こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。
2017.12.25 生まれ変わった伊丹十三記念館へようこそ!
いよいよ暮れも押し迫ってきましたね。年の瀬ではありますが、最近、伊丹十三記念館は生まれ変わりました!ポイントは2つです。
まずは・・・建物外壁の塗装工事が完了しました。
隅から
隅まで
ピカピカです。
そしてもう一つ・・・12月20日より、新しい企画展示「おじさんのススメ ―シェアの達人・伊丹十三から若い人たちへ―」がはじまりました。
詳しくは コチラ から。
今回の企画展も見どころ満載です。そんな見どころ満載な中から、おじさんのススメ、ではなくスタッフ川又のおススメを一つ挙げるとすれば、伊丹さんの松山弁が印象的な四国名菓「一六タルト」のコマーシャル映像が標準語訳の字幕つきでご覧いただけるコーナーです。
このコマーシャルをご覧になったことのある愛媛県内の方には懐かしく、初めてご覧になる方にも面白く、広く皆さんにお楽しみいただけるのではないかと思います。ご来館の際はお見逃しなく!
そして企画展示が始まったのと同日、伊丹十三の新刊「ぼくの伯父さん」(単行本未収録エッセイ集)の発売も開始されました。
まさか伊丹さんが亡くなって20年が経過して、新しいエッセイが読めるなんて思ってもみませんでしたよね。
出版に感謝です。
【画像右側が「ぼくの伯父さん」。文庫本の「ヨーロッパ退屈日記」よりも一回り大きいサイズです。】
こちらも記念館グッズショップにて販売しております。
さて、今回が今年最後の記念館便りとなりました。今年も1年記念館便りをお読みいただきまして誠にありがとうございました。
最後になりましたが、皆さま良い年をお迎えください。
来年も伊丹十三記念館をどうぞ宜しくお願いいたします。
スタッフ:川又
2017.12.18 伊丹さんに関するイベントのご紹介
記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
冷え込みが厳しくなってきました。忙しく過ごされている方も多い時期ですので、体調など崩されませんようくれぐれもご自愛くださいね。
さて本日は、伊丹さんに関するイベントについてご紹介させていただきます!
東京都港区南青山にあるほぼ日さんの店舗「TOBICHI」で、明後日12月20日(水)から12月26日(火)の期間中、伊丹さんのエッセイなどを集めた「伊丹十三書店」が開催されます。
※イベント内容や開催時間などの詳細はコチラをクリック
12月20日は、先週の記念館便りでご紹介させていただいた伊丹さんの単行本未収録エッセイ集『ぼくの伯父さん』(つるとはな)の発売開始日でもあります。
その新刊をはじめ、根強い人気を誇る『ヨーロッパ退屈日記』(新潮文庫)、『女たちよ!』(新潮文庫)等の既刊の伊丹エッセイのほか、平成26年11月に続けて復刊された伊丹十三・訳の『主夫と生活』(アノニマ・スタジオ)や『ポテト・ブック』(河出書房新社)も並ぶとのこと。
伊丹さんならではの文章にたっぷり浸ることができる、そんな空間になりそうです。
そしてここに、当館の『伊丹十三記念館ガイドブック』も仲間入りいたします!
この記念館便りでも何度となくご紹介させていただいていますが、まだご覧になったことが無い方はこれを機にお手に取ってみてください。
この「伊丹十三書店」は7日間限りの「開店」です。
ご興味のある方はもちろん、お近くに行かれるご予定がある方はぜひ立ち寄られて、伊丹エッセイの世界に触れてみてくださいね。
スタッフ:山岡
2017.12.11 冬のお知らせいろいろ
12月7日(木)、企画展『ビックリ人間 伊丹十三の吸収術』を終了いたしました。
楽しかったなぁぁぁ......
予定通りの終了とはいえ、やはり寂しいものです。
ゆっくり別れを惜しみたいところですが、感慨に耽っている場合ではなく......撤収!!
閉館から3時間後にはこの通り。カラッポになりました。
12月20日(水)からの『おじさんのススメ ― シェアの達人・伊丹十三から若い人たちへ ―』展を準備しています。
教えたがりでお勧め上手、いろんないいことを授けてくれた伊丹十三の言葉や絵や映像をみんなで囲んで、素敵なおじさんを目指しましょう!という展覧会です。
『女たちよ!』の前書きに
私は役に立つことをいろいろと知っている。そうしてその役に立つことを普及もしている。がしかし、これらはすべて人から教わったことばかりだ。
という一節があります。
現代風に言うなら、見聞きしたことを"シェア"した、ということになるのですが、記念館でお客様に接していますと、「伊丹さんの本に書いてあったこと」「伊丹さんが言ってたこと」として記憶に留めていて「影響を受けました」「忘れられないんです」と嬉しそうに話してくださる方がたくさんいらっしゃるんですね。そういうお客様のお声が企画構想の源になっています。
楽しい展示になるように知恵と体力を絞っておりので、開展まで今しばらくお待ちくださいませ。
12月8日(金)~18日(月)は展示替え作業のため企画展示室を閉室しております。
この期間中のご入館料は大人500円、高大生300円で
常設展示室のみご鑑賞いただけます。何卒ご了承くださいませ。
※12月12日(火)・19日(火)は通常通り休館日とさせていただきます。
≪年末年始 休館・開館日のお知らせ≫
12月28日(木)~1月1日(月)...休館
1月2日(火)&3日(水)...10時~17時(最終入館16時30分)
1月4日(木)~...10時~18時(最終入館17時30分)通常開館
*************
そんな次回企画展の開始と同じ12月20日、伊丹十三の四半世紀ぶりの新刊、『ぼくの伯父さん』(つるとはな)が発売になります。
この表紙を見てニヤッっと笑ったら,あなた
は本格派で,しかもちょっと変なヒトです
(って言いたくなる表紙!)
"四半世紀ぶりの新刊"ってどういうことかと言いますと、雑誌などには掲載されたけど、その後、単行本に収録されなかったエッセイを集めたものなんですね。
え? 単行本に入った文章より落ちるってことだろう、って? そんなことは決してありません!! 往年の伊丹ファンが「ウーム、これは確かに伊丹十三にしか書けないエッセイだ」と唸る文章ばかりです。
もちろん、初めての方でも安心して(?)ご堪能いただけます。あ、いろんな年代の文章の詰め合わせという点では、お得かもしれません。「もっと読んでみたいな」って後を引きますよ、きっと。
発売日には記念館のグッズショップでも販売を開始いたしますので、ぜひ手に取ってみてください。
*************
もうひとつお知らせを。
総力特集 伊丹十三の映画を長期企画で放送中の日本映画専門チャンネルで、元日から特別編成! 新春スペシャル 伊丹十三の映画 5夜連続一挙放送!!
映画『タンポポ』北米リバイバルのドキュメンタリー「タンポポ、ニューヨークへ行く」も再放送されます。こちらもお楽しみに!
年末年始は伊丹さんの世界にドップリ浸かれますね。
慌ただしい年の瀬、みなさまくれぐれも、健康第一安全第一、ご自愛を!!
学芸員:中野
2017.12.04 缶バッジ
記念館グッズショップ商品の一つに、オリジナル缶バッジがあります。
デザインは、写真をプリントしたものと伊丹さんが描いたイラストをプリントしたものがあり、ご好評いただいております。
皆さま楽しそうにお好きなデザインを選んでいらっしゃいます。
中央の缶バッジは、伊丹さんの写真をプリントしたもの。
こちらは『女たちよ!』収録エッセイ「二日酔の虫」の挿絵をプリントしたもの。
小学生くらいのお子さまが、嬉しそうに缶バッジを選んでいる姿を見かけることもあります。
そういえば、私も子どもの頃に缶バッジを集めていました。お稽古事のバッグにつけるのが楽しみだったことを懐かしく思い出します。
お子さまたちが、伊丹さんの写真やイラストの缶バッジを持ち物につけているところを想像すると、とても嬉しくなります。その子たちが、もう少し大きくなって伊丹さんのエッセイを読んだ時に、「あ!このイラストはあの時の!」と気づく......そんなことがあったらいいなと思います。
もちろん、缶バッジは幅広い世代のお客様にご好評いただいております。
こんな風に記念館の制服につけてもピッタリなのです。つけている時に、お客様から「こちらで買えますか?」とお声をかけていただいたこともありました。
皆さまも、記念館の思い出にいかがでしょうか。オンラインショップでもお買い求めいただけます。
――― 記念館からのお知らせ ―――
≪企画展示室 閉室期間のお知らせ≫
新企画展に向けた展示替え作業のため、12月8日(金)~18日(月)は企画展示室を閉室いたします。
※ 期間中の入館料は大人500円、高大生300円で、常設展示室のみご鑑賞いただけます。
※ 12月12日・19日は火曜日のため、通常通り休館日とさせていただきます。
≪年末年始 休館・開館日のお知らせ≫
12月28日(木)~1月1日(月)は休館いたします。
なお、1月2日(火)・3日(水)は開館時間を10時~17時(最終入館16時30分)とし、1月4日(木)より通常通り開館致します(1月2日は火曜日ですが、開館いたします)。
皆さまのお越しをお待ちしております。
スタッフ : 淺野
2017.11.27 記念館外壁塗装工事のご報告
先日記念館便りにてお知らせしておりました通り、11月14日より、記念館では外壁の塗装工事が行われています。
「そろそろ塗り替えを・・・」と言われるまで、そんなに外壁が傷んでいるとも、色あせているとも思っていなかったのですが、こうして塗装したところと塗装していないところを比較すると、その差は歴然!
【画像:左半分だけ塗装済です。】
さて、こちらは中庭に組まれた足場です。
この足場の部品、たくさんありますがどうやって中庭まで運んだと思います??
なんと、上からです。
こうして
こうなって
中庭に届きます。
すごくないですか??。
クレーン車を操作している人からは届く場所が見えないのですが、受け取る人と連絡を取り合って、上手に作業をされていました。すごいですね。
そうして、中庭と正面に足場が組まれました。
その後、この足場を利用して、焼き杉板1枚1枚にペンキ屋さんが塗装をして下さり、1週間後には中庭と正面の足場が外れました。あっという間の出来事です。
ビフォー
アフター
ビフォー
アフター
ビフォー
アフター
外塀やガレージはもう少しだけ時間がかかりそうです。
完成しましたら、また記念館便りでご報告いたします。もう少々お待ち下さいませ。
皆様も生まれ変わった伊丹十三記念館をぜひとも見に来て下さいね。
スタッフ:川又
2017.11.20 映画『お葬式』シナリオつき絵コンテノート
記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
一気に冷え込んできましたね!外出される際はあたたかくして、風邪などひかれませんようお気を付けください。
さて、ひとつの映画を好きになると、好きなシーンを中心に何度も観かえすと同時に、関連書籍を読んだり、メイキング映像を観たり、「ちょっと違うところ」からその映画を楽しみたくなってきませんか?
ここ「伊丹十三記念館」にお越しになるということもあって、ご来館のお客様には「伊丹監督映画作品のファンです!」と仰る方が本当にたくさんいらっしゃいます。その中でも、特に『お葬式』がお気に入りですというお客様にご好評いただいているのが、映像作品である『お葬式』を「読んで」楽しむことができる、「映画『お葬式』シナリオつき絵コンテノート」です。
ちょっとご紹介します!
映画『お葬式』シナリオつき絵コンテノート。
中身は同じで表紙が2種類(タイトル明朝/タイトルゴシック)あります。
ショップ店頭のほか、オンラインショップからもお求めいただけます。
ご存知の方も多いと思いますが、映画『お葬式』は1984年11月に公開され、キネマ旬報ベストテン第一位、日本アカデミー賞最優秀作品賞・最優秀監督賞等々、多くの賞を受賞した伊丹さんの初監督映画作品です(内容はコチラのページから、赤文字の『お葬式』をクリックしてください)。
伊丹さんは撮影にあたり、膨大な絵コンテ(シナリオをもとに登場人物の動きやカメラワークを場面ごとに絵で示したもの)を描きました。
映画『お葬式』シナリオつき絵コンテノートには、映画の全シーンの絵コンテがシナリオとともに掲載されています。
(前略)
そして、全編にわたる綿密な絵コンテを作り、イメージを完璧に把握したうえで撮影にのぞみました。絵コンテの数、およそ300枚。高速道路をカーチェイスしながらサンドイッチを渡す場面では絵コンテにもスピード感があふれ、会葬のシーンでは登場人物の性格まで鮮やかに浮かび上がってきます。絵コンテはまさに、映画監督の映像イメージやさまざまなアイデアの源泉といえるものです。
(後略)
(映画『お葬式』シナリオつき絵コンテノートの冒頭より)
読むだけでも映像のイメージが膨らみますし、『お葬式』をご覧になったことがある方なら、印象に残ったシーンが絵コンテでどのように描かれていたのかをみるのも面白いかもしれませんね。
『お葬式』は124分の映画です。その映像作品を今度は本で、自分なりの速さでページをめくって、味わってみてはいかがでしょうか。
スタッフ:山岡
2017.11.13 宮本館長が出勤しました!
秋いよいよ深まる今日この頃、みなさまいかがお過ごしですか?
11月9日(木)、宮本館長が出勤しました。
いつものようにロビーでお客様方をお迎えしていろんなお話を伺い、
今回は、県内のテレビ局もご取材にお越しくださり、インタビューをニュースで放送していただきました!
朝の連ドラ出演という大きなお仕事を終えた宮本館長、ホッッとリラックスしているように見えました。接客・取材対応のほか、スタッフとの打ち合わせもあって大忙しでしたが、約半年ぶりの記念館を満喫したようです。
館長の来館予定が決まりましたら、すぐにトップページに告知を掲載しますので、次のお知らせまでお待ちくださいね。
・・・・・・・・・・・・・
2015年12月から開催してまいりました企画展『ビックリ人間 伊丹十三の吸収術』、12月7日(木)に終了いたします。
伊丹さんの蔵書やビデオコレクションをたくさんご紹介していますので、「読書の秋」「映画の秋」のご参考にもうってつけの展覧会です。
会期残りわずかですが、お見逃しのないよう、ぜひお越しくださいませ!
12月8日(金)~18日(月)は展示替え作業のため企画展示室を閉室いたします。
この期間中のご入館料は大人500円、高大生300円で
常設展示室のみご鑑賞いただけます。何卒ご了承くださいませ。
※12月12日(火)・19日(火)は通常通り休館日とさせていただきます。
・・・・・・・・・・・・・
そして本日は『毎月十三日の十三時は記念館で伊丹十三の映画を観よう!』の日でございます。常設展示室で『ミンボーの女』(1992年)をご覧いただけます。
こちらもどうぞよろしくお願いいたします!!
