こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。
2023.05.29 桂とヤマボウシを剪定しました
記念館便りをご覧のみなさまこんにちは。
5月ももうすぐ終わりを迎えますが、今年も桂が綺麗です。
個人的には桂は伊丹十三記念館の開館月である5月が一年で一番綺麗だと思います。
さて、記念館では2週間ほど前、桂を含め4本の植木の剪定を行いました。
今回剪定したのは、中庭の桂と正面の庭の桂2本と、ヤマボウシです。
前回の剪定が2020年5月だったので、ちょうど3年ぶりの剪定となりました。
お陰様で綺麗に整いました。
ベントレーのガレージ付近の株立ちの桂。大量の「ひこばえ」で重たかった足元が...
刈り取られ、さっぱりしました。
ビフォー 別角度から。
アフター すっきり。
ヤマボウシにも、ところどころ徒長したような枝があり樹形が乱れておりましたが、、
綺麗に整えられました。
正面からみても大変美しく仕上がっています。
中庭の桂も夏に向けて枯れ枝や混みあった枝を落とし、風通しが良くなりました。
ご来館の際には装いも新たに生まれ変わった木々の姿もご覧ください。
スタッフ:川又
2023.05.22 伊丹十三とキリスト教絵画
先週、所用あって岩手に帰省してきました。5月の下旬を岩手で過ごすのはいつ以来でしょうか。
社会人になってからは年末年始の枯山・雪山の風景ばかり(と、夏の盛りの風景を何度か)眺めていたので、郷里とはいえこの季節の自然の景はもの珍しく、東北新幹線およびバスの車窓に飽かず張り付くこと数時間。
左奥の山の斜面に花を咲かせた桐の木が
...って、見えませんよね(笑)
南部アカマツの林、桐の花、川岸にたたずむキジ......一度のバス乗車で「県の木」「県の花」「県の鳥」の3点セットを拝むことができたのは初めてで、ちょっと感動的な旅路でありましたし、それらに加えて、新緑を携えた白樺の木立、藤の花のフサフサ、ヤマツツジの可憐な彩り、水が入って青空と雲を映す田んぼ、何もかもが清冽かつ素朴でまばゆく、北国の初夏を堪能いたしました。
さて、今回のわたくしの所用と申しますのは、東方正教会の「パニヒダ」のご祈祷を賜るためでありまして、仏教でいうところの法事、と考えていただけばよいと思われますが、"糖飯(とうはん)"なるものをこしらえて参祷者に供する、といったような独特の風習があり――
母の力作。ご参祷の皆様からご好評を頂戴して
心から嬉しそうにしておりました。
聖堂の中で甘く味付けした餅米のご飯を食す――やはりどうにも不思議な気分になるものでしたけれども、「お彼岸におはぎを食べるようなものかなあ」とモグモグし、「キリスト教が日本に根付くまで、他国では麦を用いるというこの糖飯のように、あれこれの事柄について、風土に適した様々の工夫がなされたのだろうなあ」などと想像しつつ、イコノスタシスやイコンの数々、蜜蝋の蝋燭の炎と燭台の装飾をしばし鑑賞したのでありました。
キリスト教美術と伊丹十三といえば、こんな一文があります。
ともかく、すべてよろしいわけでありますが、わけても、イタリーという国は古寺巡礼の国なのだ。絵と教会の国なのだ。
(中略)行く先々に絵がある。壁画がある。ジオットがある、ダヴィンチがある、ミケランジェロがある、ラファエロ、フラ・アンジェリコ、ティシアン、ティントレットがある。ベスト・メンバー時代きたる! という感じではありませんか。
もっとも、私が一等好きな画家は上記の中にはなく、シモーネ・マルティーニ、ピエロ・デラ・フランチェスカ、ピサネロ、ジェンティーレ・ベリーニ、この四人であります。
何ゆえ、この四人が好きかというに、いや、わたくしは、絵に関しては全くの素人でありますからして、わたくしのイタリー絵画論なぞは実にインチキきわまるものであるかもしれん。しかし、わたくしとしては、次のように信じているわけだ。
そこで、何ゆえ、この四人が好きかというに、この四人は、実にいい顔を描く、ということが一つあるな。
いい顔が描けるか描けないかということは、この時代の画家にとっては決定的なことであると思うのです。当時の絵というのは、いわば叙事詩のようなものであるから、まず必要なものは、具体的な描写でしょう。
次に、あるエピソードを、どういう道具立ての中で物語るかという、つまり視覚化するかという、微に入り細をうがつ想像力が必要になってくるね。
その点、同じテーマをいろんな画家が描いている、たとえばキリストの降誕とか、受胎告知なんか、これは比べてみると実に面白い。受胎告知の場合、たいがい、マリヤさまが椅子にかけていらっしゃる。右か左に、ひざまずく天使を配し、どこかに必ず百合の花があるわけですが、基本的にはそうなのですが、これは実に千差万別だね。舞台が妙にガランとして、回廊みたいなところだったり、あるいは部屋の中だったり、それにまた、その天使の羽根の生え工合、あるいは衣裳、そうだ、シモーネ・マルティーニのでは、天使の衣裳がタータン・チェックみたいな布地だったなあ。あれなんか、当時としては、実にハイカラな、高級な生地だったのでしょうねえ。
「キリストさまたちとマリヤさまたち」
『ヨーロッパ退屈日記』(1965年)より
ほぅ...大天使ガブリエルがチェック柄の衣を......と興味がわいて調べてみますと......『聖女マルガリータと聖アンサヌスのいる受胎告知』(1333年)に尋ね当たり......
