記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2019.03.25 第11回伊丹十三賞の受賞者が決定いたしました!

皆さまお待たせいたしました。
伊丹十三記念館より、毎年春恒例のお知らせをお届けいたします。

すでにメディアでも報じられていますので、ご存じの方もいらっしゃることと存じますが、第11回伊丹十三賞を、浪曲師・曲師の玉川奈々福さんにご受賞いただくことになりました!

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撮影:御堂義乘


<玉川奈々福さんプロフィール>
浪曲師・曲師
1964年7月19日横浜市生まれ。
1995年7月二代目玉川福太郎に入門。三味線の修行をしていたが、師の勧めにより2001年より浪曲師としても活動。2004年「玉川福太郎の徹底天保水滸伝」全5回、2005年「玉川福太郎の浪曲英雄列伝」全5回をプロデュース。2006年12月、奈々福で名披露目。2017年から18年にかけ、「語り芸パースペクティブ」全11回を開催。さまざまな浪曲イベントをプロデュースする他、自作の新作浪曲や、長編浪曲も手掛け、他ジャンルの芸能・音楽との交流も多岐にわたって行う。平成30年度文化庁文化交流使として、中欧、中央アジアの計七か国で公演を行った。

<授賞理由>
現代の観客のこころを動かす語りの芸と、浪曲にあらたな息を吹き込む卓越したプロデュース力に対して。

(伊丹十三賞選考委員会)


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皆さま、浪曲をお聴きになったことはおありでしょうか?
わたしは、これまで一度も聴いたことが無かったのですが、先日奈々福さんが浪曲を語っているようすを映像で拝見し、その迫力と情感あふれる世界に大変驚きました。なんておもしろい!同時に、不思議と気持ちがほぐれるようにも感じました。
いつか、ぜひ生で聴いてみたいと思っています。

三味線を伴奏に、節(ふし)と啖呵(たんか)で物語を語る演芸・浪曲は、明治初期にはじまり、昭和30年代ころまでは国民的芸能だったそうです。けれども、今では随分接する機会が減っていますよね。
奈々福さんは、浪曲師・曲師(浪曲における三味線奏者のこと)として寄席での公演を行うほか、浪曲イベントをプロデュースなさったり、他ジャンルの芸能とも交流なさるなど、さまざまな方法で、浪曲の魅力を伝えていらっしゃいます。

伊丹十三賞は、

1. びっくりした
2. おもしろい
3. 誰にでも分かる


そんなお仕事をなさっている方にお贈りする賞です。
※ 詳しくはこちらをご覧ください↓
宮本信子館長 Official Site「タンポポだより
記念館ホームページ「伊丹十三賞概要

奈々福さんのお仕事ぶりは、まさに「びっくりした」「おもしろい」「誰にでも分かる」。
今年もまた素敵な方にご受賞いただけましたことを、スタッフ一同、大変うれしく存じております。

受賞者コメントは、以下のページからご覧いただけます。
<伊丹十三賞 受賞者ページ>
http://itami-kinenkan.jp/award/award11.html

奈々福さんのブログでも、受賞についてふれてくださっています。
<ななふく日記>
http://tamamiho55.seesaa.net/article/464683823.html

贈呈式は、4月に東京都内で開催いたします。後日、あらためて記念館便りで贈呈式の様子をご報告いたしますので、楽しみにお待ちくださいませ。


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<記念館からのお知らせ>


2019年5月15日(水)、伊丹十三記念館は開館12周年を迎えます。
5月の開館記念日に先がけた記念イベントとして、4月7日(日)に一日無料開館を行います。通常大人800円、高・大学生500円の入館料を、この日は無料といたします。

「記念館に行ったことはあるけれど、もう一度行きたい!」という方のご来館も大歓迎ですので、お誘い合わせのうえ、いらしてくださいませ。
*駐車スペースに限りがありますので、なるべく公共交通機関をご利用ください。

皆さまのご来館を、お待ちしております。

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こちらはベントレー横のヤマザクラ。
つぼみがふくらんでいますね、満開になるのが楽しみです!

スタッフ : 淺野

2019.03.18 クリアファイルに新デザイン登場!

記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
3月も半ばを過ぎ、仕事や学校などでより一層忙しくされている方も多いと思います。季節の変わり目でもありますので、体調等崩されませんよう、お気を付けくださいね。


さて本日は、記念館グッズショップから新商品のご案内です。

ショップの人気商品のひとつ、クリアファイルに新デザインが加わりました!

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この新クリアファイルは、先月第三巻が発売された『伊丹十三選集』(全三巻・岩波書店)、その刊行を記念して作りました。書店等でこの本をご覧になったり実際に買われたりして、デザインを見て気付かれた方もいらっしゃるかもしれませんね。記念館グッズショップの多くの商品同様、このクリアファイルも " 宮本館長プロデュース"  です!

おもて面に並んでいるのは伊丹さんのエッセイの挿絵となっているイラストで、『伊丹十三選集』の第一巻から第三巻の本のケースにプリントされているもの。うら面は中身が分かりやすいように透明にし、その右下隅には、赤い記念館のロゴを入れています。サイズは持ち運びしやすいA5サイズですので、旅行中など、ちょっとしたものを入れるのに重宝しますよ。


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記念館のクリアファイルは今回発売したものの他にA4サイズが2種類、A5サイズが1種類ございます。伊丹さんの描いたイラスト等がプリントされたオリジナル商品ばかりですので、これを機に、デザイン違い、サイズ違いで集めてみるのはいかがでしょうか?

