こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。
2026.05.04 豆の愛媛
4ヵ月にわたる歯医者通いとセルフケアの成果で、歯も歯グキもずいぶん元気になりました。おかげでごはんのおいしいこと。
近頃は、旬を迎えたマメ類を堪能しています。
温暖な気候のせいでしょうか、この季節の愛媛では何種類ものマメが出回るんですよ。
東北育ちの私には未知のマメがたくさんあってワクワクします。
先日はこんなマメを食べました。

大きさは枝豆ぐらい。
珠柄の緑色が映えますね~
「赤そら豆」というそうです。
さやを割ってみると想像した以上に赤い! 鮮やかな色に心躍るマメでした。
炊き込みご飯にしました。ご飯にほんのり色が移ってこれまた嬉し。
スタンダードなそら豆も、今年は幾度となく食べています。
さやを割ってマメを取り出し全部の皮に切れ目を入れ終わる頃その傍らでちょうど湯が沸いているよう火にかけおいた鍋へ塩を投入マメを投入2分半!
――これをいかによどみなくやれるか、春のタイムトライアル、個人的に開催中。
いざ調理!!
『伊丹万作全集』第1巻の「洛北通信」には、こんな詩がおさめられています。
望郷
クニヘ帰ロウ
夏ハ
砂浜ノ近クニ小サイ家ヲ借リ
朝夕
子供タチガ
波トタワムレル姿ヲ見ヨウ
クニヘ帰ロウ
秋ハ
空ユク雲ヲナガメ
風ノ音ヲ聞キ
ワズカナ田カラトレル
銀色ノ米ヲ食オウ
クニヘ帰ロウ
冬ハ
イキタサカナヲ食イ
ツメタイ空気ヲ
肺一パイニ吸イ
古イ友ダチト
ホラヲ吹キアツテハ
ケラケラト笑オウ
クニヘ帰ロウ
春ハ
舌ノ上デトケルヨウナ
ソラ豆ヲ食イ
風ノナイ日ハ
静臥イスヲ庭ニ出シテ
ヒネモストロトロト眠ロウ
1941年頃に雑記帳に書きつけた詩だそうです。
戦時下の病床で故郷の風物に思いを馳せたとき、松山生まれ松山育ちの伊丹万作の心に浮かんだ春の代表は、そら豆だったんですね。
「舌ノ上デトケルヨウナソラ豆」。
たしかに。なめらかで甘くて、止まりませんもん。
春で終わることから生じるほんのりとあたたかい余韻も、この土地のゆるやかな雰囲気をあらわしているように感じられます。
「望郷」は企画展示室の併設小企画コーナー「伊丹万作の人と仕事」に展示しています。
ご来館の際、ぜひ展示空間で味わっていただきたい一遍です。
『季刊えひめ』第4号(1976年9月発行)伊丹万作追悼特集内の
ページの見開きでご紹介しています。
伊丹万作についてはこちらをどうぞご覧ください
学芸員 : 中野

