる国民とこちらに住んでいる国民が敵になったら、平気で核兵器を落とすわけですよね。
ぼくは考古学から物質文明を見ているので、その恐ろしさがよくわかるんです。
これを避けるにはどうしたらいいかというと、やっぱりボーダーレス。
つまり、壁を打ち破る。ウチを打ち破るというのかな。「あなたは専門だから」とか、そういうのは違う。本来、「人間」がいるのだと。
国境線とか、分野とか、上とか下とかいうものは幻想にすぎないんだということに、いまいちど戻るためにはどうしたらいいかというと、時空を超えた認識であるとか、自他の区別をなくすような発想というのが重要で、経済や権力の論理ではなくて、創作活動や表現活動による人間の感動こそが、それを支えているのであろうと、ぼくは、歴史を長いこと見ていて思う。
――ということで、なんとなく説教くさく、もっともらしい話にして終わりにしたいんですが......とにかく、愛媛には講演に行きますので!(場内笑い)
「松山とぼく」みたいな話を。大学時代に秋山真之とか調べはじめたら......ごめんなさい、もうやめますからね(場内笑い)。
たとえば秋山真之が戦争から帰って、松山中学の後輩たちにどういう講演をしたのか、「この人は頭の中で何を考えたのか」そういうことを探したくて、その講演録を探しに松山に行ったりしたので、そんな話を、ぜひさせていただければと思います。
ありがとうございました。"
宮本館長あいさつ
式典前の控室での様子をお話しする宮本館長
" 磯田さん、ほんとうにおめでとうございます。ご受賞ありがとうございました。
ほんとうに力強く、一生懸命、キラキラとお話しをされるお姿を間近で拝見いたしました。
さっきも控室で遺跡の犬の話が出たんです。そのお話をずっと聞きたかったんですけど、時間もあるからどうしましょうとなったら、「松山に行きます」とすぐ決めてくださった。「ほんとうに磯田さんはせっかちなんですね」って言ったら、「ものすごいんです」っておっしゃって(場内笑い)。すごく私はうれしかったです。
本当に、ありがとうございました。"
式典後に皆様で撮影
左から、選考委員・周防正行さん、宮本信子館長、受賞者・磯田道史さん、
選考委員・中村好文さん、南伸坊さん、平松洋子さん
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以上、贈呈式の様子をご紹介させていただきました。
この後は集合写真を撮影し、引き続き、なごやかに祝賀パーティーが行われました。
毎年恒例、庭園での集合写真
磯田さん、ご出席くださった全てのみなさま、誠にありがとうございました。厚く御礼申しあげます。
さて!磯田さんが受賞者スピーチで宣言してくださった通り、ぜひ松山で、受賞記念講演を開催させていただきたく存じております。
詳細がまとまりましたら当サイトでお知らせさせていただきますので、皆さま楽しみにお待ちくださいませ。
これからも、伊丹十三賞を、どうぞよろしくお願いいたします!
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このレポートのお写真(盾の写真をのぞく)は、
撮影:池田晶紀さん(株式会社ゆかい)
撮影協力:ほぼ日刊イトイ新聞乗組員のみなさん
です。ご協力、誠にありがとうございました。
スタッフ:淺野
2018.05.28 宮本信子館長の出勤のお知らせ
来る6月8日(金)と6月9日(土)は、宮本信子館長が伊丹十三記念館に「出勤」いたします。
・・・・・宮本信子館長 出勤日時のご案内・・・・・
6月8日(金)13時ごろ~16時ごろまで
6月9日(土)11時ごろ~13時ごろまで
※滞在時間は変更になることがあります。
宮本館長の出勤日は、私たち記念館スタッフと色違いの制服を着用し、受付で「いらっしゃいませ~」とお客様をお迎えしたり、お客様とお話しをしたり、一緒に記念撮影をしたりと、様々なお仕事をします。
私は以前カフェで館長がお客様にコーヒーを運んでいるところを見たこともあります。
あとは売店の新商品の打ち合わせや、店頭の商品のチェック、その他にも様々な「記念館の館長としての業務」をいたします。
これはまさしく「出勤」ですね。
「まさか宮本さんと一緒に写真を撮れるなんて思わないからカメラなんて持って来なかったわ!」というお客様も結構いらっしゃいます。写真撮影どころか、館長に身の上話をされたり、悩みごとの相談をされたりするお客様も多くお見かけします。想像以上の宮本館長とお客様の距離の近さに皆さまもびっくりされることと思いますよ。
というわけで、6月8日(金)と6月9日(土)は是非宮本館長に会いに記念館へいらして下さい。
宮本館長と一緒にお写真をご希望の方は、カメラもお忘れなく!
スタッフ:川又
2018.05.21 開館11周年記念イベント・収蔵庫ツアー
伊丹十三85回目の誕生日、とてもよいお天気だった5月15日。記念館は開館11周年を迎えました。
日差し、風、緑の色に、爽やかな勢いを感じる季節ですね。
記念イベントといたしまして、ささやかではございましたが、5月11日(金)から15日(火)までの5日間、収蔵庫ツアーを開催いたしました。
記念館の収蔵庫の2階は、伊丹十三の愛用品や衣類、蔵書などを"展示風" に収蔵し、自宅の一室の"再現"コーナーもある、ちょっと変わったスペースなのです。
そんな収蔵庫をご見学いただくイベントなのですが、ご覧いただくだけではなくて、
「原稿用紙の使い方には独特のきまりがあったんです」
「この愛用品についてエッセイでこんなふうに書いています」
「こちらは家族からのプレゼントだったそうです」
「あれは実は伊丹映画に映ってるんですよ」
――――などなど、エピソードをご紹介しながら、「ものを通して伊丹十三を見る」というのでしょうか、ものを見ながら伊丹さんについてお客様とおしゃべりをする催しです。
『お葬式』の一場面と収蔵庫の"再現"コーナーです。
本日の記念館便りは、頂戴したご感想をもとに、収蔵庫ツアーのレポートをいたします。
*************
とても丁寧な説明で、伊丹さんを身近に感じる事ができました。映画に使われていた物がたくさん収蔵されていて、「また映画を見よう!!」と思いました。
学生時代の友人の父親(宝田明さん)が伊丹作品に出演したことを機に伊丹作品は全て観ました。ツアーでは、料理好きであったこと、物を大切にされていたこと、精神分析に関心があったこと等、伊丹さんの意外な一面に触れることができました。しかしよく考えると、それらのエッセンスは伊丹作品の中に散りばめられていた気がします。とても興味深く、ワクワクするようなツアーでした。
ディープなところを見せてもらって有難うございました。所蔵のギターの演奏会があれば(ぜひ荘村さんにもう一度)伺いたいと思います。身につけるものがいいものばかりのようでいいものを長く着つづけることをまねしたいと思いました。もっと長く生きていたなら何をしているだろうと想像します。内田樹さんが講演で伊丹さんを評価していて、今回のツアーに応募することになりました。伊丹さんに続く次世代の才能を期待します。
貴重なものが見れてよかったです。あまり伊丹さんのことは知らなかったのですが、才能豊かな方ですごいなあと感心しました。このようなツアーに参加できてとてもよかったです。
5/13(日)、友人と何回目かの伊丹十三記念館へ行きました。もちろん、収蔵庫ツアーは、初めてでした。不思議な空間でした。高校時代から、伊丹さんのエッセイを読んで、大学時代、「もう頰づえをつかない」の映画で髪結いの亭主役の伊丹さんが、桃井かおりさんにタオルの干し方を教えた場面等、頭の中でいろいろなことが駆け巡りながら、係の方の説明や質問の答えを聞いて、見ていました。好きなものに囲まれた暮らしから、それを映画の中にも、使ったとか。もう一度、「お葬式」「タンポポ」と、丁寧に見ていきたいなあと思いました。
貴重な私物をたくさん見ることができてとてもよかったです。また来ます。
「また、来てしまいました。」伊丹さんが「やあ、いらっしゃい」と笑って出迎えてくれるパネルを見ながら心の中で答えました。伊丹さんとの出合いは、19才頃手にとった『再び女たちよ!』でした。以後、全部出版物は手に入れました。伊丹さんの文章が大好きです。今も時々読み返しますが、全然色褪せない。いろいろなモノ、コトを教えてもらいました。生き方、美意識、価値観・・・・私にとって伊丹さんは何でも知っている、特別すごいカッコイイ"伯父"さんです。ツアーから帰って、中村好文さんの本を図書館で借りました。その中に「収蔵庫2階は、いずれガイドツアーできるようにする」とありました。そのツアーに参加でき(当選を知り小躍りしました)ほんとうに嬉しく思います。ありがとうございました。大変満足です!!
