記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2016.11.28 読書

電車やバスでの移動中など、外出先でのちょっとした空き時間に本を読んでいる方を見かけることがあります。短い時間でも意外と読み進めることができて、楽しいものですよね。

本を持って出かける時、私は表紙の折れや汚れを防ぐためにブックカバーをつけるようにしています。布製・革製などブックカバーの素材はいろいろありますが、書店でもらえる紙製のカバーを使っている方も多いように思います。布や革のカバーほど丈夫ではありませんが、紙のカバーには薄くて軽いという良さがあります。

記念館のグッズショップでも、対象書籍をお買い求めくださったお客様に紙製のオリジナルブックカバーをプレゼントしています。

jacket_1128.jpg色は記念館の外観を思わせる落ち着いた黒で、伊丹さんが描いたイラストのシールがついています。本を読もうと手に取った時に、記念館の雰囲気をふと思い出していただけるかもしれません。お客様から「素敵ですね」とお声をかけていただくこともあります。
このブックカバープレゼントの対象となる書籍はこちらです↓


● 伊丹十三記念館ガイドブック(表紙「イラスト」「写真」の2種類あり)
● 映画『お葬式』シナリオつき絵コンテノート(表紙タイトル「明朝」「ゴシック」の2種類あり)
伊丹万作エッセイ集

おすすめの書籍たちですので、ぜひどうぞ。あわせてブックカバーもお使いいただけましたら幸いです。

――ちなみに、記念館内の入館者専用カフェ・タンポポは読書をするのにおすすめです。店内からご覧いただける中庭が、心を落ちつかせてくれますよ。


cafe_1128.jpg1128_3.JPG中庭の桂の樹はほぼ落葉しましたが、
この時期に中庭から見える空は高くて清々しく、リラックスできます。


多くのお客様がカフェで読書を楽しんでいらっしゃいます。皆さまもいかがでしょうか。

スタッフ:淺野

2016.11.21 12月の映画のご紹介 & 宮本館長出勤情報

少し早いですが......どなた様も師走はお忙しいことと存じますので、12月のお知らせを。

毎月13日の13時から常設展示室で開催している「十三日十三時の伊丹映画」、12月は13日が休館日の火曜日にあたる関係で、14日(水)に行います。
作品は『大病人』(1993年)。

テーマは「死」。終末医療をめぐる、癌患者(三國連太郎さん)と医師(津川雅彦さん)の物語です。

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パンフレットの作品解説に、伊丹監督はこんな言葉を寄せています。

病院が舞台になる映画を作ることにして、まず最初に考えたのは、等身大の病院の映画は作らない、ということです。その方向ならテレビのドキュメンタリーに絶対勝てないとわかっているからです。(中略)

――すると映画としての勝負は何なんですか?

二人の男がいます。一人は癌の患者、一人は癌と闘うことを職業としている医師です。患者は自分が癌で助からないことを知らない。医師は知っているけど教えない。医師にとって死は敗北であり、自分の守備範囲外であり、興味もないし、したがって適切に対処する能力もない。さあ、この患者がニッコリ笑って死ぬことができるかどうか。この二人の対立を極限まで高め、人格同士の激しいぶつかりあいの結果、最後には二人がスタートとは全く別の高いレベルにまで成長する、というふうに設計しましてね、観客は、二人と共に苦しみ、喜び、最後は魂が洗われた体験をして映画館を出てもらえばな、と思っています。

性格も立場も異なる「二人の男」が「対立」「ぶつかりあい」を経て「成長」する――

この映画のシナリオがいかにして生み出されたか、伊丹十三がどんな作品を意識していたかがよーく分かる資料を、企画展「ビックリ人間 伊丹十三の吸収術」に展示しています。

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映画の封切り直後に出版された著書、『「大病人」日記』(1993年)の直筆原稿です。

278ページもある本のうち、展示でお目にかけている部分はたった8ページ分ですが、「バディ・フィルム」「三幕物」という"定型"への挑戦によって伊丹映画が練り上げられていった過程を、楽しく面白く知っていただけます。
(また、この企画展のテーマでもある「伊丹十三の"異文化体験"」について記されている部分でもありますので、大変に貴重で大変にお得な展示でございます。)

伊丹映画と企画展を併せてお楽しみいただく今年最大のチャンス!
『大病人』は12月14日(水)の13時からです、ぜひお越しくださいませ。

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さて、その前の、12月10日(土)、11日(日)には、宮本館長が出勤して、ご来館の皆々様をロビーでお迎えいたします。

matsudamc.jpg記念撮影にも対応させていただきます!

