記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2026.07.20 7月の嬉しいお知らせ3つ

6月中はまだ涼しかったのですが、7月に入り連日最高気温が30度を越える日が続いております。皆さまいかがお過ごしでしょうか。

ほんの半月前までは夜も窓を開けて、扇風機だけで寝ていたのに、最近はもう一晩中冷房がつけっぱなしになっています。驚異的な暑さです。

今年も大変暑く、そして暑さが長引きそうですので、皆さま何卒無理をせず、水分をたくさん取って熱中症にお気をつけてお過ごしください。

 

さて、本日は嬉しいお知らせを3つさせていただきます。

 

1)第18回伊丹十三賞 受賞者の決定

 

ニュースや記念館のホームページをご覧になり、すでにご存知の方もいらっしゃることと思いますが、7月8日(水)に第18回伊丹十三賞の受賞者を発表いたしました。

 

※「伊丹十三賞」は、" あらゆる文化活動に興味を持ちつづけ、新しい才能にも敏感であった伊丹十三が、「これはネ、たいしたもんだと唸りましたね」と呟きながら膝を叩いたであろう人と作品 " に贈らせていただいている賞です。

 

第18回伊丹十三賞をご受賞くださいましたのは、翻訳家としてご活躍されている岸本佐知子(きしもと・さちこ)さんです!

 

s-岸本佐知子様 お写真.jpg撮影:有村蓮

 

 

授賞理由は、「現実世界をひょいと裏返してみせるような、翻訳とエッセイのオリジナルな仕事に対して」でございます。

岸本さんはこの度の受賞を大変喜んでくださり、下のようにコメントを寄せてくださいました。

 

【受賞コメント】

私の十代、二十代、三十代と、伊丹十三さんは雲の上の憧れの大人でした。エッセイ、映画、翻訳、雑誌、創り出すものすべてが面白く、しかもその一つひとつが型破りでスタイルがありました。

 そんなかっこいい大人代表の伊丹さんのお名前を冠した素晴らしい賞を、いい歳をしていまだにアルジェリアとナイジェリアがこの世にあることの不思議を克服しきれていないような脳内五歳児の私が頂戴してしまっていいのだろうかと内心ドキドキですが、これからはもっと精進して、死ぬまでにはなんとか成人したいと思っております。館長の宮本信子さんと選考委員および関係者の皆様に、心より感謝を申し上げます。 

 

岸本佐知子さんといえば、私個人はエッセイのイメージが強い方でした。不思議な読み味で、どこかSFのような展開をし、岸本さん日常の断片と一緒に空想の一部を覗いている気持ちになるエッセイがたくさんあって、とても読みごたえがあります。

もちろん、翻訳家としてのお仕事もたくさん手がけられており、ご自分で翻訳する作品を選ばれているんだとか。一つ一つの作品を丁寧に訳されており、この本も岸本さんが訳されていたのか!と思うほど色々なところでお名前を拝見しています。

岸本さんからいただいたコメントを初めて読んだとき、思わず笑みがこぼれました。エッセイのように軽快で、ご受賞を喜んでくださっているのが伝わってきて、とても嬉しくなりました。

贈呈式は9月7日に開催されます。贈呈式の模様は、記念館便りでもレポートにいたしますので、ぜひ楽しみにお待ちください。

 

※伊丹十三賞概要や歴代の受賞者はこちらから↓

 https://itami-kinenkan.jp/award/index.html

※特設ページも是非ご覧ください。↓

 https://itami-kinenkan.jp/award/award18.html

 

2)Instagramのアカウントの開設

 

ニュース欄でも告知をさせていただきましたとおり、記念館の公式のInstagramのアカウントが開設されました!

 

Instagramのアカウントはこちら

https://www.instagram.com/itami_kinenkan

 

イベントなどの告知のほか、週に一度のペースで記念館の近況やちょっとした日常の一コマなどご紹介させていただきますので、ぜひ覗いてみてください。

 

3)トークイベントのページが公開されました

 

5月17日(日)に開催いたしましたイベント、宮本信子館長×松家仁之氏トークイベント『伊丹十三の「食べたり、呑んだり、作ったり。」――宮本信子、おおいに語る。』に関するページが公開されました。

 

トークイベントの特設ページはこちら

https://itami-kinenkan.jp/event/event_talkevent2026_report.html

 

