こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。
2023.09.11 第15回伊丹十三賞 贈呈式を開催いたしました【その1】
各メディアで報じていただきましたのでご存知の方も多いと思いますが、去る9月1日(金)、国際文化会館で伊丹十三賞の贈呈式を開催いたしました。
贈呈式直前のステージ
会場入り口
第15回を数える伊丹十三賞の受賞者は、脚本家・三谷幸喜さんです(プロフィールや受賞者コメントなどの詳細はこちらをご覧ください)。
三谷幸喜さん
記念館便りでは、今週と来週の2回に分けて贈呈式の様子をレポートさせていただきます。
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贈呈式は、進行役を務める玉置泰館長代行の挨拶に始まり、この度の受賞者・三谷さんと受賞理由が紹介されました。その受賞理由は
「つねに企みをもちながら、脚本、演出、エッセイ、コメンテーターなどの仕事に取り組み、独自の境地を切り拓いた予測不能の才能にたいして。」です。
続いて選考委員の4名と宮本信子館長の紹介があり、選考委員のおひとり・南伸坊さんから祝辞が贈られました。
祝辞・選考委員の南伸坊さんより
三谷さん、伊丹十三賞おめでとうございます。そしてありがとうございます。これでまた、伊丹十三賞がさらにひと回り大きくなりました。
私は三谷さんに、これまでもいろいろなシチュエーションで笑わせていただきました。私は笑うことが大好きなので、笑わせてくれる人が大好きです。
ドラマで、エッセイで、インタビューや対談の受け答えで、テレビのコメンテーターとして。あるいは映画の宣伝のときでさえ、三谷さんは、どんなときにも工夫して必ず面白いことを言って笑わせてくださいます。
素晴らしい! ――ことです。(場内笑)
祝辞を贈る南伸坊さん
笑うっていうのはなんでこんなに楽しいのか。面白いっていうのはどういうことなのでしょうか。
私たちは、わかりきった話はつまらないです。同じ冗談を続けて何度もされると少しムッとします。かといって、難しくて立派なわからない話も面白くないです。
わからないからです。
私たちはどんなときに面白いと思い、笑うでしょうか。私が思うには、すでにわかっていると思っていたことが覆されるときだと思います。言い換えると、わかっていたことをわかり直したときに脳みそが喜ぶのではないか。わかっていたことをわかり直して、深くわかる。笑っているとき、私たちは何らかの発見をしているのではないでしょうか。その喜びが、笑いになっているのではないか、と私は思います。
「我々はごくくだらないことで笑っている」と思う方もおられるでしょう。「ごくくだらないことは、発見ではないだろう」と、私は思いません。
「なんだかよくわからないことでも我々は笑う」と思う方もおられるでしょう。「なんだかよくわからないのでは、そもそも発見ではないだろう」と、私は思いません。
すぐにはわからない発見が我々にはあると思います。むしろ、もっともらしくて誰もがすぐ了解できるようなことではない、よくわからない発見が、少しずつ積み重なっていく――ようなことがあるのではないか。だから私は、どんな " くうだらない " ような笑いの話も、実は何らかの発見を伴っているのではないかと考えているのです。
" 笑うこと " について話す南さん【※】
とにかく私たちは笑うことが大好きで、笑わせてくれる人が大好きです。三谷さん、これからも、みんなを、私を笑わせてください。よろしくお願いいたします。(場内笑)
伊丹さんもきっと喜んでおられると、私は思います。
おめでとうございます。(場内拍手)
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南さんの祝辞を、ところどころ「ウン、ウン」と頷きながら熱心に聞いておられた三谷さん。
「笑わせてくれる人が大好き」という、祝辞の中に2回登場したこの " 笑わせてくれる人 " である三谷さんは、続く受賞者スピーチでユーモアあふれるお話を披露してくださいました。
そんな三谷さんのスピーチ等々、続きは来週をお楽しみに!
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【※】の写真は、撮影:池田晶紀さん(株式会社ゆかい)、
撮影協力:株式会社ほぼ日のみなさんです。
スタッフ:山岡