

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。
2013.04.29 小屋へ行ったよ! — 中村好文展「小屋へおいでよ!」レポート —
4月19日(金)、伊丹十三賞贈呈式の翌日、東京・乃木坂にあるTOTOギャラリー・間へ行ってまいりました。「トートーギャラリー・ま」と読みます。TOTOといえば、キッチン、トイレ、バスルーム......みなさんのお家やお勤め先にも、必ずと言っていいほど、何かひとつはTOTO製品がありますでしょう。そのTOTOさんが社会貢献活動の一環として運営している建築とデザイン専門のギャラリーが「間」でして、中村好文さんの展覧会「小屋へおいでよ!」が開催されているのです。
まー、なんと申しますか、のっけから面白味も夢もない話で恐縮ですが、シャカイジンを何年かやってまいりますと、稼いで食って生きていくことの大変さを思い知りますよね。生活全体を支えていくためには(お金の問題だけじゃなく)結構な努力が必要で、できるんだけど、しんどい、と。そして、思い知った後、人によって「生活を大切にする」派と「生活をおざなりにする」派に分かれて行く気がするのですね。
ワタクシ自身について申しますと、何の疑いもなく余裕で前者、のつもりでおりましたのに、いつの間にやら後者に足を踏み入れていたようでして、気付けば「生活について考えるのもめんどうくさい」「考えようとすると頭がシャットダウンする」「今の生活も先の生活も可能な限り見ないでおこう」という事態に陥っておりました。ああぁ、伊丹さんに叱られちゃう......
こんなふうですから、本や雑誌やテレビで紹介されている「ステキな暮らし(に必要であるらしい品々)」に食指が動くこともありませんし、友人から「一生モノの買い物に目覚めた」なんて聞いても「ふーん」と思うだけで、遠い外国のお話を聞いているような気持ちにしかなりません。
まして「家を持つ」...? 家を持つってことは土地を持つってことで、それらはいわゆる不動産ですよね!? ああ、想像もできませんそんなこと! 遠い外国のお話より遠いお話ですよ! お金と労力のかかる、大掛かりでしんどいだけのことじゃないですか! 怖い! ワタシには無理です!!
さすがTOTOさんのビルですねぇ。
だから、まぁ、こういう機会でなければ行かないような場所だったと思うのです。(あ...中村さん、TOTOギャラリーさんスミマセン。「行かない」場所ではなくて、「行かないような」場所ですからお許しを...)
「なんかもう、この展覧会を観るにふさわしくない人物代表のワタクシがお邪魔しちゃって申し訳ありません!」という気分でビルのエレベーターに乗り、展覧会場へ分け入りますと——
果たして。
いやぁ、楽しかったです。
できるだけ大きくて広くてたくさんのものが置けてできるだけ頑丈なもの。その中にいれば安心安全快適便利をすべて与えて保証してくれそうなもの。そのために一人では負えないほどのお金と時間と労力を費やしてしかるべきもの——そういうものこそが家......「っていうわけじゃないよ」と、古今東西の小屋、中村さんの小屋が、そのたたずまいで教えてくれるんです。示唆に富む痛快さ。そういう意味での楽しさを満喫いたしました。
もちろん、そういったことを難しい顔して「教えて進ぜよう」とおっしゃる中村さんではありません。
中村さんの「意中の小屋」の紹介や、中庭の小屋「Hanem Hut」、小屋にまつわるさまざまな写真やスケッチを眺めていて「わぁ、中村さんの口笛が聴こえてきそう」と思っていたら...ビンゴでした(笑)。(←どこで「ビンゴ」だったのかは、展示を観てのお楽しみを奪っちゃいけませんから、今はヒミツにいたします。)
中村さんと一緒にお仕事している人たちもね、写真やビデオの中でイイ顔見せてくださってます。
素人でもバラして運んで別の場所で組み立てることができる
シンプルな作りなのだとか...ほほぅ。
そんな展示を行きつ戻りつしながらめぐるうちに「あ、家って、できるのかもしれない...」「ちょっと、やってみたい...かも」と考えるにいたりました。
あれっ、風力発電が写ってないですね、スミマセン。
