記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2018.12.17 第10回 伊丹十三賞 受賞記念 磯田道史氏講演会を開催いたしました

第10回伊丹十三賞」を磯田道史さんにご受賞いただいたことを記念した講演会を、2018年12月3日(月)に開催いたしました!

講演会の告知開始直後から期待の声を多数お寄せいただき、予定の定員400名に対して1,200件を超えるご応募を頂戴いたしました。そこで、座席を500席まで増やすこととし、厳正な抽選を行ったうえで当日お客様をお迎えいたしました。
ご応募・ご参加いただいた皆さま、誠にありがとうございました。

過去の伊丹十三賞受賞記念イベントにおきましては、採録を当サイト内で公開してまいりましたが、今回は、講演は活字化では再現できないものとの磯田様のご意向により、採録・抄録の公開は控えさせていただきます。

本日の記念館便りでは、当日の様子を雰囲気だけでもお届けできればと存じております。


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今回の会場は、道後にある松山市立子規記念博物館の講堂でした。受賞記念イベント会場としては、はじめての場所です。

正岡子規を通して松山の歴史や文学に親しむことのできる子規記念博物館は、文化・研究・交流の拠点として松山市民に長く親しまれている場所で、道後公園(湯築城跡)の一角にあります。
子規記念博物館関係者の皆さまには、準備から当日まで大変お世話になりました。歴史家である磯田さんにピッタリの場所で開催できましたこと、心より感謝申し上げます。

当日はあいにくの雨模様でしたが、開場(18時)の1時間ほど前から待たれているお客様もいらっしゃり、皆さまがどれだけ楽しみになさっているか、ひしひしと伝わってまいりました。

20181217_01.JPG子規記念博物館 講堂


講演会は18時30分に開演いたしました。
宮本館長からご来場のみなさまへご挨拶のあと、磯田さんを舞台にお迎えし、まずはお二人によるミニトークです。


20181217_02.JPG宮本館長からご来場の皆さまへご挨拶


20181217_03.JPG磯田さんと宮本館長によるミニトーク


ミニトークの冒頭、磯田さんは松山について「何度来てもいいですね」と笑顔でおっしゃったのですが、その表情・お話ぶりはとても自然で、場内の空気がふわっとやわらいだように感じました。

20181217_04.JPGまた、ミニトークの中で、講演会の前に磯田さんが伊丹十三記念館にお越しくださったときのお話がありました。
記念館での磯田さんについて、宮本館長は次のようなお姿が印象に残ったそうです。


●    中庭のタンポポの葉を見て「西洋タンポポ」か「日本タンポポ」かを見分けようとなさっていた。
●    中庭の桂の木に鳥の巣があるのを発見なさった。
●    回廊の雨樋の構造に注目し、そこからお話が広がって、石清水八幡宮の雨樋についても解説してくださった。


展示品以外にも、いろんなところをご覧になっていらしたのですね!
磯田さんは、目的として与えられていること以外に興味を持つこと・見つけるような気持ちが大事とおっしゃっていました。
なるほど、そういう心がけがあれば、見えるものも随分違ってきそうですね。ハッといたしました。

そんなお二人のミニトークの後、「松山と私、伊丹十三と私」と題して磯田さんにご講演いただきました。

20181217_05.JPG「子どもの頃に愛媛の遺跡(上黒岩岩陰遺跡)に興味を持ったこと」「松山城のこと」「松山が生んだ正岡子規や秋山真之のこと」等々......話題は多岐にわたりましたが、ユーモアを交えてわかりやすくお話しいただきましたので、専門的なお話も楽しく拝聴できました。

20181217_06.JPG20181217_07.JPG20181217_08.JPG20181217_09.JPGお写真からも雰囲気を感じていただけることと存じますが、客席に向かって表情豊かに(身振り手振りを交えながら臨場感たっぷりに!)伝えてくださるので、皆さま聴き入っていらっしゃいましたね。

「松山と私」だけではなく「伊丹十三と私」についても、もちろんお話してくださったのですが、その中でこんなお話がありました。
磯田さんは、子供の頃から知りたいことがあると、「この人がいちばん知っている」と思う人に会いに行っていたそうです。
そんな「会いたい人に会いに行く」という姿勢について、伊丹さんもそうだったのではないかと磯田さんはおっしゃっていました。たとえば、ある題材をテーマに映画を撮るにあたり、誰に何を聞けばおもしろいシーンが撮れるかを考えてしっかり取材をする、そういう取材力が背後にあるからこそ伊丹映画はおもしろいのではないか、と。
これだと思う場所・人・史料を見つけ出し、直接触れて、独自の視点で掴んだものをわかりやすい言葉で伝える――まさに、磯田さんと伊丹さんに共通する姿勢だと感じます。

講演を拝聴して、磯田さんに伊丹十三賞をご受賞いただきましたことを、あらためて大変うれしく存じました。

磯田さん、貴重なお話をありがとうございました。
ご応募・ご来場いただいた皆さまにも、心より御礼申し上げます。

これからも、良いお知らせを皆さまにお届けできますようスタッフ一同励んでまいりますので、伊丹十三賞を、どうぞよろしくお願いいたします。


スタッフ : 淺野