記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2014.11.03 おじさん普及活動の進捗状況につきまして

文化愛媛』第73号(10月10日発行)に伊丹十三に関する小文を寄稿させていただきました。
「戦後愛媛の才人群像―その感性、信念―」という特集記事のうちのひとつです。
松山に転居してきた高校時代を出発点に、父である伊丹万作への思いが変化していった過程(なんと30年間を原稿用紙約6枚に超圧縮!)を紹介しています。


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ご依頼のお電話をいただいたとき「伊丹さんは身近な人にも昔語りはしなかったそうですし、文章にもあまり残していませんし、このご要望にお応えできるか甚だ不安です~~~伊丹さん自身も口にしなかったことを私が書くなんて~~~」などとグダグダ言ってしまったのですが、ご担当の方の「伊丹さんはこの企画に欠かせない存在なんです」、「県内の各高校にも納めていますのでごく若い方もお読みになります」とのお言葉にコロリ。トライしてみることにしました。

「"おじさん"としての伊丹十三を若い方々に普及したい」、「日本人の正しい"おじさん"化を促進したい」というのが私の職務上の一大テーマでありますから、これはきっとチャンスに違いない、と思ったのです。
(伊丹十三的「おじさんの定義」はコチラでご確認ください。)

と言っても、「みんなの思い出のカッコいい伊丹さん」というのではなく、むしろその逆の一面、「故郷とは」「親子とは」とモヤモヤし続けたことについて書いたので、伊丹さんをご存知の方は意外にお思いになるかもしれません。
でも、そういうことこそ、読んでくださる方の中でいつか何かが芽吹く種になるのではないかな、なるといいな、と願っています。

前回の企画展『父と子―伊丹十三が語る父・伊丹万作の人と芸術―』をとおして感じたことのまとめにもなり、いい機会をいただいたことに感謝しています。
(企画展の趣旨や展示内容について書くことは、始まる前には解説文や紹介文などたくさんあるのですが、終ってしまうとじっくり振り返るいとまはなかなかないものなんですよね!)

私が担当した伊丹十三のほか、安西徹雄さん(英文学者・演出家)、岩浪洋三さん(ジャズ評論家)、天野祐吉さん(コラムニスト)、久世竜さん(殺陣師)、真鍋博さん(イラストレーター)の生涯・功績・人物像が紹介されています。
愛媛県内の書店・図書館でお手に取っていただけるそうですので、お見かけになられましたらぜひ。


学芸員:中野