このイベントは、現在開催中の企画展『伊丹十三の「食べたり、呑んだり、作ったり。」』に関連したイベントです。記念館の事業や伊丹十三関連書籍の出版で長年のご縁をいただいている松家仁之さん(小説家・編集者)を聞き手に、伊丹十三の食の世界について、宮本館長が"おおいに語る"トークイベントでございました。

全体で90分ございましたイベントの様子を、20分弱に凝縮したダイジェスト動画が公開されております。貴重なお話もたくさん出てまいりましたので、ぜひご覧ください。

 

学芸員:橘

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2026.07.13 2026年夏の課題図書

梅雨明け間近の週末、初蝉が聞かれた松山です。
みなさまいかがお過ごしでしょうか。

20260713_1.jpg7月10日(金)朝、中庭の桂のこの辺から
セミの声が聞こえてきました。

先日、東京・神保町の古書店でこんな本を見つけました。

20260713_2 yahiro.jpg

名脚本家・八尋不二氏(1904-1986)の自伝的交友録『映画の都のサムライ達』(六興出版、1980年)です。

八尋さんといえば、大作もコメディも手掛けていらっしゃいますが、カッチリとした構成と少しドライな虚無感の漂う時代劇で多くの観客を魅了した脚本家だと思います。
脚本家の名前や作風を意識して映画を観るようになった頃、八尋さんのシナリオだとワクワクしながら映画館へ向かい、果たして大満足で帰路についたものでした。「カッコいいなあ」「シビレるなあ」と。

そんなわけで、古本屋の書棚に「八尋不二」の名を見つけるや「これだ!」と思うより先に手が伸びていて、10秒後にはお勘定を済ませておりました。優柔不断なわたくしとしては異例の早業。

繙いてみますと、仲間付き合いにおける奇縁や機微といったものを愛しく思う気持ちが、さりげなく、時にほんのりとあたたかい調子で記されていました。「クールなシナリオを書く八尋さんだけど、こういう人だったんだ、いい本と巡りあったな」と感じています。
あ、スター俳優たちについては、時折「色黒」「手足が太い」「年増」などと辛辣でビックリするんですけどね、そこは旧知の仲のご愛嬌ということで......

ところで、八尋さんは伊丹十三の父・伊丹万作と縁浅からぬ人物でもあり、互いが若手脚本家だった頃の苦い出会いのこと、万作から届いた真剣かつユーモラスな釈明と詫びの手紙のこと、その後の親交のこと等々、万作とのエピソードがこの本のそこここで紹介されています。

伊丹万作によるシナリオ評には「これだけ僕をよく識っている文章に後にも先にも出会ったことがない」「彼の僕に対する愛情の深かりしことを、しみじみと感ぜずにはおれない」とも。
そのシナリオ評、ちょっと読み返してみましょうか。

1941~42年、伊丹万作は雑誌『日本映画』に連載していた「シナリオ時評」で、八尋さんのシナリオ『渡辺崋山』(未映画化)をこう評しました。

「崋山」においては、不二もまったく大人の作家になったという感じが深い。その天賦の才華はしばらく別問題として、山中(貞雄)などもひっきょう大人の世界に入り得ずして死んでしまったが、山中の才をもってしても、遂に企ておよばなかった境地にまで、今日の不二が到達しているのをみると、しみじみ年齢の尊さを思わずにはいられない。


 いったい不二くらい、これまで、環境や製作の悪条件に禍されて、むざむざシナリオを殺されてきた作者もあまり類がない。しかし、それが彼を練り、彼のシナリオを強靭にしたと思えば一概に不運とのみはいい切れないかもしれない。だから彼のシナリオは俳優や監督に頼ったところが少しもない。もう今度の「崋山」などは、どんな悪演出で映画化されても、決して殺してしまうことのできないシナリオになっている。これは、たしかに容易のわざではない。

