記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2010.02.22 favoriteグッズ

 記念館だよりをご覧のみなさま、こんにちは!日に日に春らしい陽気になり、なんだか心も体も軽やかになりうきうきしてしまう今日この頃です。

 

松山では「椿さん」「椿まつり」と呼ばれる商売繁盛や家内安全などを祈願する祭事が、毎年旧暦の1月7.8.9日に伊予豆比古神社で行われます。伊予豆比古神社は通称、「椿神社」と呼ばれ、記念館より1.5kmほど南へ行った居相町というところにあります。今年は2月20日(土)21日(日)22日(月)の3日間開催され記念館の前の国道33号線は毎年恒例の椿さん渋滞です。

 

この椿まつりは、「伊予路に春を呼ぶまつり」として有名で、椿さんが終わると厳しい寒さも峠を越し、あたたかい春がやってくると言われています。現在では全国各地から約50万人の参拝者が訪れ参道には約800店もの露天が立ち並び、大変なにぎわいになります。

椿さんに行くとついつい「おたやんあめ」(どこをきってもお多福の顔がでてくる飴)を買ってしまい、食べきれず、また翌年買って...を毎年繰り返しています。。。(今年も買ってしまいました。。。)

椿さん.JPGame.JPG

 ついつい買ってしまうといえば、みなさんには、ついつい買ってしまうお気に入りのキャラクターやグッズなどありますか?

私は「タルトグッズ」にはまっていて、空港や道後などお土産屋さんに行くとついついタルトグッズを買ってしまいます。

長年使いすぎてお写真で紹介できない物もたくさんありますので、ここで紹介させていただいてるのは、ほんの一部です。

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もちろん、食べるタルトも大好きで、邪道かもしれませんが、タルトに天ぷら粉をつけ て油で揚げるとおいしいんですよ?。

和菓子が洋菓子っぽくなるんです。興味のある方はぜひお試しくださいませ。

 

伊丹さんは、四国銘菓「一六タルト」のCMをてがけていて、「なんじゃったかいねぇ?・・・・・いよいよいかん、ぼけてしもた」などと伊予弁で話す伊丹さんのCMは地元では知らない人はいないくらい有名で子供の頃はよくまねをしていたものです。

私はゴルフボール編のCMが好きだったのですが、今流れていないのが残念です。記念館ではその他、懐かしいCMなどが流れていますので、機会がありましたらいらしてください。

今年、椿さんに行きそびれたという方は、来年は2月9日(水)10日(木)11(金)となっておりますので、ぜひ行かれてみてはいかがでしょうか?その時は記念館にも寄ってくださいね?。               

コドモヅレ.JPGベビーイン.JPG

 

 

← 車の後ろに貼っているシールです。 →

 

 

 

 

 

 

スタッフ:木山

2010.02.15 料理通?

こんにちは。バレンタインも過ぎ、今年もはや2月も半ばにさしかかり、信じられない思いです。みなさんは年始に今年の目標って立てましたか?私は目標というか今年やりたいこととして「料理の腕を上げる」を掲げて2010年をスタートしました。私は元来、食べることが大好きで根っからの食いしん坊です。わたしが言うのもちょっとこそばゆいですが、祖母も母もいろんなものを作ってくれる「料理上手」です(だと思います)。先日亡くなった祖母のお通夜のとき、「ほら、T子さんが作ってくれた大根の酢漬け、おいしかったわ・・・。」と親戚のおばさんが話しているのに耳を傾けながら「おいしいものって、長くあったかく記憶にとどまるんだな」と改めて思いました。祖父母と毎日一緒に食卓を囲んでいた頃のことや作ってもらったおかずあれこれなどを思い出すことが出来ました。
 今をときめく料理研究家やフードコーディネイター等、料理を仕事にして活躍している人たちを眺めて見ますと、親子代々料理研究家という人が少なくありません。辰巳浜子さんと芳子さん、土井勝さんと善晴さん、小林カツ代さんとケンタロウさん・・・。おいしいものを食べて育ち自然と食材や料理法などに関心が高くなって・・・。「おいしい!」は伝えられ発展を続けてゆくものなのでしょうね。
 

おとうさんのナポリタン.JPG

の、はずなのですが私の場合どういうわけか、そうでもなく漬物やおせちづくり、豆をたいたりパンを作ったりは熱心にやるのですが、日々のおかずは家族の目を白黒(!?)させたことも幾度かあります・・・。そんな中、糸井重里さんがやっておられる『ほぼ日刊イトイ新聞』内で話題の料理本「LIFE」(映画『かもめ食堂』のフードコーディネイトをなさった飯島奈美さんの本)を改めて読んでいたところ糸井さんがこんなことを書いておられました。