中村さんがご自身の別荘として「Lemm Hut」というエネルギー自給自足の小屋を浅間山のふもとにお作りになったのは2005年、それ以前からオファーに応じて小屋的な住まいを作っていらしたわけですが、中村さん の「小屋」観にふれ、2013年の今、人の営みについてますますいろいろの思いがおありなのだな、それにはあの震災が少なからず影響を与えているのだな、 ということも察せられました。
重たくなってしまった心に「もっとシンプルにやれることなんだよ、やろうと思えばね」「楽しいよ」というところを示していただいた思いです。
「んー、なんかねぇ、できちゃうの。そりゃ大変ではあったけど、口笛吹いてたらできちゃったのね。だけどさ、何だってそうじゃない?」
と、ざっくりとした感想だけではあんまりなので、ニヤリとした点を具体的に、いくつか厳選してご紹介いたしましょう。
その中にはHanem Hutの設計図、中村さんのスケッチ、メモなど。
- ギャラリーの中庭の「Hanem Hut」は"モデルルーム"のように"平均化"された見本ではありません。"中村さんの"小屋であります。(だから、展覧会の英語タイトルが「Come on-a my Hut!」なわけですね。)この展覧会のために新しく作られたものではありますが、小屋のそこここから、中村さんがどんなふうに過ごすのかが見えてきます。水道・ガス・電気などのライフラインにつながっていなくても生きていける独立独歩ぶり、自給自足ぶりも見事です。
- 中村さんによる「小屋に置くもの」選別のための絵リスト。自分を知っている人、自分にほんとうに必要なものを分かっている人だけが楽しむことのできる作業。「太平洋ひとりぼっち」の堀江青年の旅支度を彷彿とさせます。
- 中村さんが紹介している「小屋人」たちは、「己を知る」という点においても中村さんが尊敬と親愛を寄せる人々なのだろうな、と想像。
- 何かと"単なる四角い陳列棚"になりがちな展示什器も、中村さんにかかれば小屋型に!
- 中村さん6歳の頃の「ミシンの下の巣作り」の絵! 誰もが自分の子供時代の巣作りの楽しさを思い出すでしょう。ワタクシは、机やピアノの下で読む本が格別に面白く感じられた子供時代を懐かしく思い出しました。「そんな暗いところで...目が悪くなるよっ!」て叱られても、やめられないんですよねぇ、アレ。
- とってもおもしろい「小屋のメイキングビデオ」。45分ほどあります。全部ご覧いただきたいので、時間をたっぷり取ってお出かけくださいね。(ワタクシは...4時間ほど滞在してしまいました...笑)
あ、並べてある椅子はモチロン中村作品ですよ。
そんなこんなで、「私にもできる...かも」「誰にでもできる...かも」と思い始めた自分の心境の変化に興奮したのでしょうか、ギャラリーで鼻血を出してしまったことを申しあげて、ご報告のしめくくりとさせていただきます。
中村さんの口笛が...ぷぴ~♪ 楽し。
TOTOギャラリー・間
中村好文展「小屋においでよ!」
会期:2013年4月17日(水)~6月22日(土)
開館時間:11:00~18:00(金曜日は19:00まで)
休館日:日曜・月曜・祝日
入場無料
ギャラリーHPはコチラ
「小屋に行けないよ!」という方は、"読む小屋"をぜひ。
中村好文『小屋から家へ』(TOTO出版)
2013.04.22 第5回伊丹十三賞の贈呈式を開催いたしました
4月18日(木)、国際文化会館で第5回伊丹十三賞の贈呈式を開催いたしました。受賞者の池上彰さん、池上さんのご関係者のみなさま、そして、歴代受賞者、伊丹十三ゆかりの方々に当財団の関係者のみなさま、あわせてなんとなんと130名様にお集まりいただきました!(過去最多の出席者数!)今回は、その贈呈式の模様をご報告いたします。
選考委員・南伸坊さんの祝辞
池上彰さん、伊丹十三賞ご受賞おめでとうございます。そして、ありがとうございます。
私は"本人術"という術を使うのです。誰か"本人"になって、そのご本人について考える、という術です。
実は、私は「池上彰さんだった」ことがあります。(場内ちょっと笑)