この高評価ついて、八尋さんは「まったく気恥しいくらいの過褒」と書いていますが、ただ褒めるばかりでないのが伊丹万作という評論家なのでして――

 私の考えでは、不二のシナリオは、時間的構成の測定の確かなこと、書く場面への重量のふりあての正しいことなどが特色をなしている。だから、つい話しこんで長くなり、あわてて走って帰る途中で転倒して怪我をするというような不体裁は、彼のシナリオにおいてはまったく見られない。すべての挿話は、あらかじめ計画せられたとおり、冷静沈着、かつ正確に運ばれて行く。しかし、このような特質は彼の長所であるのと同程度に、短所をもなしており、そのために、どうかすると本能的、無意識的な深味に欠け、ともすれば機械的な冷たさが覗く。不調和なうちに自然と備わる美しさといったような味にとぼしく、あたかも定規を使ってえがいた絵の様に割り切れすぎるところがある。たとえば今度の「崋山」でも、あれほど打ちこんでいる題材だから、もう少しフィート数や時間におかまいなく、(というよりも、むしろ、かまいたくても、かまっている余裕がないほど)偏執的に崋山にくいさがったところが見せてもらいたかったのであるが、相変わらず彼は冷淡なほどすらすらと片づけているのが、一抹私にはもの足りないところである。

と惜しく感じた点を指摘し、それから、

これは必ずしも芸術批評ではないが、このシナリオの中で、崋山の同藩の家老川澄又二郎という人が酷く敵役にされているが、私の想像ではこれはあるいは不二の創意によるものではないかと思う。(中略)


 ことわっておくが、私は作品と史実とのくい違いを詮議立てしているのではない。この場合敵役を作ることも、賛成であるし、十分にその効果をも認めているのであるが、ただ問題は、このような憎まれ役に実在した人物の名前をあてる場合には、十分慎重な態度を要求したいと思うのである。ことに近世の史実を扱う場合は、登場人物の子孫への影響もなまなましいわけであるから、このような場合の敵役にはむしろ架空の人物を設ける方がいいのではないかと思う。

と創作上のモラルを説いてもいます。
そうして、それに続く結びが最高なんです。

以上のほか、別に取り立てていうことはない。悪い作品に対してはいうことが限りなくあるが、良い作品に対しては何もいうことはないものである。

 

以上は『伊丹万作全集』第2巻「シナリオ時評」(筑摩書房、1961年)より引用

称えて、要望も苦言も述べて、最後に良い作品だと断言する。なかなかできることではありません。伊丹万作の人間性と筆の力のなせる業なのでしょうが、八尋さんとの深い関係性から生まれた評論なのだろうと想像します。
このような仲間の存在、どんなにか八尋さんの励みになったことでしょう。

――おっと、八尋さんの本を読んでいたのに、ついつい『伊丹万作全集』を読みふけってしまいました。こういう連鎖もまた読書の楽しみでありますけれども。
『映画の都のサムライ達』、今夜から2周目をのんびり読みすすめたいと思います。

学芸員 : 中野

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2026.07.06 豆乳ブルーベリー、今年も開始しました

記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。

カフェ・タンポポでは、今年も人気メニューの「豆乳ブルーベリー」を開始いたしました!

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豆乳ブルーベリー(税込800円)

 

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豆乳ブルーベリーは、毎年この時期にご提供を開始する、期間限定のメニューです。
春の期間限定メニューであった豆乳イチゴからバトンタッチしました。

ブルーベリーの酸味と豆乳のまろやかさがミックスされ、後味もすっきりのこのドリンクは、小さなお子様からご年配の方まで、毎年、世代を問わずご好評いただく人気のメニューです!
いかにもブルーベリー、という紫色のドリンクを、ロンググラスでたっぷりとお楽しみいただけますので、期間中にお越しの際はぜひどうぞ!

また、この時期は豆乳ブルーベリーと合わせて、ペリエ(炭酸水)を使ったメニューもおすすめです。ゆずのジャムやオリジナル生姜シロップをペリエで割ったシンプルなドリンクですが、さっぱりとした口当たりでこちらも人気のメニューです。

「ゆずペリエ」(ゆずジャム+ペリエ)、「ジンジャーペリエ」(生姜シロップ+ペリエ)、「ゆずジンジャーペリエ」(ゆずジャム+生姜シロップ+ペリエ)の3種類を一年を通じてご提供していますが、蒸し暑い夏には、飲むと特にすっきりしていただけると思います!

ペリエの細かな炭酸泡、生姜やゆずジャムの薄いオレンジやイエロー、ミントのグリーンで見た目もさわやかですよ。

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写真は上下ともゆずジンジャーペリエ(税込800円)。
ゆずペリエ、ジンジャーペリエは各税込700円です


記念館にお越しの際はぜひカフェ・タンポポにお立ち寄りください。


スタッフ:山岡

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