一番興味深かった事は、フランス製の同じ靴が二足、新品のまま置いてあるという事です。私もアメリカ製の同じスニーカーを新品のまま何足か集めていますが、伊丹十三氏の気持ちがほんの少しでも分かった気がします。すべての物や事に対してのこだわりようがハンパなく、私生活において宮本信子さんの御苦労が目にうかんできます。
記念館へは5、6回来たことがありますが、収蔵庫ツアーのことは今年初めて知り、参加を申し込みました。今まで知らなかったこと、初めて目にするものがたくさんあり、とても興味深かったです。伊丹さんのことを、より身近に感じられたように思います。ご説明も丁寧でわかりやすかったです。この記念館の雰囲気がとても好きです。また遊びに来たいと思います。
前々からこだわりのある方だとは思っていましたが、お皿やハンカチ洋服と、個性のかたまりでした。
「男のクロワッサン」に載っているページが楽しくて、ほしかった。「フランス料理を私と」の本も手に入らないのがざんねん。ネコの絵がすばらしい。
精神分析、音楽、料理......いろいろなものに興味をもっていて素晴らしい人です。
人間の本質を追究していたのかなあ~~
とってもおしゃれでご自身のスタイルを確立されていて、見学できてよかったです。
やっと念願叶って当選、収蔵庫ツアーに参加できました。(展示室の)子供の頃の揚羽(アゲハ)の絵と観察日記など、すでに天才だったのか、DNAなのか!? 戦前の生まれなので文章が旧かななのも不思議ですが、いつまでたっても少年の心を持って、二歩も三歩も先をいっていたステキなおじさま!! 今ならどんな映画を作っていたんでしょう...残念(泣...)
長年憧れていた収蔵庫ツアーにやっと参加できて、嬉しさもひとしおです。まるで伊丹家にお邪魔させていただいたような気分です。これだけのものを大事に取っておかれた御苦労と、それを松山のこの記念館に収蔵していただいた事、感謝申しあげます。逸話等の説明も丁寧で分かり易かったですよ。大満足でした。
念願の収蔵庫拝見出来、とてもとても満足でございます。才能とセンスのよさの詰った空間を間近に見て、またこれを伝えていかれる大変な作業に、本当の"愛"を感じます。
*************
ご応募・ご参加くださった皆様、ありがとうございました。
(たくさんのご応募をいただきましたので、残念ながらご落選となってしまった方もいらっしゃいました。まことに申し訳ありません。またぜひご応募にトライしてください!)
先日もこの記念館便りに書きましたが、伊丹さんが亡くなって、2017年の暮れで20年が経ちました。記念館ができたのは、亡くなって10年の2007年でした。
開館からこれまでの11年間は、伊丹十三の人物像や作品をご存知の方々に、懐かしさを楽しんでいただこう、とか、知らなかった一面に驚いていただこう、とか、そういうことを意識していたように思います。
いわば、皆さんの「記憶の中の伊丹十三」を利用させていただいていたのですね。お客様から教えていただくことがたくさんあって、いろいろと勉強させていただいてきました。
そんなここまでを第1幕として、これからは第2幕......11周年を迎えて、伊丹十三を知らない世代に出会いの楽しさを知っていただく活動にも、力を入れてまいりたいと考えております。
今後ともよろしくお願い申しあげます!
学芸員:中野
2018.05.14 5月のグッズ購入特典/宮本館長出勤のお知らせ!
伊丹十三記念館は明日5月15日、開館11周年を迎えます。
開館月であるこの5月、グッズショップでは、対象商品をお買い上げのお客様にささやかながらプレゼントをご用意しました。
5月いっぱいの期間限定ですので、ご興味のある方はこの機会にぜひどうぞ!
●「金榮堂」ブックカバー
伊丹さんがデザインした、北九州市小倉の老舗書店・金榮堂(きんえいどう)のブックカバーです。惜しまれつつ1997年に閉店したこの名書店のブックカバー復刻版を、対象商品をお買い上げの方にプレゼントいたします。
オンラインショップもご利用くださいね。
対象商品:
伊丹十三記念館ガイドブック/映画『お葬式』シナリオつき絵コンテノート/伊丹万作エッセイ集/伊丹十三の本/伊丹十三の映画
●伊丹十三監督映画作品オリジナルミニ解説
ご存知の方も多いと思いますが、記念館では毎月「十三」日の「十三」時より、常設展示室にあるモニターで伊丹映画を上映しています。
※詳細はコチラ → 「毎月十三日の十三時は記念館で伊丹十三の映画を観よう!」
上映当日は、その日に上映する映画のオリジナルミニ解説をお渡ししているのですが、このミニ解説(見開きA4サイズ)10作品ぶんを1セットとして、対象商品をお買い上げの方お一人につき1セットプレゼントいたします。
対象商品:
映画『お葬式』シナリオつき絵コンテノート/伊丹十三の映画/伊丹十三監督映画作品Blu-Ray※伊丹十三監督映画作品Blu-rayはオンラインショップでの取り扱いはありません。
(※ご注意※ 平成29年4月~平成30年3月の上映日にお渡ししたものとなります。ミニ解説中の
記念館の展示に関する記載は配布当時の内容となっているため、現在と異なっているものが
あります。予めご了承ください。)
さらにお知らせです!