そして、なぜ、ほかの人にできないことを池上さんができるのか、なぜ、池上さんの番組は分かりやすいのか、なぜ、池上さんの番組はおもしろいのか、なぜ、池上さんの番組は視聴率が高いのか、"本人"として考えました。(場内笑)
結論は、池上さんが、他の人がしない工夫をした、ということです。
頭のいい人、機転の利く人、話術のうまい人——これらはすべて、池上さんがお持ちの才能です。しかし、これらの才能をお持ちの人は他にもいる。なぜ、池上さんにできて、他の人にできないのか。
以下は、私が「池上さんだった」ときのコメントです。(場内爆笑)
テレビのメディアを降りると言われた頃のものです。......"本人"としてのコメントなので、敬称はありません。(場内爆笑)
「なぜ、数字、視聴率が取れるのにメディアを降板するのか」、「なぜ、池上ばかりがそんなにひっぱりだこなのか」......「なぜ」「どこがそんなに」。直接そのように聞く方はいませんでしたけれども、取材をされる側になって、取材者が抱いている疑問はいつも、そういうことなんだろうなと感じていました。
メディアにかかわっている人の常識というのは、普通の人、というより、視聴者の大多数とは違っています。これはしかし、ほかのさまざまな職業についても同じように言えることですし、当然と言ってもいいことですね。職業人になるというのは、その職種の専門知識を持つということですから、専門外の人々とレベルがちがっていて当然なんです。
しかし、ニュースを伝えるということになると、このギャップが思っている以上に妨げになってしまいます。「レベルが違う」と思ったところで、自分たちと視聴者をまるで違った人種のように考えてしまうからです。
分かりやすくおもしろくニュースを伝える、あるいは、解説するというのは、本当は、視聴者を自分と同じであると思わなくちゃできないことなんです。自分にとって分かりきっていることを噛みくだいて、噛みくだいて噛みくだいて、噛んで含めるように口移しにされるのって、自分にとっては気持ち悪いことじゃないでしょうか。でも、そのようにしなきゃいけない、そのようにしてあげなきゃいけない、って思われちゃったらどうですか。自分が、何かを分かって楽しかった、おもしろかった、そのこと自体を伝えられるか、ということだと、私は思いますね。
池上さんの工夫は、つまり、自分が味わった、知ることの楽しさ、学ぶことの喜びの原点にいつも立ち戻ることだった、と、私は......私の"本人術"はとらえたわけです。(場内笑)
あるいは、「全然違ってるよ」と池上さんに言われてしまうかもしれませんが、私が感じている池上さんは、そういう方だということです。
興味を持たせてくれる。興味があれば熱心に聞くんです。熱心に聞くからおもしろい。おもしろいから理解が進む。
先日、池上さんの新著『この日本で生きる君が知っておくべき「戦後史の学び方」』(文藝春秋)を読みました。私は池上さんの本の愛読者にもなりました。
冒頭「ありがとうございます」と申しあげたのは、今までの池上さんのお仕事に対してでもありますし、たとえばわたくしが、伊丹さんの仕事に励まされるようにして自分の仕事をしてこられたように、若い人々に、池上さんが与えてくれる影響力に対してのお礼です。
そして、伊丹十三賞が、この一縷となれることに対してのお礼でもあります。
ありがとうございます。
池上さんのお手には南さん著『本人伝説』のあのページが!
受賞者スピーチ
このたびは、栄えある賞をいただきまして、ほんとうにありがとうございました。身に余る光栄でございます。——といって、挨拶をするのが苦手ですねぇ!(場内笑)
取材する仕事をずっとやってきたので、「取材される」というのは、ほんとうに慣れていないんですね。こうやってカメラがざぁーっと並んで、そこで挨拶するっていうのは、そういえば、私が「東京都知事選挙に出るのではないか」と言われて(場内大爆笑)、「いいや、そんなことはないんですよ」とお話しして以来ではないかな、と思います。
それで言いますと、この夏の参議院選挙に出ることはありません。私は、選挙に出るのではなくて、それを取材して番組にするほうです。この夏の参議院選挙も、選挙の特番でキャスターを務めることになっています。(場内拍手!)