思わず「あっ!」と声を上げました。
伊丹エッセイのファンの中には「ピーン」ときた方もいらっしゃるのではないでしょうか。伊丹十三賞や記念館のグッズの意匠に用いている"あのエッセイの、あの挿絵"は、このシモーネ・マルティーニの作品を"引用"したものだったようですねえ。
「天使ハドウシテハダカナノ?」
『問いつめられたパパとママの本』(1968年)より
伊丹十三の著書に登場する人名や作品名をたどってみると、思いがけない発見や「ウム、たしかにイイ!」と嬉しくなるものとの出会いがあります。
「エッセイのその先」も、伊丹ワールドの延長としてぜひどうぞお楽しみください。
学芸員:中野
2023.05.15 5月15日・伊丹十三記念館は16周年を迎えました!
5月15日・伊丹十三記念館は
16周年を迎えました!
5月15日は伊丹十三の誕生日です。
なんと、満90歳になりました!
どんな日でも、どんな時間でも、
伊丹さんはずーっと、「やぁ、いらっしゃい」~~と、
お客様をお迎えしております(笑)
館内で御覧になっていらっしゃるお客様の反応を楽しんでいる~~~(笑)
クスクスと笑う声も聞いている~~~(笑)
そんな気がしております。
ゴールデンウイークには、多くのお客様にいらしていただき嬉しかったです!
ありがとうございました。
私はなかなか行けませんが、何より楽しみにしておりますのが
「みなさまの声」です。
パソコンの文字に挨拶をし、
ありがとう!と返事をしています~~~(笑)大きな声で~~~(笑)
松山においでたら(松山弁~です~ふっふっふ)
是非、この記念館にも遊びにいらして下さいませ!
中庭の桂の木も大きくなりました!見てほしいです~~!
スタッフ一同、お待ち申しております!
又、お逢いできますように~~。
どうかお身体御自愛下さいませ。
感謝
宮本信子
2023.05.08 「午前十時の映画祭13」にて伊丹さんの映画が上映されます
本日は大型連休が明けた月曜日、皆さま、今年のゴールデンウィークはいかがお過ごしでしたか。
記念館ではゴールデンウィークの間、全国から多くのお客様がご来館くださいました。
県内からお越しの方、広島県や香川県など近隣の県からお越しの方、静岡県や長野県など遠方からお越しの方もいらっしゃいました。
「何年も機会をずっと逃していたけど、ようやく来ることが出来ました」「旅行が難しい時期が長かったけど、やっと落ち着いてきたから来れました」と、とても嬉しそうにお話くださり、記念館を楽しんでくださっているお客様が多く、ご来館くださる皆さまから元気を貰ったようなゴールデンウィークでした。
さて、いよいよ今週12日(金)から「午前十時の映画祭13」にて『お葬式』、『マルサの女』が全国の映画館にて上映されます。
「午前十時の映画祭13」は1年を通し、さまざまな傑作娯楽映画を上映する催しとなっておりまして、全国67劇場でご覧いただけます。各劇場はAとBのグループに分かれており、それぞれ上映期間と作品が異なりますので、お近くの劇場の該当グループをお確かめの上でご覧ください。
『お葬式』、『マルサの女』のどちらも映画祭初上映。そしてなんといっても4K版の上映です!こちらの2作品を劇場でご覧になったことがある方も、そうでない方も、より鮮明になった伊丹さんの映画をぜひ劇場でお楽しみください。
※劇場により設備の関係で4K上映ができない場合もあります。ご了承ください。
〈グループA〉
5月12日(金)~5月25日(木):『お葬式』
5月26日(金)~6月8日(木):『マルサの女』
〈グループB〉
5月12日(金)~5月25日(木):『マルサの女』
5月26日(金)~6月8日(木):『お葬式』
愛媛県内の上映館はシネマサンシャイン重信でございますので、グループBのスケジュール上映です。
※シネマサンシャイン重信では2K上映となります。
