記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2026.01.12 今読む『中年を悟るとき』

2026年になりました。
皆様つつがなく新年をお迎えくださいましたでしょうか。

わたくしは11月の末に行きはじめた歯医者にせっせと通い、年が明けてからもすでに1回行きました。セルフケアも習慣づいてきています。「きれいに磨けていますよ、頑張って続けてくださいね」と言われて、誉められた幼児のように喜んだりしております。
やれば必ず成果を得られる、こんな清々しいことは滅多にありません。

20260112hapikachan.JPG愛媛県歯科医師会イメージキャラクター
"はぴかちゃん"のシール。初診の日にもらいました。

思わぬ副産物もありました。
口腔ケアを話題にすると、同世代、つまり、ミドル世代の食いつきがすごいんです。通っている歯医者、使っているケアグッズ、ちょっとしたトラブルへの対処法などなど......まあもう、情報交換で盛り上がること盛り上がること。同志発見。

ふと思い出されるのは、伊丹さんが翻訳を手がけた『中年を悟るとき』の「訳者あとがき」に記されている一文。
伊丹十三による"私家版・中年あるある"集のひとつなんですが――

残った歯を一生懸命に磨く。

「確かに。気付けば一生懸命磨いちゃってる」と笑ってしまうんですよね。ミドルライフも半ばにさしかかった今、人生の真理に近付きつつあるのを感じます。

20260112chunen_cover.jpg『中年を悟るとき』(飛鳥新社、1996年)
原題:You know you're grown up when...
ジャンヌ・ハンソン著、伊丹十三訳、南伸坊画

『中年を悟るとき』はこのように構成されています。

1. 「中年宣言」
2. ジャンヌ・ハンソンによる"中年あるある"集(訳文と原文を併記)
3. 訳者あとがき(伊丹十三による"私家版・中年あるある"集を含む)

久しぶりに全体を読み返してみての感想。冒頭の「中年宣言」にシビレました。
これまでだって「いいこと書いてある~」と思ってはいたのですが、「カッコいいな」「励まされるな」と畏れ入ったのは初めてかもしれません。
「中年宣言」、一部ご紹介しましょう――

われわれ中年は象よりも賢く、
烏よりも狡猾であり、
力強さにおいては狼を凌ぐのだ。
われわれ中年は己を知っている。
人生において何が大切であるかを弁えている。
われわれ中年は世間の何たるかを知っている。
人間の機微が分かっている。加うるに、
自分のなし遂げようとする目標を持っている。
同時に、己の限界を承知している。
そして、何よりも、
人生の楽しみ方を知っているのだ。
もしあなたがこの本のページを繙き、
時に「ウン、これは俺と全く同じだわい」などと
呟いてニヤリと笑ったら、
あなたは紛れもなく中年である、
とお祝い申し上げよう。

加齢が重くのしかかってくることはあるし、若さの浪費を後悔することもあります。「でも、この本がこうして祝福してくれているのなら...そうね、悪くない」と思わせてくれる一冊です。出版から30年を経てなお効能健在。お手元にいかがでしょうか。

※『中年を悟るとき』は2026年1月現在絶版の書籍です。
ご興味おありの方は古書で探してみてください。

学芸員 : 中野

【オマケ】

20260112nyankinT_1.jpg伊丹さんの手作りTシャツ。
飼い猫の"ニャンキン"が空飛ぶ鳥を眺める後ろ姿。
常設展示室の「十 猫好き」でご覧いただけます。

 
20260112nyankinT_2.jpgテキストをよーく見てみると、
『You know you're grown up when...』の一節が引用されています。
下二行、『中年を悟るとき』での訳文は

「バード・ウォッチングというのは、あれはあれでなかなかの趣味だと思うよ。」

2026.01.02 館長・宮本信子から新年のご挨拶

スクリーンショット 2025-12-04 125636.jpg

 s-s1.jpg s-s2.jpg

去年の11月中旬の記念館の紅葉です。

青い空・・・流れる雲・・・

じーっと見ていると幸せを感じます。

 

静かで、穏やかな時間...風もありません。

このような日々が長く続きますように...。

 

スタッフ一同、心よりお待ちしております!

今年も、よろしくお願い申し上げます!

 

                館長 宮本 信子

2025.12.22 展示室トーク次回開催が決定!


