記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2018.10.27 記念館を知ったきっかけ

10月に入ると、お店の飾りつけや広告が「お歳暮!」「クリスマス!」「おせち!」と訴えかけてくるせいか、年末、年越し、来年を意識してしまい、気持ちが妙に急かされます。

181028yamaboushi_l.jpg181028yamaboushi_c.jpgヤマボウシも日に日に色づいてます。深秋、ですねぇ!

記念館へお越しくださるお客様はゆったりと過ごしてくださる方ばかりで、そういう不必要なアワアワを感じさせない雰囲気にしていただいていることがとても嬉しく、心の中で手を合わせております。


さて、9月に開始したアンケート、皆様、好意的にご協力くださり、まことにありがとうございます。

このアンケートを始めたのは、「どんな方が、どういう機会にこの記念館を知って、どんな動機で来てくださっているのか」を知りたい、つまり「これまでのPR活動の効果を分析して今後の参考にしたい」というのが目的でした。
集計してみるといろいろと具体的に分かり、継続して実施したいと考えております。引き続きご協力いただけますよう宜しくお願いいたします。


ところで、「記念館を知ったきっかけ」という質問で、あらかじめ設けていた選択肢は
・テレビ番組
・新聞雑誌ウェブ記事
・SNS
・他施設に設置されていたリーフレット
・その他(       )
の5つでしたが、圧倒的に多かったのは「その他」。想定が粗すぎたということですね、反省。
せっかくご回答いただくからには精度の高いデータが得られるように、質問や選択肢を見直そうと思います。

「その他」をご選択された上で( )の中に詳しく記入してくださった方も多くいらっしゃいまして、それを拝見しますと、「家族や友人から聞いて知った、勧められた」という方が続々と......なんと「テレビ」以上の数でした! 口コミの効果の高さはよく言われることですが、やっぱりすごいものなのですね。
それと同時に、ご来館くださった方が「こういうところに行ったよ」「よかったから行ってみたら」と、どこかで誰かに言ってくださっているなんて、とてもありがたいことです。

まだ記念館をご存知ない方に届くお知らせの仕方を考えつつ、日々お越しくださるお客様をお迎えすることを大切にしていきたいと改めて感じました。

yukuakiya.JPG「行く秋や 手をひろげたる 栗のいが」
伊丹万作手作りの芭蕉いろはかるた、
秋の句は11月中頃までの展示です。

秋のひととき、気分転換にぜひお越しくださいませ。

********** 出版のお知らせ **********


「伊丹十三選集」全三巻が岩波書店から刊行されます!

第一巻 日本人よ! 2018年12月20日発売
第二巻 好きと嫌い 2019年 1月18日発売
第三巻 日々是十三 2019年 2月19日発売
各巻 本体3,300円

181028senshu_pamph.jpgステキな内容案内パンフレットを作っていただきました!
三つ折りでA5サイズになります。

詳しくは、伊丹十三記念館、全国の書店で設置・配布されている内容案内パンフレットでご覧いただき、発売を楽しみにお待ちください!!

学芸員:中野

2018.10.22 ライトアップ

記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
朝晩冷え込んだり、風が冷たく昼間でも上着が必要になったりと、すっかり秋ですね。記念館の木々も順番に色づいてきています。



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ほんの少し前までは、閉館時間の夕方6時頃になってもまだまだ太陽が照りつけていたのですが、9月の終わり頃から5時過ぎには徐々に暗くなり、今は閉館後に駐車場のチェーン等を締めに行くともう辺りが暗くなっています。
日が暮れるのが早くなったなぁと、ちょっと驚きます。

さてこれからの時期、暗くなると記念館が "ライトアップ" されるのをご存知でしょうか。

暗くなるとライトが点灯し、建物の外観、中庭や回廊、看板に光が当たります。
前述のとおり、夏場は閉館時間前後でもかなり明るいためご覧いただく機会はあまりないのですが、秋以降の季節、夕方の時間帯に来館されたり記念館の近くを通られたりした方は実際に目にされた方も多いのではないでしょうか。

落ち着いた光で照らされる記念館は、昼間とはまた違った趣なんですよ。

私が特におすすめするのは中庭です。回廊がライトによって柔らかく照らされ、桂の木にも下から光が当たって、幻想的な印象を受けます。

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つい先日、数年前にお越しくださったというお客様が再来館され、以前は昼間、今回はちょうどライトが点灯した時間に来られたこともあって、その印象の違いに驚かれていました。
ご来館の際はぜひご覧になってくださいね。

スタッフ:山岡

2018.10.15 第10回伊丹十三賞 受賞記念 磯田道史氏講演会 開催決定!