お客様からいただくご質問数ダントツのナンバーワンである、次の宮本館長の出勤日程ですが―――来月6月の出勤が決定いたしました!
詳しい日程は以下をチェックしてくださいね。
6月8日(金)13時頃~16時頃
6月9日(土)11時頃~13時頃
※当日の状況により、滞在時間等は変更になることがあります。
当日は私達スタッフと一緒にお客様をお迎えしますので、皆さまお誘い合わせのうえ、ぜひ記念館にお越しくださいませ!
スタッフ:山岡
2018.05.07 「おじさん」展の人気者
開催中の企画展「おじさんのススメ シェアの達人・伊丹十三から若い人たちへ」、もうご覧くださいましたでしょうか?
館内をラウンドしていて「人気あるなあ」と感じるのが、「伊丹十三による正調松山弁シリーズ 一六タルトCMセレクション」。70年代から90年代にかけて伊丹十三が手がけた一六タルトのコマーシャル映像7本を厳選したものです。
古式ゆかしい松山弁のセリフが印象的(というより衝撃的)なコマーシャルで、愛媛県内だけで放送されたローカルCMだったこともあり、愛媛県民の方は懐かしそうに、県外の方はちょっと驚いたご様子で、熱心に見てくださっています。
常設展示室の「CM作家」のコーナーでは、開館以来、成績篇・少年の思い出篇・ど忘れ篇をご紹介してきましたが、今回の企画展では、方言の度合いが強いものを選んで、松山弁・標準語の対照字幕をつけました。
一六タルトCM「タルト一きれ」篇より。
ほかに、成績篇、手洗い篇、贈物篇、どないしたんぞ篇、
花嫁篇、タルト調査篇をご紹介しています。
方言から標準語への変換というのは、辞書的な意味よりもニュアンスのほうが大事なので、"ネイティブ"でない私には難しいところがたくさんあり、松山っ子の玉置館長代行のアドバイスを受けながら作った字幕です。
なお、玉置代行は、このCMの依頼主・一六本舗の社長(当時企画室長)でもありまして、制作経緯を回想して曰く、松山弁を用いるというアイデアは、伊丹万作の三十三回忌に集まった人たちの会話を耳にしたことから生まれたのではないか、とのこと。
依頼から撮影までの間に松山で催された法事には、明治生まれの万作の友人が数多く出席していて、古い古い松山弁が飛び交っていたそうです。(詳細をお知りになりたい方は『伊丹十三の映画』の巻頭インタビューでどうぞ!)
伊丹十三のキャリアの中では、ドキュメンタリー作りに夢中になって日本中をめぐったり、土地土地の人から聞いた話をエッセイに書いたりしていた時期に当たりますから、ちょうど「方言は面白いゾ」というセンサーが鋭く働いていて、ご老人方の松山弁にピーンときたのかもしれませんね。
常設展示室「CM作家」のコーナーには、この一六タルトコマーシャルに関する直筆メモを展示しています。常設展・企画展を通してご覧いただきますと、アイディアメモと完成映像との違いを見比べることもできますので、ご来館の際にはぜひじっくりとご鑑賞ください。
「タルト一きれ」篇の語りメモ。
松山弁についてのメモ。
一六タルトCMシリーズに使用されている単語が
たくさん書き出されています。
一六タルトCMは記念館限定販売のDVD『13の顔を持つ男』にも4本収録されています。
字幕はついていませんが、松山弁が分からなくても、分からなささえ面白い!ご遠方にお住まいでご来館の難しい方は、ぜひこのDVDでお楽しみくださいませ。
学芸員:中野
2018.04.30 作ってみました!「マイクルのキャベツ」
先日スーパーで綺麗な春キャベツを見つけたので、伊丹さんのエッセイの中で前々から気になっていた「マイクルのキャベツ」という料理を作ってみることにしました。
マイクルのキャベツとは、伊丹さんの人気のエッセイ「女たちよ!」の中のその名も「マイクルのキャベツ」という話で伊丹さんが紹介している料理の名前です。
とっても簡単な料理にも関わらず、伊丹さん曰く「嘘のようによく売れる」んだそうですよ。そんなことを言われたら作ってみるしかありませんよね!
私が「マイクルのキャベツ」と名づけている料理がある。これはマイクルという中国人からならった、およそこれ以上簡単な中国料理はないと思われるくらい簡単な料理である。そうだねえ、まず五分でできてしまう。
まず、キャベツをぶつぶつと大まかに切る。中華鍋を強い火にかけ、ラードを入れる。ラードが熔けてきたら鍋をくるくる動かして油が鍋の表面に満遍なくゆきわたるようにする。
次に、刻んだ大蒜と塩を一つまみいれる。大蒜が狐色になったらキャベツをぶちこみ、黒胡椒をがりがり挽いて大量にふりかける。
そのうちキャベツが柔くなりはじめるから、その頃合いを見はからって砂糖をちょっとふり、少量の水をじゃっとさし、蓋をして押さえつける。この時瓦斯を少し中火にする。押さえつけること約一分、最後にさした水の湯気でキャベツがすっかり蒸れて、はいできあがり。
こんな簡単な料理が、嘘のようによく売れるのだから料理というものはおかしいものです。
― 女たちよ!「マイクルのキャベツ」 ―
話をまとめますと・・・、
1 大蒜と塩をラードで炒める。
2 キャベツを入れて、黒胡椒を挽く。
3 砂糖と少量の水を入れる。
4 キャベツを蓋で押さえつけて蒸す。
ということのようです。
というわけで、この度人生で初めてラードを買って参りました。材料も道具も準備しましたよ!
というわけで早速作ってみましょう!
はい出来上がり。
伊丹さんの言う通りものの5分で完成です!
たった5分でできるのに、伊丹さんがおススメするだけあります。美味しい!
簡単であっても簡単でなくても、売れない料理をよく作る自分としましては、こんなに簡単で美味しい料理を教えてもらって、マイクルと伊丹さんに感謝です。
みなさんも機会があれば、是非作ってみてください。
----≪伊丹十三記念館からのお知らせ≫----
記念館は毎週火曜日を休館日としておりますが、5月の以下の両日は開館いたします。
5月1日(火):GW期間中のため開館
5月15日(火):開館記念日のため開館
両日ともに、翌水曜日(5月2日と5月16日)も開館いたします。
皆さま、ぜひお越しくださいませ。
スタッフ:川又
2018.04.23 第10回伊丹十三賞の受賞者が決定いたしました!