学芸員:中野
2017.11.06 おすすめのホットドリンク
日増しに秋も深まり、記念館の木々はすっかり色づきました。
記念館中庭の桂の樹
毎年見ておりますが、桂の樹が色づくと、ほんとうに綺麗です。落ち葉からは、キャラメルのような甘い香りも漂ってきます。
気温もぐっと下がり、記念館の入館者様専用カフェ・タンポポではホットドリンクのご注文が増えました。
カフェにはさまざまなホットドリンクをご用意しておりますが、そのひとつである"タンポポコーヒー"について、よくお客様からご質問をいただきます。
たとえば――
「タンポポの葉を使った飲み物なのですか?」
「普通のコーヒーとは何が違うのですか?」
――などなど。「どんな飲み物なのか?」というご質問です。
名前を聞いたことはあるけれど、実際に飲んだことは無いという方もいらっしゃることと存じますので、ご紹介させていただきますね。
タンポポコーヒーとは、タンポポの根を乾燥させ、コーヒー豆のように焙煎して作られる飲み物です。カップに注ぐとコーヒーに似た色をしていますが、香ばしいお茶のような味がして、ほどよい苦みもあります。"タンポポ茶"と呼ばれることもあります。
コーヒーとの大きな違いは、ノンカフェインであること。カフェインの摂取は控えているけれどコーヒーの風味を楽しみたいという方にもおすすめです。
こちらがタンポポコーヒー
見た目はコーヒーそっくりですね
記念館にお越しの際には、カフェ・タンポポで是非どうぞ。これからの季節にピッタリの、深みのある色と味をお楽しみください。
スタッフ : 淺野
2017.10.30 伊丹十三記念館は伊丹十三の家です
先日、記念館のある扉に不具合が発生したので、業者の方に見に来て頂いた際の話です。
その業者の方に扉の「鍵」をお渡ししたところ、その方から、
「わ!いい鍵使ってますね!なかなか見ないですよこの鍵は!これすごくいい鍵なんですよ!高いんですよ!」と、教えて頂きました。
こんな感じの「現場の者は全く知らなかったけれど、大変良い設備や素材を使っていた」というのは、これは「伊丹十三記念館あるある」なのです。
大抵は記念館を設計された建築家・中村好文先生のお陰で多くご来館される建築関係のお仕事をされている方から、「これすごいですね!」と教えて頂くことが多いのですが、
その後は・・・
スタッフA 「あれいいものらしいですよ。」
スタッフB 「そうなんですか。全然知らなかったですね。」
・・・というやり取りがお決まりの流れとなって繰り返されています。
なお、高価なものを使っているというだけではありません。以前カフェの厨房をまじまじとご観察されていた、建築のお仕事をされているというお客様から、
「その収納の引き戸、普通の引き戸より随分薄いですけど、それはなかなか技術的にも大変なんですよ、でも戸が薄いおかげで随分スッキリするでしょう、さすが!こだわってますね~」
と、教えて頂きました。こちらも言われるまで気にも留めたことがありませんでしたが、言われて見てみるとお客様のおっしゃる通りです。普通の引き戸の半分くらいの薄さです。こんな細かいところまでよく考えられて造られているのですね。
こちらの収納棚の
戸が薄いのです。
サイズ感をお伝えする為、側に鉛筆を置いてみました。
この記念館の建物は宮本信子館長が伊丹十三の大ファンだという中村好文先生に、「伊丹さんの家みたいにしてね」と依頼してできたので、贅沢でそして様々なこだわりと、所々に遊び心、そして愛!が詰めこまれているのですね。
ご来館の際にはそんな「お!ここはやっぱり伊丹十三にふさわしい建物だねえ」というポイントを探してみてくださいね。(そしてぜひスタッフに教えて下さいませ。)
スタッフ:川又
2017.10.23 「伊丹十三 訳」
夏場であれば、閉館時間の午後6時といえばまだまだ太陽が照っていて明るい時間帯でしたが、同じ時刻、今はもうすっかり太陽が沈んでしまい真っ暗です。
朝晩の冷え込みだけでなく日の短さからも季節の移り変わりを感じる今日この頃ですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
さて記念館ショップでは、伊丹さんの著書、伊丹さんや記念館に関する書籍を多数取り扱っていますが、その中に、目にしたお客様がちょっと驚きながら手に取る――そんな本があります。
『主夫と生活』(アノニマスタジオ)と『ポテト・ブック』(河出書房新社)という、「伊丹十三 訳」の本です。
伊丹さんは、翻訳家としての"顔"も持っていました。
ここ記念館で初めてその"顔"を知り、「伊丹さんは翻訳もされていたんですね!びっくりです!」と、店頭に並んだ翻訳本を、新たな興味をもってご覧になるお客様は決して少なくありません。
長らく絶版になっていたこの2冊の翻訳本は、平成26年11月のほぼ同じ時期に復刊されました。
どんな内容か、ちょっとご紹介しますね。
『主夫と生活』は、アメリカの新聞社で売れっ子コラムニストとして活躍していたマイク・マグレディ氏が、仕事を辞め、1年間「主夫」として家事や育児に奮闘した様子をつづった体験記(『My Life as a Househusband』)です。アメリカで大きな反響を呼んでベストセラーとなり、日本では1983年に『主夫と生活』というタイトルで学陽書房から出版されました。料理、掃除、洗濯、家計のやりくり、子供の歯医者の送り迎えや担任の先生との懇談会――そんな日々のあれこれに悪戦苦闘する氏の姿がユーモラスに描かれています。そしてこの復刊本には、第3回伊丹十三賞を受賞された内田樹氏の解説も新たに掲載されています。
『主夫と生活』(アノニマスタジオ)
そしてもう1冊の『ポテト・ブック』は、『主夫と生活』と同じくアメリカのベストセラーで、日本では1976年にブックマン社から出版されました。"幻の料理本"と帯に書かれているとおりポテトを使った料理やお菓子のレシピが盛りだくさんに載っているこの本は、それだけにとどまらず、ポテトの歴史に始まり、貯蔵法やポテトを使った工芸、ゲーム、美容法まで、ポテトに関するさまざまなことをぎゅぎゅっと詰めこんだ1冊になっています。ユーモラスなイラストレーションも楽しめます。
『ポテトブック』(河出書房新社)
読書の秋です。暑さも和らぎ過ごしやすくなった夜長に、伊丹さんの訳文に触れてみるのはいかがでしょうか?記念館では店頭のみの取扱いとなっておりますので、お越しの際はぜひお手に取ってみてくださいね。
****************************
【お知らせ】
宮本信子館長が記念館へ出勤いたします!
日時:11月9日(木)11時頃~13時頃
当日の状況により、滞在時間は変更になることがありますのでご了承ください。
スタッフ一同、皆様のご来館を楽しみにお待ちしております。
スタッフ:山岡
2017.10.16 メンバーズ限定収蔵庫ツアー & 入館者数16万人突破のご報告
秋の「メンバーズカード会員限定収蔵庫ツアー」を開催いたしました。
毎年5月に"開館○周年記念イベント"として開催している収蔵庫ツアーを、メンバーズカード会員様限定のイベントとして、春と秋の年2回、行っています。
記念館の収蔵庫は、2階が「展示風」の収蔵スペースになっていまして、伊丹十三の原稿・原画、愛用品、蔵書を収めたコーナーや、伊丹十三の自宅の一室を再現したコーナーをガイドつきでご見学いただく催しが収蔵庫ツアーです。
メンバーズ限定ツアーは、周年イベントでの開催時(定員6名様)よりも少ない人数で開催していますので、比較的ゆったりとご覧いただけます。また、お客様のお話を伺いながらご見学いただくので、スタッフのほうも楽しみながら、よりお客様のご興味に合わせたご案内をさせていただいています。
ご参加のお客様からご感想をいただきましたので、ご紹介いたしますね。
**************
伊丹さんの愛した小物、作品、とてもすばらしかったです。
まだまだ知らない伊丹さんを、少しだけですが、また知ることができました。
お洋服コレクション、私ももう歳ですので、なにかテーマを決めて、自分に合ったものを選ぼうと、参考になったりもしました。とても楽しかったです。
伊丹さんの仕事、人柄について、展示室だけでは知ることのできないもっと深いところまで、知れてよかったです。
伊丹さんの発想力、デッサン力、物に対するこだわりや愛情が感じられました。
実際に映画で使用されていた衣装など間近で拝見することができ感動しました。映画をもう一度よく見て確認しようと思います。
解らないことが解り勉強になりました。もう一度、映画を観てもう少し勉強したいと思います。
初めて参加させて頂きました。伊丹十三さんのこだわり、思考が、人生だったり作品を作っているんだな...と又あらためて伊丹さんを知ることになり大変楽しかったです。
**************
メンバーズカードにご入会いただきますと、1年間何度でもフリーパスでご入館いただけますほかに、こんなイベントにもご参加いただけますので、伊丹十三の世界にご興味お持ちの方、ぜひご検討くださいませ!
※詳しくは、メンバーズ会員制度のページのご案内をご覧いただくか、
ご来館の際に受付スタッフまでお声掛けください。
と、いうような収蔵庫ツアーの開催期間中だった10月14日(土)、開館以来の総入館者数が16万人を突破しました!
これまでご来館くださったすべてのお客様おひとりおひとりに、お礼を申しあげたい気持ちです。皆様、まことにありがとうございます。
16万人を突破した日の晩、「16......一六!」ということで、一六タルトでお祝いしました。伊丹十三がCMを手がけたことでご縁の深い、一六本舗さんによる四国銘菓です。
松山の「タルト」は柚子風味のあんことスポンジ生地が
「の」の字に巻かれたソフトなお菓子です。
一六タルトのCMといえば、愛媛のみなさんにはお馴染みのフレーズがありまして、
――もんたかや。まぁ、一六のタルトでもおあがりや。
ほて、しぇーしぇき(成績)はどうじゃったんぞ――
と、画面の向こうからこちらへ向かって、伊丹十三が語りかけてくるんですね。
タルトを頬張ったら「どうじゃったんぞ」と聞かれているような気がしたものですから、
「伊丹さん、16万人もの方が記念館に来てくださったんですヨ!!」
と、心の中で報告いたしました。
新しいお客様、再来館のお客様をたくさん、長く、お迎えしていけるよう、この嬉しい通過点を糧にスタッフ一同励んでまいりたいと思います。
今後とも、どうぞどうぞよろしくお願い申しあげます。
学芸員:中野
2017.10.09 手拭い
突然ですが、口にファスナーがついていないバッグを使うとき、ちょっと困りませんか。
バッグの中が見えてしまいますし、ふとしたことで中の物を汚してしまうこともありますよね。そんなことが気になり、自分の手元にあるバッグは口にファスナーがついたものがほとんどです。毎年夏が来ると「カゴバッグが欲しい」と思い、街行く人が提げているバッグをつい見てしまうのですが、口が閉まらないデザインが多いことがちょっと気になっていました。
ところが、今年の夏の終わり頃に、その点を上手くカバーしてカゴバッグを使っている方を見かけました。方法は至って簡単で、バッグの口に目隠しとしてふわりと手拭いをかぶせているだけ。落ち着いた色のカゴバッグに、少しだけのぞく手拭いの風合いがピタリと合っていて、素敵でした。
それ以来、「いつか良いカゴバッグをみつけたら、手拭いとセットで使いたい」と思っています。
――と、何かと便利な手拭いですが、記念館で販売しているオリジナルグッズにも手拭いはあります。
伊丹さんが描いた「カチンコ」のイラストを使用しており、カラーは「黒色」「空色」「白色ピンク柄」の3種類。記念館グッズショップ、そしてオンラインショップでも販売しております。
生地は特岡、染めは捺染(なっせん)です。色違いでお買い求めくださるお客様もいらっしゃいます。ぜひ、お手に取ってみてくださいね。
スタッフ : 淺野
2017.10.02 伊丹十三記念館 建物外壁塗装工事のご案内
11月14日(火)より、記念館建物の外壁の塗装工事を行うことが決定致しました。
記念館がオープンしてから早いもので10年が経過しました。先日ご来館されたお客様から「開館10周年?!昨日出来たみたいに綺麗ね!」とお声を頂いたくらい、一見綺麗に見える記念館ではありますが、よーく見てみると所々
こんなところや
こんなところが
出てきているのです。
記念館を設計された建築家・中村好文先生が2年ほど前にご来館された際に「そろそろ外壁の塗り替えを・・・」とご提案下さったことをきっかけに、いろいろと準備を整え、いよいよ来月工事を行う運びとなりました。
●「安心して下さい!開いてますよ!」
工事期間は11月14日(火)から12月中旬を予定しております。この期間も普段通りのスケジュールで開館致します。
臨時休館などは致しません。休館日の火曜日以外は、普段通り館内をご覧頂けます。
●ご理解・ご協力のほど宜しくお願い申し上げます。
建物全体に足場を組み、一部をネットで覆います。焼杉でできた自慢の外観をご覧いただけない点は残念ではありますが、記念館をこれからもこれまで同様に「昨日出来たみたいに綺麗に」保ち、これからも多くのお客様をお迎えするための工事となりますので、期間中ご来館のお客様におかれましては、ご不便をおかけすることもあるかと思いますが、出来る限りの配慮をして参りますので、何卒ご理解頂けましたら幸いでございます。
来年のお正月には工事を終えた記念館をご覧頂ける予定です。
記念館便りでもご報告させて頂きますので、皆様もどうぞ楽しみにお待ちください!
スタッフ:川又
2017.09.25 旅のお供に
記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
朝晩に肌寒さを感じ、木の葉も少しずつ色づいてきて、秋の気配を感じるようになりました。気温も落ち着いて過ごしやすくはありますが、体調を崩される方が多い時期ですので、くれぐれもご自愛くださいね。
さて、先月記念館にお越しくださったお客様で、伊丹さんの著書『ヨーロッパ退屈日記』を持って来館された方がいらっしゃいました。
ご存知の方も多いと思いますが、『ヨーロッパ退屈日記』は、エッセイストとしての「顔」を持つ伊丹さんの初のエッセイ集です。俳優としてヨーロッパに長期滞在した時の体験等をもとに綴ったエッセイがまとめられ、1965年の刊行以来、50年以上経った今も世代を問わず読まれ続けている本です。
そのお客様は「文庫サイズ(現在は新潮文庫で読むことができます)で持ち歩きしやすいので、旅行に行くときには必ず持っていくんですよ」と仰って、読み込まれているのがひと目でわかる『ヨーロッパ退屈日記』を見せてくださいました。
『ヨーロッパ退屈日記』(新潮文庫)
旅行に本を持って行く、という方はたくさんいらっしゃるようですね。初めての本はもちろん、読んだことのある本でも、旅先ではまた違った雰囲気で読むことができて楽しめるのだとか。移動の間やちょっとした待ち時間などに読める短編小説やエッセイ集を持ち歩く方が多いそうです。
ご来館のお客様にお話をうかがうと、伊丹さんの文庫本を旅行に持っていくという方は少なからずいらっしゃって、上述のように受付などで実際に本を見せていただいたり、お気に入りのエッセイについて感想をうかがったりすることがあります(ちなみに、このお客様の『ヨーロッパ退屈日記』にあるお気に入りエッセイは、スパゲッティのゆで方や食べ方が書かれた「スパゲッティの正しい調理法」「スパゲッティの食べ方」でした。書かれたとおりに試してみてすっかりスパゲッティ好きになったそうです!)。
伊丹さんの著書は残念ながら絶版となっているものもありますが、記念館ショップでは『ヨーロッパ退屈日記』『女たちよ!』『再び女たちよ!』『日本世間噺大系』(以上、新潮文庫)、『問 いつめられたパパとママの本』(中公文庫)、『哺育器の中の大人[精神分析講義]』(ちくま文庫)などの文庫を取り扱っています。
文庫のサイズは持ち歩きもしやすいですので、展示を見てエッセイストとしての伊丹さんの「顔」にご興味が湧いた方は、ぜひご旅行の空き時間に読んでみてください!
暑さも和らいで外出しやすい時期となり、行楽シーズンに向けてご旅行の計画を立てている方もいらっしゃるかと思います。
次回の旅のお供に、伊丹さんの本はいかがでしょうか。
スタッフ:山岡
2017.09.18 鰹と時代
9月も半ば、皆様いかがお過ごしでしょうか。
この三連休は台風ですね...どなた様もくれぐれもご用心を!
つい先日、帰りに寄ったスーパーで、生のカツオのお刺身を見つけました。しかも、宮城県産。
三陸を離れ、カツオといえばタタキが主流の西日本に住みながら「カツオはやっぱり生でなくちゃ」と言い張り続けて20年、三陸のカツオが生で手に入る日が来るとは......!
それはもう大喜びで買って帰り、物流の発展に感心感謝しつつ、故郷の味をいただきました。そんな時代になったのですねぇ。
食べながら思い出したのですが、カツオというと、『女たちよ!』にこんなエッセイがあるんです。伊丹さんが外国映画出演のためにロンドンに滞在していた頃のこと。
このような挿絵のついたエッセイです。
さて、イラストの意味は――??
うちの家主はデリク・プラウスといって日本へもきたことがある評論家であるが、相当な日本通であるからして、うちの台所には常に好奇の目を光らせている。
梅干や葉唐辛子の瓶を手に取って永い間小首をかしげていたりする。
彼の趣味は、日本の商品に印刷してある英文の解説を読むことであった。その怪しげというか奇想天外というか、不思議千万の英文を熟読玩味するのが趣味なのである。
(中略)ある時、彼がごく不思議そうな顔で、これはなんだという。見ると手に「削り節」の箱を持っている。
つまりそれは固く干しかためたマッカレルを機械で削ったものさ、と説明すると彼はいきなり気が狂ったように笑い出した。
「だって、この箱には鬚を剃った魚と書いてあるぜ」
そういってますます笑い転げるのである。私も仕方なく少し笑ったが、つまりこういうことなのだ。
英語で、鉋(かんな)の削り屑を「シェイヴィング」という。鉋で削ることを「シェイヴ」という。それ故に――と鰹節屋の大学生の息子は考えたに違いないのだ――削られた魚は「シェイヴド・フィッシュ」であるに違いない、と。
語学において三段論法を適用する過ちはここにある。「シェイヴド・フィッシュ」はあくまでも鬚を剃った魚であって「削り節」にはならない。
強いていえば「フィッシュ・シェイヴィング」でもあろうか。これでも魚の鬚剃り、という印象を免れない。
「髭を剃った魚の話」『女たちよ!』(文藝春秋、1968年)より
このエッセイが書かれてから50年近くが経ち、日本の食文化も世界中で知られるようになりましたから、「カツオ節やカツオ出汁って、今はもう、当時のようにまったく馴染みのないものではなくなってるだろうなぁ」なんて考えていて、フと思いました。
もしかしたら、イギリス人にも日本人にも違和感のない「削り節」の英語表現、決まった言い方が、今はできているのかも!
それで、調べてみましたら――
ひっくり返りました。
これは......ほんとうなのでしょうか!? ほんとうに、ケズゥリブシィで通じるのでしょうか......
「ホッホッ、そんな時代になったんですねぇ」と笑う伊丹十三を想像しつつも、単なるインターネット検索の限界のような気もしています。
海外にお住まいの方、ぜひ、試して、結果をお知らせくださいませ。
学芸員:中野
2017.09.11 写真
先日、あるカフェを利用したときのことです。隣のテーブルから「この角度で撮った方がインスタ映えするね!」という声が聞こえてきました。そちらの皆さん、そろってスマホを構えてテーブル上のドリンクやスウィーツを撮影しています。
"インスタ映え"とは、「インスタグラム(Instagram/写真を撮影・共有できるスマートフォン向けのアプリ)に写真を公開した時に映える」――ということですよね。
わたしは利用していないのですが、そういう様子を日頃見聞きするにつけ、多くの方にとってインスタグラムは欠かせないものになっているのだな、と感じます。
そんなインスタグラム、投稿写真に添える言葉に#(ハッシュタグ)をつけておくと、その言葉で検索した際に、タグのついた投稿写真が一覧表示されるのですね。「#伊丹十三記念館」で検索してみますと、記念館にお越しくださったお客様が、撮影ルールを守ったうえで、さまざまな写真を投稿なさっていることがわかります。
撮影場所・対象としては、建物外観や中庭回廊、カフェメニューの十三饅頭やチョコレートケーキが多いようです。
↓こちらは記念館で撮影した写真ですが、確かに十三饅頭とチョコレートケーキは見た目にも楽しいメニューです。
十三饅頭
伊丹さんが書いた「十三」の文字を焼印にして押しています。
チョコレートケーキ
記念館の外観を模したデザインです。
撮影ルールやマナーを守ることは必要ですが、素敵な写真を誰かと共有したい気持ちもわかります。
記念館では撮影可能な場所と注意事項を定め、受付と常設展示室内に案内パネルを設置し、ご入館なさるお客様にご説明しております。
ご来館時に撮影に関する疑問がありましたら、どうぞスタッフまでお尋ねくださいませ。
------≪お知らせ≫------
4月8日に伊丹十三記念館カフェ・タンポポで開催いたしました、第8回伊丹十三賞受賞記念イベント「是枝裕和×今野勉対談」の採録ページを公開いたしました(コチラからご覧いただけます)。
「伊丹十三とテレビ」をテーマにした貴重な対談です。ぜひご覧くださいませ!
