記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2017.10.30 伊丹十三記念館は伊丹十三の家です

先日、記念館のある扉に不具合が発生したので、業者の方に見に来て頂いた際の話です。
その業者の方に扉の「鍵」をお渡ししたところ、その方から、

「わ!いい鍵使ってますね!なかなか見ないですよこの鍵は!これすごくいい鍵なんですよ!高いんですよ!」と、教えて頂きました。

こんな感じの「現場の者は全く知らなかったけれど、大変良い設備や素材を使っていた」というのは、これは「伊丹十三記念館あるある」なのです。

大抵は記念館を設計された建築家・中村好文先生のお陰で多くご来館される建築関係のお仕事をされている方から、「これすごいですね!」と教えて頂くことが多いのですが、

その後は・・・

スタッフA  「あれいいものらしいですよ。」

スタッフB  「そうなんですか。全然知らなかったですね。」

・・・というやり取りがお決まりの流れとなって繰り返されています。

なお、高価なものを使っているというだけではありません。以前カフェの厨房をまじまじとご観察されていた、建築のお仕事をされているというお客様から、

「その収納の引き戸、普通の引き戸より随分薄いですけど、それはなかなか技術的にも大変なんですよ、でも戸が薄いおかげで随分スッキリするでしょう、さすが!こだわってますね~」

と、教えて頂きました。こちらも言われるまで気にも留めたことがありませんでしたが、言われて見てみるとお客様のおっしゃる通りです。普通の引き戸の半分くらいの薄さです。こんな細かいところまでよく考えられて造られているのですね。

tana.JPGこちらの収納棚の

tanayoko.JPG戸が薄いのです。

tobiraenpitu.JPGサイズ感をお伝えする為、側に鉛筆を置いてみました。


この記念館の建物は宮本信子館長が伊丹十三の大ファンだという中村好文先生に、「伊丹さんの家みたいにしてね」と依頼してできたので、贅沢でそして様々なこだわりと、所々に遊び心、そして愛!が詰めこまれているのですね。

ご来館の際にはそんな「お!ここはやっぱり伊丹十三にふさわしい建物だねえ」というポイントを探してみてくださいね。(そしてぜひスタッフに教えて下さいませ。)

スタッフ:川又

2017.10.23 「伊丹十三 訳」

夏場であれば、閉館時間の午後6時といえばまだまだ太陽が照っていて明るい時間帯でしたが、同じ時刻、今はもうすっかり太陽が沈んでしまい真っ暗です。
朝晩の冷え込みだけでなく日の短さからも季節の移り変わりを感じる今日この頃ですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

さて記念館ショップでは、伊丹さんの著書、伊丹さんや記念館に関する書籍を多数取り扱っていますが、その中に、目にしたお客様がちょっと驚きながら手に取る――そんな本があります。
『主夫と生活』(アノニマスタジオ)と『ポテト・ブック』(河出書房新社)という、「伊丹十三 訳」の本です。

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伊丹さんは、翻訳家としての"顔"も持っていました。
ここ記念館で初めてその"顔"を知り、「伊丹さんは翻訳もされていたんですね!びっくりです!」と、店頭に並んだ翻訳本を、新たな興味をもってご覧になるお客様は決して少なくありません。
長らく絶版になっていたこの2冊の翻訳本は、平成26年11月のほぼ同じ時期に復刊されました。
どんな内容か、ちょっとご紹介しますね。

『主夫と生活』は、アメリカの新聞社で売れっ子コラムニストとして活躍していたマイク・マグレディ氏が、仕事を辞め、1年間「主夫」として家事や育児に奮闘した様子をつづった体験記(『My Life as a Househusband』)です。アメリカで大きな反響を呼んでベストセラーとなり、日本では1983年に『主夫と生活』というタイトルで学陽書房から出版されました。料理、掃除、洗濯、家計のやりくり、子供の歯医者の送り迎えや担任の先生との懇談会――そんな日々のあれこれに悪戦苦闘する氏の姿がユーモラスに描かれています。そしてこの復刊本には、第3回伊丹十三賞を受賞された内田樹氏の解説も新たに掲載されています。