先月  記念館便り  にてご報告させていただいた『展示室トーク』ですが、初の試みにもかかわらず、ご参加の皆さま方から大変ご好評いただきましたので、早速、次回の『展示室トーク』の開催が決定いたしました!


s-IMG_8024.jpg

写真:11月22日開催の展示室トークの様子


※※※※※ 「展示室トーク」開催要領 ※※※※※

◆日時:2026年2月14日(土) 15時~(45分程度)
◆場所:常設展示室の館長挨拶・特報映像コーナー
◆参加費:無料  ※ご入館料が必要です。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

当館の展示の楽しみ方を学芸員がお伝えする催しとなっております。独自の目線で学芸員が展示についてご案内いたしますので、ぜひご参加ください。

さて、今回が今年最後の記念館便りとなります。今年も伊丹十三記念館をご愛顧いただき、誠にありがとうございました。2026年も伊丹十三記念館をどうぞよろしくお願いいたします。

※※※※※ 年末年始のお知らせ ※※※※※

12月28日(日)~1月1日(木)は休館いたします。
1月2日(金)・3日(土)は開館時間を短縮し、
10時~17時(最終入館16時30分)とさせていただきます。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


スタッフ:川又

2025.12.15 ソイジンジャー

記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
2025年も残り半月あまりとなってしまいました。月日が経つのは本当に早いですね。年末年始に向けて忙しい毎日を過ごしている方も多いと思いますので、体調にはくれぐれもお気をつけください。

さて先日、2年ぶりに来館しましたというお客様がカフェをご利用くださいました。

メニュー表をお持ちしてご注文をうかがうと「以前来た時に飲んだ白いホットドリンクが美味しかったから、また飲みたいです!」とのこと。
はるばる遠方から(北海道の方でした)再来館していただいただけでなく、メニューを覚えていてくれて、リピート注文してくださるとは......!大変ありがたいですし、メニューを気に入っていただけたのもとてもうれしいです。
お客様がおっしゃる白い飲み物というのは「ソイジンジャー」という、豆乳をベースにしたホットドリンクです。時期的にもおすすめのメニューですので、改めてご紹介させていただきますね。

20251211-1.jpgソイジンジャー(税込600円)

 

ゆっくりと温めた豆乳に、記念館オリジナルのしょうがシロップを加えたのが「ソイジンジャー」です。豆乳のやわらかい白に、香りづけのために少しふりかけるシナモンの茶色がアクセントにもなっています。

記念館のしょうがシロップは、スライスした生姜を甘く煮込んで作りますが、ソイジンジャーをオーダーしていただくと、そのスライスにグラニュー糖をまぶしたものを添えてお出しします。しょうがの辛みが少し抑えられていますので、合わせて召し上がってみてくださいね。

20251215-2.jpg

しょうがスライスを添えます

 

上述のお客様は前回も冬の寒い日にお越しになり、「温まる飲み物を」ということでソイジンジャーをオーダーしてくださいました。今回も、前ほどではないものの気温が下がりはじめた頃に来られましたので、「美味しくて温まる~」とお飲みくださいました。
ホットの豆乳だけでも体が温まりますが、そこにしょうが効果も加わって、体の内からほかほかします。シロップが入っているぶん少し甘口の飲み物になりますので、甘いものがお好きな方もぜひご賞味ください。

 

本日はソイジンジャーをご紹介しましたが、同じしょうがシロップを使ったメニューとして、しょうが湯と十三饅頭とセットになった「しょうが湯&十三饅頭」、紅茶にしょうがシロップを加えた「しょうが紅茶」もございます。これからの寒い季節、しょうがメニューは特におすすめです。



20251215-4.jpgしょうが湯&十三饅頭(税込500円)

 

20251215-5.JPGしょうが紅茶(税込600円)

ご来館の際は、ぜひカフェ・タンポポで温まってくださいね。

20251215-3.JPGカフェ・タンポポ

※※※※※ 年末年始のお知らせ ※※※※※

12月28日(日)~1月1日(木)は休館いたします。


1月2日(金)・3日(土)は開館時間を短縮し、
10時~17時(最終入館16時30分)とさせていただきます。

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スタッフ:山岡

2025.12.07 美食

12月に入り、最低気温が一桁になって冷え込みが厳しくなってまいりましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

今年は残暑が厳しく、10月の頭ごろまでは「暑い暑い」と言って半袖を着ていたはずなのですが、いつの間にやら冬本番。夏の暑さもすっかり思い出せなくなりました。私はマフラーや手袋なども引っ張り出し、重ね着で全身モコモコになりながら通勤をしております。

 