スタッフ : 淺野
2017.09.04 伊丹さんの目撃情報
記念館で働いていると「生前の伊丹さんに会ったことがある」とか「見かけたことがある」とお話し下さるお客様が多くいらっしゃいます。やはり「有名人」ですから、いろいろなところで目撃されていたようです。
本日は数々の伊丹さんの目撃情報の中から特に印象に残っている話を二つご紹介致します。
【エピソード① 事務所に突撃したお客様の話】
そのお客様が十代であった数十年前、雑誌に当時ファンだった伊丹さんの事務所(兼自宅?)の住所が載っており(今では考えられませんね。)お住まいの高知県からお友達とはるばる尋ねて行かれたそうです。
玄関のチャイムを鳴らすと、伊丹さん自身が出てきたそうで「ファンです!四国から会いに来ました!」と伝えると、「今来客中だから、もう少し時間が経ってからおいで」と言われ、高知からお土産に持って行った饅頭を渡して帰ったそうです。
(その後、近所で時間を潰していたそうですが「もう会えたしいいか」ということになり、そのまま別の場所に観光に行ったとおっしゃっていました。お客様曰く「まだ若かったからね」とのことです。)
「嫌な顔一つせず普通に対応してくれたし、後から知ったけどその頃の伊丹さんは食べる物にこだわっていて、甘いものには否定的だったみたいだけど、饅頭も普通に受け取ってくれたよ~」とのことでした。
玄関に突撃されても普通に対応する、器の大きさを感じます。
【エピソード②蕎麦屋で突然伊丹さんに話しかけられたお客様の話】
そのお客様が二十代の頃、行きつけの蕎麦屋さんで、普段から他のお客さんが徳利に残したお酒を店主に頼んで譲ってもらい、飲んでいたそうですが、その日もテーブルに飲み残しの入った徳利をたくさん並べていたところ、来店した伊丹さんに「君は昼間からこれを全部飲んだの?」と突然話しかけられたそうです。
「いや、店主にお客さんの飲み残しをもらって飲んでいます」とお答えすると「君、面白いことするねえ」と感心されたそうです。
気になることがあったら、知らない人にも突然話しかける、好奇心がスゴイです。
以上、印象的なものをご紹介いたしました。なんだかほほえましいですよね。
生前の伊丹さんに会ったことのない自分としましては、このようなエピソードをお伺いすると、伊丹さんと親しい方からお伺いするのとはまた違う側面から伊丹さんの「人となり」が感じられるようで、なんだかとても得をした気分になります。
ちなみにですが、伊丹さんの目撃情報を教えて下さる方々から、否定的な意見は聞いたことが有りません。特別愛想が良かったというよりは、ごく自然に対等に周りに接していたのかな?と想像しています。
最後になりましたが、伊丹さんの目撃情報をお持ちの方は、ご来館の際には是非スタッフに教えて下さいませ。お待ちしています!
【画像:今朝の記念館。本日の松山は曇空です。】
スタッフ:川又
2017.08.28 宮本館長の挨拶映像と伊丹十三監督作品特報セレクション
「伊丹十三」の名前にちなんで13のコーナーで伊丹さんを紹介している常設展示室。
その常設展示室に入ってすぐ左側に、42インチのモニターがあります。展示室に入るタイミングによって最初に目に入る映像は異なりますが、ここでは、宮本館長の挨拶映像と伊丹十三監督作品の特報セレクションを座ってご覧いただくことができます。
繰り返し観てくださるお客様も少なくないこの映像資料について、少しご紹介しますね。
まずは宮本館長の挨拶映像です。
「伊丹十三記念館にようこそお越し下さいました。館長の宮本信子です」にはじまるこの映像では、「伊丹十三は不思議な人でした」「ここは伊丹十三の家です」――など、ご来館の方に向けて、笑顔の宮本館長が伊丹さんや記念館について話しています。
この映像だけでも「伊丹十三ってこういう人なのか」「この記念館ってこういうところなのか」と感じていただけると思います。特に「伊丹さんってどんな人?」という方や記念館にはじめてお越しくださった方は、最初に観ることで、その後の記念館での時間をよりご堪能いただけるのではないでしょうか。13のコーナーを楽しむ前に、ご覧になってみてくださいね。
宮本館長の挨拶映像。現在は夏バージョンです(9月末まで)。
同じモニターで伊丹十三監督作品特報セレクションをご覧いただけます。「特報」は映画撮影開始前、または撮影中など、作品が完成していない段階で告知を開始するための映像です。映画館で、作品の上映前にご覧になったことがある方も多いのではないでしょうか。工夫を凝らした様々な特報がありますが、伊丹映画の特報は、なんと監督自身が出演し観客に語りかけるという手法で作られています。
ご来館のお客様から「伊丹映画を(また)観たくなりました」というお声をよくうかがいますが、その理由として「特報が面白かったので」と仰る方も いらっしゃるんですよ。現在は『タンポポ』(1985年)、『マルサの女2』(1988年)、『あげまん』(1990年)、『スーパーの女』(1996年)、『マルタイの女』(1997年)の5作品の特報映像をご覧いただいています(※特報映像の作品は変わる場合がございますのでご注意ください)。
映画を観たことがある方もそうでない方も楽しめる映像です。お見逃しなく!
ちなみに...
ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、この館長挨拶と特報映像を流している同じモニターで、毎月13日の13時から伊丹監督映画作品を1本ずつ上映しています。この8月はお休みさせていただきましたが、9月は13日(水)の13時より、『マルサの女2』を上映いたします!
※詳細や今後の上映スケジュールはコチラ
当日は映画をさらに楽しんでいただけるよう記念館オリジナルのミニ解説もお渡ししています。
お誘い合わせのうえ、ぜひ足をお運びくださいませ。
スタッフ:山岡
2017.08.21 残暑お見舞い申しあげます
今年も暑いなぁ、とホカホカの溜息をつきながら指を折って数えてみましたら、2008、2009、2010......2017、松山へ来て10度目の夏です。
松山じゅうの方(特にご年配の方)が口を揃えて「昔はこんなに暑くなかったんじゃけどねぇ」とおっしゃるので、「"こんなに暑くない"松山はどんなにかステキだろう」との想像が止まりません。
冷夏の地域もあって農作物への影響が心配ですが、みなさまお元気でいらっしゃいますか。心よりお見舞い申しあげます。
さて、東北生まれで暑さに弱い私にとって、読むだにつらい伊丹エッセイがあります。
播州赤穂の「爺さん」に「僕」がインタビューをしている形式で、「入り浜式」時代の過酷な製塩労働が綴られている、ちょっと変わったスタイルのエッセイです。
爺さん:ツチ入れたら、また海水をかけんならんでしょう。海水かけるゆうたかて、あのダイ(高濃度の塩水を濾し取る装置)ちゅうもんは二た坪ぐらいありますがな、四畳敷きの風呂へ水汲むようなもんでっせ。しかもそれが毎日八十(の塩田)でっしゃろ。
僕:フーン――で、その作業は午後ですか。
爺さん:そうですなア、七八月頃でしたら、二時半か三時頃じゃろかなア、炎天の一番暑い時分に、その一番えらい仕事をしよったんですから、それでえらかったんですわ。
僕:足もとはどうしてるんですか?
爺さん:足はもうハダシです。
僕:熱いでしょうが?
爺さん:熱いんですがな。
僕:焼けてるんでしょ、下は?
爺さん:焼けとるんですがな。足がアンタ、どない言うてええんか、ヤケドしたら火ぶくれになりましょ? あないになるんですがな。(中略)夏やったらね、足の裏が白うなってね、ほいで穴があくんですわ。そいつがえらかったんですがな。足の裏にね、こういう、力が入るとこに穴があいたりしてね、それが辛いんですがな。
「塩田」『日本世間噺大系』(文藝春秋、1976年)より
初出は雑誌『話の特集』1975年2月号
この「塩田」は、現在は新潮文庫版の『日本世間噺大系』でお読みいただけるので、多くの方にお馴染みの作品だと思いますが、同じご老人から聞いたお話を元にした別のエッセイがあるんです。ご存知の方はあまりいらっしゃらないと思うので、一節をご紹介いたします。
この間、赤穂へ行って来た。
(中略)宿へ着いてね、出かけようと思ったら、ホラ、下足番っていうの? そのおじいさんが凄く体格がいいのね。で、ア、この人はもしかすると塩田で働いてた人じゃないかなと思って訊いてみると、この勘がピタリと当たったわけよ。五十年も塩田で働いてた人だったわけ。
(中略)いやあ、入り浜式の塩田での労働っていうのは、聞きしにまさる物凄さね。(中略)何が大変だというと、まあ、ともかく重いわけよ。なんたって土と水を扱うわけだからね。ともかく、掻き集めてきた山のような土をダイの中に入れるわけでしょ。しかも、それを毎日八十やるわけでしょ。入れたら今度は水を運んで、それへかけなきゃならんでしょ。(中略)水を入れたら、あとで、また用済みになった土を出し、その土をまた撒くわけだからね。で、土を撒いたら、またその上へ水を撒かなきゃならんでしょう。
これを、カンカン照りの中でやるわけだから、重い上に熱いわけよ。砂なんかもう焼けてるわけだからね。で、その上を裸足で働くわけでしょう。もう、足が擦りむけてさ、皮が破けて肉が出ちゃうわけ。それでもって、下は焼けた砂。しかも塩をまぶした砂よ。もう――なんていうかね。どうする? っていいたくなっちゃうわけよ。
大京観光広告『詩のあるまち』シリーズより(日本経済新聞1973年11月9日)
時期的には、こちらのエッセイのほうが1年3ヶ月ほど先に発表されています。塩田の重労働を新聞広告用のエッセイに記した後、今度は自身の雑誌連載で「爺さん」の言葉として伝えたい、と考えたのかな......というのは私の推測なのですが、真夏の炎天下にも真冬の冷たさの中でも、海水と、海水を浸み込ませた重い土を運び続けたご老人の話は、伊丹さんの心を強く捉えたようですね。
広告エッセイは、現在の企画展「ビックリ人間 伊丹十三の吸収術」で紙面ごと展示しております。塩田のお話、文庫で、展示で、ぜひお読みください。
朝夕の空の色や空気に秋を感じるようになってきましたが、少し涼しくなってきた頃が、夏の疲れの出る頃です。みなさま引き続きご自愛くださいませ。
学芸員:中野
2017.08.14 庭木の水やり
暑い日が続いていますね。真夏のこの時期は、庭木の水やりが記念館スタッフの大事な仕事の一つです。
たとえば記念館のシンボルツリー・中庭の桂は、街路樹にも使用される木で暑さに強いと聞きます。とはいえ降雨状況によってコンディションは変わるため、気は抜けません。
中庭の桂
開館当初に比べて随分大きくなりました
毎年梅雨が明けた頃から、天気と相談しつつスタッフが交代で水やりを行います。朝、あるいは夕方の涼しくなった時間帯に行うのですが、庭木の数も多いため、一日で全てに水をやることはできません。日によって場所を変えながら、数日のサイクルでまんべんなく行き届くように気をつけています。
正面入口前の庭
建物南側には山桜が4本あります
水やり中の様子
根にたっぷり行き届くように気をつけています
毎日水やりをしておりますと、庭木のコンディションを把握できるだけではなく、合間に草むしりをしたり、外回りの清掃状況をチェックしたりと、広く館外の手入れもできます。また、お客様から「庭が素敵ですね」といったお言葉をいただきますと、「楽しんでいただけて良かった」と大変嬉しく存じます。
厳しい暑さを乗り越えますと、庭から虫の音が聴こえてきたり庭木が色づきはじめたり......と、季節の移ろいを感じる楽しみも待っていますので、もうしばらく水やりに励みます。
記念館にいらした際には、ぜひ庭の様子も楽しんでくださいね。
スタッフ : 淺野
2017.08.07 伊丹十三記念館のリーフレット
記念館便りでも何度かご紹介させて頂いている、伊丹十三記念館のリーフレットがこちらです。
このリーフレットは、見開きで建築家の中村好文先生の描かれた記念館の見取り図が見られることがひとつの大きな特徴ですが、このリーフレットに載っている、宮本信子館長のメッセージがとっても素敵なのでご紹介させて頂きます。
ある昼下がり。
中庭の草の上に、腹這いになっている人がいる。
どうやら本を読んでいるようだー。そばにシャンパンのグラス。
近づいてみると、ナント、「伊丹十三!」
そして、「やぁ!いらっしゃい!」。少しニヤリと笑って言った。
続けて、彼はまた、言う。
「楽しんでいって! けっこう面白い所だよ、ここは―。
記念館としては旨くいったネ。僕も気に入ってるんだよ。
まぁ...ごゆっくり...いやぁー(頭を掻く)よかったら、また、来てネ!」
「伊丹十三記念館」は、隅々まで伊丹十三が感じられる、あたたかくて、気さくで、見ごたえのある記念館です。
伊丹さんの一番近くにいた宮本信子館長だからこそ書ける文章ですよね。途中で(頭を搔く)と入っているところなど、多分伊丹さんの癖で、宮本館長には目に浮かぶ光景だったのでしょう。
ちなみに、私がこの文章を初めて読んだのは、記念館で働き始めるよりも、記念館のオープンよりも前のある日のことでありました。
通りすがりに現在記念館が建っているこの場所に「伊丹十三記念館」という工事幕を見つけて、「伊丹十三の記念館ができるんだ!楽しみ!」と家に帰りすぐに「伊丹十三記念館」とインターネットで検索して、今よりももっと情報の少なかった当時の記念館のHPを見つけ、この文章を読み、記念館のオープンがより一層楽しみになったことをよく覚えています。
記念館のリーフレットは県内外さまざまな施設に設置させて頂いています。どこかで見つけた方は、是非お手にとってご覧ください。この文章を読んで、中村好文先生の記念館の見取り図を見たら、きっとすぐに伊丹十三記念館を訪れたくなることと思います!
スタッフ:川又
2017.07.31 お盆期間中の開館スケジュールのお知らせ
記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
暑くなってきましたね!中庭の桂の葉は青々と茂って、記念館もすっかり夏の装いです。この季節、桂の木にはたくさんの蝉が集まっていて、特に午前中は大音量の鳴き声が響き渡っています。こちらでお仕事をさせていただくようになって5回目の夏ですが、これをきくと「夏が来たなぁ」と思います。
中庭の桂。写真では分かりにくいですが、
写っている部分だけで7匹の蝉がいます...
そんな夏の記念館から、お盆の開館スケジュールのお知らせです。
通常、火曜日は休館日とさせていただいていますが、8月15日の火曜日はお盆期間中につき、いつもどおり10時に開館して皆さまをお迎えいたします!
【お盆周辺の記念館開館スケジュール】
8月8日(火):休館
8月9日(水)~21日(月):開館
8月22日(火):休館
記念館サイトのトップページに開館カレンダーがあります
普段は遠くて気軽に行けない...という方も、夏休みやお盆期間にご旅行や帰省などで愛媛に来る機会がある方もいらっしゃるのでは。その際はぜひ伊丹十三記念館にも足をお運びくださいね。
なおご遠方の方は、記念館サイト内にあるご利用案内でアクセス方法をご確認いただけます。松山空港、伊予鉄松山市駅へ到着されるなど公共交通機関で来られる方や、松山自動車道からお車で来られる方に向けてアクセス方法をご紹介しています。また、道後方面からお越しの方には市内電車(路面電車)と路線バスを乗り継ぐ方法を掲載していますので、ご来館の際は参考になさってください。
「ご利用案内→入場料・アクセス」←こちらをクリック!
黒い箱型の建物を目印にお越しください
伊丹さんの笑顔の写真がお迎えします
(常設展示室入口より)
今年の夏も猛暑と言われています。移動時を含め、外出の際は暑さ対策をしっかりしてお出かけくださいね。
スタッフ:山岡
2017.07.24 第3回伊丹十三賞の記念講演会が書籍に収録されました
第3回伊丹十三賞受賞者・内田樹先生の記念講演「伊丹十三と戦後精神」が収録された『日本の覚醒のために――内田樹講演集』(晶文社)が発売になりました。
講演会が松山市内で開かれたのは2011年11月29日ですから、もう6年も前になります。
開催の日、900名を超えるお客様にこのお話を生で聴いていただけたこと、後日、ホームページで全文を公開してさらに多くの方にお届けできたこと、とても嬉しくて興奮したのをよく覚えていますし、数年経って、このように名付けられた本の中に編んでいただいたことで、また新たな嬉しさを感じております。
講演会の様子(2011年11月29日)
本書に収録されているのは、2011年から2015年までの5つの講演とスピーチです。
「もう、起きなよ」という日本人へのメッセージがテーマだと「まえがき」にあるように、たしかに、6年前の講演会のときも、先生のお話にじーっと聞き入っていたみなさんが、終演後、つい今スッキリと目醒めたかのような表情、目からウロコが落ちて新しい世界を見ているかのような表情で、続々とロビーへ出てこられたのを拝見しました。その雰囲気に圧倒されたことは、特に忘れられない思い出です。
壇上の内田樹先生(2011年11月29日)
長年の、多岐にわたるご活動を通して「先人の学びに学ぶことの大切さ」を繰り返し繰り返し丁寧に説かれ続けていることは、多くの読者が内田先生に寄せる信頼の厚さにつながっていると思うのですが、学びの対象として伊丹十三と『ヨーロッパ退屈日記』を論じていただき、他の講演録とともに本というかたちにまでしていただきました。
これでまた、たくさんの方が伊丹十三に出会い、多様な視点で作品を捉えて、いろいろに語ってくださることだろう、と想像しています。
この『日本の覚醒のために』で伊丹十三に初めて興味を持って、あるいは、初めて伊丹十三を知って、すでに『ヨーロッパ退屈日記』を手に取った方もいらっしゃるでしょうし、インターネットで検索して「へぇ、記念館があるんだ」と、このホームページにたどり着いた方もいらっしゃるかもしれません――ようこそ、いらっしゃいませ!