松山は徐々に秋らしさが増してきました。記念館中庭の桂の樹も、少しずつ色づきはじめています。

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さて、すでに告知・募集を開始しておりますのでご存知の方もいらっしゃることと存じますが、「第10回伊丹十三賞 受賞記念 磯田道史氏講演会」の開催が決定いたしました!

2008年秋に創設いたしました「伊丹十三賞」は、毎年春に受賞者を発表しています。
今年の受賞者は、歴史家・国際日本文化研究センター准教授の磯田道史さん。贈呈式は5月に東京で開催いたしましたが、受賞記念イベントとして、磯田さんによる講演会を12月3日(月)に松山で開催いたします。

<講演会概要>--------

「第10回伊丹十三賞 受賞記念 磯田道史氏 講演会」
日程:2018年12月3日(月)
時間:18時30分開演(18時開場)
会場:松山市立子規記念博物館 4階講堂
テーマ:「松山と私、伊丹十三と私」
参加料:無料【事前応募制・応募者多数のため抽選・応募締切11月5日(月)必着】
主催:伊丹十三記念館

※応募方法等の詳細はコチラ

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20181015_02.jpgphoto:Masanori Ikeda
磯田道史さん

早いもので伊丹十三賞も今年で10回目。受賞者発表後、お客様から「今年は受賞記念イベントの開催はありますか?」といったお問い合わせをいただくようにもなりました。
楽しみにお待ちいただいている皆様に講演会開催のお知らせをお届けできますことを、関係者一同、大変うれしく存じております。

磯田さんといいますと、映画化された『武士の家計簿』(新潮新書)など多数の著書や、テレビ番組『英雄たちの選択』(NHK BSプレミアム)へのご出演など、さまざまな媒体・表現方法で、歴史をわかりやすく、おもしろく、深く伝えてくださる方ですね。
伊丹十三賞贈呈式の受賞者スピーチの中で、磯田さんは、

" 私は歴史しかしていないようですけれども、媒体はテレビだったり活字だったり新聞であったり、また、狂言を書いて国立能楽堂で上演してみたり。「いろんなことをやる」というのが、非常に大事だと思っています "

とお話しになり、だからこそ、これまで多彩な活動をなさっている方々に贈られてきた伊丹十三賞を受賞することが嬉しいと語ってくださいました。
また、「小学生の頃、愛媛にある上黒岩岩陰遺跡に行きたいと親にねだったこと」や、「大学時代に歴史について調べる中で松山に足を運んだこと」など、スピーチ中に愛媛・松山にまつわるご自身のエピソードにも触れてくださいました。

そんな磯田さんの今回の講演会のテーマは、「松山と私、伊丹十三と私」。
松山について、伊丹十三について、どんなお話をしてくださるのか楽しみですね。
なお、会場は、道後にある松山市立子規記念博物館の4階講堂です。

応募締切は11月5日(月)。
既に定員400名を超えるご応募をいただいておりますので、抽選になります。当選なさった方には、11月中旬以降に参加証をお送りさせていただきます(落選の方にはお知らせいたしませんので、ご了承ください)。

皆さまのご応募を、お待ちしております!

スタッフ : 淺野

2018.10.08 橋本忍さんと伊丹万作

7月、橋本忍さんがご逝去されました。

幼少の頃、脚本家や監督を意識して見るほどの年齢でもなく、テレビの映画番組を茶の間で眺めていたような頃から、橋本さんのシナリオから生まれた映画にはビックリさせられてきました。「そうだったのか!」「そうきたか!」と。

 
日本映画界を支えた名脚本家としての業績の数々を伝えるご訃報に接して、『羅生門』『生きる』『七人の侍』『切腹』『上意討ち』『砂の器』『八甲田山』『八つ墓村』などなど、息を詰めて夢中で見たこと、二度目にも三度目にもワクワクしながら見たことが思い出されました。 それらの作品を「また見たいなぁ」と思いながら、どれから見るかを決めてしまうのが何となくためらわれて、結局、追悼鑑賞はまだできずにいます。  


映画はこれと決められないけど、本ならば少しずつ読んでもいいし、と『複眼の映像 ――私と黒澤明』(単行本 2006 年文藝春秋 / 文庫本 2010 年文春文庫)を久しぶりに手に取りました。黒澤明監督との共作の回想を中心とした、橋本さんの自伝です。

