こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。
2022.08.15 中庭
8月も半ば、いまだ猛暑日が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今月は夏休みに入られた学生の方がご来館くださることも多く、中にはノートを片手に展示室をご覧になっている小中学生の方もいらっしゃいました。カフェで親御様と休憩を取りながら、熱心にノートに向かっている方を見ると、微笑ましくて自然と笑顔になってしまいます。
さて、本日は記念館の中庭についてお話しをさせていただきます。
記念館の中でも印象的な空間であり、ご来館くださるお客様から「とても素敵ですね」と言っていただけることが多い場所でもあります。
日々、中庭を通っております私も、とてもお気に入りの場所です。
記念館のリーフレットを開いていただくと、宮本信子館長のお言葉が書かれております。
ある昼下がり。中庭の草の上に、腹這いになっている人がいる。どうやら本を読んでいるようだ――。そばにシャンパンのグラス。
近づいてみると、ナント、「伊丹十三!」そして、「やぁ、いらっしゃい!」。少しニヤリと笑って言った。続けて、彼はまた、言う。「楽しんでいって!けっこう面白い所だよ、ここは――。記念館としては旨くいったネ。僕も気に入ってるんだよ。まぁ......ごゆっくり......いやぁ――(頭を掻く)よかったら、また、来てネ!」
「伊丹十三記念館」は、隅々まで伊丹十三が感じられる、あたたかくて、気さくで、見ごたえのある記念館です。
記念館のリーフレット
イラストは中村好文先生です
展示室を入ってすぐの大型モニターでも流れております、館長のご挨拶の中にもこの「中庭で腹這いになっている伊丹さん」の姿は語られております。13のコーナーと企画展示室を見てから中庭に出てみると、本当に伊丹さんが寝転んでいる姿を見れるような気がすることも。お客様からもたびたび「本当に伊丹さんが中庭にいる気がしました」と中庭について話していただき、嬉しく思います。
中庭で立派に育っている桂
記念館便りでもよくご紹介をさせていただく、中庭の桂は開館当時からここにあります。季節の移り変わりだけではなく、一日の中でも違った姿を見せるこの桂は、根元から二つに分かれた双幹の形をなしております。まるで伊丹さんと宮本館長のお二人が寄り添っているように見える記念館のシンボルツリーです。
中庭を囲む回廊には、腰をかけて休めるようにベンチがとりつけてあります。ご来館くださるお客様のほとんどが座って景色を眺めてくださる場所です。みなさまの声のお写真を撮らせていただく際「どこでお撮りいたしましょうか」とお伺いすると、座ってくださる方が多い人気の場所でもあります。
そんな中庭を望む大きなガラスに、可愛らしい模様が入っているのをご存知でしょうか。
受付側、カフェ側のどちらにもついておりますこちらは、映画『タンポポ』の主人公タンポポがお店を改装した時に掲げた看板の絵柄です。写真では伝わりにくいのですが、色味は薄いグレーとなっており、景色によく馴染んでおります。
等間隔に並ぶタンポポ
可愛らしい模様はお客様からも評判がよく、中庭の桂の木も一緒に映していらっしゃるお客様も多いです。
ここ最近、中庭を歩いている小さなお客様
ハクセキレイというのだそうです
スタッフが横を通っても飛び立たない時もあるくらい人に慣れてきました
季節によって姿を変える中庭。秋はもう少し先ですが、これからだんだんと葉が色づいていきます。ご来館くださった際は、中庭でもゆっくりした時間をお過ごしいただければ幸いです。
スタッフ:橘
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