2008年秋に創設し、毎年春に受賞者を発表しております「伊丹十三賞」は、今年で10回目を迎えました。
お客様から「受賞者発表を楽しみにしています」といったお声をいただくようにもなり、大変うれしく、そしてありがたく存じております。
すでにメディアでも報じられていますので、ご存知の方もいらっしゃることと存じますが、この度の第10回伊丹十三賞は、歴史家・国際日本文化研究センター准教授の磯田道史様にご受賞いただくことになりました!
受賞者:磯田道史 様
≪授賞理由≫
古文書を入り口に、本、新聞、テレビなどさまざまな媒体を通して、日本人の営みと歴史を問い直す情熱、知力、伝達力に。(伊丹十三賞選考委員会)
--------------------
磯田先生のご活躍は、たくさんのご著書やテレビ番組へのご出演などを通して、皆さまもご存知のことと存じます。
ご著書『武士の家計簿』(新潮新書)や『無私の日本人』(文春文庫)の一編は映画化されていますし、現在は、NHK BSプレミアムで毎週放送されている番組『英雄たちの選択』にご出演なさっていますね。
わたしが磯田先生のことをはじめて知ったのは、ニュース番組にゲスト出演なさっているお姿をテレビで拝見したときでした。子どもの頃からずっと歴史に夢中でいらっしゃったことを、ユニークなエピソードを交えながらお話しなさっていたのですが、「なんて楽しそうにお話しなさるんだろう。もっと先生のお話を聴いてみたい!」と思ったことを、はっきりと憶えています。
伊丹十三賞の授賞対象は、伊丹さんが才能を発揮した分野 ― エッセイ・ノンフィクション ・翻訳・編集・料理・映画・テレビ番組・CM・俳優・イラストレーション・デザインなど ― と多岐にわたりますが、これらの分野において、
1. びっくりした
2. おもしろい
3. 誰にでも分かる
そんなお仕事をなさっている方にお贈りする賞です。
※ 詳しくはこちらをご覧ください↓
宮本信子館長 Official Site「タンポポだより」
記念館ホームページ「伊丹十三賞概要」
磯田先生をはじめて知ったときの印象は、まさに「びっくりした」「おもしろい」「誰にでも分かる」でした。
その後もさまざまなお仕事を拝見する度に、毎回驚きと楽しさ、そしてひとつのことを深く考えるきっかけをいただいているように感じております。
今回もまた、素晴らしい方にご受賞いただけましたことを、スタッフ一同、大変うれしく存じております。
磯田先生からは、お気持ちのこもった受賞コメントもいただきました。
こちらに全文掲載しておりますので、ぜひご覧くださいませ。
贈呈式は、5月に東京都内で開催いたします。当日の様子は、後日あらためて記念館便りでご報告いたしますので、楽しみにお待ちいただけましたら幸いです。
----≪記念館からのお知らせ≫----
記念館は毎週火曜日を休館日としておりますが、5月の以下2日程は開館いたします。
5月1日(火):GW期間中のため開館
5月15日(火):開館記念日のため開館
両日ともに、翌水曜日(5月2日と5月16日)も開館いたします。皆さま、ぜひお越しくださいませ。
スタッフ:淺野
2018.04.16 新緑の季節の中庭
記念館だよりをご覧の皆さま、こんにちは。
だんだんと日差しが強くなってきましたね!日中は汗ばむほどの陽気ですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
さてご存知の方も多いと思いますが、記念館には中庭があります。
受付からガラス越しに中庭が見え、また、展示室をご覧いただいて出口の自動扉をくぐると中庭に出て、特に天気のいい日はぱぁっと明るい視界が広がります。
そのまま回廊に出ると、記念館のシンボルツリー・桂の木が目に留まります。
この桂の木をはじめ、中庭は季節ごとにその様子を変えるのですが、この4月に入ってやっと芽吹いた桂の葉っぱは日に日に大きくなり、今ではもう木陰ができるほどになりました。広がったハート型の黄緑の葉が風に揺れて、なんとも心地よい空間になっています。
回廊を歩くだけでも気持ちよさを感じるのですが、中庭には、記念館を設計してくださった中村好文先生デザインの「PERCH BENCH(止まり木椅子)」という細長く奥行が浅めのベンチがあります。
ここに腰掛けて時間を過ごされるお客様を、この時期は特によくお見かけします。たくさんの方から「気持ちいい場所ですね」というお声をいただきますし、中には「ついウトウトしてしまいました」なんて方もいらっしゃいます。
記念館の中庭は春夏秋冬楽しめますが、新緑の季節の中庭、本当におススメです!
展示室を出ると、桂がお出迎え
すっかり大きくなった新緑の葉っぱ
奥に見えるのがPERCH BENCH
新年度を迎え、学校やお仕事など新しい生活が始まって、何かと気忙しい毎日を送られている方も多いと思います。記念館にお越しの際は、ぜひこのベンチに腰掛けて桂を眺め、ほっと一息ついてくださいね。
ショップでは、この中庭の桂の写真をプリントしたポストカードと缶バッジを販売中です。
こちらもぜひご覧ください!
ポストカードと缶バッジ
スタッフ:山岡
2018.04.09 伊丹十三は「いたみ・じゅうぞう」と読みます。
アラカンこと嵐寛寿郎さんは「かんジュろう」だとハッキリ覚えたの、いつだったかなぁ。大佛次郎さんは「だいぶつ」じゃないって知ってひそかに赤面したの、いつだったかなぁ。
テレビか、映画館のトークイベントだったような気がするけど、大学の講義だったかしら、友人との会話だったかもなぁ......
最近、そんなことで記憶のモヤと格闘しておりますが、なぜ思い出そうとしているのかというと、「ヒト(人類)が、それまで知らなかったことを覚えるのには、"音"が重要なんじゃないか」と気になっているからなのです。教科書に載っているような人名地名だって、先生がハッキリと声に出して言ってくれたから覚えられたんだろうと思いますし、年号も語呂合わせで暗記しましたよね。
(春らしい空気のモヤモヤとも格闘していますが
タンポポが咲いて中庭はいよいよイイ雰囲気です)
伊丹さんが亡くなって、昨年の暮れで20年が経ちました。
これまで、たいていの人の間で「御存知、伊丹十三」で通るものだと思ってきましたが、これからはそういう前提では語れなくなっていくのだろうな、との感を、年々強めております。「世の移り変わり」とは、こういうことなのですねぇ。自分が記念館で勤めだした10年前には、まだよく理解できていませんでした。
簡単に言えば、今の若い方は、ごく小さい頃、あるいは生まれる前に伊丹さんが亡くなっているわけですから、伊丹さんを知らなくっても不思議ではないし、当たり前ですらあるんですよね。
「伊丹十三」って漢字は難しくないけど、読めなくっても仕方ないのです。(むしろ、字面が簡単であるがゆえに、知ってる側は「読めないわけがない」と思い込んでしまいがちという罠!)