これから末永くお付き合いいただけますよう、よろしくお願いいたします。
書き手としての伊丹十三については、展示紹介や
グッズショップのご案内もぜひご覧ください。
また、「伊丹十三と戦後精神」を会場でお聴きになった方も、内田先生のブログやこのホームページで採録をお読みになったことのある方も、『日本の覚醒のために』、ぜひお手に取ってみてくださいね。
梅雨が明け、いよいよ本格的に夏となりました。日本という国について考えさせられることの多い季節に読んでいただきたい、励ましが詰まった一冊です。
学芸員:中野
2017.07.17 ポストカード
今日、7月17日(月)は海の日ですね。いよいよ夏本番!という気持ちになります。
夏休みには旅行をなさる方も多いことと存じます。
旅の楽しみはいろいろありますが、私はお土産とともに自分用の思い出の品を買って帰ることを、楽しみのひとつにしています。訪れる場所によって買うものはさまざまですが、どこを訪れても必ず手に取ってしまうものがあります。その場所ならではのポストカードです。
旅先で風景写真や美術館の展示品ポストカードなどを買って帰っては、自宅のお決まりの場所に保管しています。たまに取り出して一枚一枚見返すと、旅先でのいろんなことを思い出して楽しいものです。それを使って誰かに便りを出すことはあまりないのですが、自分の楽しみのために買うことがやめられず、手元のカードは増えるばかり。
記念館のグッズショップでも、オリジナルポストカードを販売しています。伊丹映画のポスターや記念館の写真、伊丹さんが描いたイラストなど種類が豊富で、お好みに応じてお選びいただけます。
グッズショップ・ポストカードコーナーの様子
こちらはポストカードの一部
他にもさまざまなデザインがあります
お得なセット販売もあり、セットはオンラインショップでも取り扱っています。
セット販売は4種類あります
記念館にいらっしゃった際には、ぜひお手に取ってみてください。きっとお気に入りの一枚がみつかることと存じます。
----<カフェ・タンポポからのおしらせ>----
7月より、記念館のカフェ・タンポポで期間限定メニュー「豆乳ブルーベリー」をスタートいたしました。
ブルーベリーのあざやかな色とほのかな酸味がさわやかなドリンクです。ぜひご賞味ください。
スタッフ: 淺野
2017.07.10 車の汚れ具合にもこだわりが!
先日、伊丹さんの愛車「ベントレー」の洗車をしたことを記念館便りにおいてご報告いたしました。(その時の記念館便りはこちらから)
これは伊丹十三記念館が開館して10年間で初の洗車であったわけですが、実は洗車を先延ばしにしてしまったのにはいくつかの理由がありました。
高級車であるということが一番の理由ですが、もう一つ、スタッフには気がかりなことがあったのです。ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、実は伊丹さんは、車は汚れた状態が良い、と思っていたという情報があるのです。生涯ずっとそのような考えだったのかどうかはわかりませんが、そういう時期があったようです。
もしかしたら、伊丹ファンの中には洗車の記事をご覧になって「おや?洗車しちゃって大丈夫?」と思われた方もいらっしゃったかもしれませんね。
伊丹十三記念館のガイドブックの中でも、伊丹さんと仲の良かった写真家の浅井愼平さんが、伊丹さんは汚れたままの車が好きだったということを書いておられます。
伊丹さんのエッセイにも30代の頃乗っていたロータス・エランに関して以下のような記述があります。
「昨年の暮れには、ひと月ばかりガレージにいれっぱなしにしておいたから、実にいい具合に埃がつもって、その埃の上に猫の足あとなんかついて、ほとんど私の理想に近い、芸術的なよごれをみせるようになった。
私は、この埃の上に、指で絵を描こうと思った。そうだ!注連飾りの絵を描いて年始に出よう、と思った。」(「女たちよ!」より)
この後、そのロータスを知らない間にどなたかに洗車されてしまったらしく、そのピカピカになった状態が気に入らなかった伊丹さんは、しばらく車に乗らなかったそうです。
そんなこともあり、何となく洗車をためらってしまったという訳です。
何かにつけてこだわりの強い人として有名な伊丹さんですが、車の汚れ具合にまでこだわりを持っていたとは!
しかし我々には伊丹さんの理想に近い「芸術的なよごれ」具合というのがわかりませんでしたので、この度手入れをさせて頂きました。伊丹さん、ピカピカのベントレーをお気に召していなかったら、ごめんなさい。
また、車のことではありませんが、以前宮本館長から聞いた話で忘れられないエピソードがあります。以前記念館便りにも書いたことがあるのですが、湯河原に住んでいた頃、庭にあったみかんの木を植木屋さんが木にとって良い状態に剪定して下さったらしいのですが、その剪定を気に入らなかった伊丹さんが、しばらく家に帰って来なかったという話です。
それにしても、気に入らなければ車に乗らない、家に帰って来ない、なんて中々スゴイ話ですよね。しかし伊丹さんの話となると「伊丹さんらしい」とか「やっぱり天才は違う」とか、思ってしまうから不思議ですね。
スタッフ:川又
2017.07.03 『中村好文 集いの建築、円いの空間』
記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
暑くなってきましたね。これからどんどん気温も高くなってくると思いますので、体調など崩されませんよう、くれぐれもお気をつけください!
さて、皆さまよくご存知の、伊丹十三記念館を設計してくださった建築家・中村好文さん。
その中村さんの作品集 『中村好文 集(つど)いの建築、円(まど)いの空間』が、TOTO出版さんより刊行されました。
【記念館ショップ店頭でも取り扱いを始めました】
『中村好文 普通の住宅、普通の別荘』 『中村好文 小屋から家へ』(共にTOTO出版)に続くシリーズ3冊目のこの作品集は、中村さんがこれまで手掛けてこられた作品のうち、ミュージアムやカフェ、レストラン、ギャラリー等の16作品、また、多数開催された展覧会の中から厳選した9つの展覧会について紹介されています。
中村さん自身が描いたスケッチや文章が、写真家・雨宮秀也さんの美しい写真と一緒に掲載されているという読み応え・見応えたっぷりの1冊ですが、ミュージアム建築の作品のひとつとして、ここ伊丹十三記念館が紹介されているのです!
記念館に来たことがある方もそうでない方も建築の視点から記念館を楽しめて、より深く記念館について知ることができる内容になっています。また、この作品集の巻頭には、小説家・編集者としてご活躍中の松家仁之さんの寄稿文も掲載されています。松家さんは伊丹十三賞第1回受賞者・糸井重里さんの受賞記念トークショー、第7回受賞者・新井敏記さんの受賞記念トークイベントで聞き手をつとめてくださった方でもありますので、イベントに参加された方や記念館便りをご覧くださっている皆さまの中には、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
ここ記念館には「中村好文さんの建築を見たくて来ました!」というお客様は本当にたくさんいらっしゃいますし、来館されたお客様から「素敵な建物ですね。どなたが設計されたのですか?」と尋ねられることもしばしばです。
ご興味のある方はぜひお手に取っていただき、中村さんの建築に浸ってみてくださいね。
【本の帯にも回廊から中庭をのぞむ写真が載っています】
スタッフ:山岡
2017.06.26 常設展示を一部入れ替えました
梅雨入りしても雨のない日が多かった松山。
「空梅雨だと夏が大変ね......」と心配していましたが、ボチボチと梅雨らしくなってきました。しばらく雨が続きそうです。
雨の記念館、とってもイイんですよ。
中庭の緑がしっとりとなって、晴れている日の二倍も三倍も、寛いだ気分を濃厚に感じていただけると思います。雨の日こそ伊丹十三記念館へ!(とまで言ったら、お日様に悪いかもしれませんが......)
さて、館内のほうは、常設展示を一部入れ替えいたしました。
初展示の資料をいくつかご紹介させていただきます。
伊丹十三のデザインワーク。
60年代のものから90年代のものまで
見比べていただけるようになりました。
――「お洒落」という、いささかインチキ臭い言葉よりも、
身嗜みということを大切にしようではないか――
日本人とファッションに関する、あの名エッセイのイラストです。
文庫本を片手に、見比べていただくのも面白いかもしれません。
『タンポポ』絵コンテと撮影台本。
カンタン美味しいレシピもご覧いただけます。
絶版になっている映画撮影日記を
伊丹さんの直筆原稿でお読みいただけます。
新しい展示品の中には、収蔵庫ツアーでご紹介して、ご好評いただいたものもあります。いわば"試運転"を経た展示品です、ご期待くださいませ。
収蔵庫の中では間近に見られなかったものがつぶさにじっくりご覧いただけるようになりましたので、これまでにツアーにご参加くださった方も、ぜひまたお越しくださいね。
では、みなさまのご来館をお待ちしております。
・・・・・・・・・・・・・
2018年3月までの長期企画、日本映画専門チャンネル「総力特集 伊丹十三の映画」で伊丹映画全10作が放送されています。
7月は、監督第9作『スーパーの女』(1996年)、監督第10作『マルタイの女』(1997年)。
伊丹映画をご自宅でお楽しみいただくチャンスです。視聴方法・スケジュールはチャンネルホームページでご確認ください!
記念館の常設展示室で行う「毎月十三日の十三時は記念館で伊丹十三の映画を観よう!」は、7月13日(木)、『マルサの女』(1987年)です。こちらもよろしくお願いいたします。
学芸員:中野
2017.06.19 商業デザイナー
エッセイ『ヨーロッパ退屈日記』(伊丹十三著)のあとがきに、伊丹さん21歳当時のこととして、こんなことが書かれています。
私は駆け出しの商業デザイナーであった。(中略)職人であった私に与えられる仕事は、主に、車内吊りのポスターと、目次のデザインであった。
――「B6判のためのあとがき」『ヨーロッパ退屈日記』
ご存じない方もいらっしゃるかもしれませんが、伊丹さんには「商業デザイナー」としての顔がありました。その仕事を、記念館の常設展示室で具体的にご覧いただけます。
たとえばこちら。雑誌『文藝春秋 漫画讀本』(1954年創刊/1970年休刊)の車内吊りポスターです。
ユニークなキャラクターが印象的な『漫画讀本』ポスター
伊丹さんが手がけた、さまざまなパターンを入れ替えながら展示しています
ご覧になったお客様から、「あのポスター、キャラクターが印象的で憶えています。伊丹さんのデザインだったんですね」とお声をかけていただいたことがあります。
他にも、伊丹さんが手がけた書籍の装幀や題字レタリングの仕事などを展示しており、商業デザイナーだったことをご存じない方からも、「伊丹さんらしいこだわりや遊び心を感じた」といったご感想をいただきます。
常設展示室には十三の名前にちなんだ13のコーナーがあり、商業デザイナーだけでなく、多彩な仕事ぶりや趣味についてご紹介しています。
常設展示室の様子
つまり、伊丹さんには「13の顔」があるということで......まだ記念館にいらしたことのない方は、ぜひその13の顔をひとつひとつ想像なさってみてください。「映画監督」「俳優」「エッセイスト」――他にもいろんな顔があるんですよ。
伊丹さんの新たな一面に出会えることと存じますので、ぜひ一度記念館にいらしてみてくださいね。
スタッフ : 淺野
2017.06.12 ベントレーの洗車
先日、記念館に展示しているベントレーの洗車を行いました。開館以来初の洗車です。
ご存知の方も多いと思いますがベントレーとはイギリスの有名な高級車です。記念館のベントレーは、伊丹さんが生前「最後の車だからこれが欲しい!」と意気込んで購入したという、伊丹さんの想いの詰まった愛車です。
伊丹十三記念館の正面向かって左側にガレージがあり、記念館が開館してから10年間ずっとこの場所でお客様をお迎えしてきました。
当日はネッツトヨタ愛媛の青山さんがお休みのところわざわざお越し下さって洗車を行いました。ちなみに伊丹十三記念館ができるまではベントレーはこのネッツトヨタ愛媛で保管され手入れされていたそうです。
まず、カーシャンプーでボディーを洗います。
次に、水ですすぎます。
その後、クロスで水滴をふき取ります。
最後にフロントグリル等をコンパウンドで磨き、
拭き取れば完了!ピカピカです。
このベントレーは大変に高価なものなので、「水をかけるなんてとんでもない!恐ろしい!」と、手入れには気が引けていたのですが、高級車とは言え洗車の方法は普通の車と同じだったのです。このベントレーのことをよくご存知のネッツトヨタ愛媛の方が一緒に洗車して下さったので、安心して手入れすることができました。(お休みのところわざわざお時間を取って下さり、誠にありがとうございました。)
日々の手入れ方法もしっかり教えて頂きましたので、これで今後は記念館スタッフでこの状態を保てることと思います。
ご来館の際には綺麗になったベントレーもぜひご覧下さいませ。
スタッフ:川又
2017.06.05 「みなさまの声」
記念館ホームページ内にある「みなさまの声」というコーナーを、ご覧になったことはありますでしょうか。
来館されたお客様からいただいた感想などを、写真もしくは伊丹さんの描いた猫のイラストといっしょにご紹介しているコーナーです。記念館にお越しになったことがある方の中には、スタッフからお渡しする「みなさまの声」シートに、実際に「声」をお寄せくださった方もいらっしゃるかもしれませんね。
記念館ホームページ右上、赤丸で囲ったところからご覧いただけます
「みなさまの声」シート。
ここに書いてくださった言葉をホームページでご紹介します
お客様がお寄せくださる「声」は本当にさまざまで、展示やカフェ、ショップなど記念館の感想をはじめ、ご来館のきっかけ、記念館イベントに参加した方であればそのイベントに関すること、伊丹さんをどのように知ったかや、中には伊丹さんへのメッセ―ジを書かれる方もいらっしゃいます。
宮本館長もお気に入りの、読み応えのあるコーナーです!
そして大変嬉しいことに、その「声」をきっかけに記念館にお越しくださる方もいらっしゃるんですよ。
つい先日も、このコーナーが大変参考になった、という県外のお客様がご来館くださいました。愛媛への旅行が決まり、どこへ行こうかな~と色々な施設をチェックしていてたまたま記念館のホームページにたどりついて「みなさまの声」を読んでいるうちに、伊丹さんに興味がどんどん湧いて、記念館や展示の雰囲気なども伝わってきて、記念館を訪れてみたくなったのだとか。こんなかたちの「口コミ」もあるんだなぁ!と有り難く、嬉しく思ったのを覚えています。(そのお客様も、「ぜひ書きたいです!」と「みなさまの声」にご協力くださいました。)
今までご来館いただいた方はもちろん、これから「記念館に行ってみようかな」と思ってらっしゃる方も、ぜひご覧になってみてください!
なお「みなさまの声」は毎週金曜日に更新させていただいており、公開したものは長期間さかのぼってご覧いただけます。
ホームページに紹介されたご自身の「声」をご覧になって、「記念館へ行ったよ!」とお知り合いに紹介したり、その時のことを思い出したりすることもできますので、ご来館の際はぜひ「声」をお寄せくださいね。スタッフ一同楽しみにしております。
スタッフ:山岡
2017.05.29 開館10周年記念イベント 収蔵庫ツアー
5月12日(金)から14日(日)の3日間、開館10周年記念イベントの収蔵庫ツアーを開催いたしました。
収蔵庫ツアーとは......あ、記念館の収蔵庫はちょっと変わっていましてね、2階部分が"展示風"にしつらえられているのです。
そこを1時間ばかりかけてご案内しながら、伊丹エッセイで紹介されたもの、イラストの"モデル"になったもの、伊丹映画に登場したりしたもの、それから、原稿、原画、蔵書などをご覧いただきまして、「ものを通して伊丹十三を見る」、「ものを見ながら伊丹十三についておしゃべりする」、そんな催しです。
ご応募・ご参加くださった皆様、ありがとうございました。
ツアー後に頂戴したご感想をもとに、レポートさせていただきます。
**************
貴重な品を拝見し、大変感動しました。小学生か中学生の多感な頃にテレビで流れていた作品にも忘れられない衝撃があり、自分が40代や父親になってから、改めて作品を鑑賞しています。一つ一つの作品に普遍的な哲学や人生の意味を感じ、これからも永久に伊丹作品は残っていくことを痛切に感じました。故郷にこのような立派な記念館をつくってくださり、心から感謝します。
初めて参加しましたが伊丹十三監督の多才な才能にびっくりしました。イラストもとても上手で。参加してよかったです。
2回目の参加でしたが、忘れていた事が多く何回見てもいいなあと感じました。
大変興味深く見せて頂きました。
念願の記念館の見学と収蔵庫ツアーに参加でき、東京より来た甲斐がありました。伊丹さんのお部屋をたずねたような造りに驚き、量の多さにも圧倒されました。収蔵庫に保管されている物が、今後の企画展でも拝見できるといいなと思っています。個人的にはイラストの原画や、伊丹さんがデザインされた物(マッチは特に驚きました!)などももっと見たいです。記念館のガイドブックや『13の顔を持つ男』のDVDを以前購入して予習はしていたのですが、実物を拝見し、さらにこの気持ちの良い空間で展示を見れたことはすばらしい体験になりました。
伊丹さんのたくさんが詰まった場所なのだと感じました。こちらの質問にも丁寧に答えて下さったり、映画で使われた衣装の話や知らなかったエピソードなども聞かせていただき、改めて映画を見返すのが楽しみです。また、伊丹さんに会いにこちらへ来たいと思います。そして信子さんにもぜひお会いしたいです!