とにかく、華やかなことに慣れていないものですから、実はこれまで、いろんな賞を逃げまわってたんですね。どうしても受けなければいけない場合は代理人を立てたりしていたのですが、「(伊丹十三賞の)受賞が内定したんですが受けていただけますか」という連絡がきたとき困ってしまって、「伊丹十三賞...どうしようかなぁ」と。今日はここにも来てくださっていますが、伊丹さんが生前交流もあったという編集者の長澤さんという方に「どうしたもんでしょうか」と電話をしたところ、「絶対受けなきゃダメです!伊丹さんの名前の賞だったら、必ず受けなさい!」と怒られまして(笑)、「それでは」ということで受けた、ということです。
それで、あらためて選考委員の名前などを見たら、私の憧れの人たちで、「そうか、贈呈式に行けばみなさんに会えるんだ!」と、俄かにミーハーの虫がうずうずしてまいりましてね(笑)、今日、嬉しくここへ来た、ということであります。
私が「取材する側」として言いますと、「今もらった100万円、どうするんだろう」と。これは書きたくなります。あるいは、取材したくなりますね。なので、今日ここへ来るまでに、「それをどうするかを決めておかないと」「いろいろ聞かれるだろう」ということで考えました。
これはテレビ東京の選挙特番『総選挙ライブ』で受賞したものですから、福田プロデューサーに「どうしたもんだろうか」と相談をしたらですね、もう、一言「WFPに寄付するもんでしょう!」と言われて、「ああそうだ!」と気が付きました。
と言いますのも、さまざまな難民の人たちに国連として食糧の支援をしているWFP(世界食糧計画)には、これまでいろいろなところで協力をいただきながら、テレビ東京の番組で取材をしてきました。ソマリアの難民の取材をジプチでやったり、シリアの難民についてヨルダンの難民キャンプで取材をしたり、ということがありましたもので「そうだ!そういうところに少しでもお役に立てれば」と思いまして......
もちろん、今日は受取りまして、しっかり家に持って帰りますが(笑)、来週、いつ振り込むのか、ちゃんと知らせろと言われておりますので、来週キチっと銀行振り込みをする、ということになっております。WFPは、私が寄付したことをホームページで公開したい、と、宣伝に利用されてしまう、という思いがけない展開になっておりますが(場内笑)、そういうかたちで、使わせていただきます。
と、いうことで、今、取材している方々、これで原稿ひとつできましたね。(場内笑)
選挙特番についてはいろいろ言われましたけど、視聴者の立場に立って、知りたいこと、聞きたいことをとにかく聞く、それをやっただけなんです。「聞きたいことを聞くのがジャーナリストなんだから遠慮会釈なく聞こう」ということであります。
いろいろ聞いていたら、石原さんが怒りだしたり、私だと分かったとたんに突然態度を変えたりしたものですから、思わず「人によって態度を変えるんですねぇ」などと、ボソっと言ったりしたんですが、基本的に、視聴者の立場で聞きたいことを聞く、この夏の選挙特番でも、そんなことができればな、と思っております。
伊丹さんは、映像の世界、文字の世界、ほんとに幅広く活躍をされた方なんですよね。
伊丹さんのことで「なるほどな」と思ったことがあります。
それは、伊丹さんがテレビの取材で、天竜川の上流の非常にひなびた地域で、婚礼の歌を取材しようとしたもの(よみうりテレビ『遠くへ行きたい』「天が近い村」)でした。
「婚礼の服装をした女性が行って、村の人にその歌を歌ってもらう番組をやろう」ということで取材先に話をして、それでいざ本番ということでカメラクルーで行ったら、なんと村を挙げて、みんなで「結婚式はこうやるんだよ」と(ほんとうの婚礼と同じに)準備をしていた。そこでスタッフは「いや、これだと、ひなびた村の結婚式はこのようなものですってやれるんだけど、それだと、いわゆるひとつのヤラセになってしまう。どうしたらいいか」と悩むのですが、そこで伊丹さんが「それをそのまま言えばいいんだ!」と言うので、「結婚式の婚礼の歌を取材しようとしたら、なんと、村人たちが結婚式の様子を再現してくれました」という番組にしたわけです。
