記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2019.12.23 お車でのご来館

記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
2019年もあと1週間と少しとなりました。記念館は、今週金曜日の27日を年内の最終開館日として、28日から来月1日までお休みをいただきます。お正月は1月2日10時よりお客様をお迎えしますので、皆さま、ぜひお正月のお出かけ先に記念館にお立ち寄りください!

さて記念館にご来館くださるお客様は公共の交通機関、タクシー、自転車、徒歩、車などいろいろな方法でお越しくださいますが、実は記念館は幹線道路・国道33号線沿いではあるものの、少しだけ奥に入っているためか、初めてお車で来られた方から「ちょっと迷ってしまいました」などとうかがうことがあります。
本日は、お車で来られる場合について少し補足させていただきますね。

松山自動車道から、また、逆の松山市内方面から来られる方も、まずは「天山橋(あまやまばし)交差点」に向かっていただくのが分かりやすいです。
松山自動車道からは、松山インターチェンジを降りられたあと国道33号線を松山市内に向かって直進していただき、「天山橋」という橋のすぐ手前にある「天山橋交差点」で信号を右に入っていただくと、川の向こうに黒い記念館の建物が見えます。あとは川沿いに、その建物に向かって車を走らせていただくと記念館に到着いたします!

20191223-1 (300x225).jpg天山橋の上からみた記念館
※車の中からの撮影ではありませんので位置的に少しずれがあります。

松山市内方面からお越しの場合も、この「天山橋交差点」で左折していただければ、松山自動車道から来られる方と同じく川向こうに黒い建物が見えるようになります。
なお、松山市内からの場合は、この交差点の手前にもう一本左に入る道があって、こんな看板があります。

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この道を入っていただくと記念館の敷地のすぐ前に出ますので、事前に地図などで確認されたり道に慣れた方が同乗されていたりすると、こちらから来られる方もいらっしゃいます。
ただ、この道は信号がなく、お散歩中の方などの歩行者や自転車の方も多いので、走行時はどうぞご注意くださいね。記念館ホームページにある「入場料・アクセス」のページもぜひご覧いただき、安全運転でお越しください!


最後になりましたが、本年も伊丹十三記念館をご愛顧いただき、誠にありがとうございました。スタッフ一同、心より感謝申し上げます。
2020年も、引き続きよろしくお願いいたします!!

スタッフ:山岡

2019.12.16 師走の伊丹十三記念館に届いた心温まるクリスマスプレゼント

いよいよ今年も残すところあと僅かとなりました。

12月ということで慌ただしい毎日を過ごしていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。伊丹十三記念館も例外ではなく、新しい年を迎える準備や年末の諸々の作業で忙しい日々が続いています。


そんな師走の記念館にホッと一息、心温まる嬉しい贈り物が届きました!

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宮本館長から記念館スタッフにクリスマスプレゼントのシュトーレンです!

 

シュトーレンとはドイツ発祥のクリスマス時期に食べるパン菓子です。

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切ると洋酒やドライフルーツやナッツのいい匂いがしました。

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スタッフみんなで美味しく頂きました。

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宮本館長からは毎年この時期にスタッフにクリスマスプレゼントが届きます。

大人になるとクリスマスプレゼントってなかなか貰う機会が少ないかと思いますが、やっぱり嬉しいものです。身に沁みます。

(館長、毎年お心遣い本当にありがとうございます。)


皆様も素敵なクリスマスをお過ごしください。




<年末年始 休館・開館日のお知らせ>

2019年12月28日(土)~2020年1月1日(水)は休館いたします。
2020年1月2日(木)3日(金)は開館時間を10時~17時(最終入館16時30分)とし、1月4日(土)より通常開館いたします。


スタッフ:川又

2019.12.09 好き嫌い

伊丹さんのエッセイ集『女たちよ!』の中に、食べものの好き嫌いについてふれた、こんな一節があります。


" なにしろ好き嫌いがないのです。今にして思えば、子供の頃はまだ嫌いなものがあった。たとえば私は冬瓜が嫌いだった。それから胡瓜の吸い物が嫌いだった。小学校の時、同級生の家で初めてそういうものを食べて、なんともまずいものだと思った。温い胡瓜なんぞ言語道断だと思った。
 ところが、ですね、三十過ぎて京都へいってそういうものを食べてみると、これがうまいんだからいやになっちゃうよ。いよいよ私には偏食の才能が欠落していることが明白になってきたのであります。
 そういうわけで「今夜なにを食べましょうか」というような話から「あなたは食べ物じゃなにが一番お好きなの?」なんて聞かれると、これは実に困る。困ったあげくに、あれは高校生時分だったかな、「おいしいもの」という答えを捻出した。こいつは便利だったね。「なにが一番食べたい?」「おいしいもの」間然するところがない。
 しかしこの方法にも欠点があったのですね。こういう返事をすると、相手がいかにも困った顔をすることに最近気がついたのである。だから、この頃ではこの返事も使い辛くなってしまった。"