伊丹十三が「いたみ・じゅうぞう」であるということ、どんな人なのかということは、あまりにも日常的に自然と吸収した事柄なので「自分がそれを覚えたのは、いつ、どういうことがきっかけだったか」を思い出せません。
「日常的に」「自然と」というのは、伊丹さんが頻繁にテレビに出ていたのが大きかったと思いますが、そのテレビから流れてきた音声、あるいは周りの誰かが何か言ったのを聞いて、「ふぅん、このひと、イタミ・ジュウゾウっていうんだ」と音で覚えた瞬間があり、次第に「伊丹十三」という文字と一致していったのじゃないかと思います。
私たち大人世代のこうした成長過程に比べると、今の若い方には、このように音声で知る機会が圧倒的に少ない――読めないこと、音で聞いたことのない情報は、記憶に定着しづらいんじゃないかなぁ――
そういうわけで、「伊丹十三は、いたみ・じゅうぞう、って読むんですよ」という説明も、今後は意識してやっていなかいといけないぞ、と考えています。
「人口に膾炙する」とは、ナマス(膾)とあぶり肉(炙)が美味しくって、みんなが喜んで口にすることから来ているのだそうです。
伊丹作品の、伊丹十三という人物の好きなところ、面白いと思うところについて、記念館のお客様方が実に楽しそうにお話ししてくださる、そのご様子からすると、伊丹十三について語るのは、旨みを味わうのに近いものがあるように思います。
これを「人口に膾炙する」ところにまで進めるには、その美味しさを知る人が増えなければいけませんので、みなさんにどんどん話題にしていただきまして、お若い方が「おお、いたみ・じゅうそう、について語るのは楽しいことらしいぞ」と惹かれる、そういう響きをもってこの名が広く語られるようにがんばらねば、と奮ってまいる所存なのであります。
そして、伊丹ファンのみなさんには、ぜひ「いたみ・じゅうぞう」と「声に出して」、できればお若い方々に向けて、大いに語っていただきたい、とお願い申しあげる次第であります。
新聞・雑誌などでご紹介いただくときには(若人向けの記事の場合は特に)「名前にルビをふってください」とお手間をおかけすることと思いますが、ご理解のうえご協力いただけますようにお願いいたします。
*************お知らせ*************
雑誌『POPEYE(ポパイ)』5月号(4月9日発売)の特集"ニューヨーク退屈日記"で、伊丹十三と記念館をご紹介いただいています。ぜひご覧ください。
(もちろんルビ有り、ありがとうございます!)
学芸員:中野
2018.04.02 春爛漫
松山は、あちこちで桜が満開になりました。桜の種類によって咲く時期もいろいろですが、どれも例年より早いようです。一日でも長く咲いてほしいものですね。
皆さまがお住まいの地域は、いかがでしょうか。
記念館の敷地内にはヤマザクラがあります。こちらはベントレーのそばにあるヤマザクラ。
3月30日撮影
葉とともに花が開くヤマザクラには、素朴な魅力があるように思います。見ていると、なんとなくホッといたします。
そんな春爛漫の記念館では、入館者専用カフェ・タンポポで、今が旬の愛媛県産イチゴを使ったメニュー・豆乳イチゴをスタートいたしました!
豆乳イチゴ(700円/税込)
イチゴをたっぷり使用していますので、ご覧の通り色あざやかです
豆乳イチゴは、2014年から毎年この時季にご用意している期間限定メニューで、幅広い年齢のお客様にご好評いただいております。
イチゴを凍らせて豆乳とともにミキサーにかけていますので、スムージーのような飲み口で、イチゴならではの優しい甘みをお楽しみいただけます。ぜひご賞味くださいませ。
中庭の桂の樹は、徐々に葉が大きくなりつつあります。新緑の季節も楽しみです!
ご来館の際には、その時季ならではの光景をお楽しみください。
スタッフ : 淺野
2018.03.26 無料開館
来る4月1日日曜日は伊丹十三記念館の入館料が無料です!
開館記念の恒例イベントとなっている「無料開館」が今年も開催されます。
その名の通り、その日は無料で伊丹十三記念館をご覧頂けるのです。
ちなみに、普段は高校生以上の方は受付で入館料を頂戴しております。
●大人・・・・・・・800円
●高校生・大学生・・500円
この入館料が、4月1日は必要ありません。
「混んでそうだな・・・」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、確かに普段よりもお客様が多いのでは確かですが「これは嫌だな」と思ってすぐに帰ったとしても、損はしません、無料ですから!
話は変わりますが、遠方から自分の地元にお客様がやってきて、「案内しないといけない」という状況になることはありませんか?記念館にいらっしゃる方もお客様をお連れになってご来館される方が結構多いのですが、一度も行ったことのない場所というのは広さや所要時間などの目途が立ちにくく、誰かを連れて行くというのはハードルが若干上がるのでしょうか、事前に入館料をお支払いされ下見に来られるお客様が結構いらっしゃるのです。この無料開館はそんな場合の下見とかにもいいのではないかと思うのです。
去年の無料開館の日にお話ししたお客様の中には「毎年この日に来ることにしてるんだよ!1年に一回!毎回無料!」と仰っている方がいらっしゃり、大変感心致しました。
この無料開館を皆様のご都合の良いように利用して下さったら幸いでございます。是非ご来館下さいませ。お待ちしています!
【caféタンポポのみのご利用も大歓迎です。この機会に是非どうぞ。】
<無料開館のご注意事項>
※駐車スペースに限りがございますので、なるべく公共交通機関をご利用ください。
伊予鉄バス森松砥部線「天山橋」停留所から徒歩約2分です。
※安全確保の都合上、館内および駐車場の状況により入館を制限させていただく
場合がございます。ご了承ください。
スタッフ:川又
2018.03.19 宮本館長出勤のご報告
記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
朝晩はまだ冷え込みますが、日中少し体を動かすと汗ばむ...という日も増えてきましたね。先週の記念館だよりの写真でご紹介したトサミズキに加え、同じく入口横にあるユキヤナギもいま満開です。
入口横のユキヤナギ。小さな白い花が可愛らしいです
敷地内にはつくしも生えています
さてそんな春の日、宮本信子館長が出勤いたしました!
出勤日の3月11日、12日はお天気にも恵まれ、事前に出勤情報をチェックして来て下さった方、知らずに来られてビックリされた方など本当にたくさんの方をお迎えすることができました。
宮本館長とパチリ!
宮本館長と話をされたお客様から「いい時間を過ごせました!」「楽しかったです!」など嬉しいお言葉もたくさんいただきました。
お越しくださった皆さま、ご来館誠にありがとうございました。
次回の出勤は決まり次第当ホームページのニュース欄などでお知らせいたしますので、どうぞお楽しみに!