こう言うことによって、嘘ではないわけですね、事実を伝えている。と同時に、カメラの取材が入るとその村の人たちがこんなにも喜んで、村を挙げて結婚式を再現してくれている様子、人々の思いもまた伝わる。きちんと嘘偽りなく事実を伝えることによって、そこの様子がほんとうに見えてくる。「これこそが、テレビの、映像の仕事のやり方なんだな」と、今回、それを思っております。
私もこれまでいろんな仕事をしてきましたし、これからもいろんな仕事をしていきますけれども、伊丹さんの仕事にかける思い、情熱......あるいは、例えば『遠くへ行きたい』なんて今でこそごく当たり前の手法ですけれども、当時はびっくりするような手法だったんですね。常に新しい映像の手法、あるいは番組作りというのを作ってこられた。その思いを、微力ながらも受け継いで仕事ができればな、と思っております。
ほんとうに今日は、ありがとうございました。
館長挨拶
池上さん! この賞を受け取っていただきまして、ほんとうにありがとうございます。そして、この会場にもようこそお越しいただけまして、重ねてお礼申しあげます。
私は週刊こどもニュースの大ファンで、池上さんがお辞めになったときは、すご~く淋しい思いをいたしました。
この間の『総選挙ライブ』もおもしろかったですし、そして、何よりも、池上さんの言葉で私が好きな言葉は、「追求」です。ほんとうに、ステキな言葉だなぁと思っております。
池上さんのこれからのますますのご活躍、そして、私たちをどうぞ楽しませ、いろんなことを教えていただけますように、願っております。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
館長の「カンパ~イ!!」の音頭で贈呈式は終了、パーティーの始まりです。
池上さん、選考委員のみなさまには、フォトセッションと囲み取材にご対応いただきました。
池上さんのスピーチで明かされた「賞金の使い道」。
対象になった『総選挙ライブ』のスタッフに相談し、その方が、別の番組で池上さんとご縁の深い組織への寄付を提案する——こういう心意気と雰囲気の中であの『総選挙ライブ』は生まれ、選挙のたびに放送されてきたのだなぁと感じ、ますます番組のファンになりました。夏の参院選でもきっと拝見いたしますね。(あっ、BSジャパンで放送ありますよね!?)
もうひとつ、印象的だったのは、取材でいらしたテレビ局の方が、式後「はぅぅ~、かっこええわぁ~」とひとりごとを言いながら会場から出てきたこと。実はこの方(男性・推定30代前半)、式が始まる前は当方の段取りにご不満がおありだったようでして...すみません...申し訳なく思っていたのですけれども、終ったときには風呂あがりのようにお顔がホワっと。池上さんにすっかり魅了されたらしいあのご様子は忘れられません。
そしてそして、今回もまた、お客様がたに、気さくであたたかくて愉快な集まりにしていただきました。
帰り際に「楽しかった~」、「とってもあったかい集まりですね」とのお声をいただける贈呈式とパーティーってそうそうないな(エヘン!)と、ちょっと得意に思う気持ちもありますが、それというのもご出席くださったみなさまのおかげでございます。
今回もまことにありがとうございました! 来年もその次もその次も、末永くどうぞよろしくお願いいたします。
2013.04.15 中村好文さんの展覧会が開催されます
「伊丹さんが好きで来たんだけど、建物自体もすごく落ち着いていて、いい雰囲気ですね。どなたが設計されたのですか?」
昨年10月末から記念館で仕事をするようになって以来、お客様より幾度となくうかがったご質問です(回答はもちろん、「建築家・中村好文さんです!」)。伊丹ファンで記念館にやってきて、建物や中庭の雰囲気に魅せられて中村ファンにもなってしまう...来館されるお客様の中には、そんな方が本当にたくさんいらっしゃるのです。
そんな中村好文さんの展覧会 『中村好文展 小屋においでよ!』 が、あさって4月17日より東京都港区南青山にあるTOTOギャラリー・間で開催されます!
「小屋を通じて『住宅とはなにか?』を考える」がテーマ。
展覧会では、「小屋好き」を自称される中村さんがあまたの小屋の中から厳選した「古今東西の7つの小屋」が、模型や図面など工夫を凝らして紹介されます。これだけでも楽しそうですね!
