記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2023.01.16 雨

春先のように暖かい日もあり寒暖差の激しい日々ではございますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

私事ではございますが、松山に住み始めて初の年越しを経験いたしまして、元旦には椿神社に初詣に行ってまいりました。おみくじでは大吉を引き当てましたので、今年一年健康に頑張ることが出来そうです。

 

今回の記念館便りを書いている本日、松山ではしとしとと雨が降っております。雨の日となると外出が難しくなるかと思うのですが、記念館では天候に関わらず展示をゆっくりご覧になれますので、雨の日のご来館もおすすめです。雨の日の中庭は少し落ち着いた雰囲気で、雨音やペトリコールを楽しんでいただけます。

 

s-IMG_3733.jpg雨の日はカフェや回廊でお客様が景色に見入っているのを
拝見することが多いです

 

 

s-IMG_2877.jpg濡れて艶やかな石をじっと見ていると
なんだか自分も洗われているような気持ちになったりもします

 

さて、こんな雨を見ていて思い起こすのは、映画の中で雨が降っているシーンです。伊丹さんの映画の中でも印象的な場面が多い雨ですが、皆様はどのシーンが特に印象に残っていらっしゃるでしょうか。

 

『お葬式』での高速道路を走りながらサンドイッチを手渡すシーン。『タンポポ』でタンポポの店に初めてゴローたちが訪れるシーンや、白服の男が撃たれるシーン。『マルサの女』の権藤が愛人に廃棄させた証拠を、板倉亮子がゴミ捨て場で探すシーン。『静かな生活』でのイーヨーが意を決してマーちゃんを救うシーン。

 

 

s-osoushiki2.jpg『お葬式』よりサンドイッチを手渡した後のシーン

 

 

s-marusa.jpg『マルサの女』よりゴミ捨て場のシーン

 

 

注目しながら見てみると、伊丹さんの映画作品には頻繁に雨が登場していることが分かります。

 

雨のシーンの撮影に関する話が、『マルサの女をマルサする』にてご覧いただけます。

 

s-meikingu2.jpg『マルサの女をマルサする』より撮影風景

 

撮影初日からいきなり土砂降りの雨のシーンの撮影をする伊丹さん。雨というのはカメラに向かって逆光気味に光を当てないと光らないとのことで、撮影する際には雨を降らせる特殊機械部門だけでなく、カメラや照明などのスタッフが一丸となって撮影に臨む必要があるそうです。これから映画を撮影するスタッフをまとめあげるために、雨のシーンを最初に撮影するという伊丹さんの作戦だったようです。

 

同じメイキングの中で、伊丹さんは雨が好きだというナレーションがあります。映画の中でたびたび雨のシーンが出てくるのは、伊丹さん自身が雨を好きで撮影されていたのかもしれないですね。

雨の日にご来館の際には、映画の中の雨を思い出しながら記念館を楽しんでいただけますと幸いです。

 

スタッフ:橘