記念館では、来月の4月1日には「無料開館」、5月の11日~15日には普段は公開していない収蔵庫をご覧いただく「収蔵庫ツアー」(参加者は応募受付中です)を行います。
お出かけしやすくなったこの季節、ぜひ記念館にも遊びにいらしてくださいね。
※無料開館、収蔵庫ツアーの詳細はコチラ
スタッフ:山岡
2018.03.12 伊丹映画の桜
「この冬一番の冷え込み」という天気予報の脅しから解放されてホっとしていると、テレビや新聞の話題はもう桜の開花予測。「まだちょっと寒いのに、気の早いこと!」と思うのですが、きっとあっという間なのでしょうね。
伊丹映画の桜といえば――
大病人(1993年)
「延命のためだけの入院生活は望まない、仕事をやり遂げて、家に帰って自分らしく死にたい」と願う癌患者(武平:三國連太郎)に、医師(緒方:津川雅彦)が退院を許可するシーン111と、主人公が息を引き取った後のシーン119では、見事に咲いた桜と花吹雪が画面を彩っています。
季節を表現するために雨・雪・枯葉、何でも降らせる伊丹映画ですが、ここで使われているのは作り物ではありません。クランクアップ日の1993年4月4日、桜の満開の時期に合わせて撮影されました。
本物の桜を画面の中に活かすべく凝らされた工夫もいろいろありまして、メイキングビデオ『大病人の大現場』(Blu-ray BOX-Ⅱ特典ディスク収録)で紹介されています。ぜひご覧くださいませ。
"見事な花吹雪"で思い出すシーンがもうひとつ。
こちらは初夏のお話なので桜は映りませんが――
お葬式(1984年)
義父の火葬が済むのを待つシーン91、主人公(侘助:山崎努)が木を見上げてつぶやきます。
侘 助「これは桜だな」
千鶴子「春はいいでしょうね」
侘 助「俺は春死ぬことにしよう。俺が焼ける間、外は花吹雪――いいぞ」
人間が死んだ後のドラマを描いた『お葬式』と、人間が死ぬまでのドラマを描いた『大病人』。何だか、作品を超えて主人公の思いが叶えられたのかな、と感じられますね。
さて、記念館周辺では、早春らしい景色がお楽しみいただけるようになってきました。
エントランス前のトサミズキ
記念館の前を流れる川附川。空の青と
菜の花の黄色が川面に映ってイイ感じ!
卒業・入学や異動など皆様何かとお忙しく、世間全体も慌ただしい3月ですが、ひと息つきにいらしてください。お待ちしております!
学芸員:中野
2018.03.05 伊丹十三記念館・開館11周年記念イベント
3月に入り、ずいぶん暖かくなりましたね。
記念館中庭の桂が芽吹きはじめています。桂は、ほんのり赤く芽吹きます。
写真では分かりづらいのですが、距離をおいて桂の樹全体を見ると、枝先が赤く染まっているように見えます。この時期ならではの姿に見入ってしまいます。
寒さ和らぎ、中庭回廊でゆっくりなさるお客様も増えました。記念館で展示をご覧になったあとは、ぜひ桂を見上げてみてください。
さて、2018年5月15日(火)、伊丹十三記念館は開館11周年を迎えます!
昨年の開館10周年から早一年。今年も開館記念日を迎えられますことを、スタッフ一同大変うれしく存じております。
皆さまへの感謝の気持ちを込めまして、毎年ご好評いただいております開館記念イベントを今年も開催いたします!イベントは以下の2つです。皆さま、ぜひご参加くださいませ。
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(1) 4月1日(日)「無料開館」
開館記念日に先がけて毎年4月に開催しております無料開館を、今年は4月1日(日)に開催いたします!
通常大人800円、高・大学生500円の入館料を、この日は無料といたします。
開館時間は、通常通り10時~18時(最終入館17時30分)です。
記念館にいらしたことのある方も、昨年12月20日からスタートした新企画展「おじさんのススメ シェアの達人・伊丹十三から若い人たちへ」は、まだご覧になっていない方が多いことと存じます。この機会に、ぜひどうぞ。お誘い合わせのうえ、お越しくださいませ。
*注意事項などの詳細はコチラをご覧ください。
(2) 5月11日(金)~15日(火)「収蔵庫ツアー」
普段は公開していないスペース「収蔵庫」を学芸員がご案内するイベントです。
収蔵庫には、伊丹さんの愛用品や直筆原稿、イラスト原画、蔵書などが収められています。伊丹さんは、ものを捨てずに取っておく人だったそうで、収蔵品の数は膨大です。また、それらの品々をただ収めているのではなく、「展示風」に収蔵していますので、空間そのものも楽しんでいただけることと存じます。
収蔵庫内には5つのコーナーがあり、
学芸員の解説とともにご案内いたします。
収蔵庫ツアーは開館以来毎年開催している人気イベントで、この日を楽しみにご応募くださるお客様が、たくさんいらっしゃいます。伊丹さんを身近に感じていただけることと存じますので、ぜひご応募くださいませ。
*事前応募制(4月16日必着)で、応募が定員を超えた場合は抽選になります。
*応募方法・注意事項などの詳細はコチラをご覧ください。
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皆さまのご来館を、スタッフ一同お待ちしております。
スタッフ : 淺野
2018.02.26 伊丹十三記念館のマグネット
こちらは、記念館開館当時からグッズショップで人気のマグネットです。
描かれているのは全て伊丹さんのエッセイの挿絵です。もちろん、伊丹さんご自身が描いたものです。
実はこのマグネットのイラストには共通点があります。
さて、みなさんのお家ではマグネットはどこで使用されていますか??
きっと「冷蔵庫!」という方が多いですよね。というわけでキッチンでのご使用を想定して、全て「食」に関連するイラストになっているのです!
ちなみに、これは「鳥」ではありません。
これは「レモン搾り器」のイラストです。中に切ったレモンを入れてぎゅっと押すと、レモンが搾れるそうです。常設展示室には実際に伊丹さんが愛用されていた、このイラストのレモン搾り器が展示されていますので、ご来館の際はお見逃しなく!
というわけで、早速、去年購入した記念館の事務所の冷蔵庫に貼り付けてみましょう!