最近の記念館は、中庭の桂をはじめとした木々の落葉がすすみ、すっかり冬の装いです。葉がある時はよく見えない枝も、葉が落ちたことで大きく広げた枝の先まで見ることが出来ます。ぜひご来館の際にはご注目ください。

 


s-IMG_8055.jpg中庭の桂

だいぶ葉が落ちました

 

この11月後半、たまたま外食の日が多かったのですが、日を追うごとに何やら妙な心地になっていることに気が付きました。いざ、食べに行こうとお店を探そうとするのですが、何を食べたいかさっぱり分からないのです。地図アプリで近くの飲食店を検索してはみますが、ピンとくるものがない。昨日は回転寿司、その前はうどん、その前はファストフードという具合に、毎日いろいろなものを食べていると、"食べたいもの"が分からなくなってしまったのです。

さて、『ぼくの伯父さん』に収録されております、「美食について」というエッセイに、次のように書かれております。

 

「一日ニ玄米四合ト、味噌ト少シノ野菜ヲタベ」という、宮沢賢治の詩の一節が、近頃ひどく心にしみる。ひょっとすると、これはただ質素を説いているだけではない、食生活の基本に対する深い洞察を含んだ教えなのではないか。次第にそのような気になり始めた。

 そもそも、朝起きるとパンとバターとミルクと卵で朝食をとり、昼にはラーメン、そうして夜にはカレーライスというような生活は異常なのではないか。これでは朝から晩まで三食全部が美食である。しかもこれが毎日連続するから、ついにはそれが美食であることすら忘れ果てて、今日は何を食べようかといってもはかばかしい知恵も浮かばない。「あなた今夜何にする?」と女房に聞かれて腹を立てぬ男がいない、というのがその浅ましい帰結である。

 つまり、何も食べたくないのである。食べたくないのを惰性で無理に食べる。無理をして、肉を魚を卵を白米を砂糖を食べる。無理をして食べるから少しもうまくない。何という無駄であろうか。

(中略)

食生活の日常をもう一度「玄米ト味噌ト少シノ野菜」という次元に引き戻してごらん。(私はとっくの昔に戻してしまった。ただし、私の場合玄米四合というのは無理である。一日せいぜい一合くらいだろう。)これは実に玄妙にして清浄な世界である。人間の各が一つ上がり、己がにわかに精神的な存在に感じられるばかりではない、月に一度のトーストや、年に一度のカレーライスが、いかに燦然として光り輝く奢りの頂点となることか。日常は粗食に徹すべし。粗食に徹してひたすら血液を浄化し、瘦身を心がけよ。

(『ぼくの伯父さん』より「美食について」)

 

まさに最近の私ではありませんか!

なるほど、確かに美食が続いてしまうと、美味しいもののはずなのに、その美味しさに慣れてしまい、食べたいものが分からなくなってしまいます。やはり美食が連続するような、外食の多い生活はあらためなければならないと反省をいたしました。特にファストフードなどは味が濃く、脂質や糖質が多いものばかりなので、ダイエットのためにもどうにか日常的な自炊を心がけていきたいと思います。


s-IMG_8057.jpg『ぼくの伯父さん』

オンラインショップでも販売中です

 

私はもともと献立を決めるのが苦手で、スーパーで安売りしている商品を眺めながらあれこれ考えていると、何を食べたいのか分からなくなってしまうことが多くあります。美食が続くのとはまた少し違うのですが、献立を考えていると自分が心から食べたい!と思うものが分からなくなってしまうのです。

そんなこんなで、最近はAIチャットを使用したりしています。AIチャットはかなり便利で、たとえば白菜と豚バラ肉が安く買えたとして、「白菜と豚肉を使用したおかずのレシピを考えてほしい。さっぱりしていて、丼もの、ミルフィーユ鍋はなし。体があたたまるもの、他の野菜も追加して良いので栄養価の高いものが良い」などと伝えると、ものの10秒ほどでレシピ案を3つ教えてくれます。いやぁ、何とも便利です。AIに頼りすぎるもの考えものではございますが、食べたいものが思いつかない時や、旅行や帰省前で冷蔵庫の中身をなるべく使い切りたい時などは特に重宝しています。

たまの休みなどには外食もしつつ、食生活の日常を整えて、これからの年末に備えたいと思います。

 

皆さまも年末年始にかけて何かと美食を食べる機会が増えることと存じますが、どうぞお体にお気を付けてお過ごしください。

 

学芸員:橘