12月10日(土)12:30頃~16:00頃
12月11日(日)11:00頃~13:00頃
※当日の状況により、滞在時間等は変更になることがあります。

年の瀬の慌ただしい季節になりますが、記念館では心地良いひとときを過ごしていただけるように努めてまいります。
師走の小休止に、ぜひいらしてくださいね。館長&スタッフ一同お待ちしております。

学芸員:中野

2016.11.14 お気に入りの一冊

記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
寒くなってきましたね!一気に冬を迎えてしまったような今日この頃ですが、体調など崩されていませんでしょうか。

さて先日、ご来館にあたって伊丹さんの著書『問いつめられたパパとママの本』を実際に持ってらっしゃったご夫婦がいらっしゃいました。2歳の息子さんとご一緒で、「この子が生まれる前に一度記念館に来て、その時に買いました」とのこと。以来愛読してくださっていて、ご夫婦で何度も読み返してらっしゃるそうです。今回記念館に行こうということになり懐かしくて持ってきました、とお話しくださいました。

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【問いつめられたパパとママの本(中公文庫)】
大人がうまく答えられなかったり、あいまいに答えてしまったりする
子供の素朴な疑問を、やさしく解明してくれています。
親御さんに限らずおすすめです!

実はこのご夫婦のように、ご来館のお客様が、伊丹さんの著書を持ってらっしゃることがあります。初版本、文庫本などお持ちの本は様々ですが、「記念館に行くから」ということで持ってこられ、カフェ・タンポポのドリンクを飲みながら読まれる方、「空いた時間に読みたくて旅行中はいつも持ち歩いています」という方、「引越しで荷物を減らしたい時も、これは手放せませんでした。何度も何度も読み返してぼろぼろになんですけど」と仰って実物を見せてくださった方もいらっしゃいました。

皆さま総じて「お気に入り」の一冊として大切にしてくださっているとのこと。伊丹さんの著書、中には記念館でお買い上げくださった本を気に入って長年大切にしてくださっているのを実際に見ると、嬉しいものですね。もちろん、書籍をお持ちでなくても、伊丹さんの著書を「お気に入り」とお話しくださるお客様はたくさんいらっしゃいます。

残念ながら絶版になっているものもありますが、記念館ショップ・オンラインショップでも伊丹さんの著書や関連本を取り扱っています。夜が長くなるこれからの季節、ご興味がある方は伊丹さんの著書にぜひトライしてみてください。長く読み続ける、お気に入りの一冊になるかもしれません!

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最後に、上述のご夫婦がお持ちだった『問いつめられたパパとママの本』から、この時期にぴったりの「冬ニナルトドウシテイキガ白クナルノ?」というエッセイをご紹介します。

(前略)空気は、無制限に水蒸気を含むことはできない。おのずから限度というものがある。そうして、空気が、この限度ぎりぎりいっぱいまで水蒸気を含んだ状態を「飽和状態」というのですね。 

(中略) 

 こういうふうに、飽和状態の空気の温度が下がって、はみだした水蒸気が水滴になることを「凝結」というのです。

 

 さて、ここまでくれば、冬、なぜ息が白く見えるか、もうみなさんおわかりになったことと思います。
 つまり、われわれの吐く息は、体内でとらえた水蒸気を多分に含んでいるのでありまして、この水蒸気が冷たい空気に触れて、一時的に凝結する。そうして、この凝結によって作られた水滴が、日光を散乱させて白く見える、ということなのですね。
 立ちのぼる湯気、曇った窓ガラス、「汗をかいた」ビール瓶など、すべてこの凝結によって説明できる現象です。
 では、しばし、熱いお茶でも飲みながら、立ちのぼる湯気に思いをこらしてくださいまし。


スタッフ:山岡

・・・・・・・・・・・・<年末年始の開館・休館のご案内>・・・・・・・・・・・・

12月27日(火)~1月1日(日)は休館とさせていただきます。
1月2日(月)、3日(火)は開館時間を10時~17時(最終入館16時30分)とさせていただきます。

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2016.11.07 手帳

早いもので、もう11月ですね。


yamaboshi_2016.JPG記念館入口横のヤマボウシが色づいています


この時期は、雑貨店などの店頭に来年の手帳がたくさん並んでいて、見ているだけで楽しくなります。皆さまは、どんな手帳をお使いでしょうか。
私は、ひと月の予定がパッとわかるものが使いやすいため、毎年マンスリータイプのものを選んでいます。カバーデザインにはあまりこだわりませんが、書きやすいサイズ・紙質のものを探すようにしています。使い方も単純で、おおまかな予定を各月のページに記入し、細かいことは手帳の後半にあるノートページに書き留めています。それでも忘れそうな予定は、アラーム機能のあるスマートフォンのカレンダーにメモすることもあります。手帳の選び方・使い方は人によってさまざまですよね。

――ところで、伊丹さんはどんな手帳を使っていたのでしょうか......?
現在の企画展「ビックリ人間 伊丹十三の吸収術」の「記録のための愛用品」コーナーに、伊丹さんが愛用していた手帳を展示しています。

pocketbook_1.JPGpocketbook_2.JPG「タイムシステム」の手帳で、周りの人にプレゼントするほど気に入っていたそうです。スケジュール管理のフォーマットが独特で、こだわりが感じられる手帳です。また、スケジュール管理だけではなく、同じ手帳の無地リーフには取材メモなどが細かく記してあります。

pocketbook_3.JPG「何を選び、それをどう使うか」には、その人らしさが出ますよね。
手帳の他にも、伊丹さんらしい愛用品を展示しておりますので、ぜひご覧くださいませ。

スタッフ: 淺野