「なにがお好き?」『女たちよ!』(1968年)より

20191209_01.JPG『女たちよ!』は記念館オンラインショップでもお買い求めいただけます。


はじめてこのエッセイを読んだとき、「わかる!」と膝をうちました。
子どもの頃から〈嫌い〉と言い切れるほど苦手な食材がなかった私は、「一番好きな食べものは?」と問われるたびに、場に応じて何かしら答えつつも、心の中では「おいしいもの!」とおもっていました。どんな食材でも、必ずおいしい食べ方があるはずだと考えてしまう、食いしん坊な子どもだったんですね。
唯一、パクチーだけは苦手かもしれないと長年感じているのですが、「おいしいパクチー料理にまだ出会っていないだけかもしれない」などと、諦めきれずにいます。
そんなわけで、「好きな食べものは?」の問いにどう答えるのがベストなのか、今もときおり考えてしまいます。本音は、「おいしいもの!」なのですけれど。

伊丹エッセイを読んでいると、食・料理について、魅力的な文章がたびたび登場します。中でも、同じ『女たちよ!』収録の「スパゲッティのおいしい召し上り方」は、スパゲッティの理想の茹で加減〈アル・デンテ〉を紹介した文章として、よく知られていますよね。ほかにも忘れがたいエッセイはいろいろありますが、伊丹十三記念館の常設展「七 料理通」のコーナーには、実際に伊丹さんが使用していた調理器具や食器などを展示しており、間近にご覧いただけます。

20191209_02.JPG常設展示室『七 料理通』コーナー


エッセイと同様に、こちらのコーナーでも伊丹さんの食・料理へのこだわりをたっぷり感じていただけますので、ぜひご覧くださいませ。



<年末年始 休館・開館日のお知らせ>

2019年12月28日(土)~2020年1月1日(水)は休館いたします。
2020年1月2日(木)3日(金)は開館時間を10時~17時(最終入館16時30分)とし、1月4日(土)より通常開館いたします。

スタッフ : 淺野

2019.12.02 飛行機の窓の外の風景

記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
中庭の桂もほとんど落葉し、冬のたたずまいになってきました。
吹く風も冷たくなり冷え込んでまいりましたので、体調など崩されませんようご自愛くださいね。


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さてここ記念館でお客様をお迎えしていますと、伊丹さんのエッセイを読まれた方から「書かれていたことを試してみました」「影響を受けました」というお話をよくうかがいます。

先日もそんなお客様がお越しくださいました。
ふだん飛行機で全国各地を移動しておられるそうですが、伊丹さんのエッセイにあった一節をきかっけに「移動手段として利用するだけだった飛行機が、乗ることを楽しみに思えるようになった」のだとか。

その方が読まれたというのがこちら。著書『日本世間噺大系』にある「走る男」からの引用です。

 実際のところ、私だって、正直いって窓際に坐りたいと思う。確かに窓際の席というものは魅力であります。特に、晴れている日に窓際の席から下界を見下ろす愉快などというものは何物にも替え難いとすら私は思う。知っている町や村を高い所から矯めつ眇めつする楽しみは言を俟たず、未だ訪れぬ山川は見知らぬものとして無限の興趣を誘う。洵に一木一草が私の目を捕らえて離さぬといって過言ではない。(中略)
 窓際の席について更に一言するなら、私は相当の活字中毒であるが、窓際の席にある限り、およそ書物を必要とせぬ。窓外の風景が書物に百倍する楽しみを与えてくれるからである。

「走る男」『日本世間噺大系』(新潮文庫)

 

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この文章を読んでから「こんな乗り方もあるのか」と飛行機の窓から見える風景を楽しむようになり、今はそれを撮影するのが趣味になっているそうです。何枚か見せてくださった写真には、飛行機の窓から見えたというきれいな青い空や雲海、山や川、夜景などが写っていて、ここで実際にご覧いただけないのが残念なくらい見ごたえがありました!

これから年末年始にかけて、帰省や旅行で飛行機を利用するという方もいらっしゃると思います。機内での過ごし方はいろいろだと思いますが、もし窓際の席に座られた際は、伊丹さんや上述のお客様のように飛行機からならではの風景を楽しんでみるのはいかがでしょうか。

スタッフ:山岡