沢山の収蔵物の数々、十三さんのセンスを感じることができました。数の多さにアットウされました!
素敵なものがたくさんで大切にKeepされていてタイムスリップした様でした。本日はどうもありがとうございます。来れてよかったです。
(あたり前だけど)たくさんの作品と、記録の量が、同じ人間とは思えないクオリティと量だったので、とにかくおどろきました!
何だかなつかしくって胸がイッパイになりました。
この収蔵庫ツアーの魅力は何と言っても伊丹さんファンの同志と出会えることです。今回も伊丹さん愛の強い方々と時間をともにすることができ本当に幸せな気分になれました。ぜひまた参加させていただきたいです!
**************
開館記念イベントとして10回目の開催。
世代もお住まいの町もご職業もさまざまのお客様方がお集まりくださって、おしゃべりや、ツアー中のご反応から、いろんな方の中にいろんな伊丹さんがいることを、今回も楽しく学ばせていただきました。
1周年記念のときから担当させていただいていますので「10年、やったなぁ」という達成感と申しますか充実感もありますが、お客様方のおかげで育ってきた催しです。これまでのお客様にも、今年のお客様にも、心よりお礼申しあげます。またお越しくださいね。まだの方は、今度ぜひ!(毎年3月から4月にかけて募集しています。)
無料開館・収蔵庫ツアー・ミニミニジャズライブ、と続いた記念イベントは終了いたしましたが、グッズショップ・オンラインショップでの期間限定プレゼントは5月いっぱい続けますので、あと少し、記念館の10周年をお楽しみくださいませ。
これからも、伊丹さんと、この記念館をどうぞよろしくお願いいたします。
学芸員:中野
2017.05.22 開館10周年記念「ミニミニジャズライブ」を開催いたしました
2017年5月15日、伊丹十三記念館は開館10周年を迎えました!
このような大きな節目を無事に迎えることができましたのも、皆さまのおかげでございます。
本日は、開館記念日に開催したイベント「ミニミニジャズライブ」当日の模様をレポートさせていただきます。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
5周年と8周年の開館記念日に開催したライブと同様に、今回も会場は記念館の中庭回廊です。
こちらは、リハーサルの様子。
ご覧の通り晴天に恵まれて中庭の新緑も美しく、最高のコンディションでした。
今回は、宮本信子館長(ヴォーカル)の他に、いつも館長とライブをご一緒なさっている板垣光弘さん(キーボード)と吉木稔さん(ベース)というメンバー。
記念館のライブにベースの方をお迎えするのは、今回がはじめてでした。リハーサルがはじまる前、宮本館長が少しベースに触れていたのですが、その姿が素敵で、思わずカメラを向けてしまいました。
とても良い音が響いていました!
――ライブは夕暮れ前の17時開演で、約100名のお客様にお越しいただきました。暑い中、入館整理券のために並んでくださった皆さま、誠にありがとうございました。
中庭回廊を利用したフランクなスタイルのライブは、記念館ならでは
開演後、まずは宮本館長から皆さまにご挨拶。10年前の開館初日に長蛇の列ができたことや、テープカットの想い出をお話した後、館長はこう続けました。
「10周年を無事迎えまして。私も元気で、今は『ひよっこ』に出ておりますけども。(場内から拍手)ありがとうございます。嬉しいです!今の拍手(笑)。――今日は記念の日、伊丹十三の誕生日ですから。節目の日に、こうやって企画をしました」
――そうなんです、この日は伊丹さんの84回目のお誕生日でもありました。お客様とご一緒にお祝いできましたことを、大変嬉しく存じております。館長からのご挨拶の後に、板垣さんと吉木さんにもご登場いただき、いよいよライブスタートです。
キーボード・板垣光弘さん
ベース・吉木稔さん
「Fly me to the moon」ではじまり、ジャズのスタンダードナンバーが続きます。一緒に口ずさんでいらっしゃるお客様もいらっしゃいましたね。
曲の合間には、ベースの一番低い音をボーンと指ではじいて、その響きを楽しんだり、会場にいらしたお子さまに実際にベースに触れてもらったり、といったシーンもありました。
個人的に、「ベースの音は、中庭にどんな風に響くのだろう」と楽しみにしていたのですが、厚みのある優しい低音が心地よく、中庭の雰囲気にピッタリでした。
今回お届けしたのは合計7曲。約35分間の、文字通り「ミニミニ」ライブではありましたが、伊丹さんとの想い出話や、伊丹十三賞についてのトークもあり、皆さま楽しんでくださっていましたね。
最後の曲は、宮本館長のライブではおなじみの「港町十三番地」です。会場は手拍子で大いに盛り上がり、曲の後の「わたし、港町十三番地が本当に好きで。"十三"ですからね!」という館長のことばとともに、ライブは終演いたしました。
ご来館いただいた皆さま、誠にありがとうございました!
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
開館記念日当日、普段お世話になっているお取引先から素敵な贈り物をいただく、というサプライズもありました。少しご紹介させていただきますね。
こちらは、「Rico sweets & supply CO.」様からいただいた洋菓子・カヌレ。タワーになっているんです!
とってもかわいらしいデザインで、お味も抜群でした。
普段、Rico sweets & supply CO. 様には、記念館内の入館者専用カフェ・タンポポにケーキをお届けいただいております。記念館の形を模したオリジナルチョコレートケーキなど3種類のケーキがあり、ご好評いただいています。
「一六本舗」様からは、デコレーションケーキと上生菓子をいただきました!
宮本館長と一六本舗の皆さま
デコレーションケーキの上には、記念館にも展示している伊丹さんの愛車ベントレーが!
上生菓子は、写真左から「タンポポ」「あげまん」「(映画撮影で使用する)カチンコ」という、伊丹映画にちなんだ特別デザインになっています。驚きました!
細やかなお心遣いに宮本館長も大感激。「デコレーションケーキは、お客様にも召し上がっていただきましょう!」という館長の想いから、カットしたものを、急遽館内のカフェ・タンポポをご利用のお客様にもお届けいたしました。皆さま、とっても喜んでくださいましたね。
普段、一六本舗様には記念館限定販売の『十三饅頭』を製造していただいており、カフェ・タンポポで召し上がっていただけるほか、グッズショップでお土産としてお買い求めいただけます。記念館の人気商品です。
素敵な贈り物を拝見しながら、記念館は多くの皆さまに支えていただいていることを、あらためて実感した一日でした。心より感謝申し上げます。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
ご来館くださるお客様、日頃よりお世話になっている皆さま、これからもご期待に添えるようスタッフ一同励んでまいりますので、11年目をスタートした伊丹十三記念館を、どうぞよろしくお願いいたします。
スタッフ : 淺野
2017.05.15 開館10周年!
小さな小さな記念館ですけれど、
内容は充実していると思います。
中庭のベンチに座って空を見上げ、
風に吹かれる桂の木やタンポポを御覧下さいませ。
日常にはない静かで穏やかな時間を
お過ごしになれると思っております。
どうぞ、「伊丹十三の家」に遊びにいらして下さいませ。
『やぁ、いらっしゃい』の伊丹十三の声を
感じていただけたら~~私、とっても嬉しいです!
お待ちしております!
これからも、応援よろしくお願い申し上げます。
感謝
宮本信子
2017.05.08 ライブハウス伊丹十三記念館中庭へようこそ!!
来週の5月15日は伊丹十三記念館の開館10周年記念日です。記念すべきこの日は宮本信子館長の「ミニミニジャズライブ」が開催される予定です。
「ライブハウス武道館へようこそ!」というフレーズをご存知ですか。日本武道館でライブを行うアーティストがよく使うことで知られるフレーズです。この言葉を借りますと、このミニミニジャズライブは「ライブハウス伊丹十三記念館中庭へようこそ!」ということになります。ライブの会場はなんと記念館の中庭です。
庭でライブ?!と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。しかしこれまでにも同様のスタイルのライブを過去2回開催したことがあるのですが、ご参加頂いたお客様からは大変ご好評を頂いております。ちなみに2回とも開館記念日の5月15日に開催したのですが、この季節の夕暮れ前の中庭は大変心地良く、そんな中庭でのライブはすごく素敵なのです。ちなみにこの「中庭でのライブ」の発案者は宮本館長です!
中庭回廊においてステンディングでご覧いただく、フランクなスタイルのライブです。今回も多くの方にご参加頂きたいのは山々なのですが、中庭という限られたスペースのため、定員を先着100名様とさせていただいております。ご参加には当日14時からお配りする整理券が必要となります。なお当日は展示観覧のみのご入館にも整理券が必要となりますのでご注意下さい。また、悪天候の場合は中止となる可能性もあります。ご了承下さい。その他にも注意事項が数点あります。詳細はこちらをご覧下さい。
宮本館長のジャズを聴きながら、記念館の開館10周年と伊丹さんの84回目のお誕生日を一緒にお祝いしませんか。素敵な時間をお過ごしいただけること間違いなしです。ぜひお越し下さい。
スタッフ:川又
2017.05.01 記念館ショップからのお知らせ
いよいよ今月15日、伊丹十三記念館は開館10周年を迎えます。
そんな5月の記念館ショップから、皆さまにお知らせです。
◆10周年記念商品:4711オーデコロン販売開始!
開館10周年を記念して、記念館ショップ店頭にて4711オーデコロンの販売を開始しました。
「4711」とは、世界で最も歴史のあるオーデコロンブランドです。1792年にドイツのケルンで「不思議な水」として誕生し、この不思議な水が「オーデコロン(ケルンの水)」の名で広まって、オーデコロンの名前の由来になったと言われています。
200年以上経った今もなお多くの人々に愛されるこのオーデコロンを、伊丹さんも愛用していました。記念館の収蔵庫にも収められていますので、これまで収蔵庫ツアーに参加いただいた方の中には、ご記憶の方もいらっしゃるかもしれませんね。
このたび取り扱いを始めた「4711オーデコロン ナチュラルスプレ ー」は使いやすいスプレータイプ。上品で、すっきりと爽やかなシトラスの香りです。ショップ店頭ではサンプルをご用意していますので、記念館にお越しの際はぜひお試しくださいませ。(オンラインショップでの取り扱いはございません。)
◆「マルサの女2」缶バッジプレゼント!(対象期間5月1日~5月31日)
上でご紹介した4711オーデコロンと、一足早く今年1月から販売を開始した、同じく10周年記念商品の赤Tシャツ。対象期間中にこのいずれか、または両方をお買い上げの方に「マルサの女2」缶バッジをプレゼントいたします。20個限定です!
記念館ショップでは伊丹さんのイラストや写真をデザインしたオリジナル缶バッジを販売していますが、服だけでなくバックや帽子につけたり、コルクボードに飾ってインテリアにしたりするのにも利用できる缶バッジは、一年を通してショップの人気商品です。しかも!この缶バッジは非売品で販売は行っていませんので、この機会にぜひどうぞ。
◆金榮堂ブックカバープレゼント!(対象期間5月1日~5月31日)
毎年ご好評いただいている、金榮堂ブックカバープレゼントを今年も行います!
惜しまれながら1997年に閉店した北九州小倉の老舗書店・金榮堂(きんえいどう)。背中に猫を乗せて読書をする男性、入浴しながら読書をする男性が描かれたこの金榮堂のブックカバーイラストは、伊丹さんがデザインしたものです。
金榮堂が閉店した後は「幻のブックカバー」となっていましたが、金榮堂書皮復刻製作委員会よりご提供いただいた復刻版ブックカバーを、期間中、対象商品(※)をお買い上げの方にプレゼントいたします。
※対象 商品:伊丹十三記念館ガイドブック/映画『お葬式』シナリオつき絵コンテノート/伊丹万作エッセイ集/伊丹十三の本/伊丹十三の映画(オンラインショップも対象です!)
スタッフ:山岡
2017.04.24 第9回 伊丹十三賞 贈呈式を開催いたしました
第9回伊丹十三賞を星野源さんにお贈りする贈呈式を、国際文化会館で開催いたしました。
左から、選考委員・周防正行さん、宮本信子館長、
受賞者・星野源さん、選考委員・南伸坊さん、選考委員・中村好文さん
4月17日(月)。天気予報を見て、何日も前から心配していた空模様......松山空港からの午前の便で追い越した雨雲が、16時頃、東京へやってきてしまったのですが......
それでも、お足元の悪い中、たくさんの方がご来場くださって、伊丹十三賞を祝ってくださいました。とても嬉しかった一日をレポートさせていただきます。
お客様と取材の方々で満員です。
ステージが遠いこと......(☆)
すでに多くのメディアで詳しく報じていただいた贈呈式ですが、最後までどうぞお付き合いくださいませ。
*************
祝辞 選考委員・南伸坊さんより
第1回の贈呈式では、伊丹さん・糸井重里さんから若い人たちへたのしい連鎖が続いていくことを祝福してくださり、第5回の贈呈式では"本人術"で池上彰さんになったときのことを交えてご祝辞を述べてくださった南さん。さて今回は――
星野源さん、伊丹十三賞受賞おめでとうございます。そして、ありがとうございます。受賞してくださって、贈呈式にもご出席いただきました。
私たちは伊丹十三さんが大好きで、それは、伊丹さんの作るものがいつも新しくて、おもしろくて、たのしませてくださったからなのですが、その伊丹さんの仕事をいつまでも忘れてほしくないし、たのしんでほしい。そして、伊丹さんのことをずっとみなさんに覚えていてほしい、という気持ちで、この賞はスタートしたのでした。
星野さんは、伊丹さんの『タンポポ』(1985年)を「大好きです」と著書でふれられています。
『タンポポ』が大好きです。伊丹さんのエンターテインメントな作品が大好きです。でもその内側には異常なこだわりとラディカルな心がメラメラと燃えている感じがします。カッコいいです。(『働く男』より。単行本、マガジンハウス、2013年 / 文庫、文藝春秋、2015年)
と書かれています。うれしいです。
さらにうれしいことには、同じ本で、ハナ肇とクレージーキャッツについて、こんなふうにふれておられます。
クレージーキャッツの曲や映画を元にした『オヨビでない奴!』という、植木等さんも出ていたドラマを小学生のときにビデオに録って何度も何度も観てました。それがきっかけで中学生のときクレージーキャッツのCDを買い、それからどっぷり。そのドラマも、映画も、曲も、自分にとってバイブルです。(同じく『働く男』より)
とあります。私と、一緒です。(場内笑)
私も中学生のとき、植木等さんにめちゃくちゃ影響を受けました。
遠足のバスの中、まわってきたマイクで「スーダラ節」と「無責任一代男」を歌って大ウケしたんですが、一段落したところでバスガイドさんが「無責任は、いけませんね?」と一言入れたことにモーレツに腹が立ちました。「何も分かってない!」
中学生が受け取っていたのは、植木さんのたのしさでした。中学生が持っている真面目さや正義感と、そのたのしさはまったく矛盾していない。そのことがいちばん大事なことなのに。
大人になって、幸運にも、植木さんにお会いする機会がありました。私は急き込むように「私の本当の友達は、全員、植木さんに思想的影響を受けています」と言いました。植木さんは、すぐ「ああー、それはまことに責任を感じます」とおっしゃいました。隣で聞いていた桂文珍さんは大笑いでした。
でも、私は少し淋しかった。どれだけ植木さんにたのしませていただいたか。そのご恩をお伝えしたかったのに。もっと普通に「大ファンです」と言っとけばよかった、と後悔しました。
なぜ伊丹十三賞なのに、こんなに植木さんのことばっかり(場内笑)長々と話したのかというと、私はあまりにも植木さんが好きなので、プロアマを問わず、誰かが「スーダラ節」を歌っているのを聞くと、必ず不平を言っていました。「スーダラ節」は植木さんが歌わなくちゃあ、「スーダラ節」じゃないんだ! とまで思っていました。
私は、実は、音楽についてはまったく無教養なので、私が星野さんの音楽についてどのようなことを述べようと、まったく無意味なのですが、星野さんが「スーダラ節」を歌っているというのを聞いて、Youtube(場内笑)で探してみました。
南さんのお話のところどころに、とても自然に笑みをこぼす
星野さんの表情、とても嬉しく拝見しました。
驚きました。あの「スーダラ節」を、星野さんは、しんみり、歌っていました。
私は「この人は分かっているなあ!」と思いました。植木さんがこの曲を渡されたときにどれだけ悩んで、工夫をしたか。それを分かっている、と思いました。
そのあと、星野源さんがタモリさんと「スーダラ節」をクラボ......コラボ、言い慣れない言葉です(笑)、コラボした、という噂を聞いて、これもぜひ聴いてみたいと思って、必死に探しました。おじいさんだから、Youtubeとか、慣れない(場内笑)。
やっとたどり着いて、ビッックリしました。すごく、たのしい。「タモリを引き込んだ星野源が偉い!」と思ったところですが、これは呼び捨てです(笑)。
たのしい贈り物をくれる人を、私は尊敬します。
「芸術とは、たのしい記号である」と言ったのは、哲学者の鶴見俊輔さんです。
「伊丹さんのエンターテインメントな作品が大好きです」と言ったのは、星野源さんです。
星野さんのおっしゃりたかったのは、私の気持ちと一緒でしょう。
新刊の『いのちの車窓から』(KADOKAWA、2017年)、すばらしいです。『働く男』も『蘇える変態』(マガジンハウス、2014年)もよかった。けど、最新刊が最高です。
星野源さん、おめでとう。おめでとうございます。それから、ありがとうございます。
私は、この賞の第1回の受賞者、糸井重里さんにも同じあいさつをしました。
たのしい贈り物をくれる人に私は感謝します。
たのしいから。
正賞(盾)贈呈 選考委員・周防正行さんより
受賞していただいてありがとうございます。
選考委員はこれが初めてで、これひとつしかやっていないのですが、選考会で、この人に賞をもらっていただきたい、と決めたあと、『選考委員ってこんなにドキドキするものなのか』と。そして、喜んで賞を受けていただくと『選考委員ってこんなにも嬉しいものなのか』と。そういうことを教えてくれたのが伊丹十三賞です。
今回も、受賞していただいて、ありがとうございます。
これからも楽しみにしています。
副賞(賞金)贈呈 宮本館長より
受賞者スピーチ 星野源さんより
敬愛する植木等さんの話題、鶴見俊輔さんの名言も飛び出した南さんのご祝辞を受けて、星野さんは、ご自身のお仕事について、そして、伊丹十三とこのたびのご受賞について、どんなお話をお聞かせくださるのでしょうか――星野さん、お願いします!!
