こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。
2024.02.12 テレビマンとしての伊丹十三
あっという間に2月となり、寒さのやわらぐ日も出てまいりましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
今週から来週にかけては暖かくなったり冷え込んだりと、寒暖差の激しい日々が予想されます。季節の変わり目に入ってまいりますので、皆さま何卒お身体を大事にお過ごしください。
さて、2月6日(火)に放送された、NHK Eテレの教育番組『先人たちの底力 知恵泉(ちえいず)』の伊丹さんの特集の前編、皆さまご覧くださいましたでしょうか。
"伊丹十三 人を魅了するには"をテーマに、今回放送された前編では、伊丹さんが映画監督になるまでに携わった、商業デザイナー、エッセイスト、俳優、テレビマンなどの仕事について紹介されました。
番組を見ていて、伊丹さんを知らない方や映画監督のお仕事だけを知っている方は、番組の中で紹介されている伊丹さんの様々なお仕事の経歴に興味が湧いたのでは...!と思いましたので、本日の記念館便りでは様々なお仕事のひとつ、テレビマンとしての伊丹さんについてご紹介をさせていただきます。
1971年、テレビマンユニオンが制作する人気テレビ番組『遠くへ行きたい』への出演を機に、テレビの面白さや可能性に惹かれた伊丹さんは『天皇の世紀』や『欧州から愛をこめて』、『古代への旅』など様々な番組に関わっていき、出演者としてだけではなく、制作スタッフとして番組作りにも携わりました。
そんな伊丹さんのテレビマンとしての活動。2024年現在は映像の全容を見ることは難しいですが、いくつかの媒体から番組の内容を知ることが出来ます。
テレビマンとしての伊丹さんをもっと知りたいという方はぜひ、これからご紹介する映像や書籍をご覧ください。
まずは、記念館の企画展示室にて上映しております、『遠くへ行きたい』より「伊丹十三・宮本信子の旧婚旅行」の映像です。こちらは企画展示『伊丹十三の「食べたり、呑んだり、作ったり。」』での上映のため、食に関する場面が取り上げられたダイジェスト版となっており、ドキュメンタリー番組の案内役をしている伊丹さんを約15分じっくり見ることが出来ます。ご来館の際にはぜひ、ご覧いただけますと幸いです。
企画展示室で上映されている『遠くへ行きたい』の映像
お次は、記念館のショップで販売をしているDVD『13の顔を持つ男』です。
このDVDは伊丹さんのテレビ番組の映像を収録しており、ダイジェスト版となっておりますが『遠くへ行きたい』や『天皇の世紀』の映像をご覧いただけます。
DVDの映像
常設展示室でもご覧いただけます。
初めて出演した『遠くへ行きたい』の「親子丼珍道中」や「ズッコケ発明珍道中」の他、『先人たちの底力 知恵泉(ちえいず)』でも紹介のあった「天が近い村」も収録されています。
「天が近い村」は、婚姻の歌を撮るはずが、「お祝いの歌を撮るなら最初から結婚式を全部やってしまった方がいい」という村の人々の善意ではじまった本格的な結婚式の撮影となり、"撮影をしようとしたところ、番組のために村の人々が結婚式をしてくれたという"事実を、ドキュメンタリーとしてありのまま伝えた回です。
「天が近い村」のエピソードにつきましては、第8回 伊丹十三賞 受賞記念で開催された、受賞者・是枝裕和さんと今野勉さんの対談、「是枝裕和×今野勉対談「伊丹十三とテレビ」」の採録でもご覧いただけます。
こちらの対談に登壇している今野勉さんは、『遠くへ行きたい』や『天皇の世紀』など様々な番組にディレクターとして関わっておられ、伊丹さんと共に番組を作られていました。そんな今野さんは昨年、テレビマン時代の伊丹さんに関する書籍、『テレビマン伊丹十三の冒険』を出版されています。
制作に関する伊丹さんのエピソードを沢山知ることが出来ますので、合わせてご覧いただけますと幸いです。
DVD『13の顔を持つ男』は、記念館のオンラインショップでもお取扱いがございますので、まだご覧になっていない方はぜひお買い求めください。
お次は、『伊丹十三選集 第1巻』です。こちらには、伊丹さんのエッセイの他に、ドキュメンタリー番組『伊丹十三の古代への旅』の番組内容の書きおこしが収録されております。1977年に放送された番組で、古代日本や古代アジアをテーマに、その分野の専門家に話を聞きに行くという内容です。『伊丹十三選集 第1巻』では「古代への旅」の中で全13話の番組の書きおこしが収録されております。
えーテレビで古代史をやってみろということになったわけです。古代史というのは非常に面白いのですけれども、テレビにするとなるとまるで自信がない。古代の遺跡や先生方の話だけで番組ができるんだろうか、その辺がよく分からんわけですねえ。従って今回は番組を作りつつ、とりあえず古代史とテレビの接点を探ってみたいと思うわけです。
(『伊丹十三選集 第1巻』より「古代への旅」)
映像ではご覧になれませんが、伊丹さんの聞き書きのスタイルを思わせる書きおこしの文章は大変読みごたえがございますので、ご覧いただけますと幸いです。
いかがでしょうか。今日では、伊丹さんの出演しているテレビ番組映像を全編視聴することは叶いませんが、面白い番組を作り続けた伊丹さんの足跡に触れる機会は沢山ございます。
『知恵泉』をご覧になり、映画監督以外のお仕事も気になった方がいらっしゃいましたら、ぜひ、書籍やDVD、そして記念館の展示で伊丹さんをもっと知っていただけますと幸いです。
明日、2月13日(火)は後編が放送されます。
予告編はこちらからご覧いただけます。来週は宮本信子館長のインタビューもございますので、ぜひご覧ください!
https://www.nhk.jp/p/chieizu/ts/R6Z2J4WP1Z/episode/te/J1MM41V5P3/
学芸員:橘
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