記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2022.11.21 「トリセツを読む人」

ある同僚スタッフ――まあ、仮に"Kさん"としましょうか(一人しかいませんけど)――は、物事の捉え方とその表現がちょっと独特かつ的を得ていて面白いなあ、とかねがね思っておりました。例えば、クッキーやスコーンを食べて「小麦粉って美味しいですよね」とか。
「ポイントそこ!? でもたしかに~、ハハハ」と感心&笑わせてもらうことしばしば。

Kさんの観察眼は、当然、周囲の人間に対しても向けられているわけですが、彼女は慎み深い人なので、すぐさまベラベラしゃべるということはなくて、ある時、何気ない会話の流れの中でポロっと出てくるんですね、私への評価(?)が。
そして「へぇ、そういうとこ見てるんだ」「それは気づいてなかった」等々、中野が知らない中野を中野に教えてくれるのです。

数年前「中野さんって輪ゴムが好きですよね」と言われたのはなかなかに印象的で、心に深く刻まれています。(だって、輪ゴムそのものが好き嫌いの対象になるものだとは思わないじゃないですか!)

※なお、Kさん曰く「自分は輪ゴムが嫌いというわけではないが、なくとも生活できており必要と思ったこともないから買ったこともない」→「中野さんはよく輪ゴムを使っているし見当たらなければ探しているし箱買いまでする」→「輪ゴムが好きな人」と判定、とのことです。

つい先日は「中野さんはトリセツ(取扱説明書)を読むタイプ」との評価をいただき、「そりゃ読みますけど、それほどでは...隅から隅までってほどでは...」「世間の大多数の人々に比べれば、かなりちゃんと読むほうですよ!」と、そんな会話がなされたのですけれども、その2日後、新しい電気ケトルを購入し帰宅した私が第一にやったことと言えば......取扱説明書の熟読、でありました。
た、たしかに......読みますね、トリセツ......電気ケトル、かなり単純な家電なのに......

あ、もしかしてKさん、私が最近こんな本をフムフムと楽しんでいるのを察知していたのでしょうか――

20221121_torisetsu_e.jpg(2021年10月・昭文社刊)

これは、元はというと昨年の帰省中に『岩手のトリセツ』を見つけて買い、「知ってるようで知らなかった故郷」に触れることができたので「このシリーズ面白いな~、愛媛版はまだ出てないのか~、刊行されたら買うぞ~」と心に決めていたものです。

※記念館記事掲載書籍ではありません、ご了承ください。念のため。

愛媛に住んでもうすぐ15年になる私でありますが、地形・地質、鉄道・舟運、産業・文化、その他いろいろの「そうだったのか!」が盛りだくさんで、少しずつ、味わうように読み進めています。何しろ、冒頭の地図4種だけでもずっと眺めていられるほどで......

昭文社ホールディングスHP内のサイトによりますと、「トリセツ」シリーズは "地元の方"向け(一般的な旅行ガイドとは真逆!)なのだそうです。
実際、「ちょっと知ってる」「だいたいの土地勘がある」のをベースに読んだ上で「知らなかった!!」となるのが楽しいのですが、「旅行先の自然の成り立ちや歴史の背景をあらかじめ知っておいたほうが、旅の深みが増すよね」という方の予習にも、大いに役立つことでしょう、オススメです。

記念館で、松山のあちらこちらで、ご旅行中と思しき方々をお見受けする機会が増えてきました。
予習シッカリ旅の方も、行き当たりバッタリ旅の方も、愛媛をご満喫くださいますように。もちろん、愛媛県にお住まいの皆様も。

20221121_meigetsuya.JPG名月や 池をめぐりて 夜もすがら
―併設小企画『伊丹万作の人と仕事』「手作り芭蕉かるた」より―
中秋の名月といえば大抵9月ですが、
11月、冴えた夜空に浮かぶ満月もイイですよね。

学芸員 : 中野