IMG_6556 (300x200).jpg『主夫と生活』(アノニマスタジオ)

そしてもう1冊の『ポテト・ブック』は、『主夫と生活』と同じくアメリカのベストセラーで、日本では1976年にブックマン社から出版されました。"幻の料理本"と帯に書かれているとおりポテトを使った料理やお菓子のレシピが盛りだくさんに載っているこの本は、それだけにとどまらず、ポテトの歴史に始まり、貯蔵法やポテトを使った工芸、ゲーム、美容法まで、ポテトに関するさまざまなことをぎゅぎゅっと詰めこんだ1冊になっています。ユーモラスなイラストレーションも楽しめます。

IMG_6557 (300x200).jpg『ポテトブック』(河出書房新社)

読書の秋です。暑さも和らぎ過ごしやすくなった夜長に、伊丹さんの訳文に触れてみるのはいかがでしょうか?記念館では店頭のみの取扱いとなっておりますので、お越しの際はぜひお手に取ってみてくださいね。

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【お知らせ】

宮本信子館長が記念館へ出勤いたします!

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日時:11月9日(木)11時頃~13時頃

当日の状況により、滞在時間は変更になることがありますのでご了承ください。
スタッフ一同、皆様のご来館を楽しみにお待ちしております。

スタッフ:山岡

2017.10.16 メンバーズ限定収蔵庫ツアー & 入館者数16万人突破のご報告

秋の「メンバーズカード会員限定収蔵庫ツアー」を開催いたしました。

毎年5月に"開館○周年記念イベント"として開催している収蔵庫ツアーを、メンバーズカード会員様限定のイベントとして、春と秋の年2回、行っています。

記念館の収蔵庫は、2階が「展示風」の収蔵スペースになっていまして、伊丹十三の原稿・原画、愛用品、蔵書を収めたコーナーや、伊丹十三の自宅の一室を再現したコーナーをガイドつきでご見学いただく催しが収蔵庫ツアーです。



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メンバーズ限定ツアーは、周年イベントでの開催時(定員6名様)よりも少ない人数で開催していますので、比較的ゆったりとご覧いただけます。また、お客様のお話を伺いながらご見学いただくので、スタッフのほうも楽しみながら、よりお客様のご興味に合わせたご案内をさせていただいています。

ご参加のお客様からご感想をいただきましたので、ご紹介いたしますね。

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伊丹さんの愛した小物、作品、とてもすばらしかったです。
まだまだ知らない伊丹さんを、少しだけですが、また知ることができました。

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お洋服コレクション、私ももう歳ですので、なにかテーマを決めて、自分に合ったものを選ぼうと、参考になったりもしました。とても楽しかったです。

 

伊丹さんの仕事、人柄について、展示室だけでは知ることのできないもっと深いところまで、知れてよかったです。

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伊丹さんの発想力、デッサン力、物に対するこだわりや愛情が感じられました。


実際に映画で使用されていた衣装など間近で拝見することができ感動しました。映画をもう一度よく見て確認しようと思います。

 

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 解らないことが解り勉強になりました。もう一度、映画を観てもう少し勉強したいと思います。

 

初めて参加させて頂きました。伊丹十三さんのこだわり、思考が、人生だったり作品を作っているんだな...と又あらためて伊丹さんを知ることになり大変楽しかったです。


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メンバーズカードにご入会いただきますと、1年間何度でもフリーパスでご入館いただけますほかに、こんなイベントにもご参加いただけますので、伊丹十三の世界にご興味お持ちの方、ぜひご検討くださいませ!

※詳しくは、メンバーズ会員制度のページのご案内をご覧いただくか、
ご来館の際に受付スタッフまでお声掛けください。

と、いうような収蔵庫ツアーの開催期間中だった10月14日(土)、開館以来の総入館者数が16万人を突破しました!

