こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。
2023.12.25 アンコール!
我が母は無類のあんこ好き。いえそれ以上、あんこ中毒者であります。
夜更けに突然「羊羹食べたい」「最中食べたい」「饅頭食べたい」と言い出します。あんこのお菓子を切らしている日には、禁断症状を起こして「ヤダ~、耐えられない食べたい食べたい~」などと身をよじって駄々をこねるのです。
秋のある日、ふと「あんこは足りているだろうか」と母の身が案ぜられて、愛媛のあんこ菓子(もちろん十三饅頭も!)をあれやこれやと買い集め、箱一杯に詰めて故郷へ送りましたところ、想像以上の大喜び。
送ったこちらも嬉しいじゃありませんか、少々得意な気分になり「"餡コール"いつでも承ります」と返信メールに書いて送り、数時間後、味の感想を聞こうと電話すると、第一声「餡コール! 餡コール!」の連呼を食らったのでありました。食べきる前から追加の要望とは、さすが中毒者。
先日、旨いと聞いたどら焼きを送ってみたばかりですが、この暮れの帰省は、わたくし、あんこ菓子の運び屋と化して北国・岩手へ向かいます。まあ、好みが分かっていると迷わなくて済むのは楽なんですけど......あんこって、重いんですよね......
記念館グッズショップ随一の人気者・十三饅頭。
個包装7個入りで税込756円でございます。
記念館の建築を模したパッケージデザインは
旅の記念品にもお土産にも最適、"餡コール"間違いなし!
我が家のそんな裏話はさておきまして、ここからが本題。本当のアンコールをご紹介いたします。
伊丹映画全10作の4Kデジタルリマスター版を特集放送中の日本映画専門チャンネル【伊丹十三劇場4K】で「年末年始アンコール放送」をしてくださることになりました!!
2023年12月25日(月)~2024年1月3日(水)よる、おっと、今夜からスタートですね。
放送予定の詳細はチャンネル公式サイト内の番組表でお調べいただけますが、中野サンタが書き出して、リンクもつけて進ぜましょう。
12月25日(月) 22:15『大病人』
12月26日(火) 21:50『静かな生活』
12月27日(水) 21:40『あげまん』
12月28日(木) 18:45『マルサの女』
12月28日(木) 21:00『マルサの女2』
12月29日(金) 22:00『タンポポ』
12月30日(土) 21:35『お葬式』
1月1日(月) 21:35『ミンボーの女』
1月2日(火) 23:10『スーパーの女』
1月3日(水) 23:00『マルタイの女』
※12月28日(木) はマルサの女シリーズ2本連続放送、
12月31日(日)は放送はありません、ご注意ください。
※日本映画専門チャンネルはご契約の必要な有料チャンネルです。
受信環境によって様々な視聴方法がありますので、
詳細はチャンネル公式サイトのこちらのページをご覧ください。
というわけでみなさん、お名残り惜しゅうございますが、2023年の記念館便りは今日でおしまい。
記念館の年内の最終開館日は12月27日(水)でございます。
日頃のご愛顧に心より感謝申しあげますとともに、また来年もどうぞよろしくお願い申しあげます。どうか御身お大事に、メリークリスマス&よいお年を!
12月28日(木)~1月1日(月)は休館いたします。
1月2日(火)・3日(水)は開館時間を短縮し
10時~17時(最終入館16時30分)とさせていただきます。
学芸員:中野
2023.12.18 マンサクの植樹
11月29日(水)の開館前に、伊丹十三記念館の庭に「マンサク」の木を植樹いたしました。
マンサクとは、「マンサク科・マンサク属」の落葉小高木で、晩冬の寒いうちから黄色の花を咲かせ、いち早く春の訪れを告げる花木です。
今更ながら申しあげますと、伊丹さんのお父さんは「伊丹万作(まんさく)」さんです。
その上「マンサク」の木は昔伊丹さんのご自宅のお庭にも植えられていたことがあるということで、それら諸々のご縁からこの度記念館にマンサクの木を植えることになりました。
当初は庭の北の方に植えるということである程度話がついていたのですが、、、
当日、話し合いの結果
せっかくなので正面の目立つ場所に植えることになりました。
位置や向きを決定し、
植木屋さんに作業を開始していただきました!