このたびは、素晴らしい賞をいただきまして、本当にありがとうございます。今、お話を聞いていて、ものすごく、心臓から、胸の内から感動させていただいております。
僕が小さい頃、たしか『マルサの女』(1987年)や『ミンボーの女』(1992年)がよくテレビで流れていて、それを観ていたんですが、20代の半ば頃に、もう一度観直してみたいなと思っていたら、ちょうどDVDボックスが出ました。
そのときが、大人になってからしっかり触れる伊丹さんの映画体験だったんですが、『タンポポ』(1985年)を観て、「なんておもしろいんだ」、「こんなにおもしろいんだ」と痛感して、そこから自分の中で伊丹さんブームが訪れ、エッセイを読んだり、映画を全部観たりしました。
その少しあとに出た『伊丹十三の本』(「考える人」編集部編、新潮社、2005年)も読んで、『13の顔を持つ男』(伊丹プロダクション・テレビマンユニオン、2007年)というDVDも観ました。てっきり映画監督だけだと思っていたんですが、本当にいろんな活動をされていることをそこで知って、すごくおもしろいなと思ったし、かっこいいなと思いました。
ちょっと話が長くなって申し訳ないんですが、自分は中学1年生の頃から演劇と音楽を始めて、高校3年生ぐらいに文章を書ける人間になりたいと思い、それぞれ勝手に活動を始めました。音楽と演技は学校の中で始めて、それがだんだんと仕事になり、そして文章は大人になってから始めて、それもだんだん仕事になりました。
その中で、芝居の現場に行くと「音楽の人でしょ」って言われ、そして、音楽の現場に行くと「芝居の人でしょ」と言われました。どの現場に行っても、あぶれてしまう感覚というか、自分の居場所というものがないなというふうに、ずっと思っていました。
それに加えて文章まで始めてしまったので、どこへ行っても「ひとつに絞らないの?」とか、「何が一番やりたいの?」と言っていただいたんですが、「植木等さんや、僕が小さい頃から憧れていた人たちは、あんなにいろんなことをやっているのに、なぜ、こんなにみんな、ひとつのものに絞ろう、絞ったほうが絶対にいい、って言うんだろう」と、個人的には感じていました。もちろん、二足の草鞋のように適当にやっていたのではだめだと思うんですが、どの仕事も本当に大好きで、「もう、こうしかできないな」って思っていたら、仕事になっていきました。
どこかのグループに属することに憧れてはいたんですけど、だいたいいつもちょっとはみ出してしまう。なんだかすごく淋しい思いをしていました。
そんな中、伊丹さんのいろんな顔を知ることによって「本当に好きなら、おもしろいと思ったことなら、何をやってもいいんだ」って思うようになりました。
受賞のときのコメントにも書いたように、伊丹さんが遠くから、ずーっと、灯台のように、サーチライトのように、灯りを照らしてくださっているんですけど、どうやってもそこには行けないようにできていて、僕の島と伊丹さんの島の間には大きな海が流れていて......それを追いかけようとした時期もあったんですが、その伊丹さんの活動を見ていて、だんだんと「そうじゃなくて、自分の場所を作れ。君は君の場所を作れ」と言われているような感覚がありました。
そして20代後半から、どこかに属するというよりも、「とにかく好きなこと、自分のやりたいことをやろう」、「一人前になりたい」、そういう気持ちでどの仕事もやっていたら、こんなに素晴らしい賞をいただくことができました。伊丹さんには「それが君の場所だよ」って言われているような気がして、すごく嬉しかったです。
僕が物心ついてから、伊丹さんが生でしゃべっているところをテレビ見た記憶はあんまりなくて、大人になってから、いろんなドキュメンタリーや番組などでしゃべっているのを拝見したり、エッセイの文を読んだりすることぐらいでしか、どんな人かを知ることはできなかったんですけど、作品を観ての伊丹さんの印象は「すごく自由な人だな」ということです。
伊丹さんは、自分の好きなものとか、おもしろいと思うことを、本当に素直に追い求めてる。突き詰めて、それをみんなに紹介したり実践することによって、周りの人がすごくたのしくなったり、日本という場所について、見ている人たちみんなが心を踊らせられたり、たのしいなと思ったり、気持ちがちょっと変わったりする。それってすごいことだなと思います。
そして、怒りや、憤りや、悲しみからも、自由だったような気がします。きっといろんなことがあったんだと思います。なのに、その怒りさえもおもしろいことに変えて、みんなに見せて、みんなが気分が悪くなるようなことではなくて、「すごくおもしろかった」っていう思いで劇場を出たりテレビのスイッチを切ったりする――そんな表現をする人はとてもとてもかっこいいと思います。僕は、そういう人にいつかなりたいな、とも思います。
先ほど(南伸坊さんから)お話のあった植木等さんも、とてもまじめな人で、「スーダラ節」を歌うのが本当は嫌だったけど、「あの歌詞は本当に人間の真理だから、堂々と歌っていいんだよ」とお父さんに言われて、歌うのを決意したと聞きました。植木さんは、そういうところも含めて、「自分は、本当はすごく明るい人間ではないけれど、たのしいものやおもしろいものを届けてもいいんだ」っていうふうに思わされたというか、「思っていいんだ」というふうにしてくれた、素晴らしい人です。
伊丹さんにも、植木さんにも、僕は直接お会いできなかったですけど、「そうやって自分が受け取ったものは、絶対に何らかの形でつながっていく」、「人は、死んでも、みんなが話題にしたり、つないでいったり、自分の栄養にして人に話したり表現したりすることによって、遺伝子はつながっていくものだ」と思っています。
僕も、そういう遺伝子を伊丹さんからもらっているので、自分の表現という形で、ちゃんと自分のフィルターを通した形で、つなげていけたらと思っております。
そして今日、『タンポポ』のドキュメンタリー(『伊丹十三の「タンポポ」撮影日記』、1986年)に出ていた玉置さん(公益財団法人ITM伊丹記念財団理事長、伊丹プロダクション社長)に初めてお会いして、宮本さんに「今度デート行きましょうね」と言っていただいて、なんというか、違う大陸だと思っていたんですけど、僕と伊丹さんの場所は本当に違う場所だと思っていたんですけど、こういう場所へ来させていただいて、直接お話しさせていただいて、「大陸は海の中でつながっていたな」と、すごく思います。
嬉しすぎて、今日はあまり寝れないと思います。このたびは受賞、本当に嬉しいです。ありがとうございました。
宮本館長よりご挨拶
星野さん。おめでとうございます。そして、ほんとうにありがとうございます。
星野さんが伊丹さんをよく知っていらして、そして、いろんなことを感じてくださってたっていうことをスピーチで伺って、まるで、本を読んでいるかのような、とても、すばらしいお言葉と、文章でした。
残念ながら、伊丹さんは、お若い人にはほとんど知られていません。例えば、領収書なんかをもらいますときに「伊丹プロダクション」と言いますと、その「伊丹」が若い方は書けない――「イトウの伊にジンタンの丹、というのはちょっと古いけど、タンチョウ(丹頂)ヅルの丹というともっと古いかしら」とそんなふうにも感じていて――「ああそうだ、世の中、時代っていうのは、こんなふうに進んで行くんだ」とは思っていましたけれども、今日、星野さんのお言葉をいただいて、まだ、知らない方にね、星野さんを介して、伊丹十三の人となりと、そして仕事を、少しずつでもいいから知っていただけたら、どんなに嬉しいかと思っています。
ほんとに、大きな大きな才能をお持ちの星野さんです。ますますのご活躍を......
......「今度、記念館にいらしてね、デートしましょうね!」ってさっき約束したのね、皆さんの前で。
いつ実現するか分かりませんけど、近いうちに。そんなこともありました。
ますますのご活躍を期待しております。ありがとうございます、おめでとうございました!
*************
――いかがでしたでしょうか?
南さん、星野さん、宮本館長の言葉を聞いていたら、これまでの受賞者の皆さんからいただいた言葉や、選考委員の皆さんの祝辞、伊丹十三賞で印象に残っていること、感じてきたことが一気に思い出されて、ご来場のお客様たちが記念撮影のために準備をしていらっしゃる頃には、私は、頭の中の言葉の渦潮にぼうっとなっていました。
今年の集合写真はお部屋の中で撮影しました。
ほぼ日のみなさん、ご誘導ありがとうございました!
第9回まで開催して、歴代受賞者の顔ぶれはどんどん多彩になっていっています。どなたもとても個性的。でも、皆さんが、ご自身について、伊丹十三について、語ってくださったこと、その言葉にあらわれているお仕事ぶりやお人柄のうちには、受賞者全員に(そして、すべての「たのしい贈り物をくれる人」に)つながる共通項をたくさん見つけることができるな、と感じています。
たとえば、第1回受賞者の糸井重里さんは、「ほぼ日刊イトイ新聞」のトップページに"Only is not lonely. +LOVE"という言葉を掲げていらっしゃいます。
今回、9人目の受賞者となった星野源さんのエッセイを読んだり曲を聴いたりしているとき、伊丹十三賞のことはあまり意識していませんでしたが、「"Only is not lonely. +LOVE"の心意気をお持ちだな」と感じていました。そして、ふと「あ、これまでの受賞者は、みなさんそうだ」と気付きました。
こんな嬉しい"因数分解"ができる賞になることを、第1回の頃は想像できていませんでした。
伊丹十三賞は「出会い」の賞です。
星野さんを通じて、たくさんの方が伊丹十三に出会ってくださったら嬉しく存じます。(初めてこのサイトにいらした方、ゆっくりしてってくださいね!)
そして、伊丹十三的な「たのしい」「おもしろい」の精神と、それを持つ方々を、この賞を通じて、広く紹介し続けたいと思います。
*************
さて、楽しい時間はあっという間ですね、お開きの時がやってきてしまいました。
館長~、お願いしまーーす! おっと、今年は三本締めですか!
かしこまりました、まいりましょうまいりましょう!
イヨ~ォ!!
ご来場くださった皆様、ご協力くださった皆様に、心よりお礼申しあげます。
今回も、ありがとうございました。
―― たくさんの、たのしい写真に感謝 ――
撮影:池田晶紀さん(株式会社ゆかい)
撮影協力:ほぼ日刊イトイ新聞乗組員のみなさん
(☆印の写真のみ主催者撮影)
学芸員:中野
2017.04.17 第8回「伊丹十三賞」受賞記念イベントを開催いたしました
2016年春に「第8回伊丹十三賞」を是枝裕和監督にご受賞いただいたことを記念したイベントを、2017年4月8日(土)に開催いたしました。
今回の受賞記念イベントは、是枝監督と、番組制作会社「テレビマンユニオン」の取締役でテレビ演出家・脚本家の今野勉さんの対談で、テーマは「伊丹十三とテレビ」でした(是枝監督と今野さんのご関係については、コチラの記念館便りでもご紹介しています)。
遠方からお申込みくださったお客様もいらっしゃいましたね。誠にありがとうございます。
本日は、対談当日の様子をお届けいたします。
::::::::::::::::
会場は、第7回受賞者・新井敏記さんのトークイベントと同じく、記念館内のカフェ・タンポポ(定員50名様)。午前中に降っていた雨も午後には止み、会場客席から雨上がりの新緑の中庭をご覧いただけました。
こちらは開演前の是枝監督(写真中央)、今野さん(写真右)、宮本館長の中庭回廊での様子です。
イベントは18時に開演し、宮本館長からご来場の皆さまへのご挨拶のあと、是枝監督と今野さんを会場にお迎えいたしました。
対談に入る前に、今野さんと伊丹さんが携わったテレビマンユニオン制作のテレビ番組から、旅番組『遠くへ行きたい』、歴史ドキュメンタリー『天皇の世紀』、ドキュメンタリードラマ『欧州から愛をこめて』の冒頭数分を、今野さんの解説とともにご覧いただいたのですが......皆さま、楽しそうに見入っていらっしゃいました。どの作品も古びることがなく、ほんとうにおもしろいんですよね。
上映後は、いよいよ対談スタートです。
はじめに、是枝監督は今野さんとのご関係についてこうおっしゃいました。
「同じ会社(テレビマンユニオン)で働いていた時期があります。大先輩。(中略)直接仕事をしたことは、ほとんどないです。僕にとっては、とても大切なテレビ人としての先輩ですし、いろいろな意味で自分がテレビを考えるときに、今野さんがどうテレビをとらえていたのかっていうのが、僕が物を作っていくうえでは、ひとつの指針になってきた方です」
この言葉を聴きながら、貴重なイベントを開催できましたことを、あらためて大変嬉しく存じました。
引き続き、今野さんと伊丹さんが携わったテレビマンユニオン制作の番組についてたくさん語っていただいたのですが、それらのテレビ番組が「自由」であることについてのお話が印象的でしたので、少しご紹介させていただきますね。
是枝監督「"自由ですね"というと、何も決めずに、ただ自然にしていれば自由に撮れると思われがちだけど、"撮れたものが自由に見える"というときには、おそらく、すごく考えているはずなんですよね。(中略)どう番組化していくか、という意識」
今野さん「その意識がないと、自由って表せないんです」
(中略)
是枝監督「同じ時代に、皆が今野さんや伊丹さんのようにテレビというものを自由にとらえていたわけではないじゃないですか。(中略)どうやって"テレビっていうのはここに本質がある。ここに面白さがある"というのを掴めたんですか?」
今野さん「伊丹さんは、ものすごくサービス精神が旺盛なんですよ。つまり、自分の考えていることを伝えるためには、人々が好奇心をもつような言い方・やり方が大事だという。僕はたぶん、その考え方は、映画になってますます発揮されていると思うんですよね」
さらに、是枝監督はこんな風にもおっしゃっていました。
「テレビでものを伝えることに対して批評性を持っていますよね、番組自体が。自由であると同時に、自分たちが関わっている"テレビ"で伝えていることに対する批評性っていうものを、エンターテイメントとして見せていく。(中略)そこが、やっぱり古びないところだと思うんです」
――このように、当時の番組を是枝監督がどんな風に感じていらっしゃるのかを率直にお話しなさり、今野さんがその頃の様子を具体的に、生き生きと伝えてくださるので、わかりやすく、楽しく、ほんとうに贅沢な時間でした。皆さま、時には驚いたり笑ったりしながら、じっと聴き入っていらっしゃいましたね。
日が暮れた頃の会場の様子です
対談は大いに盛り上がり、予定時間を超えての終演となりました。お帰り際のお客様の表情は、どなたも「大満足!」といったご様子でした。
本日ご紹介したのは対談のほんの一部ですが、後日当サイト内に採録ページを設ける予定にしておりますので、楽しみにお待ちいただけましたら幸いです。
是枝監督、今野さん、楽しく貴重なお話をありがとうございました。
ご来館いただいた皆さまにも、心より御礼申し上げます。
これからも、伊丹十三賞をどうぞよろしくお願いいたします。
::::::::::::::::
イベント翌日には、宮本館長が記念館に出勤いたしました!
その様子も、ほんの一部ですがお写真でご紹介させていただきます。
皆さま会話が弾んでいらっしゃいましたね。
ご来館いただきまして、誠にありがとうございました。
スタッフ : 淺野
2017.04.10 収蔵庫ツアー応募締切迫ってます!
4月8日、第8回伊丹十三賞を受賞された是枝裕和監督と今野勉さんによる対談「伊丹十三とテレビ」が盛況のうちに終了いたしました。
このイベントの様子は後日記念館便りでご報告致します。お楽しみに!
さて、いろいろとイベントの続く記念館ですが、開館記念イベントで人気の「収蔵庫ツアー」の応募の締切が迫っています。締切は4月17日です。
収蔵庫ツアーは、直筆原稿や愛用品など、伊丹さんゆかりの品々を学芸員の解説つきでご覧頂けるイベントです。
伊丹さんが着ていた服を見て、「背が高くて大きい人だったんだ~」とか、宮本館長が映画で着用したかつらを見て「顔がちっちゃいんだ~」とか、実物をご覧頂くことで、より実感していただけることがたくさんあるかと思います。
収蔵庫は普段は公開しておりませんので、この機会にぜひご覧頂きたいと思います。
応募方法など詳細はこちらをご覧下さい。
皆様のご応募をお待ちしています。
スタッフ:川又
2017.04.03 第9回伊丹十三賞の受賞者が決定いたしました
多くのメディアでご紹介いただきましたので、すでにご存じの方もたくさんいらっしゃると思いますが――第9回となりました伊丹十三賞の受賞者は......
星野源さんです!
(賞の概要と受賞者情報の詳細はコチラでどうぞ!)
