こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。
2022.05.30 いろいろなイラストをお楽しみください
記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
だいぶ気温が上がってきましたね!外出されるときなど暑さ対策をしっかりなさってお出かけください。
さて、イラストレーターとしても活躍した伊丹さん。
ここ記念館にはそんな伊丹さんが描いたイラストを多数展示しているのですが、それらをご覧になったお客様から「これ、ぜんぶ同じ人(=伊丹さん)が描いたんですか?」と尋ねられることがあります。
確かに言われてみると、ユーモラスな線画や緻密に描かれた素描など、展示しているだけでもいろいろなイラストがあります。使っている道具も、筆であったり鉛筆であったりと様々です。
エッセイの挿絵として掲載されたイラストに限ってみても、こんなに感じが違うんですよ。
『ヨーロッパ退屈日記』(新潮社)の挿絵の原画
『女たちよ!』(新潮社)の挿絵の原画
『再び女たちよ!』(新潮社)の挿絵の原画
こんなにたくさんの描き方ができる、というだけでも大変感動するのですが、そのひとつひとつのイラストが味わい深いのは、やっぱり「伊丹さんならでは」ですね!ご来館の際はぜひいろいろなイラストを見比べてみてください。
ちなみに、そんな伊丹さんが一番多く描いたのは、飼われていた猫たちだったそうです。猫好きの伊丹さんらしいですね。
常設展示室の「十 猫好き」コーナでは、いろいろな手法で描かれた猫たちがご覧いただけますので、こちらもお見逃しなく!
常設展示室「十 猫好き」コーナー
スタッフ:山岡
2022.05.21 ズッパ・ディ・ヴェルドゥーラ
2022年5月15日、伊丹十三記念館の開館15周年を迎えました。
みなさまのご愛顧とお力添えに心よりお礼申し上げます。
5月15日に更新いたしました記念館便りにて、<宮本信子館長のメッセージ>を載せておりますので、まだご覧になっていない方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。
ちなみに、この開館記念日の最初のお客様は猫でした。自動ドアが勝手に開いたのかと思うと、入り口で焦げ茶色の猫が鋭い目をして中庭を見つめておりました。声を掛けるとすぐに立ち去ってしまったのですが、猫が好きだった伊丹さんの誕生日をお祝いに来たのかな、と少し嬉しくなりました。あっという間に立ち去ってしまい、その様子を写真でお伝え出来ないのが残念です。
段々と気温があがり、日中は汗ばむような季節になってまいりました。食欲が失われていくのに危機感を感じる中、読み返していたエッセイにとても良いものを見つけました。
『女たちよ!』より「スパゲッティの裏に伏兵あり」の中で紹介されているズッパ・ディ・ヴェルドゥーラです。
イタリア料理におけるズッパは、野菜をふんだんに使用したスープを指します。トマトソースで味をつけるもの、カボチャを使用するものなど、種類は様々ですが、作り方はそれほど変わりありません。以下は本文から抜粋した作り方です。
まず、野菜を賽の目に切る。野菜は普通じゃがいも、人参、玉葱、それにセロリを使う。スープ鍋で、細かく切ったベーコンを炒め、これに野菜を加えてざっとかきまわし、野菜が軟くならぬうちに水を加え、塩胡椒し、あとはとろとろと煮込むだけのことである。ただし、野菜の形がなくなってしまうまで煮てはよくない。やはりじゃがいもや人参の小さな賽の目がごろごろしていないとおもしろくないのである。
(『女たちよ!』より「スパゲッティの裏に伏兵あり」p.248)
とてもシンプルかつ野菜もたくさん取れるので、さっそく作ってみようと思い冷蔵庫を開けましたが、あいにくセロリが無かったのでキャベツにて代用しております。
まずは野菜たちを賽の目に。
次に細かく切ったベーコンを炒めます。
野菜を加えてざっとかきまわし、
塩胡椒で味をととのえて、とろとろと煮込む。
なかなか美味しそうなズッパ・ディ・ヴェルドゥーラが出来上がりました。
パルミジャーノというチーズをおろしたものを大匙三、四杯も振って食べるのであるが、熱くてよし冷くてよし、朝食によし、深夜飲みあきて、ちょっとひと休みという時によし、保存はきくし、こんな便利なものはない。
(『女たちよ!』より「スパゲッティの裏に伏兵あり」p.248)
どんなときにも役立ちそうなこのズッパ・ディ・ヴェルドゥーラ。ぜひ、これから暑くなる時期に、作ってみてはいかがでしょうか。
パルミジャーノ・レッジャーノを入れると、かなり本格的な味になります!