ピタッ
あら、いいですねえ。
記念館リーフレットのようなちょっと厚手の紙を挟んでもばっちりくっつきます。磁力も文句なしですね。
もちろん、キッチン以外でのご使用も大歓迎です。
ご来館の際はグッズショップで是非チェックしてみて下さいませ。
スタッフ:川又
2018.02.19 愛用品
ここ記念館では、展示などを中心に伊丹さんが愛用していた品々を多数ご紹介しています。
お客様の中には、伊丹さんの愛用品と同じものを使っている、もしくは以前使っていて、「伊丹さんに親近感がわきました」という方も少なからずいらっしゃいます。
今回は記念館ショップから、伊丹さんが愛用していたものを2つ、ご紹介させていただきますね。
まずは印伝(いんでん)です。印伝(甲州印伝)は、鹿革に漆で模様付けを行う技法で知られる、甲州(山梨県)に400 年以上受け継がれてきた伝統工芸品です。
世代を問わず愛され続けているこの印伝を伊丹さんも愛用し、特に、「青海波(せいがいは)」という半円形を重ねて波のように反復させた模様を好んで使っていました(現在は常設展示室の「五 エッセイスト」コーナーで、実際に伊丹さんが使っていた青海波のペンケースをご覧いただけます)。
印伝をご存知の方や実際に使っている方は本当にたくさんいらっしゃるようで、お客様から「私も持っています!」「伊丹さんも使っていたなんて、親近感がわきますね」というお声をいただくこともしばしばです。
現在、記念館ショップでは印伝の小銭入れ、名刺入れ、
印鑑入れ、ブーツをかたどった根付を販売中です。
(※取扱い商品、模様は随時変わります)
青海波の模様(印鑑入れ)
2つめは「4711オーデコロン」です。「4711」は世界で最も歴史あるオーデコロンブランドで、記念館では「4711 オーデコロン ナチュラルスプレー(60ml)」を取り扱っており、昨年5月に開館10周年記念商品として販売を開始しました。印伝と同様、皆さまにご好評をいただいている品です。
ショップで4711をご覧になったお客様の中には「以前何かで伊丹さんが愛用していたことを知り、それをきっかけに4711を使うようになって、今ではすっかり私も愛用者です」という方もいらっしゃいました。誰かとオーデコロンの話をとするときは「伊丹さんも使っていたんだよ!」と必ず言っているのだそうです。
記念館ショップの4711オーデコロンナチュラルスプレー。
爽やかなシトラス系の香りで、使いやすいスプレータイプです。
この2品は記念館ではショップ店頭でのみ取り扱っています。「伊丹さんはこれを愛用していたんだなぁ」と、ご来館の際はぜひご覧になってみてくださいね。
――――――――― 記念館からのお知らせ ―――――――――
宮本信子館長が以下の日程で出勤いたします!
●3月11日(日)13時頃~15時30分頃まで
●3月12日(月)11時頃~13時頃まで
当日の状況により、滞在時間は変更になることがありますのでご了承ください。
宮本館長、スタッフ一同、皆さまのご来館を心よりお待ちしております。
スタッフ:山岡
2018.02.12 2018年の大切なお知らせ
日本映画専門チャンネルで放送していただいている、2017年2月からの長期企画伊丹十三特集が、いよいよフィナーレを迎えます。
そこで、大切なお知らせです。みなさま、メモのご用意を。
いいですか、大切なことなので大きい声で言いますよ――
3月3日(土)19時~4日(日)22時
『これで見納め! 24時間まるごと 伊丹十三の映画』です!!
こういった長期企画だと「ああ、見逃しちゃった~。でも多分リピート放送あるよね~」と余裕こいてしまって、結局、永遠に見逃す......ってことありますよね。
いいですか、もう後はないのです、これが最後のチャンスです。最後ではありますが、まだこのチャンスがあるのは幸いなことです。
【3日(土)19時から】
お葬式、タンポポ、タンポポ、ニューヨークへ行く(※)、あげまん
【―幕間―】
(この「幕間」もオススメです。オモシロ映像が流れますヨ!)
【4日(日)6時から】
大病人、静かな生活、マルサの女、マルサの女2、
ミンボーの女、スーパーの女、マルタイの女――
※「タンポポ、ニューヨークへ行く」はソフト化されていない
ドキュメンタリー番組です。この機会にぜひご覧ください。
タイトルの通り「これで見納め!」なんだなぁ、と思うと淋しいですが、見ないと「淋しい」どころではない、つらく悲しい思いをすることになりますよ、絶対に後悔しますよー! 録画予約をお忘れなくーー!! スケジュール帳に、カレンダーに、大きく書いておいてくださいねーーーー!!!!
3月3日(土)19時から、日本映画専門チャンネルをお見逃しなく!!
日本映画専門チャンネルは申込みの必要な有料放送です。
視聴方法などチャンネルに関する詳細情報はこちらをご覧ください。
もし、百万が一、「24時間まるごと」を見逃してしまったら、あるいは、終わった後にこの記念館便りを読んで「そんな特集があったなんて知らなかった!」となった方は、毎月"十三"日の"十三"時に記念館へいらしてください。
「十三日・十三時の伊丹映画」、来年度も開催いたします!!
13日が休館日の火曜日に当たる月は、翌14日の開催とさせていただきますのでご注意ください。
2017年度では今月と来月は13日が休館日に当たりますので、
「スーパーの女」は2月14日(水)、「マルタイの女」は3月14日(水)、となります。
伊丹映画の中でも特に人気の高い
"ロマンチック商売コメディ"です!
普段の展示に加えて伊丹映画も楽しめる、お得な日です。ぜひお越しくださいませ!
学芸員:中野
2018.02.05 ソイジンジャー
立春を迎え、記念館の庭木が少しずつ目を覚まし始めています。
こちらはユキヤナギ。ほんの数輪ですが小さな花を咲かせています。ユキヤナギは、春の訪れを告げる花ともいわれるそうですね。
とはいえ、まだまだ寒いですよね!
比較的暖かい日がありますと、その後また気温が下がった日に、より寒く感じます。
本日は、そんな寒い日にぜひ召し上がっていただきたい、カフェ・タンポポのおすすめドリンク "ソイジンジャー" をご紹介いたします。
ソイジンジャーは、豆乳としょうがで作る甘いホットドリンクです。
温めた豆乳に記念館自家製のしょうがシロップを加えていますので、口当たりはまろやかなのですが、しょうがならではのピリッとした辛みも楽しめます。カップに添えているのはスライスしたしょうがを甘く煮たチップで、そのまま召し上がっていただけます。
仕上げに、香りづけのシナモンパウダーをふるのですが、「豆乳の匂いはちょっと苦手なんだけど、これはシナモンの香りがして飲みやすかった」といった感想をいただくことがあります。
そして何より、飲むと体の芯から温まるように感じます。
しょうがに体を温める成分が含まれていることはよく耳にしますが、ソイジンジャーを飲むと、確かにそうだなと思います。
オールシーズンご用意しているメニューですが、寒い日に、特におすすめです。
記念館にいらしたら、ぜひ召し上がってみてくださいね。
スタッフ : 淺野
2018.01.29 手拭いのススメ
毎日寒い日が続きますね。こんな時期は洗濯物を取り込む際の「このタオルまだ湿ってる!」という「厚手のタオルあるある」に悩まされている方も多いのではないでしょうか?そんなこの季節に私がおススメしたいのは、乾きの早い「手拭い」です!