オンラインショップでも取り扱っていますので、ぜひチェックしてみてください!

スタッフ:山岡

2019.03.11 ヨメナ

春が近づいてくると思い出す、伊丹万作「愚問愚答」のこの一節――

問 一番おいしい野菜は。
答 よめな。

「愚問愚答」『伊丹万作全集』第1巻(筑摩書房、1961年)

ヨメナ(嫁菜)というのはキク科の多年草で、いわゆる野菊の一種。花が咲く前の若葉は食用にでき、春菊のような、春らしいほろ苦さが好まれているそうです。

伊丹万作全集を初めて読んだときは「ヨメナ?? 見たことも聞いたこともないや」と分かりませんでした。そして今もまだ、不勉強ながら、食べたことはありません。

菜めしやおひたしにして食べると美味なんだそうですが、栽培・販売される種類の野菜ではなくて「摘んでくる」もの、野草なんですね。
雑誌『映画藝術』の伊丹万作追悼特集に13歳だった伊丹十三が寄稿した「父ノ思ヒ出」にも、「父ノ大好物ノ嫁菜」を一緒に摘みに行ったときのエピソードがつづられています。よっぽど好きだったんですねぇ。(この文章を現代かなづかいにした「父の思い出」が『ぼくの伯父さん』に収録されています。)

伊丹万作が「一番おいしい」と言ったヨメナ、どんな野菜なのでしょうか。野草摘みをしたことのない私でも、見つけられるようなものなのでしょうか。

そんな春先のある朝、出勤してまいりますと、記念館の前を流れる川附川(かわつけがわ)の土手に一人の男性がかがみこんで何やらやっているのが見えました。

201903_dote1_2.jpgこのへんでした!

ガードレールをまたいで道路に戻り、去っていった男性の手には、草が握られていましたから、どうやら野草摘みをしていたようです。
もしかしたら、ヨメナだったかもしれない! と思うと、気になって気になって、通るたびにジーーっと見てしまう今日この頃です。

201903_dote2.jpgここにヨメナが!?
(国道から近く、川沿いの道路はワンちゃんたちのお散歩コースに
なっているので、食用の野草摘みには適さない気もしますが...)

さて、明後日3月13日(水)の「毎月十三日の十三時は記念館で伊丹十三の映画を観よう!」は『マルタイの女』(1997年)です。

これまで10作品を公開年順にご覧いただいてまいりましたが、2016年に開始してから3巡いたしましたので、来年度は少し変更しまして、以下のようなスケジュールでご覧いただこうと思います。

伊丹映画@記念館
2019年度のスケジュール

4月13日(土)マルサの女
6月13日(木)マルサの女2
7月13日(土)ミンボーの女
9月13日(金)スーパーの女
10月13日(日)マルタイの女
11月13日(水)お葬式
12月13日(金)タンポポ
1月13日(月祝)あげまん
2月13日(木)大病人
3月13日(金)静かな生活

まず「女シリーズ」を公開年順に5本、それから、女シリーズ以外の作品を公開年順に5本、のスケジュールでございます。

5月と8月をのぞく毎月「十三」日の「十三」時にご来館いただきますと、通常のご入館料(大人800円 / 大高生500円)のみで、展示に加えて伊丹映画を1本まるごとご覧いただけます。お時間をたくさん取って、ぜひご来館くださいませ。

学芸員:中野

2019.03.04 お出かけ先に記念館はいかがでしょうか

記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。

明後日3月6日は、寒い冬の間土の中で過ごしていた虫たちが、春の到来を感じて地上に這い出してくるといわれる「啓蟄(けいちつ)」です。朝晩などまだ冷え込む時はあるものの、日に日に寒さが和らぎ暖かくなってきていますよね。春はすぐそこまで来ているようです。

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記念館入口横にあるトサミズキの蕾も膨らんできました


そしてこの時期になると、春の行楽シーズンに向けて、記念館の開館予定のお問い合わせをいただくことが増えます。中でも4月終わり頃から5月の連休は、その前後も含めてまとまったお休みをとられる方が多いためか、ご旅行や帰省された時のお出かけで、いつもたくさんの方がご来館くださいます。

また、今シーズンは特に、「伊丹十三選集」(岩波書店)や伊丹さんの特集が組まれた雑誌を、書店で見かけたり実際に読んだりしたことがきっかけとなって、「連休を利用して記念館へ行ってみよう!」という方がいらっしゃるようです。
記念館はふだん火曜日を休館日とさせていただいていますが、4月30日の火曜日は開館いたします。4月24日の水曜日から5月6日の月曜日まで休館日なくお客様をお迎えしますので、書籍や雑誌などを通して少しでも伊丹さんや記念館に興味を持たれた方は、ぜひお出かけ先として記念館をご検討ください!

4月23日(火) お休み
4月24日(水)~5月6日(月) 開館 ※4月30日(火)も開館します。
5月7日(火) お休み

記念館の開館カレンダーと合わせて、ご利用案内>入場料・アクセス のページも参考になさってくださいね。

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ご利用案内>入場料・アクセス のページです

スタッフ一同、ご来館を心よりお待ちしています。

スタッフ:山岡