記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2014.03.31 第6回伊丹十三賞 受賞者決定!

春到来、今年もまた「伊丹十三賞」受賞者発表の季節がやってまいりました。

伊丹十三賞の授賞対象は、伊丹さんが才能を発揮した分野 ― エッセイ・ノンフィクション ・翻訳・編集・料理・映画・テレビ番組・CM・俳優・イラストレーション・デザインなど ― と多岐にわたりますが、これらの分野において、

1. びっくりした
2. おもしろい
3. 誰にでも分かる

そんなお仕事をなさっている方にお贈りするのが特徴です。
※詳しくはこちらを御覧ください↓  
宮本信子館長 Official Site「タンポポだより
弊館ホームページ「伊丹十三賞概要

そして! 第6回目となります今回の受賞者は、イラストレーター・作家・俳優などとしてご活躍の、リリー・フランキーさんに決定いたしました!

award_06.jpg(C)HIROSHI NOMURA

 
まさしく、「びっくりした」「おもしろい」「誰にでも分かる」お仕事をなさっていて、唯一無二の存在感がおありですよね(リリー・フランキーさんのお仕事は、公式WEBサイトで紹介されています)。2013年は、映画『凶悪』『そして父になる』での俳優としてのご活躍が印象的でした。

そんなリリー・フランキーさんの、「イラストレーター、作家、俳優など、さまざまなジャンルでリリー・フランキーという存在を確立し、自身をひとつの表現媒体にした独自の才能にたいして」、第6回伊丹十三賞をお贈りさせていただくこととなりました。

贈呈式は、4月に東京都内で開催いたします。当日の様子は、後日あらためて「記念館便り」でご報告させていただきますので、皆さまどうぞお楽しみに。

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【記念館からのお知らせ】

 
● 4月6日(日)無料開館

5月の開館記念日に先立ちまして、本年は、4月の第1週目の日曜日を無料開館日といたします。多くの皆さまに記念館を楽しんでいただきたいと思っておりますので、お誘い合わせの上、お越しくださいませ。

※駐車スペースに限りがございますので、館内および駐車場の状況により入館を制限 させていただく場合がございます。公共交通機関をご利用の上、お越しください。

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●  4月7日(月)宮本館長出勤

13時頃~16時頃、宮本館長が出勤いたします。スタッフ一同、皆さまのお越しをお待ちしております。
※当日の状況により、滞在時間は変更になることがございます。

スタッフ:淺野

2014.03.24 「十三」万人ありがとう

賃貸集合住宅暮らしが長いせいか、他人様のお家の庭木で季節を楽しむ習慣がついてしまいました。通勤の道々、あるいはお買い物への道すがら、あちらのお家ではツバキを、こちらのお家ではコブシを、そちらのお家ではスイセンを、などなど、通りがかりにチョイと拝見することで、春を感じているという具合です。


記念館の近くには道路に面してアーモンドを植えているお家があって、これがすばらしい。「梅は咲いたが桜はまだかいな」という絶妙のタイミングで開花するので、「いよいよ春が来ますよ」と知らせてくれる、ちょっと嬉しいお花です。今年もまた、可憐で健やかな可愛い花が咲いたのを通るたびに見てはニンマリしつつ、このお家の方に心の中で「ありがとうございます」と合掌しています。

 almond.jpgアーモンドの花。バラ科サクラ属だけあって、サクラと似てます。
大きさはソメイヨシノの3倍ぐらいでしょうか。



あれ......でも......この前ここのお家のアーモンドの花を見て「春だねぇ」と思ったのは、つい数日前のことだったような......一年前? 数日前? 一年前は数日前!?
と、月日の過ぎるスピードのあまりの速さに呆気に取られ、キツネにつままれたような気分で3月下旬を過しております。皆様はいかがおすごしでしょうか?

