こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。
2024.08.19 皿熱は突然に......
頼んだ覚えもないのに毎朝毎朝スマホに届く「今日の天気」情報。
「最高気温35℃(前日比-2℃)」の翌日が「最高気温35℃(前日比-2℃)」その翌日もまた同じ......
「予報、35℃!」「実際は37℃!」「今日こそ35℃予報!」「やっぱり37℃!」を繰り返しているっていうことじゃないですか!!
今日も結局37℃になるんでしょうねぇ、と諦めて家を出ると、あら、空は早くも秋の色。
伊丹さんの愛用した器や調理器具など200点以上を展示している『伊丹十三の「食べたり、呑んだり、作ったり。」』が昨年7月に始まって以来、お客様方からは、買い集めた物たちへの伊丹さんの愛の深さ、「これでなくっちゃ」という気迫のこもり具合に感嘆のお声をいただいております。
「もうこいつなしにはわたくしの日々の食生活は成り立ちようがない、とさえ思う」
――という一文は伊丹エッセイにありそうでないのですが(私の創作です)、きっとそう思っていたにちがいない物ばかりが並んでいるので、物を通して伊丹さんの台所や食卓での姿がありありと見えてくる、そんな展覧会になっています。
伊丹家のお蕎麦セット。
季節柄、ツルっといきたくなりますねぇ。
この企画展示室に私のような者が身を置きますと、「ああ、自分はつくづくと、器にせよ調理道具にせよ、物を手に入れるということに関する情熱が薄~い人間なんだなぁ」と反省の念が浮かんでくるのであります。(すでに持っている物への愛着はありますけどね。)
ええっと、最後にお皿を買ったのはいつだったかしら。
そんな私が旅先の高知でお皿を衝動買いしたのですから、これはアナタ、ちょっとした事件というべきではありませんか。
近年全国に知れ渡りつつある「絵金祭り」を目的にした旅行だったので、まさかお皿を買うことになるとは思わなかったのです。
友人たちと高知県香南市は赤岡の地を訪ね、祭りの宵の賑わいを楽しんでおりますと、何とはなしに気になるお店が。
店構えは「和洋マゼコゼよろず古物屋さん」という雰囲気で、諸外国の古着、ヴィンテージもののインテリアや電化製品が並んだ店先から中を窺うと、いちばん奥のほうに骨董らしき食器類のコーナーが見えました。
ほう、高知の旧家の蔵出し品......
揃いのお皿もバラのお皿もステキなのがいっぱいありますね......
見るのは好きなんです......見るだけ......見てるだけ......
左は直径11cm、左は直径18cm。
......オヤッ!? 気付けば2枚のお皿が手の中に!!
お店の方に「ええの選ぶやん」やら「実は私が欲しかったやつ~」やらと言われてポ~ッとなったせいか産地も値段も忘れてしまいましたが、"目が合った"から連れて帰ってきましたってことで、まぁいいか、と思っています。
というわけで、みなさん、"皿熱"は突然にやってくるもののようです。旅行カバンには若干の隙間を作ってお出かけになることをお勧めいたします。
学芸員:中野
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