こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。
2020.07.20 "十三"日は映画の日です!
梅雨明けを待たず蝉の声が聞かれる松山です。
みなさま、いかがお過ごしでしょうか。
伊丹十三の脚本監督作品を常設展示室でご覧いただける「毎月十三日の十三時は記念館で伊丹十三の映画を観よう!」、今年も開催しております。
先日7月13日(月)には『マルサの女』(1987年)をお目にかけました。
開催日には、あらすじ・スタッフ・キャスト・公開データなどをまとめたミニ解説(A4二ツ折り)をお作りして、ご来館くださったお客様にお配りしているのですが――
展示室に関連資料が出ているときは、こんなご紹介も載せています。
『マルサの女』ミニ解説(20年7月13日配布分)
『マルサの女』の撮影台本に関する部分を書き出してみましょう。
撮影から完成まで伊丹十三が使用した台本を常設展「十三 映画監督」に展示中。カット割りに関する書き込みが多数見られる、パチンコ屋訪問の場面のページをご覧いただけます。このシーンでは、順光と逆光を利用して税務調査官と脱税者の攻防が巧みに表現されていますが、「優位に立っている者を逆光で/劣勢なほうを順光で捉える」という方法は、撮影当日の朝、寝床の中で考え付いた妙案だったのだそうです。
「優位に立っている者が逆光」ということに、一瞬「ん?」と感じられると思うのですが、この場面を本編で見てみますと、光を背負って(光源のある側に立って)いる姿や、顔が暗く表情が読み取れないことが、たしかに「優位」の表現になっているのです。
次に、実際の展示資料、すなわち「伊丹十三が現場で使用した台本の実物」をご覧いただきますと、
カメラ・俳優の配置図などとともに「逆光」「順光」という書き込みが見られます。
キャラクターの力関係とその展開を視覚的にあらわすためのものだったと分かって見ると「なるほどなぁ~」となりますね。
せっかく記念館で伊丹映画をご鑑賞いただくからには、展示と併せてご覧いただくことで楽しみがいっそう深まるようでなければ、と心掛けております。映画本編の前、後にも、展示室で関連資料をご覧いただくお時間を確保して、ぜひゆっくりとお越しください。
「毎月十三日の十三時は記念館で伊丹十三の映画を観よう!」は5月と8月以外の毎月13日、13日が火曜日にあたる場合は翌14日水曜日に開催しています。
次回は、マルサも敵もグレードアップのシリーズ第2弾、板倉亮子と仲間たちが巨大脱税組織に挑む『マルサの女2』(1988年)。
8月は開催がございませんので、9月13日(日)、ミニ解説を作ってお待ちしております。さて、どんな情報を盛り込みましょうか!
学芸員:中野
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