テレビ・雑誌・インターネット、町を歩けば、書店の話題書コーナーや映画のポスターで、お顔とお名前を見ない日はないほど、ご活躍中でいらっしゃいます。
何しろ、俳優で音楽家で文筆家。多岐にわたる分野で旺盛に活動され、ひっぱりダコの星野さんですから、とってもお忙しいはずなのですが――
音楽、エッセイ、演技のジャンルを横断し、どこか息の詰まる時代に、エンターテイナーとして驚くような風穴をあけてしまった星野的表現世界に。
という伊丹十三賞選考委員会による授賞理由をお伝えいたしましたところ、こんなコメントをくださいました。
受賞のお知らせを聞き、本当に驚いています。自分にとって伊丹さんの存在は、遥か遠くに見える灯台のようでした。しかし、その灯りへはどうやっても辿り着けないようにできていて、その活動の姿勢や後ろ姿から、暗に「君は君の場所を作れ」と言われてるようにいつも感じていました。そしていま、こうして伊丹十三賞をいただけたことは、身に余る光栄であり、人生を丸ごと認めていただいたように嬉しいです。これからも手探りで活動を続けたいと思います。本当に、有難うございます。
マネージャーさんを通じて頂戴したこの文章を読んだ瞬間、胸が熱くなりました。
「心から伊丹さんを愛していて、心から喜んでくださっている......歌詞のようでもあるし、孤独を知る旅人の随想みたいでもあり、星野さんの心境が、絵画や映像を見るかのようにイメージできるなぁ......」
気が付いたら、目頭も熱くなっておりました。
"旅人"といえば、星野さんの最新エッセイ集『いのちの車窓から』第1巻(KADOKAWA)が3月30日に発売されました。
人生は旅だというが、確かにそんな気もする。自分の体を機関車に喩えるなら、この車窓は存外面白い――
タイトルエッセイの中の一文です。
日常の風景や身近な人たちに向ける星野さんのまなざしのあり方に、頷き、唸り、いろんなことを気付かされながら読み進めるうち、伊丹さんの名言を思い出しました。「旅の時代」展(2013年12月~2015年12月)を構想するきっかけになった言葉です。
旅をする心を持つ人にとっては、近所を散歩して、見知らぬ道にふいと踏み入ることすら旅であるだろう。
贈呈式レポートは、開催が済み次第、4月中には掲載したいと思います。楽しみにお待ちくださいね。
学芸員:中野
2017.03.27 タンポポセットはじめました
記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
春らしく暖かくなってきましたね。中庭の桂の木も芽吹きの準備を始めているようですが、その中庭で、ちょうど先週からタンポポが咲き始めました。回廊を歩いている途中、咲いているタンポポにカメラを向ける・・・そんなお客様をよくお見かけするようにもなりました。
さて記念館ショップでは、この季節に特にぴったりの、タンポポのイラストをデザインしたオリジナルグッズを取り扱っています。このたび、これらのグッズをセットにした「タンポポセット」の販売をはじめました。
セット内容は一筆箋2冊(罫線有り・罫線無し各1冊)、封筒6枚入り1セット、ゴム印『タンポポ』Sサイズ1個。これまで記念館ショップでご好評いただいていた商品ばかりですが、セットにして、通常税込1,404円のところを税込1,200円で販売しています!おトクです!
一筆箋は厚手で優しい手触りのアラベール紙で作られており、万年筆の書き心地も抜群です。2つ折りにしてカードのようにもお使いいただけますので、ちょっとした一言を添えるのにご利用ください。同じくアラベール紙で作られた封筒にもタンポポが並んでいます。お札も丁度入りますので、「ポチ袋」としてもお使いいただけます。ゴム印は手帳やノート、メモなどにアクセントとしてスタンプするほか、封筒のとじ目に押す封緘(ふうかん)としてお使いになるのもおすすめですよ。
オンラインショップでもお求めいただけますので、ご興味を持たれた方はぜひご覧になってみてください。
スタッフ:山岡
2017.03.20 伊丹十三記念館・開館10周年記念イベント
松山では、そこかしこに春の訪れを感じるようになりました。記念館前の川辺の菜の花が、元気いっぱいに咲いています。
正面入口横のユキヤナギも、すっかり見頃になりました。
春本番が楽しみです。皆さまがお住まいの地域はいかがでしょうか。
さて、来る5月15日(月)、伊丹十三記念館は開館10周年を迎えます!
このような大きな節目を迎えられますのも皆さまのおかげと存じ、心より感謝申し上げます。当館では、皆さまへの感謝の気持ちを込めて、3つの開館10周年記念イベントを開催いたします。本日は、それぞれのイベントについてご案内させていただきます。
------------------------
(1) 4月2日(日)「無料開館」
開館10周年に先がけて、4月2日(日)は無料開館いたします。
「記念館に興味はあるけれど、まだ行ったことがなくて」という方はもちろん、「もう一度行ってみたい」という方も、ぜひいらしてください。普段から「記念館は●度目です」というお客さまはたくさんいらっしゃいまして、その目的もさまざまです。
「新しくなった企画展を観たくて」
「友人が松山に遊びに来ると、毎回おすすめの場所として案内しています」
「中庭の季節の移ろいを楽しみに」
等々、二度目、三度目ならではの記念館を楽しんでくださっています。
ひとりでも多くの皆さまに記念館を楽しんでいただきたく存じておりますので、お誘い合わせのうえお越しくださいませ。
(2) 5月12日(金)、13日(土)、14日(日)「収蔵庫ツアー」
記念館の収蔵庫には伊丹十三の愛用品や直筆原稿、イラスト原画、蔵書などが収められており、収蔵庫の2階部分は、それらを「展示風」に収蔵できる作りになっています。
収蔵庫の一角
湯河原にある伊丹さんの別荘のダイニングを再現しています
この、普段は公開していないスペースを学芸員がご案内いたしますのが「収蔵庫ツアー」です。毎年恒例の開館記念イベントとしてご好評いただいておりまして、「伊丹さんのことを、より身近に感じることができました」「また作品を観たくなりました」といったご感想をお寄せいただいております。
事前応募制(4月17日必着)で、応募が定員を超えた場合は抽選とさせていただきます。
応募方法・注意事項などの詳細はコチラをご覧ください。
伊丹さんを、より深く知っていただける絶好の機会ですので、奮ってご応募くださいませ。
(3) 5月15日(月)「ミニミニジャズライブ」
開館記念日当日の5月15日には、ジャズシンガーとしても知られる宮本信子館長による「ミニミニジャズライブ」をお届けいたします。
記念館の中庭を囲む回廊で、スタンディング(立ち見)でご覧いただくフランクなスタイルのライブです。
中庭回廊
開演時間は17時です。約35分間の「ミニミニ」ライブではありますが、夕暮れ前のひとときに、宮本館長の歌声をお楽しみいただけましたら幸いです。緑が美しい5月の中庭ならではの心地良さも感じていただけることと存じます。
当日は、伊丹さんの84回目のお誕生日でもあります。大切な記念日に皆様をお迎えできますことを、楽しみにしております。
ご参加いただくには、当日14時から配布する整理券が必要です(先着100名様)。
配布方法・注意事項などの詳細はコチラをご覧ください。
※中庭でのライブのため、悪天候の場合は中止となります。何卒ご了承くださいませ。
------------------------
スタッフ一同、開館10周年を迎えられますことを大変嬉しく存じております。
皆さまに楽しんでいただきたく存じておりますので、ぜひ開館10周年記念イベントにご参加くださいませ。お待ちしております。
スタッフ : 淺野
2017.03.13 伊丹映画と表現の自由
3月半ばになりました。
桂の葉はまだ出てきていませんが、芽吹いた枝先が赤く染まって「エネルギーがみなぎってきたぞ~~」と木が言っているみたいです。ちょっとワクワク。
花粉症の方にはつらい季節と存じますが、前庭や中庭の四季折々の眺めをお楽しみいただけましたら嬉しいです。
さて、本日3月13日(月)13時からの「十三日の十三時」で、伊丹映画10作品が一巡します。
今月の作品『マルタイの女』(1997年)は、ある有名女優が、殺人事件を目撃したことから身辺保護の対象者"マルタイ"となって、数々のピンチを乗り越えていくドラマチックな監督第10作。アクションあり、サスペンスあり、豪華絢爛な舞台公演のシーンあり、伊丹映画では初の「刑事もの」です。
『マルタイの女』が監督自身のマルタイ生活(※)から生まれた作品であることはよく知られていて、身辺保護を受けながらプロフェッショナルの仕事ぶりを間近に観察して「ホウ、面白い」「プロというのはすごいものだネ」と大いに感心したのであろうと思われるエピソードが随所に見られます。
※監督第6作『ミンボーの女』が公開された1992年5月。伊丹十三が帰宅したところを暴漢に襲われ、左頬と左手を切られるという事件が発生。一流ホテルがヤクザを撃退するまでを描いた作品に不満を持った暴力団員の犯行でした。この事件により、伊丹・宮本夫妻は約1年半にわたって身辺保護を受ける生活を送りました。
非日常的な実体験をもとにしたディティールの面白さは、笑いと学びを同時に楽しめる伊丹映画ならではの娯楽性につながっていますが、マルタイ経験から5年をかけて構想されたこの作品には、「面白いから」ということだけでなく、ある真剣な思いもこめられていました。
事件に関して、また暴力事件や表現の自由に関して、多くの方方がわがことのように勇気ある怒りの声をあげてくださったのが実に感動的で、心揺さぶられる思いをいたしました。苦境にある人間を支えてくれるものが、何よりも人人の理解と支持である、ということを今さらの如く教えられた思いです。この教えは、今後の私の映画作りに反映し続けてゆくことになるでしょう。<事件に対するお見舞いへのお礼状(1992年)より>
映画『マルタイの女』は、勇気ある証人と、命をかけて彼女を守る刑事たちの、愛と感動の物語です。民主主義社会を守るためには、われわれは暴力団やカルトをはじめ、われわれの自由や言論を封殺しようとするあらゆるテロリズムと戦わねばなりません。そのためには一般市民の理解と協力、わけても、テロ行為の目撃者の勇気ある証言が是非とも必要になってくるのです。われわれが自然なものとして享受している自由や安全は、実は、市民一人一人の勇気と知恵と努力によって、育てられ、守られていくものであることを『マルタイの女』は教えてくれるでしょう。<『マルタイの女』劇場パンフレット(1997年)より>
"ミンボー事件"のときに励ましてくれた人たち、守ってくれた人たち、勇気をもって証言してくれた人たちへの感謝と、表現者としての決意から生み出された映画、というわけです。
それにしても......こうして20年前の伊丹監督の言葉を読んでみると、人間の自由や安全を脅かすものは時代によって姿を変えるらしいこと、それだけに「表現の自由」も議論のやまない問題であり続けていることを感じます。
表現する側の人だけでなく受け手の側も、自由でいること、自由を育て守ることをしっかり意識していかないといけませんね。(つまんない映画ばっかりになったら困るもの!)
「十三日の十三時」は、来年度も、第1作『お葬式』から『マルタイの女』まで、毎月1本ご覧いただけます(5月・8月は開催いたしませんのでご了承ください)。2周目となりますが、思いを新たにしてお客様をお迎えしたいと思いますので、ぜひお越しくださいませ。
自由な気持ちで伊丹映画をお楽しみいただけましたら幸いです。
学芸員:中野
2017.03.06 親と子供
記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
先週、記念館入り口横のユキヤナギが白い花をつけました。朝晩の冷え込みは続いていますが、少しずつ春らしくなってきているようですね。季節の変わり目でもありますので、体調等崩されませんよう、皆さまどうぞお気をつけください。
さて3月から4月上旬にかけて、県外からのお客様の中には、子供さんが愛媛で進学・就職が決まり、その手続きのためにご家族またはご夫婦で愛媛に来られるという方が少なからずいらっしゃいます。
本日はそんなご家族から――特に親御さんから、「思わず涙が出ました」とのお声をいただく展示について、少しご紹介させていただきます。
「子供ノ誕生日ニ」 伊丹万作
岳彦 オメデトウ
今日ハオマエノ誕生日ダネ
十年前ノ今日
オマエガウマレタトキ
父ハ物置ニハイツテ
郵便受ケヲツクツテイタ
ソノトキ父ハ嬉シサト
心配ノアマリ
何ヲシテヨイカ
自分ノスルコトガワカラナカツタノダヨ
スルトソノウチ
突然オマエノ最初ノ声ガ
高ラカニ聞エテキタ
ソノ声ヲ父ハ一生忘レナイダロウ (後略)
これは、伊丹十三の父・伊丹万作が伊丹十三の10歳の誕生日に書いたものです。
当時病床にあった万作さんが息子に向けたこの言葉は、企画展「ビックリ人間 伊丹十三の吸収術」の一角にある「併設小企画 伊丹万作の人と仕事」で家族写真等と共に紹介されています。特に春のこの時期は、このコーナーをご覧になった上述のような親御さんから普段以上に「感動しました」といったお声をたくさんいただいているのです。
子供さんが何らかの節目を迎えるということで、より強く万作さんの言葉が印象に残ったり、子供さんが生まれてからこれまでのことを思い出すきっかけになったりするのだとか。
もちろん時期・年齢を問わず色々な方にご覧いただきたい展示です。ぜひ記念館で、父から子への想いを感じてみてください。
<<宮本館長出勤のお知らせ>>
宮本館長の次回出勤が決定いたしました!お誘い合わせのうえ記念館にお越しくださいませ。
●4月9日(日)11時頃~13時頃
※当日の状況により、滞在時間等は変更になることがあります。
スタッフ:山岡
2017.02.27 「伊丹十三の言葉」
伊丹十三記念館には、公式twitterアカウント「伊丹十三の言葉(伊丹十三記念館)」(@juzo_itam)があります。
このアカウント、伊丹さんの著作からユニークなひとことを一日3回ツイートするbotなのですが、2017年2月現在、2,000人以上の方がフォローしてくださっています。記念館便りをご覧の皆様の中にも、フォローしてくださっている方がいらっしゃるかもしれませんね。
記念館ウェブサイト・トップページの右下にある
「twitter」の文字をクリックしていただきますと
2つのアカウント「伊丹万作名言集」「伊丹十三の言葉」をご覧いただけます。
最近の「伊丹十三の言葉」から、リツイートやお気に入り登録をいただいているつぶやきを少しご紹介しますと――
「(編集とは)全体のバランスをとりつつ、快適なテンポを作り出すこと。見せるべきものはじっくりと見せながら、全体を現在進行形で押し切ること。(中略)材料という現実から出発して、架空の「最も映画らしい時間」というものを創り出すのだ。『「お葬式」日記』(1985)」
「カレー・ライスに使う御飯。あれはふっくらと炊けていて、しかも一粒一粒がくっつきあわずにぱらりとしていることが望ましい。だから私はカレーのための御飯を炊く時にはオリーヴ油を少し入れて炊くことにしている。『女たちよ!』(1968)」
「日本人というのは妙に工夫を凝らしたがる悪い癖がある。それをまたメーカーはよく知っているから、服でも車でも台所用品でも、なんだか知らんが妙なポケットがついたり、不必要な花模様がついたり、なにかこう小市民的に一工夫した奴を次次に捻り出してくる。『女たちよ!』(1968)」
――というように、内容はさまざまで、どれも伊丹さんらしい言葉です。
botアカウントというと、つぶやきのバリエーションが少ないものもありますが、「伊丹十三の言葉」は、いろんなことをつぶやきます。見るたびに、「印象的な言葉が、どうしてこんなにたくさんあるのだろう」と驚きます。
また、伊丹さんならではの語り口調がtwitterによく合っていて、既に知っている言葉でも、より身近に感じられるように思います。つい時間を忘れて見てしまいます。
というわけで、伊丹さんの著書はほとんど読んでいるという方にもおすすめです。皆さま、ぜひ一度ご覧になってみてくださいね。
≪カフェ・タンポポからのお知らせ≫
松山は、ようやく寒さが和らいでまいりました。カフェ・タンポポでは、季節のケーキを「いちごのタルト」にチェンジしております。
一足先に春を感じていただけましたら幸いです。ぜひご賞味くださいませ。
スタッフ: 淺野
2017.02.20 大切なお知らせ 2
2月4日(土)から5日(日)にかけて日本映画専門チャンネルで放送された「24時間まるごと 伊丹十三の映画」、いかがでしたでしょうか?
伊丹十三特集はこれから長期にわたって放送していただく予定です。「24時間まるごと」を見逃してしまって地団駄踏んだ方も涙を流した方も、先週末から始まったレギュラー放送で、1作品ずつお楽しみください。
こんどの放送予定は――いいですか、メモのご用意はできましたか、大切なお知らせですからね、絶対絶対メモしておいてくださいね!!
3月11日(土)夜9時から
『タンポポ』
『タンポポ、ニューヨークへ行く』
『伊丹十三の「タンポポ」撮影日記』
の豪華三本立て!!
「24時間まるごと」のプログラムには入っていなかったメイキング『伊丹十三の「タンポポ」撮影日記』が加わって、いっそうにぎやかなタンポポ・スペシャルです。
メモしましたか!? 録画の予約も「あとで」と言わずに今すぐ入れておいたほうがいいですよ!!
次回が二度目の放送となる『タンポポ、ニューヨークへ行く』は、このたびの北米リバイバルと30年前のアメリカでのヒットに関わった人、作品のファン、映画館のお客さんにインタビューして「アメリカ人は『タンポポ』をどう観るのか、どこをどう面白がるのか」を追ったドキュメンタリーです。
この番組を観ていて、インタビューに応じている方が、全員、愉快そうに『タンポポ』について語っていること、しかも、のびのびと、確信をもって語っていることに感銘を受けました。
前回、『タンポポ』について「一番好きな作品」と言ってくださる方がたくさんいると書きました。でも、実は「話の筋から逸れるシーンがたくさんあるから、作者が何を主張したいのか分からなくて戸惑う」とおっしゃる方が多い作品でもあるのです。
アメリカの人々が、それぞれの職業や経歴で培った見方に従って『タンポポ』を楽しみ、自由におしゃべりする様子を見ていて、「正しく"解釈"しなくちゃ、異国の映画だし」というような、委縮した態度や遠慮した表情がまったくなかったことは、痛快ですらありました。(そして、ついついミミッチクなりがちな自分の映画の見方を反省......)
