こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。
2022.05.21 ズッパ・ディ・ヴェルドゥーラ
2022年5月15日、伊丹十三記念館の開館15周年を迎えました。
みなさまのご愛顧とお力添えに心よりお礼申し上げます。
5月15日に更新いたしました記念館便りにて、<宮本信子館長のメッセージ>を載せておりますので、まだご覧になっていない方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。
ちなみに、この開館記念日の最初のお客様は猫でした。自動ドアが勝手に開いたのかと思うと、入り口で焦げ茶色の猫が鋭い目をして中庭を見つめておりました。声を掛けるとすぐに立ち去ってしまったのですが、猫が好きだった伊丹さんの誕生日をお祝いに来たのかな、と少し嬉しくなりました。あっという間に立ち去ってしまい、その様子を写真でお伝え出来ないのが残念です。
段々と気温があがり、日中は汗ばむような季節になってまいりました。食欲が失われていくのに危機感を感じる中、読み返していたエッセイにとても良いものを見つけました。
『女たちよ!』より「スパゲッティの裏に伏兵あり」の中で紹介されているズッパ・ディ・ヴェルドゥーラです。
イタリア料理におけるズッパは、野菜をふんだんに使用したスープを指します。トマトソースで味をつけるもの、カボチャを使用するものなど、種類は様々ですが、作り方はそれほど変わりありません。以下は本文から抜粋した作り方です。
まず、野菜を賽の目に切る。野菜は普通じゃがいも、人参、玉葱、それにセロリを使う。スープ鍋で、細かく切ったベーコンを炒め、これに野菜を加えてざっとかきまわし、野菜が軟くならぬうちに水を加え、塩胡椒し、あとはとろとろと煮込むだけのことである。ただし、野菜の形がなくなってしまうまで煮てはよくない。やはりじゃがいもや人参の小さな賽の目がごろごろしていないとおもしろくないのである。
(『女たちよ!』より「スパゲッティの裏に伏兵あり」p.248)
とてもシンプルかつ野菜もたくさん取れるので、さっそく作ってみようと思い冷蔵庫を開けましたが、あいにくセロリが無かったのでキャベツにて代用しております。
まずは野菜たちを賽の目に。
次に細かく切ったベーコンを炒めます。
野菜を加えてざっとかきまわし、
塩胡椒で味をととのえて、とろとろと煮込む。
なかなか美味しそうなズッパ・ディ・ヴェルドゥーラが出来上がりました。
パルミジャーノというチーズをおろしたものを大匙三、四杯も振って食べるのであるが、熱くてよし冷くてよし、朝食によし、深夜飲みあきて、ちょっとひと休みという時によし、保存はきくし、こんな便利なものはない。
(『女たちよ!』より「スパゲッティの裏に伏兵あり」p.248)
どんなときにも役立ちそうなこのズッパ・ディ・ヴェルドゥーラ。ぜひ、これから暑くなる時期に、作ってみてはいかがでしょうか。
パルミジャーノ・レッジャーノを入れると、かなり本格的な味になります!
この『女たちよ!』の中には、挑戦してみたいと思うような料理がたくさん載っております。サラダ菜のサンドウィッチや手作りのドレッシング、スパゲッティなど。食卓にエッセイに出てくる料理が並ぶとき、伊丹さんの文章がより身近なものになるのではないかと私は思っております。
今回ご紹介しました『女たちよ!』は、記念館にて販売しております。オンラインショップでもお買い求めいただけますので、気になった方はぜひお手に取ってくだされば幸いです。
スタッフ:橘
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