この『女たちよ!』の中には、挑戦してみたいと思うような料理がたくさん載っております。サラダ菜のサンドウィッチや手作りのドレッシング、スパゲッティなど。食卓にエッセイに出てくる料理が並ぶとき、伊丹さんの文章がより身近なものになるのではないかと私は思っております。
今回ご紹介しました『女たちよ!』は、記念館にて販売しております。オンラインショップでもお買い求めいただけますので、気になった方はぜひお手に取ってくだされば幸いです。
スタッフ:橘
2022.05.15 5月15日・伊丹十三記念館が15周年を迎えました!
若葉の色が綺麗で、まぶしいくらいですね。
今年のゴールデンウイークは、多くのお客様にいらしていただきました。
とても嬉しかったです!特別な思いを感じております。
やっと~~やっと~~(笑)よかった!
玉置さんから送られて来た記念館の写真を何度も見ました~~。
中庭の桂の木やタンポポも、なんだか嬉しそうでぇす~~!
5月15日は伊丹十三の誕生日。
「伊丹さん~~今年はよい誕生日になりましたネ~~
オメデトウ~~89歳~~!?(笑)」
よい季節です。
中庭のベンチに座って、桂の木をご覧下さいませ。
風が吹いて、揺れる葉を見ていると、ホントウに~~気持ちよくなります!
スタッフ一同、お待ち申し上げます。
皆々様、どうかお身体大切に御自愛下さいませ。
又~~今度はいつ松山に行けますか~~。
お目にかかれる日を楽しみにしております!
感謝
宮本信子
2022.05.09 5月の伊丹十三記念館の様子と伊丹十三記念館のロゴについて
来週、開館15周年を迎える伊丹十三記念館です。
開館月の5月の記念館は毎年すごくいい感じです。
シンボルツリーの桂が美しい時期だからでしょうか。
中庭の桂。今年も元気に芽吹きました。
落葉樹特有の薄い葉が美しい。
回廊のベンチに腰掛けて過ごすのも気持ちよい季節です。
さて、こちらはエントランス。
この玄関ポーチの庇とガラス部分には伊丹十三記念館のロゴが入っています。
この記念館のロゴ、実は・・・伊丹十三がレタリングした明朝体をもとにデザインされています。
どういうことかと申しますと、1961年に伊丹十三の父・万作の「伊丹万作全集」(筑摩書房)が刊行されました。
この全集の明朝体による題字のレタリングを手掛けたのは伊丹十三自身で、記念館のロゴの文字は、その「伊丹万作全集」のレタリングをもとにデザインされているという訳です。
「伊丹万作全集」は常設展示室でご覧いただけますので、ご来館の際はぜひお見逃しなくご覧ください。
スタッフ:川又
2022.05.02 次回「毎月十三日の十三時は記念館で伊丹十三の映画を観よう!」は『タンポポ』です
記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
先月、芽吹いたばかりの中庭の桂を写真でご紹介しましたが、その後あっという間に葉っぱが大きくなっていき、木陰ができるくらいになりました。
風が吹くとみずみずしい若葉がさわさわと揺れて、見ているだけで気持ちがいいです。
さて、展示でコーナーが設けられるほど(常設展示室「料理通」コーナー)料理通であった伊丹さん。
調理方法や調理道具、食事の仕方など、伊丹さんが書いた料理や食に関するエッセイを読んだことがある方も多いと思いますが、5月13日の「毎月十三日の十三時は記念館で伊丹十三の映画を観よう!」では、そんな伊丹さんの監督映画作品から、「食」にちなんだ映画『タンポポ』を上映します!
海外の方のファンも多いという、ラーメンを題材に選んだ伊丹さんの2作目の映画です。
観たことがある方も初めての方も、お時間ございましたらご鑑賞にお越しくださいね。
合わせて、『タンポポ』に関連した展示もお楽しみください。
常設展示室では映画ポスターのパネルとパネル大にしたチラシの裏面をご覧いただけます。
続く企画展示室には、映画パンフレット(スクラップブックにまとめたものです)があります。映画のキャスト・スタッフの方々の『タンポポ』にまつわるお話が載っていて、本編とはまた違ったところから『タンポポ』を楽しめると思います。
映画ポスターパネル
パネルのもう一方(チラシ裏面)
映画パンフレット
また、カフェ・タンポポには、『タンポポ』制作中に伊丹さんがシャープペンシルで描き、のちに映画ポスターにも起用されたキャストの方の似顔絵があります。
こちらもどうぞお見逃しなく。
『タンポポ』キャストの似顔絵
スタッフ:山岡
◆◆◆◆ お知らせ:5月3日(火)は開館します! ◆◆◆◆
明日5月3日は火曜日ですが、ゴールデンウィーク中ということで開館いたします。
お出かけの際はぜひお立ち寄りくださいませ。ご来館をお待ちしております。