LIFE.JPG

「まずはじぶんなりの工夫なんかもやめて、レシピそのままつくってみてください。」
なるほど。勝手に砂糖を減らしてみたり、材料も調味料も量を半分にしてみたり・・・と、いろいろと身に覚えがある私はこの言葉をしかと受け止め料理に励むことにしました。材料に関しては、季節のことなどもありますので「ちょっと差し替え」は良しとしています。
 すると・・・、なんだかおいしいものが出来始めワクワクしています。そもそも出来もしないのに自分なりの工夫なんか100年早かったのでしょう。素直にやってみるってすごい。「レシピ」って言ってみればただの紙切れなのに、遠いところにいる会ったこともない誰かが「これおいしいからやってみて」と書いたもので、その通りに材料を揃え、調理してみるとおいしいものが再現できる!これは面白い。今の私には朝刊の「今日の料理」欄も光って見えます。「今日のおかずはなにかな?」つくって食べてまた作って!
 伊丹さんもお料理が上手で食べることが大好きでした。伊丹十三記念館の常設展示内には、「料理通」のコーナーがあるくらいです。朝の開館準備のとき、展示ケースのガラスを磨きつつ並んでいる食器や包丁など見ていると「伊丹さん、どんな感じでみんなとごはんを食べておられたのかな」と思ったりすることもあります。なんだか引き続き楽しい一年になりそうです。

写真右:飯島奈美さんの料理本「LIFE」。2も出ました。作りたいものがいっぱいです。左は、「LIFE」に載っていた「おとうさんのナポリタン」をつくってみたものです。

担当:多胡

2010.02.08 HDD内蔵レコーダーを購入しました

皆様 こんにちはCIMG4881.JPG
立春をむかえ、春が近づいてまいりましたね。
今年は木の芽が力強く膨らみが大きいような気がします。

さて、HDD内蔵DVDレコーダーを購入しました。
ダブル録画が今や主流なのでしょうか、
おススメされるままに購入しましたがこの機能は頻繁に使用しております。

思えばビデオレコーダーというのが無かった時代に、
私はピンクレディーに夢中になっておりました。テレビの前に張り付いて、友達と分担をし、まばたきをしないように!細かな動きを見逃さないように!と振り付けと歌を覚えておりました。
3分間ほどの時間ですが、集中力はMAXだったと思います。
レコードもすぐには買えませんでしたので、カセットデッキで録音をしておりました。
テレビの前にカセットデッキをセットし、始まる時に赤い録音ボタンと再生ボタンをムニュっと押す。
2つのボタンを同時に押すことが小学生だった私にはちょっと大人の作業のように感じていた記憶があります。
 「録音中だから静かにしてね?」と家族には念をしておくのですが、家の前には電車が通っており、その時に限って誰かが踏み切りを渡っていたのでしょうか、警笛が鳴るのです。 「あー、歌が聞こえなくなってる?」でも当時は雑音が入るのが当たり前だった為、めげませんでした。雑誌についているコマ送りのような写真で、振り付けを解説してくれる付録を頼りに歌と踊りを完璧にマスターしておりました。もちろん自転車がいくつになっても乗れるように、今でもピンクレディの音楽を聞くと身体が反応してしまいます。CIMG4878.JPG
昔話が長くなりましたが、レコーダーにせよ、携帯電話にせよ、パソコンにせよ、電気を使用する製品の進化は凄いですよね。昔を振り返ると、無ければ無いなりに努力をして脳を使っていたんだなぁとも思いますが、ついていかなければと焦る自分もいます。
その点、伊丹さんはいち早く、新しいものを取り入れておりました。
少し紹介いたしますと日本で最初のハンディVTRカメラ=HL33が使われた実験番組『LOOK-東京にも空がある』(73年)があります。
番組の一部は『13の顔を持つ男』にてご覧いただけます。

また、「いまでは多くの監督さんがやってらっしゃることですが、
    カメラで撮っている画を全員で見られるように、
    映画の現場で最初にモニターをつけたのは、
    伊丹さんなんです。」 

    (『ほぼ日刊イトイ新聞』「伊丹十三特集」宮本信子×糸井重里 第7回ラッシュの夜より)

ついていくことはたやすいですが、良?く考えたら先取りするということは、
発見しなければできないことですよね。発見し実行してみる。難しそう?と先入観をもたず、脳を柔軟にし、情報をキャッチするアンテナを何本もたてておくことを心がけたいと思います