個人的に特におススメしたい手拭いの使い方は、キッチンで手をふくのに使う方法です。キッチンのクロス関係というのは衛生面からも1日に何度も取り替えたいものですが、手拭いですと上に述べたようにすぐ乾き、嵩張らないゆえ洗濯物が増えるということも気にせず、どんどん替えられるので本当に重宝しています。
手拭いを使っていると聞くとなんだか「質素でていねいなくらし」的なものに憧れているように思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、少しでも日常の生活の負担を減らすために試行錯誤する中で、辿りついたという形です。ちなみに台拭きは使い捨てのものを使用しています。省けるものは省くしかありませんね。消毒する手間は省ける手間ですね。全く、質素でもていねいでもありませんね。
さて、こちらは伊丹十三記念館のグッズショップでとても人気がある手拭いです。全部で3色。
それぞれ魅力的で色違いで全部欲しくなりますよね!
伊丹さんの描いたカチンコのイラストを使ったデザインで映画監督・伊丹十三の記念館にぴったりのお土産で人気があります。
ご来館の際にはお手に取ってご覧くださいませ。おススメします!
スタッフ:川又
2018.01.22 新しい陶器の販売を開始しました
記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
驚くほど暖かい日があったり逆に冷え込みの厳しい日があったりと気温差の大きな今日この頃ですが、体調など崩されていませんでしょうか。
さて、記念館ショップ店頭にある『宮本信子のお気に入り』スペースで新しい柄のお皿とカップの販売を開始しましたので、お知らせいたします!
『宮本信子のお気に入り』スペース
このスペースには、伊丹さん一家とご縁あって約40年家族ぐるみのお付き合いを続けている陶芸家・岡本ゆうさんが制作した陶器が並んでいます。
ご来館になったお客様はご存知の方も多いと思いますが、岡本さんの陶器はどれもシンプルであたたかな雰囲気のものばかり。もちろんひとつひとつ手作りで、宮本館長も日々愛用している「お気に入り」の品々です。
新発売のお皿
新発売のカップ
普段使いの「お気に入り」としてだけでなく、ちょっとした贈り物としてお買い求めくださる方もいらっしゃいます。
ショップ店頭のみで販売しておりますので、ご来館の際はぜひどうぞ!
また、陶器の隣りに置いている宮本館長手作りの箸置き、鍋つかみ(共に非売品)もたくさんのお客様が手に取ってご覧くださっています。中には「私も作ってみよう!」と仰るお客様もいらっしゃいますので、こちらも合わせてご覧くださいませ。
宮本館長の手作り箸置き・鍋つかみ
スタッフ:山岡
2018.01.15 『おじさん』展 お役立ち情報
1月も半分が過ぎてしまいましたが、皆様お元気に2018年をお過ごしでしょうか。
本年は、企画展『おじさんのススメ ―シェアの達人・伊丹十三から若い人たちへ―』を通じて「おじさん普及活動」を推進してまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
さて、この新企画展については、他のスタッフもオススメの声を続々と投稿してくれていますが、今日は私からもご紹介を――
展示を考えるときにいつも心がけてきたように、今回も「伊丹十三の仕事ぶりや人柄を楽しく知ることができる」だけではない、お役立ち情報を随所に忍ばせています。
たとえば、こちらは『あげまん』のプレスキット。
一般には出回らないものなので、映画ファンの方にとっても
珍しい資料なのではないかと思います。
クランク・インの前、マスコミ向けに「今度はこんな映画を作ります」と配布した資料です。
紙製ホルダーに入ったA4版7枚、文章だけの資料なのですが、新聞・雑誌・テレビで取り上げてもらえるように、「作品のテーマと内容がよく理解できて、しかも大いに興味をそそる」、そんなふうに伝えるための仕掛けがいろいろと凝らされています。
企画書やプレゼン資料を作成する機会のある方で「もうちょっと上手に作れるといいな」と感じている方はたくさんいらっしゃると思うので、「このプレスキットはみなさんのお仕事の参考に(も)なるはず!」とお出ししてみました。
写真や映像をたくさん用いる近頃のプレゼンに比べると随分シンプルなキットですが、分かりやすさ・見やすさを生み出すポイントは、時代によってそうそう変わるものではないと思うんですね。構成の仕方・見出しのつけ方・レイアウトなど、資料の要素のひとつひとつに、よりよく伝える基本的なコツをご覧いただけます。(もちろん、伊丹映画に関する文章として、純粋に楽しんでいただくにも最高の読み物です。)
展示台の中には並べきれない!でもご覧いただきたい!!
ということで、壁面に全ページお出ししております。
このほか、メモして帰ってお家でお試しいただきたい「10分でできる極上サラダ」など、美味しいお役立ち情報も多数ございます。
ぜひ、ご家族・ご友人を誘ってお越しくださいませ。
学芸員:中野
2018.01.08 新企画展
2018年がスタートして一週間が過ぎましたね。
昨年末の記念館便りでもお知らせしました通り、記念館では新企画展『おじさんのススメ シェアの達人・伊丹十三から若い人たちへ』がスタートいたしました。
企画展示室内のようす
記念館にいらしたお客様が、「どれだけ伊丹さんから影響を受けているか」についてスタッフに熱心にお話ししてくださることがあります。そんな時は、皆さまが伊丹さんから受け取ったことは、いつまでも心の中にあるのだなと感じます。
今回の企画展は、そんなおすすめ上手な伊丹さんが皆さまにすすめたものと、その手法を、エッセイ・イラスト原画・映像などで楽しくご覧いただける内容になっています。
たとえば、伊丹さんがどのように自身の映画を"おすすめ"したのか、つまり映画の宣伝方法をご紹介しているコーナーがあるのですが――
「自作の宣伝」コーナーの一部
――インパクトのあるタイトルを考え、特報映像に出演し、ポスターやチラシ、パンフレットの制作にも力を注いでいます。そのすべてにこだわりがあり、できあがったものは......とってもおもしろい!
熱心なファンの皆さまはもちろんのこと、まだよく伊丹さんを知らないという方にも楽しんでいただけることと存じます。ぜひ、いらしてくださいませ。
皆さまのご感想を伺えますことを、楽しみにしております。
スタッフ : 淺野
2018.01.02 館長・宮本信子から新年のご挨拶
今年は伊丹十三の没後20周年となります。
沢山の方々の愛情と情熱に支えられて
色々な計画が進んでおります。
私、とっても楽しみにしております。
本当に有難いことです。
何度も何度もお礼を申し上げます!感謝で一杯です。
皆様・・・今年も記念館を宜しくお願い致します。
穏やかな日々でありますように・・・・・・。
御来館をスタッフ一同お待ち申し上げます。
館長 宮本信子
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