記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2024.03.11 ミモザ

春らしく暖かな日もあれば、雪が降るほど寒い日もあり、体調を崩しやすい季節となってまいりましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

まだまだ寒さの沁みる日もありますが、記念館の横を流れる川辺の菜の花が咲いて見頃となってまいりました。ロウバイやユキヤナギ、トサミズキも花をつけ、記念館は春らしい装いです。

 

 

s-IMG_6034_2.jpgロウバイ

 

s-IMG_6043.jpgユキヤナギ

 

s-IMG_6041.jpgトサミズキ

 

春も近付く今日この頃、とある記念日の名前を様々なニュースサイトや新聞で目にしました。それが、3月8日の「国際女性デー」です。

「国際女性デー」とは国際機関によって定められている記念日で、女性の社会参加や地位向上、平等などを訴える日です。世界中で記念行事が開催されているほか、国内でも女性の社会参加や平等などについてのニュースが多数報道されました。

 

この「国際女性デー」は、別名「ミモザの日」とも言うのだそうです。

ミモザの日と呼ばれる所以は、「国際女性デー」の象徴として親しまれている花だからだそう。イタリアでは3月8日を「Festa della donna」(女性の日)と呼び、男性が女性に感謝の思いを込めてミモザを贈る日でもあるそうです。

 

最近、道端や公園などでミモザの花をよく見かけておりましたので、この可愛らしい花が「国際女性デー」のシンボルというのは、なんだか嬉しく思われました。

 

s-IMG_9936_2.jpg散歩中に見かけたミモザ

 

さて、記念館でミモザといえば、『ヨーロッパ退屈日記』にございます、「ミモザ」が思い出されます。伊丹さんが飛行機に乗ったら飲むと決めていたカクテルのミモザについてのエッセイです。エッセイでは言及されておりませんが、こちらのカクテルの名前の由来は、黄色い花をつけるミモザに似ているからだと言われています。

 

 飛行機で思い出したが、ヨーロッパの朝食で、一番贅沢な飲物は何だと思う?

 グレープ・フルーツ・ジュース、なんかじゃないよ。グレープ・フルーツは、日本では二、三百円、高い時には五百円なんていう時があったが、ロンドンでは、一等いいやつが、一個一シル、即ち五十円だ。

 何といっても奢りの頂上は「ミモザ」ということになる。「ミモザ」というのは、シャンパンをオレンジ・ジュースで割ったものだ。

 シャンパン、というのは嫌いな人が案外多いものだが、「ミモザ」を作ってすすめると、大概のシャンパン嫌いも、オヤ、という顔をして、どんどんお代わりしたりなぞするようである。

 わたくしは、飛行機に乗ったら、飲物は「ミモザ」ときめている。

 一等なら、シャンパンは全くタダなのだが、わたくしは滅多に一等には乗らない。短い航路ならともかく、ヨーロッパ往復で、二等との差額が二十何万円にもなっては、乗りたくても乗りようがないではないか。

 ところで「ミモザ」の話だが、シャンパンは何も一等と限ったことではないのだ。二等だって、お金さえ払えば、税無しの、素敵に安いシャンパンが飲めるのです。

 ポメリーの半壜が、七百円と少しくらいだったと思う。オレンジ・ジュースはタダだから、自分で半々に割って、ま、気楽に召し上がって下さい。

(『ヨーロッパ退屈日記』より「ミモザ」)

 

s-IMG_6035.jpg「ミモザ」の挿絵で描かれているレモン搾り器

現在は企画展示室にて展示されています。

 

こちらのエッセイに登場するミモザは、記念館のカフェでもお召し上がりいただけます。

カフェではシャンパンを単品でお取り扱いしております。シャンパンは200mlの壜でのご用意となりますが、シャンパンをご注文の際、ご希望のお客さまにはミモザ用のみかんジュースを1杯分ご提供させていただきます。エッセイの飛行機と同じようにお出ししておりますので、ぜひご自身で混ぜてミモザをお作りください。

シャンパンと1対1で混ぜるみかんジュースは、愛媛みかん、清見タンゴール、デコタンゴールからお選びいただけます。

伊丹さんも愛飲していた、春先にぴったりの爽やかなカクテルのミモザ。ぜひ、エッセイを思いながらお楽しみください。

 

 

s-IMG_6036.jpg

 

 

〈お知らせ〉

開館17周年の記念イベントとして、収蔵庫ツアーを開催いたします!

 

収蔵庫ツアーは、普段は公開をしていない収蔵庫を学芸員がご案内するツアーとなっておりまして、収蔵庫の2階部分にございます展示室風に整えた収蔵庫展示をご覧いただけます。

イラスト原画や生原稿、愛用品の数々、湯河原の自宅のダイニングを再現したコーナーなど、伊丹さんについてより深く知っていただけるツアーとなっております。

 

s-IMG_5480.jpg収蔵庫内の様子

 

2022年の秋からメンバーズ会員様限定のツアーは再開しておりましたが、2019年まで開催していた周年記念イベントでの収蔵庫ツアーは、実に5年ぶりの開催となります。

 

開催期間は4月19日(金)、4月20日(土)、4月21日(日)の3日間。各日10時30分~と14時30分~の2回ずつ、計6回開催いたします。

ご参加には事前応募が必須となりますので、詳しくはこちらをご覧ください。

※定員を超えるご応募がございました場合は抽選となります。ご了承ください。

 

この機会にぜひご応募くだされば幸いです。皆さまのご応募、お待ちしております!

 

学芸員:橘