2007年5月15日に記念館がオープンして、これもまたあっという間の6年10ヵ月でございましたが、2014年3月22日、開館以来の入館者数が13万人を突破いたしました!
13万人......十三万人......「十三」......そう、これは当館にとって特別な記録なのです!!

manju_present.JPG"あと100人"を切ってから「十三」万人達成までの記念品として、
ご来館のお客様に当館名物の十三饅頭をお贈りいたしました。

「特別」とはいえ(2000本安打や200勝を達成した野球選手のように)「節目ですから」というクールな感想を持つのだろうと想像していましたが、いやぁ、嬉しいものですね。
そして、これまでの開館日をずーっとさかのぼって行って、ご来館くださったお客様ひとりひとりの手を握って「ありがとうございます!ありがとうございます!!」とお礼申しあげたいほど、感謝の思いでいっぱいです。

十三万人目のお客様は、東京からお越しくださった若いご夫婦でした。なんとなんと、新婚旅行だそうで、「おめでとうございます!」と申しあげましたら、「いえいえ、みなさんもおめでとうございます」とおっしゃってくださって、お互いエヘヘとなっちゃいました。

mr&mrs_uehara.jpgご感想のご記入用紙に描き添えてくださった
あたたかいイラスト&コメントです。キュン!

おふたりからの素敵でそして光栄なコメントと

館長の喜びの声を特設ページでぜひご覧ください。

これまでご来館くださったすべてのお客様、お力添えくださった方々に厚くお礼申しあげます。
伊丹さんのお家に遊びに来たみたいに、くつろいだ心愉しいひとときをご提供できる記念館でありつづけられるよう、この喜びを今後への糧として、スタッフ一同精進してまいります。末永く、どうぞよろしくお願い申しあげます。

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よそ様のお庭を気にしているうちに
記念館の桂もだいぶ芽吹いていました......!!


学芸員:中野

2014.03.17 サンドイッチ

記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
いまだ寒さの名残が感じられる今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。


 少し前の話になりますが、小学校低学年くらいのお孫さんを連れた男性(伊丹さんのエッセイの大ファンだそうです)が記念館にお越しになり、「伊丹さんのエッセイにサンドイッチの話があるでしょう。読むと無性にサンドイッチを作って食べたくなるんですよ。それもあって、よく孫とサンドイッチを作って、天気がよければそれを持ってピクニックに行くんです」と話してくださいました。

大きく口を開けないと食べられないくらいの大きなサンドイッチを作るのだとか。お孫さんはおじいちゃんのサンドイッチが大好きなのだそうです。

 

お客様が仰っていたエッセイは、おなじみ『女たちよ!』でございます。サンドイッチについて書かれた話の、一部を引用してご紹介しますね。

 

いろんな料理に、飽き飽きして、なにを食べていいかわからない、という時にダッグウッド・サンドウィッチはまさに好適のものであります。

サラダ菜、胡瓜、トマト、ロース・ハム、やわらかく作ったスクランブルド・エッグ、オイル・サーディン、バター、ジャム、マヨネーズ、マスタード、こういうものを食卓の上に賑ぎにぎしく取り揃えて、片っ端からパンにはさんで食べる。少くとも厚さ四、五センチのサンドウィッチを作って、行儀にかまわず食べる。これがダッグウッド・サンドウィッチの神髄であります。...(以下略)(『女たちよ!』-ダッグウッドの悦び) 

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【お客様の仰るとおり、「読むと食べたくなる」お話です】

 

お客様からお話をうかがったのは寒い寒い1月でした。あれから2ヶ月が経ち、巷では少しずつ春を感じられるようになってきました。

お話をしてくださったお客様も、もうお孫さんを連れてピクニックに行かれているかもしれませんね。

 

さて、ここ記念館でも花がほころび始めておりますが...

 

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【記念館入口横のユキヤナギ】

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【記念館入り口横のトサミズキ】

 

そんな春の訪れと共に、館長・宮本信子が出勤いたします!

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 ◇◇出勤日時◇◇

4月7日(月)13時~16時頃まで

※当日の状況により、滞在時間は変更になることがありますのでご了承ください。

 

限られた時間ではございますが、皆さまお誘い合わせのうえ、ぜひ記念館にお越しください。
スタッフ一同心よりお待ちしております。

スタッフ:山岡

2014.03.10 「ニュース」欄をお見逃しなく

2月23日(日)・24日(月)、記念館に宮本館長が出勤し、両日とも多くのお客さまで賑わいました。ご来館くださった皆さまに、心より御礼申し上げます。

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【ほんの一部ですが、館長出勤時の様子です】

 
館長出勤情報も含め、記念館から皆さまにお知らせしたい最新情報は、記念館HPの「ニュース」欄に掲載しています。

「宮本館長が出勤すると聞いたんだけど......」ですとか、「イベントが開催されると聞いたんだけど......」といったお問い合わせのお電話をいただいた際には、お電話口で直接お答えするのと同時に、「よろしければ記念館HPの『ニュース』欄もご覧くださいね」とお伝えしております。と言いますのも、「ニュース」欄には、随時「記念館からお伝えしたい最新情報」を掲載しておりますので、是非ご覧いただきたいんです。