また、実際にこれまで手がけてこられた「小屋的な住宅」も紹介され、4月25日には講演会も開催されるそうです。
そして会場の中庭には、なんと!中村さんがこの展示のために設計した「究極の小屋」が、原寸大で出現するそうですよ~!発電のための風車とソーラーパネル、給水のための高架水槽などなどを備え、エネルギー自給自足をめざしたこの小屋。施工風景 「Hanem Hut ができるまで」 も、HPで見ることができます。
http://www.toto.co.jp/gallerma/ex130417/index.htm
普段あたりまえのように出かけ、帰っている「住まい」について、また違った気付きを与えてくれる...そんな時間になるかもしれません。
なにより遊び心満載!の展覧会、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
スタッフ:山岡
2013.04.08 収蔵庫ツアー
これまで、学生時代の一人暮らしにはじまり何度か居を移してきた私ですが、その都度必ず引っ越しの荷物に忍ばせて、生活を共にしてきた大切な品があります。
私が9歳の時に亡くなった祖父が愛用していた鳥打帽です。
おじいちゃんっ子だった私は、単純に祖父が身に着けていたものがそばにある事が嬉しかったんですね。大人になった今でも自室にあります。
子供の頃には気付かなかったのですが、鳥打帽の内側、丁度つばの後ろ辺りのくぼみには、丁寧に詰め物がしてあります。あきらかに祖父自身の手によるものです。型崩れを防ぐためなのか、サイズ調整のためなのか......随分傷んできた帽子を手にしながら、あれこれと考えてしまいます。目的は何にせよ、一つの物をとても大切にする人だったのかな、ということは伝わってきます。
愛用品には、持ち主の ひととなりが滲み出てくるものですよね。
――と、ここまでは私事なのですが、今回みなさまにぜひご紹介させて頂きたいのは、伊丹十三の愛用品をご覧頂ける貴重なイベント、その名も「収蔵庫ツアー」でございます。
当館2階の収蔵庫には、映画制作資料や直筆原稿、イラスト原画、蔵書などと共に、伊丹十三愛用の品々も大切に所蔵されています。それらは「展示風」に収められており、毎年恒例の開館記念イベント「収蔵庫ツアー」としてみなさまにご覧いただいております。
本年も6周年を記念し、5月15日(水)~19日(日)にて開催する運びとなりました。
(詳細はこちらからご覧ください)。
このツアーの大きなポイントは、学芸員が直接ご案内をさせていただくというところでして、例年お客様との会話が弾んでいるようです。
各日6名様の定員を設けておりますので、お早目にご応募下さいませ(応募が定員を超えた場合は、抽選とさせていただきます)。
みなさまにお会いできますことを、スタッフ一同楽しみにお待ちしております。
スタッフ:淺野
2013.04.01 「新しい」
記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
寒さもようやく和らいで、すっかり春めいてまいりました。記念館でも、桂の木が芽吹き、地面に押された黄色いスタンプのようなタンポポの花が日に日に増えつつあります。
さて、今日から新年度ですね。色々な「新しい」ことが多くなる季節です。
そこで今回は、記念館グッズショップとカフェタンポポの「新しい」をご紹介します!
◇ 『四国の美しい店』 記念館グッズショップで取り扱いを始めました!
四国4県にあるカフェや雑貨、洋服を扱うお店を集めた本です。愛媛の設計事務所、コラボハウスさんで設計・インテリアを担当されている福岡美穂さんが監修を務められました。紹介されているのは、思わずこの本を手に四国巡りをしたくなるような魅力的なお店ばかり。アートディレクターのセキユリヲさんと福岡さんの対談も収められています。
そしてこの本には、記念館の建築デザインをされた建築家・中村好文さんと福岡さんの対談も収められています。
対談場所はここ記念館。展示や中庭のことなど、設計された中村さんならではのお話も出てきて、より深く、記念館を感じることができます。
◇ カフェタンポポで夏季限定メニューが始まります!
寒い間冬眠しておりました、夏季限定メニューのアイスコーヒー、アイスティー、マンゴージュースを、本日より再開いたします。これからどんどんあたたかく...というか暑くなってきますので、冷たくておいしい飲み物は本当に嬉しいですよね。もちろん、年間を通して人気のミカンジュース飲み比べやジンジャーペリエも、変わらずおすすめです。
◇ 『季節のタルト』が、『いちごのタルト』に変わりました!
カフェタンポポの人気メニュー『季節のタルト』が、『りんごのタルト』から『いちごのタルト』に変わりました。甘酢っぱく、それでいてさっぱりした味のおいし~いタルトです。
ぜひ、カフェタンポポのお飲み物と一緒にご賞味くださいませ。
スタッフ:山岡

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