ちなみに、「午前十時の映画祭」という名称ですが、開映時間は限定されておらず、各劇場の判断で<午前中の上映開始>となっているそうです。鑑賞料金も異なるそうなので、劇場の公式サイトなどでご確認をお願いいたします。
記念館でパンフレットの配布もしておりますので
ぜひご覧ください
「記念館で伊丹十三の映画を観よう!」の
2023年度スケジュールの配布もございます。
また、13日(土)は「記念館で伊丹十三の映画を観よう!」の開催日です。伊丹十三記念館・常設展示室にて13時より、『マルサの女2』を上映いたします。
企画展示室終わりにございます『マルサの女2』のプログラムや、伊丹さん手描きの『マルサの女』ポスターのラフイメージなど、映画と合わせて楽しめる展示もたくさんございますので、ぜひご来館の際には注目してみてください。
皆さまのご来館をお待ちしております。
企画展示室終わりのプログラム
『マルサの女』ポスターのラフイメージ
日本映画専門チャンネルでも5月13日(土)21時から『スーパーの女』が放送されるなど、伊丹さんの映画をご覧いただけるチャンスがたくさんある5月第2週となっております。ぜひぜひ劇場で、記念館で、ご自宅で、伊丹さんの映画をご覧ください。
スタッフ:橘
2023.05.01 おすすめのお土産
記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
29日からお休みを取られてゴールデンウィーク真っ最中という方、あるいは明後日からの5連休が本番という方もいらっしゃると思いますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
さてゴールデンウィークというと、ご旅行や帰省を機にご来館くださる方が多く、「お土産に何がおすすめですか?」と尋ねられることが少なくありません。
そこで本日は、昨年のゴールデンウィークで特にお買い上げが多かった記念館グッズについてご紹介させていただきます。
まずは定番中の定番、「十三饅頭」!
十三饅頭
味、サイズ、パッケージに至るまで、宮本信子館長のこだわりがぎゅぎゅっと詰まった一品です。
甘さ控えめのあっさりとしたこし餡が入った十三饅頭は、ほおばりやすい一口サイズの茶饅頭で、ひとつひとつに押された「十三」の焼き印は実際に伊丹さんが書いた文字を焼き印にして押したものです。パッケージは記念館の建物を模していて、まさに"伊丹十三記念館ならでは"の限定販売品です!
オールシーズンご好評いただいている商品ですが、お土産にぴったりということで、ご来館の多いゴールデンウィークやお盆、お正月などに特にたくさんのお客様がお買い求めくださるんですよ。
また、同じく人気なのはポストカード。
映画ポスター、伊丹さんが描いたイラスト、伊丹さんや記念館の写真など、全23種類を販売中です。
単品だけでなくお得なセット販売もしていますので、お好きなデザインを選んだり、セット買いしたりしてみてください。
ポストカード売り場
ポストカードセット
伊丹さんのイラストをプリントしたマグネット、クリアファイルもご好評いただいています。
料理や調理器具にちなんだ伊丹さんのイラストがプリントされたマグネットは、冷蔵庫にくっつけるのにピッタリ。
クリアファイルは、お土産用だけでなくご自分で使う用としてもなかなか重宝いたします。
マグネットは5種類、クリアファイルはA4・A5サイズそれぞれ2種類ずつデザインがありますので、デザイン違い、サイズ違いで買われるのもおすすめです!
マグネット5種類
クリアファイルA4サイズ2種類、A5サイズ2種類
ご紹介した以外にも伊丹さんの著書や関連書籍、オリジナルグッズを中心に取り揃えていますので、お越しの際はぜひ記念館のショップをのぞいてみてください。
明日5月2日(火)はお休みさせていただきますが、5月3日~5月7日は通常どおり10時より開館し、皆さまをお迎えいたします。
皆さまのご来館を、スタッフ一同心よりお待ちしております!
スタッフ:山岡