これまでご来館くださったすべてのお客様おひとりおひとりに、お礼を申しあげたい気持ちです。皆様、まことにありがとうございます。

16万人を突破した日の晩、「16......一六!」ということで、一六タルトでお祝いしました。伊丹十三がCMを手がけたことでご縁の深い、一六本舗さんによる四国銘菓です。

tarte.jpg松山の「タルト」は柚子風味のあんことスポンジ生地が
「の」の字に巻かれたソフトなお菓子です。

一六タルトのCMといえば、愛媛のみなさんにはお馴染みのフレーズがありまして、

――もんたかや。まぁ、一六のタルトでもおあがりや。
ほて、しぇーしぇき(成績)はどうじゃったんぞ――

と、画面の向こうからこちらへ向かって、伊丹十三が語りかけてくるんですね。

タルトを頬張ったら「どうじゃったんぞ」と聞かれているような気がしたものですから、
「伊丹さん、16万人もの方が記念館に来てくださったんですヨ!!」
と、心の中で報告いたしました。

新しいお客様、再来館のお客様をたくさん、長く、お迎えしていけるよう、この嬉しい通過点を糧にスタッフ一同励んでまいりたいと思います。

今後とも、どうぞどうぞよろしくお願い申しあげます。

学芸員:中野

2017.10.09 手拭い

突然ですが、口にファスナーがついていないバッグを使うとき、ちょっと困りませんか。
バッグの中が見えてしまいますし、ふとしたことで中の物を汚してしまうこともありますよね。そんなことが気になり、自分の手元にあるバッグは口にファスナーがついたものがほとんどです。毎年夏が来ると「カゴバッグが欲しい」と思い、街行く人が提げているバッグをつい見てしまうのですが、口が閉まらないデザインが多いことがちょっと気になっていました。

ところが、今年の夏の終わり頃に、その点を上手くカバーしてカゴバッグを使っている方を見かけました。方法は至って簡単で、バッグの口に目隠しとしてふわりと手拭いをかぶせているだけ。落ち着いた色のカゴバッグに、少しだけのぞく手拭いの風合いがピタリと合っていて、素敵でした。
それ以来、「いつか良いカゴバッグをみつけたら、手拭いとセットで使いたい」と思っています。

――と、何かと便利な手拭いですが、記念館で販売しているオリジナルグッズにも手拭いはあります。

1009_001.JPG伊丹さんが描いた「カチンコ」のイラストを使用しており、カラーは「黒色」「空色」「白色ピンク柄」の3種類。記念館グッズショップ、そしてオンラインショップでも販売しております。

1009_002.JPG1009_003.JPG生地は特岡、染めは捺染(なっせん)です。色違いでお買い求めくださるお客様もいらっしゃいます。ぜひ、お手に取ってみてくださいね。

スタッフ : 淺野

2017.10.02 伊丹十三記念館 建物外壁塗装工事のご案内

11月14日(火)より、記念館建物の外壁の塗装工事を行うことが決定致しました。
記念館がオープンしてから早いもので10年が経過しました。先日ご来館されたお客様から「開館10周年?!昨日出来たみたいに綺麗ね!」とお声を頂いたくらい、一見綺麗に見える記念館ではありますが、よーく見てみると所々

こんなところや

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こんなところが

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出てきているのです。
記念館を設計された建築家・中村好文先生が2年ほど前にご来館された際に「そろそろ外壁の塗り替えを・・・」とご提案下さったことをきっかけに、いろいろと準備を整え、いよいよ来月工事を行う運びとなりました。

●「安心して下さい!開いてますよ!」
工事期間は11月14日(火)から12月中旬を予定しております。この期間も普段通りのスケジュールで開館致します。
臨時休館などは致しません。休館日の火曜日以外は、普段通り館内をご覧頂けます。

●ご理解・ご協力のほど宜しくお願い申し上げます。
建物全体に足場を組み、一部をネットで覆います。焼杉でできた自慢の外観をご覧いただけない点は残念ではありますが、記念館をこれからもこれまで同様に「昨日出来たみたいに綺麗に」保ち、これからも多くのお客様をお迎えするための工事となりますので、期間中ご来館のお客様におかれましては、ご不便をおかけすることもあるかと思いますが、出来る限りの配慮をして参りますので、何卒ご理解頂けましたら幸いでございます。

来年のお正月には工事を終えた記念館をご覧頂ける予定です。
記念館便りでもご報告させて頂きますので、皆様もどうぞ楽しみにお待ちください!

スタッフ:川又