芝を剥がし・・・
穴を掘り、、、
植木を設置し、、、
土を戻し、根鉢と土の間に水をたっぷりやります。
最後、剥がした芝を戻して、、、
植え付け完了です。
という訳で、今年2023年、伊丹十三記念館には5月に植えた「ロウバイ」と今回植えた「マンサク」の2本の木が増え、より賑やかになりました。
落葉樹ですので現時点ではあまり目立ってはおりませんが、春になれば可愛い花をつけてくれることと思います。その折にはまた記念館便りでご報告させていただきます。
ご来館の際には是非新入りの「ロウバイ」と「マンサク」をご覧ください。
スタッフ:川又
2023.12.11 フォンデュ
今年も残すところ20日ほどとなりましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
なにかと忙しい年末年始、体調を崩さないように温かくしてお過ごしください。
冬も本番になり、陽が沈むのがグッと早くなりましたので、記念館では日没後からライトアップをしております。開館時間の間にライトアップしている記念館が見られるのは冬だけですので、ぜひ夕方からご来館のお客様は幻想的な記念館もお楽しみください。
日没後の記念館
中庭の桂もライトアップされています。
もうすぐそこまで迫った年の瀬ですが、皆さまは年末年始、何をお召し上がりになるでしょうか。年越しそば、おせち、お雑煮、ご家族で集まってお寿司やすき焼きなど、ご馳走をお召し上がりになるご家庭も多いことと存じます。
本日の記念館便りでは、伊丹さんのお宅のお正月料理についてのお話しです。『ぼくの伯父さん』のエッセイ、「正月料理」を見ると、少し変わったお正月料理が2つ紹介されています。そのうちの1つが、チーズのフォンデュです。
わが家の正月料理が決定した。一つはフォンデュ。スイス料理である。簡単にいうなら、煮立てた白葡萄酒でチーズを溶かしちぎったフランスパンをつけては食べる、というだけの素朴な料理である。発明したのは牛飼いだろう。こいつが滅法うまい。寒い夜親しい友とこれを囲んで、プツプツ煮立つやつをパンにからめとっては口に運ぶと、腹の底から生きる力が沸いてくる。厳格なる自然食主義者の私も、この魅力には抗し難い。ベルンに五日滞在したときは、五日連続でフォンデュを食った。最後の夜などは二人前のフォンデュを食べおわってまだ足りず、さらに二人前注文して、ついにはそれも平らげてしまった。それほど「力」のある料理なのだ、フォンデュというのは。
だから、そのフォンデュを、東京のとあるスーパーの片隅に発見したときの私の喜びをお察し願いたい。いやァ、おどろいたですねェ、あったんですよアナタ、フォンデュが。タイガー印とかいって二人前九百円というインスタント・フォンデュを私は発見してしまったのである。早速買い求めて試験してみると、こいつはイケル! スイスで食べるのと全く変わらない。「正月の料理はこれ」と、直ちに決定し、二十箱注文したら、嬉しいじゃありませんか、年末のせいか、九百円のフォンデュが七百四十円に値下げという、まるでボタ餅で、ほっぺたをなでられているような話なんだなァ。
(『ぼくの伯父さん』より「正月料理」)
なかなかお正月に食べることのないフォンデュですが、伊丹さんのお宅では定番のお正月料理のひとつだったそうです。
現在開催している企画展『伊丹十三の「食べたり、呑んだり、作ったり。」』では、お正月に使っていたといわれるフォンデュ用のお鍋と皿を展示しております。実物をご覧いただくと分かるのですが、こちらのフォンデュ用のお鍋はかなり大きめです。家族みんなでお腹いっぱい食べられそうな立派なお鍋で、見ているだけでもお腹が空いてきます。
企画展示室に展示中のフォンデュ用のお鍋と皿
深さも結構あるのですが、どれくらいチーズを使ったのでしょうか...?