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【記念館HP】
赤丸の部分が「ニュース」欄です


「記念館便り」でもお客さまに向けた情報を発信しておりますが、月曜ごとにエントリーが増えていきますから、「あれ?この間のイベント情報は、何月何日の記念館便りに掲載されていたかな......?」ということにもなりますよね。

その点、「ニュース」欄の情報は「パッと見てすぐわかる」。最新情報をすばやくご確認いただくのには、最適です。

ちなみに、3月10日(月)現在のニュース欄には――

入館者数「十三」万人記念イベント
 伊丹十三の名前にちなんだ記録を記念した、「十三饅頭プレゼント」のお知らせ
開館7周年記念イベント
 恒例の「4月6日(日)無料開館」と「収蔵庫ツアー」のお知らせ

耳より情報が盛りだくさん、皆さまご存知でしたでしょうか......?

先日の宮本館長出勤に合わせてご来館くださったお客さまの中にも、この「ニュース」欄をチェックしてお越しくださっていた方がいらっしゃいました。

皆さま、「記念館便り」とあわせて「ニュース」欄もお見逃しなくご活用くださいませ。


スタッフ:淺野

2014.03.03 伊丹さんの砥部焼

さて、前回からの続きです。

1994(平成6)年8月、伊丹十三は愛媛県久万高原町にある町立久万美術館を訪ねました。
父・万作が1927(昭和2)年に描いた『櫻狩り』という絵を見るためです。

1989(平成元)年に開館した久万美術館の所蔵品は、井部栄治(よしはる)氏のすばらしいコレクションが中心となっているのですが、この『櫻狩り』は、伊丹万作の松山中学時代からの友人だった宮内一乗氏が、万作から贈られて以来、ずっと大切になさっていた作品です。
若 き日に松山で開業したおでん屋「瓢太郎」に失敗して無一文になった万作が、家に迎えてくれるなどして親身に支えてくれた宮内さんへのお礼に描いたものだそ うで、宮内さんが1991(平成3)年に亡くなられた後、久万美術館が寄贈を受け、多くの人々に愛される作品になっています。

宮内さんがごくプライベートな宝物として居室に飾り続けていたこともあり、久万美術館に収蔵されていることを伊丹プロダクション社長の玉置泰氏から聞かされるまで、伊丹十三もこの絵の存在を知りませんでした。
伊丹十三は一家で愛媛へ来て初対面を果たすと、じーっと見入り、そして、父・万作らしいユーモアあふれる表現を大変に喜んだそうです。


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ところで......この時、伊丹さんが密かに目に留めたものがありました。
出されたお茶の入った、白い湯呑茶碗。上の写真で、テーブルの奥側に寄せられたお茶碗です。砥部焼春秋窯の工藤省治氏の作と知り、伊丹さんは砥部町に工藤さんを訪ねて湯呑茶碗や飯碗や小鉢を注文。

久万美術館で伊丹さんを迎えた松岡義太元館長は後日それを知って、開館時に松岡さんが強い思いを持って「これ」と決めた来客用のお茶碗の美しさに、伊丹十三も心を動かしたことを嬉しくお思いになられたそうです。

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慌ただしい旅の最中でも出会いのセンサーを働かせ、ひとたび出会ったらチャンスを逃さない、実に伊丹十三らしいエピソードです。この時手に入れた伊丹さんお気に入りの湯呑茶碗は、現在開催中の『旅の時代』展でご覧いただけます。

そしてビッグニュース!
なんと、この絶好のタイミングで工藤省治さんの作陶の軌跡をたどる展覧会『現代砥部焼の原点 工藤省治の仕事と昭和のデザインプロジェクト』が3月15日(土)~30日(日)、愛媛県美術館で開催されます。


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55年にわたる工藤さんのお仕事をめぐる展示もまた、「旅」のようなすばらしい体験を与えてくれるに違いありません。お楽しみに。そしてお見逃しなく。

学芸員:中野