こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。
2018.06.25 コーヒー・ミル
伊丹十三記念館のカフェ・タンポポでお出しするホット・コーヒーは、必ずその日のうちに挽いた豆で淹れています。
というわけで、カフェ・タンポポには立派なコーヒー・ミルがあります。
ところで、伊丹さんはコーヒー・ミルについて自身のエッセイで次の通り語っています。
「さてコーヒーを挽くにはコーヒー・ミルというものを使う。木の箱に鉄のハンドルがついていて、箱の上の蓋をあけてコーヒーの豆を入 れ、ハンドルをがりがり回すと挽かれたコーヒーが下の引出しにたまる。
~略~
大きさはさまざまで二人用くらいから、ずいぶん大きな大家族用みたいなのまである。電気で動くやつもあるが、自分の手で、ハンドルか ら伝わってくる豆の砕ける乾いた感触を味わうのが愉しいのである。
日本人はずいぶんコーヒーをよく飲むし、また妙に銘柄やブレンドにうるさい人が多いわりにコーヒー・ミルを持っている人が少い。挽 きたてでないコーヒーをいかに論じてみても詮ないことと、私は思うのだが。
そうして、最後にインスタント・コーヒーについては、世の中にそういうものがある、ということを知っているだけにとどめたい。世の 中には、そういうものを飲まなければならぬかわいそうな人たちがいるということを知っているだけにとどめたい。」
― 「女たちよ!」 乾いた音 ―
・・・と、コーヒー・ミルについてはさておきインスタント・コーヒーについては随分なことを言っている伊丹さんではありますが、実は インスタント・コーヒーも結構召し上がっていたそうですよ。伊丹さんのエッセイ「日本世間噺大系」の解説の中で伊丹さんと仲の良かっ た写真家の浅井愼平さんが書かれていました。
このように「あれ?エッセイで書いてたこととなんだか違う!伊丹さん!」というエピソー ドは他にもいくつか聞いたことがありますが、それはそれで人間味があっていいですよね。
最後になりましたが、残念ながら記念館カフェ・タンポポのコーヒー・ミルは伊丹さんのおススメする手動のものではありませんが、ホ ット・コーヒーはハンドドリップで淹れており、とっても美味しく、カフェのお飲み物の中でも一番人気の商品です。ご注文に迷われたら 、是非!
スタッフ:川又