ちなみに、『女たちよ!』の「固まったチーズ」でも、フォンデュのお話しが出てきます。こちらではフォンデュの詳しい作り方やスイスでのフォンデュに関する習慣も紹介されています。
フォンデュというスイス料理がずいぶん普及してきたらしい。日本ではどういうものかフォンデュというと、肉のフォンデュが主流であって、チーズのフォンデュはあまり盛んでないらしいが、スイスでフォンデュといえばチーズのフォンデュをさす。このチーズのフォンデュについて少し説明しようか。
チーズはもちろんスイス・チーズを使う。グリュイエールとか、エマンタルとかいう堅くてでっかいチーズを使うのである。グリュイエールとエマンタルをどういう割合で混ぜるかという点に関してはさまざまな議論があってなかなかにむつかしいのであるが、いずれにせよフォンデュの作り方の基本というのはこういうことである。
すなわち、まず土鍋の底に大蒜をすりこんでおいて火にかけ、これに白葡萄酒を入れて煮立てる。そこへおろしたチーズを入れて、チーズが完全に溶けるまでかきまわし、次にいろいろなスパイスや、キルシュというお酒などを加える。
これをぐつぐつ煮立っている状態で召し上がるわけだが、食べる時は長いフォークの先にトーストの小片をつけて、これをチーズに浸して食べる。トーストを鍋の中に落してしまったら、その人はみんなに一杯ずつのお酒をおごる習慣になっている。
(『女たちよ!』より「固まったチーズ」)
伊丹さんが「滅法うまい」というチーズのフォンデュ。最近では、飲食店で手軽に食べられたり、一人用のフォンデュセットもスーパーで買えるようになっておりますので、伊丹さんのエッセイを思い出しながらお召し上がりいただけたら幸いです。
フォンデュについてのエッセイが載った
『ぼくの伯父さん』と『女たちよ!』
さて、今週13日(水)は「毎月十三日は記念館で伊丹十三の映画を観よう!」の日です。年内最後の上映作品は『タンポポ』。皆さまのご来館をお待ちしております。映画を観た後は、企画展示室の映像コーナーにございます、瀧波ユカリさんの『タンポポ』の炒飯づくりのスライドショーもぜひご覧ください。
〈年末年始 休館・開館日のお知らせ〉
2023年12月28日(木)~2024年1月1日(月)は休館いたします。
(2023年12月26日(火)は通常通り休館いたします。)
2024年1月2日(火)、1月3日(水)は開館時間を10時~17時(最終入館16時30分)とさせていただきまして、1月4日(木)より通常開館いたします。
皆さまのご来館をお待ちしております。
学芸員:橘
2023.12.04 記念館ショップの書籍売り場
記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
2023年も残すところ一カ月を切ってしまいました。お仕事で、学校で、ご家庭で、より一層忙しい日々をお過ごしの方も多いのではないでしょうか。朝晩だけでなく日中も冷え込んでまいりましたので、体調など崩されないようお気をつけくださいね。
冬の中庭の様子です
さてもう1ヵ月ほど前のことになりますが、記念館ショップの書籍売り場で「伊丹さんが書いた本や関連本は、こんなにあるんですか!」と大変びっくりしていたお客様がいらっしゃいました。展示をご覧になって伊丹さんに興味を持ち、なにか本でも買って帰ろうか......と思ったところ、書籍売り場にずらりと並ぶ本を見て驚かれたのだそうです。
書籍売り場(2枚とも)
記念館ショップでは、伊丹さんのエッセイや関連本(冊子)、記念館に関連したものを含め、20冊程を取り扱っています。伊丹さんの著書・関連本の中には残念ながら絶版になった本もありますが、復刊や増刷となったものや、新たに発売されたものもあるんですよ。
今年2023年でいうと、6月に『テレビマン伊丹十三の冒険』(東京大学出版会)と『伊丹十三の台所』(つるとはな)が新たに発行され、10月には『伊丹十三の映画』(新潮社)が増刷・販売再開となりました。伊丹さんの持つ様々な " 顔 " のうち、「テレビマン」「料理通」「映画監督」にスポットをあてた本です。
※それぞれ記念館便りでご紹介していますので、よろしければそちらもお読みください。
左から、『テレビマン伊丹十三の冒険』
『伊丹十三の台所』
『伊丹十三の映画』
今もなお、こんなにたくさんの伊丹さんの著書や関連本が流通していて、それが新たに増えていくというのは、本当にすごいことだと思います。
ちなみに上述のお客様は「伊丹さんがエッセイを書いていたのを知らなかったので、読んでみます」ということで、『ヨーロッパ退屈日記』『女たちよ!』(ともに新潮文庫)をお買い上げくださいました。既に読み終えて、伊丹さんの別の本を読んでいらっしゃるかもしれませんね。
展示をご覧になって伊丹さんに少しでも興味を持たれた方は、そのまま書籍売り場をご覧いただき、気になる本を選んでみてください。
もちろん、記念館はショップのみのご利用も大歓迎です!本屋さんに行くのと同じように本を探しに記念館にお立ち寄りください。お待ちしております。
スタッフ:山岡
------ 伊丹十三記念館・年末年始のご案内 ------
12月27日(水)を2023年最後の開館日といたしまして
(12月26日は火曜日のため通常休館です)、
12月28日(木)から1月1日(月)まで記念館はお休みをいただきます。
2024年は1月2日(火)の朝10時より開館いたします。
記念館サイトTOPページにある、開館カレンダーも合わせてご覧ください。
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