スタッフ種岡

*写真上:山桜の芽と記念館
*写真下:DVD『13の顔を持つ男』

2010.02.01 花月園競輪場訪問記1

昨年末、花月園競輪場にお邪魔いたしました。

12月20日の記念館便りでご紹介しましたように、『マルサの女』(1987年)ラストシーンのロケ地です。

伊丹さんは"東の空"を背景に撮影した後"西の空"を撮った、と『「マルサの女」日記』に書いていますが、実際にはどんな風景なのか、どんな風景があの映像になったのか、一度この目で見てみたかったのです。

まずは問合せを、と、花月園競輪場へお電話してみましたら、快くいろいろとお教えくださった上に、「現地」を見学しながらお話をお聞かせくださるとのありがたいお言葉を頂戴しました。

そういうわけで、2009年12月27日午前11時、横浜市鶴見区の花月園競輪場へ。冬とは思えないほどのポカポカ陽気の中、京急花月園前駅から坂道をのぼって行きました。花月園競輪場は、丘の上にあるのです。

あたたかく迎えてくださったのは花月園観光株式会社の長津さん。東京から近いこともあって、映画などのロケに使われることの多い競輪場なのだそうですが、『マルサの女』当時のことをご存じの方は、今では長津さんのほかにはいらっしゃらないそうです。撮影から約23年、決して短い年月ではありませんものね...長津さんがいてくださってよかったです。

映画本編から抜き出した静止画の印刷を手に、ロケで撮影されたのと同じ景色を探しに行きます。

 まずは、"東の空"を調査すべく第4スタンド最上段へ。

「ここのスタンドは当時から変わっていません」と長津さんがおっしゃるとおり、白と水色の椅子が変わらず並んでいました。

 stand小2.JPG山崎努さん演じる権藤は、この椅子の上を(通路の階段ではなく)荒っぽく踏み越えてスタジアムを去っていくのですが、実際に上り下りしてみると...「山崎さん!段差がすごくキツいですよ!こんなところを下ったんですか!?」と驚きました。しかも、権藤は片脚が不自由で、杖をついているのです。測ってみたら、段差は30cmもありました。伊丹さんは、現場に到着してすぐに、この演出を思いついたのだそうですが...俳優って、本当にタフな仕事ですね...でも『マルサの女』の中でも大好きなカットです。

 

この場所からスタジアムの外側、南東の方角を眺めますと、こんな感じです。

east小2.JPGこれが、亮子と権藤の会話の背景になった"東の空"の現在です。当時はなかった高速道路の高架橋がかなり目立っていますが、空が広くて海も見えます。

—とすると、"西の空"は向こう側の第2スタンドから撮ったのでしょうか?
「あちら側はスタンドがなかったんですよ。撮影の頃、ちょうど工事してました」
—あ、確かに、メイキングビデオでもロケハン写真でも工事してました!西側の風景は、あの場所からは撮りようがなかったってことですね...う?ん。

 

メインスタンドのさらに上の階から西の空を見せていただきましたが、このメインスタンドの建物も当時はなかったそうですし、西の方の景色を見ても、映画の中と同じ建物が見当たらず、確信がもてません。"西の空"はどこ?どうやって撮ったのでしょうか?

第4スタンドの最上段に戻って、そこからスタジアムの南側の景色を見てみると、どうもそれらしき煙突が見えます。

—あの煙突、それっぽいですけど、近すぎますよね、方角も違うし、きっと違いますよねぇ。
「でも、この建物とあの建物は同じに見えますよ。ほら、階段のかたちが同じ...」
—それにしても近すぎますよね、方角も違うし...
「"西"ではありませんねぇ。南ですねぇ」
—まぁ、とりあえず、候補ってことで写真撮ってみましょう...バシャ。あ...!

south小.JPG

肉眼ではあんなに近くに見えた煙突が、カメラで撮ると、はるか彼方の遠景に...こういうことは理屈では分かっていたのですが、こんなに印象が変わるとは...レンズってすごいですね!

伊丹さんが"西の空"と書いていたので、私はてっきり、カメラをまったく違う場所に移動させて全然違う方角の景色を撮影し、編集でつないだのだと思っていました。でも、この2枚の写真は、同じスタンドで、立ち位置もほとんど変えず、カメラの向きだけちょっとずらして撮ったものです。

そうかー、"西の空"っていうのは、"東の空"よりちょっと西寄りということだったんですね、そうかー、そうかー。と、大いに納得したのでした。

長津さんによると、天気のよい日、このスタンドからは、それはもうきれいな夕焼けや、時には富士山も見えるそうですよ。お近くにお住いの方、ぜひお散歩がてら行ってみてください。

 

写真上:山崎努さん演じる権藤が踏み越えたスタンドの客席(すみません、私の影まで写ってしまいました...) / 写真中:第4スタンド最上段からの南東の景色 / 写真下:第4スタンドから南の景色(右奥に見えているビル群はみなとみらい地区です)

学芸員:中野