伊丹十三は、J.P.サルトルの文学論を映画作りに"転用"して、こんなふうに語っています。
われわれは映画を半分しか作れない。そして、残りの半分の完成を観客の配慮にゆだねるため、観客の自由に対して映画を作る、ということです。(『「お葬式」日記』より)
『伊丹十三の「タンポポ」撮影日記』にも登場するフレーズですが、「"残り半分の完成"ってこういうこと、難しくないし、とても楽しいことですよ」と海の向こうの人々にお手本を示していただいて、映画というものの素晴らしさを再認識しました。
『タンポポ、ニューヨークへ行く』、ぜひご覧ください。
≪伊丹十三による書き込みのあるサルトル全集≫
サルトルからの"転用"については、
企画展で詳しくご紹介しています。こちらもぜひ!
学芸員:中野
2017.02.13 DVD「13の顔を持つ男」特典映像
記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
伊丹十三記念館は今年5月15日に開館10周年を迎えますが、先日来館されたお客様の中に、10年前、建設途中の記念館を散歩中に毎日目にしていたという方がいらっしゃいました。
記念館の近くにお住まいで、建物などが少しずつ出来上がっていく様子を当時は非常に楽しみにされていたそうで、「あれからもう10年も経つんですね」とお話しくださいました。このようなお話をうかがうと、より一層10年の月日を感じますね!
さて10年前、記念館がどのようにしてできたのか――については、DVD「13の顔を持つ男」の特典映像「伊丹十三記念館ができるまで」でその当時のことを垣間みることができます。
ナレーション曰く「その計画から完成までを見つめてきた記録」であるこの映像には、2005年12月27日に行われた伊丹十三記念館建設の記者発表の様子にはじまり、伊丹さんの遺した膨大な資料の整理に携わる人々、形作られていく記念館の建物とそれを視察する館長や関係者の姿、展示の企画会議、リーフレットや十三饅頭製作の様子――それらを経てついに迎えた2007年5月15日・伊丹十三記念館オープンの日の様子などが収録されています。そして最後はこんなナレーションでしめくくられています。
最後に、伊丹さんならこう言うでしょう。
記念館というのも半分しか作ることができない。
あとの半分はお客さんの心の中で完成するんです。
あなたがどんなふうに記念館を完成させるかを楽しみにしています。
23分ちょっとのこの特典映像で、本当にたくさんの人の想いがぎゅっと詰まって出来上がった記念館であることを再確認できます。10周年という節目を迎えるにあたり、記念館に来たことがある方、これから来られる方も「10年前はこんな様子だったんだな」とまた違った視点で記念館をみることができると思います。
この特典映像が収録されたDVD「13の顔を持つ男」は記念館ショップ、また、オンラインショップでお買い求めいただけますので、少しでもご興味を持たれた方はぜひご覧になってください!
【DVD「13の顔を持つ男」】
スタッフ:山岡
2017.02.06 第8回伊丹十三賞・受賞記念イベント開催決定!
当サイトのトップページでもお知らせしております通り、第8回伊丹十三賞受賞者・是枝裕和監督による受賞記念イベント「是枝裕和×今野勉 対談 伊丹十三とテレビ」の開催が決定いたしました!
イベント開催を楽しみになさっていた方もいらっしゃることと存じます。
申込み受付は、「2月22日(水)10時」に開始致します。本日は、概要などをお届けします。
【イベント概要】--------------------------
≪第8回「伊丹十三賞」受賞記念 是枝裕和×今野勉 対談「伊丹十三とテレビ」≫
日 時:2017年4月8日(土)18時開演
会 場:伊丹十三記念館内「カフェ・タンポポ」
登壇者:是枝裕和氏(第8回伊丹十三賞受賞者)、今野勉氏(テレビ演出家・脚本家)
定 員:50名様(事前申込み・先着順・定員に達し次第受付終了)
参加料(入館料):800円(事前支払い)
※2月22日(水)10時に、申込み専用ページを当サイト内に開設いたします!
--------------------------------------
是枝監督には、2016年春に「第8回伊丹十三賞」をお贈りさせていただきました。
その際に、「伊丹十三という名前は僕にとっては特別なものです。伊丹さんご自身もその志に共感して深く関わられていたテレビマンユニオンに僕も27年在籍していましたし、伊丹さんがそこで今野勉さんたちと作られたテレビ史において特筆に値する斬新で、軽妙で、それでいてテレビの本質を鋭くえぐった番組群は、僕自身がテレビについて考える上で最大の指針になりました。今回、その特別な名前のついた賞を頂けるのは大変光栄ですし、作品そのものだけではなく、それと向き合う姿勢や、組織のあり方も含め評価を頂いたのが、何より嬉しいことで、周りのスタッフも共に喜んでくれると思います。本当にありがとうございました」と、受賞コメントをお寄せいただきました。
今回の受賞記念イベントには、受賞コメントにお名前のあるテレビ演出家・脚本家の今野勉さんにもご登壇いただきます。是枝監督と今野さん、お二人による豪華対談なのです!
今野勉さんは、テレビ番組制作会社「テレビマンユニオン」の創立メンバーであり、現在は取締役でいらっしゃいます。
数多くの作品を手がけてこられた中で、伊丹さんと制作なさったテレビ番組としては、旅番組『遠くへ行きたい』をはじめ、歴史ドキュメンタリー『天皇の世紀』、ドキュメンタリードラマ『欧州から愛をこめて』などがあります。どれも、今見ても斬新です。
記念館の常設展には、伊丹さんの「テレビマン」としての顔を紹介するコーナーがあり、お客様から「放送当時に見たことを、鮮明に憶えています」とお声をかけていただくことがあります。
記念館グッズショップ・オンラインショップでも販売しております書籍『伊丹十三の本』(新潮社)には、今野さんのインタビューが収められており、テレビマンユニオンの皆さまとともに、伊丹さんが新しいタイプのテレビ番組作りに挑戦していた様子を、具体的なエピソードとともに知ることができます。
今回の対談のテーマは、「伊丹十三とテレビ」です。是枝監督と今野さんから貴重なお話を伺えることと存じますので、皆さま、ぜひご参加くださいませ!
第8回伊丹十三賞の贈呈式当日に、
是枝裕和監督、宮本信子館長、選考委員のお一人である周防正行監督と、
当日お越しくださったテレビマンユニオンの皆さまでお撮りしたお写真です。
後列・右から3人目が今野勉さんです。
なお、今回の対談は、第7回「伊丹十三賞」受賞記念イベントと同様に、記念館内の「カフェ・タンポポ」で開催いたします。
第7回「伊丹十三賞」受賞記念トークイベント時のカフェの様子
カフェならではの温かい雰囲気も楽しんでいただければ幸いです。お席に限りはございますが(定員50名/先着順・定員に達し次第受付終了)、皆様のお申込みをお待ちしております。
スタッフ: 淺野
2017.01.30 大切なお知らせ
大切なお知らせです。みなさま、メモのご用意を。
2月から、日本映画専門チャンネルで伊丹十三の特集をしていただくんですが――
いいですか、大切なことなので大きい声で言いますよ、
今週末、2月4日(土)・5日(日)は特別企画
『24時間まるごと 伊丹十三の映画』です!!
この特別企画のオープニングを飾りますのは、「タンポポ、ニューヨークへ行く」。新作のドキュメンタリー番組です。
海外でも根強い人気を誇る『タンポポ』が、昨秋から北米でリバイバル上映されています。
北米版のポスターです。ジューシーでポップですねぇ~
その初日、主演女優である宮本館長がN.Y.の映画館へ招かれて、舞台挨拶してきました。(詳しくは宮本信子オフィシャルサイトをご覧ください!)
番組では、舞台挨拶の模様、『タンポポ』のアメリカでのヒットに関わった人たちやファンへのインタビューによって、アメリカ人がこの作品をどう観るのか、どこをどう面白がるのかを追跡、空前のラーメンブームに沸くN.Y.を駆けめぐり、『タンポポ』の魅力に迫っています。
構成・演出・プロデュースは、20代の頃から伊丹十三とドキュメンタリーの現場を共にし、『タンポポ撮影日記』以来、伊丹映画の全てのメイキングを手がけた浦谷年良さんです。面白いこと間違いなし!
見ないと絶対に後悔しますよー!! スケジュール帳に、カレンダーに、大きく書いておいてくださいねーー!!
「タンポポ、ニューヨークへ行く」のあとは、伊丹映画全10作一挙放送!
タンポポ、お葬式、あげまん、~深夜の幕間もお楽しみに~、大病人、静かな生活、マルサの女、マルサの女2、ミンボーの女、スーパーの女、マルタイの女――
日本映画専門チャンネル『24時間まるごと 伊丹十三の映画』は
2月4日(土)19時からデーーース!! お見逃しなく!!
※日本映画専門チャンネルは申込みの必要な有料放送です。
視聴方法などチャンネルに関する詳細情報はこちらをご覧ください。
さて一方、記念館の常設展示室で行っている「十三日十三時の伊丹十三映画」では、今月は『スーパーの女』(1996年)をお目にかけます。
スーパーマーケットを心から愛するオバサンが「スーパーのためにお客様があるんじゃない! お客様のためにスーパーがあるんだ!」を合言葉に、ダメ店員たちをまとめ上げダメスーパーを立て直す、カー・チェイスありカート・チェイス(!)もあり、愉快痛快なお話です。
2月13日(月)にご入館くださった方はどなたでも、13時から常設展示室でご覧いただけます。
『タンポポ』も『スーパーの女』も「一番好き」と言ってくださる方がとっても多い作品です。お気に入りのシーンやセリフについて誰かと語り合うと、止まらなくなる映画なんですよね。
あまりにも身近で誰も不思議に思わずにいた物事に焦点を当て、当たり前に見えていたことの中にある驚きをコメディ・タッチで描く、そんな「伊丹映画らしさ」はもちろんのこと、観てよし語ってよしの二重の楽しさも味わえる『タンポポ』と『スーパーの女』。
ご自宅のテレビで、記念館で、ぜひご鑑賞くださいませ。
学芸員:中野
2017.01.23 新カラーのTシャツ、販売開始です
ついこの間正月を迎えたと思っていたら、もう1月も下旬になってしまいましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
ご存知の方も多いと思いますが、今年2017年5月15日に、伊丹十三記念館は開館10周年を迎えます。
そこで少し早めではありますが、記念館ショップでは、開館10周年を記念して新カラーのTシャツ販売を開始いたしました。
プリントされているのは著書『ヨーロッパ退屈日記』の「スパゲッティの正しい食べ方」の挿絵である「スパゲッティを巻くスペースを作る」という文字と、スパゲッティを巻いている手のイラストで、以前より販売している黒色Tシャツで人気のデザインを「おめでたい」イメージの明るい赤色にプリントしました。
他のデザインも含めて、これまで白・黒の2色で展開していたTシャツに新たに赤色が加わり、ショップも一層にぎやかになりました。
2017.01.16 メイキング映像
ご好評いただいております現在の企画展「ビックリ人間 伊丹十三の吸収術」は、昨年の12月で開始から一年が経ちました。引き続き、2017年12月上旬までの予定で開催しております。
企画展示室の様子
企画展の見どころはたくさんありますが、「メイキング映像がおもしろかった!」というご感想をよくいただきます。
現在の企画展では、『タンポポ』のメイキング「伊丹十三の『タンポポ』撮影日記」を展示上映しております(約30分にまとめたダイジェスト版)。撮影現場の様子が記録されているだけではなく、たとえば「既成の音楽をいかに効果的に使うか」など、『タンポポ』ができるまでの様子を楽しくご覧いただけます。
展示室を一巡したあとにメイキング上映コーナーに戻られて、もう一度じっくりご覧になるお客様もいらっしゃいますし、「家に帰って、もう一度『タンポポ』を観たくなりました」とお声をかけていただくこともあり、とても嬉しく存じております。
企画展で上映しているメイキング映像はダイジェスト版ですが、記念館グッズショップで販売している「伊丹十三FILM COLLECTION Blu-ray BOX Ⅱ」の特典ディスクには、メイキング全編が収録されています。
「伊丹十三FILM COLLECTION Blu-ray BOX」のⅠとⅡ
ちなみに、このBOXⅡの特典ディスクには、伊丹映画のメイキング6作品(伊丹十三の「タンポポ」撮影日記/マルサの女をマルサする/マルサの女2をマルサする/[あげまん]可愛い女の演出術/ミンボーなんて怖くない/大病人の大現場)が収録されています。豪華です!
皆さま、ぜひ現在の企画展で『タンポポ』のメイキング映像をご覧になってみてください。伊丹映画ファンの方はもちろん、まだ映画をご覧になっていない方にもおすすめです。
スタッフ:淺野
2017.01.09 映画企画 リピート開催いたします!
実は、昨年末から薄々と気付いてはいたのですが......
記念館の前を流れる川の土手です。
もう菜の花が咲いています。
いくら暖冬だと言ったって早すぎやしないでしょうか。冬本番はこれから。寒くなったときに後悔しないでしょうか。油断して咲いてしまった花たちを過酷な運命が待ち受けているに違いない、と想像されて妙に心配な1月を過しております。とは言え寒くないのはありがたい。皆様もお元気にお過ごしですか?
さて、昨年6月に開始した「十三日十三時の伊丹十三映画」も、早いもので8回目を迎えようとしています。1月13日(金)の作品は『静かな生活』(1995年)。
女子大生のマーちゃんが知的障害を持つ兄イーヨーと支え合って過ごす、てんやわんやのお留守番の日々を描いた青春映画。てんやわんやなのに「静かな生活」とはこれいかに!?
松山東高校時代からの伊丹さんの友人にして義弟・大江健三郎さんの短篇小説集の映画化で、伊丹映画唯一の原作もの。イーヨーのモデルで大江さんのご長男・光さんが作曲した音楽がサウンドトラックに使われていて、渡部篤郎さんと佐伯日菜子さんが演じる兄妹の健気な奮闘をやさしく彩っています。
「"まじめ"っていいもんだなぁ」「若いってすばらしい」と心が洗われる、美しい作品です。鑑賞後の清々しさは、伊丹映画の中でナンバーワンではないでしょうか。
当日お配りするミニ解説は、現在、鋭意作成中でございます。
8本目ともなれば慣れたもの、チョチョイのチョイ、と言いたいところですが、あらすじって難しいですねぇ!! 解説を作るたびに(つまり毎月)痛感します。
シンプルに、でもなるべく詳しく、そして誤りのないよう、映画を観る前に読むと興味をそそり、しかしネタバレはなく、観た後に読めば楽しさを反芻できる......強欲にもそんなあらすじを目指しておりますけれども、何より「ストーリーのツボを抑えているか、エッセンスを取り違えていないか」というのが、毎回、最大の課題です。
映画本編を何度も観て、シナリオも読んで、公開当時のパンフレットを読み返して、書いては直し、削ったり、前後を入れ替えてみたり。
これまでの7作品分。苦闘の跡。
「伊丹さんの映画ならば流しさえすれば必ず楽しんでいただけるのだから、私の作る解説は面白くなくてもいいや、頑張んなくてもいいや」と思わずに、自分の勉強のため、勉強すれば未来のお客様のためにもなると信じて、気合いを入れて準備させていただきます。
映画をご覧にならない方でも、十三日のご来館者様にはお配りしておりますので、ご縁あってお手元に渡りましたときには、ぜひぜひご一読くださいませ。
この「十三日十三時の伊丹十三映画」は、3月で全10作品がちょうど一巡いたしますが、来年度も開催することにいたしました。
4月の『お葬式』から3月の『マルタイの女』まで制作年順に毎月1作品ずつ、常設展示室のモニターにかけていく予定です。(5月と8月は開催いたしませんのでご注意ください)
本年も、十三日十三時は記念館に集合、よろしくお願いいたします。
- 「映画の時間に合わせて記念館に行けないよ~」という方に朗報! 日本映画専門チャンネルで「総力特集 伊丹十三の映画」が放送されます。新作ドキュメンタリー「タンポポ NYへ行く」もぜひご覧ください。2月4日(土)の19時からは「24時間まるごと」企画です!!
学芸員:中野
2017.01.02 館長・宮本信子から新年のご挨拶
伊丹十三記念館は5月15日で
開館10周年を迎えます。
早いものです。あっという間でした。
その節目を記念して「お祭り」を致します。
(詳細はホームページを御覧ください)
どうぞ応援よろしくお願い致します!
今年は『伊丹十三』が蘇るような、
スポットが当たるような、
そんな気がしております!
今年もよろしくお願い致します!
御来館を、スタッフ一同お待ち申し上げます。
館長:宮本信子
記念館便り BACK NUMBER
- ●2024年10月
- ●2024年09月
- ●2024年08月
- ●2024年07月
- ●2024年06月
- ●2024年05月
- ●2024年04月
- ●2024年03月
- ●2024年02月
- ●2024年01月
- ●2023年の記事一覧
- ●2022年の記事一覧
- ●2021年の記事一覧
- ●2020年の記事一覧
- ●2019年の記事一覧
- ●2018年の記事一覧
- ●2017年の記事一覧
- ●2016年の記事一覧
- ●2015年の記事一覧
- ●2014年の記事一覧
- ●2013年の記事一覧
- ●2012年の記事一覧
- ●2011年の記事一覧
- ●2010年の記事一覧
- ●2009年の記事一覧
- ●2008年の記事一覧
- ●2007年の記事一覧