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この自伝がまた、シナリオに負けず劣らず「そうだったのか!」「そうきたか!」の連続で、読み返してみてあらためて引き込まれました。初めて読んだときに比べて映画に関する自分の知識がいくぶん増えたからか、驚きが倍増した感さえあります。

 
ご逝去のニュースや記事でも多くふれられていたとおり、デビュー前の橋本さんには、会社勤めをしながら伊丹万作に師事した修行時代がありました。「伊丹万作ただ一人の脚本の弟子」とも言われています。  


『複眼の映像』は、脚本家を夢見たこともなかった肺病の青年が伊丹万作に師事することになったのはなぜか、というお話から始まって、万作の遺訓を受けて初めて取り組んだ原作もののシナリオ、それが黒澤明の目に留まることになった経緯、『羅生門』を上手く書き上げられなかった悔恨、『生きる』からの本格的な共同執筆――と、序盤からすごい展開が続くのですが、構想の時、失敗してしまった時、次の仕事にかかる時、伊丹万作の教えを思い返し、その意味に気付いた、という記述が何度も出てきます。  


読み進めていくと、橋本さんが「あの言葉はそういうことだったのか!」とハッとするのと、「こんなふうに成長しながら書いていった作品だったのか!」と自分が深々と納得するのが重なって、精巧なサスペンスの謎解きにくぎづけになっているかのような気持ちになりました。   


mansaku_essayshu.jpg伊丹万作のシナリオ論は、伊丹万作全集のほか
伊丹万作エッセイ集』 (ちくま学芸文庫)でも
お読みいただけます。
 

橋本さんは、ご著書だけでなく、インタビューなどのお話でも、師である伊丹万作について語り続けてくださいました。今、伊丹万作の名と作品が多くの人の記憶に残っていることに橋本さんのおかげの大きさを感じるとともに、万作を語るたびに、弟子である橋本さんのことも語りついでいきたいと思っています。

 
亡くなる直前まで旺盛に執筆を続けていらっしゃったとのことで、もう橋本さんの新しい作品に出会えないことは残念でなりませんが、伊丹万作の教えを大切に、たくさんの映画人との仕事で素晴らしい作品を残してくださったことへのお礼を、何よりもお伝えしたいと思います。ありがとうございました。  

学芸員:中野

2018.10.01 おすすめメニュー

記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
つい最近まで暑い暑いと連呼していましたが、特に朝晩は、涼しいを通り越して寒いと感じる程になってきました。季節の変わり目ですので、体調等崩されませんようご自愛くださいね。

さて、ここ記念館併設のカフェ・タンポポでは、「おすすめメニューは何ですか?」と聞かれることがよくあります。

期間限定メニューもありますのでご来館の時期などによっておすすめは異なりますが、これからいらっしゃるお客様には、やはり体が温まるメニューがおすすめです。

ご注文いただいてから豆を挽いて淹れるホットコーヒーは一番人気ですが、特に初めて来館されたお客様には、宮本館長こだわりの十三饅頭(記念館限定品!)と温かい飲み物がセットになった「しょうが湯&十三饅頭」や「梅こぶ茶&十三饅頭」が人気です。
中でもしょうが湯は記念館オリジナルの生姜シロップを使っていて、体のなかからじわじわ温まると大変ご好評をいただいています。これからの寒い時期には特におすすめです!

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しょうが湯&十三饅頭

同じ生姜シロップを使ったしょうが紅茶、ソイジンジャー(豆乳しょうが)もありますので、こちらもぜひお試しください。ぽかぽか温まりますよ!

十三饅頭以外に召し上がっていただけるメニューとしては小さめサイズのケーキ類をご用意しています。
記念館の建物の形を模したチョコレートケーキ、デンマーク産のクリームチーズを使用したチーズケーキ、果物を使った季節のケーキの3種類で、季節のケーキは時季により変わります。今は"いちじくのタルト" をお出ししていますので、温かいお飲み物と一緒にどうぞ。

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いちじくのタルト

記念館にお越しの際はぜひ、カフェ・タンポポでぬくぬくとお寛ぎくださいね。

スタッフ:山岡


-----------記念館よりお知らせ-----------

第10回伊丹十三賞受賞記念イベントといたしまして、

磯田道史氏の講演会開催が決定いたしました!

10月5日(金)より参加者の募集を開始いたします。
日程・応募方法など詳細は10月5日(金)に専用ページを公開予定ですので、お楽しみに!