記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2010.02.15 料理通?

こんにちは。バレンタインも過ぎ、今年もはや2月も半ばにさしかかり、信じられない思いです。みなさんは年始に今年の目標って立てましたか?私は目標というか今年やりたいこととして「料理の腕を上げる」を掲げて2010年をスタートしました。私は元来、食べることが大好きで根っからの食いしん坊です。わたしが言うのもちょっとこそばゆいですが、祖母も母もいろんなものを作ってくれる「料理上手」です(だと思います)。先日亡くなった祖母のお通夜のとき、「ほら、T子さんが作ってくれた大根の酢漬け、おいしかったわ・・・。」と親戚のおばさんが話しているのに耳を傾けながら「おいしいものって、長くあったかく記憶にとどまるんだな」と改めて思いました。祖父母と毎日一緒に食卓を囲んでいた頃のことや作ってもらったおかずあれこれなどを思い出すことが出来ました。
 今をときめく料理研究家やフードコーディネイター等、料理を仕事にして活躍している人たちを眺めて見ますと、親子代々料理研究家という人が少なくありません。辰巳浜子さんと芳子さん、土井勝さんと善晴さん、小林カツ代さんとケンタロウさん・・・。おいしいものを食べて育ち自然と食材や料理法などに関心が高くなって・・・。「おいしい!」は伝えられ発展を続けてゆくものなのでしょうね。
 

おとうさんのナポリタン.JPG

の、はずなのですが私の場合どういうわけか、そうでもなく漬物やおせちづくり、豆をたいたりパンを作ったりは熱心にやるのですが、日々のおかずは家族の目を白黒(!?)させたことも幾度かあります・・・。そんな中、糸井重里さんがやっておられる『ほぼ日刊イトイ新聞』内で話題の料理本「LIFE」(映画『かもめ食堂』のフードコーディネイトをなさった飯島奈美さんの本)を改めて読んでいたところ糸井さんがこんなことを書いておられました。

LIFE.JPG

「まずはじぶんなりの工夫なんかもやめて、レシピそのままつくってみてください。」
なるほど。勝手に砂糖を減らしてみたり、材料も調味料も量を半分にしてみたり・・・と、いろいろと身に覚えがある私はこの言葉をしかと受け止め料理に励むことにしました。材料に関しては、季節のことなどもありますので「ちょっと差し替え」は良しとしています。
 すると・・・、なんだかおいしいものが出来始めワクワクしています。そもそも出来もしないのに自分なりの工夫なんか100年早かったのでしょう。素直にやってみるってすごい。「レシピ」って言ってみればただの紙切れなのに、遠いところにいる会ったこともない誰かが「これおいしいからやってみて」と書いたもので、その通りに材料を揃え、調理してみるとおいしいものが再現できる!これは面白い。今の私には朝刊の「今日の料理」欄も光って見えます。「今日のおかずはなにかな?」つくって食べてまた作って!
 伊丹さんもお料理が上手で食べることが大好きでした。伊丹十三記念館の常設展示内には、「料理通」のコーナーがあるくらいです。朝の開館準備のとき、展示ケースのガラスを磨きつつ並んでいる食器や包丁など見ていると「伊丹さん、どんな感じでみんなとごはんを食べておられたのかな」と思ったりすることもあります。なんだか引き続き楽しい一年になりそうです。

写真右:飯島奈美さんの料理本「LIFE」。2も出ました。作りたいものがいっぱいです。左は、「LIFE」に載っていた「おとうさんのナポリタン」をつくってみたものです。

担当:多胡