こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。
2026.06.08 さみだれを
6月に入るやいなや、台風が梅雨を連れてきました。
以来、松山では梅雨らしいお天気が続いています。
ぱらぱら、しとしと、時にざあざあ。降ったり晴れたり。
五月雨ですね。

五月雨といえば......
さみだれを あつめて早し 最上川
松尾芭蕉の『奥の細道』の中でも、ひときわ有名なあの句が思い出されます。
こちらは記念館の前を流れる川。
6月5日(金)16時現在、あまり「早く」なっていません。
橋の下にはアオサギが余裕の表情でただずんでいました。
日本三大急流のひとつに数えられる最上川ですから、芭蕉先生、雨後の川下りでジェットコースター級のスリルを味わったことでしょう。
伊丹十三記念館では、芭蕉の名句をこんなかたちで所蔵しております。
「さみだれを」に加えて
閑さや 岩にしみ入る 蝉の声
涼しさや ほの三か月の 羽黒山
奥の細道"山形シリーズ"で揃えてみました。
"いろはにほへと"47音分の芭蕉の句を元に、伊丹万作が手作りしたかるたです。
このかるた、もともとは「子供トナリグミカルタ」(1942年発売)という商品名の玩具でした。
「子供トナリグミカルタ」(複製)の一部
「ソロッテ ススム トウアノコドモ」「ツクレ ツヨイ ダイトウア」など、軍国主義教育を目的とした標語がいくつも見受けられます。
小学生だった伊丹十三がこれを買ってきて遊んでいるのを見た父・伊丹万作が「こんなもので我が子が遊ぶなんて!」と時世を憂え、すべての札の裏面に、自ら選んだ芭蕉の俳句とそれに対応する絵を描いて与えた、という品です。
先日、テレビ愛媛のニュースで伊丹万作没後80年の特集を放送していただきました。
その際、伊丹万作の人柄をよくあらわす館蔵品としてかるたをご紹介いただき、「オモテとウラはこうなってますよ~」と分かりやすいように撮影されたカットもありました。
テレビ愛媛公式YouTubeチャンネルでどうぞご覧ください。インタビュー出演した宮本館長がすばらしいエピソードの数々を披露されています!
伊丹万作の手作りかるたは「併設小企画 伊丹万作の人と仕事」コーナーでご覧いただけます。
実物は季節ごとに入れ替えてケース内に8句ずつ展示、複製は全47句分を壁面に常時展示しております。


じめじめとしたお天気に心が湿気ってきたら、ぜひ記念館へいらしてください。
伊丹万作の気概に触れて、清々しい気分を味わっていただけること請け合いの展示です。
学芸員:中野
2026.06.01 『サラダ菜(と苺ジャム)のサンドウィッチ』を作ってみました
先日、苺が安価でたくさん店頭に並んでおりましたので、わたくしは苺ジャムを作りました。

苺ジャムといえば、伊丹さん発明の『サラダ菜のサンドウィッチ』をご存知でしょうか。
五つか六つの頃、私は一つの食べ物を発明した。すなわちサラダ菜のサンドウィッチである。うちの庭の小さな菜園からサラダ菜の葉っぱをちぎってきて、苺ジャムを塗りたくったパンにはさんで食べる。ただ、それだけのものであるが、このサンドウィッチがいかにうまいか。どう説明しても、みなさん半信半疑という顔でしか聞いてくださらないが、私は子供心にもサラダ菜と苺ジャムという取り合わせは絶妙であると思った。この考えはいまも変わらない。
ー『女たちよ』 ダッグウッドの悦びーより
というわけで、早速サラダ菜を買ってきまして、この伊丹さん発明の『サラダ菜のサンドウィッチ』を作ってみました。

はじめてこのエッセイを読んだ時から「サラダ菜と苺ジャム」という組み合わせが「絶妙」という伊丹さんの感想に正直疑問を持っており、いつか試してみたい、と思っておりまして、20年の時を経てこの度チャレンジした次第です。

結果は・・・シンプルイズベストで「絶妙」でございました。
サラダ菜は他の葉物野菜と比較しても主張が少な目なので、サラダ菜が採用されていることにも納得いたしました。
みなさんも機会がありましたらぜひチャレンジしてみてください。
スタッフ:川又
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